特許第6702041号(P6702041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702041
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】眼内レンズ挿入器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20200518BHJP
【FI】
   A61F2/16
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-133748(P2016-133748)
(22)【出願日】2016年7月5日
(65)【公開番号】特開2018-703(P2018-703A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆紀
(72)【発明者】
【氏名】長坂 信司
(72)【発明者】
【氏名】夏目 明嘉
(72)【発明者】
【氏名】菱田 貴宏
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−507460(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0022548(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0342726(US,A1)
【文献】 米国特許第04108182(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/14 − A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置部にセットされた眼内レンズを患者眼の眼内に挿入するための眼内レンズ挿入器具であって、
移動軸に沿って移動可能であり、前記設置部にセットされた前記眼内レンズを前記移動軸の先端方向へと押し出すための押出部材と、
前記設置部よりも基端側に設けられ、モーターが発生する動力を前記押出部材の移動運動へと変換する送り機構と、
を含む第1モジュールと、
前記モーターの駆動を制御する制御部と、
前記モーターへと電力を供給する電源部と、
を含む第2モジュールと、
前記第1モジュールと前記第2モジュールとを一体的且つ着脱可能に合体するための合体機構と、
を備えたことを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
【請求項2】
請求項1に記載の眼内レンズ挿入器具は、
前記第1モジュールは、前記送り機構を駆動するための前記モーターを含み、
前記第2モジュールは、前記モーターを駆動するための駆動回路部を含む、
ことを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の眼内レンズ挿入器具は、
前記第1モジュールまたは前記第2モジュールに着脱可能であり、前記第2モジュールの露出を抑制するためのカバーを備える、
ことを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼内レンズ挿入器具であって、
前記第2モジュールは、前記送り機構よりも前記移動軸の基端側にて前記第1モジュールに合体される、
ことを特徴とする眼内レンズ挿入器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼内レンズを眼内に挿入する眼内レンズ挿入器具に関する。
【背景技術】
【0002】
患者眼の眼内に眼内レンズを挿入する眼内レンズ挿入器具が知られている。近年ではこのような眼内レンズ挿入器具を電気的な制御を用いて駆動させるための研究開発が行われている。例えば、特許文献1には、眼内レンズ挿入器具を電気的に駆動させ眼内レンズを眼内に挿入する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−501103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、眼内レンズ挿入器具(眼内レンズ挿入用のハンドピース)を電気的に駆動させるためにケーブル等が接続されていると、眼内レンズ挿入器具を取り扱い難くなったり、ケーブルの断線による動作不良が生じる可能性がある。また、眼内レンズ挿入器具を繰り返し使用する場合には、その都度、滅菌処理等が必要となるが、電気・電子機器における滅菌処理は回路の故障等を考慮して処理に耐えうる工夫が必要となり、その取り扱いが難しい。また、眼内レンズ挿入器具が樹脂部品を用いている場合、滅菌処理は樹脂部品の変形等を考慮して処理に耐えうる工夫が必要となり、その取り扱いが難しい場合があった。
【0005】
本開示は、上記の従来技術の問題点に鑑みて、取り扱い性を改善した眼内レンズ挿入器具を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 設置部にセットされた眼内レンズを患者眼の眼内に挿入するための眼内レンズ挿入器具であって、移動軸に沿って移動可能であり、前記設置部にセットされた前記眼内レンズを前記移動軸の先端方向へと押し出すための押出部材と、前記設置部よりも基端側に設けられ、モーターが発生する動力を前記押出部材の移動運動へと変換する送り機構と、を含む第1モジュールと、前記モーターの駆動を制御する制御部と、前記モーターへと電力を供給する電源部と、を含む第2モジュールと、前記第1モジュールと前記第2モジュールとを一体的且つ着脱可能に合体するための合体機構と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、取り扱い性を改善した眼内レンズ挿入器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の眼内レンズ挿入器具を左側方から見た、(a)外観図であり、(b)内部構造図である。
図2図1の眼内レンズ挿入器具に含まれる各ユニットを説明する図である。
図3】第2実施形態の眼内レンズ挿入器具を左側方から見た、(a)外観図であり、(b)内部構造図である。
図4図3の眼内レンズ挿入器具に含まれる各ユニットを説明する図である。
図5図1の眼内レンズ挿入器具とフットペダルとを組み合わせた眼内レンズ挿入システムの図である。
図6図1の眼内レンズ挿入器具と白内障硝子体手術装置とを組み合わせた眼内レンズ挿入システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示における典型的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1図2を用いて、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aを説明する。図1(a)は、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aを左側方から見た外観図である。図1(b)は、図1(a)と同じ方向から見た際の、眼内レンズ挿入器具1Aの内部構造図である。図2は、眼内レンズ挿入器具1Aに含まれる各ユニットを分離した図である。第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aは、眼内レンズ4を患者眼の眼内に挿入するために用いられる。なお、以降の説明では、図1の紙面左側を先端側、同図の紙面右側を基端側と呼ぶ場合がある。
【0011】
第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aは、眼内レンズ4と挿入器具本体2Aを有する。眼内レンズ4は、患者眼に挿入される。挿入器具本体2Aは、眼内レンズ4を患者眼の眼外から眼内へと移動するために用いられる。眼内レンズ挿入器具1Aは更に、カートリッジ3を備える。カートリッジ3は、眼内レンズ4の移動をガイドするために用いられる。挿入器具本体2Aはリユースタイプである。カートリッジ3はディスポーサブルタイプであり、挿入器具本体2Aの先端部に着脱可能に取り付けられ、使用される。つまり、カートリッジ3は、再利用されずに新品(滅菌対応済み)が使用される。一方で、挿入器具本体2Aは滅菌対応が行われ再利用される。
【0012】
挿入器具本体2Aはペン形状(棒形状)であり、術者の手で把持可能な太さで形成されている。術者はペンを持つように、挿入器具本体2Aを指で摘んで把持できる(図5図6を合わせて参照)。挿入器具本体2Aは、第1モジュール10Aと第2モジュール20Aを有する。第2モジュール20Aは、第1モジュール10Aよりも基端側に配置される。
【0013】
<第1モジュール>
第1実施形態の第1モジュール10Aは本体11を有する。第1モジュール10Aは更に、スイッチ13A、支基12A、合体機構41a、およびコネクタ42aを有する(図2を合わせて参照)。本体11は棒形状で形成されている。本体11の筐体は、押出部材15A(プランジャー)の少なくとも一部と、押出部材15Aを駆動するための送り機構16を収容する。スイッチ13Aは、術者の操作(制御部24への指示)に用いられる。スイッチ13Aは、本体11の筐体の側面に設けられている。支基12Aは、カートリッジ3を支持するための部材である。合体機構41aは、第1モジュール10Aと第2モジュール20Aとを合体(係合)するために用いられる。コネクタ42aは、第1モジュール10Aと第2モジュール20Aの、電気信号の接続に用いられる。
【0014】
支基12Aは、本体11の先端側に接続されている。支基12Aの先端側には、カートリッジ3と係合(接続)するための係合部14が設けられている。本体11の基端側には合体機構41aが設けられている(図2参照)。なお、凹形状の合体機構41aに凸形状の合体機構41bが嵌合して、第1モジュール10Aと第2モジュール20Aの合体が行われる。第1モジュール10Aと第2モジュール20Aが合体した状態では、第1モジュール10Aは第2モジュール20Aを支持している。
【0015】
本体11の基端側にはコネクタ42aが設けられている。コネクタ42aはメス型端子であり、コネクタ42bはオス型端子である。第1実施形態では合体機構41aとコネクタ42aとが一体化されている。第1モジュール10Aと第2モジュール20Aを合体すると、コネクタ42aとコネクタ42bが接続され、第1モジュール10Aと第2モジュール20Aが電気的に接続された状態となる。本体11の筐体、および支基12Aは、金属(例えば、SUS、チタン等)で形成されている。しかし、他の材料(例えば樹脂)を用いて形成してもよい。
【0016】
第1モジュール10Aは、押出部材15Aと送り機構16を含む。第1モジュール10Aは更に、モーター17と操作検出部18を含む。押出部材15Aの少なくとも一部、および送り機構16は、第1モジュール10Aの筐体内に収容されている。押出部材15Aは、本体11の長手方向と平行な方向に伸びる棒形状の部材である。送り機構16は、モーター17と押出部材15Aとの間に取り付けられ、モーター17が発生する回転運動を押出部材15Aの直線運動(前後方向)へと変換する。つまり、送り機構16は、運動変換機構である。モーター17は、押出部材15Aを移動させるための動力を発生する。第1実施形態では、モーター17にステッピングモーターを用いている。しかし、他の方式のモーター(例えばDCモーター)を用いてもよい。なお、送り機構16とモーター17とが一体化されていてもよい。
【0017】
操作検出部18は、スイッチ13Aが操作されたことを検出する。操作検出部18は操作検出信号を出力する。操作検出部18として、例えば、ダイアフラム、スナップアクション機構のマイクロスイッチ等を用いてもよい。モーター17は、送り機構16の基端側に接続されている。押出部材15Aは、送り機構16を貫通する。制御部24の出力信号によりモーター17が駆動されると、送り機構16は、押出部材15Aを移動軸Aに沿って移動(前後方向)させる。なお、第1モジュール10Aは1回の使用(手術)毎に滅菌処理を行う必要がある。滅菌処理としては例えば所定の規格に定められた高圧蒸気滅菌等が考えられ、第1モジュール10Aの設計やこれを構成する部材等は、このような滅菌処理に耐えうる設計や部材が用いられている。
【0018】
<カートリッジ>
次いで、第1実施形態のカートリッジ3を説明する。カートリッジ3は、挿入部31、設置部32、および係合部33を含む。挿入部31は、患者眼の切開創に挿入される。設置部32は、挿入前の眼内レンズ4をセットするために用いられる。係合部33は、係合部14と係合するために用いられる。カートリッジ3は筒形状の部材である。挿入部31は、カートリッジ3の先端に配置されている。設置部32は、挿入部31の基端側に接続されている。カートリッジ3は、設置部32の基端から挿入部31の先端まで連通する中空部を有する。設置部32の中空部に、挿入前の眼内レンズ4をセットできる。なお、設置部32の中空部に、眼内レンズ4が予めセットされていてもよい。カートリッジ3は、樹脂材料(例えば、ポリプロピレン)で形成されている。カートリッジ3は半透明である。
【0019】
本開示の眼内レンズ4は、一例として、光学部と支持部を含む。光学部は、患者眼に光学特性を提供する。支持部は、患者眼の眼内で光学部を支持する。眼内レンズ4が軟性を有してもよい。眼内レンズ4の一例として、特開2011−050415号公報を参照されたし。第1モジュール10Aにカートリッジ3が装着された状態では、移動軸Aは、カートリッジ3の中空部を貫通する。また、眼内レンズ4は移動軸A上に配置される。押出部材15Aが移動軸Aの基端側から先端側へと移動(前進)すると、押出部材15Aは眼内レンズ4に接触する。押出部材15Aが更に前進すると、眼内レンズ4は押出部材15Aに押されて、移動軸Aの先端方向へと移動されてゆく。押出部材15Aの先端が挿入部31の先端から飛び出る直前に、挿入部31の先端から眼内レンズ4が射出(排出)される。なお、カートリッジ3が、眼内レンズ4を小さく変形させるための変形機構を有してもよい。
【0020】
<第2モジュール>
次いで、第1実施形態の第2モジュール20Aを説明する。第2モジュール20Aは、制御モジュール22Aと合体機構41bを有する。第2モジュール20Aは更に、カバー21Aを有する。制御モジュール22Aは、押出部材15Aの移動を制御する。制御モジュール22Aは、1または複数の電子部品を含む。制御モジュール22Aの筐体26は棒形状で形成されている。筐体26は樹脂材料(例えば、PET樹脂)で形成されている。筐体26の側面には、表示部28(表示手段)が設けられている(図1(b)参照)。制御モジュール22Aの先端側には合体機構41bが設けられている。制御モジュール22Aの先端側にはコネクタ42bが設けられている。
【0021】
カバー21Aは、基端側が塞がれた筒形状の部材であり、制御モジュール22Aの先端部を外部に現した状態で、その他の部分の制御モジュール22Aを内包(被覆)して保護する役目を果たす。カバー21Aは、軟性を有する樹脂で形成されている。カバー21Aは伸縮性を有している。カバー21Aの内側面の形状は、筐体26の形状に対応している。また、カバー21Aの内空間は筐体26の外観形状と略同じか、外観形状よりも若干小さく、装着の際にカバー21A自体の材料が持つ伸縮性によって伸展し、より密着できるような構成であることが好ましい。カバー21Aは、内包する制御モジュール22Aが視認可能な程度の光透過性(半透明)を有し、伸縮性を有する材料で形成される。このような材料の好適な例としては、シリコーンが挙げられる。使用者(術者又は介助者)は、カバー21Aの外側から表示部28の表示内容を視認できる。カバー21Aは、制御モジュール22Aを覆った状態を維持できる。また、カバー21Aは一回の使用により廃棄するディポーザブルタイプであっても、数回繰り返し使用可能なリユースタイプのものであっても良い。どちらのタイプであっても、使用前(装着前)において滅菌処理されたものが使用される。
【0022】
なお、カバー21Aが伸縮性を有さなくてもよい。例えば、カバー21Aが金属で形成されていてもよい。カバー21Aを樹脂で形成することで、例えば、カバー21Aを軽量にし易い。また、カバー21Aを安価に製造し易い。なお、カバー21Aが第1モジュール10Aに接続されてもよい。また、カバー21Aが複数の部材で構成されていてもよい。材料が異なる複数の部材を組み合わせてカバー21Aが構成されてもよい。なお、例えば、カバー21Aが先端方向まで伸びて、第2モジュール20A全体のみならず本体11全体をも覆ってもよい。また、カバー21Aが第2モジュール20Aを完全に覆わなくてもよい。
【0023】
制御モジュール22Aは、制御部24、コネクタ42b、および電源部25を有する。制御モジュール22Aは更に、駆動回路部23と表示部28を有する。制御部24、電源部25、および駆動回路部23は、制御モジュール22Aの筐体26内に収容される。表示部28は、制御モジュール22Aの側面に配置される。制御部24は、眼内レンズ挿入器具1A全体の制御を司る。制御部24には、1または複数の電子部品が含まれる。制御部24には、半導体素子が用いられる。
【0024】
制御部24が、記憶手段(ROM等)を含んでもよい。制御部24として、マイクロ・コンピュータ、PLD(プログラマブル・ロジック・デバイス)等を用いてもよい。制御部24は、駆動回路部23、操作検出部18、電源部25、および表示部28と電気的に接続されている。電源部25は、モーター17等に電力を供給する。駆動回路部23は、制御部24が出力する制御信号を、モーター17の駆動信号へと変換する。駆動回路部23として、ステッピングモーター用のモータードライバIC(半導体集積回路)等を用いてもよい。
【0025】
第1実施形態の表示部28は、眼内レンズ挿入器具1Aの動作状態を表示する。表示部28として、例えば、LEDアレイ(発光ダイオードアレイ)等を用いてもよい。表示部28に、電源部25のバッテリーの残量が表示されてもよい。電源部25は、モーター17の駆動等に用いる電気を供給できる。電源部25はバッテリーを有し、モーター17の駆動等に用いる電気を蓄電できる。第1実施形態では、バッテリーとして、充電式電池(例えば、ニッケル・水素充電池)を用いている。
【0026】
制御モジュール22Aは、電源部25を着脱可能である。制御部24は無線通信部27を含む。無線通信部27は、眼内レンズ挿入器具1Aと外部デバイス(眼内レンズ挿入器具1A以外の機器)との信号伝達を無線で行うために用いられる。つまり、第1実施形態の制御部24は、外部デバイスと無線で接続可能である。例えば、フットペダル120(図5参照)、白内障硝子体手術装置130(図6参照)等と接続してもよい。
【0027】
<使用方法>
第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aの使用方法の一例として、第1の患者に対して眼内レンズ4の挿入を行った後、第2の患者(第1の患者とは異なる患者)に対して新たに眼内レンズ4の挿入を行う場合を説明する。
【0028】
<第1の患者に対する手術>
先ず、使用者(術者又は介助者)は、第1モジュール10Aに制御モジュール22Aを接続する。次いで使用者は、制御モジュール22Aをカバー21Aで覆う。次いで使用者は、スイッチ13Aを操作して、眼内レンズ挿入器具1Aの電源を投入する。制御部24は、スイッチ13Aの操作を検出すると、初期化制御を行う。制御部24は、押出部材15Aを初期位置に移動させる。なお、初期位置とは、押出部材15Aの移動可能範囲のうち基端側の端部となる位置である。
【0029】
次いで使用者は、ピンセット等を用いて、眼内レンズ4を設置部32にセットする。次いで使用者は、第1モジュール10Aにカートリッジ3を装着し,必要があればセットした眼内レンズ周辺に粘弾性物質を塗布する。次いで使用者は、スイッチ13Aを操作して、眼内レンズ4を待機位置に移動させる。なお、待機位置とは、設置部32の基端と挿入部31の先端との略中間位置である。制御部24は、眼内レンズの移動量に対応した所定数のパルスを、駆動回路部23に送る。
【0030】
次いで使用者は、患者眼の角膜に設けられている切開創に、挿入部31を挿入する。次いで使用者は、スイッチ13Aを操作して、眼内レンズ4を患者眼の眼内に挿入する。制御部24は、押出部材15Aの先端が挿入部31の先端から飛び出るまで、押出部材15Aを前進させ、眼内レンズを送出させる。次いで使用者は、スイッチ13Aを操作して、飛び出した押出部材15Aを引き戻す。制御部24は、押出部材15Aを初期位置に移動させる(戻す)。次いで使用者は、切開創から挿入部31を引き抜く。以上にて、第1の患者への眼内レンズ4の挿入が完了する。
【0031】
<第1の患者に対する手術後の作業>
使用者は、第1モジュール10Aからカートリッジ3を取り外す。取り外したカートリッジ3は廃棄される。次いで使用者は、第1モジュール10Aと第2モジュール20Aの合体状態を解除する。次いで使用者は、制御モジュール22Aを覆っているカバー21Aを引き剥がす。引き剥がしたカバー21Aは廃棄される。次いで使用者は、制御モジュール22Aを充電台等に接続する。充電台からの電力により、電源部25への充電が行われる。なお、カートリッジ3とカバー21Aを廃棄する理由の1つは、第1の患者に対する手術の過程で、カートリッジ3またはカバー21Aに菌が付着した可能性があるためである。例えば、眼内レンズ挿入器具1Aがカバー21Aを備えない場合、制御モジュール22Aに対して滅菌処理が必要になる可能性がある。
【0032】
次いで使用者は、第1モジュール10Aに対して滅菌処理を行う。詳細には、使用者が有する設備を用いて、第1モジュール10Aに対してオートクレーブを行う。オートクレーブの一例として、大気圧(1013hPa)より高い気圧で、摂氏100度以上(例えば2気圧、121度)で、所定時間(例えば20分)の滅菌処理を行う。第2の患者の手術を行う際には、第1の患者に対して行った作業と同様の手順で、眼内レンズ挿入器具1Aの準備を行う。また、第2の患者に対する手術後には、第1の患者に対する手術後の作業と同じ作業が行われる。なお、オートクレーブに要する時間を考慮して、予備の第1モジュール10Aが用意されていてもよい。なお、第1モジュール10Aに対して滅菌処理を行う理由の1つは、第1の患者に対する手術の過程で、第1モジュール10Aに菌が付着した可能性があるためである。
【0033】
<第1実施形態のまとめ>
以上説明したように、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aは、移動軸Aに沿って移動可能であり、設置部32にセットされた眼内レンズ4を移動軸Aの先端方向へと押し出すための押出部材15Aと、設置部32よりも移動軸Aの基端側に設けられて、モーター17が発生する動力を押出部材15Aの移動運動へと変換する送り機構16とを含む第1モジュール10Aを備える。また、眼内レンズ挿入器具1Aは更に、モーター17の駆動を制御する制御部24と、モーター17への電力を供給するための電源部25とを含む第2モジュール20Aを備える。ここで、第1モジュール10Aと第2モジュール20Aとを一体的且つ着脱可能に合体するための合体機構41を更に備えている。これにより、眼内レンズ挿入器具1Aの取り扱いが容易になる。例えば、眼内レンズ挿入器具1Aに電子部品が含まれていたとしても、眼内レンズ挿入器具1Aの使用後のメンテナンス(滅菌,洗浄等)が容易になる。また、眼内レンズ挿入器具1Aにケーブル等を接続しなくても、眼内レンズ挿入器具1Aの取り扱いが容易になる。なお、滅菌処理の考慮が必要なのは電子部品に限らない。例えば、合体機構41を備えることで樹脂部品を用い易くなる。これにより、眼内レンズ挿入器具1Aを安価に製造し易くなる。
【0034】
また、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aは、第1モジュール10Aには送り機構16を駆動するためのモーター17が含まれ、第2モジュール20Aにはモーター17を駆動するための駆動回路部23が含まれる。これにより、例えば、第1モジュール10Aの構成を簡素化できる。また、第1モジュール10Aに対して滅菌処理を行い易い。また、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aは、第1モジュール10Aまたは第2モジュール20Aに着脱可能であり、第2モジュール20Aの露出を抑制するためのカバー21Aを備える。これにより、手術の過程で第2モジュール20Aに菌(例えば患者の組織)が付着したとしても、容易に除菌できる。第2モジュール20Aを簡素な構成にしつつ、再利用が容易である。
【0035】
また、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aの制御部24は、表示手段の表示内容を制御するための表示制御手段を備えている。これにより、眼内レンズ挿入器具1Aの動作状態を、使用者に好適に呈示できる。また、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aは、眼内レンズ挿入器具1A以外の機器と無線で通信するための無線通信手段を備えている。これにより、例えば、眼内レンズ挿入器具1Aの大型化を抑制できる。
【0036】
また、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aの第2モジュール20Aは、送り機構16よりも移動軸Aの基端側にて第1モジュール10Aに合体される。これにより、例えば、眼内レンズ挿入器具1Aの断面面積の増加を抑制できる。したがって、使用者は眼内レンズ挿入器具1Aを把持し易くなる。また、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aの第1モジュール10Aは、使用者の操作を検出するための操作検出部18を備えている。また、制御部24は、操作検出部18の出力信号に基づいてモーター17を駆動する。これにより、例えば、使用者は眼内レンズ挿入器具1Aを把持したまま眼内レンズ4の移動を行える。
【0037】
<第2実施形態>
図3図4を用いて、第2実施形態の眼内レンズ挿入器具1Bを説明する。図3(a)は、第2実施形態の眼内レンズ挿入器具1Bを左側方から見た外観図である。図3(b)は、図3(a)と同じ方向から見た際の、眼内レンズ挿入器具1Bの内部構造図である。図4は、眼内レンズ挿入器具1Bに含まれる各ユニットを分離した図である。第2実施形態の眼内レンズ挿入器具1Bは、眼内レンズ4を患者眼の眼内に挿入するために用いられる。なお、第1実施形態と同様に、図3の紙面左側を先端側、同図の紙面右側を基端側と呼ぶ場合がある。なお、第1実施形態と同じ符号を付けた箇所の説明は省略する。
【0038】
第2実施形態の眼内レンズ挿入器具1Bは、眼内レンズ4と挿入器具本体2Bを有する。挿入器具本体2Bは、眼内レンズ4を患者眼の眼外から眼内へと移動するために用いられる。眼内レンズ挿入器具1Bは更に、カートリッジ3を備える。挿入器具本体2Bはリユースタイプである。挿入器具本体2Bはペン形状(棒形状)であり、術者の手で把持可能な太さで形成されている。挿入器具本体2Bは、第1モジュール10Bと第2モジュール20Bを有する。第2モジュール20Bは、第1モジュール10Aよりも基端側に配置される。
<第1モジュール>
第2実施形態の第1モジュール10Bは、支基12B、押出部材15B、および合体機構43a(図4参照)を備える。支基12Bの先端側には、係合部14が設けられている。支基12Bの基端側には、合体機構43bと合体するための合体機構43aが設けられている。押出部材15Bは棒形状の部材であり、後述する押出部材15Cに着脱可能である。なお、押出部材15Bは押出部材15Cと着脱可能とするため、その基端は押出部材15Cの先端と嵌合できるような形状を持つ。一旦、押出部材15B,15Cが嵌合すると、合体した押出部材の前後移動では容易に分離できない程度に嵌め合うようになっている。押出部材15Bは移動軸Aに沿って配置される。押出部材15Bと押出部材15Cとに分かれている理由は、押出部材15Bは手術の過程で菌が付着する可能性があり、押出部材15Bの廃棄を容易にするためである。支基12Bは、金属(例えば、SUS、チタン等)で形成されている。金属の代わりに、例えば、熱変形の少ない樹脂材料(PET樹脂)を用いてもよい。なお、第2実施形態で用いるカートリッジ3は第1実施形態と同じ部材のため、説明を省略する。
【0039】
<第2モジュール>
次いで、第2実施形態の第2モジュール20Bを説明する。第2モジュール20Bは、制御モジュール22Bとカバー21Bを備える。制御モジュール22Bは棒形状である。制御モジュール22Bの筐体29は、押出部材15C、押出部材15Cを軸方向に前後移動する(駆動する)ための送り機構16、送り機構16を駆動するためのモーター17、およびモーター17を駆動するための電力を供給する電源部25を収容する。なお、電源部25にはバッテリーが含まれる。制御モジュール22Bの筐体29は樹脂(例えば、PET樹脂)で形成されている。筐体29の側面には、表示部28が設けられている。制御モジュール22Bの先端側には、合体機構43aと合体するための合体機構43bが設けられている(図4参照)。なお、押出部材15Cは、制御モジュール22Bの先端に第1モジュール10Bを装着(合体)した際に、押出部材15Bの基端を後ろ側から押し、押出部材15B全体を軸方向に移動できる。
【0040】
カバー21Bは、基端側が塞がれ、先端部に開口を持つ筒形状の部材である。カバー21Bは、制御モジュール22Bの先端を除き、制御モジュール22Bの側面と基端面を覆い制御モジュール22Bを被覆する形状を有している。つまり、カバー21Bの内側に制御モジュール22Bが配置される。カバー21Bは、軟性を有する樹脂で形成されている。カバー21Bは伸縮性を有している。カバー21Bの内側面の形状は、筐体29の形状に対応している。カバー21Bの内側面で囲まれた体積は、筐体29の体積よりも少ない。カバー21Bは、材料にシリコーンを用いて形成されている。カバー21Bは伸縮性を有する。カバー21Bは半透明である。使用者(術者又は介助者)は、カバー21Bの外側から表示部28の表示内容を視認できる。カバー21Bは、制御モジュール22Bを覆った状態を維持できる。なお、カバー21Bが複数の部材で構成されていてもよい。材料が異なる複数の部材を組み合わせてカバー21Bが構成されてもよい。また、カバー21Bが第2モジュール20Bを完全に覆わなくてもよい。
【0041】
制御モジュール22Bは、送り機構16、制御部24、および電源部25を備える。制御モジュール22Bは更に、押出部材15C、モーター17、駆動回路部23、および表示部28を備える。送り機構16、制御部24、および電源部25は少なくとも、制御モジュール22Bの筐体29内に収容されている。また、表示部28は、制御モジュール22Bの側面に配置されている。なお、制御モジュール22Bの筐体29は樹脂(例えば、PET樹脂)で形成されている。
【0042】
<使用方法>
第2実施形態の眼内レンズ挿入器具1Bの使用方法の一例として、第1実施形態の説明と同様に、第1の患者に対して眼内レンズ4の挿入を行った後、第2の患者(第1の患者とは異なる患者)に対して眼内レンズ4の挿入を行う場合として説明する。
【0043】
<第1の患者に対する手術>
先ず、使用者(術者又は介助者)は、押出部材15Cと押出部材15Bを接続する。次いで使用者は、制御モジュール22Bと支基12Bを合体する。次いで使用者は、制御モジュール22Bをカバー21Bで覆う。次いで使用者は、スイッチ13Bを操作して、眼内レンズ挿入器具1Bの電源を投入する。制御部24は、スイッチ13Bの操作を検出すると、初期化制御を行う。
【0044】
次いで使用者は、ピンセット等を用いて、眼内レンズ4を設置部32にセットする。次いで使用者は、第1モジュール10Bにカートリッジ3を装着する。次いで使用者は、スイッチ13Bを操作して、眼内レンズ4を待機位置に移動させる。次いで使用者は、患者眼の角膜に設けられている切開創に、挿入部31を挿入する。次いで使用者は、スイッチ13Bを操作して、眼内レンズ4を患者眼の眼内に挿入する。制御部24は、押出部材15Bの先端が挿入部31の先端から飛び出るまで、押出部材15Bを前進させる。次いで使用者は、スイッチ13Bを操作して、飛び出した押出部材15Bを引き戻す。制御部24は、押出部材15Bを初期位置に移動させる(戻す)。次いで使用者は、切開創から挿入部31を引き抜く。以上にて、第1の患者への眼内レンズ4の挿入が完了する。
【0045】
<第1の患者に対する手術後の作業>
使用者は、第1モジュール10Bからカートリッジ3を取り外す。取り外したカートリッジ3は廃棄される。次いで使用者は、第1モジュール10Bと第2モジュール20Bの合体状態を解除する。このとき、押出部材15Bと押出部材15Cとの接続も解除する。次いで使用者は、押出部材15Bと押出部材15Cの接続を解除する。取り外した押出部材15Bは廃棄される。次いで使用者は、制御モジュール22Bを覆っているカバー21Bを引き剥がす。引き剥がしたカバー21Bは廃棄される。次いで使用者は、制御モジュール22Bを充電台等に接続する。充電台からの電力により、電源部25への充電が行われる。なお、カートリッジ3とカバー21Bを廃棄する理由の1つは、第1の患者に対する手術の過程で、カートリッジ3またはカバー21Bに菌が付着した可能性があるためである。例えば、眼内レンズ挿入器具1Bがカバー21Bを備えない場合、制御モジュール22Bに対して滅菌処理が必要になる可能性がある。
【0046】
次いで使用者は、第1モジュール10Bに対して洗浄・滅菌処理を行う。詳細には、使用者が有する設備を用いて、第1モジュール10Bに対して洗浄した後、オートクレーブを行う。オートクレーブの一例として、121度且つ2気圧で、20分の滅菌処理を行う。第2の患者の手術を行う際には、第1の患者に対して行った作業と同様の手順で、眼内レンズ挿入器具1Bの準備を行う。また、第2の患者に対する手術後には、第1の患者に対する手術後の作業と同じ作業が行われる。なお、オートクレーブに要する時間を考慮して、予備の第1モジュール10Bが用意されていてもよい。なお、第1モジュール10Bに対して滅菌処理を行う理由の1つは、第1の患者に対する手術の過程で、第1モジュール10Bに菌が付着した可能性があるためである。
【0047】
<第2実施形態のまとめ>
第2実施形態の眼内レンズ挿入器具1Bは、移動軸Aに沿って移動可能であり、眼内レンズ4を移動軸Aの先端方向へと押し出すための押出部材と、押出部材を移動するための送り機構16と、送り機構16を駆動するためのモーター17と、モーター17へと電力を供給する電源部25と、少なくとも電源部25を収容する筐体29と、少なくとも筐体29の先端部を除いた他の領域を被覆するためのカバーであって,筐体29に対して着脱可能とされる樹脂製のカバー21Bを備えている。これにより、例えば、耐滅菌性(耐熱・耐圧・耐水)が必要な箇所が低減し、眼内レンズ挿入器具1Bを構成する部材の選択自由度が増す。また、例えば、耐滅菌性に弱い電子部品又は樹脂部品の搭載が容易になる。したがって、眼内レンズ挿入器具1Bの構成を簡素化できる。また、軽量化または安価に提供し易い。眼内レンズ挿入器具1Bをコードレスで使用し易くなる。なお、第2実施形態の眼内レンズ挿入器具1Bはバッテリーを有しており、眼内レンズ挿入器具1Bをワイヤレス化し易い。眼内レンズ挿入器具1Bを取り扱う際の煩わしさが低減されている。
【0048】
また、カバー21bは被覆された筐体29を視認可能な程度の透過性(透光性)を有する軟性の樹脂で形成されている。これにより、眼内レンズ挿入器具1Bを軽量化し易い。また、カバー21Bを安価に提供し易い。また、第2実施形態の眼内レンズ挿入器具1Bのカバー21Bの内側面の形状は、筐体29の形状に対応した形状で形成されている。これにより、例えば、カバー21Bがずれ難い。また、第2実施形態の眼内レンズ挿入器具1Bのカバー21Bは伸縮性を有し、カバー21Bの内側面で囲まれた体積は、筐体29の体積よりも少ない。これにより、カバー21Bは筐体29に密着し易くなり、使用者は眼内レンズ挿入器具1Bを把持し易い。
【0049】
<その他の変容例>
なお、本開示の眼内レンズ挿入器具と外部デバイスとを接続してもよい。図5図6は、本開示の眼内レンズ挿入器具を用いた眼内レンズ挿入システムの例である。図5は、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aとフットペダル120とを組み合わせた眼内レンズ挿入システム100Aである。また、図6は、第1実施形態の眼内レンズ挿入器具1Aと白内障硝子体手術装置130とを組み合わせた眼内レンズ挿入システム100Bである。図5の眼内レンズ挿入システム100Aは、眼内レンズ挿入器具1Aとフットペダル120とが無線接続されている。術者は、フットペダル120を操作して、押出部材15Aの移動を操作できる。つまり、フットペダル120に搭載されている制御部が、眼内レンズ挿入器具1Aへと、フットペダル120の操作信号を無線で出力する。眼内レンズ挿入器具1Aの制御部24は、受信した操作信号に基づいて押出部材15Aの移動を制御する。なお、フットペダル120に、眼内レンズ挿入器具1Aの動作モードを変更するスイッチ等を設けてもよい。
【0050】
図6の眼内レンズ挿入システム100Bは、眼内レンズ挿入器具1Bと白内障硝子体手術装置130とが無線接続されている。眼内レンズ挿入システム100Bでは、眼内レンズ挿入器具1Aの制御部24は受動的な動作を行なう。一例として、制御部132は、眼内レンズ挿入器具1Aの動作条件または動作状態をモニター131に表示する。また、制御部132は、術者が操作したフットペダル133の操作量を検出して、対応する制御信号を眼内レンズ挿入器具1Aに送出する。眼内レンズ挿入器具1Aの制御部24は、受信した制御信号に基づき押出部材15Aを移動制御する。変容例として、眼内レンズ挿入器具1Aの制御部24は能動的な制御を行ない、白内障硝子体手術装置130の制御部132は受動的な制御を行なう態様であってもよい。例えば、制御部24は眼内レンズ挿入器具1Aの動作状態に係わる信号を無線で出力し、制御部132は受信した信号に基づいて、モニター131に眼内レンズ挿入器具1Aの動作状態を表示する。なお、例えば、白内障硝子体手術装置130が、電源部25のバッテリーを充電するための充電手段を備えてもよい。なお、眼内レンズ挿入器具1Aとフットペダル120(または白内障硝子体手術装置130)とを有線接続してもよい。
【0051】
なお、本開示では、挿入器具本体にカートリッジ3を装着する。しかし、カートリッジ3の代わりに汎用の眼内レンズ挿入器具を装着できてもよい(汎用の眼内レンズ挿入器具の一例として、特開2016−087336号公報を参照されたし)。つまり、汎用の眼内レンズ挿入器具と本開示の挿入器具本体とを組み合わせて、一体型の眼内レンズ挿入器具として使用できてもよい。一例として、第2実施形態のカートリッジ部に汎用のデイスポーサブル型の眼内レンズ挿入器具を装着する。この場合、カバー21Bは、挿入器具本体2B全体を覆うように形成する。使用後は、汎用のデイスポーサブル型の眼内レンズ挿入器具とカバー21Bとを廃棄するだけでよい。このように、手術後の滅菌処理の手間がより低減される。なお、本開示ではバッテリーを備えた一体型の眼内レンズ挿入器具について述べたが、眼内レンズ挿入器具(眼内レンズ挿入用のハンドピース)にケーブルが接続される態様であっても、本開示に対応する効果を期待できる。
【0052】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲及びこれと均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
1A:眼内レンズ挿入器具
4:眼内レンズ
10A:第1モジュール
15A:押出部材
16:送り機構
17:モーター
20A:第2モジュール
21A:カバー
24:制御部
25:電源部
32:設置部
41:合体機構
A:移動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6