(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6701577
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】廃棄物焼却システム
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20200518BHJP
F23G 5/46 20060101ALI20200518BHJP
F23G 5/30 20060101ALI20200518BHJP
F23G 7/04 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
F23G5/50 HZAB
F23G5/46 A
F23G5/30 A
F23G5/50 E
F23G7/04 601J
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-253861(P2016-253861)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-105566(P2018-105566A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(74)【代理人】
【識別番号】100094709
【弁理士】
【氏名又は名称】加々美 紀雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏行
(72)【発明者】
【氏名】石川 美佳
(72)【発明者】
【氏名】岡田 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】内田 敏之
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−046313(JP,A)
【文献】
実開昭59−145541(JP,U)
【文献】
特開2001−074223(JP,A)
【文献】
特開昭60−096823(JP,A)
【文献】
特開平01−111117(JP,A)
【文献】
特開2001−074220(JP,A)
【文献】
特開2008−032345(JP,A)
【文献】
特開昭60−238608(JP,A)
【文献】
特公昭53−038454(JP,B2)
【文献】
特開昭64−014513(JP,A)
【文献】
特開2002−357397(JP,A)
【文献】
特開2013−083384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00−5/50
F23G 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉に供給される燃焼用空気を加熱する空気予熱器と、
前記焼却炉からの排ガスにより蒸気を発生させる廃熱ボイラと、
を備えた廃棄物焼却システムであって、
前記焼却炉に供給される燃焼用空気のための配管Aと、前記焼却炉から排出される排ガスのための配管Bとが設けられており、
前記配管Aは、空気を前記空気予熱器の被加熱側のガス入口に導く配管A1と、空気を直接前記焼却炉に導く配管A2とに分岐しており、
前記空気予熱器の被加熱側のガス出口には前記空気予熱器から空気を排出する配管A3が設けられており、
前記配管Bは、排ガスを空気予熱器の加熱側のガス入口に導く配管B1と、排ガスを直接前記廃熱ボイラに導く配管B2とに分岐しており、
前記空気予熱器の加熱側のガス出口には空気予熱器から排ガスを排出する配管B3が設けられており、
前記配管A2と前記配管A3とは前記配管A2内の空気と前記配管A3内の空気とを混合して前記焼却炉に導く配管A4に接続されており、
前記配管B2と前記配管B3とは前記配管B2内の排ガスと前記配管B3内の排ガスとを混合して廃熱ボイラに導く配管B4に接続されており、
前記配管A1〜A3の少なくとも一つに空気予熱器内を流れる空気の流量を制御する流量制御手段が設けられ、
前記配管B1〜B3の少なくとも一つに空気予熱器内を流れる排ガスの流量を制御する流量制御手段が設けられ、
前記焼却炉の炉内温度を検出する温度検出器17と、前記温度検出器17からの信号を受ける温度指示制御器18とが設けられ、
前記配管A1〜A3の少なくとも一つに設けられた空気予熱器内を流れる空気量を制御する流量制御手段と、前記配管B1〜B3の少なくとも一つに設けられた空気予熱器内を流れる排ガスの流量を制御する流量制御手段とが、前記焼却炉に設置された温度検出器17からの信号を受けた温度指示制御器18により制御される、
廃棄物焼却システム。
【請求項2】
前記空気予熱器内を流れる空気の流量を制御する流量制御手段が前記配管A1及び前記配管A2に設けられ、
前記空気予熱器内を流れる排ガスの流量を制御する流量制御手段が、前記配管B1及び前記配管B2に設けられている、
請求項1に記載の廃棄物焼却システム。
【請求項3】
廃棄物を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉に供給される燃焼用空気を加熱する空気予熱器と、
前記焼却炉からの排ガスにより蒸気を発生させる廃熱ボイラと、
を備えた廃棄物焼却システムであって、
前記焼却炉に供給される燃焼用空気のための配管Aと、前記焼却炉から排出される排ガスのための配管Bとが設けられており、
前記配管Aは、空気を前記空気予熱器の被加熱側のガス入口に導く配管A1と、空気を直接前記焼却炉に導く配管A2とに分岐しており、
前記空気予熱器の被加熱側のガス出口には前記空気予熱器から空気を排出する配管A3が設けられており、
前記配管Bは、排ガスを空気予熱器の加熱側のガス入口に導く配管B1と、排ガスを直接前記廃熱ボイラに導く配管B2とに分岐しており、
前記空気予熱器の加熱側のガス出口には空気予熱器から排ガスを排出する配管B3が設けられており、
前記配管A2と前記配管A3とは前記配管A2内の空気と前記配管A3内の空気とを混合して前記焼却炉に導く配管A4に接続されており、
前記配管B2と前記配管B3とは前記配管B2内の排ガスと前記配管B3内の排ガスとを混合して廃熱ボイラに導く配管B4に接続されており、
前記配管A1〜A3の少なくとも一つに空気予熱器内を流れる空気の流量を制御する流量制御手段が設けられ、
前記配管B1〜B3の少なくとも一つに空気予熱器内を流れる排ガスの流量を制御する流量制御手段が設けられ、
前記焼却炉の炉内温度を検出する温度検出器17と、前記温度検出器17からの信号を受ける温度指示制御器18とが設けられ、
前記配管A4には温度検出器19が設けられ、前記温度検出器19からの信号を受ける温度指示制御器20が設けられ、
前記配管A1〜A3の少なくとも一つに設けられた空気予熱器内を流れる空気量を制御する流量制御手段が、前記温度検出器17からの信号を受けた温度指示制御器18により制御され、
前記配管B1〜B3の少なくとも一つに設けられた空気予熱器内を流れる排ガスの流量を制御する流量制御手段が、前記配管A4に設置された温度検出器19からの信号を受けた温度指示制御器20により制御される、
廃棄物焼却システム。
【請求項4】
前記空気予熱器内を流れる空気の流量を制御する流量制御手段が前記配管A1及び前記配管A2に設けられ、前記空気予熱器内を流れる排ガスの流量を制御する流量制御手段が、前記配管B1及び前記配管B2に設けられている、
請求項3に記載の廃棄物焼却システム。
【請求項5】
前記焼却炉が流動床式焼却炉である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の廃棄物焼却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水汚泥、し尿汚泥、産業排水汚泥等の廃棄物を焼却して処理するのに利用される廃棄物焼却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、下水汚泥などの汚泥を焼却する焼却炉などには、流動床式焼却炉システムが広く使用されている。
近年、廃棄物焼却場に都市等で収集され搬送されてくる廃棄物は、その排出量の増大と共に、高カロリー化してきている。このため、廃棄物の焼却によるエネルギーの回収が注目されてきており、最近では、廃棄物焼却設備に発電設備を併設し、廃棄物の焼却によって得られた燃焼ガスにより蒸気を発生させ発電を行わせる廃棄物発電システムを採用する廃棄物焼却場が多くなってきている。
【0003】
ところで、年間を通して一定の発電量を得るためには、年間を通して一定の蒸気発生量が得られればよく、年間を通して一定の蒸気発生量を得るためには、廃棄物焼却設備での燃焼を安定化する必要がある。
特許文献1及び特許文献2には廃棄物焼却設備での燃焼を安定化する運転制御装置について記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の装置を
図6に基づいて以下説明する。
図6に示されたものは、下水処理設備から供給されてくる汚泥の水分量を調整することによって、年間を通して一定した高い蒸気発生量を得られ高効率な発電が行えるようにした廃棄物発電システムであって、廃棄物を焼却させて蒸気を発生させる廃棄物焼却系統と、該蒸気によりタービン9を駆動し発電する発電系統とを備えてなる廃棄物発電システムである。
汚泥処理系統は、下水処理場から供給された汚泥22に含まれている水分を除去する脱水装置24と、該脱水装置24を介して得られた汚泥22と廃棄物4とを混合させる混合装置25と、脱水装置24における汚泥22の脱水率を制御する脱水制御装置27とを備えている。また、廃棄物焼却系統は、混合装置25で得られた混合物26を押し込みファン14からの燃焼用空気5と共に焼却させる廃棄物焼却炉1と、この焼却で得られた燃焼ガス3により蒸気発生装置2の蒸発器6で過熱蒸気8を発生させると共に、前記焼却温度の変化を検出し、該検出に基づいて前記脱水装置における汚泥の脱水率を制御する脱水制御装置27を備えている。
【0005】
特許文献2に記載の装置を
図7に基づいて以下説明する。
図7には、処理物性状の変動に対して、安定した燃焼を維持することができるようにした廃棄物焼却システムを示している。
流動床焼却炉1の排ガス系統に並列に配置した廃熱ボイラ2および空気予熱器3と、この空気予熱器3および流動床焼却炉1へ流動ブロワ7からの燃焼用空気を分岐して供給する管8、9と、流動床焼却炉1内の温度を検出して空気予熱器3と流動床焼却炉1へ供給する空気量の比率を変化させ、前記空気予熱器3で予熱された流動空気温度を所定温度範囲に調整する流量制御弁13を設けると共に、廃熱ボイラを流出した排ガスのラインに空気予熱器3へ流入する排ガス量を調整する排ガスダンパ17を設けた廃棄物焼却システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−79556号公報
【特許文献2】特開昭63−46313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のシステムは廃棄物の含水率の変動に対してある程度は対応が可能であるが、安定的に運転するにはなお課題がある。
また、特許文献2に記載の廃棄物焼却システムでは、燃焼用空気のラインを空気予熱器に送るラインと焼却炉に送るラインとの二つのラインを設け、一方のラインに空気ダンパを設けると共に廃熱ボイラの排ガス流出側に空気ダンパを設けることによって焼却炉の温度を調整している。この廃棄物焼却システムは、空気予熱器に流入する排ガス量を調整することによって、被加熱媒体である空気が過熱して、過熱による配管等の設備が損傷することを防ぐことができる。しかしながら、この廃棄物焼却システムは、排ガスのラインに対して廃熱ボイラと空気予熱器とが並列に配置されており、空気予熱器を流出した排ガスは廃熱ボイラにおいて熱を回収されないため、十分な熱回収ができないという問題がある。
【0008】
本発明は、空気予熱器内における空気の過熱による機器の破損や排ガスが過度に低温化して排ガス中の酸成分が水溶液化して酸露点腐食が生じたりすることを防止し、かつ排ガスの熱を有効に回収し、安定した運転が可能な廃棄物焼却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る廃棄物焼却システムの構成は以下の通りである。
(1)廃棄物を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉に供給される燃焼用空気を加熱する空気予熱器と、
前記焼却炉からの排ガスにより蒸気を発生させる廃熱ボイラと、
を備えた廃棄物焼却システムであって、
前記焼却炉に供給される燃焼用空気のための配管Aと、前記焼却炉から排出される排ガスのための配管Bとが設けられており、
前記配管Aは、空気を前記空気予熱器の被加熱側のガス入口に導く配管A1と、空気を直接前記焼却炉に導く配管A2とに分岐しており、
前記空気予熱器の被加熱側のガス出口には前記空気予熱器から空気を排出する配管A3が設けられており、
前記配管Bは、排ガスを空気予熱器の加熱側のガス入口に導く配管B1と、排ガスを直接前記廃熱ボイラに導く配管B2とに分岐しており、
前記空気予熱器の加熱側のガス出口には空気予熱器から排ガスを排出する配管B3が設けられており、
前記配管A2と前記配管A3とは前記配管A2内の空気と前記配管A3内の空気とを混合して前記焼却炉に導く配管A4に接続されており、
前記配管B2と前記配管B3とは前記配管B2内の排ガスと前記配管B3内の排ガスとを混合して廃熱ボイラに導く配管B4に接続されており、
前記配管A1〜A3の少なくとも一つに空気予熱器内を流れる空気の流量を制御する流量制御手段が設けられ、
前記配管B1〜B3の少なくとも一つに空気予熱器内を流れる排ガスの流量を制御する流量制御手段が設けられた、
廃棄物焼却システム。
(2)前記配管A1、前記配管A2、前記配管B1、及び前記配管B2にガス流量を制御する手段を設けた、上記(1)に記載の廃棄物焼却システム。
(3)前記配管A1又は前記配管A2、及び、前記配管B1又は前記配管B2にガス流量を制御する手段を設けた、上記(1)に記載の廃棄物焼却システム。
(4)前記焼却炉が流動床式焼却炉である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の廃棄物焼却システム。
(5)前記廃棄物が下水汚泥、し尿汚泥又は産業排水汚泥である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の廃棄物焼却システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明の廃棄物焼却システムを用いることにより、空気予熱器内における空気の過熱によって機器が破損したり、排ガスが過度に低温化して排ガス中の酸成分が水溶液化して酸露点腐食が生じたりすることを防止することができ、かつ排ガスの熱を有効に回収し、安定した運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の廃棄物焼却システムの第1の実施形態を示す図である。
【
図2】第1の実施形態における焼却炉の炉内温度を制御する方法の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態における焼却炉の炉内温度を制御する方法の一例を示す図である。
【
図4】本発明の廃棄物焼却システムの第2の実施形態を示す図である。
【
図5】本発明の廃棄物焼却システムの第3の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の廃棄物焼却システムの実施形態の一つを
図1に基づいて以下詳細に説明する。
なお、以下では、廃棄物として汚泥を処理する場合を例に挙げて説明する。
(第1の実施形態)
廃棄物焼却システムは焼却炉1と、空気予熱器2と、廃熱ボイラ3と、空気送風機4、及びこれらの機器に接続された空気又は排ガス用の配管とを備えている。
焼却炉1には配管Cから汚泥が供給されて焼却処理され、焼却により発生した排ガスは配管Bによって焼却炉1から流出する。
【0013】
空気送風機4は燃焼用空気を焼却炉に供給するためのものである。空気送風機4は配管Aに接続されており、この配管Aは配管A1及び配管A2に分岐している。
配管A1は流量制御弁12を介して空気予熱器2の被加熱側のガス入口に接続されており、空気予熱器2で排ガスと熱交換して加熱されて空気予熱器2から配管A3を通って流出する。
一方、配管A2は流量制御弁11を介して配管A3に接続されており、配管A2内の空気は空気予熱器2から排出された配管A3内の加熱空気と混合されて配管A4を通って焼却炉1に供給される。
【0014】
焼却炉1で発生した高温の排ガスは、配管Bを通って焼却炉1から流出する。
この配管Bは配管B1及び配管B2に分岐している。
配管B1は流量制御弁14を介して空気予熱器2の加熱側のガス入口に接続されており、空気予熱器2で空気と熱交換して熱を回収され、空気予熱器2から配管B3を通って流出する。
一方、配管B2は流量制御弁13を介して配管B3に接続されており、配管B2内の排ガスは、空気予熱器2から排出された配管B3内の排ガスと混合されて配管B4を通って廃熱ボイラ3に供給される。
【0015】
流量制御弁11、12の作用について説明する。
焼却炉1内には、炉内温度を検出するための温度検出器が設けられており、検出された温度情報は温度指示制御器へ送られ、この温度指示制御器によって流量制御弁11、12の開閉度を調整して、配管A1によって空気予熱器2に供給される空気と、配管A2によって焼却炉1に送られる空気との供給比率を制御する。
【0016】
例えば、焼却炉1の炉内温度を約800℃に一定に保持しようとするとき、炉内温度が高くなると流量制御弁11を開く方向に制御すると共に、流量制御弁12を閉じる方向に制御することにより、空気予熱器2に供給される空気量を減少させて焼却炉1に供給される空気の温度を低下させる。
また、炉内温度が低くなると、流量制御弁11を閉じる方向に制御すると共に、流量制御弁12を開く方向に制御して、空気予熱器2への空気量を増加させて、焼却炉1に供給される空気の温度を上昇させる。
【0017】
ところで、炉内温度に応じて流量制御弁11、12を開閉するという操作を行うと次のような問題がある。
すなわち、燃焼空気の温度を下げるために配管A1内の空気の流量を減少させると共に、配管A2内の空気の流量を増加させると、空気予熱器2内を通過する空気量が減少する。このため、空気予熱器2内において空気が高温の排ガスとの過剰な熱交換によって過度に加熱され、空気予熱器2の出口空気温度が過度に上昇して空気予熱器2及び配管の加熱破損が生じる可能性がある。
そこで、本実施形態においては、空気予熱器2における過剰な熱交換を防ぐために、空気予熱器2を通過する排ガス量を制御する手段を設ける。
【0018】
以下、空気予熱器2を通過する排ガス量を制御するための手段について説明する。
焼却炉1で発生した排ガスを流出させる配管Bは配管B1と配管B2とに分岐している。
配管B1は流量制御弁14を介して空気予熱器2の加熱側のガス入口に接続されており、空気予熱器2で空気と熱交換して空気を加熱し、温度が低下した排ガスとなって空気予熱器2から配管B3を通って流出する。
一方、配管B2は流量制御弁13を介して配管B3に接続されており、流量制御弁13を通過した配管B2内の排ガスは空気予熱器2から排出された配管B3内の排ガスと混合されて配管B4を通って廃熱ボイラ3に供給されて熱を回収される。
【0019】
そして、焼却炉1の炉内温度が高くなると、流量制御弁12を閉じる方向に、また、流量制御弁11を開く方向にそれぞれ制御して空気予熱器2に流入する空気量を減少させると共に、配管B1の流量制御弁14を閉じる方向に、また、配管B2の流量制御弁13を開く方向にそれぞれ制御して空気予熱器2に流入する排ガス量を減少させる。
【0020】
一方、炉内温度が低くなると、流量制御弁12を開く方向に、また、流量制御弁11を閉じる方向にそれぞれ制御して空気予熱器2に流入する空気量を増加させると共に、配管B1の流量制御弁14を開く方向に、また配管B2の流量制御弁13を閉じる方向にそれぞれ制御して空気予熱器2に流入する排ガス量を増大させる。
【0021】
次に、空気予熱器2に供給される空気及び排ガスのそれぞれのガス流量を制御する方法の一例を
図2に基づいて説明する。
焼却炉1の炉内温度は温度検出器17によって検出され、検出された温度情報は温度指示制御器18へ送られる。温度指示制御器18は温度検出器17からの測定値と炉内温度の温度設定値との偏差に基づいて、配管A1、配管A2、配管B1、及び配管B2に設けられた流量制御弁11、12、13、14に弁の開度を制御する信号を出力して、弁を開閉する。
【0022】
具体的には、温度検出器17が示す炉内温度が設定値よりも高くなれば、空気予熱器2に供給される空気量を減少させるために、温度指示制御器18から、流量制御弁11を開く方向に、かつ、流量制御弁12を閉じる方向に制御信号を出す。一方、空気予熱器2に供給される排ガス量を減少させるために、流量制御弁14を閉じる方向に、かつ、流量制御弁13を開く方向に制御信号を出す。
【0023】
また、温度検出器17が示す炉内温度が設定値よりも低くなれば、空気予熱器2に供給される空気量を増加させるために、温度指示制御器18は、流量制御弁12を開く方向に、また、流量制御弁11を閉じる方向に制御信号を出す。
一方、空気予熱器2に供給される排ガス量を増加させるために、流量制御弁14を開く方向に、また、流量制御弁13を閉じる方向に制御信号を出す。
【0024】
前記した方法においては、温度検出器17と温度指示制御器18とで空気予熱器2に流入する排ガスの流量を制御した。
図3に示したものは、温度指示制御器18で空気予熱器2に供給される空気量を制御する点は
図2に示したものと同じであるが、空気予熱器2に供給される排ガスの流量を制御する方法が
図2に示したものと異なる。
図3に示したものでは、焼却炉1に供給される配管A4内の空気の温度を温度検出器19で検出し、検出された温度情報を温度指示制御器20に送る。温度が設定値よりも高ければ、温度指示制御器20は空気予熱器2に流入する排ガス量を減少させるために流量制御弁14を閉じる方向に、また、流量制御弁13を開く方向に制御信号を出す。
【0025】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を
図4に示す。
本実施形態は第1の実施形態において、流量制御弁を空気予熱器2の被加熱側のガス入口に導く配管A1及び排ガスを空気予熱器2の加熱側のガス入口に導く配管B1に設けないで、流量制御弁11を空気を直接焼却炉1に導く配管A2に設け、流量制御弁13を排ガスを直接廃熱ボイラ3に導く配管B2にそれぞれ設けたものである。
この実施形態は第1の実施形態に比べると温度変化に対する応答性は若干劣るが実用上は何ら問題がない。
また、流量制御弁を空気予熱器2の被加熱側のガス入口に導く配管A1及び排ガスを空気予熱器2の加熱側のガス入口に導く配管B1に設けて、空気を直接焼却炉に導くための配管A2及び排ガスを直接廃熱ボイラに導くための配管B2に流量制御弁を設けないようにしてもよい。
【0026】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を
図5に示す。
本実施形態は第1の実施形態において、流量調整弁11、12、13、14を、それぞれ配管A2、配管A1、配管B2、配管B1に設けることに代えて、流量調整弁15を配管A3に、流量調整弁16を配管B3にそれぞれ設けたものである。
【0027】
また、流量調整弁は、空気予熱器2に供給される空気の流量及び排ガスの流量をそれぞれ制御することができるのであれば、前記配管A1〜A3のいずれに設けてもよく、また、前記配管B1〜B3のいずれに設けてもよい。
【0028】
上記のように、本発明の廃棄物焼却システムは、空気を焼却炉1に供給する配管を2系統に分岐し、一方の配管を空気予熱器2に接続し、他方の配管を焼却炉1に接続するという構成に加えて、焼却炉1から排ガスを排出する配管を2系統に分岐し、一方の配管を空気予熱器2に接続し、他方の配管を廃熱ボイラ3に接続するという構成を採用することにより、空気予熱器2に流入する空気の量に応じて、空気予熱器2に流入する排ガスの量を制御している。
これにより、空気予熱器2において被加熱媒体である空気が過熱して、この過熱によって配管等の設備が損傷することがなく、また、空気予熱器2において熱源媒体である排ガスが過度に低温化して排ガス中の酸成分が水溶液化して酸露点腐食が生じたりすることがない。
【0029】
また、焼却炉1に投入される廃棄物は種々の性状のものが対象となり、特に含水率や可燃分率が大きく異なる場合があるが、本発明の廃棄物焼却システムは、この変動に対して焼却炉の温度調整を迅速に行うことができるので、幅広い性状の廃棄物を処理することができる。
本発明の廃棄物焼却システムを用いると、例えば、排ガス温度が850℃である場合、焼却炉1に供給する空気の温度を150℃〜650℃の範囲とすることができるので、幅広い含水率を有する汚泥を安定して処理することができる。
【符号の説明】
【0030】
(
図1〜
図5について)
1 焼却炉
2 空気予熱器
3 廃熱ボイラ
4 空気送風機
11、12、13、14、15、16 流量制御弁
17、19 温度検出器
18、20 温度指示制御器
A、A1、A2、A3 配管(空気用)
B、B1、B2、B3 配管(排ガス用)
C 配管(汚泥用)
【0031】
(
図6について)
1 廃棄物焼却炉
2 蒸気発生装置
3 燃焼ガス
4 廃棄物
5 燃焼用空気
6 蒸発器
8 過熱蒸気
14 押し込みファン
22 汚泥
24 脱水装置
25 混合装置
26 混合物
27 脱水制御装置
【0032】
(
図7について)
1 流動床焼却炉
2 廃熱ボイラ
3 空気予熱器
7 流動ブロワ
8、9 管
13 流量制御弁
17 排ガスダンパ