(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6700974
(24)【登録日】2020年5月8日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】電気式膨張弁
(51)【国際特許分類】
F25B 41/06 20060101AFI20200518BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20200518BHJP
F16K 31/68 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
F25B41/06 S
F25B41/06 T
F25B41/06 U
B60H1/32 613B
F16K31/68 S
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-104209(P2016-104209)
(22)【出願日】2016年5月25日
(65)【公開番号】特開2017-211137(P2017-211137A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100182176
【弁理士】
【氏名又は名称】武村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】海沼 広司
(72)【発明者】
【氏名】早坂 雅史
(72)【発明者】
【氏名】小島 康志
(72)【発明者】
【氏名】天池 将太郎
【審査官】
五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−155068(JP,A)
【文献】
特開平10−299934(JP,A)
【文献】
特開2001−027457(JP,A)
【文献】
特開2005−315550(JP,A)
【文献】
特開2013−145089(JP,A)
【文献】
特開2013−257130(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0031681(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/06
B60H 1/32
F16K 31/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒流入口、冷媒流出口、及び前記冷媒流入口と前記冷媒流出口との間に設けられた弁口付き弁座を有する弁室が設けられた弁本体と、前記弁口を開閉するための弁体と、前記弁体を前記弁口の開閉方向に移動させるための弁体駆動源と、を備えるカーエアコン用の電気式膨張弁であって、
前記弁本体には、導管接続用流入口と導管接続用流出口とを有する貫通路が設けられるとともに、前記貫通路を流れる冷媒の圧力を検出する圧力センサが前記弁本体に一体に設けられ、
前記弁体駆動源が、前記弁本体に対して軸方向を横倒しにした状態で取り付けられ、前記弁体駆動源と前記圧力センサとが、前記弁本体における同じ側面に取り付けられ、前記弁座が前記冷媒流入口より上側に配在されていることを特徴とする電気式膨張弁。
【請求項2】
前記側面が平面で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気式膨張弁。
【請求項3】
前記側面に、前記弁体駆動源を取り付けるための装着穴と前記圧力センサを取り付けるための嵌挿穴とが形成されるとともに、前記装着穴と前記嵌挿穴とが同じ向きに開口せしめられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気式膨張弁。
【請求項4】
前記圧力センサが前記弁体駆動源の上側に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気式膨張弁。
【請求項5】
前記冷媒流入口と前記導管接続用流出口とが、前記弁本体における同じ側面に開口せしめられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気式膨張弁。
【請求項6】
前記冷媒流出口と前記導管接続用流入口とが、前記弁本体における同じ側面に開口せしめられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気式膨張弁。
【請求項7】
前記弁体駆動源として、ソレノイドを主要部とする電磁式アクチュエータが使用されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気式膨張弁。
【請求項8】
前記弁体駆動源として、電動モータを主要部とする電動式アクチュエータが使用されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気式膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーエアコンの冷凍サイクルに使用される膨張弁に係り、特に、既存の設置スペースや配管系統等に変更を必要とせずに圧力センサを一体に取り付けた電気式膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
カーエアコンの冷凍サイクルとして、従来、
図5に示される如くのものが実用に供されている。すなわち、図示例の冷凍サイクル100は、圧縮機101、凝縮器102、蒸発器103、内部熱交換器104、及び、膨張弁110を備え、内部熱交換器104において、凝縮器102から膨張弁110に導かれる高温高圧の冷媒(液相)と蒸発器103から圧縮機101の吸入側に導かれる低温低圧の冷媒(気相)との間で熱交換を行うようにしたものである。
【0003】
また、前記膨張弁110では、冷媒流出口から前記蒸発器103へ導出される冷媒の流量(圧力降下度及び温度降下度)を、前記内部熱交換器104で熱交換を行う前の低温冷媒の温度及び圧力に応じて調整するようになっている。
【0004】
また、
図5に示された内部熱交換器104を備えない冷凍サイクルにおいては、膨張弁110には凝縮器102(あるいは凝縮器の冷媒出口側に設けられたレシーバ)からの冷媒が導入され、膨張弁110から流出する冷媒は圧縮機101の吸入口へ導入される。
【0005】
かかる冷凍サイクル100に使用される膨張弁としては、冷媒流入口と冷媒流出口との間に設けられた弁口を開閉する弁体を前記弁口の開閉方向に昇降させる弁体駆動源として、電動モータを主要部とする電動式アクチュエータやソレノイドを主要部とする電磁式アクチュエータを使用した電気式(電子制御式)の膨張弁(以下、電気式膨張弁と称する)を採用することが既に提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0006】
このような電気式膨張弁の制御は、例えば、前記蒸発器103から導出された低温冷媒の温度、圧力等を温度センサ、圧力センサ等で検出し、マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニットにおいて、その検出された温度、圧力等の情報に基づいて当該電気式膨張弁の開度を調節するための制御信号を生成して、前記電動モータやソレノイドに供給するようにされ、これによって、前記弁体が昇降して弁開度が調節され、これによって冷媒流出口から前記蒸発器103へ導出される冷媒流量が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−145089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記した如くに電気式膨張弁を採用する場合、蒸発器から導出された低温冷媒の圧力を圧力センサで検出する必要があるが、上記特許文献1に所載の電気式膨張弁では、前記弁体駆動源が弁本体の下部前面側に斜め上向きに配置されているので、前記弁本体において圧力センサ取付のためのスペース(取付面)を確保することができない。また、カーエアコンにおいては、膨張弁を設置する部位(スペース)や配管系統は予め定められているので、前記弁本体をこれ以上大きくすることが難しいという事情もある。そのため、前記圧力センサを別途配置するための設置スペースが必要となるという問題や、組付工程が煩雑化してコストアップに繋がるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、省スペース化、組付性向上、コスト削減等を図ることのできるカーエアコン用の電気式膨張弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決すべく、本発明に係る電気式駆動弁は、冷媒流入口、冷媒流出口、及び前記冷媒流入口と前記冷媒流出口との間に設けられた弁口付き弁座を有する弁室が設けられた弁本体と、前記弁口を開閉するための弁体と、前記弁体を前記弁口の開閉方向に移動させるための弁体駆動源と、を備えるカーエアコン用のもので、前記弁本体には、導管接続用流入口と導管接続用流出口とを有する貫通路が設けられるとともに、前記貫通路を流れる冷媒の圧力を検出する圧力センサが前記弁本体に一体に設けられ
、前記弁体駆動源が、前記弁本体に対して軸方向を横倒しにした状態で取り付けられ、前記弁体駆動源と前記圧力センサとが、前記弁本体における同じ側面に取り付けられ、前記弁座が前記冷媒流入口より上側に配在されていることを特徴としている。
【0012】
更に好ましい態様では、前記側面が平面で構成される。
【0013】
更なる好ましい態様では、前記側面に、前記弁体駆動源を取り付けるための装着穴と前記圧力センサを取り付けるための嵌挿穴とが形成されるとともに、前記装着穴と前記嵌挿穴とが同じ向きに開口せしめられる。
【0014】
更なる好ましい態様では、前記圧力センサが前記弁体駆動源の上側に取り付けられる。
【0016】
他の好ましい態様では、前記冷媒流入口と前記導管接続用流出口とが、前記弁本体における同じ側面に開口せしめられる。
【0017】
他の好ましい態様では、前記冷媒流出口と前記導管接続用流入口とが、前記弁本体における同じ側面に開口せしめられている。
【0018】
前記弁体駆動源として、好ましくは、ソレノイドを主要部とする電磁式アクチュエータが使用される。
【0019】
前記弁体駆動源として、好ましくは、電動モータを主要部とする電動式アクチュエータが使用される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、弁本体に、導管接続用流入口と導管接続用流出口とを有する貫通路が設けられ、その貫通路を流れる冷媒の圧力を検出する圧力センサが当該弁本体に一体に設けられることにより、圧力センサを別途配置するための設置スペースが不要となるとともに、組付工程が簡素化されるので、省スペース化、組付性向上、コスト削減等を図ることができる。
【0021】
また、弁体駆動源と圧力センサとが、弁本体における同じ側面に取り付けられることにより、弁本体の加工性、組付性(取付作業性)、メンテナンス性等を更に向上できるといった効果もある。
【0022】
また、弁室に設けられた弁座が冷媒流入口より上側に配在されることにより、冷媒中に混入されているオイルが弁体駆動源(のキャン内等)に溜まるようなこともないので、動作安定性、耐久性、信頼性等を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る電気式膨張弁の一実施形態を示す左下斜視図。
【
図5】カーエアコンの膨張弁が使用されている冷凍サイクルを示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る電気式膨張弁の一実施形態を示す左下斜視図、
図2は、その左側面図、
図3は、その右側面図、
図4は、
図1のX−X矢視線に従う部分破断断面図である。
【0026】
図示実施形態の電気式膨張弁1は、カーエアコンの冷凍サイクルで使用するものであり、基本的に、弁本体10と、弁体駆動源としてのソレノイド50と、蒸発器103から導出された低温冷媒の圧力を検出するための圧力センサ40とを有している。
【0027】
圧力センサ40は、その構造自体はよく知られているので、内部の図示は省略されている。この圧力センサ40は、中央に冷媒(弁本体10の貫通路30を流れる低温冷媒の圧力)の圧力を導入するための圧力導入孔48(
図4参照)が設けられた段付きの固定部材49を介して、弁本体10(の前面11に設けられた嵌挿穴19)に取付固定されている(後で詳述)。
【0028】
電磁弁を構成するソレノイド50は、その構造自体はよく知られているもので、
図4を参照すればよく分かるように、基端側(前端側)外周に電磁コイル51が外嵌固定された円筒状のストレートパイプからなるケース52を有し、該ケース52に、基端側から順次、吸引子55、圧縮コイルばね56、プランジャ57が直列的に配在されている。
【0029】
ケース52の基端部(前端部)は、吸引子55の鍔状部(外周段丘部)に溶接等により密封接合されており、吸引子55は、通電励磁用の電磁コイル51の外周を覆う(平面視略コの字状の)カバー53にボルト54により締結固定されている。吸引子55に対向配置されたプランジャ57は、基本的には円柱状とされており、ケース52内を軸方向(前後方向)に摺動自在に配在されている。プランジャ57の吸引子55側とは反対側の部分(ケース52の先端開口から弁室24に突出する部分)は小径に形成されるとともに、その先端部(吸引子55側とは反対側の端部)に、弁座25に接離して弁口26を開閉する円板状の弁体60が固着(図示例では、かしめにより固定)されている。
【0030】
カバー53におけるケース52周りには、間に防水・防振用のパッキン58を挟んで、フランジ59a付き円筒状の(言い換えれば、円筒部59bとフランジ部59aからなる)連結部材59が固着されている。なお、パッキン58の外周部分(連結部材59のフランジ部59aより外側の部分)には、弁本体10(の前面11)に対接せしめられる環状リブ58aが突設されている。
【0031】
前記弁体60が取り付けられたソレノイド50は、前記連結部材59を介して、弁本体10(の前面11に設けられた装着穴17)に取付固定されている(後で詳述)。
【0032】
弁本体10は、設置状態において水平面に略垂直な平面である垂直面からなる前面11、複数の凹凸が付けられた後面12、垂直面からなる左側面13、垂直面からなる右側面14、水平面からなる上面15、及び水平面からなる底面16を有する、設置部位(スペース)を考慮した変形直方体状とされている。この弁本体10の後面12は、上に行くに従って若干後側に傾斜しており(つまり、弁本体10の上部は下部より後ろ側に若干大きくなっており)、後面12と上面15との間、及び、後面12と底面16との間は、丸みが付けられている(R付けされている)。この弁本体10は、例えばアルミニウムなどの金属あるいは樹脂等により形成されている。
【0033】
該弁本体10には、その左側面13の下部やや後寄りに、内部熱交換器104からの高温冷媒を導入するための冷媒流入口21が開口せしめられるとともに、その右側面14のやや後寄りに、前記冷媒を蒸発器103に導出するための冷媒流出口22が開口せしめられている。側面(左右方向)から視たときに、冷媒流出口22は、冷媒流入口21の若干上側に開口せしめられるとともに、冷媒流出口22の口径は冷媒流入口21の口径より小さくされている。また、弁本体10の上部に、該弁本体10の内部を左右方向に真直ぐに貫通する孔(貫通孔)からなる圧力検出用の貫通路30が設けられ、その両端(右端及び左端)が導管接続用流入口31及び導管接続用流出口32とされている。この導管接続用流入口31及び導管接続用流出口32を有する貫通路30は、蒸発器103から内部熱交換器104に向かう冷媒流路の一部を構成している。貫通路30の通路径(つまり、導管接続用流入口31及び導管接続用流出口32の口径)は、冷媒流出口22や冷媒流入口21の口径より大きくされている。なお、ここでは、前記貫通路30は、左右方向に延びる直線状に形成されているが、湾曲もしくは屈曲していても良い。
【0034】
また、弁本体10の上下中央付近(貫通路30と冷媒流出口22の間の部分)には、弁本体10を固定するためのボルト(不図示)を左右方向に挿通するボルト孔33が前後方向に並んで2箇所に形成されている。左右方向に向けて形成された各ボルト孔33は、段付きで形成されており(つまり、内部で内径が変化しており)、ボルト頭部を収納するために、左側面13側の内径が拡大されている。
【0035】
また、
図4を参照すればよく分かるように、弁本体10の前面11の下部(冷媒流入口21及び冷媒流出口22の前側の部分)には、前記ソレノイド50を装着すべく、前記前面11より僅かに窪んだ平面からなる装着面11aが形成されるとともに、その装着面11aに垂直、言い換えれば前向きに、前記ソレノイド50の連結部材59(の円筒部59a)が挿入される凹穴からなる装着穴17が開口せしめられている。この装着穴17の底面(奥側の面)の中央には、弁口26付きの弁座25が突設されており、弁口26は、弁本体10の内部を後向きに前記冷媒流出口22(の奥部)まで真直ぐに開設せしめられて、該冷媒流出口22と連通している。また、前記弁口26の下側には、一端(前端)が装着穴17の底面の下部(弁座25の下側)に開口し、他端(後端)が冷媒流入口21(の奥部)に開口せしめられた、該弁本体10の内部を前後方向に真直ぐに貫く連通口18が形成され、この直線状の連通口18により、前記冷媒流入口21と装着穴17により画成される弁室24とが連通せしめられている。ここでは、前記連通口18の口径は、前記弁口26の口径より大きくされている。
【0036】
前記装着穴17に、前記ソレノイド50と、前記弁口26を開閉すべく前記ソレノイド50により(前後方向に)移動せしめられる弁体60と、からなる組立体が連結部材59、及び必要であればその他の適宜の手段を介して、前向きに(前記ソレノイド50の軸方向を横倒しにした状態で)取付固定されている。本例では、前記装着穴17の内周に設けられた雌ねじ部に、前記連結部材59の円筒部59bの外周に設けられた雄ねじ部が螺合せしめられ(図示は省略)、その装着穴17と連結部材59との間にシール材としてのパッキン17Aが介装されることにより、前記弁本体10の前面11に、前記ソレノイド50が気密的に取付固定されている。
【0037】
一方、弁本体10の前面11の上部(ソレノイド50の直上、かつ、貫通路30の前側の部分)には、圧力センサ40を取り付けるべく、前記前面11より僅かに窪んだ平面からなる取付面11bが形成されるとともに、その取付面11bに垂直、言い換えれば前向きに、前記圧力センサ40の固定部材49(の小径嵌合部49a)が挿入される貫通穴からなる嵌挿穴19が開口せしめられている。この嵌挿穴19は、前記弁本体10の内部を前後方向に真直ぐに貫通しており、一端(前端)が前記取付面11bに開口し、他端(後端)が前記貫通路30(の中央部)に開口せしめられている。
【0038】
前記嵌装穴19に、前記圧力センサ40が段付きの固定部材49、及び必要であればその他の適宜の手段を介して、前向きに取付固定されている。本例では、前記嵌装穴19の内周(の前半部)に設けられた雌ねじ部に、前記固定部材49の小径嵌合部49aの外周に設けられた雄ねじ部が螺合せしめられ(図示は省略)、その嵌装穴19と固定部材49との間にシール材としてのOリング19Aが介装されることにより、前記弁本体10の前面11に、前記圧力センサ40が気密的に取付固定されている。
【0039】
かかる構成のもとでは、冷媒は、内部熱交換器104の出口(あるいは凝縮器またはレシーバの出口)→冷媒流入口21(の奥部)→連通口18→弁室24→弁体60と弁座25との間に形成される隙間→弁口26→冷媒流出口22(の奥部)→蒸発器103の入口→蒸発器103の出口→導管接続用流入口31→貫通路30→導管接続用流出口32→内部熱交換器104の入口(あるいは圧縮機の吸入口)へと流れる。
【0040】
上記構成とされた電気式膨張弁1では、前記蒸発器103から貫通路30に導出された低温冷媒の圧力(つまり、蒸発器103から内部熱交換器104に導かれる低温冷媒の圧力)を前記圧力センサ40で検出し、マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット61(
図4参照)において、その検出された圧力の情報に基づいて当該電気式膨張弁1の開度を調節するための制御信号を生成して、前記ソレノイド50に供給するようにされ、これによって、前記ソレノイド50(のプランジャ57の先端部)に設けられた弁体60が移動して弁開度が調節(弁口26が開閉)され、これによって冷媒流出口22から前記蒸発器103へ導出される冷媒流量が制御される。なお、前記冷媒流量の制御は、例えば、弁口26を開閉する比率(デューティー比)を調整することで行う。
【0041】
このように、本実施形態の電気式膨張弁1においては、弁本体10に、導管接続用流入口31と導管接続用流出口32とを有する貫通路30が設けられ、その貫通路30を流れる冷媒の圧力を検出する圧力センサ40が当該弁本体10に一体に(当該弁本体10の一側面である前面11に)設けられることにより、圧力センサを別途配置するための設置スペースが不要となるとともに、組付工程が簡素化されるので、省スペース化、組付性向上、コスト削減等を図ることができる。
【0042】
また、弁体駆動源としてのソレノイド50と圧力センサ40とが、弁本体10における同じ側面(前面11)に取り付けられることにより、弁本体10の加工性、組付性(取付作業性)、メンテナンス性等を更に向上できるといった効果もある。
【0043】
また、設置状態において、弁室24に設けられた弁座25が冷媒流入口21より上側に配在されることにより、冷媒中に混入されているオイルが弁体駆動源としてのソレノイド50(弁体駆動源としての電動モータを使用する場合には、そのキャン内等)に溜まるようなこともないので、動作安定性、耐久性、信頼性等を確保することができる。
【0044】
なお、上記実施形態では、弁体60を弁口26の開閉方向に昇降させるための弁体駆動源として、ソレノイド50を主要部とする電磁式のもの(電磁式アクチュエータ)を採用したが、その構成自体は如何なるものであっても良いし、例えば弁本体にキャンが取り付けられ、該キャンの外周にステータが、また該キャンの内部にロータ及び該ロータの回転を弁体の進退動に変換するねじ送り機構等が備えられた電動モータ(ステッピングモータ)を主要部とする電動式のもの(電動式アクチュエータ)を使用しても良いことは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0045】
1 電気式膨張弁
10 弁本体
11 弁本体の前面
11a 装着面
11b 取付面
17 装着穴
18 連通口
19 嵌挿穴
21 冷媒流入口
22 冷媒流出口
24 弁室
25 弁座
26 弁口
30 貫通路
31 導管接続用流入口
32 導管接続用流出口
33 ボルト孔
40 圧力センサ
48 圧力導入孔
49 固定部材
49a 小径嵌合部
50 ソレノイド
59 連結部材
59a フランジ部
59b 円筒部
60 弁体
61 コントロールユニット