(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1空気供給経路によってハウジング内に供給される空気の流量(Q1)に対する、前記第2空気供給経路によってバーナに供給される空気の流量(Q2)の割合(Q2/Q1)は、0.05〜0.40である、
請求項1に記載の燃料電池装置。
前記第1空気供給経路によってハウジング内に供給される空気の流量(Q1)に対する、前記第2空気供給経路によってバーナに供給される空気の流量(Q2)の割合(Q2/Q1)は、0.10〜0.35である、
請求項1又は2に記載の燃料電池装置。
前記第1空気供給経路によってハウジング内に供給される空気の流量(Q1)に対する、前記気流生成部によって生成される気流の流量Q3の割合(Q3/Q1)は、0.1〜0.5である、
請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る燃料電池装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、燃料電池セルの一例として固体酸化物形燃料電池セル(SOFC)を用いて説明する。
図1は燃料電池装置を示す斜視図である。なお、
図1において、いくつかの燃料電池セル、及びハウジングなどの記載を省略している。
【0017】
[燃料電池装置]
図1に示すように、燃料電池装置100は、マニホールド2と、複数の燃料電池セル10と、燃料処理器70とを備えている。また、
図2に示すように、燃料電池装置100は、ハウジング80、熱交換器81、第1空気供給経路P1、第2空気供給経路P2、燃料ガス供給経路P3、オフガス供給経路P4を備えている。また、燃料電池装置100は、原料ガス供給経路P5、及び水蒸気供給経路P6をさらに備えている。
【0018】
[マニホールド]
図3に示すように、マニホールド2は、燃料電池セル10にガスを供給するように構成されている。また、マニホールド2は、燃料電池セル10から排出されたガスを回収するように構成されている。マニホールド2は、ガス供給室21とガス回収室22とを有している。ガス供給室21には、燃料処理器70から燃料ガスが供給される。ガス回収室22は、各燃料電池セル10にて使用された燃料ガスを回収する。
【0019】
マニホールド2は、マニホールド本体部23と、仕切板24とを有している。マニホールド本体部23は、内部に空間を有している。マニホールド本体部23は、直方体状である。
【0020】
図4に示すように、マニホールド本体部23の天板部231には、複数の貫通孔232が形成されている。各貫通孔232は、マニホールド本体部23の長さ方向(z軸方向)に間隔をあけて並んでいる。各貫通孔232は、マニホールド本体部23の幅方向(y軸方向)に延びている。各貫通孔232は、ガス供給室21及びガス回収室22と連通している。なお、各貫通孔232は、ガス供給室21と連通する部分とガス回収室22と連通する部分とに分かれていてもよい。
【0021】
仕切板24は、マニホールド本体部23の空間をガス供給室21とガス回収室22とに仕切っている。詳細には、仕切板24は、マニホールド本体部23の略中央部において、マニホールド本体部23の長さ方向に延びている。仕切板24は、マニホールド本体部23の空間を完全に仕切っている必要は無く、仕切板24とマニホールド本体部23との間に隙間が形成されていてもよい。
【0022】
図3に示すように、ガス供給室21の底面には、ガス供給口211が形成されている。また、ガス回収室22の底面には、ガス排出口221が形成されている。ガス供給口211は、例えば、燃料電池セル10の配列方向(z軸方向)において、マニホールド2の中心Cよりも第1端部201側に配置されている。一方、ガス排出口221は、例えば、燃料電池セル10の配列方向(z軸方向)において、マニホールド2の中心Cよりも第2端部202側に配置されている。
【0023】
[燃料電池セル]
図5は、セルスタック装置の断面図を示している。なお、セルスタック装置は、複数の燃料電池セル10とマニホールド2とから構成されている。
図5に示すように、燃料電池セル10は、マニホールド2から上方に延びている。燃料電池セル10は、基端部101がマニホールド2に取り付けられている。すなわち、マニホールド2は、各燃料電池セル10の基端部101を支持している。本実施形態では、燃料電池セル10の基端部101は下端部を意味し、燃料電池セル10の先端部102は上端部を意味する。
【0024】
図1に示すように、各燃料電池セル10は、主面同士が対向するように並べられている。また、各燃料電池セル10は、マニホールド2の長さ方向(z軸方向)に沿って間隔をあけて並べられている。すなわち、燃料電池セル10の配列方向は、マニホールド2の長さ方向に沿っている。なお、各燃料電池セル10は、マニホールド2の長さ方向に沿って等間隔に配置されていなくてもよい。
【0025】
図5及び
図6に示すように、燃料電池セル10は、支持基板4と、複数の発電素子部5と、連通部材3と、を有している。各発電素子部5は、支持基板4の第1主面45及び第2主面46に支持されている。なお、第1主面45に形成される発電素子部5の数と第2主面46に形成される発電素子部5の数とは、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。また、各発電素子部5の大きさは、互いに異なっていてもよい。
【0026】
[支持基板]
支持基板4は、マニホールド2から上下方向に延びている。詳細には、支持基板4は、マニホールド2から上方に延びている。支持基板4は、扁平状であり、基端部41と先端部42とを有している。基端部41及び先端部42は、支持基板4の長さ方向(x軸方向)における両端部である。本実施形態では、支持基板4の基端部41は下端部を意味し、支持基板4の先端部42は上端部を意味する。
【0027】
支持基板4の基端部41は、マニホールド2に取り付けられる。例えば、支持基板4の基端部41は、接合材などによってマニホールド2の天板部231に取り付けられる。詳細には、支持基板4の基端部41は、天板部231に形成された貫通孔234に挿入されている。なお、支持基板4の基端部41は、貫通孔234に挿入されていなくてもよい。このように支持基板4の基端部41がマニホールド2に取り付けられることによって、支持基板4の基端部41は、ガス供給室21及びガス回収室22と連結している。
【0028】
支持基板4は、複数の第1ガス流路43と、複数の第2ガス流路44とを有している。第1ガス流路43は、支持基板4内を上下方向に延びている。すなわち、第1ガス流路43は、支持基板4の長さ方向(x軸方向)に延びている。第1ガス流路43は、支持基板4を貫通している。各第1ガス流路43は、支持基板4の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。なお、各第1ガス流路43は、等間隔に配置されていることが好ましい。支持基板4は、長さ方向(x軸方向)よりも幅方向(y軸方向)の寸法の方が長くてもよい。
【0029】
図5に示すように、隣り合う第1ガス流路43のピッチp1は、例えば、1〜5mm程度である。この隣り合う第1ガス流路43のピッチp1は、第1ガス流路43の中心間の距離である。例えば、第1ガス流路43のピッチp1は、基端部41、中央部、及び先端部42のそれぞれにおいて測定したピッチの平均値とすることができる。
【0030】
第1ガス流路43は、燃料電池セル10の基端部101から先端部102に向かって延びている。燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、第1ガス流路43は、基端部101側において、ガス供給室21と連通している。
【0031】
第2ガス流路44は、支持基板4内を上下方向に延びている。すなわち、第2ガス流路44は、支持基板4の長さ方向(x軸方向)に延びている。第2ガス流路44は、第1ガス流路43と実質的に平行に延びている。
【0032】
第2ガス流路44は、支持基板4を貫通している。各第2ガス流路44は、支持基板4の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。なお、各第2ガス流路44は、等間隔に配置されていることが好ましい。
【0033】
隣り合う第2ガス流路44のピッチp2は、例えば、1〜5mm程度である。この隣り合う第2ガス流路44のピッチp2は、第2ガス流路44の中心間の距離である。例えば、第2ガス流路44のピッチp2は、基端部41、中央部、及び先端部42のそれぞれにおいて測定したピッチの平均値とすることができる。なお、各第2ガス流路44間のピッチp2は、各第1ガス流路43間のピッチp1と実質的に等しいことが好ましい。
【0034】
第2ガス流路44は、燃料電池セル10の先端部102から基端部101に向かって延びている。燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、第2ガス流路44は、基端部101側において、マニホールド2のガス回収室22と連通している。
【0035】
隣り合う第1ガス流路43と第2ガス流路44とのピッチp0は、例えば、1〜10mm程度である。この隣り合う第1ガス流路43と第2ガス流路44とのピッチp0は、第1ガス流路43の中心と第2ガス流路44の中心との距離である。例えば、ピッチp0は、支持基板4の第1端面411において測定することができる。
【0036】
隣り合う第1ガス流路43と第2ガス流路44とのピッチp0は、隣り合う第1ガス流路43のピッチp1よりも大きい。また、隣り合う第1ガス流路43と第2ガス流路44とのピッチp0は、隣り合う第2ガス流路44のピッチp2よりも大きい。
【0037】
第1ガス流路43と第2ガス流路44とは、燃料電池セル10の先端部102側において互いに連通している。詳細には、第1ガス流路43と、第2ガス流路44とが、連通部材3の連通流路30を介して連通している。
【0038】
第1ガス流路43及び第2ガス流路44は、第1ガス流路43内におけるガスの圧力損失が第2ガス流路44内におけるガスの圧力損失よりも小さくなるように構成されている。なお、本実施形態のように第1ガス流路43及び第2ガス流路44のそれぞれが複数本ある場合、各第1ガス流路43内におけるガスの圧力損失の合計が、各第2ガス流路44内におけるガスの圧力損失の合計よりも小さくなるように、第1ガス流路43及び第2ガス流路44が構成される。
【0039】
例えば、各第1ガス流路43の流路断面積は、各第2ガス流路44の流路断面積よりも大きくすることができる。なお、第1ガス流路43の数と第2ガス流路44との数とが異なる場合は、各第1ガス流路43の流路断面積の合計値が、各第2ガス流路44の流路断面積の合計値よりも大きくすることができる。
【0040】
特に限定されるものではないが、各第2ガス流路44の流路断面積の合計値は、各第1ガス流路43の流路断面積の合計値の20〜95%程度とすることができる。なお、第1ガス流路43の流路断面積は、例えば、0.5〜20mm
2程度とすることができる。また、第2ガス流路44の流路断面積は、例えば、0.1〜15mm
2程度とすることができる。
【0041】
なお、第1ガス流路43の流路断面積は、第1ガス流路43が延びる方向(x軸方向)と直交する面(yz平面)で切断した切断面における第1ガス流路43の流路断面積を言う。また、第1ガス流路43の流路断面積は、基端部41側の任意の箇所における流路断面積と、中央部の任意の箇所における流路断面積と、先端部42側の任意の箇所における流路断面積との平均値とすることができる。
【0042】
また、第2ガス流路44の流路断面積は、第2ガス流路44が延びる方向(x軸方向)と直交する面(yz平面)で切断した切断面における第2ガス流路44の流路断面積を言う。また、第2ガス流路44の流路断面積は、基端部41側の任意の箇所における流路断面積と、中央部の任意の箇所における流路断面積と、先端部42側の任意の箇所における流路断面積との平均値とすることができる。
【0043】
図6に示すように、支持基板4は、第1主面45と、第2主面46とを有している。第1主面45と第2主面46とは、互いに反対を向いている。第1主面45及び第2主面46は、各発電素子部5を支持している。第1主面45及び第2主面46は、支持基板4の厚さ方向(z軸方向)を向いている。また、支持基板4の各側面47は、支持基板4の幅方向(y軸方向)を向いている。各側面47は、湾曲していてもよい。
図1に示すように、各支持基板4は、第1主面45と第2主面46とが対向するように配置されている。
【0044】
図6に示すように、支持基板4は、発電素子部5を支持している。支持基板4は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板4は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成される。または、支持基板4は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板4の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。この気孔率は、例えば、アルキメデス法、又は微構造観察により測定される。
【0045】
支持基板4は、緻密層48によって覆われている。緻密層48は、第1ガス流路43及び第2ガス流路44から支持基板4内に拡散されたガスが外部に排出されることを抑制するように構成されている。本実施形態では、緻密層48は、支持基板4の第1主面45、第2主面46、及び各側面47を覆っている。なお、本実施形態では、緻密層48は、後述する電解質7と、インターコネクタ91とによって構成されている。緻密層48は、支持基板4よりも緻密である。例えば、緻密層48の気孔率は、0〜7%程度である。
【0046】
[発電素子部]
複数の発電素子部5が、支持基板4の第1主面45及び第2主面46に支持されている。各発電素子部5は、支持基板4の長さ方向(x軸方向)に配列されている。詳細には、各発電素子部5は、支持基板4上において、基端部41から先端部42に向かって互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、各発電素子部5は、支持基板4の長さ方向(x軸方向)に沿って、間隔をあけて配置されている。なお、各発電素子部5は、後述する電気的接続部9によって、互いに直列に接続されている。また、第1主面45に配置された発電素子部5と第2主面46に配置された発電素子部5とは、支持基板4の基端部41又は先端部42などにおいて、直列に接続されている。
【0047】
発電素子部5は、支持基板4の幅方向(y軸方向)に延びている。発電素子部5は、支持基板4の幅方向において第1部分51と第2部分52とに区画される。なお、第1部分51と第2部分52との厳密な境界はない。例えば、燃料電池セル10をマニホールド2に取り付けた状態において、支持基板4の長さ方向視(x軸方向視)において、ガス供給室21とガス回収室22との境界と重複する部分を、第1部分51と第2部分52との境界部とすることができる。
【0048】
支持基板4の厚さ方向視(z軸方向視)において、第1ガス流路43は、発電素子部5の第1部分51と重複している。また、支持基板4の厚さ方向視(z軸方向視)において、第2ガス流路44は、発電素子部5の第2部分52と重複している。なお、複数の第1ガス流路43のうち、一部の第1ガス流路43が第1部分51と重複していなくてもよい。同様に、複数の第2ガス流路44のうち、一部の第2ガス流路44が第2部分52と重複していなくてもよい。
【0049】
図7は、第1ガス流路43に沿って切断した燃料電池セル10の断面図である。なお、第2ガス流路44に沿って切断した燃料電池セル10の断面図は、第2ガス流路44の流路断面積が異なる以外は、
図7と同じである。
【0050】
発電素子部5は、燃料極6、電解質7、及び空気極8を有している。また、発電素子部5は、反応防止膜11をさらに有している。燃料極6は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極6は、燃料極集電部61と燃料極活性部62とを有する。
【0051】
燃料極集電部61は、凹部49内に配置されている。凹部49は、支持基板4に形成されている。詳細には、燃料極集電部61は、凹部49内に充填されており、凹部49と同様の外形を有する。各燃料極集電部61は、第1凹部611及び第2凹部612を有している。燃料極活性部62は、第1凹部611内に配置されている。詳細には、燃料極活性部62は、第1凹部611内に充填されている。
【0052】
燃料極集電部61は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部61は、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部61の厚さ、及び凹部49の深さは、50〜500μm程度である。
【0053】
燃料極活性部62は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部62は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部62の厚さは、5〜30μmである。
【0054】
電解質7は、燃料極6上を覆うように配置されている。詳細には、電解質7は、一のインターコネクタ91から他のインターコネクタ91まで長さ方向に延びている。すなわち、支持基板4の長さ方向(x軸方向)において、電解質7とインターコネクタ91とが交互に配置されている。また、電解質7は、支持基板4の第1主面45、第2主面46、及び各側面47を覆っている。
【0055】
電解質7は、支持基板4よりも緻密である。例えば、電解質7の気孔率は、0〜7%程度である。電解質7は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質7は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質7の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0056】
反応防止膜11は、緻密な材料から構成される焼成体である。反応防止膜11は、平面視において、燃料極活性部62と略同一の形状である。反応防止膜11は、電解質7を介して、燃料極活性部62と対応する位置に配置されている。反応防止膜11は、電解質7内のYSZと空気極8内のSrとが反応して電解質7と空気極8との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。反応防止膜11は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O
2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜11の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0057】
空気極8は、反応防止膜11上に配置されている。空気極8は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極8は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO
3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O
3(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極8は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極8の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0058】
[電気的接続部]
電気的接続部9は、隣り合う発電素子部5を電気的に接続するように構成されている。電気的接続部9は、インターコネクタ91及び空気極集電膜92を有する。インターコネクタ91は、第2凹部612内に配置されている。詳細には、インターコネクタ91は、第2凹部612内に埋設(充填)されている。インターコネクタ91は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ91は、支持基板4よりも緻密である。例えば、インターコネクタ91の気孔率は、0〜7%程度である。インターコネクタ91は、例えば、LaCrO
3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO
3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ91の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0059】
空気極集電膜92は、隣り合う発電素子部5のインターコネクタ91と空気極8との間を延びるように配置される。例えば、
図7の左側に配置された発電素子部5の空気極8と、
図7の右側に配置された発電素子部5のインターコネクタ91とを電気的に接続するように、空気極集電膜92が配置されている。空気極集電膜92は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。
【0060】
空気極集電膜92は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜92の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0061】
[連通部材]
図5に示すように、連通部材3は、支持基板4の先端部42に取り付けられている。そして、連通部材3は、第1ガス流路43と第2ガス流路44とを連通させる連通流路30を有している。詳細には、連通流路30は、各第1ガス流路43と各第2ガス流路44とを連通する。連通流路30は、各第1ガス流路43から各第2ガス流路44まで延びる空間によって構成されている。連通部材3は、支持基板4に接合されていることが好ましい。また、連通部材3は、支持基板4と一体的に形成されていることが好ましい。連通流路30の数は、第1ガス流路43の数よりも少ない。本実施形態では、一本の連通流路30のみによって、複数の第1ガス流路43と複数の第2ガス流路44とが連通されている。
【0062】
連通部材3は、例えば、多孔質である。また、連通部材3は、その外側面を構成する緻密層31を有している。緻密層31は、連通部材3の本体よりも緻密に形成されている。例えば、緻密層31の気孔率は、0〜7%程度である。この緻密層31は、連通部材3と同じ材料や、上述した電解質7に使用される材料、結晶化ガラス等によって形成することができる。
【0063】
[ハウジング]
図2に示すように、ハウジング80は、マニホールド2及び燃料電池セル10を収容する。ハウジング80は、例えば、断熱材によって構成することができる。ハウジング80は、特に限定されるものではないが、直方体状に形成されている。
【0064】
[燃料処理器]
燃料処理器70は、マニホールド2のガス供給室21に供給される燃料ガスを生成する。例えば、燃料処理器70は、改質器である。燃料処理器70は、原料ガス(天然ガス、液化石油ガス、灯油など)を改質して燃料ガス(水素含有ガス)を生成する。例えば、下記(1)式及び(2)式に示すように、都市ガスの主成分であるメタン(CH
4)及び水蒸気から、燃料ガス(水素含有ガス)を生成する。
CH
4+2H
2O→4H
2+CO
2 ・・・(1)
CH
4+H
2O→3H
2+CO ・・・(2)
【0065】
燃料処理器70は、二重円筒式である。燃料処理器70は、燃料電池セル10が延びる方向(x軸方向)に延びている。本実施形態では燃料電池セル10及び燃料処理器70は、上下方向に延びている。なお、燃料処理器70は、長さ方向(x軸方向)の寸法の方が、幅方向(y軸方向)の寸法よりも長い。
【0066】
燃料処理器70は、改質部71と燃焼部72とを有している。燃料処理器70の内側の円筒内が燃焼部72を構成している。そして、燃料処理器70の内側の円筒と外側の円筒との間の空間が改質部71を構成している。
【0067】
改質部71内には触媒が収容されている。改質部71には、原料ガス供給経路P5および水蒸気供給経路P6が連結されている。この原料ガス供給経路P5を介して、改質部71内に原料ガスが供給される。また、水蒸気供給経路P6を介して、改質部71内に水蒸気が供給される。この改質部71内において、原料ガスを改質して燃料ガスを生成する。
【0068】
燃焼部72は、ガス回収室22から排出されたオフガスを燃焼するように構成されている。詳細には、燃料処理器70は、燃焼部72においてバーナ721を有している。バーナ721には、オフガス供給経路P4及び第2空気供給経路P2が連結されている。オフガス供給経路P4は、マニホールド2のガス回収室22とバーナ721とを連結している。詳細には、オフガス供給経路P4は、ガス排出口221と、バーナ721とを連結している。このオフガス供給経路P4を介して、ガス回収室22内のオフガスがガス回収室22内から排出される。バーナ721は、オフガスに空気を混合させて燃焼させる。
【0069】
燃料処理器70は、マニホールド2の下方に配置されている。すなわち、マニホールド2から各燃料電池セル10が上方に延びている場合は、燃料処理器70はマニホールド2の下方に配置される。燃料処理器70は、マニホールド2の底面と対向するように配置されている。
【0070】
燃料処理器70は、第1排出部73を有している。本実施形態において、第1排出部73は、燃料処理器70に形成された開口部である。詳細には、第1排出部73は、燃料処理器70の改質部71に形成された開口部である。第1排出部73は、生成した燃料ガスをガス供給室21へと排出する。詳細には、第1排出部73は、第1排出部73とガス供給室21とを連結する燃料ガス供給経路P3を介して、ガス供給室21へ燃料ガスを排出する。
【0071】
第1排出部73は、燃料処理器70の軸方向端面に形成されている。第1排出部73は、マニホールド2側に開口している。すなわち、第1排出部73は、マニホールド2側を向いている。そして、燃料ガス供給経路P3は、第1排出部73とガス供給口211との間を直線的に延びている。第1排出部73は、燃料電池セル10の先端面103よりもマニホールド2側に配置されている。本実施形態のように、燃料電池セル10の先端部102が上端部であり、基端部101が下端部である場合、第1排出部73は、燃料電池セル10の先端面103よりも下方に配置されている。そして、第1排出部73とマニホールド2との距離は、燃料電池セル10の先端面103とマニホールド2との距離よりも短い。このような配置とすることによって、第1排出部73とマニホールド2との距離を短縮することができ、燃料ガス供給経路P3を短くすることができる。なお、各燃料電池セル10の先端面103の位置が互いに異なる場合、最もマニホールド2から遠い位置にある先端面103を基準とする。
【0072】
燃料処理器70は、第2排出部74を有している。本実施形態では、第2排出部74は、筒状の部材であるが、単なる開口であってもよい。第2排出部74は、燃焼部72からのガスを排出する。第2排出部74は、水平面よりも下方を向いている。なお本実施形態では、第2排出部74は、真下を向いているが、第2排出部74の排出方向は、水平面よりも下方を向いていればよい。例えば、第2排出部74の排出方向と水平面とのなす角度が3度以上とすることが好ましい。
【0073】
このように、第2排出部74を下方に向けることで、次の効果を得ることができる。すなわち、上記実施形態では、第1ガス流路43を流れたガスのうち未反応のガスは第2ガス流路44を流れ、第2ガス流路44を流れたガスのうちさらに未反応のガスは、マニホールド2のガス回収室22にて回収される。このため、上記実施形態に係る燃料電池セル10は、ガスの使用効率を向上させることができる。このようにガスの使用効率が向上するため、本実施形態に係る燃料電池セル10から排出されるオフガスの温度は、一般的な燃料電池セルに比べて低い。このようにオフガスの温度が低温の場合、オフガス内の水蒸気が凝縮することによって生じた水が、第2排出部74から延びる排気管内を閉塞させるおそれがある。これに対し、上記実施形態に係る燃料処理器70では、第2排出部74を下方に向けているため、発生した水によって排気管内が閉塞されることを防止することができる。
【0074】
[各ガス供給経路]
第1空気供給経路P1は、ハウジング80へ空気を供給する。詳細には、第1空気供給経路P1は、熱交換器81を経由してからハウジング80へ空気を供給する。第1空気供給経路P1によってハウジング80内へ供給された空気は、燃料電池セル10の発電に用いられる。第1空気供給経路P1は、例えば、ハウジング80内において、燃料電池セル10の上方から燃料電池セル10に向かって下方に空気を供給する。
【0075】
第2空気供給経路P2は、バーナ721へ空気を供給する。第2空気供給経路P2によって供給された空気は、バーナ721の燃焼に用いられる。第1空気供給経路P1と第2空気供給経路P2とは、別の空気供給源と接続されていてもよいし、同じ空気供給源に接続されていてもよい。なお、第1空気供給経路P1と第2空気供給経路P2とが同じ空気供給源と接続されている場合、第1空気供給経路P1と第2空気供給経路P2とのそれぞれに空気の流量を調整する流量制御弁などを設けることが好ましい。
【0076】
第1空気供給経路P1によってハウジング80内に供給される空気の流量(Q1)に対する、第2空気供給経路P2によってバーナ721に供給される空気の流量(Q2)の割合(Q2/Q1)は、0.05〜0.40とすることが好ましい。この数値範囲とすることによって、燃料電池装置100は熱自立することができる。また、この割合(Q2/Q1)は、0.10〜0.35とすることがより好ましい。この数値範囲とすることによって、バーナ721から発生するCOが減少し燃料処理器70に備えるCO除去触媒の設置が不要になるという効果を得ることができる。
【0077】
なお、マニホールド2、燃料電池セル10、ハウジング80、及び第1空気供給経路P1によって構成されるセルスタック装置が複数ある場合、第1空気供給経路P1によってハウジング内80内に供給される空気の流量(Q1)とは、各ハウジング80内に供給される空気の流量(Q1)の総量である。また、燃料処理器70が複数ある場合、第2空気供給経路P2によってバーナ721に供給される空気の流量(Q2)とは、各バーナ721に供給される空気の流量(Q2)の総量である。
【0078】
燃料ガス供給経路P3は、燃料処理器70から燃料ガス供給室21へ燃料ガスを供給する。詳細には、燃料ガス供給経路P3は、燃料処理器70の第1排出部73とガス供給室21とを連結している。これによって、燃料ガス供給経路P3は、燃料処理器70によって生成された燃料ガスをガス供給室21へ供給する。
【0079】
オフガス供給経路P4は、ガス回収室22からバーナ721へ、燃料ガスのオフガスを供給する。詳細には、オフガス供給経路P4は、ガス回収室22とバーナ721とを連結している。燃料電池セル10内を流れた後にガス回収室22に回収された燃料ガスのオフガスが、オフガス供給経路P4を介してバーナ721へと供給される。
【0080】
原料ガス供給経路P5は、燃料処理器70に原料ガスを供給する。詳細には、原料ガス供給経路P5は、燃料処理器70の改質部71に連結されており、改質部71に原料ガスを供給する。
【0081】
水蒸気供給経路P6は、燃料処理器70に水蒸気を供給する。詳細には、水蒸気供給経路P6は、燃料処理器70の改質部71に連結されており、改質部71に水蒸気を供給する。
【0082】
上述した各ガス供給経路P1〜P6は、例えば配管などによって構成されている。なお、燃料電池装置100は、空気排出経路P7をさらに有している。空気排出経路P7は、ハウジング80内に供給され、燃料電池セル10において発電に用いられた後の空気をハウジング80内から排出するための経路である。この空気排出経路P7も配管などによって構成されている。
【0083】
[熱交換器]
熱交換器81は、第1空気供給経路P1内を流れる空気と、空気排出経路P7内を流れる空気とを熱交換させる。詳細には、空気排出経路P7内を流れる空気の熱によって第1空気供給経路P1内を流れる空気が加熱される。
【0084】
[発電方法]
上述したように構成された燃料電池装置100では、燃料処理器70によって生成された燃料ガスをマニホールド2のガス供給室21に供給するとともに、燃料電池セル10を空気などの酸素を含むガスに曝す。すると、空気極8において下記(3)式に示す化学反応が起こり、燃料極6において下記(4)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O
2+2e
−→O
2− …(3)
H
2+O
2−→H
2O+2e
− …(4)
【0085】
詳細には、ガス供給室21に供給された燃料ガスは、各燃料電池セル10の第1ガス流路43内を流れ、各発電素子部5の燃料極6において、上記(4)式に示す化学反応が起こる。各燃料極6において未反応であった燃料ガスは、第1ガス流路43を出て連通部材3の連通流路30を介して第2ガス流路44へ供給される。そして、第2ガス流路44へ供給された燃料ガスは、再度、燃料極6において上記(4)式に示す化学反応が起こる。第2ガス流路44を流れる過程において燃料極6において未反応であった燃料ガスは、マニホールド2のガス回収室22へ回収される。
【0086】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0087】
変形例1
上記実施形態では、燃料ガス供給経路P3を介して燃料処理器70の第1排出部73とマニホールド2のガス供給室21とが連結しているが、燃料ガス供給経路P3の設置を省略してもよい。すなわち、燃料処理器70の第1排出部73とマニホールド2にガス供給室21とが直接連結されていてもよい。
【0088】
変形例2
上記実施形態では、マニホールド2の底面に、ガス供給口211及びガス排出口221が形成されているが、ガス供給口211及びガス排出口221の形成位置はこれに限定されない。例えば、ガス供給口211及びガス排出口221の少なくとも一方は、マニホールド2の側面に形成されていてもよいし、マニホールド2の上面に形成されていてもよい。
【0089】
変形例3
上記実施形態では、燃料処理器70は、改質器によって構成されているが、これに限定されない。例えば、燃料処理器70は、改質器に加えて、CO変性器及びCO浄化器などを有していてもよい。CO変性器は、改質器で発生した一酸化炭素および水から二酸化炭素及び水素を生成するように構成されている。また、CO浄化器は、改質器で発生した一酸化炭素に酸素を加えて、二酸化炭素へ変化させるように構成されている。
【0090】
変形例4
上記実施形態では、燃料処理器70は、燃料電池セル10が延びる方向に延びているが、これに限定されない。例えば、
図8に示すように、燃料処理器70は、燃料電池セル10が延びる方向と交差する方向(y軸方向又はz軸方向)に延びていてもよい。詳細には、燃料電池セル10が上下方向に延びる場合、燃料処理器70は水平方向に延びていてもよい。すなわち、燃料処理器70は、マニホールド2の底面に沿って延びていてもよい。この場合、第1排出部73は、交差する方向に開口している。すなわち、第1排出部73は、燃料処理器70が延びる方向に開口している。
【0091】
変形例5
上記実施形態では、燃料処理器70の第2排出部74が下方を向いているが、これに限定されない。例えば、
図8に示すように、第2排出部74は、水平方向を向いていてもよい。この場合、第2排出部74に接続される排気管P8を下方に向けることが好ましい。この排気管P8が水平面となす角度は3度以上であることが好ましい。
【0092】
変形例6
上記実施形態では、燃料処理器70はマニホールド2の下方に配置されているが、燃料処理器70の配置はこれに限定されない。例えば燃料処理器70は燃料電池セル10の側方に配置されていてもよい。
【0093】
変形例7
上記実施形態では、第1ガス流路43と第2ガス流路44とは、連通部材3が有する連通流路30によって連通されていたが、この構成に限定されない。例えば、
図9に示すように、支持基板4が、内部に連通流路30を有していてもよい。この場合、燃料電池装置100は、連通部材3を備えていなくてもよい。この支持基板4内に形成された連通流路30によって、第1ガス流路43と第2ガス流路44とが連通されている。
【0094】
変形例8
図10に示すように、支持基板4は、第1支持基板4aと第2支持基板4bとに分かれていてもよい。この場合、第1支持基板4aに第1ガス流路43が形成され、第2支持基板4bに第2ガス流路44が形成される。
【0095】
変形例9
上記実施形態では、支持基板4は、複数の第1ガス流路43を有しているが、1つの第1ガス流路43のみを有していてもよい。同様に、支持基板4は、複数の第2ガス流路44を有しているが、1つの第2ガス流路44のみを有していてもよい。
【0096】
変形例10
上記実施形態では、燃料電池セル10はマニホールド2から上方に延びるように構成されているが、これに限定されない。例えば、燃料電池セル10は、マニホールド2から下方に延びていてもよい。この場合、燃料処理器70は、例えば、マニホールド2の上方に配置される。
【0097】
変形例11
上記実施形態のマニホールド2では、1つのマニホールド本体部23を仕切板24で仕切ることによって、ガス供給室21とガス回収室22とを画定しているが、マニホールド2の構成はこれに限定されない。例えば、2つのマニホールド本体部23によってマニホールド2を構成することもできる。この場合、1つのマニホールド本体部23がガス供給室21を有し、別のマニホールド本体部23がガス回収室22を有している。
【0098】
変形例12
上記実施形態の燃料電池セル10は、各発電素子部5が支持基板4の長さ方向(x軸方向)に配列されている、いわゆる横縞型の燃料電池セルであるが、燃料電池セル10の構成はこれに限定されない。例えば、燃料電池セル10は、支持基板4の第1主面45に1つの発電素子部5が支持された、いわゆる縦縞型の燃料電池セルであってもよい。この場合、支持基板4の第2主面46に一つの発電素子部5が支持されていてもよいし、支持されていなくてもよい。また、上記実施形態の燃料電池セル10は、いわゆる円筒平板形であるが、円筒形、又は平板形などであってもよい。
【0099】
変形例13
図11に示すように、燃料電池装置100は、気流生成部90をさらに備えていてもよい。気流生成部90は、燃料処理器70からハウジング80へ向かう気流を生成するように構成されている。例えば、気流生成部90は、ファンを有する。気流生成部90は、ハウジング80との間で燃料処理器70を挟むように配置される。すなわち、気流生成部90、燃料処理器70、ハウジング80の順で配列される。
【0100】
気流生成部90が作動することによって、気体(空気)は、矢印Aに示すように、燃料処理器70の周囲を流れた後にハウジング80の周囲を流れる。この気体は、燃料処理器70の周囲を流れる間に加熱されて高温になる。そして、高温となった気体がハウジング80の周囲を流れることによって、ハウジング80および周辺の基材が加熱され、ハウジング80の外側面の温度とハウジング80の周囲の空間の温度との温度差が小さくなる。この結果、輻射熱伝達が小さくなり燃料電池装置100の熱自立性が向上する。
【0101】
なお、気流生成部90は、気体を吸い込むことによって、上述したような気流を生成することもできる。この場合、気流生成部90は、燃料処理器70との間でハウジング80を挟むように配置される。すなわち、気流生成部90、ハウジング80、燃料処理器70の順で配列される。
【0102】
第1空気供給経路P1によってハウジング80内に供給される空気の流量(Q1)に対する、気流生成部90によって生成される気流の流量Q3の割合(Q3/Q1)は、例えば、0.1〜2.0とすることができ、0.1〜0.5とすることが好ましい。この数値範囲とすることによって、気流生成部90から燃料処理器70に送られる気体(空気)の温度が−10℃以下の場合であっても、燃料電池装置100は熱自立することができる。なお、気流生成部90によって生成される気流の流量Q3は、気流生成部90の吹き出し口において流量計によって測定してもよいし、気流生成部90の回転数と負圧度から算出してもよい。
【実施例】
【0103】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0104】
実施例1
図2に示すような構成の燃料電池装置100において、表1に示すように、第1空気供給経路P1によってハウジング80内に供給される空気の流量(Q1)、及び第2空気供給経路P2によってバーナ721に供給される空気の流量Q2を変えて、それぞれサンプルNo.1〜15として定格運転を行った。なお、各サンプルNo.1〜15において、各空気の流量(Q1,Q2)を変更した以外の条件は同じとしている。なお、本実施例では、直列に接続された表裏合わせて20個の発電素子部5を有する20枚の燃料電池セル10を用いて評価を行ったが、発電素子部5の数、及び燃料電池セル10の枚数を変更しても同様の結果が得られることを確認している。
【0105】
(評価方法)
表1における熱自立性の評価は次のようにして行った。定格運転時に各空気の流量(Q1,Q2)を表1に示すような割合とし、それから1日経過後、ハウジング80から排出されて空気排出流路P7内を流れる空気の温度を測定した。なお、空気の温度は、ハウジング80から熱交換器81の間で測定した。この空気の温度が600℃以上であるか否かを確認することで熱自立性を評価した。表1において、測定された空気の温度が600℃以上であるものを「○」、600℃未満であるものを「×」としている。
【0106】
また、表1におけるCO除去触媒の要否の評価は次のようにして行った。定格運転時に各空気の流量(Q1,Q2)を表1に示すような割合として、燃料処理器70の第2排出部74から排出される排気ガスを分析した。詳細には、排気ガス中のO
2濃度とCO濃度を測定し、下記の(5)式を用いてO
2=0%換算でのCO濃度を算出した。そして、この換算値が300ppm以下であるか否かでCO除去触媒の要否を評価した。なお、表1において、換算値が300ppm以下であればCO除去触媒を「不要」、300ppmを超えれば「要」とした。
【0107】
【数1】
Cs:CO濃度(ppm)
Os:O
2濃度(%)
On:換算係数(%)
C:換算後のCO濃度
【0108】
【表1】
【0109】
表1に示すように、第1空気供給経路P1によってハウジング内に供給される空気の流量(Q1)に対する、第2空気供給経路P2によってバーナ721に供給される空気の流量(Q2)の割合(Q2/Q1)を、0.05〜0.40とすることにより、燃料電池装置100が熱自立できることが分かった。
【0110】
また、上記割合(Q2/Q1)を、0.10〜0.35とすることにより、CO除去触媒の設置を不要とすることができることも分かった。
【0111】
実施例2
上記実施例1において熱自立性が「×」となったサンプルNo.1、2、10、15に対し、気流生成部90を用いて燃料処理器70からハウジング80に向かう気流を生成し、上記実施例1と同じように熱自立性の評価を行った。この気流生成部90によって熱処理器70に送風される空気の温度は、一般的に燃料電池装置が設置される環境の温度(15〜25℃)と同程度である。
【0112】
この実施例2における熱自立性の評価の結果を表2に示す。なお、実施例2における評価試験の条件は、気流生成部90を用いたことを除き、上記実施例1と同様である。
【0113】
表2のサンプルNo.16〜18は、上記実施例1のサンプルNo.1に対して、流量Q3を変更して評価試験を行ったものである。表2のサンプルNo.19〜21は、上記実施例1のサンプルNo.2に対して、流量Q3を変更して評価試験を行ったものである。表2のサンプルNo.22〜24は、上記実施例1のサンプルNo.10に対して、流量Q3を変更して評価試験を行ったものである。表2のサンプルNo.25〜27は、上記実施例1のサンプルNo.15に対して、流量Q3を変更して評価試験を行ったものである。
【0114】
【表2】
【0115】
表2に示すように、気流生成部90によって熱処理器70からハウジング80に向かう気流を生成することによって、熱自立性が向上することが分かった。
【0116】
実施例3
実施例3では、実施例2と同様の試験を行った。ただし、気流生成部90によって燃料処理器70に送風する空気の温度を、−10℃以下としている。なお、実施例3において、この燃料処理器70に送風する空気の温度、流量Q3以外は、実施例2と同様の条件である。この実施例3における熱自立性の評価結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
【0118】
表3に示すように、気流生成部90によって燃料処理器70に送風する空気の温度が−10℃以下のような環境下であっても、第1空気供給経路P1によってハウジング80内に供給される空気の流量(Q1)に対する、気流生成部90によって生成される気流の流量Q3の割合(Q3/Q1)を0.1〜0.5程度とすることによって、熱自立性を確保できることが分かった。