(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直流入力電圧をリアクトルとスイッチング素子との直列回路を介してスイッチングすることにより得られた電圧を整流平滑して所定の出力電圧を得るスイッチング電源装置であって、
前記出力電圧と基準値とに基づき算出された前記スイッチング素子のオン時間と前記直流入力電圧と前記出力電圧とに基づき前記スイッチング素子のオフ時間を算出するオフ時間演算部と、
前記オフ時間演算部で算出された前記オフ時間と前記オン時間とに基づき周期及び周波数の少なくともいずれか一方を算出する演算部と、
前記周期及び周波数の一方と基準周期及び基準周波数の一方との比較結果に基づき前記スイッチング素子を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記周波数が前記基準周波数を超えた場合に前記スイッチング素子の最大周波数を制限し且つ前記スイッチング素子のオフ時間を延長し、前記スイッチング素子のオフ時に両端電圧が減衰振動する際のボトムを演算により予測し、前記演算部で算出された周波数が基準周波数を超えた場合に、予測された最初のボトムから1回以上スキップして次のボトムになった時に前記スイッチング素子をオンさせることを特徴とするスイッチング電源装置。
前記制御部によりボトムが1回以上スキップされて前記オフ時間が延長された場合に、延長されたオフ時間に応じて前記オン時間を補正するオン時間補正部を備えることを特徴とする請求項2記載のスイッチング電源装置。
直流入力電圧をリアクトルとスイッチング素子との直列回路を介してスイッチングすることにより得られた電圧を整流平滑して所定の出力電圧と所定の出力電流をLEDに供給するLED点灯回路であって、
前記出力電流と基準電流とに基づき算出された前記スイッチング素子のオン時間と前記直流入力電圧と前記出力電圧とに基づき電流臨界モード動作となるための前記スイッチング素子のオフ時間を算出するオフ時間演算部と、
前記オフ時間演算部で算出された前記オフ時間と前記オン時間とに基づき周期及び周波数の少なくともいずれか一方を算出する演算部と、
前記周期及び周波数の一方と基準周期及び基準周波数の一方との比較結果に基づき前記スイッチング素子を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするLED点灯回路。
前記制御部は、前記スイッチング素子のオフ時に両端電圧が減衰振動する際のボトムを演算により予測し、前記演算部で算出された周波数が基準周波数を超えた場合に、予測された最初のボトムから1回以上スキップして次のボトムになった時に前記スイッチング素子をオンさせることを特徴とする請求項6記載のLED点灯回路。
前記制御部によりボトムが1回以上スキップされて前記オフ時間が延長された場合に、延長されたオフ時間に応じて前記オン時間を補正するオン時間補正部を備えることを特徴とする請求項9記載のLED点灯回路。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のスイッチング電源装置及びLED点灯回路のいくつかの実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1のスイッチング電源装置の回路図である。
図1に示す実施例1のスイッチング電源装置であって、全波整流回路DBは、交流電源1からの交流電圧を全波整流して全波整流電圧Vinを抵抗Ra1と抵抗Ra2との直列回路の両端に出力する。交流電源1と全波整流回路DBとからなる構成を、バッテリ等のように直流入力電圧を出力する直流電源とみなすこともできる。
【0020】
抵抗Ra1と抵抗Ra2との直列回路の両端には、リアクトルLとスイッチング素子Q1との直列回路が接続される。スイッチング素子Q1は、MOSFETからなり、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間には、ダイオードD1とコンデンサC1との直列回路が接続される。コンデンサC1の両端には抵抗Ro1と抵抗Ro2との直列回路が接続される。スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間には、さらにコンデンサが並列に接続される。コンデンサは、スイッチング素子Q1の寄生容量でもいいし、個別素子のコンデンサでもよい。コンデンサは、図示しない。
【0021】
このスイッチング電源装置は、交流電源1からの交流電圧を整流して直流入力電圧に変換し、直流入力電圧をリアクトルLとスイッチング素子Q1との直列回路を介してスイッチングすることにより得られた電圧をダイオードD1とコンデンサC1との整流平滑回路により整流平滑して所定の出力電圧Voutを得る。
【0022】
PFC制御部10は、マイクロ・コントロール・ユニット(MCU)からなり、抵抗Ra1と抵抗Ra2との間の直流入力電圧Vinと、抵抗Ro1と抵抗Ro2との間の出力電圧Voutと、スイッチング素子Q1のオン時間とに基づきスイッチング素子Q1をオンオフ制御することにより、出力電圧を所定値にさせるとともに、力率を改善する。
【0023】
PFC制御部10は、アナログデジタル変換器(ADC)11,12、フィードバック制御部13、オフ時間演算部14、周波数演算部15、ボトムスキップ制御部16、PWM波形形成部18を備えている。
【0024】
ADC11は、全波整流電圧Vinを抵抗Ra1と抵抗Ra2とで分圧した電圧をデジタル値V11に変換してオフ時間演算部14に出力する。
【0025】
ADC12は、出力電圧Voutを抵抗Ro1と抵抗Ro2とで分圧した電圧をデジタル値V12に変換してフィードバック制御部13とオフ時間演算部14に出力する。
【0026】
フィードバック制御部13は、ADC12からの出力電圧Voutに基づくデジタル値V12と基準値Vrefとの誤差に基づき、次のスイッチング周期におけるスイッチング素子Q1のオン時間を算出する。オン時間の制御は、比例積分(PI)制御で行い、応答時間を遅くすることで、
図3に示すように、直流入力電圧Vinの一周期でのオン時間(例えば時刻t1〜t2、t3〜t4、)が一定となるようにしている。
【0027】
これにより、入力電流IINの平均値は、直流入力電圧Vinに比例した形となるため、力率改善効果が得られる。
【0028】
オフ時間演算部14は、スイッチング素子Q1のオン時間Tonと直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとに基づき、次のスイッチング周期におけるスイッチング素子Q1のオフ時間Toffを算出する。
【0029】
昇圧タイプで且つ臨界モード(リアクトルLに流れる電流がゼロとなるモード)時のスイッチング素子Q1のオフ時間演算部14の演算処理の詳細を説明する。オン時間をTonとしたとき、リアクトルLに流れる電流ピークIpは式(1)で求められる。
【0030】
Ip=Vin×Ton/L …(1)
Vinは直流入力電圧、Lはインダクタンス値である。
【0031】
電流ピークがIpのとき、臨界モード動作となるためのオフ時間Toffは式(2)で求められる。
【0032】
Ip−(Vout−Vin)×Toff/L=0
Ip=(Vout−Vin)×Toff/L
Toff=Ip/(Vout−Vin)/L
=(Vin×Ton/L)/(Vout−Vin)/L
=(Vin×Ton)/(Vout−Vin) …(2)
(2)式から、リアクトル電流がゼロとなるタイミングは、直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差、電流のピーク値Ipとインダクタンス値Lにより決定される。また、臨界モードにおける電流のピーク値Ipは、直流入力電圧Vinとオン時間Tonとインダクタンス値Lにより決定される。
【0033】
従って、リアクトル電流がゼロとなるタイミングは、直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとオン時間Tonとから求めることができる。
【0034】
従って、オフ時間演算部14は、スイッチング素子Q1のオン時間Tonと直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとから、リアクトル電流がゼロとなるタイミングを求めることで、スイッチング素子Q1のオフ時間を算出することができる。これにより、巻線や電流検出器を用いずに、電流臨界モード動作が行うことができる。
【0035】
周波数演算部15は、本発明の演算部に相当し、オフ時間演算部14で算出されたオフ時間とオン時間とを合計したスイッチング素子Q1のスイッチング周期Tに基づきスイッチング素子Q1のスイッチング周波数fを算出する。
【0036】
ボトムスキップ制御部16は、本発明の制御部に相当し、周波数fと基準周波数との比較結果に基づきスイッチング素子Q1を制御する。ボトムスキップ制御部16は、スイッチング素子Q1のオフ時に両端電圧(ドレイン−ソース間電圧)Vdsが減衰振動する際のボトムタイミングを演算により予測し、周波数演算部15で算出された周波数が基準周波数を超えた場合に、予測された最初のボトムタイミングから1スキップして次のボトムタイミングになった時にスイッチング素子Q1をオンさせるための信号を生成する。
【0037】
PWM波形形成部18は、ボトムスキップ制御部16からの信号に基づきPWM信号を生成し、生成されたPWM信号をドライバ(Drv)20を介してスイッチング素子Q1のゲートに出力する。
【0038】
次にこのように構成された実施例1のスイッチング電源装置の動作を
図2に示すタイミングチャートを参照しながら、詳細に説明する。
【0039】
図2において、Q1gはスイッチング素子Q1のゲート電圧、LiはリアクトルLに流れる電流、Vdsはスイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧を示す。
【0040】
まず、臨界モードT1では、PFC制御部10は、オンデューティを略50%に設定し、スイッチング素子Q1をオンオフさせる。この場合、オフ時間演算部14は、スイッチング素子Q1のオン時間と直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとに基づきスイッチング素子Q1のオフ時間を算出するので、巻線や電流検出器を用いずに、臨界モード動作が行える。
【0041】
次に、疑似共振モードT2では、
図2に示すように、ボトムスキップ制御部16は、スイッチング素子Q1のオフ時にドレイン−ソース間電圧Vdsが減衰振動した際の最小値となる最初のボトムタイミングBT1に達した時にスイッチング素子Q1をオンさせる。この場合には、臨界モードのオフ時間にドレイン電圧VdsがボトムタイミングBT1になるまでの時間を加算した時間をオフ時間に設定することができる。これにより、スイッチング損失を低減させることができる。
【0042】
次に、ボトムスキップ(1スキップ)T3では、ボトムスキップ制御部16は、周波数演算部15で算出された周波数が基準周波数を超えた場合に、演算により予測された最初のボトムタイミングBT1から1スキップして次のボトムタイミングBT2に達したときにスイッチング素子Q1をオンさせる。この場合には、臨界モードのオフ時間に2回目のボトムタイミングBT2になるまでの時間を加算した時間をオフ時間とすることができる。さらに、軽負荷となり、周波数が基準周波数を超えた場合は、スキップ回数を増加させる。これにより、高精度に制御モードを切り替え、スイッチング素子Q1の最大周波数を制限することができるので、軽負荷時に発振周波数が上昇することによるスイッチング損失を低減させることができる。
【実施例2】
【0043】
図4は、本発明の実施例2のスイッチング電源装置の回路図である。実施例2のスイッチング電源装置は、力率改善回路であって、実施例1の力率改善回路に対して、さらに、ボトムスキップ制御部16によりボトムが1スキップ以上されてオフ時間が延長された場合に、延長されたオフ時間に応じてオン時間を補正するオン時間補正部17を追加したことを特徴とする。
【0044】
このように実施例2のスイッチング電源装置によれば、オン時間補正部17は、ボトムスキップ制御部16によりボトムが1スキップ以上されてオフ時間が延長された場合に、延長されたオフ時間に応じてオン時間を延長するように補正する。
【0045】
これにより、オフ時間を延長した場合でもオンデューティの変動を抑制できるので、電流及び電圧の波形歪みは抑えられる。その結果、ボトムスキップ時の力率を改善することができる。また、負荷がLED照明であれば、そのちらつきを低減することができる。
【0046】
なお、本発明は、実施例1及び実施例2のスイッチング電源装置に限定されるものではない。実施例1及び実施例2のスイッチング電源装置では、昇圧タイプのスイッチング電源装置を説明したが、本発明は、例えば、降圧タイプのスイッチング電源装置にも適用することもできる。
【0047】
この場合、臨界モード動作時のオフ時間演算部のオフ時間の演算処理は、以下のようになる。オン時間をTonとしたとき、リアクトルLに流れる電流ピークIpは式(3)で求められる。
【0048】
Ip=(Vin−Vout)×Ton/L …(3)
電流ピークがIpのとき、臨界モード動作となるためのオフ時間Toffは式(4)で求められる。
【0049】
Ip−Vout×Toff/L=0
Ip=Vout×Toff/L
Toff=Ip×L/Vout
=(Vin−Vout)×Ton×L/(Vout×L)
=(Vin−Vout)×Ton/Vout …(4)
(4)式から、リアクトル電流がゼロとなるタイミングは、直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとオン時間Tonとから求めることができる。
【0050】
従って、オフ時間演算部14は、スイッチング素子Q1のオン時間Tonと直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとから、リアクトル電流がゼロとなるタイミングを求めることで、スイッチング素子Q1のオフ時間を算出することができる。これにより、巻線や電流検出器を用いずに、電流臨界モード動作が行うことができる。
【実施例3】
【0051】
実施例3のLED点灯回路は、電流臨界モードで制御することによりスイッチング損失を低減し、LEDの光のちらつきを抑制する。
図5は本発明の実施例3のLED点灯回路の回路図である。
図5に示す実施例3のLED点灯回路は、力率改善回路(PFC)3とLED2との間に接続された降圧コンバータからなり、LED2を点灯させる。
【0052】
PFC3は、力率を改善し、全波整流電圧である直流入力電圧Vinを抵抗Ri1と抵抗Ri2との直列回路の両端に出力する。抵抗Ri1と抵抗Ri2との直列回路の両端にはコンデンサC1が並列に接続されている。
【0053】
抵抗Ra1と抵抗Ra2との直列回路の両端には、スイッチング素子Q1とダイオードD1との直列回路が接続される。スイッチング素子Q1は、MOSFETからなり、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間には、コンデンサが並列に接続される。コンデンサは、スイッチング素子Q1の寄生容量でもいいし、個別素子のコンデンサでもよい。コンデンサは、図示しない。ダイオードD1の両端にはリアクトルLと抵抗Ro1と抵抗Ro2との直列回路が接続される。抵抗Ro1と抵抗Ro2との直列回路の両端にはLED2と抵抗RLとの直列回路が接続される。
【0054】
LED点灯回路は、直流入力電圧VinをリアクトルLとスイッチング素子Q1との直列回路を介してスイッチングすることにより得られた電圧を整流平滑して所定の出力電圧Voutと所定の出力電流IoutをLED2に供給する。
【0055】
制御部10bは、MCUからなり、抵抗Ri1と抵抗Ri2との間の直流入力電圧Vinと、抵抗Ro1と抵抗Ro2との間の出力電圧Voutと、LED2と抵抗RLとに流れる出力電流Ioutと、スイッチング素子Q1のオン時間とに基づきスイッチング素子Q1をオンオフ制御することにより、出力電圧Voutと出力電流Ioutを所定値にさせる。
【0056】
制御部10bは、ADC11,12,19、フィードバック制御部13a、オフ時間演算部14a、周波数演算部15a、ボトムスキップ制御部16a、PWM波形形成部18aを備えている。
【0057】
ADC11は、全波整流電圧Vinを抵抗Ri1と抵抗Ri2とで分圧した電圧をデジタル値V11に変換してオフ時間演算部14aに出力する。
【0058】
ADC12は、出力電圧Voutを抵抗Ro1と抵抗Ro2とで分圧した電圧をデジタル値V12に変換してオフ時間演算部14aに出力する。ADC19は、LED2に流れる出力電流Ioutをデジタル値に変換してフィードバック制御部13aに出力する。
【0059】
フィードバック制御部13aは、ADC19からの出力電流Ioutに基づくデジタル値と基準電流Irefとの誤差に基づき、次のスイッチング周期におけるスイッチング素子Q1のオン時間を算出する。オン時間の制御は、比例積分(PI)制御で行う。
【0060】
オフ時間演算部14aは、スイッチング素子Q1のオン時間Tonと直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとに基づき、次のスイッチング周期におけるスイッチング素子Q1のオフ時間Toffを算出する。
【0061】
この場合、降圧タイプで且つ臨界モード動作時のオフ時間演算部のオフ時間の演算処理は、オン時間をTonとしたとき、リアクトルLに流れる電流ピークIpは前述した式(3)で求められる。電流ピークがIpのとき、臨界モード動作となるためのオフ時間Toffは前述した式(4)で求められる。
【0062】
(4)式から、リアクトル電流がゼロとなるタイミングは、直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとオン時間Tonとから求めることができる。
【0063】
従って、オフ時間演算部14aは、スイッチング素子Q1のオン時間Tonと直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとから、リアクトル電流がゼロとなるタイミングを求めることで、スイッチング素子Q1のオフ時間を算出することができる。これにより、巻線や電流検出器を用いずに、電流臨界モード動作が行うことができる。
【0064】
周波数演算部15aは、本発明の演算部に相当し、オフ時間演算部14aで算出されたオフ時間とオン時間とを合計したスイッチング素子Q1のスイッチング周期Tに基づきスイッチング素子Q1のスイッチング周波数fを算出する。
【0065】
ボトムスキップ制御部16aは、本発明の制御部に相当し、周波数fと基準周波数との比較結果に基づきスイッチング素子Q1を制御する。ボトムスキップ制御部16aは、スイッチング素子Q1のオフ時に両端電圧(ドレイン−ソース間電圧)Vdsが減衰振動する際のボトムタイミングを演算により予測し、周波数演算部15aで算出された周波数が基準周波数を超えた場合に、予測された最初のボトムタイミングから1スキップして次のボトムタイミングになった時にスイッチング素子Q1をオンさせるための信号を生成する。
【0066】
PWM波形形成部18aは、ボトムスキップ制御部16aからの信号に基づきPWM信号を生成し、生成されたPWM信号をドライバ(Drv)20を介してスイッチング素子Q1のゲートに出力する。
【0067】
このように構成された実施例3のLED点灯回路の動作を、
図2に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0068】
まず、臨界モードT1では、制御部10bは、オンデューティを略50%に設定し、スイッチング素子Q1をオンオフさせる。この場合、オフ時間演算部14aは、スイッチング素子Q1のオン時間と直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとに基づきスイッチング素子Q1のオフ時間を算出するので、巻線や電流検出器を用いずに、臨界モード動作が行える。
【0069】
次に、疑似共振モードT2では、
図2に示すように、ボトムスキップ制御部16aは、スイッチング素子Q1のオフ時にドレイン−ソース間電圧Vdsが減衰振動した際の最小値となる最初のボトムタイミングBT1に達した時にスイッチング素子Q1をオンさせる。この場合には、臨界モードのオフ時間にドレイン電圧VdsがボトムタイミングBT1になるまでの時間を加算した時間をオフ時間に設定することができる。これにより、スイッチング損失を低減させることができる。
【0070】
次に、ボトムスキップ(1スキップ)T3では、ボトムスキップ制御部16aは、周波数演算部15aで算出された周波数が基準周波数を超えた場合に、演算により予測された最初のボトムタイミングBT1から1スキップして次のボトムタイミングBT2に達したときにスイッチング素子Q1をオンさせる。この場合には、臨界モードのオフ時間に2回目以降のボトムタイミングBT2になるまでの時間を加算した時間をオフ時間とすることができる。さらに軽負荷となり、周波数が基準周波数を超えた場合は、スキップ回数を増加させる。
これにより、高精度に制御モードを切り替え、スイッチング素子Q1の最大周波数を制限することができるので、軽負荷時に発振周波数が上昇することによるスイッチング損失を低減させることができる。
【実施例4】
【0071】
図6は、本発明の実施例4のLED点灯回路の回路図である。実施例4のLED点灯回路は、実施例3のLED点灯回路に対して、さらに、ボトムスキップ制御部16aによりボトムが1スキップ以上されてオフ時間が延長された場合に、延長されたオフ時間に応じてオン時間を補正するオン時間補正部17aを追加したことを特徴とする。
【0072】
このように実施例4のLED点灯回路によれば、オン時間補正部17aは、ボトムスキップ制御部16aによりボトムが1スキップ以上されてオフ時間が延長された場合に、延長されたオフ時間に応じてオン時間を延長するように補正する。
【0073】
これにより、オフ時間を延長した場合でもオンデューティの変動を抑制できるので、電流及び電圧の波形歪みは抑えられる。その結果、LED照明のちらつきを低減することができる。
【0074】
なお、本発明は、実施例3及び実施例4のLED点灯回路に限定されるものではない。実施例3及び実施例4のLED点灯回路では、降圧タイプのLED点灯回路を説明したが、本発明は、例えば、昇圧タイプのLED点灯回路にも適用することもできる。
【0075】
昇圧タイプで且つ電流臨界モード時のスイッチング素子Q1のオフ時間演算部14aの演算処理は、オン時間をTonとしたとき、リアクトルLに流れる電流ピークIpは前述した式(1)で求められる。電流ピークがIpのとき、臨界モード動作となるためのオフ時間Toffは前述した式(2)で求められる。
【0076】
(2)式から、リアクトル電流がゼロとなるタイミングは、直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差、電流のピーク値Ipとインダクタンス値Lにより決定される。また、臨界モードにおける電流のピーク値Ipは、直流入力電圧Vinとオン時間Tonとインダクタンス値Lにより決定される。
【0077】
従って、リアクトル電流がゼロとなるタイミングは、直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとオン時間Tonとから求めることができる。
【0078】
従って、オフ時間演算部14aは、スイッチング素子Q1のオン時間Tonと直流入力電圧Vinと出力電圧Voutとから、リアクトル電流がゼロとなるタイミングを求めることで、スイッチング素子Q1のオフ時間を算出することができる。これにより、巻線や電流検出器を用いずに、電流臨界モード動作が行うことができる。
【0079】
また、本発明は、負荷の軽重によってスイッチング周波数が変動するものであれば、力率改善回路を含まないDC/DCコンバータにも適用することができる。
【0080】
また、本発明は、スイッチング周波数と基準周波数との比較結果の代わりに、スイッチング周期と基準周期との比較結果に基づき前記スイッチング素子を制御しても良い。
【0081】
また、スイッチング素子Q1の両端電圧Vdsが減衰振動する際のボトムタイミングは、演算により予測するほか、PFC制御部10の内部機能により固定値として設定しても良く、電圧Vdsまたは電流ILに基づき検出しても良く、これらの手段を組み合わせても良い。