(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
500から100,000の分子量を有し、5から80モル%のジチオカルバミン酸塩基を含む錯体形成量の水溶性エチレンジクロリドアンモニアポリマを、前記プロセスストリームに添加してセレンの錯体を形成させる追加の処理をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この開示のために、図面内の同様の参照番号は、別記されない限り、同様の特徴を示す。図面は、発明の原理の例示にすぎず、発明を、図示された特定の実施形態に制限することを意図しない。
【0013】
下記定義は、本出願において、特に特許請求の範囲において使用されている用語がどのように解釈されるべきかを決定するために提供される。定義の組織化は、便宜上にすぎず、定義のいずれも、いずれかの特定のカテゴリに制限することは意図されない。
【0014】
「ACXA」は、アクリル酸−x−アルキルアミンコポリマを意味する。
【0015】
「DAF」は、溶存空気浮上ユニットを意味する。
【0017】
「PES」は、ポリエーテルスルホンを意味する。
【0018】
「PDTC」は、ジチオカルバメート官能基を有する全ての形態のポリマを含むポリジチオカルバメートを意味する。
【0019】
「DTC」は、ジチオカルバメートを意味する。
【0020】
「TTC」は、トリチオカーボネートを意味する。
【0021】
「PTTC」は、トリチオカーボネート官能基を有する全ての形態のポリマを含むポリトリチオカーボネートを意味する。
【0022】
「チオカルバメート材料」は、DTCまたはTTC官能基を含む物質組成物を意味し、DTC、TTC、PTTC、PDTC、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0023】
「から本質的に構成される」は、方法および組成物が追加の工程、構成成分、材料成分などを含み得ることを意味するが、追加の工程、構成成分および/または材料成分が特許請求される方法および組成物の基本および新規特性を実質的に変化させない場合のみである。
【0024】
「フィルタ」は、これに通過させられる液体内から懸濁材料を除去するように構築され、配列された構造物を意味する。
【0025】
「メンブレン」は、これを通って物質移動が起こり得るその厚さよりもずっと大きな横寸法を有する構造物を意味し、メンブレンは液体を濾過するために使用され得る。
【0026】
「浸漬型メンブレン」は、液体の表面層の完全に下に配置され、これが浸漬されている液体内に懸濁されている材料の物質移動を実施させるメンブレンを意味する。
【0027】
「MF」は、精密濾過、0.1μmより大きな粒子および溶解巨大分子はメンブレンを通過しないメンブレンに基づく分離プロセスを意味し、MFは圧力駆動されてもよい。
【0028】
「NF」は、ナノ濾過、1nmより大きな粒子および溶解巨大分子はメンブレンを通過しないメンブレンに基づく分離プロセスを意味し、NFは圧力駆動されてもよい。
【0029】
「UF」は、限外濾過、0.1μmより小さく、2nmより大きな粒子および溶解巨大分子はメンブレンを通過しないメンブレンに基づく分離プロセスを意味し、UFは圧力駆動されてもよい。
【0030】
「RO」は、逆浸透、1つ以上の望まれないアイテムを水から除去するために、水中で浸透圧(束一的性質)を克服するために静水力(熱力学パラメータ)を使用する水精製技術を意味し、ROはメンブレンに基づく分離プロセスであってもよく、この場合、浸透圧が静水力により克服され、化学ポテンシャルにより駆動されてもよく、ROは圧力駆動されてもよく、ROは多くの型の分子およびイオンを溶液から除去することができ、産業プロセスおよび飲用水の生成の両方において使用され、加圧ROプロセスでは、溶質はメンブレンの加圧側に保持され、純粋な溶媒は通過して反対側に行くことができ、「選択的」とするために、ROメンブレンは、大きな分子またはイオンは細孔(穴)を通過することができないようなサイズとしてもよく、しばしば、溶液のより小さな構成成分(例えば、溶媒)のみが自由に通過するようにされ、場合によっては0.5nmより大きな溶解分子はメンブレンを通過しない。
【0031】
「有効量」は、未投与対照サンプルと比較すると、3つの分位点の1つの増加を提供する任意の添加物の投与量を意味する。
【0032】
「から本質的に構成される」は、方法および組成物が追加の工程、構成成分、材料成分などを含むことができるが、追加の工程、構成成分および/または材料成分が特許請求される方法および組成物の基本および新規特性を実質的に変化させない場合のみであることを意味する。
【0033】
「ppt」は、1兆分の1を意味する。
【0034】
「キレート剤スカベンジャー」は、キレート剤と錯形成することができる化合物を意味する。これらのスカベンジャーは通常塩形態であるが、これに限定されない。
【0035】
「ポリマキレート剤」は、重金属と反応する、および/または錯形成するポリマ分子を意味する。
【0036】
「両性ポリマ」は、カチオン性モノマおよびアニオン性モノマの両方、および、場合により、他の非イオン性モノマ(複数可)から誘導されたポリマを意味する。両性ポリマは正味の正または負電荷を有することができる。両性ポリマはまた、双性イオンのモノマおよびカチオン性またはアニオン性モノマおよび場合により非イオン性モノマから誘導することができる。両性ポリマは水溶性である。
【0037】
「カチオン性ポリマ」は、全体的な正電荷を有するポリマを意味する。この発明のカチオン性ポリマは、1つ以上のカチオン性モノマを重合させることにより、1つ以上の非イオン性モノマと1つ以上のカチオン性モノマを共重合させることにより、エピクロロヒドリンおよびジアミンまたはポリアミンを縮合させることにより、あるいはエチレンジクロリドおよびアンモニアまたはホルムアルデヒドおよびアミン塩を縮合させることにより調製される。カチオン性ポリマは水溶性である。
【0038】
「双性イオンポリマ」は、双性イオンのモノマおよび、場合により、他の非イオン性モノマ(複数可)から構成されるポリマを意味する。双性イオンポリマでは、ポリマ鎖およびそれらの鎖内のセグメントは全て、厳密には電気的に中性である。そのため、双性イオンポリマは、全てのポリマ鎖およびセグメントにわたって電荷的中性を必然的に維持する両性ポリマのサブセットを表し、というのも、アニオン電荷およびカチオン電荷の両方が、同じ双性イオンのモノマ内に導入されるからである。双性イオンポリマは水溶性である。
【0039】
「アニオン性ポリマ」は、全体的な負電荷を有するポリマを意味する。この発明のアニオン性ポリマは、1つ以上のアニオン性モノマを重合させることにより、または1つ以上の非イオン性モノマおよび1つ以上のアニオン性モノマを共重合させることにより調製される。アニオン性ポリマは水溶性である。
【0040】
万一、上記定義または本出願のどこかで述べられた記載が、辞書で普通に使用される、または本出願に参照により組み込まれる情報源で述べられている意味(明確または暗示的)と矛盾する場合には、本出願および特許請求の範囲の用語は特に、一般的な定義、辞書定義、または参照により組み込まれた定義に従うのではなく、本出願における定義または記載に従い解釈されるべきであると理解される。以上を考慮すると、万一、辞書により解釈されることによってのみ用語が理解できるという場合には、用語がカーク・オスマー化学技術大辞典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第5版、(2005年)、(ジョン・ウィリー&サンズ社(Wiley, John & Sons, Inc.)により出版)により定義されているならば、その定義が、その用語が特許請求の範囲でどのように定義されるべきかを規制することになるであろう。
【0041】
発明の少なくとも1つの実施形態は、水をスカベンジャーポリマで処理する工程、その後、水をフィルタに通過させる工程を含む、金属を水のサンプルから除去することに関する。実施例セクションで証明されるように、捕捉ポリマとフィルタの組み合わせにより、その部分の合計よりも大きな、予想外の相乗効果が得られる。
【0042】
発明または特許請求の範囲を解釈する際に与えられる範囲の特定の理論または設計により制限はされないが、捕捉ポリマが金属と相互作用し、錯体を形成する場合、得られた凝集錯体構造のサイズは広いサイズ分布を有し得ると考えられる。ポリマ単独の使用により、いくつかの錯体構造が形成し、それらは、非常に小さいため、容易に除去可能な相層に移動せず、フィルタを使用しなければ水中に残ったままであろう。しかしながら、ポリマなしでフィルタを使用しても、溶解金属は自由にフィルタを通過するので、ほとんど無効であろう。
【0043】
しかしながら、フィルタをポリマ処理と組み合わせることにより、そうでなければ除去できないであろう小さな錯体粒子を含む、大きなおよび小さなポリマ−金属錯体粒子の両方共が、除去できる。少なくとも1つの実施形態では、ポリマとの接触とフィルタ通過の間の時間は非常に短く、そのため、別々の相分離は起こらない。
【0044】
時間は、下記の1つ以上であってもよい:1−30、1−2、2−3、3−4、4−5、5−6、6−7、7−8、8−9、9−10、10−11、11−12、12−13、13−14、14−15、15−16、16−17、17−18、18−19、19−20、20−21、21−22、22−23、23−24、24−25、25−26、26−27、27−28、28−29、および/または29−30分、およびそれらの任意の組み合わせ。少なくとも1つの実施形態では、接触を支配する条件は、実質的に(または本質的には完全に)微粒子サイズの錯体粒子のみが形成し、その結果、フィルタがそれらのより小さな錯体粒子を除去するようなサイズとされるので、それらのみが除去可能となるようなものである。
【0045】
少なくとも1つの実施形態では、スカベンジャーポリマ(scavenger polymer)は、米国特許第8,211,389号、および米国特許出願公開第2012/0178864号、同第2013/0131253号、および同第2012/0177555号の1つ以上に記載されるもののうちの1つである。少なくとも1つの実施形態では、スカベンジャーポリマは、アクリル酸−xモノマおよびアルキルアミンモノマから構築されたコポリマである。アクリル酸−xモノマは下記式に従い:
【化2】
式中、Xは=OR、OHおよびその塩、またはNHR2であり、Rは、アルキル基、アリール基、およびアルケン基から独立して選択され、R1およびR2は、H、アルキル基、アリール基、およびアルケン基から独立して選択され、ポリマ骨格の分子量は500から200,000ダルトンの間であり、ポリマ骨格の化学結合は蛍光発光量の共役二重結合を含み、ポリマは、ポリマ骨格に、媒質中の少なくとも1つの金属を捕捉することができる官能基を付着させることにより官能化される。
【0046】
少なくとも1つの実施形態では、アルキルアミンは2から14の炭素原子の範囲、および2から8の窒素原子の範囲を有する。
【0047】
少なくとも1つの実施形態では、Rは1から24の炭素原子の範囲を有する。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、R1は1から24の炭素原子の範囲を有する。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、R2は1から24の炭素原子の範囲を有する。
【0050】
少なくとも1つの実施形態では、共役二重結合は、ポリマ骨格の化学結合の少なくとも10%を占める。他の実施形態では、共役二重結合は、ポリマ骨格の化学結合の少なくとも20%を占める。
【0051】
ポリマ骨格の分子量は様々な検討事項により変動し得る。例えば、ポリマに対する標的種および/または適用が考慮され得る。別の検討事項はモノマ選択とすることができる。分子量は様々な手段により測定および/または計算することができるが、この開示の分子量測定は、サイズ排除クロマトグラフィーにより実施した。
【0052】
分子量が本出願で言及される場合、未修飾ポリマ、言い換えればポリマ骨格に対する分子量が示される。ポリマ骨格に付加される官能基は、明確に記載されない限り、計算の一部とはなっていない。よって、官能基を含むポリマの分子量は、全ての列挙された分子量範囲をはるかに超える可能性がある。
【0053】
ある一定の実施形態では、ポリマ骨格の分子量は1,000から16,000ダルトン、またはそれ以上である。
【0054】
ある一定の実施形態では、ポリマ骨格の分子量は1,500から8,000ダルトン、またはそれ以上である。
【0055】
少なくとも1つの実施形態では、官能基はポリマ骨格に付着されており、1つ以上の金属に結合することができ、ここで、「金属」という用語は金属含有化合物を含む。加えて、「1つの官能基」という用語は、1つまたは任意の数の官能基がポリマ骨格に付着され得ることを示すために使用される。1を超える官能基がポリマ骨格に付着され得るが、単一の官能基は本開示の範囲内であろう。
【0056】
少なくとも1つの実施形態では、官能基は、少なくとも1つのスルフィド化合物を含む。
【0057】
少なくとも1つの実施形態では、官能基はジチオカルバミン酸塩基である。
【0058】
少なくとも1つの実施形態では、金属捕捉ポリマは組成物の一部である。ある一定の実施形態では、組成物は、水をさらに含んでもよい。
【0059】
少なくとも1つの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの金属を含む、ある量の媒質をさらに含んでもよい。
【0060】
少なくとも1つの実施形態では、組成物は、下記からなる群より選択される少なくとも1つの金属をさらに含んでもよい:銅、ニッケル、亜鉛、鉛、水銀、カドミウム、銀、鉄、マンガン、パラジウム、白金、ストロンチウム、セレン、ヒ素、コバルト、金、およびそれらの任意の組み合わせ。
【0061】
少なくとも1つの実施形態では、組成物は、500から100,000ダルトンの分子量を有するポリマ骨格を有し、ジチオカルバミン酸塩基で5から80モルパーセント官能化された、水溶性エチレンジクロリドアンモニアポリマをさらに含んでもよい。ジチオカルバメートは、非官能化ポリマの二硫化炭素との反応により得られる官能基である。
【0062】
少なくとも1つの実施形態では、金属捕捉ポリマの官能基は、下記の少なくとも1つである:アルキレンホスフェート基、アルキレンカルボン酸およびその塩、オキシム基、アミドオキシム基、ジチオカルバミン酸およびその塩、ヒドロキサム酸、および窒素酸化物。
【0063】
官能化、すなわち、ポリマ骨格の総アミンに対する官能基のモル量は同様に変動し得る。例えば、3モル当量の二硫化炭素対1:1モル比アクリル酸/テトラエチレンペンタミンコポリマ(「TEPA」)の反応(重合後に4モル当量のアミン/反復単位を含む)により、75パーセント官能化された、すなわち、可能な総結合部位の75パーセントでポリマ骨格に付着されたジチオカルバミン酸塩基を有するポリマが得られる。言い換えれば、ポリマ骨格内の総アミンの75パーセントが、ジチオカルバミン酸塩基に変換された。
【0064】
ある一定の実施形態では、金属捕捉ポリマは、ジチオカルバミン酸塩基で5から100パーセント官能化される。他の実施形態では、ポリマは、ジチオカルバミン酸塩基で25から90パーセント官能化される。さらに他の実施形態では、ポリマはジチオカルバミン酸塩基で55から80パーセント官能化される。
【0065】
前に記載されるように、本明細書で開示される金属捕捉ポリマは、少なくとも2つのモノマ:アクリル酸−xおよびアルキルアミンから誘導されたポリマ骨格を含む。アルキルアミンは様々な種類が可能である。
【0066】
少なくとも1つの実施形態では、アルキルアミン下記の少なくとも1つである:エチレンアミン、ポリエチレンポリアミン、エチレンジアミン(「EDA」)、ジエチレントリアミン(「DETA」)、トリエチレンテトラアミン(「TETA」)、テトラエチレンペンタミン(「TEPA」)、およびペンタエチレンヘキサミン(「PEHA」)。
【0067】
アクリル酸−xモノマ群は同様に変動し得る。
【0068】
少なくとも1つの実施形態では、アクリル酸−xは下記の少なくとも1つである:アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびメタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、およびメタクリル酸プロピル。
【0069】
少なくとも1つの実施形態では、アクリル酸−xは下記の少なくとも1つである:アクリル酸およびその塩、メタクリル酸およびその塩、アクリルアミド、およびメタクリルアミド。
【0070】
蛍光金属捕捉ポリマを構成するモノマ間のモル比は変動し得る。より特定的には、アクリル酸−xおよびアルキルアミンの相対量は変動する可能性があり、所望の得られるポリマ生成物に依存し得る。使用されるモル比は、アルキルアミンのモルで割ったアクリル酸−xのモルとして規定される。
【0071】
少なくとも1つの実施形態では、アクリル酸−xとアルキルアミンの間のモル比は0.85から1.5である。
【0072】
少なくとも1つの実施形態では、アクリル酸−xとアルキルアミンの間のモル比は1.0から1.2である。
【0073】
少なくとも1つの実施形態では、アクリル酸−xはアクリル酸エステルであり、アルキルアミンは、PEHA、TEPA、DETA、TETA、EDA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。少なくとも1つの実施形態では、アクリル酸−xとアルキルアミンの間のモル比は0.85から1.5である。さらに他の実施形態では、ポリマ骨格の分子量は、下記範囲を含むことができる:500から200,000、1,000から16,000、または1,500から8,000。少なくとも1つの実施形態では、アクリル酸エステルは、下記の少なくとも1つとすることができ:アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびメタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、およびメタクリル酸プロピル、これは、少なくとも1つのアルキルアミンと組み合わされ、アルキルアミンはPEHA、TEPA、DETA、TETA、またはEDAを含んでもよい。他の実施形態では、得られたポリマは、下記範囲のジチオカルバミン酸塩基を含むように官能化される:5から100パーセント官能化、25から90パーセント官能化、55から80パーセント官能化。
【0074】
少なくとも1つの実施形態では、アクリル酸−xはアクリルアミドであり、アルキルアミンは下記からなる群より選択される:TEPA、DETA、TETA、およびEDA。他の実施形態では、アクリル酸−xとアルキルアミンの間のモル比は0.85から1.5である。さらに他の実施形態では、蛍光金属捕捉ポリマの分子量は、下記範囲を含むことができる:500から200,000、1,000から16,000、または1,500から8,000ダルトン。さらに他の実施形態では、アクリルアミドは、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの少なくとも1つとすることができ、これは少なくとも1つのアルキルアミンと組み合わされ、アルキルアミンは、下記の少なくとも1つを含んでもよい:PEHA、TEPA、DETA、TETA、EDA。他の実施形態では、得られたポリマは、下記範囲のジチオカルバミン酸塩基を含むように官能化される:5から100パーセント官能化、25から90パーセント官能化、55から80パーセント官能化、または少なくとも55パーセント官能化。
【0075】
少なくとも1つの実施形態では、蛍光金属捕捉ポリマの官能基はジチオカルバミン酸塩基であり、ポリマは、ポリマ骨格の可能な総官能化に基づき、ジチオカルバミン酸塩基で5から100パーセント官能化される。
【0076】
少なくとも1つの実施形態では、アクリル酸−xはアクリル酸またはその塩であり、アルキルアミンは、下記からなる群より選択される:PEHA、TEPA、DETA、TETA、EDA、およびそれらの任意の組み合わせ。他の実施形態では、アクリル酸−xとアルキルアミンの間のモル比は0.85から1.5である。さらに他の実施形態では、ポリマ骨格の分子量は、下記範囲を含むことができる:500から200,000、1,000から16,000、または1,500から8,000ダルトン。他の実施形態では、アクリル酸は、アクリル酸またはその塩およびメタクリル酸またはその塩の少なくとも1つとすることができ、これは少なくとも1つのアルキルアミンと組み合わされ、アルキルアミンは、TEPA、DETA、TETA、またはEDAを含んでもよい。さらに他の実施形態では、得られたポリマは、下記範囲のジチオカルバミン酸塩基を含むように官能化される:5から100パーセント官能化、25から90パーセント官能化、55から80パーセント官能化、または少なくとも55パーセント官能化。
【0077】
アクリル酸−xおよびアルキルアミンに加えて、他のモノマが、ポリマ骨格に組み込まれてもよい。縮合ポリマ反応スキームを使用して、ポリマ骨格を調製することができる。様々な合成方法を使用して、ポリマを、例えば、ジチオカルバメートおよび/または他の非−金属捕捉官能基で官能化することができる。
【0078】
また、本開示の蛍光金属捕捉ポリマは、他の小分子スルフィド沈殿剤、例えば硫化ナトリウム、水硫化ナトリウム、TMT−15(登録商標)(トリメルカプト−S−トリアジンのナトリウム塩またはカルシウム塩、エボニックインダストリーズ社(Evonik Industries Corporation)17211 Camberwell Green Lane、Houston、TX 77070、USA)、ジメチルジチオカルバメートおよびジエチルジチオカルバメートで官能化することができる。
【0079】
ある一定の実施形態では、ポリマ骨格は蛍光ポリ(アクリル酸−x/アルキルアミン)を含む。無−および低−蛍光ポリ(アクリル酸−x/アルキルアミン)ポリマ骨格の実施形態が、親出願(2010年4月6日に出願された米国特許出願第12/754,660号および2010年4月6日に出願された、米国特許出願第12/754,683号)で規定される。本開示のポリマ骨格は、親出願で開示されるものを超える温度、例えば、160℃超で、重合/脱水中、重合させることができ、より強く蛍光を発するポリマ骨格が生成される。本開示のポリマは、少なくとも1つの金属捕捉官能基をポリマ骨格に化学的に付着させることにより官能化される。
【0080】
特定の理論に縛られることは望まないが、本開示のポリマ骨格の調製中に使用される高温は、縮合重合中に二次的な、高エネルギー縮合/脱水反応を駆動すると考えられ、結果として、本明細書で記載されるポリマの強い光吸収および蛍光特性の原因となるフルオロフォアの量の増加が得られる。可能性のある化学反応順序を以下で提案する。本開示のポリマ骨格におけるフルオロフォアの量の増加は、二次的な、高エネルギー縮合/脱水反応による、共役二重結合の形成の増加の結果であると考えられる。スカベンジャーポリマを合成する方法および提案されるフルオロフォアメカニズムおよび構造を以下に示す。
【化3】
【0081】
捕捉される金属としては、ゼロ価、一価、および多価金属が挙げられるが、それらに限定されない。少なくとも1つの金属は、有機または無機化合物により結合されてもよく、またはされなくてもよい。また、少なくとも1つの金属は放射性および非放射性とすることができる。例としては、遷移金属および重金属が挙げられるが、それらに限定されない。具体的な金属としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:銅、ニッケル、亜鉛、鉛、水銀、カドミウム、銀、鉄、マンガン、パラジウム、白金、ストロンチウム、セレン、ヒ素、コバルト、金、およびそれらの組み合わせ。
【0082】
フィルタは、懸濁材料を液体担体媒質から除去するように構築され、配列された、任意の構造とすることができる。代表例としては、サンドフィルタ、濾紙、メンブレンフィルタ、RO、NF、UF、MF、浸漬型フィルタ、加圧フィルタ、遠心分離機、サイクロン、ハイドロサイクロン、電気集塵装置、重力セパレータ、ミストエリミネータ、スクリーナー、スチームトラップ、吸収器、吸着器、バイオフィルタ、クリスタライザ、除湿器、蒸留カラム、乾燥機、蒸発器、抽出装置、加湿器、イオン交換カラム、ストリッパー、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。少なくとも1つの実施形態では、フィルタは、論文、WJコロスらによるメンブレンおよびメンブレンプロセスのための専門用語、メンブレンサイエンスジャーナル(Terminology for Membranes and Membrane Processes, by WJ Koros et al., Journal of Membrane Science)、Vol. 120 pp. 149-159(1996年)で開示される濾過技術の1つ以上を含む。少なくとも1つの実施形態では、フィルタは、ウェブサイト:http://encyclopedia.che.engin.umich.edu/Pages/SeparationsChemical/SeparationsChemical.html(2013年10月17日にアクセス)上で記載される化学分離プロセスの任意の1つ以上、および/またはウェブサイト:http://encyclopedia.che.engin.umich.edu/Pages/SeparationsMechanical/SeparationsMechanical.html(2013年10月17日にアクセス)上で記載される機械的プロセスの任意の1つ以上を含む。メンブレンフィルタは、ポリマ、セラミック、鋼またはガラス材料で製造されてもよい。
【0083】
図1および
図2はどちらも、媒質が、コポリマにより処理された後のいくつかの点で浸漬型フィルタを通過する実施形態を示す。図は、この浸漬型フィルタに加えてまたはその代わりに任意の1つ以上の追加の濾過方法を使用してもよい任意の形態の濾過技術を開示することが理解される。同様に、
図1および
図2は、ポリマ処理および濾過工程の様々な部分が別々の容器で実施されることを示しているが、これらの部分の任意の1つ、いくつかまたは全てを、同じ1つの容器内で実施することができることが理解される。特に少なくとも1つの実施形態では、フィルタは浸漬型フィルタであり、スカベンジャーポリマが液体媒質をその中で処理する全く同じ容器内で浸漬される。少なくとも1つの実施形態では、ポリマ処理および濾過(浸漬型またはその他)は、同じ容器で同時に起こる。少なくとも1つの実施形態では、捕捉ポリマは反応槽内ではなく、インラインで、濾過前に添加してもよい。少なくとも1つの実施形態では、捕捉ポリマ(複数可)で処理される金属を含む水は最初に清澄化し、その後、上清をフィルタに通して濾過してもよい。別の実施形態では、捕捉ポリマ(複数可)で処理される金属を含む水は、直接濾過してもよい。
【0084】
少なくとも1つの実施形態では、捕捉ポリマを含む組成物はまた、金属を捕捉するのに有用な他の材料を含んでもよく、および/または、他のポリマとしては、限定はされないが、下記が挙げられる:米国特許第5,164,095号において開示されるもの、500から100,000の分子量を有し、ジチオカルバミン酸塩基で5から50パーセント官能化された水溶性エチレンジクロリドアンモニアポリマ。ある一定の実施形態では、水溶性エチレンジクロリドアンモニアポリマのポリマ骨格の分子量は1500から5000ダルトンであり、ジチオカルバミン酸塩基で5から80モルパーセント官能化される。他の実施形態では、水溶性エチレンジクロリドアンモニアポリマのポリマ骨格の分子量は1500から5000であり、ジチオカルバミン酸塩基で25から40パーセント官能化される。
【0085】
少なくとも1つの実施形態では、捕捉ポリマを含む組成物はまた、1つ以上の種類のフィルタの有効性を増強させるのに有用な1つ以上の材料および/または方法を含んでもよい。そのようなものとしては米国特許第5,346,627号、および6,258,277号ならびに米国特許出願公開2008/0060999号、2008/0060997号、および2008/0197075号で開示されるものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0086】
少なくとも1つの実施形態では、捕捉ポリマは、浸漬型フィルタがその中に入っている同じ容器内の水に適用される。
【0087】
下記実施例で示されるように、捕捉ポリマをフィルタと組み合わせると、単独の合計の効果を超える予想外の相乗作用が得られる。
【実施例】
【0088】
前記は、下記実施例を参照することにより、よりよく理解することができ、それらの実施例は、説明目的で提供され、本発明の範囲を制限することを意図しない。特に、実施例は、発明に本質的な原理の代表例を示し、これらの原理は、これらの実施例において列挙される特定の条件に厳密には制限されない。その結果、発明は本明細書で記載される実施例に対する様々な変更および改変を包含し、そのような変更および改変は、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずにかつ、その意図される利点を減じることなく、行うことが可能であることが理解されるべきである。そのため、そのような変更および改変は添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0089】
アクリル酸−x−アルキルアミンコポリマ、続いてUFまたはMFメンブレンを用いた処理を含む、多くの実験を、模擬のおよび実際の産業廃水サンプルを用いて実施した。結果から、メンブレン障壁による微細コロイド金属−アクリル酸−x−アルキルアミンコポリマ錯体除去に起因して、アクリル酸−x−アルキルアミンコポリマ処理後の沈降だけよりも、高い金属除去が得られたことが証明された。これらの実験では、使用されたPDTCは、二硫化炭素修飾エチレンジクロリドアンモニアポリマであり、使用されたACXAは二硫化炭素修飾アクリル酸テトラエチレンペンタミンポリマであった。
【0090】
表1および表2は、穀物加工施設からのDAF排水からのNi除去に対するアクリル酸−x−アルキルアミンコポリマ(ACXA)投与量の効果を示す。0.45μmシリンジフィルタを、濾過の代表として使用した。UFメンブレン(100kDa分子量カットオフ)もまた、直接、原廃水に対して試験し、アクリル酸−x−アルキルアミンコポリマ前処理が、金属除去に対して重要であり、濾過単独では、十分な金属が除去されないことが示された。表1はまた、比較のために、ジチオカルバメートポリマ(PDTC)処理を用いた結果を示す。30ppmアクリル酸−x−アルキルアミンコポリマ(ACXA)は、この特別な廃水に対し、400ppmジチオカルバメートポリマと同様に有効であり、またはより良好であったことが示される(サンプル#4を#5と比較して)。対照、#9および#14を除くサンプルは全て2ppmアクリル酸−アクリルアミドコポリマ凝集剤をさらに混合させた。サンプル9を一晩放置して沈降させた。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
表3は、合成廃水からの銅除去に対する、濾過あり、および濾過なしでの、ジチオカルバメートポリマに対するアクリル酸−x−アルキルアミンコポリマ比較の結果を示す。
【表3】
【0094】
総Cuサンプルを、ジャーを沈降させ、上面からアリコートを引き出すことにより得た。可溶性サンプルを、アリコートを引き出し、これを0.45μmシリンジフィルタに通過させることにより得た。表3から、濾過により、ジチオカルバメートポリマまたはアクリル酸−x−アルキルアミンコポリマ処理後に、沈降だけよりも、著しく高い金属除去が可能になることが明らかである。
【0095】
表4は、発電所FGD廃水からの、アクリル酸−x−アルキルアミンコポリマおよびジチオカルバメートポリマによる、濾過あり、および濾過なしでの水銀除去の結果を示す。また、結果を、下記を含む他の材料の性能と比較した。
1CP:アクリルアミドおよびカチオン性モノマの第1の市販の高分子量カチオン性コポリマ
2CP:アクリルアミドおよびカチオン性モノマの第2の市販の高分子量カチオン性コポリマ
CA1:アクリル酸およびアクリルアミドの第1の市販のコポリマ
CA2:アクリル酸およびアクリルアミドの第2の市販のコポリマ
CA3:アクリル酸およびアクリルアミドの第3の市販のコポリマ
【0096】
【表4】
【0097】
総Hgサンプルを、ジャーを沈降させ、上面からアリコートを引き出すことにより得た。可溶性サンプルを、アリコートを引き出し、これを0.45μmシリンジフィルタに通過させることにより得た。凝集剤処理だけ(サンプル1−4)では水銀はほとんど除去されなかったが、ジチオカルバメートポリマまたはアクリル酸−x−アルキルアミンコポリマはかなりの水銀を除去したことが表4から明らかである。濾過により、ジチオカルバメートポリマまたはアクリル酸−x−アルキルアミンコポリマ処理後に、沈降だけよりも、さらに高い金属除去が得られた。よって、表3および4により、化学薬品だけではなく、ジチオカルバメートまたはアクリル酸−x−アルキルアミンコポリマと共に、0.45μmシリンジフィルタを使用して、より低いレベルのCuおよび水銀が達成されたことが示された。場合によっては、改善は桁違いであった。
【0098】
【表5】
【0099】
精製所からの水を、米国特許第8,282,835号に記載されるプロセス(例えば、上記代表例により、ACXAを使用するように調整されたことを除く)により処理した。この特許はこの発明の少なくとも1つの実施形態において有用な追加の方法および/または組成物、特に代表的な酸化剤を記載する。セレンを含む水を酸化し、pHを調整し、その後、鉄凝結剤およびACXAと反応させた。処理された水をその後、沈降させ、その後、2つのサンプルを引き出した−沈降(サンプルを沈降とマーク)および濾過(サンプルを濾過とマーク)。濾過を0.45ミクロンフィルタに通して実施した。表5は、酸化、pH調整、金属捕捉ポリマ、凝結剤および濾過の組み合わせにより、セレン除去が0.95ppmから0.045ppmに下がったことを示す。サンプル6−12はまた、濾過により、沈降単独よりも高いセレン除去が得られたことを示す。
【0100】
この発明は多くの異なる形態で具体化することができるが、発明の特定の好ましい実施形態が本明細書で詳細に記載される。本開示は発明の原理の例示であり、発明を、説明される特定の実施形態に制限することは意図されない。全ての特許、特許出願、科学論文、および本明細書で言及される任意の他の参照材料は、それらの全体が参照により組み込まれる。さらに、発明は、本明細書で言及される、本明細書で記載されるおよび/または本明細書に組み込まれる様々な実施形態のいくつかまたは全ての任意の可能な組み合わせを包含する。加えて、発明は、本明細書で言及される、本明細書で記載されるおよび/または本明細書に組み込まれる様々な実施形態の任意の1つまたはいくつかを特定的に排除もする任意の可能な組み合わせを包含する。
【0101】
上記開示は例示であり、包括的ではないことが意図される。この記載は、当業者に多くの変更および代替を示唆するであろう。これらの代替および変更は全て、特許請求の範囲内に含まれることが意図され、ここで、「含む」という用語は、「包含するが、これに限定はされない」ことを意味する。当業者であれば、本明細書で記載される特定の実施形態の他の等価物を認識することができ、その等価物もまた、特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【0102】
本明細書で開示される全ての範囲およびパラメータはそれらの中に含められるいずれかのおよび全てのサブレンジ、ならびに終点間の全ての数を含むことが理解される。例えば、「1から10」の言明された範囲は、1の最小値と10の最大値の間(これを含む)のいずれかのおよび全てのサブレンジを含むと考えるべきであり、すなわち、1以上の最小値で始まり(例えば1から6.1)、10以下の最大値で終わる(例えば2.3から9.4、3から8、4から7)全てのサブレンジ、および最後に、範囲内に含まれる各数1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10である。他に特に規定がなければ、本明細書における全てのパーセンテージ、比および割合は重量による。
【0103】
これで、発明の好ましいおよび別の実施形態の説明を終える。当業者であれば、本明細書で記載される特定の実施形態の他の等価物を認識することができ、その等価物は、添付の特許請求の範囲により包含されることが意図される。