(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レセプトデータにおける傷病名称に対応して記載された医療行為名が、前記傷病名称の示す傷病に対して適応するか否かを判定する適応症チェック装置の機能をコンピュータに実行させるプログラムであり、
前記コンピュータを、
前記レセプトデータにおける傷病名コードを傷病名称に変換する傷病名称変換手段、
医療行為コードと当該医療行為コードに対応する医療行為名に対して適応する傷病名称を示す適応症ワードとの対応が記憶されている適応症ワードマスター記憶部における前記適応症ワードと、前記傷病名称とを比較する適応症ワード比較手段、
前記レセプトデータが前記医療行為コードに対応する医療行為に対する医師のコメントを、当該医療行為コードに対応する前記傷病名称に連結し、連結傷病名称を生成するコメント連結手段
として機能させ、
前記適応症ワード比較手段が、前記連結傷病名称を前記傷病名称として、当該連結傷病名称と当該医療行為コードに対応する前記適応症ワードと比較する
プログラム。
レセプトデータにおける傷病名称に対応して記載された医療行為名が、前記傷病名称の示す傷病に対して適応するか否かを判定する適応症チェック装置の機能をコンピュータに実行させるプログラムであり、
前記コンピュータを、
前記レセプトデータにおける傷病名コードを傷病名称に変換する傷病名称変換手段、
医療行為コードと当該医療行為コードに対応する医療行為名に対して適応する傷病名称を示す適応症ワードとの対応が記憶されている適応症ワードマスター記憶部における前記適応症ワードと、前記傷病名称とを比較する適応症ワード比較手段、
前記適応症ワードマスター記憶部において、医療行為コードに対して除外ワードが付加されている場合、当該除外ワードを含む前記傷病名称の示す傷病が前記医療行為コードの示す医療行為に適応しないと判定する除外ワード判定手段
として機能させるためのプログラム。
前記適応症ワード比較手段が、前記レセプトデータにおける前記医療行為コード毎に、当該医療行為コードに対応する前記適応症ワードと、変換された前記傷病名称との比較を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による適応症チェックシステム1の構成例を示す図である。
図1において、本実施形態における適応症チェックシステム1は、データ入力部101、コード抽出部102、傷病名変換部103、適応症ワード比較部104、傷病マスターデータベース105、適応症マスターデータベース106、処理データ記憶部107及び判定結果記憶部108の各々を備えている。
データ入力部101は、外部装置からレセプトデータを入力し、処理データ記憶部107に対して書き込んで記憶させる。
【0023】
図2は、本実施形態におけるレセプトデータの一例を示す図である。本実施形態において取り扱うレセプトデータは、医療機関ごとに作成される診療請求を行うためのデータであり、CSV(comma separated values)形式のファイルとして、適応症チェックシステム1の外部にある外部装置から入力される。
この
図2におけるMNは、添付されたレコードがレセプト管理コードのデータであることを示す、健康保険組合などで発行するレセプトデータを管理するために付与される識別情報である。SYは、添付されたレコードが傷病名コードのデータであることを示す識別情報である。COは、添付されたレコードが医師により記載されたコメントのデータであることを示す識別情報である。SIは、添付されたレコードが医療行為コードのデータであることを示す識別情報である。EXは、添付されたレコードが審査運用データであることを示す識別情報である。
【0024】
図3は、CSV形式におけるレセプトデータの構成を簡易的に示した概念図である。SY部201は、上記
図2における識別情報SYのレコードに対応しており、レセプトデータにおける傷病名コードのレコードを示している。傷病全体CO部202は、上記
図2における識別情報COのレコードに対応しており、SY部201における傷病名コードに対応する傷病に対する医療行為名の医療行為に付与された傷病単位グループ(後述する傷病単位グループ304)に対する全体コメントが記載されたレコードを示している。グループCO部203は、複数の医療行為コードのグループである医療行為グループ(後述する医療行為グループ303)に対するグループコメントが記載されたレコードを示している。
【0025】
SI部204及びSI部206の各々は、上記
図2における識別情報SIのレコードに対応しており、それぞれSY部201の傷病名コードの傷病に対して行われた医療行為を示す医療行為コードのレコードを示している。個別CO部205及び個別CO部207の各々は、それぞれSI部204、SI部206における医療行為コードの示す医療行為に対する医療行為コメントが記載されたレコードを示している。また、レセプトデータにおいて、各傷病名コードに対して複数の医療行為コードが付与されている場合もあり、この場合には医療行為ごとに傷病コードの示す傷病に適応可能か否かの判定が行われる。
例えば、レコードR1は、識別情報SIが付与されているため、医療行為コードの記載されたレコードを示している。レコードR2からレコード5の各々は、識別情報COが付与されているため、医療行為コードの記載されたレコードを示している。
【0026】
また、医療行為単位301は、SI部204のレコード(
図2におけるレコードR1)とSI部204の医療行為に対して記載された医療行為コメントのレコード(
図2におけるレコードR2)との組み合わせである。すなわち、医療行為コメントは医療行為の各々に対して付与される医療行為コメントである。医療行為単位302についても医療行為単位301と同様である。
【0027】
医療行為グループ303は、複数の医療行為を含むグループであり、医療行為単体の上の中位の階層を形成しており、例えばSI部204及びSI部206の各々を含んでいる。この医療行為グループ303に含まれるグループCO部203には、医療行為グループ303に含まれるSI部204及びSI部206の各々のレコードの医療行為に対して共通となるグループコメントが記載されているレコード(
図2におけるレコードR3)である。
【0028】
傷病単位グループ304は、複数の医療行為グループの上の最上位の階層を形成しており、SY部201の傷病名コードの示す傷病に対して行った医療行為のすべてを含んでいるグループである。この傷病単位グループ304に含まれる傷病全体CO部202には、傷病単位グループ304に含まれるすべての医療行為に対して共通の全体コメント(
図2におけるレコードR4あるいはレコードR5)である。
【0029】
図1に戻り、コード抽出部102は、レセプトデータのファイルのレコードのなかから、識別情報SYが付与されたレコードであるSY部を検出して、SY部から傷病名コードを抽出する。また、コード抽出部102は、レセプトデータのファイルのレコードのなかから、識別情報SIが付与されたレコードであるSI部を検出して、SI部から医療行為コードを抽出する。
【0030】
傷病名変換部103は、傷病マスターデータベース105(後述)を参照して、抽出した傷病名コードを傷病名称に変換する。
傷病マスターデータベース105は、傷病名コードの各々と傷病名コードの示す傷病名称とが対応づけて予め書き込まれて記憶されている。
【0031】
図4は、傷病マスターデータベース105に記憶されている傷病名コードと傷病名称との対応関係の一例を示す図である。この傷病マスターデータベース105には、傷病名コードと傷病名コードの示す傷病名称とが対応づけて記憶されている。傷病名変換部103は、傷病マスターデータベース105を参照し、変換する対称の傷病名コードを検出し、この検出した傷病名コードに対応する傷病名称を抽出して読み出す。そして、傷病名変換部103は、傷病名コードに対応して抽出した傷病名称を出力することにより、傷病名コードを傷病名称に変換する処理を行う。
【0032】
図1に戻り、適応症ワード比較部104は、適応症マスターデータベース106から医療行為コードに対応する適応症ワード(後述)を読み出す。適応症ワード比較部104は、読み出した適応症ワードと、比較対象の傷病名症の文字列(以下、単に傷病名称と示す)とを比較する。ここで、適応症ワード比較部104は、変換された傷病名称と適応症ワードとの比較において、比較対象である傷病名称に対して、比較語である適応症ワードが部分一致しているか否かの判定を行う。
【0033】
また、適応症ワード比較部104は、医療行為レコードに対応する適応症ワードが、傷病名称と部分一致した場合、傷病名称の示す傷病に対して行った医療行為コードの示す医療行為には疑義がないと判定する。一方、適応症ワード比較部104は、医療行為適応症ワードが傷病名称と部分一致しない場合、傷病名称の示す傷病に対して行った医療行為コードの示す医療行為には疑義があると判定する。
また、適応症ワード比較部104は、判定対象のレセプトデータに対する疑義の有無を、判定結果記憶部108に対して書き込んで記憶させる。
【0034】
図5は、本実施形態における適応症マスターデータベース106に記憶されている医療行為コードと適応症ワードとの対応関係の一例を示す図である。
図5においては、シンチグラム(全身)を示す診療行為コード(医療行為コード)を例としている。この適応症マスターデータベース106は、観点のレコードごとに、医療行為であるシンチグラム(全身)を示す医療行為コードと、このシンチグラムの医療行為コードに対応する適応症ワードとが対応づけられている。本実施形態における適応症マスターデータベース106においては、このシンチグラム(全身)に対してと同様に、保険診療ルールにおける医療行為の各々に対応して、この医療行為が適応できる傷病を示す適応症ワードがそれぞれ対応づけられている。
【0035】
また、
図5に示すように、観点の各々は、適応症ワード単体あるいは複数の適応症ワードの組み合わせから構成されている。また、適応症ワードによる複数の傷病名称に対する部分一致の一致率を向上させ、網羅する傷病名称を増加させるため、一つの医療行為コードに対応して複数の観点(それぞれ異なる適応症ワードの組み合わせである観点)が設けられている。
【0036】
図5に示すように、適応症ワードは1個あるいは2個以上の複数個の組み合わせから構成された観点がそれぞれ対応する医療行為コードに対して付与されている。
図5においては、適応症マスターデータベース106に、シンチグラム(全身)の適応症ワードとして、項番の観点1における「癌」のワードのみ、項番の観点2における「悪性」及び「腫」のワードの組み合わせ、項番の観点3における「リンパ」及び「腫」のワードの組み合わせ、項番の観点4における「骨」及び「腫」のワードの組み合わせが設定されている。
【0037】
観点1の適応症ワードの「癌」については、傷病名称に「癌」が付与されている場合、この傷病に対してはシンチグラム(全身)が全身の癌に適応する医療行為のため、医療行為に対する適応症と判定する。
また、観点2の適応症ワードの「悪性」及び「腫」の組み合わせについては、「癌」と同義語である「悪性」の「腫瘍」が傷病名称に付与されている場合、「癌」が付与されている場合と同様に医療行為に対する適応症と判定する。しかしながら、「腫瘍」に関しては、「○○腫」などと記載される場合があるため、「腫瘍」を「腫」と「瘍」とに単語分解し、「腫」を用いることとする。
観点3の適応症ワードの「リンパ」及び「腫」の組み合わせについては、悪性ではなくとも、「リンパ」系に係わる「腫瘍」は「癌」に類する傷病として、「リンパ」及び「腫」が傷病名称に付与されている場合、「癌」が付与されている場合と同様に医療行為に対する適応症と判定する。「腫瘍」を「腫」と「瘍」とに単語分解するのは、観点2と同様である。
【0038】
観点4の適応症ワードの「骨」及び「腫」の組み合わせについては、悪性ではなくとも、「骨」系に係わる「腫瘍」は「癌」に類する傷病として、「骨」及び「腫」が傷病名称に付与されている場合、「癌」が付与されている場合と同様に医療行為に対する適応症と判定する。「腫瘍」を「腫」と「瘍」とに単語分解するのは、観点2及び観点3と同様である。
この
図5を例にすると、適応症ワード比較部104は、傷病名称が「骨肉腫」であり、医療行為コードがシンチグラム(全身)を示している場合、シンチグラム(全身)の医療行為コードに対応した適応症ワードに「骨肉腫」と部分一致するワードがあるか否かの判定を行う。ここで、適応症ワード比較部104は、「骨肉腫」において、観点4の「骨」及び「腫」が「骨」肉「腫」として部分一致すると判定し、この医療行為には疑義がないと判定する。
【0039】
上述した適応症ワードの生成処理において、適応症マスターデータベース106に記載する医療行為ごとに、この医療行為に対応する傷病名コードの傷病名称すべてと部分一致するワード及びワードの組み合わせを抽出する。上述した傷病名コードは、傷病名マスターに登録されている傷病名にのみ対応しているため、本実施形態においては、医療行為に適応する傷病とされている傷病名称を網羅するための過不足がないように、保険診療ルール及び文献に掲載されている、医療行為に適用とされている傷病の傷病名称も作業者が調査して抽出し、この抽出した傷病名称も網羅できる単語として、適応症ワードを抽出し、この適応症ワードから構成される観点が生成されている。
【0040】
図1に戻り、処理データ記憶部107には、上述したように、入力されたレセプトデータのファイル、傷病名変換部103が傷病名コードから変換した傷病名称などの処理途中のデータが記憶される。
判定結果記憶部108には、レセプトデータのファイル毎に、医療行為コードに対応して疑義の有無の判定結果を示す判定結果が、疑義と判定された医療行為の情報を含んで適応症ワード比較部104により書き込まれて記憶される。
また、例えば、図示しない出力部が判定結果記憶部108から判定結果を読み出し、読み出した判定結果を外部の表示装置に対して表示し、レセプトデータが正しいレセプトかあるいは疑義レセプトであるかをユーザーに通知する。
【0041】
次に、
図6を用いて、本実施形態における適応症チェックシステム1を用いたレセプトデータにおける医療行為に対する疑義判定の処理の流れを説明する。
図6は、本実施形態における適応症チェックシステム1を用いたレセプトデータにおける医療行為に対する疑義判定の処理における動作例を示すフローチャートである。以下、
図5における適応症マスターのシンチグラム(全身)の医療行為に対する疑義の判定を例に本実施形態における適応症チェックシステム1の動作を説明する。
【0042】
ステップS101:
データ入力部101は、外部装置から供給されるレセプトデータのファイルを、処理データ記憶部107に対して書き込んで記憶させる。
また、データ入力部101は、新たな判定対象のレセプトデータが供給されたことを、識別情報MNを付与してコード抽出部102に対して通知する。
【0043】
ステップS102:
コード抽出部102は、処理データ記憶部107から識別情報MNに対応するレセプトデータを読み出す。
そして、コード抽出部102は、読み出したレセプトデータから、識別情報SYに基づいて傷病名コードを抽出し、抽出した傷病名コードを傷病名変換部103に対して出力する。
【0044】
ステップS103:
傷病名変換部103は、コード抽出部102から供給される傷病名コードを、傷病マスターデータベース105から検索する。
そして、傷病名変換部103は、傷病マスターデータベース105から傷病名コードに対応する傷病名称を読み出し、読み出した傷病名称を傷病名コードの変換結果として適応症ワード比較部104に出力する。
【0045】
ステップS104:
コード抽出部102は、レセプトデータから識別情報SIに基づき、レセプトデータの先頭部から順に医療行為コードの抽出を行う。
【0046】
ステップS105:
そして、コード抽出部102は、新たに抽出された医療行為コードが有る場合、抽出した医療行為コードを適応症ワード比較部104に出力し、処理をステップS106へ進める。一方、コード抽出部102は、レセプトデータの終端部に達し新たな医療行為コードがない場合、処理をステップS110へ進める。
【0047】
ステップS106:
適応症ワード比較部104は、適応症マスターデータベース106において、医療行為コードに対応する適応症ワードを記載された順に読み出し、読み出した適応症ワードと、傷病名称との比較を順次行う。ここで、医療行為コードがシンチグラム(全身)を示す「170024710」であり、医療行為を行った傷病の傷病名称が「骨肉腫」である場合を、比較の例とする。
【0048】
ステップS107:
適応症ワード比較部104は、適応症マスターデータベース106における適応症マスターデータベース106の医療行為コードに対応する適応症ワードのなかに、傷病名称と部分一致する適応症ワードが有るか否か、すなわち、医療行為コードの示す医療行為が傷病名称に適応しているか否かの判定を行う。
そして、適応症ワード比較部104は、医療行為コードがシンチグラム(全身)であり、傷病名称が「骨肉腫」で有る場合、観点4における比較語である「骨」及び「種」の各々が比較対象の「骨肉腫」と部分一致していると判定する。一方、適応症ワード比較部104は、傷病名称が「心筋梗塞」で有る場合、適応症マスターデータベース106における医療行為コードに対応した適応症ワードのいずれとも部分一致しないと判定する。
【0049】
適応症ワード比較部104は、傷病名コードの示す傷病名称と部分一致する適応症ワードが適応症マスターデータベース106に有った場合、処理をステップS108に進める。
一方、適応症ワード比較部104は、傷病名コードの示す傷病名称と部分一致する適応症ワードが適応症マスターデータベース106にない場合、処理をステップS109に進める。
【0050】
ステップS108:
適応症ワード比較部104は、部分一致する適応症ワードが適応症ワードに存在したことにより、傷病名コードの示す傷病に対する医療行為に疑義がないと判定し、処理をステップS104へ進める。
【0051】
ステップS109:
適応症ワード比較部104は、部分傷病名コードの示す傷病名称と部分一致する適応症ワードが適応症マスターデータベース106にない場合、傷病に対する医療行為に疑義があると判定し、処理をステップS104へ進める。
【0052】
ステップS110:
適応症ワード比較部104は、判定対象のレセプトデータにおける医療行為の全てに疑義が無いと判定すると、判定された医療行為がないことを示す疑義無情報を、レセプトデータに付与して、判定結果記憶部108に対して書き込んで記憶させる(結果出力)。
一方、適応症ワード比較部104は、判定対象のレセプトデータにおける医療行為において疑義と判定された医療行為があることを示す疑義有情報を、レセプトデータに付与して、判定結果記憶部108に対して書き込んで記憶させる。
ここで、上記疑義有情報は、疑義と判定された医療行為を示す医療行為コードを含んでいる。
【0053】
上述したように本実施形態によれば、医療行為コードの示す医療行為に適応する傷病の傷病名称に対して部分一致させる適応症ワードを、傷病名コードに対応する傷病名称、保険診療ルールにおける傷病名称、及び文献に記載された傷病名称などから抽出している。このため、本実施形態によれば、未コード化傷病名称に対しても適応症ワードが部分一致する確率が高く、従来に比較して正しいレセプトデータを疑義レセプトと判定する割合を低減させることができる。
【0054】
<第2の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態による適応症チェックシステム1Aの構成例を示す図である。
図7において、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付与している。以下、第1の実施形態と異なる構成及び動作のみを説明する。
【0055】
第2の実施形態においては、第1の実施形態に対する新たな構成として、除外ワード判定部109が付加されている。除外ワード判定部109は、傷病名コードから変換された傷病名称が、除外ワードが部分一致するか否かの判定を行う。また、除外ワード判定部109は、適応症ワード比較部104において疑義と判定されない医療行為に対応する傷病名称に除外ワードが含まれている場合、この医療行為の適応症でないと判定する。
また、適応症マスターベース106Aには、第1の実施形態における医療行為コードに対応する適応症ワードに加え、除外ワードが必要な観点のレコードに設けられている。
【0056】
図8は、本実施形態における適応症マスターデータベース106Aに記憶されている医療行為コードと適応症ワードと除外ワードとの対応関係の一例を示す図である。
図8においては、第1の実施形態の
図5と同様に、シンチグラム(全身)を示す診療行為コード(医療行為コード)を例としている。この適応症マスターデータベース106Aは、観点(観点1から観点4)のレコードのそれぞれに対して、医療行為であるシンチグラム(全身)を示す医療行為コードと、このシンチグラムの医療行為コードに対応する適応症ワードと、この医療行為コードに対応する除外ワードとが対応づけられている。
【0057】
本実施形態における適応症マスターデータベース106Aにおいては、このシンチグラム(全身)に対してと同様に、保険診療ルールにおける医療行為の各々に対応して、この医療行為が適応できる傷病を示す適応症ワード及び除外ワードの各々がそれぞれ対応づけられている。この除外ワードは、比較対象の傷病名称と部分一致した際に強制的に適応症でないと判定するワードとして定義されている。すなわち、傷病名称を網羅させるため広く部分一致するよう求められた適応症ワードにおいて、適応しない医療行為を誤って適応としてしまう適応症ワードに対する対策として、疑義なしと判定することを防止するためのワードとして設けられている。
【0058】
次に、
図9を用いて、本実施形態における適応症チェックシステム1Aを用いたレセプトデータにおける医療行為に対する疑義判定の処理の流れを説明する。
図9は、本実施形態における適応症チェックシステム1Aを用いたレセプトデータにおける医療行為に対する疑義判定の処理の動作例を示すフローチャートである。以下、
図6に示す第1の実施形態のフローチャートと異なる動作部分について説明する。ステップS101からステップS107までとステップS110との動作は第1の実施形態と同様であり、以下、第1の実施形態と異なるステップS108A、ステップS108B、ステップS108C及びステップS109Aの説明を行う。
【0059】
ステップS108A:
除外ワード判定部109は、適応症ワード比較部104が部分一致すると判定した適応症ワードに対応した除外ワードを、適応症マスターデータベース106Aから読み出す。除外ワード判定部109は、比較対象の傷病名称と、比較語である読み出した除外ワードとを比較し、除外ワードが傷病名称に対して部分一致するか否かの判定を行う。
【0060】
ステップS108B:
そして、除外ワード判定部109は、除外ワードが傷病名称と部分一致した場合、処理をステップS108Cへ進める。
一方、除外ワード判定部109は、除外ワードが傷病名称と部分一致しない場合、処理をステップS109Aへ進める。
【0061】
ステップS108C:
除外ワード判定部109は、部分一致する適応症ワードが適応症ワードに存在し、かつ除外ワードが傷病名称と一致しないことにより、傷病名コードの示す傷病に対する医療行為に疑義がないと判定し、処理をステップS104へ進める。
【0062】
ステップS109A:
除外ワード判定部109は、部分傷病名コードの示す傷病名称と部分一致する適応症ワードが適応症マスターデータベース106Aに存在しない場合、または、除外ワードが傷病名称と一致した場合のいずれかであるため、傷病に対する医療行為に疑義があると判定し、処理をステップS104へ進める。
【0063】
上述したように本実施形態によれば、医療行為コードの示す医療行為に適応する傷病の傷病名称に対して部分一致させる適応症ワードに対応させ、強制的に医療行為を疑義と判定するための除外ワードを設けているため、傷病名称に対する網羅率を高めるように、多くの傷病名称と部分一致するように抽出した適応症ワードにおいて、医療行為コードそれぞれに対して適応症でない傷病名称と部分一致した場合でも疑義と判定することができる。これにより、本実施形態は、第1の実施形態に比較して、より傷病名称に対する網羅率を高めることが可能となり、未コード化傷病名称に対しても適応症ワードが部分一致する確率が高く、従来に比較して正しいレセプトデータを疑義レセプトと判定する割合を低減させることができる。
【0064】
<第3の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態による適応症チェックシステム1Bの構成例を示す図である。
図10において、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付与している。以下、第1の実施形態と異なる構成及び動作のみを説明する。
【0065】
第3の実施形態においては、第1の実施形態に対する新たな構成として、コメント抽出部110及びコメント連結部111の各々が付加されている。
コメント抽出部110は、レセプトデータから、識別情報COに基づき医師のコメントを抽出する。レセプトデータにおいて、医師のコメントとしては、
図3に示すように、医療行為単位の各々に対応する医療行為コメント、医療行為グループに対応するグループコメント及び傷病単位グループに対応する全体コメントの各々が存在する。医療行為コメント、医療行為コメント及び全体コメントの各々は、医療行為の階層である医療行為単位、医療行為グループ、傷病単位グループに対応して付与されているため、コメント抽出部110が医療行為毎に、この医療行為に対応したコメントを、それぞれを抽出することができる。
【0066】
例えば、コメント抽出部110は、
図2において、レコードR1の医療行為(医療コード170011810、レントゲン撮影)に対応した医療行為コメントとして、レコードR2の「1回目H27年1月撮影」を抽出する。
また、コメント抽出部110は、レコードR1の医療行為に対応したグループコメントとして、レコードR3の「右手指部」を抽出する。
また、コメント抽出部110は、レコードR1の医療行為に対応した全体コメントとして、レコードR4の「診療所からの紹介患者」及びレコードR5の「他院紹介予定」の各々を抽出する。
【0067】
コメント連結部111は、傷病名コードから変換された傷病名称に対して、医療行為コメントを連結して新たな比較対象の連結傷病名称を生成する。また、コメント連結部111は、上記傷病名称に対して医療行為コメントとグループコメントとの各々を連結して、新たな比較対象の連結傷病名称としても良い。また、コメント連結部111は、上記傷病名称に対して医療行為コメントとグループコメントと全体コメントとの各々を連結して、新たな比較対象の連結傷病名称としても良い。
【0068】
適応症ワード比較部104Bは、適応症マスターデータベース106における適応症ワードを比較語として、比較対象の連結傷病名称とを比較し、部分一致するか否かの判定を行う。
本実施形態においては、例えば適応症マスターデータベース106において、医療行為(深慮い行為)コードに対して
図11に示す腫瘍マーカ(PSA)に適応する適応症に対応する適応症ワードが示されているとして、連結傷病名称と適応症ワードとの比較を説明する。
【0069】
図11は、本実施形態における適応症マスターデータベース106に記憶されている医療行為コードと適応症ワードとの対応関係の一例を示す図である。
図11においては、腫瘍マーカ(PSA)を示す診療行為コード(医療行為コード)を例としている。この適応症マスターデータベース106は、観点ごとのレコードにおいて、医療行為である腫瘍マーカ(PSA)を示す医療行為コードと、この腫瘍マーカ(PSA)の医療行為コードに対応する適応症ワードとが対応づけられている。
【0070】
図11に示すように、
図5と同様に、適応症ワードは1個あるいは2個以上の複数個の組み合わせがそれぞれの医療行為に対して付与されている。
図11においては、適応症マスターデータベース106において、腫瘍マーカ(PSA)の適応症ワードとして、項番の観点1における「前立腺」及び「癌」のワードの組合せ、項番の観点2における「前立腺」、「悪性」及び「腫」のワードの組み合わせが設定されている。
【0071】
図12は、従来の医療行為コードと傷病名コードとの比較によるレセプトデータの疑義判定の処理を説明する概念図である。この例においては、従来の適応症マスターデータベースにおいて腫瘍マーカ(PSA)の診療行為コード「160037510」に対して、適応となる傷病「前立腺癌」の傷病名コード「1859003」とが対応づけて登録されている。
レセプトデータC_1は傷病名称が「前立腺種」であり、傷病名コードが「6009004」であり、診療行為が腫瘍マーカ(PSA)であり、診療行為コードが「160037510」と記載されている。このため、医師がコメントで「遺伝性。癌に発展する可能性あり」として、腫瘍マーカ(PSA)の必要性を示して適応症としているが反映されない。結果として、適応症マスターデータベースの診療行為コードに対する傷病名コードが一致しないため、レセプトデータC_1は疑義レセプトとして判定される。
【0072】
レセプトデータC_2は傷病名称が「前立腺癌」であり、傷病名コードが「1859003」であり、診療行為が腫瘍マーカ(PSA)であり、診療行為コードが「160037510」と記載されている。このため、適応症マスターデータベースの診療行為コードに対する傷病名コードが一致するため、とレセプトデータC_2は疑義レセプトとして判定されず、正しいレセプトデータと判定される。
【0073】
レセプトデータC_3は傷病名称が「尿道尿路上皮癌」であり、傷病名コードが「8845456」であり、診療行為が腫瘍マーカ(PSA)であり、診療行為コードが「160037510」と記載されている。このため、医師がコメントで「前立腺に転移の疑いあり」として、腫瘍マーカ(PSA)の必要性を示して適応症としているが反映されない。結果として、適応症マスターデータベースの診療行為コードに対する傷病名コードが一致しないため、レセプトデータC_3は疑義レセプトとして判定される。
【0074】
レセプトデータC_4は傷病名称が「前立腺出血」であり、傷病名コードが「6021002」であり、診療行為が腫瘍マーカ(PSA)であり、診療行為コードが「160037510」と記載されている。このため、医師がコメントで「悪性の腫瘍診見あり」として、腫瘍マーカ(PSA)の必要性を示して適応症としているが反映されない。結果として、適応症マスターデータベースの診療行為コードに対する傷病名コードが一致しないため、レセプトデータC_4は疑義レセプトとして判定される。
【0075】
図13は、本実施形態における医療行為コードに対応した適応症ワードと、連結傷病名称との比較によるレセプトデータの疑義判定の処理を説明する概念図である。
レセプトデータC_1において、コメント連結部111は、傷病名変換部103が変換した傷病名称である「前立腺種」と、コメント抽出部110が抽出したコメントである「遺伝性。癌に発展する可能性あり」とを連結し、連結傷病名として「前立腺腫遺伝性、癌に発展する可能性あり」を生成する。
そして、適応症ワード比較部104Bは、医療行為コードに対応する適応症ワードを適応症マスターデータベース106において参照し、観点1の適応症ワードの「前立腺」と「癌」とが「前立腺腫遺伝性、癌に発展する可能性あり」と部分一致するため、医療行為が医療行為に対して疑義がないと判定する。
【0076】
レセプトデータC_2において、コメント連結部111は、傷病名変換部103が変換した傷病名称である「前立腺癌」と、コメント抽出部110が抽出したコメントである「ステージ1の可能性で検査実施」とを連結し、連結傷病名として「前立腺癌ステージ1の可能性で検査実施」を生成する。
そして、適応症ワード比較部104Bは、医療行為コードに対応する適応症ワードを適応症マスターデータベース106において参照し、観点1の適応症ワードの「前立腺」と「癌」とが「前立腺癌ステージ1の可能性で検査実施」と部分一致するため、医療行為が医療行為に対して疑義がないと判定する。
【0077】
レセプトデータC_3において、コメント連結部111は、傷病名変換部103が変換した傷病名称である「尿道尿路上皮癌」と、コメント抽出部110が抽出したコメントである「前立腺に転移の疑いあり」とを連結し、連結傷病名として「尿道尿路上皮癌前立腺に転移の疑いあり」を生成する。
そして、適応症ワード比較部104Bは、医療行為コードに対応する適応症ワードを適応症マスターデータベース106において参照し、観点1の適応症ワードの「前立腺」と「癌」とが「尿道尿路上皮癌前立腺に転移の疑いあり」と部分一致するため、医療行為が医療行為に対して疑義がないと判定する。
【0078】
レセプトデータC_4において、コメント連結部111は、傷病名変換部103が変換した傷病名称である「前立腺出血」と、コメント抽出部110が抽出したコメントである「悪性の腫瘍診見あり」とを連結し、連結傷病名として「前立腺出血悪性の腫瘍診見あり」を生成する。
そして、適応症ワード比較部104Bは、医療行為コードに対応する適応症ワードを適応症マスターデータベース106において参照し、観点2の適応症ワードの「前立腺」と「悪性」と「腫」とが「前立腺出血悪性の腫瘍診見あり」と部分一致するため、医療行為が医療行為に対して疑義がないと判定する。
【0079】
上述したように本実施形態によれば、医療行為コードの示す医療行為に適応する傷病の傷病名称及び医師のコメントを連結して連結傷病名称を生成し、この連結傷病名称に対して部分一致させる適応症ワードを、傷病名コードに対応する傷病名称、保険診療ルールにおける傷病名称、及び文献に記載された傷病名称などから抽出している。このため、本実施形態によれば、医師のコメントも医療行為が傷病に適応しており疑義がないと判定するパラメータとして用いるため、未コード化傷病名称に加えて、医師の裁量による医療行為にも対応することが可能となり、連結傷病名称に対して適応症ワードが部分一致する確率が第1の実施形態に比較してより高くすることができ、従来に比較して正しいレセプトデータを疑義レセプトと判定する割合を低減させることができる。
【0080】
次に、
図14を用いて、本実施形態における適応症チェックシステム1Bを用いたレセプトデータにおける医療行為に対する疑義判定の処理の流れを説明する。
図14は、本実施形態における適応症チェックシステム1Bを用いたレセプトデータにおける医療行為に対する疑義判定の処理の動作例を示すフローチャートである。以下、
図6に示す第1の実施形態のフローチャートと異なる動作部分について説明する。ステップS101からステップS105までとステップS110との動作は第1の実施形態と同様であり、以下、第1の実施形態と異なるステップS106A、ステップS106B、ステップS106C、ステップS107B、ステップS108B及びステップS109Bの説明を行う。以下の説明において、コメント抽出部110が医療行為コメントを抽出し、コメント連結部111がこの医療行為コメントを
図13における医師コメントとして傷病名称に連結させ、連結傷病名称とする場合について説明する。しかしながら、コメント抽出部110が医療行為コメント、グループコメント及び全体コメントを抽出して医師コメントとして傷病名称に連結して連結傷病名称を生成する構成としても良い。
【0081】
ステップS106A:
コメント抽出部110は、処理データ記憶部107からレセプトデータを読み出す。そして、コメント抽出部110は、読み出したレセプトデータから、現在の疑義判定対象の医療行為コードに対応する医療行為コメントを抽出する。
【0082】
ステップS106B:
コメント連結部111は、傷病名変換部103から供給される傷病名称に対して、コメント抽出部110が抽出した医療行為コメントを、
図13で説明したように連結し、連結傷病名称を生成する。
【0083】
ステップS106C:
適応症ワード比較部104Bは、適応症マスターデータベース106において、医療行為コードに対応する適応症ワードを記載された順に読み出し、読み出した適応症ワードと、連結傷病名称との比較を順次行う。ここで、医療行為コードが腫瘍マーカ(PSA)を示す「160037510」であり、医療行為を行った傷病の傷病名称が「前立腺腫」であり、医療行為コメントが「遺伝性。癌に発展する可能性あり」の場合を、比較の例とする。この場合、連結傷病名称は、
図13で示したように「前立腺腫遺伝性。癌に発展する可能性あり」となる。
【0084】
ステップS107B:
適応症ワード比較部104Bは、適応症マスターデータベース106における適応症マスターデータベース106の医療行為コードに対応する適応症ワードのなかに、傷病名称と部分一致する適応症ワードが有るか否か、すなわち、医療行為コードの示す医療行為が傷病名称に適応しているか否かの判定を行う。
そして、適応症ワード比較部104Bは、医療行為コードが腫瘍マーカ(PSA)であり、連結傷病名称が「前立腺腫遺伝性。癌に発展する可能性あり」で有る場合、観点1における比較語である「前立腺」及び「癌」の各々が比較対象の「前立腺腫遺伝性。癌に発展する可能性あり」と部分一致していると判定する。一方、適応症ワード比較部104Bは、連結傷病名称が「前立腺経過観察を継続」で有る場合、適応症マスターデータベース106における医療行為コードに対応した適応症ワードのいずれとも部分一致しないと判定する。
【0085】
適応症ワード比較部104Bは、連結傷病名称と部分一致する適応症ワードが適応症マスターデータベース106に有った場合、処理をステップS108Bに対して出力する。
一方、適応症ワード比較部104Bは、連結傷病名称と部分一致する適応症ワードが適応症マスターデータベース106にない場合、処理をステップS109Bに対して出力する。
【0086】
ステップS108B:
適応症ワード比較部104は、連結傷病名称と部分一致する適応症ワードが適応症ワードに存在したことにより、傷病名コードの示す傷病に対する医療行為に疑義がないと判定し、処理をステップS104へ進める。
【0087】
ステップS109B:
適応症ワード比較部104は、連結傷病名称と部分一致する適応症ワードが適応症マスターデータベース106にない場合、傷病に対する医療行為に疑義があると判定し、処理をステップS104へ進める。
【0088】
また、本実施形態に対して、第2の実施形態における除外ワードを比較語として連結傷病名称と比較する構成、すなわち、
図5の構成の適応症マスターデータベース106を、
図8の構成の適応症マスターデータベース106Aに換え、除外ワード判定部109を加えた構成としても良い。この場合、除外ワード判定部109は、すでに第2の実施形態で説明したように、適応症ワード比較部104が適応症であると判定した連結傷病名称を比較対象とする。そして、除外ワード判定部109は、連結傷病名称と比較語である除外ワードとを比較し、連結症傷病名称に対して除外ワードが部分一致するか否かにより、傷病に対して医療行為が適応症であるか否かの判定を行う。
【0089】
<第4の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
図15は、本発明の第4の実施形態による適応症チェックシステム1Cの構成例を示す図である。
図15において、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付与している。以下、第1の実施形態と異なる構成及び動作のみを説明する。
第4の実施形態においては、第1の実施形態に対する新たな構成として、適応症ワード抽出部112が付加されている。
【0090】
適応症ワード抽出部112は、保険診療ルール、文献あるいは医療行為コードに対応する傷病名コードが記載された適応症マスターから、医療行為コードごとに適応できる傷病名症を抽出する。または、作業者が、保険診療ルール、文献あるいは医療行為コードに対応する傷病名コードが記載された適応症マスターから、医療行為コードごとに適応できる傷病名症を抽出する。ここで、医療行為コードに対応して傷病名コードが抽出された際には、傷病名変換部103が傷病名コードを傷病名称に変換する。
【0091】
そして、適応症ワード抽出部112は、医療行為コードごとに抽出した傷病名称(医療行為名)を形態素解析し、傷病名称を単語分割して、それぞれの単語を適応症ワードの候補である候補適応症ワードとして抽出する。適応症ワード抽出部112は、抽出された候補適応症ワードの単数あるいは複数個の組み合わせからなる
図5に示す観点の候補である観点候補を生成する。また、作業者は、すでに審査及び点検を行い疑義がなく正常であると判定したレセプトデータを試験レセプトデータとして用い、観点候補から適応症マスターデータベース106に設定する観点の適応症ワードを抽出する疑義判定のシミュレーションを、適応症チェックシステム1Cにおいて行う。
【0092】
適応症ワードの組み合わせからなる観点の抽出を行う疑義判定のシミュレーションモードにおいて、適応症ワード抽出部112は、上記試験レセプトデータが複数件(例えば、100件など)入力され、観点の抽出が指示されることにより、候補観点における候補適応症ワードにより、それぞれの試験レセプトデータごとに、すでに説明した疑義判定の処理を行う。ここで、適応症ワード抽出部112は、候補観点及び候補観点の組み合わせごとに、入力された複数の試験レセプトデータにおいて疑義なしと判定される試験レセプトデータの割合である正解率を求める。そして、適応症ワード抽出部112は、この正解率が最も高い候補観点の組み合わせを、適応症マスターデータベース106に登録する観点として選択する。
【0093】
そして、作業者は、適応症チェックシステム1Cが選択した観点による正常と判定した正解率を確認し、この正解率が希望していた割合より高ければ最終的に適応症マスターデータベース106に登録するか否かの判定を行う。ここで、上記正解率が希望する割合より低い場合、さらに多くの適応症ワードを新たな文献や、疑義レセプトと判定されたレセプトデータなどから抽出し、観点を構成する適応症ワードを変更して、再度、適応症チェックシステムによりシミュレーションを行う。
また、上述したシミュレーションにおいて、第2の実施形態における除外ワード、あるいは第3の実施形態による連結傷病名の各々の要素を含めて、正解率の算出を行う構成としても良い。
【0094】
上述した構成により、本実施形態によれば、適応症チェックシステム1Cにおける適応症ワード抽出部112が、保険診療ルール及び文献などにおける傷病名称から適応症ワードを求め、最も試験レセプトデータを疑義なしと判定する正解率の最も高い、適応症ワードから構成される観点の組み合わせを提示するため、作業者が自身で傷病名称から観点を求める処理を行う必要がなく、適応症ワードからなる観点を生成する工程における作業者の負担を低減することができる。
また、本実施形態によれば、作業者が行う場合に比較して、より多くの適応症ワードを抽出することができるため、作業者が選択する観点に比較して高い正解率の適応症ワードからなる観点を求めることができる。
【0095】
また、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態において、傷病名コードと傷病名称との関係を記憶させる傷病マスターデータ記憶部として傷病マスターデータベース105を用いる構成としたが、傷病マスターデータ記憶部をファイルシステムなどの記憶方法を用いた構成として実現しても良い。
同様に、医療行為コードと適応症ワードとの関係を記憶させる適応症ワードマスター記憶部として適応症マスターデータベース106及び適応症マスターデータベース106Aの各々を用いる構成としたが、適応症ワードマスター記憶部をファイルシステムなどの記憶方法を用いた構成として実現しても良い。
【0096】
また、
図1における適応症チェックシステム1、適応症チェックシステム1A、適応症チェックシステム1B及び適応症チェックシステム1Cの各々における適応症チェックの各々機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、医療行為コードの示す医療行為が、傷病名コードの示す傷病が適応しているかを検出して、レセプトデータが疑義であるか否かを判定する処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0097】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0098】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。