(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無端回動搬送体のうち、前記搬送ケース内の下部に位置する部分が搬送経路部を構成し、かつ、前記無端回動搬送体のうち、前記搬送ケース内の上部に位置する部分が戻り経路部を構成し、
前記搬送装置に、前記無端回動搬送体を張り操作するテンション輪体が備えられ、
前記テンション輪体は、前記搬送ケースのうちの前記搬送ケースの上下幅が最も広い部位において、前記無端回動搬送体のループ内に設けられ、前記戻り経路部における後部を前記無端回動搬送体のループ外に向けて押圧する請求項1に記載の収穫機。
前記無端回動搬送体のうち、前記搬送ケース内の下部に位置する部分が搬送経路部を構成し、かつ、前記無端回動搬送体のうち、前記搬送ケース内の上部に位置する部分が戻り経路部を構成し、
前記テンション輪体は、前記搬送ケースのうちの前記搬送ケースの上下幅が最も広い部位において、前記無端回動搬送体のループ内に設けられ、前記戻り経路部における後部を前記無端回動搬送体のループ外に向けて押圧する請求項2または3に記載の収穫機。
前記後端部における前記搬送ケースの天板部に、前記駆動輪体及び前記従動輪体のうちの後側に位置する輪体の上方箇所から前記テンション輪体の上方箇所に亘る範囲の部位に形成された点検口と、前記点検口を開閉する蓋体と、が備えられている請求項2〜4のいずれか一項に記載の収穫機。
前記搬送ケースの底部に、前記搬送ケースの底部における前記駆動輪体及び前記従動輪体のうちの前側に位置する輪体の下方に位置する部位に開口された下点検口と、前記下点検口を閉塞可能な蓋体と、が備えられ、
前記搬送ケースの底部における前記下点検口よりも前側の部位に、前記搬送ケースの横幅方向に沿って延びる前横向きフレームが備えられると共に、前記搬送ケースの底部における前記下点検口よりも後側の部位に、前記搬送ケースの横幅方向に沿って延びる後横向きフレームが備えられ、
前記搬送ケースの底部における前記下点検口の左右両側の部位に、前記前横向きフレームと前記後横向きフレームとに亘る左右の前後向きフレームが備えられている請求項1から10のいずれか一項に記載の収穫機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収穫部の収穫幅を広くするなど、収穫部の重量が重くなるほど、搬送装置に掛かる収穫部の荷重が重くなるので、搬送装置の後端部における剛性を高くし、搬送装置が走行機体にしっかり支持されるようにする必要がある。従来の場合、搬送ケースを構成する部材の肉厚を厚くするなどの補強対策を行ない、搬送装置の後端部における剛性を向上させる必要がある。
【0005】
本発明は、収穫部の重量が増加しても、搬送装置を補強せずに済む、あるいは、補強をしたとしても小規模な補強で済む収穫機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による収穫機では、
走行機体の前方に設けられた収穫部と、
前記収穫部に接続され、前記収穫部によって収穫された収穫物を走行機体後方向きに搬送する搬送装置と、が備えられ、
前記搬送装置に、前記搬送装置の前端部及び後端部のうちの一方に設けられた駆動輪体と、前記搬送装置の前端部及び後端部のうちの他方に設けられた従動輪体と、前記駆動輪体と前記従動輪体とに巻き回された無端回動搬送体と、前記駆動輪体と前記従動輪体と前記無端回動搬送体とを収容する搬送ケースと、が備えられ、
前記搬送装置は、前記後端部と、前記後端部から前側に連続して設けられ、前記前端部を含む前側部と、を有し、かつ、前記後端部と前記前側部との境界は、前記搬送装置の前後方向の中央部よりも後側の位置に設定されており、
前記後端部において、前記搬送ケースの上下幅は、前側ほど広くなっており、かつ、前記
前側部において、前記搬送ケースの上下幅は、前記前側部の前後全長に亘って前記
境界の上下幅と同じであるか、または、前側ほど狭くなって
おり、
前記搬送ケースの側壁部のうち、前記境界を挟んで前後に互いに隣り合う部分に、上下方向に沿って延びる縦補強フレームが備えられている。
【0007】
本構成によると、搬送装置の後端に対して従来よりも近い箇所で搬送ケースの上下幅が最大になるので、従来の搬送装置に比べ、搬送装置の後端部における上下幅が広くなり、後端部の剛性が向上する。
【0008】
搬送装置の後端部の剛性が向上するので、収穫部の重量がある程度増加する場合でも、搬送装置の補強をせずとも、補強をしたとしても小規模な補強をするだけで、搬送装置を走行機体にしっかり支持させることができる。つまり、収穫部の重量がある程度増加する場合でも、搬送装置の補強が不要であるか、補強をしても小規模な補強で済み、安価で済む。
【0009】
本発明による収穫機では、
走行機体の前方に設けられた収穫部と、
前記収穫部に接続され、前記収穫部によって収穫された収穫物を走行機体後方向きに搬送する搬送装置と、が備えられ、
前記搬送装置に、前記搬送装置の前端部及び後端部のうちの一方に設けられた駆動輪体と、前記搬送装置の前端部及び後端部のうちの他方に設けられた従動輪体と、前記駆動輪体と前記従動輪体とに巻き回された無端回動搬送体と、前記駆動輪体と前記従動輪体と前記無端回動搬送体とを収容する搬送ケースと、前記無端回動搬送体を張り操作するテンション輪体と、が備えられ、
前記搬送ケースの内部に、前記搬送ケースの側壁部に上下揺動可能に支持されて前記テンション輪体を支持する支持アームが備えられ、
前記搬送ケースの外部に、前記支持アームを張り操作側に付勢するスプリング式の付勢機構が備えられ、
前記無端回動搬送体は、前記搬送ケースの内部の左右両側に設けられ、
前記テンション輪体として、左側の前記無端回動搬送体を張り操作する左側テンション輪体、及び、右側の前記無端回動搬送体を張り操作する右側テンション輪体が備えられ、
前記支持アームとして、前記搬送ケースの左側壁部に上下揺動可能に支持されて前記左側テンション輪体を支持する左側支持アーム、及び、前記搬送ケースの右側壁部に上下揺動可能に支持されて前記右側テンション輪体を支持する右側支持アームが備えられ、
前記付勢機構として、前記左側支持アームを張り操作側に付勢する左側付勢機構、及び、前記右側支持アームを張り操作側に付勢する右側付勢機構が備えられ、
前記左側付勢機構及び前記右側付勢機構のうちの一方の付勢機構は、前記左側支持アーム及び前記右側支持アームのうちの対応する支持アームよりも下側に位置する状態で設けられ、
前記左側付勢機構及び前記右側付勢機構のうちの他方の付勢機構は、前記左側支持アーム及び前記右側支持アームのうちの対応する支持アームよりも上側に位置する状態で設けられ、前記他方の付勢機構の下方を、前記収穫部に動力を伝達する動力伝達機構が通過している。
【0010】
本構成によれば、一方の付勢機構の対地高さを低くして、一方の付勢機構の操作を行ない易くしつつ、他方の付勢機構と動力伝達機構とを干渉しないようにできる。
【0011】
本発明による収穫機では、
走行機体の前方に設けられた収穫部と、
前記収穫部に接続され、前記収穫部によって収穫された収穫物を走行機体後方向きに搬送する搬送装置と、が備えられ、
前記搬送装置に、前記搬送装置の前端部及び後端部のうちの一方に設けられた駆動輪体と、前記搬送装置の前端部及び後端部のうちの他方に設けられた従動輪体と、前記駆動輪体と前記従動輪体とに巻き回された無端回動搬送体と、前記駆動輪体と前記従動輪体と前記無端回動搬送体とを収容する搬送ケースと、前記無端回動搬送体を張り操作するテンション輪体と、が備えられ、
前記搬送ケースの内部に、前記搬送ケースの側壁部に上下揺動可能に支持されて前記テンション輪体を支持する支持アームが備えられ、
前記搬送ケースの外部に、前記支持アームを張り操作側に付勢するスプリング式の付勢機構が備えられ、
前記無端回動搬送体は、前記搬送ケースの内部の左右両側に設けられ、
前記テンション輪体として、左側の前記無端回動搬送体を張り操作する左側テンション輪体、及び、右側の前記無端回動搬送体を張り操作する右側テンション輪体が備えられ、
前記支持アームとして、前記搬送ケースの左側壁部に上下揺動可能に支持されて前記左側テンション輪体を支持する左側支持アーム、及び、前記搬送ケースの右側壁部に上下揺動可能に支持されて前記右側テンション輪体を支持する右側支持アームが備えられ、
前記付勢機構として、前記左側支持アームを張り操作側に付勢する左側付勢機構、及び、前記右側支持アームを張り操作側に付勢する右側付勢機構が備えられ、
前記
左側支持アームと前記
右側支持アームとに亘る支軸が備えられ、かつ、前記
左側支持アーム及び前記
右側支持アームは前記支軸を揺動支点として揺動可能であり、
前記左側付勢機構のスプリング及び前記右側付勢機構のスプリングは、両方ともに圧縮スプリングであるか、または、両方ともに引張スプリングであり、
前記左側付勢機構及び前記右側付勢機構のうちの一方の付勢機構におけるスプリングは、前記支持アームのうち、前記支軸に対して前記テンション輪体が位置する側と反対側に位置する箇所に連結され、
前記左側付勢機構及び前記右側付勢機構のうちの他方の付勢機構におけるスプリングは、前記支持アームのうち、前記支軸に対して前記テンション輪体が位置する側と同じ側に位置する箇所に連結されている。
【0012】
左側付勢機構及び右側付勢機構のうちの一方の付勢機構におけるスプリングが支持アームのうち、支軸に対してテンション輪体が位置する側と反対側に位置する箇所に連結され、左側付勢機構及び右側付勢機構のうちの他方の付勢機構におけるスプリングが支持アームのうち、支軸に対してテンション輪体が位置する側と同じ側に位置する箇所に連結されているので、左側付勢機構及び右側付勢機構のスプリングとして、仕様が同一の圧縮スプリングまたは引張スプリングを採用しても、一方の付勢機構のスプリングを対応する支持アームよりも下側に位置させ、他方の付勢機構のスプリングを対応する支持アームよりも上側に位置させつつ、左側テンション輪体及び右側テンション輪体に同一の張り操作力を備えさせることができる。左側付勢機構及び右側付勢機構に同一仕様のスプリングを採用して安価に左右側の無端回動搬送体を張り状態にできる。
【0013】
本発明においては、前記無端回動搬送体のうち、前記搬送ケース内の下部に位置する部分が搬送経路部を構成し、かつ、前記無端回動搬送体のうち、前記搬送ケース内の上部に位置する部分が戻り経路部を構成し、前記搬送装置に、前記無端回動搬送体を張り操作するテンション輪体が備えられ、前記テンション輪体は、前記搬送ケースのうちの前記搬送ケースの上下幅が最も広い部位において、前記無端回動搬送体のループ内に設けられ、前記戻り経路部における後部を前記無端回動搬送体のループ外に向けて押圧すると好適である。
【0014】
本構成によれば、搬送ケースの内部空間のうち、上下幅が最も広い部分をテンション輪体の作動空間に活用して、テンション輪体を広い作動範囲にわたって作動させることができる。無端回動搬送体の長さが大幅に変化しても、テンション輪体の広い作動範囲の作動によって、無端回動搬送体を適切な張力状態にすることができる。
【0015】
本発明においては、前記無端回動搬送体のうち、前記搬送ケース内の下部に位置する部分が搬送経路部を構成し、かつ、前記無端回動搬送体のうち、前記搬送ケース内の上部に位置する部分が戻り経路部を構成し、前記テンション輪体は、前記搬送ケースのうちの前記搬送ケースの上下幅が最も広い部位において、前記無端回動搬送体のループ内に設けられ、前記戻り経路部における後部を前記無端回動搬送体のループ外に向けて押圧すると好適である。
【0016】
本構成によれば、搬送ケースの内部空間のうち、上下幅が最も広い部分をテンション輪体の作動空間に活用して、テンション輪体を広い作動範囲にわたって作動させることができる。無端回動搬送体の長さが大幅に変化しても、テンション輪体の広い作動範囲の作動によって、無端回動搬送体を適切な張力状態にすることができる。
【0017】
本発明においては、前記後端部における前記搬送ケースの天板部に、前記駆動輪体及び前記従動輪体のうちの後側に位置する輪体の上方箇所から前記テンション輪体の上方箇所に亘る範囲の部位に形成された点検口と、前記点検口を開閉する蓋体と、が備えられていると好適である。
【0018】
本構成によれば、点検口を開けることにより、輪体からテンション輪体に亘る範囲の上方を開放できるので、輪体、テンション輪体、及び、輪体とテンション輪体との間など点検し易い。
【0019】
本発明においては、前記搬送ケースの側壁部に、上下方向に沿って延びる縦補強フレームが備えられ、前記縦補強フレームは、前記後端部における前記搬送ケースの側壁部に取付けられていると好適である。
【0020】
本構成によれば、点検口の形成にかかわらず、縦補強フレームによる補強によって搬送ケースの剛性を確保できる。
【0021】
本発明においては、前記搬送ケースの内部に、前記搬送ケースの側壁部に上下揺動可能に支持されて前記テンション輪体を支持する支持アームが備えられ、前記搬送ケースの側壁部に、上下方向に沿って延びる縦補強フレームが備えられ、前記支持アームは、前記縦補強フレームに枢支されていると好適である。
【0022】
本構成によれば、テンション輪体に掛かるテンション反力に抗して支持アームが側壁部及び縦補強フレームによってしっかり支持され、無端回動搬送体に張力を適切に付与させることができる。
【0023】
本発明においては、前記搬送ケースの底部に、前記搬送ケースを左右に跨ぐ状態で取り付けられた横補強フレームが備えられ、前記縦補強フレームの下端が前記横補強フレームの端部に連結されていると好適である。
本構成によれば、縦補強フレーム及び横補強フレームが連結し合って補強し合いつつ搬送ケースを補強するので、搬送ケースを効果的に補強できる。
【0024】
本発明においては、前記搬送ケースの内部に、前記搬送ケースの側壁部に上下揺動可能に支持されて前記テンション輪体を支持する支持アームが備えられ、前記搬送ケースの外部に、前記支持アームを張り操作側に付勢するスプリング式の付勢機構が備えられ、前記付勢機構は、前記支持アームよりも下側に位置する状態で設けられていると好適である。
本構成によれば、付勢機構の対地高さを低くして、スプリング力を調整するなどの付勢機構の操作を行ない易くできる。
【0025】
本発明においては、前記搬送ケースの底部に、前記搬送ケースの底部における前記駆動輪体及び前記従動輪体のうちの前側に位置する輪体の下方に位置する部位に開口された下点検口と、前記下点検口を閉塞可能な蓋体と、が備えられ、前記搬送ケースの底部における前記下点検口よりも前側の部位に、前記搬送ケースの横幅方向に沿って延びる前横向きフレームが備えられると共に、前記搬送ケースの底部における前記下点検口よりも後側の部位に、前記搬送ケースの横幅方向に沿って延びる後横向きフレームが備えられ、前記搬送ケースの底部における前記下点検口の左右両側の部位に、前記前横向きフレームと前記後横向きフレームとに亘る左右の前後向きフレームが備えられていると好適である。
【0026】
本構成によれば、底部に下点検口を開口しても、底部の強度が低下することを前横フレーム、後横フレーム、及び左右の前後向きフレームによって防止できるので、底部の剛性を確保しつつ、輪体の点検などを下方から易くできる。
【0027】
本発明においては、前記蓋体の外周に、前記前後向きフレームに対して下方から接当される接当部が備えられ、前記蓋体は、前記接当部を挿通するネジ部材によって前記前後向きフレームに取付けられると好適である。
【0028】
本構成によれば、蓋体をネジ部材によって前後向きフレームに締め付けてしっかり固定できる。
【0029】
本発明においては、前記ネジ部材は、前記ネジ部材の頭部が前記搬送ケースの内部に位置する状態で取付けられ、前記搬送ケースの底部に、前記頭部を収容する穴が形成されていると好適である。
【0030】
本構成によれば、ネジ部材の頭部が穴に収容されるので、搬送される収穫物が頭部に触れ難くなり、ネジ部材を磨滅し難くできる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施例に係る収穫機をコンバインに適用した場合について説明する。
図1は、コンバインの全体を示す左側面図である。
図2は、コンバインの全体を示す平面図である。
図1,2に示す[F]の方向を走行機体の前側、[B]の方向を走行機体の後側、[L]の方向を走行機体の左側、[R]の方向を走行機体の右側と定義する。
【0033】
図1,2に示すように、コンバインは、左右のクローラ走行装置1が駆動可能に装備された走行機体2を備えている。走行機体2の前部に、搭乗型の運転部3が形成されている。運転部3には、搭乗空間を覆うキャビン4が備えられている。走行機体2の機体フレーム5の前部に、刈取り前処理装置6が連結されている。走行機体2の後部に、脱穀装置7及び穀粒タンク8が設けられている。
【0034】
刈取り前処理装置6には、走行機体2の前方に位置する収穫部10と、収穫部10の後部に前端部が接続された搬送装置40とが備えられている。搬送装置40の後端部40R(
図4参照)が機体フレーム5の支持部に連結されている。搬送装置40は、走行機体横方向に延びる連結軸芯Pを揺動支点として走行機体2に対して上下揺動可能となっている。搬送装置40と機体フレーム5のシリンダ支持部5aとに昇降シリンダ9が連結されている。搬送装置40は、昇降シリンダ9の伸縮作動によって揺動操作される。搬送装置40を揺動操作することにより、収穫部10を下降作業位置と上昇非作業位置とにわたって昇降操作できる。
【0035】
このコンバインでは、収穫部10を下降作業位置に下降させた状態で走行機体2を走行させることにより、稲、麦などの収穫作業を行なえる。すなわち、作業走行をすると、収穫部10において、植立穀稈が左右のデバイダ11によって刈取り対象の植立穀稈と刈取り対象外の植立穀稈とに分草される。刈取り対象の植立穀稈の穂先側が回転リール12によって後方に掻き込まれる。この掻き込み状態の植立穀稈の株元がバリカン型の刈取装置13によって切断されて、植立穀稈の刈取りが行われる。刈取穀稈が横送りオーガ14によって所定箇所に横送りされる。所定箇所に位置した刈取穀稈が横送りオーガ14の中間部に備えられた掻き送りアーム15によって搬送装置40の前端部に掻き込み供給される。搬送装置40において、掻き送りアーム15によって供給された刈取穀稈の株元から穂先までの全体が走行機体後方向きに、かつ走行機体上方向きに搬送されて脱穀装置7に投入される。
【0036】
脱穀装置7において、刈取穀稈が扱胴7aによって扱き処理され、扱き処理によって得られた穀粒を塵埃と選別する選別処理が行われる。選別された穀粒が揚穀装置7bによって穀粒タンク8に供給されて貯留される。貯留された穀粒は、スクリューコンベアを利用した搬出装置8aによって取出すことができる。
【0037】
刈取り前処理装置6に動力を伝達する伝達構造について説明する。
この伝達構造においては、
図3に示すように、エンジン20の出力軸20aの動力が上手伝達機構21によってミッション22の入力軸22aに伝達され、この入力軸22aの動力が正回転伝達機構23によって搬送駆動軸42に伝達される。搬送駆動軸42は、搬送装置40の後端部に回転可能に支持されており、搬送装置42の後述する無端回動搬送体44(
図9参照)を駆動する。ミッション22の出力軸22bの動力が逆回転伝達機構24によって搬送駆動軸42に伝達される。搬送駆動軸42の動力が収穫部用の動力伝達機構30によって収穫部10に伝達される。
【0038】
上手伝達機構21では、エンジン20の出力軸20aの動力が唐箕伝達機構25aによって脱穀装置7の唐箕25に伝達され、唐箕25の動力がミッション伝達機構26によってミッション22の入力軸22aに伝達される。唐箕伝達機構25a及びミッション伝達機構26は、無端ベルトを利用して構成されている。
【0039】
正回転伝達機構23では、ミッション22の入力軸22aの動力が搬送装置40を正回転方向に駆動する動力として搬送駆動軸42に伝達される。正回転伝達機構23は、ベルトテンションクラッチによって構成され、入り状態と切り状態とに切り換え操作可能になっている。正回転伝達機構23を入り状態と切り状態とに切り換えることにより、搬送駆動軸42への正回転動力の伝達を入り状態と切り状態とに切換え操作できる。
【0040】
逆回転伝達機構24では、ミッション22の出力軸22bの動力が無端ベルト27を介して扱胴駆動機構28の入力軸28aに伝達される。扱胴駆動機構28において、入力軸28aの正回転方向の動力がベベルギヤ機構によって逆回転方向の動力に変換して出力軸28bに伝達される。出力軸28bの逆回転方向の動力が逆回転伝達部29を介して搬送駆動軸42に、搬送装置40を逆回転方向に駆動する動力として伝達される。逆回転伝達部29は、ベルトテンションクラッチによって構成され、入り状態と切り状態とに切り換え可能になっている。逆回転伝達部29を入り状態と切り状態とに切換え操作することにより、搬送駆動軸42への逆回転動力の伝達を入り状態と切り状態とに切換え操作できる。
【0041】
収穫部用の動力伝達機構30では、搬送駆動軸42の動力が収穫上手伝達部31によって分配伝達軸32に伝達され、分配伝達軸32からリール伝達機構33によって回転リール12へ伝達され、分配伝達軸32からオーガ伝達機構34によって横送りオーガ14へ伝達され、分配伝達軸32から刈取伝達機構35によって刈取装置13へ伝達される。
【0042】
収穫上手伝達部31は、搬送装置40の右横側方を搬送装置40の前後方向に沿う方向に延びている。収穫上手伝達部31には、搬送駆動軸42の右端側部分と、分配伝達軸32の左端側部分とを連動連結する無端チェーン36が備えられている。リール伝達機構33には、回転リール12への動力伝達を入り状態と切り状態とに切り換えるリールクラッチ33a、リールクラッチ33aからの動力を無段階に変速して回転リール12に伝達する無段変速部33bが備えられている。リールクラッチ33aを入り状態と切り状態とに切り換える操作により、回転リール12を駆動状態と停止状態とに切換え操作できる。無段変速部33bは、割プーリ及び無端ベルトを利用したベルト無段変速装置によって構成されている。
【0043】
逆回転伝達部29を切り状態に切り換え、正回転伝達機構23を入り状態に切り換えることにより、搬送装置40を正回転方向に駆動できる。逆回転伝達部29を入り状態に切り換え、正回転伝達機構23を切り状態に切り換えることにより、搬送装置40を逆回転方向に駆動できる。
【0044】
搬送装置40について説明する。
図4に示すように、搬送装置40には、搬送ケース43、及び、二つの無端回動搬送体44が備えられている。
【0045】
図4〜10に示すように、搬送ケース43には、底部43Aと、左右の側壁部43Bと、天板部43Cとが備えられている。搬送ケース43は、筒状に構成されている。搬送ケース43の前端部に入口45が形成されている。搬送ケース43の後端部に排出口46が形成されている。
【0046】
図4,5,6,7に示すように、搬送ケース43の前端部に、連結フレーム47が備えられている。
図4,5に示すように、連結フレーム47には、左右の縦向き連結フレーム部47a、左右の縦向き連結フレーム部47aの上端部に連結された上横向き連結フレーム部47b、左右の縦向き連結フレーム部47aの下端部に連結された下横向き連結フレーム部47cが備えられている。連結フレーム47は、入口45を囲う額縁状に構成されている。
【0047】
連結フレーム47が収穫部10の後壁部16(
図1参照)に連結されることにより、搬送装置40の前端部が収穫部10の後壁部16に接続される。搬送装置40の前端部と収穫部10の後壁部16とが接続されると、入口45と、後壁部16に形成されている穀稈排出口とが連通する。
【0048】
図4,5に示すように、搬送装置40の後端部40Rの左右両横端部に連結筒軸41が備えられている。左右の連結筒軸41は、側壁部43Bから横外向きに延出されている。
連結筒軸41は、搬送駆動軸42に同芯状に外嵌している。左右の連結筒軸41が機体フレーム5の支持部に連結されることにより、搬送装置40は、搬送駆動軸42の軸芯を連結軸芯Pとして走行機体2に連結され、連結軸芯Pを揺動支点として走行機体2に対して上下揺動する。
【0049】
図9,10に示すように、搬送ケース43は、搬送装置40の後端部40Rにおいて、搬送ケース43の上下幅H(底部43Aと天板部43Cとの距離)が前側ほど広くなる状態で構成されている。搬送ケース43は、搬送装置40のうち、後端部40Rより前側に位置する前側部40Fにおいて、搬送ケース43の上下幅Hが前側ほど狭くなる状態で構成されている。後端部40Rの前端箇所40Rfから天板部43Cの前端箇所43Cfに近づくほど、搬送ケース43の上下幅Hが狭くなっている。本実施例では、搬送装置40の前側部40Fにおいて、搬送ケース43の上下幅Hが前側ほど狭くなる構成を採用しているが、搬送装置40の前側部40Fにおいて、搬送ケース43の上下幅Hが、前側部40Fの前後全長にわたって後端部40Rの前端箇所40Rfにおける上下幅と同じである構成を採用してもよい。後端部40Rの前端箇所40Rfにおける搬送ケース43の上下幅が、前側部40Fにおける搬送ケース43の上下幅よりも広い状態であって、最も広い上下幅となる構成、または、後端部40Rの前端箇所40Rfにおける搬送ケース43の上下幅が、前側部40Fにおける搬送ケース43の上下幅と同じ状態であって、最も広い上下幅となる構成を採用すればよい。
【0050】
図9,10に示すように、二つの無端回動搬送体44は、搬送ケース43の内部の左右側に分散させて設けられている。二つの無端回動搬送体44は、搬送装置40の前端部に設けられた従動輪体48と、搬送装置40の後端部40Rに設けられた駆動輪体49とに巻き回されている。無端回動搬送体44の長手方向での複数個所に係止搬送部44aが備えられている。左側の無端回動搬送体44の係止搬送部44aと、右側の無端回動搬送体44の係止搬送部44aとは、一体に形成されている。左右側の無端回動搬送体44は、無端チェーンによって構成されている。
【0051】
従動輪体48の回転支軸48aは、左右の側壁部43Bに支持されている。従動輪体48は、回転支軸48aの搬送ケース横方向に沿う方向に延びる軸芯を回転中心として搬送ケース43に対して回転可能となっている。
【0052】
駆動輪体49には、左側の無端回動搬送体44が係合する左側のチェーンスプロケット部49aと、右側の無端回動搬送体44が係合する右側のチェーンスプロケット部49aと、左右側のチェーンスプロケット部49aを連動連結した状態で支持する回転支軸49bとが備えられている。回転支軸49bは、左右の連結筒軸41を介して左右の側壁部43Bに支持されている。回転支軸49bは、搬送駆動軸42によって構成されている。駆動輪体49は、回転支軸49bの搬送ケース横方向に沿う方向に延びる軸芯を回転中心として搬送駆動軸42によって回転駆動され、左右側の無端回動搬送体44を連動させて駆動する。
【0053】
左側の無端回動搬送体44は、左テンション装置50の左側テンション輪体51によって張り操作され、駆動可能かつ搬送可能な張り状態に維持されている。右側の無端回動搬送体44は、右テンション装置60の右側テンション輪体61によって張り操作され、駆動可能かつ搬送可能な張り状態に維持されている。
【0054】
左側の無端回動搬送体44及び右側の無端回動搬送体44は、搬送駆動軸42が正回転方向に回動駆動されると、駆動輪体49によって正回転方向S(
図9,10参照)に駆動され、左側の無端回動搬送体44及び右側の無端回動搬送体44において、無端回動搬送体44のうちの搬送ケース内の下部に位置する部分が搬送経路部44Fを構成し、無端回動搬送体44のうちの搬送ケース内の上部に位置する部分が戻り経路部44Rを構成する。
【0055】
搬送装置40においては、正回転方向に駆動されると、左右側の無端回動搬送体44が正回転方向に駆動されて、左右側の無端回動搬送体44の搬送経路部44Fが搬送装置40の後側に向けて移送される。これにより、収穫部10から入口45を介して搬送ケース43の前端部内に供給された刈取穀稈が、左右側の無端回動搬送体44の搬送経路部44Fの係止搬送部44aによる係止搬送によって搬送ケース43の底部43Aに沿わせて後方へ搬送され、排出口46から後方へ排出されて脱穀装置7に供給される。
【0056】
左テンション装置50について説明する。
図6,10,11,12に示すように、左テンション装置50には、左側テンション輪体51及び左側付勢機構55が備えられている。
【0057】
左側テンション輪体51は、搬送ケース43のうちの搬送ケース43の上下幅Hが最も広い部位(後端部40Rの前端箇所40Rfが位置する部位)において、左側の無端回動搬送体44のループ内に設けられている。左側テンション輪体51は、左側支持アーム52の遊端部に相対回転可能に支持されている。左側支持アーム52は、搬送ケース43の内部において、搬送ケース43の左側壁部43Bに支軸53を介して支持されている。左側支持アーム52は、支軸53を揺動支点Xとして搬送ケース43に対して揺動昇降可能となっている。左側テンション輪体51は、支軸53を揺動支点Xとして搬送ケース43に対して左側の無端回動搬送体44のループの内外方向に揺動移動可能となっている。
【0058】
図11,12,13に示すように、左側付勢機構55は、搬送ケース43の左横外側に設けられている。左側付勢機構55は、左側支持アーム52よりも下側に位置している。
【0059】
左側付勢機構55には、左付勢杆56、及び、左付勢スプリングとしての左の圧縮スプリング57が備えられている。左側支持アーム52のうち、支軸53(揺動支点X)に対して左側テンション輪体51が位置する側と反対側の箇所において、左側支持アーム52と、左付勢杆56の上端側とが連結杆56aを介して相対回転可能に連結されている。連結杆56aは、左側壁部43Bに形成された長孔58を挿通している。連結杆56aは、長孔58の内部を昇降移動可能となっている。左付勢杆56の下端側は、固定バネ受け部材59をスライド昇降可能に挿通している。固定バネ受け部材59は、左側壁部43Bの外面側に固定されている。圧縮スプリング57は、左付勢杆56のバネ受け部56bと、固定バネ受け部材59との間に、左付勢杆56に外嵌合する状態で配置されている。圧縮スプリング57は、左側支持アーム52のうち、支軸53(揺動支点X)に対して左側テンション輪体51が位置する側と反対側の箇所に左付勢杆56によって連結されている。
【0060】
左テンション装置50においては、左側付勢機構55において左付勢杆56が圧縮スプリング57によって引き下げ付勢されることにより、左側支持アーム52が圧縮スプリング57によって張り側に揺動付勢されて、左側テンション輪体51が上昇側に移動付勢される。これにより、左側の無端回動搬送体44の戻り経路部44Rにおける後端部を左側テンション輪体51によって無端回動搬送体44のループ外に向けて押圧し、左側の無端回動搬送体44を張り操作する。
【0061】
右テンション装置60について説明する。
図7,9,11,12に示すように、右テンション装置60には、右側テンション輪体61及び右側付勢機構65が備えられている。
【0062】
右側テンション輪体61は、搬送ケース43のうちの搬送ケース43の上下幅Hが最も広い部位(後端部40Rの前端箇所40Rfが位置する部位)において、右側の無端回動搬送体44のループ内に設けられている。右側テンション輪体61は、右側支持アーム62の遊端部に相対回転可能に支持されている。右側支持アーム62は、搬送ケース43の内部において、搬送ケース43の右側壁部43Bに支軸53を介して支持されている。右側支持アーム62は、支軸53を揺動支点Xとして搬送ケース43に対して揺動昇降可能となっている。右側テンション輪体61は、支軸53を揺動支点Xとして搬送ケース43に対して右側の無端回動搬送体44のループの内外方向に揺動移動可能となっている。
【0063】
図11,12,13に示すように、右側付勢機構65は、搬送ケース43の右横外側に設けられている。右側付勢機構65は、右側支持アーム62よりも上側に位置している。
図3,7,12に示すように、右側付勢機構65の下方を、収穫部用の動力伝達機構30における収穫上手伝達部31が前後方向に通過している。
【0064】
右側付勢機構65には、右付勢杆66、及び、右付勢スプリングとしての右の圧縮スプリング67が備えられている。右側支持アーム62のうち、支軸53(揺動支点X)に対して右側テンション輪体61が位置する側と同じ側の箇所において、右側支持アーム62と、右付勢杆66の上端側とが連結杆66aを介して相対回転可能に連結されている。連結杆66aは、右側壁部43Bに形成された長孔68を挿通している。連結杆66aは、長孔68の内部を昇降移動可能となっている。右付勢杆66の上端側は、固定バネ受け部材69をスライド昇降可能に挿通している。固定バネ受け部材69は、右側壁部43Bの外面側に固定されている。詳しくは、固定バネ受け部材69は、後述する第2の縦補強フレーム74を介して右側壁部43Bに固定されている。圧縮スプリング67は、右付勢杆66のバネ受け部66bと、固定バネ受け部材69との間に、右付勢杆66に外嵌合する状態で配置されている。圧縮スプリング67は、右側支持アーム62のうち、支軸53(揺動支点X)に対して右側テンション輪体61が位置する側と同じ側の箇所に右付勢杆66によって連結されている。
【0065】
右テンション装置60においては、右側付勢機構65において右付勢杆66が圧縮スプリング67によって引き上げ付勢されることにより、右側支持アーム62が圧縮スプリング67によって張り側に揺動付勢されて、右側テンション輪体61が上昇側に移動付勢される。これにより、右側の無端回動搬送体44の戻り経路部44Rにおける後端部を右側テンション輪体61によって無端回動搬送体44のループ外に向けて押圧し、右側の無端回動搬送体44を張り操作する。
【0066】
図11,12に示すように、支軸53は、左側支持アーム52と右側支持アーム62とに亘っている。
図13に示すように、左側支持アーム52の揺動支点Xと、右側支持アーム62の揺動支点Xとが同一線上に位置している。左側支持アーム52における揺動支点Xから輪体支持点52aまでの距離をL1とし、左側支持アーム52における揺動支点Xからスプリング作用52bまでの距離RL2とする。
図14に示すように、右側支持アーム62における揺動支点Xから輪体支持点62aまでの距離をR1とし、右側支持アーム62における揺動支点Xからスプリング作用点62bまでの距離R2とする。距離L1=距離R1、距離L2=距離R2となっている。左側付勢機構55の圧縮スプリング57と、右側付勢機構65の圧縮スプリング67とは、同じ特性(バネ係数、線径、コイル径、長さ)を備えている。
【0067】
図4,5,9に示すように、搬送装置40の前端部における搬送ケース43の天板部43Cに、上前の点検口70と、上前の点検口70を開閉する蓋体71とが備えられている。上前の点検口70は、天板部43Cのうち、従動輪体48の後方上方箇所の部位に形成されている。蓋体71は、脱着可能に構成されている。蓋体71には、透明板部71aが備えられている。
【0068】
図4〜9に示すように、搬送装置40の前端部における搬送ケース43の左右の側壁部43Bの外面側に、搬送ケース43の上下方向に延びる第1の縦補強フレーム72が取付けられている。左右の第1の縦補強フレーム72は、左右の側壁部43Bのうち、側面視で上前の点検口70の下方に位置する部位に取付けられている。搬送装置40の前端部における底部43Aの外面側に、搬送ケース43を左右に跨ぐ状態の第1の横補強フレーム73が取付けられている。左右の第1の縦補強フレーム72の下端が第1の横補強フレーム73の端部に連結されている。搬送ケース43の上前の点検口70を備える部位が第1の縦補強フレーム72及び第1の横補強フレーム73によって補強されている。本実施例では、左右の第1の縦補強フレーム72は、横断面形状が溝形状の部材によって構成してある。第1の横補強フレーム73は、矩形のパイプ材によって構成してある。第1の縦補強フレーム72及び第1の横補強フレーム73としては、溝形部材、矩形のパイプ材に限らず、アングル部材、円形のパイプ材など形状が各種異なる部材を採用可能である。
【0069】
図4〜8に示すように、搬送装置40の中間部にける搬送ケース43の左右の側壁部43Bの外面側に、搬送ケース43の上下方向に延びる第2の縦補強フレーム74が取付けられている。搬送装置40の中間部にける搬送ケース43の底部43Aの外面側に、搬送ケース43を左右に跨ぐ状態の第2の横補強フレーム75が取付けられている。左右の第2の縦補強フレーム74の下端が第2の横補強フレーム75の端部に連結されている。本実施例では、左右の第2の縦補強フレーム74及び第2の横補強フレーム75は、横断面形状が溝形状の部材によって構成してある。第2の縦補強フレーム74及び第2の横補強フレーム75としては、溝形部材に限らず、円形や矩形のパイプ材、アングル部材など形状が各種異なる部材を採用可能である。
【0070】
図4,11,13に示すように、左右の第2の縦補強フレーム74に軸支部74aが備えられている。支軸53の左右側の端部が左右の軸支部74aに支持されている。左側支持アーム52及び右側支持アーム62が支軸53を介して左右の第2の縦補強フレーム74に枢支されている。左側壁部43Bの左側支持アーム52を支持する部位、及び、右側壁部43Bの右側支持アーム62を支持する部位が第2の縦補強フレーム74及び第2の横補強フレーム75によって補強されている。
【0071】
図4,5,9に示すように、搬送装置40の後端部40Rにおける搬送ケース43の天板部43Cに、上後の点検口76と、上後の点検口76を開閉する蓋体77とが備えられている。
【0072】
上後の点検口76は、天板部43Cのうち、駆動輪体49の上方箇所(駆動輪体49に対応する箇所)から左側テンション輪体51及び右側テンション輪体61の上方箇所(左側テンション輪体51及び右側テンション輪体61に対応する箇所)に亘る範囲の部位に形成されている。搬送ケース43の上方から上後の点検口76を介して左側テンション輪体51、右側テンション輪体61及び駆動輪体49等を点検できる。
【0073】
蓋体77は、脱着可能に構成されている。蓋体77には、透明板部77aが備えられている。蓋体77を閉じたままでも、搬送ケース43の上方から透明板部77aを通して左側テンション輪体51、右側テンション輪体61及び駆動輪体49を視ることができる。
【0074】
図4,6,7,8,15に示すように、搬送装置40の後端部40Rにおける搬送ケース43の左右の側壁部43Bの外面側に、搬送ケース43の上下方向に延びる第3の縦補強フレーム78が取付けられている。左右の第3の縦補強フレーム78は、側壁部43Bのうち、側面視で上後の点検口76の下方に位置する部位に取付けられている。搬送装置40の後端部40Rにおける搬送ケース43の底部43Aの外面側に、搬送ケース43を左右に跨ぐ状態の第3の横補強フレーム79が取付けられている。左右の第3の縦補強フレーム78の下端が第3の横補強フレーム79の端部に連結されている。搬送ケース43の上後の点検口76を備える部位が第3の縦補強フレーム78及び第3の横補強フレーム79によって補強されている。
【0075】
本実施例では、左右の第3の縦補強フレーム78は、横断面形状が溝形状の部材によって構成してある。第3の横補強フレーム79は、横断面形状がL字形状の部材によって構成してある。が第3の縦補強フレーム78及び第3の横補強フレーム79としては、溝形部材、L字状部材に限らず、アングル部材、円形や矩形のパイプ材など、形状が異なる各種の部材を採用可能である。
【0076】
図8,9に示すように、搬送ケース43の底部43Aに、下点検口80と、下点検口80を開閉可能な蓋体81とが備えられている。下点検口80は、底部43Aのうち、従動輪体48の下方に位置する部位に形成されている。搬送ケース43の下方から下点検口80を介して従動輪体48などを点検できる。
【0077】
図9,16に示すように、底部43Aにおける下点検口80よりも前側の部位に、搬送ケース43の横方向に沿って延びる前横向きフレームとしての下横向き連結フレーム部47cが備えられている。底部43Aにおける下点検口80よりも後側の部位に、搬送ケース43の横方向に沿って延びる後横向きフレームとしての第1の横補強フレーム73が備えられている。第1の横補強フレーム73の下面部と、底部43Aのうちの第1の横補強フレーム73よりも後側の部位とに亘って当て板82が取付けられている。底部43Aにおける下点検口80の左右両側の部位に、搬送ケース43の前後方向に沿って延びる左右の前後向きフレーム83が備えられている。左右の前後向きフレーム83は、下横連結フレーム部47Cの後部と、第1の横補強フレーム73の前部とにわたっている。底部43Aの下点検口80を備えている部位が下横向き連結フレーム部47C、第1の横補強フレーム73、左右の前後向きフレーム83によって補強されている。
【0078】
本実施例では、左右の前後向きフレーム83は、横断面形状がL字形状の部材によって構成されている。左右の前後向きフレーム83は、横辺部の下点検口側と反対側の端部から縦辺部が立ち上がる取付姿勢で取り付けられている。前後向きフレーム83としては、L字状部材の他、アングル、円形や矩形のパイプ部材、帯板部材など形状が異なる各種の部材を採用可能である。
【0079】
図16に示すように、底部43Aにおける下点検口80と下横連結フレーム部47Cとの間の部位に、帯板状の前蓋受け部材84が備えられている。底部43Aにおける下点検口80と第1の横補強フレーム73との間の部位に、帯板状の後蓋受け部材85が備えられている。
【0080】
図8,17,18に示すように、蓋体81の表面側に、搬送ケース43の横方向に沿う方向に延びる補強部材86が取付けられている。蓋体81の後端部の裏面側に、隙間埋め部材87が備えられている。蓋体81の外周のうち、蓋体81の左横端側及び右横端側の部位に接当部88が備えられている。
図18,19に示すように、搬送ケース43の底部43Aのうちの前後向きフレーム83に対応する部位に穴89が形成されている。
【0081】
図18,19に示すように、左右の接当部88を左右の前後向きフレーム83に下方から接当させ、接当部88及び前後向きフレーム83を挿通するネジ部材90を締め込み操作することにより、蓋体81を前後向きフレーム83に取り付けることができ、下点検口80を蓋体81によって閉じることができる。下点検口80を閉じた場合、蓋体81の前端部と底部43Aとの隙間が前蓋受け部材84によって閉塞され、蓋体81の後端部と底部43Aとの隙間が後蓋受け部材85によって閉塞される。
図8,17に示すように、下点検口80を閉じた場合、蓋体81に備えてある隙間埋め部材87が下点検口80の後端部に入り込み、蓋体81の後端部と底部43Aとの隙間が隙間埋め部材87によって閉塞される。また、下点検口80に入り込んだ隙間埋め部材87は、底部43Aにおける下点検口周縁部のうちの下点検口80の後側に位置する後周縁部43Rの前側に位置する。これにより、搬送される穀稈が後周縁部43Rに接触することが隙間埋め部材87によって防止され、後周縁部43Rが穀稈の接触によって磨滅することを回避できる。隙間埋め部材87が穀稈の接触によって磨滅した場合、蓋体81を交換することで済む。
【0082】
図18,19に示すように、ネジ部材90は、ネジ部材90の頭部90aが搬送ケース43の内部に位置して穴89に収容される状態で前後向きフレーム83あるいは底部43Aに予め固定されている。頭部90aが穴89に収容されるので、搬送される刈取り穀稈が頭部90aに触れ難くい。これにより、ネジ部材90が磨滅し難い。
【0083】
図8に示すように、底部43Aのうち、第1の横補強フレーム73と、第2の横補強フレーム75との間の部位に、後下点検口92と、後下点検口92を開閉可能な蓋体93とが備えられている。
【0084】
〔別実施形態〕(1)上記した実施例では、搬送装置40の前側部40Fにおいて、搬送ケース43の上下幅Hが前側ほど狭くなる構成を採用した例を示したが、搬送装置40の前側部40Fにおいて、搬送ケース43の上下幅Hが、前側部40Fの前後全長にわたって後端部40Rの前端箇所40Rfの上下幅と同じになる構成を採用して実施してもよい。
【0085】
(2)上記した実施例では、従動輪体48を搬送装置40の前端部に設け、駆動輪体49を搬送装置40の後端部に設けた例を示したが、従動輪体48を搬送装置40の後端部に設け、駆動輪体49を搬送装置40の前端部に設けて実施してもよい。
【0086】
(3)上記した実施例では、搬送ケース内の左右側に設けた無端回動搬送体44を備え、左側テンション輪体51及び右側テンション輪体61を設けた例を示したが、無端回動搬送体44及びテンション輪体を一つだけ設けて実施してもよい。
【0087】
(4)上記した実施例では、左側付勢機構55及び右側付勢機構65に圧縮スプリング57,67を備えた例を示したが、圧縮スプリングに代えて引張スプリングを備えてもよい。
【0088】
(5)上記した実施例では、左側付勢機構55を左側支持アーム52よりも下側に設け、右側付勢機構65を右側支持アーム62よりも上側に設けた例を示したが、収穫上手伝達部31が搬送装置40の左側を通るなどの場合、左側付勢機構55を左側支持アーム52よりも上側に設け、右側付勢機構65を右側支持アーム62よりも下側に設けて実施してもよい。また、左側付勢機構55及び右側付勢機構65を共に支持アームよりも上側に、または、支持アームよりも下側に設けて実施してもよい。
【0089】
(6)上記した実施例では、上後の点検口76及び下点検口80を設けた例を示したが、上後の点検口76及び下点検口80のいずれか一方だけを設けて実施してもよい。また、上後の点検口76及び下点検口80を共に設けずに実施してもよい。
【0090】
(7)上記した実施例では、縦補強フレーム74,78及び横補強フレーム75,79を備えた例を示したが、縦補強フレーム74,78を備え、横補強フレーム75,79を備えずに実施してもよい。また、縦補強フレーム74,78及び横補強フレーム75,79を共に備えずに実施してもよい。