特許第6701174号(P6701174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6701174ポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法
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  • 特許6701174-ポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6701174
(24)【登録日】2020年5月8日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】ポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20200518BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20200518BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
   C08J9/12CES
   C08K5/103
   C08L101/12
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-509873(P2017-509873)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2016059443
(87)【国際公開番号】WO2016158686
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年1月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-67591(P2015-67591)
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 勇貴
【審査官】 河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−141551(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/011951(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/031745(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/121163(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/086938(WO,A1)
【文献】 特開2002−146082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00− 9/12
B29C44/00− 44/60
67/20
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン系樹脂発泡粒子を型内に充填して加熱し、上記ポリエチレン系樹脂発泡粒子同士を融着させてポリエチレン系樹脂発泡成形体を形成する工程を有する、密度が0.017〜0.021g/cmであり、かつ、厚さが10〜40mmであるポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法であって、
上記型内に充填されるポリエチレン系樹脂発泡粒子は、ポリエチレン系樹脂100重量部あたり、セル造核剤を0.08重量部以上0.25重量部以下、多価アルコール脂肪酸エステルを0.3重量部以上0.8重量部以下、および親水性化合物を0.01重量部以上10重量部以下含有し、一粒あたりの重量が2.5mg以上3.5mg以下のものであり、
上記型内への充填時に、上記ポリエチレン系樹脂発泡粒子に0.12〜0.16MPaの内圧を付与し、
上記多価アルコール脂肪酸エステルが、ラウリン酸モノグリセリド、パルチミン酸モノグリセリド、および、ステアリン酸モノグリセリドからなる群から選択される1つ以上であり、
上記親水性化合物が、ラウリン酸、ラウリン酸ナトリウム、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、メラミン、イソシアヌル酸、イソシアヌル酸縮合物、または、ASTM D570に準拠して測定された吸水率が0.5重量%以上のポリマーであることを特徴とする、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
上記セル造核剤が、無機系造核剤、または、ステアリン酸カルシウムであることを特徴とする、請求項に記載のリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【請求項3】
上記無機系造核剤が、タルク炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、または硫酸バリウムであることを特徴とする、請求項に記載のポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン系樹脂発泡成形体は、柔軟性、および断熱性に優れる為、緩衝包装材や断熱材として種々の用途に利用されている。
【0003】
ポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法としては、ポリエチレン系樹脂粒子をブタンガス等の発泡剤にて予め発泡(ビーズ発泡)させた発泡粒子を、型内に充填し、水蒸気等の熱媒を型内に導入して、発泡粒子を加熱融着させる型内発泡成形が知られている。ビーズ発泡においては、発泡倍率が高く、耐熱性に優れる発泡粒子が容易に得られることから、成形体の原料として架橋ポリエチレン系樹脂が用いられてきたが、無架橋ポリエチレン系樹脂でも成形性の良い成形体を製造することが提案されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
従来、当該分野で使用されている発泡剤としては、高発泡倍率の発泡粒子が得られることから、揮発性有機発泡剤が使用されてきた(特許文献1、2参照)。しかしながら、環境問題への関心の高まりから、近年では発泡剤として炭酸ガスなどの無機ガスが使用されるようになってきた(特許文献3、4参照)。
【0005】
さらに、近年では、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に帯電防止性を付与する為に、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の原料として、帯電防止剤を含有するポリエチレン系樹脂発泡粒子を用いることが行われている。例えば、特許文献5では、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部あたり、造核剤0.1重量部、帯電防止剤である多価アルコール脂肪酸エステル1.0重量部、親水性化合物0.2重量部含有するポリエチレン系樹脂粒子であって、1粒当たりの重量が4.5gであるポリエチレン系樹脂粒子を、発泡剤として炭酸ガスを用いて発泡させて得られる、発泡倍率15〜30倍のポリエチレン系樹脂発泡粒子を、型内発泡成形してポリエチレン系樹脂発泡成形体を得ることが開示されている。
【0006】
また、特許文献6では、造核剤0.04重量部、帯電防止剤である多価アルコール脂肪酸エステル1〜2重量部、親水性化合物0.2〜0.5重量部を含有するポリエチレン系樹脂粒子であって、1粒当たりの重量が1.3gであるポリエチレン系樹脂粒子を、発泡剤として炭酸ガスを用いて発泡させて得られる、発泡倍率15〜30倍の、適度な収縮性を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子を、型内発泡成形してポリエチレン系樹脂発泡成形体を得ることが開示されている。
【0007】
しかしながら、これらの技術においては、高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡粒子から得られる発泡成形体では、発泡成形体の厚みを薄くした場合に、ポリエチレン系樹脂発泡粒子同士の融着性に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許1696651(1991年10月21日公開)
【特許文献2】特許2017449(1994年11月 2日公開)
【特許文献3】日本国公開特許公報「特開2000−17079号(2000年1月18日公開)」
【特許文献4】日本国公開特許公報「特開2010−59393号(2010年3月18日公開)」
【特許文献5】国際公開WO2013/031745(2013年3月 7日公開)
【特許文献6】国際公開WO2013/011951(2013年1月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、発泡成形体の厚みを薄くした場合であっても、高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡粒子同士の融着性が良化された、帯電防止性能を有するポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、基材樹脂に対して、セル造核剤、多価アルコール脂肪酸エステルおよび親水性化合物を特定の割合で含有させたポリエチレン系樹脂発泡粒子であって、特定の範囲の粒重量を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子に内圧を付与し、当該ポリエチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形することにより、成形体の厚みを薄くした場合であっても、高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡粒子同士の融着性が良化された成形体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の構成よりなる:
[1]ポリエチレン系樹脂発泡粒子を型内に充填して加熱し、上記ポリエチレン系樹脂発泡粒子同士を融着させてポリエチレン系樹脂発泡成形体を形成する工程を有する、密度が0.017〜0.021g/cmであり、かつ、厚さが10〜40mmであるポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法であって、上記型内に充填されるポリエチレン系樹脂発泡粒子は、ポリエチレン系樹脂100重量部あたり、セル造核剤を0.08重量部以上0.25重量部以下、多価アルコール脂肪酸エステルを0.3重量部以上0.8重量部以下、および親水性化合物を0.01重量部以上10重量部以下含有し、一粒あたりの重量が2.5mg以上3.5mg以下のものであり、上記型内への充填時に、上記ポリエチレン系樹脂発泡粒子に0.12〜0.16MPaの内圧を付与することを特徴とする、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【0012】
[2]上記多価アルコール脂肪酸エステルが、グリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする、[1]に記載のポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【0013】
[3]上記セル造核剤が、無機系造核剤であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【0014】
[4]上記セル造核剤が、タルク、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、または硫酸バリウムであることを特徴とする、[3]に記載のポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【0015】
[5]上記親水性化合物が、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホ基、またはポリオキシエチレン基を含有する化合物、当該化合物の誘導体、または、親水性ポリマーであることを特徴とする、[1]〜[4]の何れかに記載のポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法によれば、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の厚みを薄くした(例えば、10〜40mm)場合であっても、一粒あたり特定の重量を有するポリエチレン系樹脂発泡粒子に対して、金型充填前に特定の内圧となるよう圧力を付与することにより、驚くべきことに、高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡粒子同士の融着性を良化できるとともに、帯電防止性能を持った成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子を、示差走査熱量計(DSC)法にて、40℃〜220℃まで10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線の一例である。ここで、DSC曲線の低温側融解ピークおよび高温側融解ピークの2つの融解ピーク間において最も吸熱量が小さくなる点をAとし、点AからDSC曲線に対して、高温側および低温側の各々に向かって2つの接線を引き、高温側の接線とDSC曲線との接点をB、低温側の接線とDSC曲線との接点をCとした時、線分(A−B)とDSC曲線とで囲まれた部分を高温側融解ピークの熱量(Qh)とし、線分(A−C)とDSC曲線とで囲まれた部分を低温側融解ピークの熱量(Ql)とする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
【0019】
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂発泡粒子は、基材樹脂であるポリエチレン系樹脂、セル造核剤、多価アルコール脂肪酸エステルおよび親水性化合物を含有するものである。以下では、まず、これらの各成分について説明し、次いで、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、および、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の具体的な製造方法について説明する。
【0020】
〔1.基材樹脂〕
本発明で用いられる基材樹脂であるポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、等が挙げられる。これらの中でも、高発泡のポリエチレン系樹脂発泡粒子が得られる点から、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。
【0021】
本発明で用いられる基材樹脂であるポリエチレン系樹脂としては、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を複数ブレンドして用いることも可能である。本発明で用いられる基材樹脂であるポリエチレン系樹脂としては、更には、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂に、高密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、および低密度ポリエチレン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種をブレンドして用いることもできる。
【0022】
本発明で用いられる直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂としては、例えば、融点115℃以上130℃以下、密度0.915g/cm以上0.940g/cm以下、メルトインデックス0.1g/10分以上5g/10分以下のものが好ましい。なお、メルトインデックスとは、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値である。
【0023】
本発明で用いられる直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、エチレンと共重合可能な、エチレン以外のコモノマーを含んでいてもよい。エチレンと共重合可能なコモノマーとしては、炭素数4以上18以下のα−オレフィンを挙げることができ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらは単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。共重合体の密度を上記範囲とする為には、コモノマーの共重合量は、共重合体の概ね1重量%以上12重量%以下であることが好ましい。
【0024】
〔2.セル造核剤〕
本発明で用いられるセル造核剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等の無機系造核剤があげられる。これらセル造核剤は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。これらの中でも、タルクを使用することが、均一なセルが得られるため好ましい。
【0025】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子におけるセル造核剤の含有量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.08重量部以上0.25重量部以下が好ましく、0.1重量部以上0.2重量部以下がより好ましい。セル造核剤の含有量が0.08重量部未満の場合には、高発泡倍率の成形体が得られない傾向にあり、0.25重量部を超える場合には、セルが微細になり、外観が良好な成形体を得ることが困難になる傾向がある。
【0026】
〔3.多価アルコール脂肪酸エステル〕
本発明で用いられる多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数10〜24の高級脂肪酸と、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、ヘキサントリオール等)とのエステルが挙げられる。これらの多価アルコール脂肪酸エステルは、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。これらの中でも、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、グリセリンのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、またはトリ脂肪酸エステル)が型内発泡成形性への影響、入手の容易性、価格等の点から好ましい。
【0027】
グリセリンの脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸モノグリセリド、ラウリン酸ジグリセリド、ラウリン酸トリグリセリド、パルチミン酸モノグリセリド、パルチミン酸ジグリセリド、パルチミン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド等が挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリドが、型内発泡成形性への影響、入手の容易性、価格の点から、特に好ましい。
【0028】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子における多価アルコール脂肪酸エステルの含有量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.3重量部以上0.8重量部以下が好ましく、0.4重量部以上0.6重量部以下がより好ましい。多価アルコール脂肪酸エステルが0.3重量部未満の場合には、帯電防止性能が得られ難い傾向があり、0.8重量部を超える場合には、成形体の厚みが薄い条件では、ポリエチレン系樹脂発泡粒子同士の融着性が悪化する傾向にある。
【0029】
〔4.親水性化合物〕
本発明で用いられる親水性化合物とは、分子内にカルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホ基、またはポリオキシエチレン基などの親水性基が含有される化合物やその誘導体であり、親水性ポリマーも含まれる。具体的には、カルボキシル基を含む化合物として、ラウリン酸やラウリン酸ナトリウム、水酸基を含む化合物として、エチレングリコールやグリセリンなどが挙げられる。また、その他の親水性化合物としてメラミン(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)、イソシアヌル酸、イソシアヌル酸縮合物等のトリアジン環を有する有機化合物等が挙げられる。
【0030】
なお、親水性ポリマーとは、ASTM D570に準拠して測定された吸水率が0.5重量%以上のポリマーのことであり、いわゆる吸湿性ポリマー、水に溶けることなく、自重の数倍から数百倍の水を吸収し、圧力がかかっても脱水されがたいポリマーである吸水性ポリマー、および、常温ないし高温状態で水に溶解するポリマーである水溶性ポリマーを包含するものである。
【0031】
親水性ポリマーの具体例としては、例えば、
エチレン−アクリル酸−無水マレイン酸三元共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンや亜鉛イオンなどの遷移金属イオンで中和し、分子間を架橋させたアイオノマー系樹脂;
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などのカルボキシル基含有ポリマー;
ナイロン−6、ナイロン−6,6、共重合ナイロンなどのポリアミド;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のノニオン型吸水性ポリマー;
ペレスタット(商品名、三洋化成社製)等に代表されるポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体;
アクアコーク(商品名、住友精化社製)等に代表される架橋ポリエチレンオキサイド系重合体;
などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。これら親水性ポリマーの中では、ノニオン型吸水性ポリマー、ポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体が、耐圧容器内での分散安定性が比較的良好であり、かつ比較的少量の添加で吸水性を発揮する点から、好ましい。さらには、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メラミンが、本発明の効果が大きいため、特に好ましい。
【0032】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子における親水性化合物の含有量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下が好ましく、0.03重量部以上5重量部以下がより好ましく、0.05重量部以上1重量部以下がさらに好ましい。親水性化合物の含有量が0.01重量部未満の場合には、発泡倍率の高い発泡粒子が得られない傾向があり、10重量部を超える場合には、発泡倍率の更なる向上は発現し難い傾向である上に、得られる発泡成形体の表面美麗性、および機械的物性が損なわれる虞がある。
【0033】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子には、必要に応じて、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、および/または難燃剤などを含有させることができる。
【0034】
〔5.ポリエチレン系樹脂発泡粒子、および、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造〕
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造するにあたっては、まず、発泡用のポリエチレン系樹脂粒子を製造する。ポリエチレン系樹脂粒子を製造する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
【0035】
基材樹脂であるポリエチレン系樹脂を、セル造核剤、多価アルコール脂肪酸エステル、親水性化合物、および、必要に応じてその他の添加剤と共に、ドライブレンド法、またはマスターバッチ法等の混合方法で混合する。次いで、得られた混合物を、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー(商標)、またはロール等を用いて溶融混練した後に、カッター等にて細断し、粒子形状とすることにより、ポリエチレン系樹脂粒子が得られる。
【0036】
本発明におけるポリエチレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量は2.5mg以上3.5mg以下が好ましく、2.7mg以上3.3mg以下がより好ましい。ポリエチレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量が2.5mg未満の場合、高発泡倍率の発泡成形体では、対金型収縮率が大きくなる傾向があり、3.5mgを超える場合には、厚みが薄い部分での発泡成形体の表面性や伸びが悪くなる傾向がある。ここで、ポリエチレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量は、ランダムに選んだ100粒のポリエチレン系樹脂粒子から得られる、平均粒子重量である。また、ポリエチレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量は、発泡工程を経てもほとんど変化することは無く、ポリエチレン系樹脂粒子の一粒あたりの重量をポリエチレン系樹脂発泡粒子の1粒あたりの重量とすることができる。
【0037】
このようにして得たポリエチレン系樹脂粒子を用いて、本発明で用いるポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造することができる。
【0038】
ポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法の好ましい態様としては、例えば、密閉容器内に、ポリエチレン系樹脂粒子を発泡剤と共に水系分散媒に分散させ、密閉容器内をポリエチレン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱、および加圧した後、発泡剤が含浸されたポリエチレン系樹脂粒子を密閉容器の内圧よりも低い圧力域(通常は大気圧)に放出する発泡工程を経てポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る方法(換言すれば、水分散系でポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する方法)が挙げられる。
【0039】
具体的には、例えば、密閉容器内にポリエチレン系樹脂粒子、水系分散媒、および必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて密閉容器内を真空引きした後、次いで密閉容器内の圧力が1MPa(ゲージ圧)以上2MPa以下(ゲージ圧)になるまで密閉容器内へ発泡剤を導入し、その後ポリエチレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで密閉容器内を加熱する。加熱により、密閉容器内の圧力が約1.5MPa(ゲージ圧)以上5MPa以下(ゲージ圧)まで上がる。必要に応じて、加熱後、密閉容器内へさらに発泡剤を追加して、所望の発泡圧力に調整、さらに発泡温度への温度微調整を行いつつ、0分を超えて120分以下の間、密閉容器内の状態をホールドし、次いで、密閉容器の内圧よりも低い圧力域(通常は大気圧)に、発泡剤が含浸されたポリエチレン系樹脂粒子を放出してポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る。
【0040】
発泡倍率を調節する目的で、発泡剤が含浸されたポリエチレン系樹脂粒子を放出する雰囲気の温度を、室温(具体的には、20℃)〜110℃程度に調節しても良い。特に高い発泡倍率の発泡粒子を得る為には、放出する雰囲気の温度を、蒸気等で100℃程度にすることが望ましい。
【0041】
発泡剤の導入方法としては、上記以外の方法でもよい。例えば、密閉容器内に、ポリエチレン系樹脂粒子、水系分散媒、および必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて密閉容器内を真空引きした後、ポリエチレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで密閉容器内を加熱しながら、密閉容器内へ発泡剤を導入しても良い。また、発泡剤の導入方法の別の方法として、密閉容器内に、ポリエチレン系樹脂粒子、水系分散媒、および必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、密閉容器内を発泡温度付近まで加熱し、この時点で密閉容器内へ発泡剤を導入しても良い。
【0042】
なお、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率や平均気泡径を調整する方法としては、例えば、発泡剤が含浸されたポリエチレン系樹脂粒子を低圧域に放出する前に、二酸化炭素、窒素、空気、あるいは発泡剤として用いた物質等を密閉容器内へ圧入することにより、密閉容器内の内圧を高め、発泡時の圧力開放速度を調節し、更には、低圧域への放出中にも二酸化炭素、窒素、空気、あるいは発泡剤として用いた物質等を密閉容器内に導入して密閉容器内の圧力を制御することにより、発泡倍率や平均気泡径の調整を行うことができる。
【0043】
また、発泡剤が含浸されたポリエチレン系樹脂粒子を低圧域に放出する前の密閉容器内温度(おおむね発泡温度)を適宜変化させることでも、発泡倍率や平均気泡径を調整することが可能である。例えば、発泡倍率は、密閉容器内の内圧を高くする、圧力開放速度を速くする、および/または放出前の密閉容器内温度を高くする等により、高くなる傾向がある。また、平均気泡径は、密閉容器内の内圧を高くする、および/または圧力開放速度を速くする等により、小さくなる傾向がある。本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子は、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、低温側融解ピークと高温側融解ピークとの2つの融解ピークを示すものであることが好ましい。
【0044】
ここで、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線とは、ポリエチレン系樹脂発泡粒子1mg以上10mg以下を、示差走査熱量計を用いて、10℃/分の昇温速度にて40℃〜220℃まで昇温した際に得られるDSC曲線である。
【0045】
なお、本発明においては、図1に示すように、低温側融解ピークの熱量(Ql)、高温側融解ピークの熱量(Qh)を次のように定義する。すなわち、DSC曲線の低温側融解ピークおよび高温側融解ピークの2つの融解ピーク間において最も吸熱量が小さくなる点をAとし、点AからDSC曲線に対して、高温側および低温側のそれぞれに接線を引き、高温側の接線とDSC曲線との接点をB、低温側の接線とDSC曲線との接点をCとした時、線分ABとDSC曲線とで囲まれた部分を高温側融解ピークの熱量(Qh)とし、線分ACとDSC曲線とで囲まれた部分を低温側融解ピークの熱量(Ql)とする。
【0046】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子において、高温側融解ピーク熱量(Qh)の融解ピーク熱量全体に占める比率(Qh/(Ql+Qh)×100(以下、「DSC比」という場合がある))は特に制限は無いが、好ましくは、20%以上55%以下である。DSC比が20%未満の場合、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡力が高すぎ、型内発泡成形する際の初期の段階で金型表面付近(発泡成形体表層部分)の発泡粒子のみが一気に発泡して発泡粒子同士が融着し、その結果、型内発泡成形に用いられる水蒸気が金型内部の発泡粒子まで浸透せず、発泡成形体内部が融着していない融着不良の発泡成形体となってしまう傾向がある。逆に、DSC比が55%を超える場合は、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡力が低すぎ、発泡成形体全体が融着不良となる、あるいは、ポリエチレン系樹脂発泡粒子同士を融着させるために高い成形圧が必要となる傾向がある。
【0047】
なお、DSC比は、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る際に、前述した発泡剤が含浸されたポリエチレン系樹脂粒子を低圧域に放出する前の密閉容器内温度やホールド時間を適宜変化させることにより調整可能である。DSC比は、密閉容器内温度を低くする、および/またはホールド時間を長くする等により、高くなる傾向がある。
【0048】
本発明で用いられる密閉容器には、特に制限はなく、発泡粒子製造時における容器内圧力、および容器内温度に耐えられるものであれば良く、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
【0049】
本発明で用いられる発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等の飽和炭化水素類、ジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機ガスが挙げられる。これら発泡剤は、単独で使用されても良いし、複数が併用されても良い。これら発泡剤の中でも、環境負荷が小さく、燃焼危険性も無いことから、二酸化炭素や水を用いることが好ましく、二酸化炭素が最も好ましい。
【0050】
本発明で用いられる水系分散媒としては、水のみからなる分散媒を用いることが好ましいが、メタノール、エタノール、エチレングリコール、またはグリセリン等を水に添加した分散媒も使用できる。なお、本発明においてポリエチレン系樹脂粒子に親水性化合物を含有させる場合、水系分散媒中の水も発泡剤として作用し、発泡倍率向上に寄与する。
【0051】
本発明でのポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法においては、ポリエチレン系樹脂粒子同士の合着を防止する為に、水系分散媒中に分散剤を添加することが好ましい。本発明で用いられる分散剤として、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレー等の無機系分散剤が例示できる。これら分散剤は、単独で使用されても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0052】
本発明でのポリエチレン系樹脂発泡粒子の製造方法においては、分散剤と共に、分散助剤を使用することが好ましい。
【0053】
本発明で用いられる分散助剤の例としては、例えば、
N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型;
アルキルスルホン酸塩、n−パラフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型;
硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル型;
アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンリン酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩等のリン酸エステル型;等の陰イオン界面活性剤を挙げることができる。
また、分散助剤として、マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタルスルホン酸ホルマリン縮合物塩などの多価陰イオン高分子界面活性剤も使用することができる。これら分散助剤は、単独で使用されても良いし、2種以上が併用されても良い。
【0054】
これらの中でも、分散剤として第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、硫酸バリウムおよびカオリンよりなる群から選ばれる少なくとも1種と、分散助剤としてn−パラフィンスルホン酸ソーダとを併用することが好ましい。
【0055】
本発明における分散剤や分散助剤の使用量は、それらの種類や、発泡用のポリエチレン系樹脂粒子の種類と使用量とによって異なるが、通常、水系分散媒100重量部に対して、分散剤0.1重量部以上3重量部以下を配合することが好ましく、分散助剤0.001重量部以上0.1重量部以下を配合することが好ましい。
【0056】
発泡用のポリエチレン系樹脂粒子は、水系分散媒中での分散性を良好なものにする為に、通常、水系分散媒100重量部に対して、20重量部以上100重量部以下で使用するのが好ましい。
【0057】
以上に述べた水分散系でポリエチレン系樹脂発泡粒子を製造する方法の他に、水系分散媒を用いず、例えば、密閉容器中でポリエチレン系樹脂粒子に直接発泡剤を接触させ、発泡剤が含浸したポリエチレン系樹脂粒子を得た後、このポリエチレン系樹脂粒子に水蒸気を接触させるなどして発泡させ、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることもできる。
【0058】
以上のように、ポリエチレン系樹脂粒子からポリエチレン系樹脂発泡粒子を得る工程を、「一段発泡工程」と称す場合があり、このようにして得たポリエチレン系樹脂発泡粒子を「一段発泡粒子」と呼ぶ場合がある。
【0059】
更に、一段発泡粒子に対して、無機ガス(例えば空気や窒素、二酸化炭素等)を含浸して内圧を付与した後、当該一段発泡粒子に特定の圧力の水蒸気を接触させることにより、一段発泡粒子よりも発泡倍率が向上した、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。このように、ポリエチレン系樹脂発泡粒子をさらに発泡させて、より発泡倍率の高いポリエチレン系樹脂発泡粒子とする工程を、「二段発泡工程」と称す場合があり、このような二段発泡工程を経て得られるポリエチレン系樹脂発泡粒子を「二段発泡粒子」と呼ぶ場合がある。
【0060】
「二段発泡工程」とは、具体的には、一段発泡粒子に無機ガス(例えば空気や窒素、二酸化炭素等)を含浸して一段発泡粒子に内圧を付与した後、当該一段発泡粒子に特定の圧力の水蒸気を接触させることにより、一段発泡粒子よりも発泡倍率が向上した二段発泡粒子を得る工程である。
【0061】
ここで、二段発泡工程における水蒸気の圧力は、二段発泡粒子の発泡倍率を考慮した上で、0.02MPa(ゲージ圧)以上0.15MPa(ゲージ圧)以下に調整されることが好ましく、より好ましくは0.03MPa(ゲージ圧)以上0.1MPa(ゲージ圧)以下である。
【0062】
無機ガスを含浸した一段発泡粒子の内圧は、二段発泡粒子の発泡倍率等を考慮して適宜変化させることが望ましいが、0.12MPa以上(絶対圧)0.6MPa以下(絶対圧)であることが好ましい。
【0063】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は、特に制限は無く、必要に応じて、調整すれば良い。ただし、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は、型内発泡成形したポリエチレン系樹脂発泡成形体の軽量化の観点からは、2倍以上50倍以下が好ましく、8倍以上45倍以下がより好ましく、11倍以上40倍以下がさらに好ましい。発泡倍率が2倍未満では、型内発泡成形したポリエチレン系樹脂発泡成形体の軽量化の効果が小さく、50倍を超えると、型内発泡成形したポリエチレン系樹脂発泡成形体の圧縮応力などの機械特性が低下する傾向にある。
【0064】
ここで、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とは、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の重量w(g)を測定後、ポリエチレン系樹脂発泡粒子をエタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)にてポリエチレン系樹脂発泡粒子の体積v(cm)を測定し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の真比重ρb=w/vを算出し、さらに、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρrとの比(ρr/ρb)として算出した値である。
【0065】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径は、140μm以上500μm以下であることが好ましく、180μm以上400μm以下であることがより好ましい。ポリエチレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径が140μm未満では、得られるポリエチレン系樹脂発泡成形体の収縮が大きくなる傾向があり、500μmを越えると、得られるポリエチレン系樹脂発泡成形体の外観が悪くなる傾向がある。
【0066】
ここで、平均気泡径は、次のようにして、測定した値である。
発泡粒子の切断面に関する顕微鏡観察により得られる画像において、発泡粒子のほぼ中心を通る直線を引き、該直線が貫通している気泡数nおよび、該直線と発泡粒子表面との2つの交点の間の距離として定まる発泡粒子径L(μm)を読み取り、式(1)によって求める。
平均気泡径(μm)=L/n ・・・(1)
気泡径は、下記の方法にて測定する。気泡内において最大の長さdとなる直線を引き、その直線の垂直二等分線と気泡との接点間距離dを求め、dとdの平均値を気泡径とする。なお、上記領域内に気泡全体が入っていないもの、例えば気泡の半分だけ領域内に入っているような気泡については測定から除く。
【0067】
本発明においては、上述のようにして得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子を、所定形状の金型内に充填し水蒸気等で加熱して、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を互いに融着させる、型内発泡成形を行うことによって、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得ることができる。
【0068】
一般的な型内発泡成形方法としては、例えば、
(イ)ポリエチレン系樹脂発泡粒子を無機ガス(例えば空気や窒素、二酸化炭素、等)で加圧処理して、ポリエチレン系樹脂発泡粒子内に無機ガスを含浸させ、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に所定の内圧を付与した後、当該ポリエチレン系樹脂発泡粒子を、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、
(ロ)ポリエチレン系樹脂発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子の回復力を利用しながら、当該ポリエチレン系樹脂発泡粒子を水蒸気で加熱融着させる方法、
(ハ)特に前処理することなくポリエチレン系樹脂発泡粒子を金型に充填し、当該ポリエチレン系樹脂発泡粒子を水蒸気で加熱融着させる方法、
などの方法が知られている。
【0069】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法においては、高発泡倍率の成形体を得る為に、(イ)の方法で行うことが好ましい。本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子からポリエチレン系樹脂発泡成形体を型内発泡成形する具体的方法としては、例えば、無機ガス(例えば空気や窒素、二酸化炭素、等)で加圧処理してポリエチレン系樹脂発泡粒子内に無機ガスを含浸させ、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に所定の内圧を付与した後、当該ポリエチレン系樹脂発泡粒子を、2つの金型よりなる閉鎖し得るが密閉し得ない成形空間内に充填し、水蒸気などを加熱媒体として0.05〜0.20MPa(ゲージ圧)程度の加熱水蒸気圧で3〜30秒程度の加熱時間で成形し、ポリエチレン系樹脂発泡粒子同士を融着させ、金型を水冷により冷却した後、金型を開き、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得る方法などが挙げられる。
【0070】
本発明の製造方法では、金型内へ充填時のポリエチレン系樹脂発泡粒子の内圧は0.12〜0.16MPaが好ましい。金型内へ充填時のポリエチレン系樹脂発泡粒子の内圧が0.12MPa未満では、高発泡倍率の成形体が得られない傾向にあり、0.16MPa超では、成形体の融着性が悪化する傾向にある。
【0071】
ポリエチレン系樹脂発泡成形体の密度は、0.017〜0.021g/cmであり得るが、軽量化という観点から、0.019〜0.020g/cmであることが更に好ましく、0.017〜0.019g/cmであることが最も好ましい。
【0072】
ポリエチレン系樹脂発泡成形体の厚さは、10〜40mmである。一般に、成形体の厚みを薄くした(10〜40mm)場合に、帯電防止剤を含んだ高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡成形体では融着不良が起きる。それ故に、10〜40mmの場合で成形体の融着を改善する事が生産上好ましい。
【0073】
なお、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の当該厚さは、ポリエチレン系樹脂発泡成形体の厚さの中で、最も薄い部分の厚さを意図する。例えば、ポリエチレン系樹脂発泡成形体が4角柱の形状を有する場合、当該ポリエチレン系樹脂発泡成形体には、3つの厚さが存在することになる。上述したポリエチレン系樹脂発泡成形体の厚さは、3つの厚さのうち、最も薄い厚さを意図する。
【0074】
本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子を用い、型内充填時に当該ポリエチレン系樹脂発泡粒子に内圧を付与することにより、成形体の厚みを薄くした場合であっても、高発泡倍率にもかかわらず融着性が良好であり、かつ、帯電防止性能を有する成形体を得ることができる。
【0075】
<1>ポリエチレン系樹脂発泡粒子を、型内に充填して加熱し、粒子相互を融着せしめて得られる密度が0.017〜0.021g/cmのポリエチレン系樹脂発泡成型体の製造方法であって、ポリエチレン系樹脂発泡粒子が、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、セル造核剤を0.08重量部以上0.25重量部以下、多価アルコール脂肪酸エステルを0.3重量部以上0.8重量部以下、および親水性化合物を0.01重量部以上10重量部以下含有するポリエチレン系樹脂組成物を基材樹脂とし、一粒当たりの重量が2.5mg以上、3.5mg以下であるポリエチレン系樹脂発泡粒子であり、さらに、金型内への充填時に、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に0.12〜0.16MPaの内圧を付与することを特徴とする、ポリエチレン系樹脂発泡成型体の製造方法。
【0076】
<2>多価アルコール脂肪酸エステルがグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする、<1>に記載のポリエチレン系樹脂発泡成型体の製造方法。
【0077】
<3>セル造核剤がタルクであることを特徴とする、<1>または<2>に記載のポリエチレン系樹脂発泡成型体の製造方法。
【実施例】
【0078】
次に、本発明のポリエチレン系樹脂発泡粒子およびポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法を、実施例および比較例を挙げて、詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0079】
実施例および比較例において、使用した物質は、以下のとおりであるが、特に精製等は行わずに使用した。
・ポリエチレン系樹脂:直鎖状低密度ポリエチレン[樹脂密度0.926g/cm、MI=2.1g/10分、融点123℃、4−メチル−1−ペンテン8.2重量%含有];・タルク[林化成(株)製、タルカンPKS];
・多価アルコール脂肪酸エステル[理研ビタミン(株)製、リケマスターKF−25、グリセリン脂肪酸エステル25重量%含有の低密度ポリエチレンマスターバッチ];
・グリセリン[ライオン(株)製、精製グリセリンD];
・PEG[ライオン(株)製、PEG300];
・パウダー状塩基性第3リン酸カルシウム[太平化学産業(株)製];
・n−パラフィンスルホン酸ソーダ[花王(株)製、ラムテルPS]。
【0080】
実施例および比較例において実施した評価方法に関して、説明する。
【0081】
<一粒あたりの重量>
得られたポリエチレン系樹脂粒子からランダムに100粒を選び、各粒子の重量を測定するとともに重量の平均値を算出し、当該重量の平均値を、一粒あたりの重量とした。
【0082】
<発泡倍率の測定>
得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子を、60℃で2時間乾燥し、温度23℃、湿度50%の室内で1時間静置した後、重量w(g)を測定し、別途、水没法にて体積v(cm)を測定し、発泡粒子の真比重ρb=w÷vを算出した。そして、発泡前のポリエチレン系樹脂粒子の密度ρrとの比から、発泡倍率K=ρr÷ρbを算出した。
【0083】
<発泡成形体の密度>
得られた評価対象である発泡成形体の重量Wを測定した。別途、発泡成形体を水中に水没させた際の体積変化に基づいて発泡成形体の体積Vを測定し、発泡成形体の密度=W÷V(g/cm)を求めた。
【0084】
<発泡成形体のヒケ>
得られた評価対象である発泡成形体の長手寸法(400mm方向)を、デジタルノギス[Mitutoyo製]を用いて、測定した。発泡成形体の端での厚みをLとし、発泡成形体の中央部での厚みをLとして、下記の式により、ヒケ量を算出し、以下の基準にて評価した。
成形体ヒケ量=L−L
◎: ヒケ量が1mm未満。
○: ヒケ量が1mm以上2mm未満。
△: ヒケ量が2mm以上3mm未満。
×: ヒケ量が3mm以上。
【0085】
<発泡成形体の表面性>
得られた評価対象である発泡成形体を観察し、以下の基準にて評価した。
◎: 隣り合う発泡粒子同士が発泡成形体内のいずれの部分においてもきれいに融着しており、隣り合う発泡粒子間に隙間がない。
○: 隣り合う発泡粒子間にほぼ隙間がない。
△: 隣り合う発泡粒子間に隙間がある箇所が見られる。
×: 隣り合う発泡粒子間に隙間がある箇所が多く見られる。
【0086】
<融着性>
得られた発泡成形体の中央付近にナイフなどで約5mmの深さのクラックを入れた後、該クラックに沿って発泡成形体を割り、破断面を観察した。破断面の全粒子数における破壊粒子数の割合を求めて、成形体融着率とし、以下の基準にて評価した。
◎:融着率が90%以上。
○:融着率が80%以上90%未満。
△:融着率が60%以上80%未満。
×:融着率が60%未満。
【0087】
<帯電防止性能>
得られた発泡成形体を、75〜80℃雰囲気下で24時間乾燥させた後、23℃、湿度50%の恒温恒湿室内で72時間静置させた後、表面高抵抗率計[Hiresta HT−201、三菱油化製]を用いて、JIS K6911に準じて、500Vの電流を1分間流した際の表面抵抗率を測定した。1サンプルにつき5ヶ所で表面抵抗率を測定して、その平均値を求め、発泡成形体の表面抵抗率とした。
【0088】
(実施例1)
[樹脂粒子の作製]
基材樹脂としての直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して、親水性化合物としてグリセリン0.2重量部、帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステルを0.5重量部および、気泡調整剤としてタルク0.12重量部をドライブレンドした(なお、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対するグリセリン脂肪酸エステルの量が0.5重量部になるように、直鎖状低密度ポリエチレンへ、グリセリン脂肪酸エステルの25重量%マスターバッチを加えた。)。ドライブレンドされた混合物を、口径45mmの2軸押出機に投入し、樹脂温度が220℃になるように溶融混練し、押出機の先端に取り付けられた円形ダイを通して、ストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断して、一粒の重量が3.0mgのポリエチレン系樹脂粒子を得た。
【0089】
[発泡粒子の作製]
容量200Lの耐圧容器(具体的には、オートクレーブ)内に、得られたポリエチレン系樹脂粒子100重量部(20kg)、水200重量部、難水溶性無機化合物としての第三リン酸カルシウム0.5重量部、界面活性剤としてのアルキルスルホン酸ナトリウム0.03重量部を仕込んだ後、攪拌しながら、発泡剤として炭酸ガスを7重量部添加した。
【0090】
オートクレーブの内容物を昇温し、122.8℃の発泡温度まで加熱した。その後、オートクレーブ内に炭酸ガスを追加圧入してオートクレーブの内圧を3.3MPa(ゲージ圧)の発泡圧力まで昇圧した。
【0091】
オートクレーブ内を上記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、直径4.0mmの開口オリフィス(1穴)を通して、オートクレーブの内容物を100℃雰囲気下に放出して、ポリエチレン系樹脂発泡粒子を得た。
【0092】
得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子の水分を除去した後、さらに、当該ポリエチレン系樹脂発泡粒子を耐圧容器内に入れて加圧することにより、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に空気を含浸させて0.38MPaの内圧を付与し、加熱圧0.066MPaの蒸気で二段発泡を実施した。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子に関する評価結果を、表1に示す。
【0093】
[発泡成形体の作製]
得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子の水分を飛ばした後、当該ポリエチレン系樹脂発泡粒子に0.15MPaの内圧を付与した。当該ポリエチレン系樹脂発泡粒子を、長手方向400×短手方向300×厚み方向40mmまたは長手方向400×短手方向300×厚み方向20mmの金型内に充填し、0.1〜0.13MPaの蒸気で加熱発泡させ、成形を行った。更に、得られた成型体を大気圧下で約1時間放置した後、75℃に設定したオーブンを使用して大気圧下、24時間乾燥することにより熟成した成形体を得た。無架橋ポリエチレン系樹脂発泡成形体の評価結果を、表1に示した。
【0094】
(実施例2)
[樹脂粒子の作製]において、一粒の重量を2.5mgに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表1に示す。
【0095】
(実施例3)
[樹脂粒子の作製]において、一粒の重量を3.5mgに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表1に示す。
【0096】
(実施例4)
[発泡成形体の作製]において、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に付与する内圧を0.12MPaに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表1に示す。
【0097】
(実施例5)
[発泡成形体の作製]において、ポリエチレン系樹脂発泡粒子に付与する内圧を0.16MPaに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表1に示す。
【0098】
(実施例6)
[樹脂粒子の作製]において、グリセリン脂肪酸エステルを0.3重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表1に示す。
【0099】
(実施例7)
[樹脂粒子の作製]において、グリセリン脂肪酸エステルを0.8重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表1に示す。
【0100】
(実施例8)
[樹脂粒子の作製]において、親水性化合物の種類および量をPEG0.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表1に示す。
【0101】
(実施例9)
[樹脂粒子の作製]において、タルクを0.20重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表1に示す。
【0102】
(実施例10)
[樹脂粒子の作製]において、親水性化合物の種類および量をメラミン3.0重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
(比較例1)
[樹脂粒子の作製]において、一粒の重量を4.5mgに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表2に示す。
【0105】
(比較例2)
[樹脂粒子の作製]において、一粒の重量を2.0mgに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表2に示す。
【0106】
(比較例3)
[樹脂粒子の作製]において、グリセリン脂肪酸エステルを1.0重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表2に示す。
【0107】
(比較例4)
[樹脂粒子の作製]において、グリセリン脂肪酸エステルを0.25重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表2に示す。
【0108】
(比較例5)
[発泡成形体の作製]において、付与内圧を0MPaに変更した(内圧付与しなかった)以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表2に示す。
【0109】
(比較例6)
[発泡成形体の作製]において、付与内圧を0.2MPaに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表2に示す。
【0110】
(比較例7)
[樹脂粒子の作製]において、タルクを0.03重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表2に示す。
【0111】
(比較例8)
[樹脂粒子の作製]において、タルクを0.3重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表2に示す。
【0112】
(比較例9)
[樹脂粒子の作製]において、親水性化合物の種類および量をメラミン15重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリエチレン系樹脂発泡粒子、ポリエチレン系樹脂発泡成形体に対する評価結果を、表2に示す。
【0113】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、緩衝包装材や断熱材を製造する分野に利用することができる。
図1