(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6700903
(24)【登録日】2020年5月8日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】ノーズクリップの被覆部材およびノーズクリップの被覆部材と包装材との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20200518BHJP
【FI】
A61B5/08
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-65882(P2016-65882)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-176339(P2017-176339A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】597009275
【氏名又は名称】株式会社フクダ産業
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】飛ヶ谷 喜憲
【審査官】
門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3079153(JP,U)
【文献】
特開2015−023890(JP,A)
【文献】
中国実用新案第200998254(CN,Y)
【文献】
中国実用新案第202409862(CN,U)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0124844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/08
A61B 90/00
A62B 7/00
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸機能検査時に被験者の鼻を挟持して鼻孔から息が漏れないようにするノーズクリップの一対の鼻挟持部を被覆する被覆部材であって、
被覆部材を折り曲げていない状態で開口部が相対する一対のポケットを有し、
被覆部材を折り曲げた状態で前記一対のポケットに前記一対の鼻挟持部が各々挿入されることにより、前記一対のポケットで前記一対の鼻挟持部を被覆する
ことを特徴とするノーズクリップの被覆部材。
【請求項2】
請求項1に記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対のポケットは、横長のシート材の両側部分を各々内側に折り畳んだ形状である
ことを特徴とするノーズクリップの被覆部材。
【請求項3】
請求項2に記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対のポケットは、横長のシート材の両側部分を各々内側に折り畳んだ一対の折り畳み部の、各々の上端部及び下端部が閉じられた形状である
ことを特徴とするノーズクリップの被覆部材。
【請求項4】
請求項2に記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対のポケットは、横長のシート材の両側部分を各々内側に折り畳んだ一対の折り畳み部の、各々の上端部及び下端部を溶着して形成される
ことを特徴とするノーズクリップの被覆部材。
【請求項5】
請求項4に記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対の折り畳み部の、各々の開口部と相対する端部がさらに溶着されている
ことを特徴とするノーズクリップの被覆部材。
【請求項6】
請求項1〜5から選択されるいずれかに記載のノーズクリップの被覆部材であって、
材質が、不織布、コットン、及び紙から選択される1以上である
ことを特徴とするノーズクリップの被覆部材。
【請求項7】
請求項1〜6から選択されるいずれかに記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対のポケットの開口部には、各々前記鼻挟持部の挿入を容易にするための切り込み部が設けられている
ことを特徴とするノーズクリップの被覆部材。
【請求項8】
請求項1に記載のノーズクリップの被覆部材と、その被覆部材を包装する包装材との組み合わせであって、
前記包装材の、被覆部材の前記一対のポケットが形成されている面側を覆う包装面には縦方向のミシン目が設けられ、
前記ミシン目が引き裂かれることにより、前記被覆部材の取り出し口が形成される
ことを特徴とするノーズクリップの被覆部材と包装材との組み合わせ。
【請求項9】
請求項8に記載のノーズクリップの被覆部材と包装材との組み合わせであって、
前記ミシン目は、前記包装面における前記一対のポケットの開口部の中間に設けられる
ことを特徴とするノーズクリップの被覆部材と包装材との組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸機能検査時に使用するノーズクリップの被覆部材に関する。さらに詳しくは、呼吸機能検査時にノーズクリップの鼻挟持部が被験者の鼻に直接接触するのを防ぐための被覆部材に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器疾患の診断や治療のために、被験者の呼吸機能を検査する呼吸機能検査装置がある。この呼吸機能検査装置で被験者の呼吸機能を検査する時には、正確な測定値を得るために、ノーズクリップで被験者の鼻を挟持し、鼻孔から息が漏れないようにしている(特許文献1)。通常、ノーズクリップは、使い捨てでは無く、複数の被験者に繰り返して使用される。従って、ノーズクリップの鼻挟持部が被験者の鼻に直接接触するのは、衛生上問題がある。
【0003】
図10及び
図11は、ノーズクリップの一例を示し、
図10はノーズクリップ1の斜視図、
図11は、
図10のノーズクリップ1の正面図である。
図12は、従来の鼻挟持部の被覆方法としてノーズクリップ1の鼻挟持部14、14をティッシュペーパーで被覆した状態を示す正面図である。
図10及び
図11に示すように、ノーズクリップ1は、一対の摘み部11、11、一対の挟み部12、12、一個のバネ部13、一対の鼻挟持部14、14で構成されている。一対の摘み部11、11、一対の挟み部12、12、一個のバネ部13は合成樹脂等で一体に成形されている。円弧状のバネ部13の両端が挟み部12、12に各々接続されて、鼻挟持部14、14が接近する方向に挟み部12、12を付勢している。一対の鼻挟持部14、14は、円筒状の柔らかいスポンジで形成され、その外側の側面が一対の挟み部12、12の先端に係止されている。
【0004】
従来の鼻挟持部の被覆方法を、
図12を用いて説明する。
図12は、ノーズクリップ1の鼻挟持部14、14をティッシュペーパーで被覆した状態を示す正面図である。
図11に示すように、従来は、ティッシュペーパー15、15を被覆部材として用いて、ノーズクリップ1の鼻挟持部14、14を各々被覆し、ノーズクリップ1の鼻挟持部14、14が被験者の鼻に直接接触するのを防止している。
鼻挟持部の被覆部材は、被検者が変わる毎に取り外され、廃棄される。また、被検者が変わらない場合でも、一度に複数の呼吸機能を検査する時には、被検者は最初の検査終了後にノーズクリップ1を一旦鼻から外し、次の呼吸機能を検査する準備が整ったら、再び鼻を挟持する。しかし、
図12に示す従来の被覆方法では、ティッシュペーパー15、15は鼻挟持部14、14に被せられているだけであるため、ノーズクリップ1を鼻から付け外しする時に、鼻挟持部14、14からティッシュペーパー15、15が外れることがある。また、鼻挟持部14、14をティッシュペーパー15、15で被覆する時に、手がティッシュペーパー15、15の鼻接触面に触れる恐れがあり、衛生上問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−23890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような背景で発明されたものであり、以下の目的を達成するものである。本発明の目的は、被覆部材がノーズクリップの鼻挟持部から外れにくく、ノーズクリップの鼻挟持部に被覆部材を装着する時に、被覆部材の鼻接触面に手が触れる恐れが少ないノーズクリップの被覆部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために、次のような手段を採る。なお後述する発明を実施するための最良の形態の説明及び図面で使用した符号を参考のために括弧書きで付記するが、本発明の構成要素は該付記したものには限定されない。
【0008】
本発明1のノーズクリップの被覆部材(3)は、
呼吸機能検査時に被験者の鼻を挟持して鼻孔から息が漏れないようにするノーズクリップ(1)の一対の鼻挟持部(14、14)を被覆する被覆部材(3)であって、被覆部材(3)を折り曲げていない状態で開口部(32、32)が相対する一対のポケット(31、31)を有し、被覆部材(3)を折り曲げた状態で前記一対のポケット(31、31)に前記一対の鼻挟持部が各々挿入されることにより、前記一対のポケット(31、31)で前記一対の鼻挟持部(14、14)を被覆することを特徴とする。
【0009】
本発明2のノーズクリップの被覆部材(3)は、本発明1に記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対のポケット(31、31)は、横長のシート材(2)の両側部分を各々内側に折り畳んだ形状であることを特徴とする。
【0010】
本発明3のノーズクリップの被覆部材(3)は、本発明2に記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対のポケット(31、31)は、横長のシート材(2)の両側部分を各々内側に折り畳んだ一対の折り畳み部(24、24)の、各々の上端部及び下端部が閉じられた形状であることを特徴とする。
【0011】
本発明4のノーズクリップの被覆部材(3)は、本発明2に記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対のポケット(31、31)は、横長のシート材(2)の両側部分を各々内側に折り畳んだ一対の折り畳み部(24、24)の、各々の上端部及び下端部を溶着して形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明5のノーズクリップの被覆部材(3)は、本発明4に記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対の折り畳み部(24、24)の、各々の開口部(32、32)と相対する端部がさらに溶着されていることを特徴とする。
【0013】
本発明6のノーズクリップの被覆部材(3)は、本発明1〜5から選択されるいずれかに記載のノーズクリップの被覆部材であって、
材質が、不織布、コットン、及び紙から選択される1以上であることを特徴とする。
【0014】
本発明7のノーズクリップの被覆部材(3)は、本発明1〜6から選択されるいずれかに記載のノーズクリップの被覆部材であって、
前記一対のポケット(31、31)の開口部(32、32)には、各々前記鼻挟持部の挿入を容易にするための切り込み部(40、40)が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明8のノーズクリップの被覆部材を包装する包装材(5)は、本発明1〜7から選択されるいずれかに記載のノーズクリップの被覆部材を包装する包装材であって、
被覆部材(3)の前記一対のポケット(31、31)が形成されている面側を覆う包装面(53)には縦方向(シート材2の短辺52に平行となる方向)のミシン目(54)が設けられ、
前記ミシン目(54)が引き裂かれることにより、前記被覆部材(3)の取り出し口が形成されることを特徴とする。
【0016】
本発明9のノーズクリップの被覆部材を包装する包装材(5)は、本発明8に記載の包装材であって、
前記ミシン目(54)は、前記包装面(53)における前記一対のポケットの開口部(32、32)の中間に設けられることを特徴とする。
【0017】
本発明10のノーズクリップの被覆部材(3)は、呼吸機能検査時に被験者の鼻を挟持して鼻孔から息が漏れないようにするノーズクリップの一対の鼻挟持部(14、14)を被覆し、前記鼻挟持部(14、14)が被験者の鼻に直接接触するのを防ぐための被覆部材(3)であって、前記被覆部材(3)は、柔軟な横長のシート材(2)の長辺(21)の両側部分を、短辺(22)に平行な折り目(23、23)で各々内側に折り畳み、前記一対の折り畳み部(24、24)の各々の内側の短辺(22、22)の間に隙間(W)を形成し、前記一対の折り畳み部(24、24)の前記短辺(22)方向の両端で、前記一対の折り畳み部の前記長辺(21)方向の全長を各々溶着して一対のポケット(31、31)を形成して構成され、前記被覆部材(3)の長辺(21)の中央部分を、短辺(22)に平行な折り目(33)で、前記一対のポケット(31、31)が外側となるように折り曲げ、前記一対のポケット(31、31)に前記一対の鼻挟持部(14、14)を各々挿入して、前記一対のポケット(31、31)で前記一対の鼻挟持部(14、14)を被覆することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のノーズクリップの被覆部材は、被覆部材のポケット側を指で持てば、被覆部材の鼻接触面に手が触れる恐れが少ないため、衛生的である。また、一個の被覆部材をノーズクリップに装着するだけで一対の鼻挟持部を被覆できるので、装着時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の被覆部材の製造手順と製造した被覆部材を示し、
図1(a)は被覆部材の材料である横長のシート材の平面図、
図1(b)は
図1(a)の側面図である。
【
図2】
図2(a)は被覆部材の平面図、
図2(b)は
図2(a)のB−B’方向の端面図、
図2(c)は
図2(a)のA−A’方向の端面図である。
【
図3】
図3は、ノーズクリップの鼻挟持部を被覆部材に挿入途中の状態を示す説明図である。
【
図4】
図4は、ノーズクリップの鼻挟持部を被覆部材に挿入して、被覆部材のポケットで鼻挟持部を被覆した状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、被覆部材で被覆したノーズクリップで鼻を挟持した状態を示す説明図である。
【
図6】
図6は、被覆部材で被覆したノーズクリップの鼻挟持部を閉じた状態を示す説明図である。
【
図7】
図7(a)は第1の実施形態の変形例のシート材の平面図、
図7(b)は第1の実施形態の変形例の被覆部材の平面図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態を示し、第1の実施形態の被覆部材をフィルム状の包装材に包装したもので、
図8(a)は平面図、
図8(b)は
図8(a)の側面図である。
【
図9】
図9は、ノーズクリップの鼻挟持部を
図8の包装材に包装した被覆部材に挿入途中の状態を示す説明図である。
【
図12】
図12は、従来技術としてノーズクリップの鼻挟持部をティッシュペーパーで被覆した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔被覆部材の第1の実施形態〕
以下、第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から
図6は、第1の実施形態を示す。
図1及び
図2は、第1の実施形態の被覆部材の製造手順と製造した被覆部材を示し、
図1(a)は被覆部材の材料である横長のシート材の平面図、
図1(b)は
図1(a)の側面図である。
図2(a)は被覆部材の平面図である。
図2(b)は
図2(a)のB−B’方向の端面図、
図2(c)は
図2(a)のA−A’ 端面図である。
【0021】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、本実施形態の被覆部材の材料は、柔軟な横長の長方形のシート材2であり、シート材2の長辺21の長さをL、短辺22の長さをL2として示している。シート材2の材質は、肌触りの良い不織布、コットン、紙が好ましい。
図1(a)及び
図2(a)に示すように、このシート材2の長辺21の左右の両側部分を、短辺22に平行な折り目23、23で各々内側に折り畳む。短辺22、22と折り目23、23の間の長さL1は、長辺21の長さLの1/4よりも短く形成している。従って、この一対の折り畳み部24、24の各々の内側の短辺22、22の間には、隙間Wが形成される。
【0022】
その後、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、この一対の折り畳み部24、24の上端部及び下端部(短辺方向22、22の両端で、折り畳み部24、24の長辺21、21方向の全長)を各々溶着し、各々に溶着部34を形成することによって、第1の実施形態の被覆部材3が形成される。溶着方法としては、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着が好ましい。
【0023】
図2(c)は、
図2(a)のA−A’方向の端面図である。
図2(a)及び
図2(c)に示すように、被覆部材3には、折り畳まれた長辺21の左右の両側部分及び折り畳み部24、24の上端部及び下端部に形成された溶着部34によって3辺が閉じられ、残る1辺をポケット開口部32とする一対のポケット31、31が形成される。
【0024】
本実施形態において発明者が製造した被覆部材3は、長さL1が25ミリ、隙間Wが20ミリ、長さL2が40ミリである。しかし、この寸法に限定されるものではなく、長さL1が15〜30ミリ、隙間Wが10〜30ミリ、長さL2が20〜60ミリの間であればよい。
【0025】
なお、上記の説明では、一対の折り畳み部24、24の上端部及び下端部を各々溶着するとしたが、更に折り畳まれた長辺21の左右の両側部分、即ちポケット開口部32、32の各々と相対する端部を各々溶着し、ポケット31、31のポケット開口部32以外の3辺全てに溶着部34を形成するようにしてもよい。
【0026】
以上のようにして製造した被覆部材3を、ノーズクリップ1に装着する。
図3は、ノーズクリップ1の鼻挟持部14、14を、ポケット31、31が外側となるように折り曲げた被覆部材3に挿入途中の状態を示す説明図である。被覆部材3を挿入する前に、まず、被覆部材3の長辺の中央部分を、短辺22に平行な折り目33(
図2(a)参照)で、ポケット31、31が外側となるように折り曲げる。すると、
図3に示すように、被覆部材3の一対のポケット31、31のポケット開口部32、32の口が開く。この状態で、ノーズクリップ1の一対の摘み部11、11を掴んで閉じ、一対の鼻挟持部14、14を開き、鼻挟持部14、14を被覆部材3の一対のポケット開口部32、32に各々挿入する。
図3に示すように、被覆部材3のポケット31、31側を指で持った状態で装着を行えば、被覆部材3の鼻接触面35、35に手が触れる恐れがないため、衛生的である。
【0027】
図4は、一対の鼻挟持部14、14が被覆部材3の一対のポケット31、31に挿入された状態を示している。被覆部材3は柔軟なシート材であるため、鼻挟持部14、14が挿入されることによってポケット31、31は押し広げられ、鼻挟持部14、14全体を包み込むように被覆する。その結果、従来のティッシュペーパー15、15を被せる方法に比べて、鼻挟持部14、14への密着性が高くなり、ノーズクリップ1の取り外し等によって被覆部材3が鼻挟持部14、14から外れてしまうおそれが少なくなる。
【0028】
また、一個の被覆部材3をノーズクリップ1に装着するだけで一対の鼻挟持部14、14を被覆できるので、従来のティッシュペーパー15、15を各々装着するよりも装着時間を短縮できる。
【0029】
次に、
図5に示すように、被験者の鼻4を被覆部材3の鼻接触面35、35で挟持し、その後、ノーズクリップ1の一対の摘み部11、11から手を離せば良い。最初の呼吸機能検査が終わったら、ノーズクリップ1の一対の摘み部11、11を掴んで閉じ、一対の鼻挟持部14、14を開き、ノーズクリップ1を鼻から外す。
図6は、被覆部材3で被覆したノーズクリップ1の鼻挟持部14、14を閉じた状態を示す説明図である。次の呼吸機能を検査する準備が整ったら、再びノーズクリップ1を持って、被覆部材3の鼻接触面35、35で被験者の鼻4を挟持すればよい。
【0030】
〔第1の実施形態の変形例〕
図7に、第1の実施形態の変形例を示す。
図7は、第1の実施形態の被覆部材3のポケット開口部32に更に切り込み部40を設けたものであり、
図7(a)はその場合のシート材2の平面図、
図7(b)は被覆部材3の平面図である。
【0031】
以下、
図7(a)及び(b)を用いて第1の実施形態の変形例における被覆部材3の製造方法について説明する。まず、
図7(a)に示すように、シート材2の短辺22、22の中央からシート材2の中央に向かう方向にシート材2の一部を切断し、切り込み部40、40を形成する。切り込み部40、40の長さは、例えば短辺22、22と折り目23、23の間の長さであるL1の1/4よりも短く形成する。
次に、
図7(b)に示すように、シート材2の長辺21の左右の両側部分を、短辺22に平行な折り目23、23で各々内側に折り畳んだ後、一対の折り畳み部24、24の上端部及び下端部を各々溶着し、溶着部34を形成することによって、被覆部材3が形成される。以上のように製造された被覆部材3のポケット31、31は、ポケット開口部32、32の中央が切り込み部40、40によって部分的に切断された状態となる。
【0032】
次に、第1の実施形態で説明したように、被覆部材3をポケット31、31が外側となるように折り曲げ、鼻挟持部14、14をポケット31、31に各々挿入する。挿入を開始すると、ポケット31、31は鼻挟持部14、14によって押し広げられ、ポケット開口部32、32は切り込み部40、40に沿って部分的に分離する。その結果、ポケット開口部32、32の口が大きく開くため、鼻挟持部14、14を容易に挿入することができる。
【0033】
なお、上記の説明では、切り込み部40、40の長さは、例えば短辺22、22と折り目23、23の間の長さであるL1の1/4よりも短く形成するとしたが、これに限られるものではない。切り込み部40、40の長さは使用するノーズクリップ1の鼻挟持部14の形状や大きさに対応して適宜変更すればよく、例えば、鼻挟持部14が大きい場合は、L1の1/4よりも長く形成してもよい。また、鼻挟持部14が小さい場合は、例えばL1の1/5よりも短く形成してもよい。
【0034】
また、上記の説明では、シート材2に切り込み部40、40を形成した後に被覆部材3を溶着によって形成するとしたが、これに限られるものではなく、被覆部材3の形成後、即ちポケット31、31形成後に切り込み部40、40を形成してもよい。
【0035】
〔被覆部材の第2の実施形態〕
図8及び
図9は、第2の実施形態を示す。
図8は、第1の実施形態の被覆部材3をフィルム状の包装材に包装したものあり、
図8(a)は平面図、
図8(b)は
図8(a)の側面図である。
図9は、ノーズクリップ1の鼻挟持部14、14を
図8の包装材に包装した被覆部材3に挿入途中の状態を示す説明図である。
【0036】
図8に示すように、第1の実施形態の被覆部材3をフィルム状の包装材5に包装する。包装材5の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール等のプラスチックが好ましい。包装材5は、例えばその周囲の端部を溶着し、被覆部材3を密閉した状態で包装する。また、被覆部材3のポケット31側(折り畳み部24側)となる包装材5の包装面53(
図8(b)の上側)に、ミシン目54を形成する。ミシン目54は、包装材5の長辺51の中央部分に、縦方向(短辺52に平行となる方向)に形成する。
【0037】
使用する際は、まず、包装材5のミシン目54を引き裂き、次に、包装材5を被覆部材3の一対のポケット31、31が外側となるように折り曲げる。すると、
図9に示すように、包装材5のミシン目54が開き、被覆部材3が露出する。また、被覆部材3の一対のポケット31、31のポケット開口部32、32の口が開く。この状態で、ノーズクリップ1の一対の摘み部11、11を掴んで閉じ、一対の鼻挟持部14、14を開き、被覆部材3の一対のポケット開口部32、32から一対の鼻挟持部14、14を各々挿入する。被覆部材3の挿入が完了したら、包装材5を被覆部材3から取り外す。被覆部材3のノーズクリップ1への挿入が完了するまで、被覆部材3は包装材5で覆われているため、被覆部材3に手が触れず、衛生的である。また、被覆部材3は包装材5の中に密閉された状態で保管できるため、塵埃や細菌等の付着が無く、長期間の保管に適している。
【0038】
本発明は上記の実施形態に限定されることはない。例えば、上記の実施形態では、シート材2は横長の長方形として説明したが、シート材2の四隅は直角で無くてもよい。また、シート材2は四角形でなくてもよく、例えば左右方向及び上下方向の少なくとも何れか一つの方向に丸みを持たせた形状、または、四隅を切り落とした八角形等の多角形の形状としてもよい。
【0039】
また、上記の説明では、溶着方法として、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着を例示したが、溶着方法はこれに限定されるものではない。また、溶着法ではなく、公知の接着剤等を用いた接着法によってポケット31、31の2辺又は3辺を形成してもよい。
【0040】
また、上記の説明では、シート材2の左右の両側部分を内側に折り畳み、折り畳み部24、24の上端部及び下端部を各々溶着してポケット31、31を形成するとしたが、ポケット31、31の形成方法はこれに限られるものではない。例えば、横方向の長さがL=L1+W+L1で縦方向の長さがL2からなる横長のシート材を1枚と、横方向の長さがL1で縦方向の長さがL2からなる四角形のシート材を2枚用意する。その後、該2枚の四角形のシート材を
図2(a)においてポケット31、31となる位置に各々重ね、次いでポケット開口部32、32となる1辺以外の3辺の端部を溶着することによってポケット31、31を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…ノーズクリップ
11…摘み部
12…挟み部
13…バネ部
14…鼻挟持部
15…ティッシュペーパー
2…シート材
21…長辺
22…短辺
23…折り目
24…折り畳み部
3…被覆部材
31…ポケット
32…ポケット開口部
33…折り目
34…溶着部
35…鼻接触面
4…鼻
40…切り込み部
5…包装材
51…長辺
52…短辺
53…包装面
54…ミシン目