特許第6700917号(P6700917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6700917
(24)【登録日】2020年5月8日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】ハンガー構造および物干し用ハンガー
(51)【国際特許分類】
   D06F 57/00 20060101AFI20200518BHJP
   D06F 55/00 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
   D06F57/00 350
   D06F55/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-73563(P2016-73563)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-176771(P2017-176771A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】391049448
【氏名又は名称】天馬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100202670
【弁理士】
【氏名又は名称】豊田 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100086379
【弁理士】
【氏名又は名称】高柴 忠夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 秀介
(72)【発明者】
【氏名】石塚 渉
(72)【発明者】
【氏名】畑山 萌
【審査官】 山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−255995(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3008113(JP,U)
【文献】 実開昭58−040089(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/00
D06F 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる棒状体と、
前記棒状体が挿通される貫通孔を有し、前記軸方向に沿って前記棒状体に配置された複数のピンチと、
筒状に形成されて前記棒状体が挿通され、隣接する前記ピンチの間に配置されたスペーサと、
を備え、
前記ピンチは、
先端部から後端部に延びて形成され、前記先端部を前記後端部の下方に配置した状態で前記軸方向に沿って配置された一対の挟持部と、
前記一対の挟持部の前記先端部と前記後端部との間に設けられ、前記先端部を互いに近接離間するように回動可能に前記一対の挟持部を接続する接続部と、
前記一対の挟持部の前記先端部を互いに近接する方向に付勢する付勢部と、
を有し、
前記挟持部は、
前記後端部と前記接続部との間に設けられ、前記軸方向に前記挟持部を貫通するように形成された前記貫通孔と、
前記挟持部において前記スペーサと対向する面に前記スペーサに向かって前記軸方向に突出するように前記貫通孔の周縁に形成された当接部と、
を有し、
前記ピンチに外力が加えられていないときに、前記当接部において前記スペーサと当接する第一当接面と前記スペーサにおいて前記第一当接面と当接する第二当接面とのうち、一方は、前記軸方向に直交する第一平面を有し、他方は、前記第一平面に平行な第二平面と、前記第二平面から下方にかつ前記第一平面から離間する方向に延びる第三平面と、を有する
ハンガー構造。
【請求項2】
請求項1に記載のハンガー構造であって、
前記貫通孔は、前記軸方向に交差しかつ前記挟持部の前記先端部と前記後端部とを結ぶ第一軸の方向の寸法が、前記軸方向と前記第一軸とを含む平面に直交する第二軸の方向の寸法よりも大きい長円形に形成され、
前記第二軸の方向の前記貫通孔の寸法は、前記第二軸の方向の前記棒状体の寸法と略同一である
ハンガー構造。
【請求項3】
取付対象物に取り付け可能なフック部を有する中央フレームと、
平面視において前記中央フレームの延在方向の両端部に設けられ、前記延在方向に直交する横方向に延びる一対の側部フレームと、
を備え、
前記側部フレームは、
平面視において前記中央フレームの前記端部から前記横方向の両側にそれぞれ延び、前記フック部側に回動可能に前記中央フレームの前記端部に接続された一対の回動部と、
請求項1または2に記載のハンガー構造と、
を有し、
前記棒状体の前記軸方向の端部は、前記回動部において前記中央フレームの前記端部と接続された第一端部とは前記横方向に反対側の第二端部に連結され、
前記回動部の第二端部は、隣接する前記ピンチの前記当接部の前記第一当接面と当接可能な寸法を有し、
前記一対の回動部のうち、一方の前記第一端部から前記第二端部までの寸法は、他方の前記第一端部から前記第二端部までの寸法と異なっている
物干し用ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガー構造および物干し用ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯物を乾燥させるために使用される物干し用ハンガーとして、角形や丸形のフレームと、フレームに取り付けられた複数のピンチと、を備える物干し用ハンガーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−64862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の物干し用ハンガーでは、洗濯物を物干し用ハンガーから取り外す場合に、それぞれの洗濯物を挟んでいるピンチを個別に開かなければならないため、手間や時間が掛かっていた。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、ピンチから洗濯物を取り外す手間および時間を削減することが可能なハンガー構造および物干し用ハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、ハンガー構造は、軸方向に延びる棒状体と、前記棒状体が挿通される貫通孔を有し、前記軸方向に沿って前記棒状体に配置された複数のピンチと、筒状に形成されて前記棒状体が挿通され、隣接する前記ピンチの間に配置されたスペーサと、を備える。前記ピンチは、先端部から後端部に延びて形成され、前記先端部を前記後端部の下方に配置した状態で前記軸方向に沿って配置された一対の挟持部と、前記一対の挟持部の前記先端部と前記後端部との間に設けられ、前記先端部を互いに近接離間するように回動可能に前記一対の挟持部を接続する接続部と、前記一対の挟持部の前記先端部を互いに近接する方向に付勢する付勢部と、を有する。前記挟持部は、前記後端部と前記接続部との間に設けられ、前記軸方向に前記挟持部を貫通するように形成された前記貫通孔と、前記挟持部において前記スペーサと対向する面に前記スペーサに向かって前記軸方向に突出するように前記貫通孔の周縁に形成された当接部と、を有する。前記ピンチに外力が加えられていないときに、前記当接部において前記スペーサと当接する第一当接面と前記スペーサにおいて前記第一当接面と当接する第二当接面とのうち、一方は、前記軸方向に直交する第一平面を有し、他方は、前記第一平面に平行な第二平面と、前記第二平面から下方にかつ前記第一平面から離間する方向に延びる第三平面と、を有する。
【0007】
このようなハンガー構造によれば、隣接するピンチの間にスペーサが配置されているので、一つのピンチを軸方向に押すことでスペーサを介して軸方向に配置された複数のピンチを一度に開くことができる。したがって、ピンチから洗濯物を取り外す際の手間および時間を削減することができる。
【0008】
また、ピンチの当接部の第一当接面とスペーサの第二当接面とのうち、一方は、軸方向に直交する第一平面を有し、他方は、第一平面に平行な第二平面と、第二平面から下方にかつ第一平面から離間する方向に延びる第三平面と、を有するので、当接部とスペーサとが当接する際には、まず第一平面と第二平面とが当接し、続いてピンチの挟持部が回動することにより第一平面と第三平面とが当接する。第一平面および第二平面は軸方向に直交しており互いに平行な平面であるので、軸方向に押された場合にピンチがスペーサに対して上方などに相対的に移動することを防止でき、ピンチとスペーサとの間でより確実に押圧力を伝達することができる。したがって、複数のピンチをより効率的に開くことができる。
【0009】
上記のハンガー構造において、前記貫通孔は、前記軸方向に交差しかつ前記挟持部の前記先端部と前記後端部とを結ぶ第一軸の方向の寸法が、前記軸方向と前記第一軸とを含む平面に直交する第二軸の方向の寸法よりも大きい長円形に形成されていてもよい。前記第二軸の方向の前記貫通孔の寸法は、前記第二軸の方向の前記棒状体の寸法と略同一であってもよい。
【0010】
このようなハンガー構造によれば、第二軸の方向の貫通孔の寸法が、第二軸の方向の棒状体の寸法と略同一であるので、ピンチを開く際に、ピンチが棒状体に対して第二軸の方向に移動することを防止できる。よって、第二軸の方向におけるピンチのがたつきがなく、ピンチをより効率的に開くことができる。
【0011】
本発明の第二の態様によれば、物干し用ハンガーは、取付対象物に取り付け可能なフック部を有する中央フレームと、平面視において前記中央フレームの延在方向の両端部に設けられ、前記延在方向に直交する横方向に延びる一対の側部フレームと、を備える。前記側部フレームは、平面視において前記中央フレームの前記端部から前記横方向の両側にそれぞれ延び、前記フック部側に回動可能に前記中央フレームの前記端部に接続された一対の回動部と、上記のハンガー構造と、を有する。前記棒状体の前記軸方向の端部は、前記回動部において前記中央フレームの前記端部と接続された第一端部とは前記横方向に反対側の第二端部に連結されている。前記回動部の第二端部は、隣接する前記ピンチの前記当接部の前記第一当接面と当接可能な寸法を有する。前記一対の回動部のうち、一方の前記第一端部から前記第二端部までの寸法は、他方の前記第一端部から前記第二端部までの寸法と異なっている。
【0012】
このような物干し用ハンガーによれば、一対の回動部のうち、一方の第一端部から第二端部までの寸法は、他方の第一端部から第二端部までの寸法と異なっているので、一対の回動部をフック部側に回動させて物干し用ハンガーを折り畳んだ状態では、一方の回動部の第二端部に当接しているピンチの位置は、他方の回動部の第二端部に当接しているピンチの位置に対してずれている。よって、物干し用ハンガーを折り畳む際にこれらのピンチが互いに干渉しにくくなるので、物干し用ハンガーをよりスムーズに折り畳むことができる。
【発明の効果】
【0013】
上記のハンガー構造および物干し用ハンガーによれば、ピンチから洗濯物を取り外す手間および時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態に係るハンガー構造を示す図である。
図2図1のII−II線における断面図である。
図3】本発明の第二実施形態に係る物干し用ハンガーの平面図である。
図4】前記物干し用ハンガーの正面図である。
図5】前記物干し用ハンガーの側面図である。
図6】前記物干し用ハンガーの折り畳まれた状態における平面図である。
図7】前記物干し用ハンガーの折り畳まれた状態における正面図である。
図8】前記物干し用ハンガーの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るハンガー構造1を示す図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。図1および図2に示すように、ハンガー構造1は、棒状体10と、ピンチ20と、スペーサ30と、を備える。
【0017】
棒状体10は、軸方向Daに延びて設けられている。本実施形態では、棒状体10は、軸方向Daに沿う軸O1を中心軸とした円筒状に形成されている。棒状体10は、例えばアルミニウムやステンレス鋼などの金属または硬質の樹脂で形成されている。
【0018】
ピンチ20は、棒状体10が挿通される貫通孔24を有し、軸方向Daに沿って棒状体10に複数配置されている。ピンチ20は、洗濯物などを挟んで吊るすために使用される。
【0019】
各ピンチ20は、一対の挟持部21、21と、接続部22と、付勢部23と、を有する。一対の挟持部21、21は、先端部21fから後端部21rに延びて形成され、先端部21fを後端部21rの下方に配置した状態で軸方向Daに沿って配置されている。接続部22は、一対の挟持部21、21の先端部21f、21fと後端部21r、21rとの間に設けられ、先端部21f、21fを互いに近接離間するように回動可能に一対の挟持部21、21を接続している。付勢部23は、一対の挟持部21、21の先端部21f、21fを互いに近接する方向に付勢している。
【0020】
本実施形態では、接続部22は、一対の挟持部21、21が軸O1と各挟持部21の延在方向とを含む平面に直交する支点軸O2を中心として互いに回動可能であるように、一対の挟持部21、21を接続している。また、付勢部23は、弾性体であるばねにより構成されている。付勢部23は、例えば金属ワイヤを折り曲げて形成されている。ピンチ20に外力が加えられていない状態では、付勢部23の作用により一対の挟持部21、21の先端部21f、21fは互いに当接しているとともに、一対の挟持部21、21の後端部21r、21rは互いに離間している。また、一対の挟持部21、21の後端部側に互いに近接する方向に力を加えることで、付勢部23の付勢力に対抗して先端部21f、21fを互いに離間させることができる。これにより、ピンチ20が開く。
【0021】
各挟持部21は、後端部21rと接続部22との間に設けられ、軸方向Daに挟持部21を貫通するように形成された貫通孔24を有する。本実施形態では、貫通孔24は、長円形に形成されている。具体的には、軸方向Daに交差しかつ挟持部21の先端部21fと後端部21rとを結ぶ軸を第一軸O3とし、軸方向Daと第一軸O3とを含む平面に直交する軸を第二軸O4とした場合に、第一軸O3の方向の貫通孔24の寸法は、第二軸O4の方向の貫通孔24の寸法よりも大きい。
【0022】
一対の挟持部21、21の貫通孔24、24には、棒状体10が挿通されている。棒状体10がピンチ20を開く際に一対の挟持部21、21の回動動作を妨げないように、第一軸O3の方向の貫通孔24の寸法は、棒状体10の外径よりも大きく設定されている。また、第二軸O4の方向の貫通孔24の寸法は、第二軸O4の方向の棒状体10の寸法と略同一(第二軸O4の方向の貫通孔24の寸法が、第二軸O4の方向の棒状体10の寸法よりも若干大きい場合を含む。)である。本実施形態では、棒状体10は円形の外形を有するので、第二軸O4の方向の貫通孔24の寸法は、棒状体10の外径と略同一である。これにより、ピンチ20を開く際に、ピンチ20が棒状体10に対して第二軸O4の方向に移動することを防止できる。
【0023】
スペーサ30は、筒状に形成されて棒状体10が挿通され、隣接するピンチ20の間に配置されている。本実施形態では、スペーサ30は、棒状体10の形状に合わせて、円筒状に形成されている。スペーサ30の内径は棒状体10の外径よりも若干大きく設定されているので、スペーサ30は棒状体10に対して軸方向Daに移動可能である。このため、スペーサ30は、隣接するピンチ20に軸方向Daに沿って当接可能である。スペーサ30の軸方向Daの寸法は、隣接するピンチ20を互いに干渉しないように離間させることができる程度の寸法に設定されている。
【0024】
スペーサ30の軸方向Daの両端部には、隣接するピンチ20と当接するスペーサ側当接面(第二当接面、第一平面)31が形成されている。本実施形態では、スペーサ側当接面31は、軸方向Daに直交する平面である。
【0025】
ピンチ20の各挟持部21は、スペーサ30と当接する当接部25を有する。当接部25は、挟持部21においてスペーサ30と対向する面21sにスペーサ30に向かって軸方向Daに突出するように貫通孔24の周縁に形成されている。
【0026】
当接部25には、スペーサ30と当接するピンチ側当接面(第一当接面)26が形成されている。ピンチ20とスペーサ30とが互いに当接する場合には、ピンチ側当接面26とスペーサ側当接面31とが互いに当接する。本実施形態では、ピンチ側当接面26は、上部当接面(第二平面)26Aと、下部当接面(第三平面)26Bと、を有する。上部当接面26Aは、ピンチ20が自然な状態(ピンチ20に外力が加えられていない状態)であるときに、スペーサ側当接面31に平行な平面である。下部当接面26Bは、ピンチ20が自然な状態であるときに、上部当接面26Aから下方にかつスペーサ側当接面31から離間する方向に延びる平面である。
【0027】
ピンチ側当接面26において、下部当接面26Bは上部当接面26Aよりも面積が大きく設定されている。より詳細には、第一軸O3および第二軸O4を含む平面に射影した下部当接面26Bの面積は、第一軸O3および第二軸O4を含む平面に射影した上部当接面26Aの面積よりも大きくなっている。
【0028】
上述した構成により、スペーサ30をピンチ20に軸方向Daに沿って当接させて押圧することで、ピンチ20を開くことができる。ピンチ20の一方の当接部25が、ピンチ20の軸方向Daへの移動を規制するように棒状体10に設けられた規制部11の端面11sに当接した状態で他方の当接部25にスペーサ30を当接させた場合、スペーサ側当接面31は、ピンチ側当接面26のうちまず上部当接面26Aと当接する。この状態でスペーサ30をピンチ20の当接部25に押圧すると、軸方向Daに直交するスペーサ側当接面31と上部当接面26Aとは互いに平行であるため、ピンチ20がスペーサ30に対してずれることなく、スペーサ30の軸方向の押圧力が適切に当接部25に伝達される。これにより、一対の挟持部21、21は、支点軸O2を中心として先端部21f、21fが互いに離間するとともに、後端部21r、21rが互いに近接するように回動する。
【0029】
一対の挟持部21、21が所定量回動すると、スペーサ側当接面31はピンチ側当接面26の下部当接面26Bと当接する。この状態でスペーサ30をピンチ20の当接部25にさらに押圧することで、一対の挟持部21、21を、支点軸O2を中心として後端部21r、21rが互いに当接するまで回動させることができる。これにより、ピンチ20が完全に開く。
【0030】
また、図1に示すように、ピンチ20a、20b、20cがそれぞれの間にスペーサ30a、30bを介在させて棒状体10に配置されている場合、ピンチ20cにおいてスペーサ30bとは反対側の挟持部21の後端部21rを規制部11に向かって押圧すると、この押圧力は、スペーサ30bを介してピンチ20bに伝わり、さらにスペーサ30aを介してピンチ20aに伝わる。このため、ピンチ20cの後端部21rを押圧するだけで、ピンチ20c、ピンチ20b、およびピンチ20aの各々を一度に開くことができる。
【0031】
ピンチ20は、上述した付勢部23を除いて、例えば樹脂で形成されている。同様に、スペーサ30は、例えば樹脂で形成されている。
【0032】
本実施形態に係るハンガー構造1は、軸方向Daに延びる棒状体10と、棒状体10が挿通される貫通孔24を有し、軸方向Daに沿って棒状体10に配置された複数のピンチ20と、筒状に形成されて棒状体10が挿通され、隣接するピンチ20の間に配置されたスペーサ30と、を備える。ピンチ20は、先端部21f、21fから後端部21r、21rに延びて形成され、先端部21f、21fを後端部21r、21rの下方に配置した状態で軸方向Daに沿って配置された一対の挟持部21、21と、一対の挟持部21、21の先端部21f、21fと後端部21r、21rとの間に設けられ、先端部21f、21fを互いに近接離間するように回動可能に一対の挟持部21、21を接続する接続部22と、一対の挟持部21、21の先端部21f、21fを互いに近接する方向に付勢する付勢部23と、を有する。挟持部21は、後端部21rと接続部22との間に設けられ、軸方向Daに挟持部21を貫通するように形成された貫通孔24と、挟持部21においてスペーサ30と対向する面21sにスペーサ30に向かって軸方向Daに突出するように貫通孔24の周縁に形成された当接部25と、を有する。ピンチ20が自然な状態であるときに、当接部25においてスペーサ30と当接するピンチ側当接面26とスペーサ30においてピンチ側当接面26と当接するスペーサ側当接面31とのうち、スペーサ側当接面31は、軸方向Daに直交する平面を有し、ピンチ側当接面26は、スペーサ側当接面31に平行な上部当接面26Aと、上部当接面26Aから下方にかつスペーサ側当接面31から離間する方向に延びる下部当接面26Bと、を有する。
【0033】
上述した構成によれば、隣接するピンチ20の間にスペーサ30が配置されているので、一つのピンチ20を軸方向Daに押すことでスペーサ30を介して軸方向Daに配置された複数のピンチ20を一度に開くことができる。したがって、ピンチ20から洗濯物を取り外す際の手間および時間を削減することができる。
【0034】
また、ピンチ20の当接部25のピンチ側当接面26とスペーサ30のスペーサ側当接面31とのうち、スペーサ側当接面31は、軸方向Daに直交する平面を有し、ピンチ側当接面26は、スペーサ側当接面31に平行な上部当接面26Aと、上部当接面26Aから下方にかつスペーサ側当接面31から離間する方向に延びる下部当接面26Bと、を有するので、当接部25とスペーサ30とが当接する際には、まずスペーサ側当接面31と上部当接面26Aとが当接し、続いてピンチ20の挟持部21が回動することによりスペーサ側当接面31と下部当接面26Bとが当接する。スペーサ側当接面31および上部当接面26Aは軸方向Daに直交しており互いに平行な平面であるので、軸方向Daに押された場合にピンチ20がスペーサ30に対して上方などに相対的に移動することを防止でき、ピンチ20とスペーサ30との間でより確実に押圧力を伝達することができる。したがって、複数のピンチ20をより効率的に開くことができる。
【0035】
加えて、ピンチ20では、挟持部21の後端部21rと接続部22との間に設けられた貫通孔24に棒状体10が挿通されているので、後端部21rは棒状体10の上方に配置されている。このため、使用者は、ピンチ20を開く際にピンチ20の後端部21r、21rを上から容易につまむことができるので、作業性を向上させることができる。
【0036】
さらに、隣接するピンチ20の間にはスペーサ30が配置されているので、隣接するピンチ20の間隔を広げることができる。したがって、ピンチ20の間隔に応じて、間隔をあけて洗濯物を干すことができるので、洗濯物を乾きやすくすることができる。
【0037】
また、貫通孔24は、軸方向Daに交差しかつ挟持部21の先端部21fと後端部21rとを結ぶ第一軸O3の方向の寸法が、軸方向Daと第一軸O3とを含む平面に直交する第二軸O4の方向の寸法よりも大きい長円形に形成されている。第二軸O4の方向の貫通孔24の寸法は、第二軸O4の方向の棒状体10の寸法と略同一である。
【0038】
上述した構成によれば、第二軸O4の方向の貫通孔24の寸法が、第二軸O4の方向の棒状体10の寸法と略同一であるので、ピンチ20を開く際に、ピンチ20が棒状体10に対して第二軸O4の方向に移動することを防止できる。よって、第二軸O4の方向におけるピンチ20のがたつきがなく、ピンチ20をより効率的に開くことができる。
【0039】
なお、本実施形態において、ピンチ20の当接部25のピンチ側当接面26とスペーサ30のスペーサ側当接面31とのうち、スペーサ側当接面31は、軸方向Daに直交する平面を有し、ピンチ側当接面26は、スペーサ側当接面31に平行な上部当接面26Aと、上部当接面26Aから下方にかつスペーサ側当接面31から離間する方向に延びる下部当接面26Bと、を有していたが、これに限らない。ピンチ側当接面26は、軸方向Daに垂直な第一平面を有し、スペーサ側当接面31は、第一平面に平行な第二平面と、第二平面から下方にかつ第一平面から離間する方向に延びる第三平面と、を有していてもよい。
【0040】
後者の構成の場合、スペーサ30が棒状体10に対して軸方向Da回りに回転して、ピンチ側当接面26とスペーサ側当接面31とが適切に当接しない可能性が考えられる。しかし、この場合には、例えば、棒状体10を角筒状に形成するとともに、スペーサ30を角筒状に形成することで、スペーサ30が棒状体10に対して軸方向Da回りに回転することを防止することができる。
【0041】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について、図3から図7を参照して説明する。
【0042】
図3は、本実施形態に係る物干し用ハンガー40の平面図である。図4は、物干し用ハンガー40の正面図である。図5は、物干し用ハンガー40の側面図である。図6は、物干し用ハンガー40の折り畳まれた状態における平面図である。図7は、物干し用ハンガー40の折り畳まれた状態における正面図である。
【0043】
本実施形態に係る物干し用ハンガー40は、第一実施形態に係るハンガー構造1を有して構成されている。なお、第一実施形態に係るハンガー構造1と同様の構成を有する部分については、その詳細な説明を省略する。
【0044】
図3から図5に示すように、物干し用ハンガー40は、中央フレーム50と、一対の側部フレーム60、60と、を備える。
【0045】
中央フレーム50は、物干し竿などの取付対象物に取り付け可能なフック部52を有する。本実施形態では、中央フレーム50は、平面視において縦方向Dvに延びている。よって、平面視における中央フレーム50の延在方向は、縦方向Dvである。また、中央フレーム50は、側面視において上方に凸となる円弧状に形成されている。フック部52は、中央フレーム50の縦方向Dvの中間部50mに回転可能に取り付けられている。フック部52は、第一フック部52Aと、第一フック部52Aの上方に設けられた第二フック部52Bと、を有する。第二フック部52Bには、第二フック部52Bとともに取付対象物を挟み込んで保持する保持部材52Cが取り付けられている。
【0046】
一対の側部フレーム60、60は、平面視において中央フレーム50の縦方向(延在方向)Dvの両端部50a、50bにそれぞれ設けられ、縦方向Dvに直交する横方向Dhに延びている。
【0047】
一対の側部フレーム60、60の横方向Dhの両端部60a、60bには、一対の側部フレーム60、60を縦方向Dvに互いに連結する一対の端部フレーム70、70が設けられている。また、一対の端部フレーム70、70の内側には、一対の側部フレーム60、60を縦方向Dvに互いに連結する一対の中間フレーム80、80が設けられている。隣接する端部フレーム70と中間フレーム80とは、2つの補助フレーム90により横方向Dhに互いに連結されている。
【0048】
各側部フレーム60は、一対の回動部62、62と、第一実施形態に係るハンガー構造1と、を有する。すなわち、側部フレーム60は、棒状体10と、ピンチ20と、スペーサ30と、を有している。
【0049】
一対の回動部62、62は、平面視において中央フレーム50の端部50a(または50b)から横方向Dhの両側にそれぞれ延びている。また、一対の回動部62、62は、フック部52側に回動可能に中央フレーム50の端部50a(または50b)にそれぞれ接続されている。各回動部62の第一端部62aには、中央フレーム50の端部50a(または50b)が接続されている。各回動部62において第一端部62aとは横方向Dhに反対側の第二端部62bには、棒状体10の軸方向Daの端部が連結されている。このような構成により、第二端部62b、62bが互いに近接するように一対の回動部62、62をフック部52側に回動させることで、図6および図7に示すように、物干し用ハンガー40を折り畳むことができる。
【0050】
回動部62の第二端部62bは、隣接するピンチ20の当接部25のピンチ側当接面26と当接可能な寸法を有する。また、一対の回動部62、62のうち、一方の第一端部62aから第二端部62bまでの寸法L1は、他方の第一端部62aから第二端部62bまでの寸法L2と異なっている。このため、図7に示すように、物干し用ハンガー40を折り畳んだ状態では、一対の回動部62、62のうち、一方の第二端部62bに当接しているピンチ20の位置と、他方の第二端部62bに当接しているピンチ20の位置とがずれている。したがって、物干し用ハンガー40を折り畳む際にこれらのピンチ20が干渉しにくくなるので、物干し用ハンガー40をよりスムーズに折り畳むことができる。なお、一対の回動部62、62における第一端部62aから第二端部62bまでの寸法L1、L2は、ピンチ20の形状に応じて適宜設定することができる。
【0051】
棒状体10は、回動部62の第二端部62bと端部フレーム70において縦方向Dvの両端部に設けられた接続部71とを連結している。棒状体10には、第一実施形態と同様に、複数のピンチ20およびスペーサ30が交互に配置されている。なお、本実施形態では、回動部62に最も近いピンチ20とこのピンチ20に隣接するピンチ20との間に、中間フレーム80と側部フレーム60とを接続する接続部81が設けられている。よって、側部フレーム60では、接続部71と接続部81との間に配置された棒状体10、ピンチ20、およびスペーサ30により上述のハンガー構造1が構成されている。
【0052】
各端部フレーム70は、平面視において縦方向Dvに延びている。端部フレーム70には、複数のピンチ20が設けられている。端部フレーム70の縦方向Dvの両端部には、端部フレーム70と側部フレーム60とを接続する接続部71が設けられている。また、端部フレーム70において縦方向Dvの中間部70mには、補助フック部74が回転可能に設けられている。フック部52に加えて補助フック部74を取付対象物に取り付けることで、物干し用ハンガー40の全体のバランスをより安定させることができる。中間部70mと各接続部71との間には、端部フレーム70と補助フレーム90とを接続する接続部72がそれぞれ設けられている。
【0053】
各中間フレーム80は、平面視において縦方向Dvに延びている。また、中間フレーム80は、第一実施形態に係るハンガー構造1を有する。中間フレーム80の縦方向Dvの両端部には、中間フレーム80と側部フレーム60とを接続する接続部81が設けられている。中間フレーム80において各接続部72に対応する位置には、中間フレーム80と補助フレーム90とを接続する接続部82がそれぞれ設けられている。2つの接続部82、82の間に配置された棒状体10、ピンチ20、およびスペーサ30により上述のハンガー構造1が構成されている。
【0054】
各補助フレーム90は、平面視において横方向Dhに延びている。また、補助フレーム90は、第一実施形態に係るハンガー構造1を有する。補助フレーム90の横方向Dhの両端部は、接続部72および接続部82にそれぞれ接続されている。接続部72および接続部82の間に配置された棒状体10、ピンチ20、およびスペーサ30により上述のハンガー構造1が構成されている。
【0055】
本実施形態に係る物干し用ハンガー40は、取付対象物に取り付け可能なフック部52を有する中央フレーム50と、平面視において中央フレーム50の縦方向Dvの両端部50a、50bに設けられ、縦方向Dvに直交する横方向Dhに延びる一対の側部フレーム60、60と、を備える。側部フレーム60は、平面視において中央フレーム50の端部50a(または50b)から横方向Dhの両側にそれぞれ延び、フック部52側に回動可能に中央フレーム50の端部50a(または50b)に接続された一対の回動部62、62と、ハンガー構造1と、を有する。棒状体10の軸方向Daの端部は、回動部62において中央フレーム50の端部50a(または50b)と接続された第一端部62aとは横方向Dhに反対側の第二端部62bに連結されている。回動部62の第二端部62bは、隣接するピンチ20の当接部25のピンチ側当接面26と当接可能な寸法を有する。一対の回動部62、62のうち、一方の第一端部62aから第二端部62bまでの寸法L1は、他方の第一端部62aから第二端部62bまでの寸法L2と異なっている。
【0056】
このように構成された物干し用ハンガー40においても、第一実施形態に係るハンガー構造1と同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、上述した構成によれば、一対の回動部62、62のうち、一方の第一端部62aから第二端部62bまでの寸法L1は、他方の第一端部62aから第二端部62bまでの寸法L2と異なっているので、一対の回動部62、62をフック部52側に回動させて物干し用ハンガー40を折り畳んだ状態では、一方の回動部62の第二端部62bに当接しているピンチ20の位置は、他方の回動部62の第二端部62bに当接しているピンチ20の位置に対してずれている。よって、物干し用ハンガー40を折り畳む際にこれらのピンチ20が互いに干渉しにくくなるので、物干し用ハンガー40をよりスムーズに折り畳むことができる。
【0058】
加えて、側部フレーム60は上述したハンガー構造1を有しているので、側部フレーム60では、ピンチ20は、貫通孔24に棒状体10が挿通された状態で棒状体10に配置されている。よって、ピンチが吊り部材を介して棒状体に吊り下げられている従来の構造では、物干し用ハンガーを折り畳む際にピンチ同士が絡まりやすかったが、上述した構成では、棒状体10が貫通孔24を挿通していることによってピンチ20の動きが従来の構造に比べて制限されているので、物干し用ハンガー40を折り畳む際にピンチ20同士が絡むことがない。
【0059】
(変形例)
図8は、本実施形態に係る物干し用ハンガーの変形例を示す図である。本変形例の物干し用ハンガー41は、一対の中間フレーム80、80が平面視において中央フレーム50に対して非対称に配置されている点で、上述した物干し用ハンガー40と異なっている。
【0060】
図8に示す例では、物干し用ハンガー41は、一対の中間フレーム80A、80Bのうち、平面視において左側に配置された中間フレーム80Aと中央フレーム50との横方向Dhの間隔が、平面視において右側に配置された中間フレーム80Bと中央フレーム50との横方向Dhの間隔よりも大きくなるように構成されている。なお、図8では、中間フレーム80Aと中央フレーム50との横方向Dhの間隔は、物干し用ハンガー40の場合よりも大きく、中間フレーム80Bと中央フレーム50との横方向Dhの間隔は、物干し用ハンガー40の場合と同様である。また、中間フレーム80Aの位置が物干し用ハンガー40の中間フレーム80の位置よりも横方向Dhの外側に移動したことに伴って、端部フレーム70と中間フレーム80Aとを連結する補助フレーム90は、物干し用ハンガー40の場合に比べて横方向Dhの寸法が小さく構成されている。
【0061】
このような構成によれば、物干し用ハンガー41を折り畳んだ状態では、中間フレーム80Aの接続部81の位置は、中間フレーム80Bの接続部81の位置に対してずれている。これに伴って、中間フレーム80A側の接続部81と接続部71との間に配置されたピンチ20の位置は、中間フレーム80B側の接続部81と接続部71との間に配置されたピンチ20の位置に対してそれぞれずれている。したがって、物干し用ハンガー41を折り畳む際にこれら全てのピンチ20が互いに干渉しにくくなるので、物干し用ハンガー41をより容易に折り畳むことができる。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0063】
例えば、略三角形状のハンガーに上述したハンガー構造1を設けてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 ハンガー構造
10 棒状体
11 規制部
20、20a、20b、20c ピンチ
21 挟持部
21s 面
22 接続部
23 付勢部
24 貫通孔
25 当接部
26 ピンチ側当接面(第一当接面)
26A 上部当接面(第二平面)
26B 下部当接面(第三平面)
30、30a、30b スペーサ
31 スペーサ側当接面(第二当接面、第一平面)
40、41 物干し用ハンガー
50 中央フレーム
52 フック部
60 側部フレーム
62 回動部
62a 第一端部
62b 第二端部
70 端部フレーム
80、80A、80B 中間フレーム
90 補助フレーム
Da 軸方向
Dh 横方向
Dv 縦方向
L1、L2 寸法
O1 軸
O2 支点軸
O3 第一軸
O4 第二軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8