(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている技術においては、炊飯器にNFC(Near Field Communication)通信といった近接場形の通信規格により通信を行うようにさせる場合は、通信機器と通信基板と距離を近接させるように、通信基板を炊飯器の外観の近傍に配置しなければならない。
【0006】
また、炊飯器においては、炊飯器の操作を行う操作パネルが設けられ、その近傍には表示部が設けられている。さらには、蒸気レス炊飯器においては、炊飯器の上部に蒸気を処理するための機構が内蔵されている。具体的には、内釜から発生した蒸気を復水器まで導くための蒸気導管が炊飯器の上部に内蔵されている。これにより、炊飯器の上部の内部構造は、狭くなっている。また、通信機器と炊飯器との間でNFC通信などの無線通信をするときは、ユーザーの操作性を向上させる観点から、操作パネル及び表示部の近傍かつ通信機器と操作パネル及び表示部とが重ならない位置に通信部を配置することが望ましい。しかし、炊飯器内部に蒸気導管などの構造が配置されている場合、さらに蒸気導管を避けて配置する必要がある。また、通信部及び操作部等を構成する電子部品は、蒸気及び熱の影響を受けないように蒸気導管から離して配置する必要があるため、炊飯器の大型化をするか又は内部スペースを削減しなければならないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、蒸気レス炊飯器においてNFC通信を可能にし、かつ、大型化又は内部スペースを削減することなく、無線通信するにあたり操作性の良い炊飯器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る炊飯器は、下部筐体の内部の内釜から炊飯動作中に発生する蒸気を復水する蒸気処理タンクと、前記下部筐体の上方に開閉自在に設けられた蓋体と、前記蒸気を前記内釜から前記蒸気処理タンクに導く蒸気導管と、通信機器を近接させて無線通信を行う通信部と、
操作部を構成する電気部品と、を備え、前記蒸気導管と前記通信部と
前記電気部品とは、前記蓋体の内部に水平方向に並列に並べられて配置され
、前記蓋体は、前記下部筐体を向いた面に前記内釜の開口部を閉塞する内蓋が取り付けられる蓋体基部と、該蓋体基部の上面を覆って取り付けられる蓋筐体と、該蓋筐体の上面を覆い当該蓋体の上面の外観を構成する化粧板と、を備え、前記蓋体基部は、前記下部筐体を向いた面に開口している蒸気導管収納部を有し、前記蒸気導管は、前記蒸気導管収納部の内部に取り付けられ、前記蓋筐体は、上側を向いて開口している基板収納室を備え、前記無線通信を行う通信基板及び前記電気部品は、前記基板収納室の内部に収納され、前記化粧板は、前記基板収納室を上側から閉塞するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る炊飯器によれば、操作部と蒸気導管と無線通信を行う通信部を蓋体の内部に並列に配置することができるため、蒸気レス炊飯器においても近接する通信機器と通信部との通信を可能にすることができ、炊飯器の大型化及び内部スペースも削減することのない蒸気レス炊飯器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る炊飯器の実施の形態について説明する。なお、図面の形態は一例であり、本発明を限定するものではない。また、各図において同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。さらに、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100を示す斜視図である。
図2は、
図1の炊飯器100の構造を説明する説明図である。炊飯器100の本体10は、蓋体20と下部筐体30とから構成される。下部筐体30は、内部に内釜32が配置され、内釜32を熱するヒーター33等が設けられている。
【0013】
蓋体20は、下部筐体30の上部を覆う蓋であり、下部筐体30の上方に設けられる。蓋体20は、下部筐体30とヒンジ22により接続され、ヒンジ22を中心に開閉自在に取り付けられている。蓋体20は、上面を構成する化粧板21と蓋筐体27とにより構成されており、化粧板21が蓋体20の外観を構成している。化粧板21は、蓋筐体27の上面を覆って組み立てられており、蓋筐体27の裏面側から固定されている。また、化粧板21には複数の釦が配置される操作部40が設けられている。操作部40を構成する複数の釦は、表示部41の周りに配置されている。
【0014】
下部筐体30には開閉釦31が設けられている。開閉釦31は、炊飯器100の前面に設けられており、開閉釦31の反対側、すなわち炊飯器100の背面側に蓋体20と下部筐体30とを接続するヒンジ22が設けられている。開閉釦31を押すと、蓋体20が開き、炊飯器100の下部筐体30の上部の開口が露出する。なお、炊飯器100において開閉釦31が設置されている側を炊飯器100の前側、ヒンジ22が設けられている側を背面側とし、前側から見て左を炊飯器100の左側、前側から見て右を炊飯器100の右側と呼ぶ。
【0015】
蓋体20の上面には、さらに通信部60が配置されている。通信部60は、スマートフォンなどの通信機器2と無線通信が可能である。無線通信は、例えば、NFC(Near Field Communication)通信といった近接場形の通信規格により通信を行う。
【0016】
通信部60は、操作部40及び表示部41に対し右の奥側に配置されている。
図1は、蓋体20の上面に配置された通信部60の上に通信機器2が置かれ、近距離無線通信を行っている状態が示されている。通信部60は、通信機器2との無線通信を行う際に、操作部40を構成する複数の釦及び炊飯器100の状態等の表示が行われている表示部41が通信機器2により隠されることの無い位置に配置されることが望ましい。
【0017】
図1において、通信部60は、操作部40を構成する基板及び表示部41を構成する基板が配置される基板収納室42の内部に配置されている。通信部60は、基板収納室42内で操作部40を構成する基板又は表示部41を構成する基板と接続されている。通信部60は、通信機器2から無線通信により信号を受け、その信号をその他の基板に設けられている制御部に送り、制御部は、その信号に従い炊飯器100を制御する。なお、制御部は、炊飯時及び保温時においても通信機器2と通信部60との通信が可能なようにプログラムされている。
【0018】
基板収納室42は上側を向いて開口し、化粧板21により上側から閉塞される。基板収納室42は蓋体20のその他の領域に対し独立した空間になっており、下部筐体30の内部にある内釜32で発生する蒸気が侵入しないようになっている。また、基板収納室42は、蓋体20内部に設けられている蒸気導管収納部43からも独立して設けられている。
【0019】
図3は、
図1の炊飯器100の蓋体20の化粧板21を取り外した状態の図である。蓋体20から化粧板21を取り外すと、蓋筐体27の内部構造が露出する。蓋筐体27には、本体前面側の上面に凹みが形成され、その凹みに操作部40を構成する操作基板40a及び表示部41を構成する表示ユニット41aが配置され基板収納室42となっている。基板収納室42は、蓋筐体27の表側に形成されているため、蓋筐体27の裏側、すなわち下部筐体30側の空間とは隔絶されている。そのため、下部筐体30の内部で発生した蒸気等が基板収納室42に侵入しない。なお、操作部40を構成する操作基板40a、及び表示ユニット41aは、本願発明の電気部品に相当する。電気部品は、操作基板40a及び表示ユニット41aのみに限られず、その他の電気部品であっても良い。
【0020】
基板収納室42には、表示ユニット41aが収納され、表示ユニット41aの下には操作基板40aが配置されている。通信部60を構成する通信基板60aは基板収納室42の内部に収納され、操作基板40aに重なる様にして、表示部41の右上部に配置されている。通信基板60aの真上の化粧板21の外観部が通信部60となっている。通信部60は、特に通信基板60aのアンテナに合わせて設けられている。通信基板60aは、ビス等により固定されている。
【0021】
図4は、
図3の炊飯器100の蓋筐体27を取り外した状態の図である。
図4においては、
図3で示されていた蓋筐体27の裏側、すなわち下部筐体30側に位置する部品について示されている。蓋筐体27の下、つまり下部筐体30側には蓋体基部28がある。蓋筐体27は蓋体基部28の上面を覆って取り付けられる。蓋体基部28は、ヒンジ22により下部筐体30と回動可能に連結されている。つまり、蓋体基部28の上に蓋筐体27及び化粧板21が取り付けられ、蓋体基部28がヒンジ22周りに回動すると、蓋体基部28上に取り付けられた蓋筐体27及び化粧板21も共に回動することになる。ヒンジ22周りには、蓋体基部28を上方向に付勢する付勢機構26が設けられている。付勢機構26は、例えば、ねじりコイルバネにより形成され、その腕の一端が蓋体基部28の引っ掛け部29に引っ掛けられている。
【0022】
蓋体基部28の正面から向かって左側には、基板収納室42を避けて蒸気導管収納部43が形成されている。蒸気導管収納部43は、上側に突出しており、蓋体基部28の下部筐体30側に開口している。蒸気導管収納部43には、蒸気導管43aが収納されているが、蒸気導管43aの上側は、蒸気導管収納部43に覆われているため、蒸気導管43aから蒸気が漏出しても蓋体基部28の上側には侵入しないように構成されている。
【0023】
図5は、
図4の炊飯器100の蓋体基部28を取り外した状態の図である。
図6は、
図1の炊飯器100の蓋体20を開けた状態の斜視図である。蓋体基部28には、蒸気導管43aが取り付けられており、蒸気導管43aの下方から内蓋50が取り付けられている。内蓋50は、内釜32の開口部を閉塞する。蒸気導管43aは、内蓋50に開けられた開口に連結され、炊飯時の内釜32の内部で発生した蒸気が通るように構成されている。また、蒸気導管43aは、内蓋50の上面から下部筐体30の前面側に伸び、下部筐体30の前面側に配置されている蒸気処理タンク34の上面に開けられている開口と連結している。蒸気導管43a内を通った蒸気は、蒸気処理タンク34内に導かれ、蒸気処理タンク34内に貯留されている水の中を通し復水される。なお、
図6に示されている様に、蒸気導管43a及び内蓋50は、蓋体基部28に着脱自在に取り付けられており、蓋体20が下部筐体30の上方に開けられたときには、蓋体20と共に移動するものである。
【0024】
以上のように、炊飯器100の蓋体20は、蓋体20の上面の外観を構成する化粧板21と、上面側に基板収納室42となる凹みを備える蓋筐体27と、蓋体20の下部筐体30側の面を構成し、蒸気導管収納部43を備え、蒸気導管43a及び内蓋50が取り付けられる蓋体基部28とが炊飯器100の上下方向に重なって組み合わされて構成される。そして、内釜32内で発生する蒸気に触れる蒸気導管43a及び内蓋50は、蓋体基部28の下側の面、つまり下部筐体30側の面に取り付けられ、蒸気に触れるのを避けたい基板及び通信基板60aは、蓋筐体27の上側の面に取り付けられる。このように構成されることにより、基板及び通信基板60aを、使い勝手の良い本体上面側に配置することができ、かつ蒸気などの弊害を受けることがないため信頼性が高い。
【0025】
また、実施の形態1に係る炊飯器100は、通信基板60aを操作部40及び表示部41と同じ基板収納室42に設けている。通信基板60aは、通信機器2と近接して通信をするため、化粧板21の表面近くに配置する必要がある。そのため、
図2に示されるように、通信基板60aは、基板44の上側に重ねて配置されている。このように構成されることにより、通信基板60aと基板44とを同じ基板収納室42内で接続することができるため、基板収納室42は、外部と連通する隙間を最小限にすることができる。よって、基板収納室42内部への蒸気や熱の侵入を抑制することができる。
【0026】
図7は、実施の形態1に係る炊飯器100の変形例としての炊飯器100aの斜視図である。炊飯器100aにおいては、通信部60が操作部40及び表示部41から離した位置に配置されている。このように構成されることにより、通信部60と通信機器2とが通信する際に、通信機器2は、操作部40及び表示部41と重なることがない。よって、通信機器2のサイズが大きい場合であっても通信中に操作部40の各釦を操作することができ、表示部41も視認することができる。なお、通信基板60aは、基板収納室42とは別に設けられた通信基板収納室45に配置されている。そのため、通信基板60aと基板収納室42内の基板とを接続するためには、基板収納室42と通信基板収納室45との間に接続するための配線を通す必要がある。従って、炊飯器100aは、基板収納室42の外部と連通する隙間が生じ易い。つまり、炊飯器100のほうが、基板収納室42に蒸気等が侵入しにくい構造になっており、信頼性が高い。
【0027】
<実施の形態1の効果>
(1)実施の形態1に係る炊飯器100、100aによれば、下部筐体30の内部の内釜32から炊飯動作中に発生する蒸気を復水する蒸気処理タンク34と、下部筐体30の上方に開閉自在に設けられた蓋体20と、蒸気を内釜32から蒸気処理タンク34に導く蒸気導管43aと、通信機器2を近接させて無線通信を行う通信部60と、を備える。蒸気導管43aと通信部60とは、蓋体20の内部に水平方向に並列に並べられて配置されている。
このように構成されることにより、蒸気導管43aを蓋体20の内部に備える蒸気レスの炊飯器100、100aにおいても、通信機器2との無線通信を行うための通信部60を蓋体20の上面に設けることができる。そして、蒸気導管43aと通信部60とを効率良く配置することができる。
【0028】
(2)実施の形態1に係る炊飯器100、100aによれば、蓋体20は、操作部40を構成する操作基板40aをさらに備える。操作基板40aは、蒸気導管43aと水平方向に並列に並べられて配置されている。
このように構成されることにより、炊飯器100、100aがさらに操作部40を構成する操作基板40a、表示部41を構成する表示ユニット41aなどの電気部品を備えていても、蒸気導管43aと通信部60と共に蓋体20の内部に効率良く配置することができる。
【0029】
(3)実施の形態1に係る炊飯器100、100aによれば、蓋体20は、下部筐体30を向いた面に内釜32の開口部を閉塞する内蓋50が取り付けられる蓋体基部28と、蓋体基部28の上面を覆ってに取り付けられる蓋筐体27と、蓋筐体27の上面を覆い当該蓋体20の上面の外観を構成する化粧板21と、を備える。蓋体基部28は、下部筐体30を向いた面に開口している蒸気導管収納部43を有する。蒸気導管43aは、蒸気導管収納部43の内部に取り付けられる。蓋筐体27は、上側を向いて開口している基板収納室42を備える。無線通信を行う通信基板60a及び電気部品は、基板収納室42の内部に収納される。化粧板21は、基板収納室42を上側から閉塞する。
このように構成されることにより、蓋体20の内部において、炊飯による蒸気が触れない位置に電気部品を配置することができる。特に、蓋体20の内部に蒸気導管43aを備える蒸気レス炊飯器においては、蓋体基部28の下側の面に蒸気導管43aを取付け、蒸気導管43aの上側を蓋体基部28の構造により全て覆い、その上に蓋筐体27を取り付けることにより、蒸気が漏出するおそれのある蒸気導管43aから電気部品を隔離することができるため、信頼性の高い構造になっている。
【0030】
実施の形態2.
実施の形態2に係る炊飯器200は、実施の形態1の炊飯器100の通信部60を凹み部に設けたものである。実施の形態2においては実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。
【0031】
図8は、実施の形態2に係る炊飯器200の斜視図である。
図9は、
図8の炊飯器200の上面図である。
図10は、
図8の炊飯器200と通信機器2とが通信している状態を示す斜視図である。実施の形態2において通信部60は、操作部40及び表示部41から離れた位置に配置されている。通信部60が配置されている部分は、化粧板21に凹部70が形成されており、凹部70の底部71は、炊飯器200の本体10の前面から背面に向かって高くなる傾斜となっている。凹部70の底部71の下方に通信部60が配置されている。通信機器2は、炊飯器200と通信する際に底部71の上に載置され、通信機器2の表示部が本体10の前方側に向くように載置することができる。また、通信機器2は、凹みに嵌るように載置されるため、炊飯器200との通信時に通信部60からずれて通信が途切れたり、何らかの外力が加わって通信機器2が炊飯器200の上から落下するのを抑制することができる。
【0032】
実施の形態2に係る炊飯器200は、基板収納室242が実施の形態1よりも広い範囲に設けられている。基板収納室242は、化粧板21の上面に形成された凹部70も取り囲んで形成されており、通信基板60aも基板収納室242の内部に設置される。このように構成されることにより、基板収納室242の内部で通信基板60aとその他の基板を接続することができる。そのため、基板収納室42は、外部と連通する隙間を最小限にすることができる。
【0033】
実施の形態2に係る炊飯器200においても、蒸気導管43aは、蒸気導管収納部43の内部に配置されており、基板収納室242とは独立した空間に配置されている。そのため、蒸気導管43a、通信基板60a、及びその他の基板などの電気部品は、蓋体20の内部に水平方向に並列に配置されているが、通信基板60a及びその他の基板などの電気部品に蒸気が触れることが無い。よって、炊飯器200は、信頼性が高い構成になっている。
【0034】
<実施の形態2の効果>
(4)実施の形態2の炊飯器200によれば、蓋体20は、上面の一部に凹部70が形成され、該凹部70の底部71の下方に通信部60を備える。
このように構成されることにより、通信機器2は、凹みに嵌るように載置されるため、炊飯器200との通信時に通信部60からずれて通信が途切れたり、何らかの外力が加わって通信機器2が炊飯器200の上から落下するのを抑制することができる。
【0035】
(5)実施の形態2の炊飯器200によれば、蓋体20は、下部筐体30の背面側に設置されたヒンジ22を中心に回動して開閉し、凹部70の底部71は、前面側から背面側に向けて高くなる傾斜を有する。
このように構成されることにより、通信機器2の表示部が炊飯器200の前面側を向くため、通信により通信機器2の表示部に炊飯器の状態を表示する場合などに、使用者が視認しやすいという利点がある。
【0036】
(6)なお、実施の形態2の炊飯器200によれば、炊飯及び保温の動作中において通信機器2との無線通信を実行する制御部を備える。
このように構成されることにより、使用者は、炊飯器200の運転時、停止時に拘わらず通信機器2と炊飯器200との通信をすることができるため、無線通信の使い勝手が良い。なお、上記の制御部は、実施の形態1の炊飯器100、100aにおいても同様に有しており、(6)の効果についても同様に有するものである。また、制御部は、操作基板40a等に搭載されていても良い。