(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動方向に沿って移動する移動体と、前記移動体に支持され且つ物品を支持する支持体と、前記支持体を前記移動体に対して上下方向に移動させる支持操作体と、を備えている物品搬送装置であって、
前記支持体は、前記支持操作体により移動される移動部と、前記移動部に対して上下方向に移動自在に前記移動部に連結され且つ物品を吊り下げ支持する支持部と、前記移動部と前記支持部との間に介在する上下方向に弾性変形自在な弾性部と、前記支持部を保持する保持部と、前記保持部の状態を切り換える切換部と、を備え、
前記切換部は、前記移動部に対して前記支持部を上下方向の所定の位置に保持する保持状態と、前記支持部に対する保持を解除して前記移動部に対して前記支持部を上下方向に移動自在とする保持解除状態と、に前記保持部の状態を切り換える物品搬送装置。
移動方向に沿って移動する移動体と、前記移動体に支持され且つ物品を支持する支持体と、前記支持体を前記移動体に対して上下方向に移動させる支持操作体と、を備えている物品搬送装置であって、
前記移動体は、車輪を備えた第2移動部と、前記第2移動部に対して上下方向に移動自在に連結され且つ前記支持体を支持する第2支持部と、前記第2移動部と前記第2支持部との間に介在する上下方向に弾性変形自在な第2弾性部と、前記第2支持部を保持する第2保持部と、前記第2保持部の状態を切り換える第2切換部と、を備え、
前記第2切換部は、前記第2移動部に対して前記第2支持部を所定の位置に保持する第2保持状態と、前記第2支持部に対する保持を解除して前記第2移動部に対して前記第2支持部を上下方向に移動自在とする第2保持解除状態と、に前記第2保持部の状態を切り換える物品搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような物品搬送装置では、支持操作体により移動部を上下方向に移動させて物品を移載箇所に移動させる場合に、物品を移載箇所に正確に移動させることが求められる。しかし、物品に伝わる振動をより適切に抑制するために弾性変形し易い弾性部や大型の弾性部を用いると、移動部に対して支持部が移動し易くいため、支持操作体により移動部を上下方向に移動させて物品を移載箇所に移動させる場合に、物品を移載箇所に正確に移動させ難い。
【0005】
そこで、移動体が移動するときに移動体に生じる振動が物品に伝わることを抑制できながら、移動部を移動させたときに物品を移載箇所に移動させ易い物品搬送装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品搬送装置の特徴構成は、移動方向に沿って移動する移動体と、前記移動体に支持され且つ物品を支持する支持体と、前記支持体を前記移動体に対して上下方向に移動させる支持操作体と、を備えている物品搬送装置において、
前記支持体は、前記支持操作体により移動される移動部と、前記移動部に対して上下方向に移動自在に前記移動部に連結され且つ物品を吊り下げ支持する支持部と、前記移動部と前記支持部との間に介在する上下方向に弾性変形自在な弾性部と、前記支持部を保持する保持部と、前記保持部の状態を切り換える切換部と、を備え、
前記切換部は、前記移動部に対して前記支持部を
上下方向の所定の位置に保持する保持状態と、前記支持部に対する保持を解除して前記移動部に対して前記支持部を上下方向に移動自在とする保持解除状態と、に前記保持部の状態を切り換える点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、保持部を保持解除状態に切り換えることにより、支持部が移動部に対して弾性的に上下方向に移動可能となり、保持部を保持解除状態に切り換えることにより、支持部が移動部に対して所定の位置に保持される。
そのため、移動体が移動するときに保持部を保持解除状態に切り換えることで、移動部が移動するときに移動部に生じた振動を弾性部により吸収できるため、移動部に生じた振動が物品に伝わることを抑制できる。また、移動部が移動するときに保持部を保持状態に切り換えることで、移動部に対して支持部が移動することを規制できるため、支持操作体により移動部を上下方向に移動させて物品を移載箇所に移動させる場合に、物品を移載箇所に正確に移動させ易い。
このように、移動体が移動するときに移動体に生じる振動が物品に伝わることを抑制できながら、移動部を移動させたときに物品を移載箇所に移動させ易い物品搬送装置を提供できる。
【0008】
ここで、前記弾性部は、前記移動部の第1部分と、前記支持部の一部であり且つ前記第1部分の直上に位置する第2部分と、の間に圧縮状態で設けられ、前記移動部は、被操作部及び操作部を有するリンク体を備え、前記リンク体は、前記被操作部が下方に押し操作されることで前記操作部が上方に移動して当該操作部により前記支持部を前記移動部に対して上方に押し上げ、前記支持操作体は、前記移動体が移動する際の前記移動体に対する前記支持体の位置である第1位置と、前記第1位置より上方に移動した第2位置と、前記第1位置より下方に移動した第3位置と、に前記支持体を上下方向に移動させ、前記移動体は、前記支持体が前記第1位置から前記第2位置に移動することで前記リンク体の前記被操作部を下方に押し操作し、前記支持体が前記第2位置から前記第1位置に移動することで前記リンク体の前記被操作部の押し操作を解除する押圧部を備えていると好適である。
【0009】
この構成によれば、移動体が移動する場合は、支持体は第1位置に位置している。そして、支持体を第1位置から第2位置に上方に移動させた後に、支持体を第2位置から第3位置に下方に移動させることで、次のように支持体を保持できる。
つまり、支持体を第1位置から第2位置に上方に移動させることで、リンク体の被操作部が押圧部により押し操作される。これに伴って、リンク体の操作部が支持部を移動部に対して上方に押し上げ、移動部に対して支持部を所定の位置に位置させることができる。そして、このように、リンク体の作用により支持部を所定の位置に位置させた状態で、切換部により保持部を保持解除状態から保持状態に切り換える。このとき、支持部は所定の位置に位置しているため、切換部により保持部を保持解除状態から保持状態に切り換えるための操作力により支持部を移動させる必要がないため、切換部の操作力を小さくできる。
このように、支持操作体による支持体の操作力を利用して移動部に対する支持体の位置を変更することで、切換部の操作力が小さくて済む。
【0010】
また、前記移動体、前記支持操作体、及び前記切換部を制御する制御部を備え、前記制御部は、物品を降ろす移載箇所に対して予め設定された位置を移動先として、移動元から前記移動先まで前記移動体を移動させる移動制御と、前記第1位置から前記第2位置に前記移動部を上昇させた後に前記第2位置から前記第3位置に前記移動部を下降させて、前記支持部に支持している物品を前記移載箇所に降ろす降し制御と、前記降し制御において前記移動部が前記第2位置に位置する状態で前記保持部を前記保持解除状態から前記保持状態に切り換える保持制御と、を実行し、前記移動制御により前記移動体が前記移動先に到着する前に前記降し制御の実行を開始すると好適である。
【0011】
この構成によれば、走行制御を実行するときは、保持部を保持解除状態に切り換えておくことで、走行制御により移動体が移動元から移動するときに、移動体に生じた振動が物品に伝わることを抑制できる。そして、卸し制御を実行し、その卸し制御の実行中に保持制御を実行することで、物品を移載箇所に降ろす前に保持部を保持状態に切り換えることができるため、支持操作体により移動部を上下方向に移動させて物品を移載箇所に移動させる場合に、物品を移載箇所に正確に移動させ易い。
そして、移動制御により移動体が移動先に到着する前に降し制御の実行を開始するため、移動体が移動先に到着した後に卸し制御の実行を開始した場合に比べて、物品を移載箇所に迅速に降ろすことができる。
【0012】
また、前記移動体は、天井に配設されたレールに支持された状態で前記レールに沿って移動し、前記支持体は、前記レールの下方に位置して前記移動体に吊り下げ支持されていると好適である。
【0013】
この構成によれば、天井に配設されたレールに沿って移動体が移動するときは、保持部を保持解除状態に切り換えておくことで、移動体がレールの繋ぎ目等を移動したときに生じた振動を、物品に伝わることを抑制できる。そして、レールの下方に位置する支持体が、床面近くに設定された移載箇所に容器を降ろすときに、保持部を保持状態に切り換えておくことで、支持部が移動部に対して移動し難くなり、移載箇所に物品を正確に降し易くなる。
【0014】
本発明に係る物品搬送装置の特徴構成は、移動方向に沿って移動する移動体と、前記移動体に支持され且つ物品を支持する支持体と、前記支持体を前記移動体に対して上下方向に移動させる支持操作体と、を備えている物品搬送装置において、
前記移動体は、車輪を備えた第2移動部と、前記第2移動部に対して上下方向に移動自在に連結され且つ前記支持体を支持する第2支持部と、前記第2移動部と前記第2支持部との間に介在する上下方向に弾性変形自在な第2弾性部と、前記第2支持部を保持する第2保持部と、前記第2保持部の状態を切り換える第2切換部と、を備え、前記第2切換部は、前記第2移動部に対して前記第2支持部を所定の位置に保持する第2保持状態と、前記第2支持部に対する保持を解除して前記第2移動部に対して前記第2支持部を上下方向に移動自在とする第2保持解除状態と、に前記第2保持部の状態を切り換える点にある。
【0015】
この構成によれば、第2保持部を第2保持解除状態に切り換えることにより、第2支持部が第2移動部に対して弾性的に上下方向に移動可能となり、第2保持部を保持解除状態に切り換えることにより、第2支持部が第2移動部に対して所定の位置に保持される。
そのため、第2移動体が移動するときに第2保持部を保持解除状態に切り換えることで、第2移動部が移動するときに第2移動部に生じた振動を第2弾性部により吸収できるため、第2移動部に生じた振動が物品に伝わることを抑制できる。また、第2移動部が移動するときに第2保持部を保持状態に切り換えることで、第2移動部に対して第2支持部が移動することを規制できるため、支持操作体により移動体を上下方向に移動させて物品を移載箇所に移動させる場合に、物品を移載箇所に正確に移動させ易い。
このように、移動体が移動するときに移動体に生じる振動が物品に伝わることを抑制できながら、支持体を移動させたときに物品を移載箇所に移動させ易い物品搬送装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる物品搬送装置を備えた物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、物品搬送設備には、物品搬送車1とレール2と処理装置3とが備えられている。レール2は、走行経路に沿って設置されており、天井に吊り下げ支持されている。物品搬送車1は、走行経路に沿ってレール2上を走行して容器Wを搬送する。物品搬送車1は、物品搬送装置に相当する。処理装置3は、容器Wに対する処理行う装置であり、床面上に設置されている。この処理装置3に隣接する状態で支持台4が設置されている。
【0018】
容器Wは、複数枚の基板を収納可能で且つ基板の出し入れ口を塞ぐ蓋が着脱自在に備えられている容器であり、物品に相当する。本実施形態では、基板を半導体ウェハーとし、その半導体ウェハーを収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を容器Wとしている。
図3〜
図5に示すように、容器Wには、容器Wの上端部に備えられて物品搬送車1の支持機構22に支持されるフランジ部Waと、フランジ部Waより下方に位置して複数枚の基板を収容する容器本体部Wbと、容器本体部Wbの前面に形成された基板出し入れ用の基板出入口を閉じる着脱自在な蓋体(図示せず)と、が備えられている。ちなみに、物品搬送車1は、フランジ部Waを吊り下げ支持した状態で容器Wを搬送する。
図4及び
図5に示すように、フランジ部Waの上面(容器Wの上面)には、下方に凹入する円錐形状の凹部Woが形成されている。支持台4に容器Wが支持されている状態で、その容器Wに向けて支持機構22を下降移動させたときに、支持機構22に備えられている係合部36が上方から凹部Woに係合する。
【0019】
支持台4は、物品搬送車1の走行経路の直下に設置されており、物品搬送車1の走行方向に沿って複数設置されている。
物品搬送車1は、容器Wを支持台4に搬送するとともに、容器Wを支持台4から搬送する。そして、図外の搬送装置により、容器W全体又は容器W内の基板のみが、支持台4と処理装置3との間で搬送される。
【0020】
〔物品搬送車〕
次に、物品搬送車1について説明する。尚、物品搬送車1を説明するにあたり、物品搬送車1が水平な直線状の走行経路を走行している状態を想定して説明する。また、物品搬送車1が走行する方向を走行方向とし、上下方向にみて走行方向と直交する方向を幅方向として説明する。
図4に示すように、物品搬送車1は、天井に設置されたレール2に支持された状態でレール2に沿って移動する走行部15と、レール2の下方に位置して走行部15に吊り下げ支持されている本体部16と、を備えている。
【0021】
走行部15は、走行方向に並ぶ前走行部15Fと後走行部15Rとを備えている。前走行部15Fは、後走行部15Rより前方に位置している。前走行部15F及び後走行部15Rには、走行用モータ18にて回転される左右一対の走行輪19が装備されている。前走行部15Fの走行輪19及び後走行部15Rの走行輪19が走行用モータ18により回転されることによって、物品搬送車1が走行経路に沿って走行する。
【0022】
本体部16には、走行部15に連結される基部21と、容器Wを支持する支持機構22 と、支持機構22を走行部15に対して昇降移動させる昇降操作機構23と、上昇設定位置(
図1等に示す位置)に上昇している支持機構22にて支持された容器Wの上方側及び走行方向両側を覆うカバー体24と、を備えている。尚、走行部15と基部21とにより、走行方向(移動方向)に沿って移動する移動体Aが構成されている。また、支持機構22が、移動体A(走行部15及び基部21)に支持され且つ容器Wを支持する支持体に相当する。また、昇降操作機構23が、支持機構22(支持体)を移動体A(走行部15及び基部21)に対して上下方向に移動させる支持操作体に相当する。
【0023】
基部21は、走行部15が連結された連結基部と昇降操作機構23を支持する支持基部とを備えている。そして、基部21は、支持基部を連結基部に対して幅方向に沿ってスライド移動自在に構成されている。つまり、基部21は、昇降操作機構23及び支持機構22を走行部15に対して幅方向に移動させるスライド操作機構としての機能を備えている。
【0024】
昇降操作機構23には、先端部が支持機構22に接続されて支持機構22を吊り下げる複数の索状体30と、索状体30が巻回された巻回体31と、巻回体31を回転させる昇降用モータ32(
図8参照)と、が備えられている。尚、本実施形態では、複数本の索条体として、3本のベルトが備えられている。
昇降操作機構23は、昇降用モータ32にて巻回体31を正逆に回転させて、複数の索状体30を巻き取り及び繰り出し操作を選択的に行うことで、支持機構22を走行用位置(
図1参照)と移載用位置(
図2参照)とに上下方向に移動させるように構成されている。走行用位置は、走行部15が走行する際の走行部15に対する支持機構22の位置である。物品搬送車1は、支持機構22が走行用位置に位置する状態で走行する。移載用位置は、走行用位置より下方の位置であり、移載用位置まで支持機構22を下降させることで支持機構22により支持された容器Wが支持台上に位置するときの支持機構22の位置である。
【0025】
図3〜
図5に示すように、支持機構22は、把持用モータ34の駆動により一対の把持爪35を互いに接近離間させるように構成されている。説明を加えると、支持機構22は、一対の把持爪35を接近させることで、一対の把持爪35が容器Wのフランジ部Waを支持する支持状態(
図1参照)に切り換えられ、把持爪35を互いに離間させることで、一対の把持爪35による容器Wのフランジ部Waに対する支持を解除する支持解除状態(
図2参照)に切り換えられる。このように、支持機構22は、把持用モータ34の駆動により支持状態と支持解除状態とに切換自在に構成されている。
【0026】
支持機構22は、昇降操作機構23により移動される移動部38と、移動部38に対して上下方向に移動自在に移動部38に連結された支持部39と、移動部38と支持部39との間に介在する上下方向に弾性変形自在な弾性部40と、を備えている。なお、本実施形態では、弾性部40は、柱状に形成されたシリコンゴムを用いている。
移動部38には、索状体30の先端部が接続される被接続部42を備えている。支持部39は、把持爪35及び把持用モータ34を備えており、容器Wを吊り下げ支持する。弾性部40は、移動部38の第1部分38aと支持部39の第2部分39aと、の間に圧縮状態で設けられている。支持部39の第2部分39aは、移動部38の第1部分38aの直上に位置している。第1部分38aは移動部38の一部であり、第2部分39aは支持部39の一部である。
【0027】
弾性部40の下端部は、移動部38の第1部分38aに接着されており、弾性部40の上端部は、支持部39の第2部分39aに接着されている。このように、弾性部40により移動部38に対して支持部39が連結されている。そのため、物品搬送車1が走行したときに走行部15に発生した振動が弾性部40により吸収されることで、振動が支持部39やそれに支持された容器Wに伝わることを抑制できる。
【0028】
移動部38は、底板43とこの底板43の上方を覆うカバー44と、を備えている。移動部38は、底板43とカバー44とで四角箱状に形成されており、被接続部42及び弾性部40は移動部38内に収容されており、支持部39は、把持爪35の一部等を除いて移動部38内に収容されている。底板43の上面に、被接続部42が連結されると共に弾性部40が接着されている。尚、カバー44には、索状体30が上下方向に挿通するための第1孔44aが形成されている。また、底板43における弾性部40が接着された部分が移動部38の第1部分38aに相当する。
移動部38は、上述の如く索状体30の先端部が接続される被接続部42を備えており、昇降操作機構23による複数の索状体30の巻き取り及び繰り出しにより、移動部38が上下方向に移動する。
【0029】
図6に示すように、本実施形態では、被接続部42は3つ備えられ、弾性部40は3つ備えられている。
支持機構22の走行方向の中心より走行方向の一方には、2つの被接続部42と1つの弾性部40とが設置されており、1つの弾性部40は、幅方向に見て、2つの被接続部42の双方と重なる状態で設置されている。2つの被接続部42は、幅方向に見て一部が重なる状態で設置され、且つ、互いに走行方向にずれた状態で設置されている。また、1つの弾性部40は、幅方向において他の2つの弾性部40の間に位置するように設置されている。
また、支持機構22の走行方向の中心より走行方向の他方には、1つの被接続部42と2つの弾性部40とが設置されており、2つの弾性部40の夫々は、幅方向に見て、1つの被接続部42と重なる状態で設置されている。2つの弾性部40は、幅方向に見て全体が重なる状態で設置され、互いに走行方向で同じ位置に設置されている。また、1つの被接続部42は、幅方向において他の2つの被接続部42の間に位置するように設置されている。
【0030】
支持部39は、駆動部46と昇降板47とを備えている。駆動部46には、把持用モータ34が内装されており、把持爪35及び係合部36を下方に突出する状態で備えている。この把持爪35及び係合部36は、底板43に形成された貫通孔43aを貫通して底板43より下方に突出している。昇降板47は、駆動部46の上面に連結されており、駆動部46から横側方に突出している。昇降板47における駆動部46から横側方に突出部分の下面に弾性部40が接着されており、この昇降板47における弾性部40が接着された部分が第2部分39aに相当する。
図7及び
図8に示すように、支持部39には、保持用支持部48と解除用凹部49とが備えられている。これら保持用支持部48及び解除用凹部49は、駆動部46の下端部に備えられている
【0031】
支持機構22は、保持用支持部48を保持する保持部51と、保持部51の状態を切り換える切換部としての切換用シリンダ52と、被操作部としての第2ローラ53a及び操作部としての第3ローラ53bを有するリンク体53と、を備えている。
【0032】
説明を加えると、底板43の上面に、リンク支持体54が立設されている。リンク体53はその長手方向の中間部が、リンク支持体54に揺動自在に支持されている。そして、リンク体53の長手方向の一端部には、第2ローラ53aが回転自在に備えられており、リンク体53の長手方向の他端部には、第3ローラ53bが回転自在に備えられている。第3ローラ53bは、昇降板47に備えられたブロック47aの直下に位置している。そのため、リンク体53は、第2ローラ53aが下方に押し操作されることで第3ローラ53bが上方に移動するように揺動して、第3ローラ53bにより支持部39を移動部38に対して上方に押し上げる。
【0033】
切換用シリンダ52は、移動部38に対して支持部39を所定の位置に保持する保持状態(
図5及び
図8参照)と、支持部39に対する保持を解除して移動部38に対して支持部39を上下方向に移動自在とする保持解除状態(
図4及び
図7参照)と、に保持部51の状態を切り換える。
説明を加えると、保持部51における駆動部46に接触する部分に、走行方向に沿う軸心周りに回転自在な第1ローラ51aが備えられている。保持部51には、幅方向に間隔を空けた状態で一対の第1ローラ51aが備えられている。切換用シリンダ52は、そのロッドが保持部51に連結されている。そして、切換用シリンダ52は、伸縮して保持部51を幅方向に移動させることで、
図7に示すように、一対の第1ローラ51aの双方が解除用凹部49の直下に位置する保持解除状態と、
図8に示すように、一対の第1ローラ51aの双方が保持用支持部48の直下に位置する保持状態と、に保持部51の状態を切り換え可能に構成されている。
【0034】
保持部51を保持状態に切り換えた状態では、保持部51により支持部39が下方から支持されることにより、支持部39は移動部38に対して所定の位置より下方に移動することが規制される。このように、支持部39は移動部38に対して所定の位置に保持される。ちなみに、支持部39が移動部38に対して所定の位置より上方に移動することは弾性部40により規制される。
また、保持部51を保持解除状態に切り換えた状態では、保持部51により支持部39が下方から支持されなくなるため、支持部39は移動部38に対して所定の位置より下方に移動することが許容される。これにより、支持部39に対する保持が解除される
【0035】
昇降操作機構23は、走行用位置及び移載用位置に加えて、走行用位置より上方に設定された切換用位置に、支持機構22を移動させる。尚、走行用位置が第1位置に相当し、切換用位置が第2位置に相当し、移載用位置が第3位置に相当する。
そして、基部21には、押圧部55が備えられている。この押圧部55は、支持機構22が走行用位置から切換用位置に移動することでリンク体53の第2ローラ53aを下方に押し操作し、支持機構22が切換用位置から走行用位置に移動することでリンク体53の第2ローラ53aの押し操作を解除する
説明を加えると、カバー44には第2孔46aが形成されており、この第2孔46aは、第2ローラ53aの直上に位置している。基部21には押圧部55が備えられており、この押圧部55は、第2ローラ53aの直上に位置している。
【0036】
図4に示すように、保持部51が保持解除状態に切り換えられている状態であり、且つ、保持部51と弾性部40とリンク体53とのうちで弾性部40のみで支持部39が支持されている状態では、移動部38と支持部39との上下方向の離間距離は、移動部38に対して支持部39が所定の位置に位置しているときの移動部38と支持部39との上下方向の離間距離は狭い。
そして、
図9に示すように、押圧部55により第2ローラ53aを下方に押し操作することで、リンク体53が揺動して第3ローラ53bにより昇降板47に固定されたブロック47aが上方に押し上げられ、支持部39は移動部38に対して所定の位置に位置する。
この状態で、
図8に示すように、保持部51を保持解除状態から保持状態に切り換えることで、
図10に示すように、押圧部55による押圧を解除して第3ローラ53bにより支持部39が上方に押し上げられなくたったとしても、支持部39は第1ローラ51aにより支持されているため、支持部39は移動部38に対して所定の位置に保持される。
【0037】
〔制御部〕
物品搬送車1には、移動体A、昇降操作機構23、及び切換用シリンダ52を制御して物品搬送車1の作動を制御する制御部Hが備えられている。
制御部Hは、地上側に設置される上位コントローラからの搬送指令に基づいて、容器Wを搬送元の支持台4から受け取る受取処理と、容器Wを搬送先の支持台4に受け渡す受渡処理と、を実行するべく、物品搬送車1に設けられているモータ類の作動を制御するように構成されている。物品搬送車1は、受取処理を実行して搬送元の支持台4から容器Wを受け取り、受渡処理を実行して搬送先の支持台4に容器Wを受け渡すことで、搬送元の支持台4から搬送先の支持台4に容器Wを搬送する。
【0038】
受渡処理では、走行制御、下降昇降制御、爪離間制御、上昇昇降制御の順で実行する。
受渡処理の走行制御は、搬送元の支持台4に対応する停止位置を走行元とし、搬送先の支持台4に対応する停止位置を走行先として、走行元から走行先に走行部15を走行させるべく走行用モータ18の作動を制御する。ちなみに、受渡処理における走行制御は、支持機構22にて容器Wを支持している状態で実行される。この走行制御が、容器Wを降ろす移載箇所に対して予め設定された位置を走行先(移動先)として、走行元(移動元)から走行先(移動先)まで移動体Aを移動させる移動制御に相当する。
【0039】
下降昇降制御は、支持機構22を走行用位置から切換用位置に上方に移動させた後、保持部51を保持解除状態から保持状態に切り換え、その後、支持機構22を切換用位置から移載用位置に下方に移動させるべく、昇降用モータ32及び切換用シリンダ52の作動を制御する。つまり、この下降昇降制御では、走行用位置から切換用位置に移動部38を上昇させた後に切換用位置から移載用位置まで移動部38を下降させて、支持部39に支持している容器Wを移載箇所に降ろす降し制御と、降し制御において移動部38が切換用位置に位置する状態で保持部51を保持解除状態から保持状態に切り換える保持制御と、が実行される。
【0040】
爪離間制御は、支持機構22を支持状態から支持解除状態に切り換えるべく把持用モータ34の作動を制御する。
上昇昇降制御は、支持機構22を移載用位置から切換用位置に上方に移動させた後、保持部51を保持状態から保持解除状態に切り換え、その後、支持機構22を切換用位置から走行用位置に下方に移動させるべく、昇降用モータ32及び切換用シリンダ52の作動を制御する。
【0041】
このように本実施形態では、制御部Hは、走行部15が走行している間は、保持部51を保持解除状態に切り換え、走行部15が停止し且つ支持機構22を上下方向に移動している間は、保持部51を保持状態に切り換えるように、物品搬送車1を制御している。つまり、制御部Hは、走行制御により走行部15が走行先に到着して走行制御が完了した後に、卸し制御及び保持制御を実行する。
【0042】
受取処理では、走行制御、下降昇降制御、爪接近制御、上昇昇降制御の順で実行する。
尚、受取処理の走行制御は、走行部15を搬送元の支持台4に対応する位置に走行させるべく走行用モータ18の作動を制御する、その走行制御は、支持機構22にて容器Wを支持していない状態で実行される点、及び、爪離間制御に代えて、支持機構22を支持解除状態から支持状態に切り換えるべく把持用モータ34の作動を制御する爪接近制御を実行する点以外は、受渡処理と同様である。
【0043】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、支持体に移動部と支持部と弾性部と切換部とを備えたが、移動体に移動部と支持部と弾性部と切換部とを備えてもよい。
具体的には、
図11及び
図12に示すように、移動体Aに、走行輪19(車輪)を備えた第2移動部61(走行部15と基部21の一部とで構成)と、第2移動部61に対して上下方向に移動自在に連結され且つ支持機構22(支持体)を支持する第2支持部62と、第2移動部61と第2支持部62との間に介在する上下方向に弾性変形自在な第2弾性部63と、第2支持部62を保持する第2保持部64と、第2保持部64の状態を切り換える第2切換部65と、を備える。
第2切換部65は、第2移動部61に対して第2支持部62を所定の位置に保持する第2保持状態(
図12参照)と、第2支持部62に対する保持を解除して第2移動部61に対して第2支持部62を上下方向に移動自在とする第2保持解除状態(
図11参照)と、に第2保持部64の状態を切り換えるように構成する。
【0044】
(2)上記実施形態では、制御部が、移動制御により移動部が移動先に到着した後に、卸し制御を開始するように、移動制御及び降し制御を実行したが、制御部が、移動制御により移動部の移動が開始した後、当該移動制御により移動部が移動先に到着する前に、卸し制御を開始し、移動制御により移動部が移動先に到着した後に、卸し制御が完了するように、移動制御及び降し制御を実行してもよい。
【0045】
(3)上記実施形態では、支持部の第2部分を、移動部の第1部分の直上に位置させて、弾性部を、移動部の第1部分と支持部の第2部分との間に圧縮状態で設けたが、支持部の第2部分を、移動部の第1部分の直下に位置させて、弾性部を、移動部の第1部分と支持部の第2部分との間に引張状態で設けてもよい。
また、上記実施形態では、弾性部として、柱状のシリコンゴムを用いたが、弾性体は、スプリングや板バネ等の別の弾性部材を用いてもよく、材質や形状は適宜変更してもよい。
【0046】
(4)上記実施形態では、移動体が、天井に配設されたレールに支持された状態でレールに沿って移動し、支持体が、レールの下方に位置して移動体に吊り下げ支持されるように、物品搬送車を構成したが、移動体が、床面に設置されたレールに支持された状態でレールに沿って移動し、支持体が、レールの上方に位置して移動体に支持されるように、物品搬送車を構成してもよい。
【0047】
(5)上記実施形態では、支持体を第2位置に上昇させた状態で、保持部を保持解除状態から保持状態に切り換えたが、支持体を第1位置に位置させた状態で、又は、支持体を第1位置から第3位置に向けて下降させながらで、保持部を保持解除状態から保持状態に切り換えるようにしてもよい。
具体的には、例えば、切換部を、保持部を上下方向に移動させるように構成し、弾性体のみで支持されている支持部より下方に保持部を退避させた状態を保持解除状態とし、移動部に対して所定の位置に位置する支持部を保持部により下方から支持する状態を保持状態として、切換部により保持部を上下方向に移動させることで、保持解除状態と保持状態とに保持部を切り換えるようにしてもよい。