(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における保全管理装置、保全管理方法、保全管理プログラム及び記録媒体について詳細に説明する。
【0021】
先ず、
図1を用いて、保全管理装置1のソフトウェア構成を説明する。
図1は、実施形態の保全管理装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図1において、保全管理システム100は、保全管理装置1、ベンダ情報提供装置2及びユーザ情報提供装置3を有している。保全管理装置1は、ベンダ情報提供装置2及びユーザ情報提供装置3と、有線又は無線によって通信可能に接続されている。
【0023】
保全管理装置1は、ベンダ情報取得部11、ユーザ情報取得部12、結合情報記憶部13、リコメンド記憶部14、判定部15、リコメンド報知部16、保全計画作成部17、実施状況取得部18及びリコメンド条件修正部19の各機能を有する。ベンダ情報提供装置2は、推奨交換周期記憶部21、使用可能時間記憶部22、推奨校正周期記憶部23及び識別情報記憶部24の各機能を有する。また、ユーザ情報提供装置3は、機器台帳記憶部31、在庫情報記憶部32、パーツ交換履歴記憶部33、稼働履歴記憶部34及び校正履歴記憶部35の各機能を有する。
【0024】
保全管理装置1の上記各機能は、保全管理装置1を制御する保全管理プログラムによって実現される機能モジュールである。保全管理プログラムは、例えば。プログラムを提供するサーバから提供され、又は記録媒体から提供される。提供された保全管理プログラムは、
図12を用いて後述するハードウェアの構成において、RAM等に記憶され、CPUによって実行される。
【0025】
また、ベンダ情報提供装置2又はユーザ情報提供装置3の上記各機能は、ベンダ情報提供装置2あるいはユーザ情報提供装置3を制御するベンダ情報提供プログラムあるいはユーザ情報提供プログラムによって実現される機能モジュールである。ベンダ情報提供プログラムあるいはユーザ情報提供プログラムは、保全管理装置1と同様のハードウェアの構成において実行される。なお、ベンダ情報提供装置2又はユーザ情報提供装置3の上記1以上の機能は、例えば保全管理装置1の機能として実行されてもよい。
【0026】
<保全管理装置1>
ベンダ情報取得部11は、フィールド機器のベンダが有するベンダ情報を、ベンダ情報提供装置2から、フィールド機器を一意に識別する識別情報を用いて取得する。フィールド機器とは、プラントに設置されて、有線又は無線のネットワークを介して通信する通信機能を有するセンサやアクチュエータ等である。センサは、例えば、プラントのプロセスにおける圧力、温度、pH、生成物の流量等の物理量のデータを測定する。また、アクチュエータは、バルブやポンプ等である。フィールド機器に用いられるセンサ素子等のパーツは、経時的に劣化(経時劣化)をするものがある。経時劣化するパーツを有するフィールド機器は、所定の交換周期で交換の保全作業が実施される。交換の保全作業は、パーツのみの交換が可能なフィールド機器の場合は、パーツ交換が実施され、パーツの交換ができないフィールド機器の場合はフィールド機器全体(本体)の交換が実施される。以下の説明においてフィールド機器の交換と言う場合、パーツ交換についても含む場合がある。ベンダ情報取得部11は、フィールド機器のベンダが有するベンダ情報の中で、フィールド機器の交換に必要な情報を取得する。なお、ベンダ情報取得部11が取得するベンダ情報の詳細は後述する。
【0027】
ベンダ情報取得部11は、ベンダ情報を、フィールド機器を一意に識別する識別情報を用いて取得する。フィールド機器を一意に識別する識別情報とは、例えば、フィールド機器にそれぞれ付けられたシリアルNO.(識別子)である。識別子には、例えば、識別子が正当な情報であることを示す冗長情報を含んでいてもよい。ベンダ情報取得部11は、識別子を、例えばXML(EXtensible Markup Language)データとしてベンダ情報提供装置2に送信して、送信した識別子に対応したベンダ情報をベンダ情報提供装置2から取得する。ベンダ情報取得部11は、例えば、ユーザからの取得の指示があったときにベンダ情報を取得する。ベンダ情報取得部11は、定期的にベンダ情報を取得するようにしてもよい。
【0028】
ユーザ情報取得部12は、フィールド機器を使用するユーザが有するフィールド機器の使用状況を、ユーザ情報提供装置3から取得する。フィールド機器を使用するユーザとは、フィールド機器の使用状況を提供することのできるユーザであり、例えば、フィールド機器が設置されたプラント等を運用するユーザであっても、フィールド機器を保全するユーザであってもよい。フィールド機器の使用状況とは、例えば、フィールド機器のパーツの交換履歴、フィールド機器の稼働履歴、フィールド機器の校正履歴等である。フィールド機器の使用状況は、ユーザ情報の一部である。ユーザ情報には、例えば、ユーザが管理しているフィールド機器の機器台帳やフィールド機器の在庫情報を含んでいてもよい。ユーザ情報取得部12は、ユーザからの取得の指示があったときにユーザ情報を取得する。ユーザ情報取得部12は、定期的にユーザ情報を取得するようにしてもよい。なお、ベンダ情報取得部11が取得する使用状況を含むユーザ情報の詳細は、
図7等を用いて後述する。
【0029】
結合情報記憶部13は、ベンダ情報提供装置2から取得したベンダ情報と、ユーザ情報提供装置3から取得した使用状況とを、テーブル結合した結合情報を記憶する。テーブル結合とは、テーブル(表形式)データで表される複数の情報を結合(マージ)する処理であり、所定の検索キーで検索された複数のテーブルに存在する情報を1つに結合する処理である。検索キーは複数のテーブルで共通するデータ項目であり、本実施形態においては、検索キーとして上述した識別子を用いる場合を例示する。すなわち、結合情報記憶部13は、識別子を検索キーとしてベンダ情報とユーザ情報をテーブル結合した結合情報を記憶する。テーブル結合の処理は結合情報記憶部13によって実行される。結合情報記憶部13は、結合されたベンダ情報をまとめて生成された新たなテーブル(結合テーブル)を記憶する。新たに生成された結合テーブルの例を
図15を用いて後述する。
【0030】
なお、検索キーは、結合するテーブルによって定めることができ、例えば、フィールド機器の型式を検索キーとするものであってもよい。フィールド機器の型式とは、フィールド機器の仕様を特定する情報であり、同じ型式のフィールド機器は、同じ推奨交換周期、同じ使用可能時間、又は同じ推奨校正周期を有するものとする。また、結合情報記憶部13は、例えば、ベンダ情報同士を結合した結合情報、又はユーザ情報同士を結合した結合情報を記憶するようにしてもよい。また、テーブル結合の処理はベンダ情報取得部11又はユーザ情報取得部12において実行されてもよい。また、結合情報記憶部13は、ベンダ情報の結合情報(リンク情報)のみを記憶するようにしてもよい。すなわち、テーブル結合とは、複数のテーブルデータを論理的に結合(紐付け)するものであってもよい。
【0031】
リコメンド記憶部14は、ベンダ情報提供装置2から取得されたベンダ情報に基づき設定されたリコメンド条件と、機器の保全に係るリコメンド内容とを対応付けて記憶する。リコメンド条件とは、リコメンド内容をユーザに報知するための条件である。例えば、ベンダ情報提供装置2から取得されたベンダ情報が、フィールド機器の推奨交換周期である場合、リコメンド条件は、フィールド機器の交換をユーザに報知するための時間的な条件であり、前回フィールド機器を交換した日付からの経過日数によって算出される。また、リコメンド内容とは、リコメンド条件が満たされたときにユーザに報知される情報である。例えば、ベンダ情報提供装置2から取得されたベンダ情報が、フィールド機器の推奨交換周期である場合、リコメンド内容はフィールド機器の交換を推奨する文字情報である。なお、リコメンド条件及びリコメンド内容の詳細は
図10を用いて後述する。
【0032】
判定部15は、ユーザ情報取得部12によって取得された使用状況に基づき、リコメンド記憶部14に記憶されたリコメンド条件を満足するか否かを判定する。判定部15は、フィールド機器の交換をユーザに報知するための時間的な条件を満足するか否かを、例えば図示しないRTC(Real−Time Clock)等から取得する現時刻と比較することによって判定する。判定部15は、例えば、定期的に、アラーム等のイベントが発生したときに、又はユーザからの指示があったときにリコメンド条件を満足するか否かを判定する。
【0033】
リコメンド報知部16は、判定部15においてリコメンド条件を満足すると判定されたときに、そのリコメンド条件に対応付けられてリコメンド記憶部14に記憶されているリコメンド内容を報知する。リコメンド内容の報知は、例えば保全作業者等の保全管理装置1の利用者に対して、フィールド機器の交換を推奨する文字情報を図示しない表示装置に表示することで実行される。リコメンド内容の報知は、リコメンド内容の音声出力、リコメンド内容を含むメール送信、リコメンド内容を意味するランプの点灯等によって実行されてもよい。リコメンド報知部16は、リコメンド内容を複数回報知するようにしてもよい。
【0034】
保全計画作成部17は、フィールド機器の保全計画を作成する。保全計画とは、フィールド機器の交換計画、校正計画、購入計画、又はこれらの計画に基づく予算計画等である。保全計画作成部17は、例えば、ユーザ情報提供装置3から取得される、ユーザ情報としてフィールド機器の機器台帳、パーツ交換履歴、稼働履歴又は校正履歴等の情報からプラントに設置されたフィールド機器の使用状況を把握し、ベンダ情報提供装置2から取得される、推奨交換周期、使用可能時間又は推奨校正周期等のベンダ情報から、フィールド機器の保全作業がいつ、どれくらいの数量で発生し、それに伴うフィールド機器の購入や保全作業に係るコストを予測した保全計画を作成する。保全作業を管理する保全管理者は、保全計画作成部17で作成された保全計画を参照することによって保全計画書の作成業務を効率化することができる。保全計画作成部17は、作成した保全計画を図示しない表示装置に表示したり、表形式のファイルデータとしてデータ出力したりしてもよい。保全計画作成部17が作成する保全計画は
図16を用いて後述する。
【0035】
実施状況取得部18は、リコメンド報知部16において報知されたリコメンド内容の実施状況を取得する。リコメンド内容の実施状況とは、リコメンド内容を報知された利用者のリコメンド内容の実施状況であり、例えば、そのリコメンド内容を実施したか否か、リコメンド内容を実施した場合にいつ実施したか、又はリコメンド内容を実施しなかった場合代わりに何を実施したか等の状況を示す情報である。リコメンド条件は、例えば上述のようにベンダ情報に基づき推奨されるフィールド機器の交換周期によって判断されるため、利用者によっては推奨交換周期より常に長い周期で実際の交換作業が実施される場合がある。その場合、交換を推奨するリコメンド内容の報知は利用者にとって煩わしく感じられる可能性がある。一方、利用者によっては、プラントの保全計画を作成するために、早めのリコメンド内容の報知が望まれる場合がある。また、リコメンド内容が複数の交換パーツを有するフィールド機器において推奨交換周期を経過したパーツのみを交換することを報知するものであっても、プラントの停止が困難な場合、全てのパーツの交換を一度に実施する場合がある。実施状況取得部18は、利用者によって異なる実施状況を取得することにより、リコメンド内容と実際の保全作業の乖離の状況を把握することが可能となる。
【0036】
なお、リコメンド内容は、上述のように個別の保全作業についての報知である場合以外に、例えば、所定の期間内における保全計画を報知するものであってもよい。疎な場合、実施状況取得部18は、リコメンド内容毎に実施状況を取得ではなく、保全計画全体的な実施状況を取得するものであってもよい。
【0037】
実施状況取得部18は、例えば、リコメンド内容が表示された表示画面に実施状況を入力する操作部を表示するUI(User Interface)において、その操作部への操作を検出することにより実施状況を取得する。操作部は、例えば、リコメンド内容に従った保全作業を実施する場合に押下するボタン表示である。実施状況取得部18は、複数の選択肢の中から作業内容を選択する操作部に対する操作を検出することにより実施状況を取得してもよい。また、実施状況取得部18は、ユーザ情報提供装置3からパーツ交換履歴等の使用状況を取得することによって実施状況を取得してもよい。実施状況取得部18は、リコメンド内容の実施状況の入力があったときに実施状況を取得する。
【0038】
リコメンド条件修正部19は、実施状況取得部18において取得された実施状況に基づき、リコメンド条件を修正する。上述のように、リコメンド内容の実施状況は利用者によって異なるため、リコメンド内容と実際の保全作業が乖離する場合がある。リコメンド条件修正部19は、リコメンド内容と実際の保全作業の乖離を修正するため、リコメンド条件を修正する。リコメンド条件とリコメンド内容とは対応付けられて記録されている。リコメンド条件の修正とは、リコメンド条件とリコメンド内容のペアを追加、削除又は変更することである。例えば、リコメンド条件を変更しないでリコメンド内容を変更する場合、リコメンド条件の修正は、新たなリコメンド条件とリコメンド内容の追加となる。
【0039】
<ベンダ情報提供装置2>
ベンダ情報提供装置2は、保全管理装置1に対してベンダ情報を提供する。ベンダ情報とは、フィールド機器を提供するベンダから取得可能な情報であって、例えば、フィールド機器の推奨交換周期、フィールド機器の使用可能時間、フィールド機器の推奨校正周期、又はフィールド機器の識別情報等である。
【0040】
推奨交換周期記憶部21は、フィールド機器の推奨交換周期を記憶する。フィールド機器の推奨交換周期とは、フィールド機器に用いられているパーツ(消耗部品)の交換を推奨する周期である。フィールド機器は、使用環境(設置される場所の温湿度等の環境、使用負荷等)においてパーツの劣化速度が異なる。推奨交換周期は、ベンダにおいて想定した使用環境における劣化速度から想定したパーツの交換を推奨する周期であり、フィールド機器の型式とパーツ毎にベンダから提供される。
【0041】
使用可能時間記憶部22は、フィールド機器の使用可能時間を記憶する。フィールド機器の使用可能時間とは、フィールド機器の使用可能時間、又はフィールド機器に用いられているパーツの使用可能時間である。使用時間は、フィールド機器が稼働した累積稼働時間であって、フィールド機器が稼働していない時間は累積されない。使用可能時間もベンダにおいて想定した使用環境における劣化速度から想定した時間であり、フィールド機器の型式とパーツ毎にベンダから提供される。
【0042】
推奨校正周期記憶部23は、フィールド機器の推奨校正周期を記憶する。フィールド機器の校正交換周期とは、フィールド機器の校正を推奨する周期である。フィールド機器は、使用環境においてゼロ点等がずれてくるため、定期的な校正が必要となる。推奨校正周期は、ベンダにおいて想定した使用環境から想定した校正を推奨する周期、又は法定の周期であり、フィールド機器の型式とパーツ毎にベンダから提供される。
【0043】
識別情報記憶部24は、フィールド機器の識別情報を記憶して、フィールド機器の識別情報をユーザに提供する。フィールド機器の識別情報には、例えば、フィールド機器を一意に識別可能なシリアルNO.等の識別子の情報と、その識別子のフィールド機器の型式(モデル名)の情報を含む。フィールド機器の識別情報には、その識別子のフィールド機器が製造された製造日、その識別子のフィールド機器が出荷された出荷日(ユーザの購入日)等の情報を含んでいてもよい。フィールド機器の推奨交換周期等のベンダ情報はシールド機器の型式毎に異なるため、ユーザはフィールド機器の型式からベンダ情報を取得する。また、フィールド機器は製造日又は出荷日(以下、「製造日等」という。)によって交換時期等が異なるため、フィールド機器のユーザは、それぞれのフィールド機器の交換時期等を機器台帳等によって管理する必要がある。識別情報記憶部24は、フィールド機器の識別情報として製造日や出荷日を記憶して、ユーザに対して提供することにより、ユーザにおける機器台帳の管理の負荷を軽減することができる。
【0044】
識別情報記憶部24は、例えば、フィールド機器を一意に識別する識別子を検索キーとして、一意のフィールド機器を特定し、特定したフィールド機器の型式及び製造日等をベンダ情報として提供することができる。なお、検索キーには、フィールド機器が手元に無いと知りえないチェックキー(冗長情報)を含ませることによって不正な情報取得を防止することが可能となる。
【0045】
<ユーザ情報提供装置3>
ユーザ情報提供装置3は、保全管理装置1に対してユーザ情報を提供する。ユーザ情報とは、フィールド機器を使用するユーザから取得可能な情報であって、例えば、フィールド機器の機器台帳、フィールド機器の在庫台帳、フィールド機器のパーツ交換履歴、フィールド機器の稼働履歴又はフィールド機器の校正履歴等である。なお、ユーザ情報の中で、フィールド機器のパーツ交換履歴、フィールド機器の稼働履歴又はフィールド機器の校正履歴をフィールド機器の「使用状況」という場合がある。
【0046】
機器台帳記憶部31は、フィールド機器の機器台帳を記憶する。フィールド機器の機器台帳とは、ユーザが管理するフィールド機器を記録した情報であり、例えばフィールド機器を一意に識別する識別子、プラントに設置されたフィールド機器に付与されるタグ名、フィールド機器をプラントに設置した日付を示す取付け日、フィールド機器のプラントにおける取付け場所を示す取付け場所等の情報を含む。機器台帳は、例えば保全作業者がフィールド機器をプラントに設置したときにそのフィールド機器の情報が追加され、プラントから取り外したときにそのフィールド機器の情報が削除される。
【0047】
在庫情報記憶部32は、フィールド機器の在庫(予備品)情報を記憶する。フィールド機器の在庫情報とは、フィールド機器本体の在庫情報、又はフィールド機器のパーツの在庫情報である。プラントにおいては、定期的な保全作業に備えて、又は突発的な故障等に備えて適正な数の予備品を在庫する。フィールド機器の在庫情報は例えば倉庫における入出庫の情報である。フィールド機器の在庫情報には、例えば、フィールド機器の型式、在庫数、保管場所等の情報を含む。在庫情報には、現在発注中のフィールド機器の情報を含んでいてもよい。
【0048】
パーツ交換履歴記憶部33は、フィールド機器のパーツ交換履歴を記憶する。フィールド機器のパーツ交換履歴とは、例えばフィールド機器を一意に識別する識別子、パーツ番号、パーツを交換した日付を示す交換日等の情報を含む。
【0049】
稼働履歴記憶部34は、フィールド機器の稼働履歴を記憶する。フィールド機器の稼働履歴とは、例えばフィールド機器を一意に識別する識別子、パーツ番号、フィールド機器の稼働時間の情報を含む。稼働時間は、使用可能時間が定められたフィールド機器又はそのパーツが交換されてからの累積的な稼働時間を算出することができる情報である。フィールド機器の稼働履歴は、交換がされたときにリセットされようにしてもよい。
【0050】
校正履歴記憶部35は、フィールド機器の校正履歴を記憶する。フィールド機器の校正履歴は、例えばフィールド機器を一意に識別する識別子、フィールド機器の校正日の情報を含む。フィールド機器の校正履歴は、校正が実施されたときにリセットされようにしてもよい。
【0051】
なお、
図1における保全管理装置1の、ベンダ情報取得部11、ユーザ情報取得部12、結合情報記憶部13、リコメンド記憶部14、判定部15、リコメンド報知部16、保全計画作成部17、実施状況取得部18及びリコメンド条件修正部19の各機能は、ソフトウェアによって実現される場合を説明した。しかし、上記各機能の中の1つ以上の機能は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。また、上記各機能は、1つの機能を複数の機能に分割して実施してもよい。また、上記各機能は、2つ以上の機能を1つの機能に集約して実施してもよい。また、ベンダ情報提供装置2の、推奨交換周期記憶部21、使用可能時間記憶部22、推奨校正周期記憶部23及び識別情報記憶部24の各機能、又は、ユーザ情報提供装置3の、機器台帳記憶部31、在庫情報記憶部32、パーツ交換履歴記憶部33、稼働履歴記憶部34及び校正履歴記憶部35の各機能についても上記各機能の中の1つ以上の機能は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
図1においては、保全管理装置1、ベンダ情報提供装置2及びユーザ情報提供装置3の3つの装置における保全管理システムを示したが、保全管理装置1、ベンダ情報提供装置2又はユーザ情報提供装置3のそれぞれの装置が有する1又は複数の機能は、他の装置において実現されてもよい。すなわち、
図1に示した保全管理システムは、本実施形態における保全管理装置の一態様であり、ベンダ情報提供装置2又はユーザ情報提供装置3の構成によって保全管理装置1の構成を限定するものではない。
【0052】
次に、
図2から
図5を用いて、ベンダ情報取得部11がベンダ情報提供装置2から取得するベンダ情報を説明する。ベンダ情報は、ベンダ情報取得部11がフィールド機器を一意に識別する識別情報を用いて取得することができる。
図2から
図5で説明するベンダ情報は、例えばフィールド機器に同梱されている、又はベンダのWebサイトからダウンロードできる取扱い説明書に記載されている情報と同じ情報である。ベンダ情報取得部11は、これらのベンダ情報を取得することにより、ユーザが取扱説明書等からフィールド機器毎に又はパーツ毎にベンダ情報を調べる手間を省略することが可能となる。
【0053】
図2は、実施形態の保全管理装置1が取得するベンダ情報の「推奨交換周期」の一例を示す図である。推奨交換周期は、ベンダ情報提供装置2の推奨交換周期記憶部21に記憶されている。
【0054】
図2において、推奨交換周期は、「Model Name」、「Part NO.」及び「推奨交換周期」のデータ項目を有している。「Model Name」のデータ項目はフィールド機器の型式を示している。「Part NO.」のデータ項目は、フィールド機器のパーツ番号を示している。また、「推奨交換周期」は、推奨される交換周期を示している。すなわち、
図2に示す推奨交換周期は、それぞれの型式のフィールド機器で使用されるパーツの情報と、そのパーツの推奨交換周期の情報とを含んでいる。すなわち、推奨交換周期において、ベンダ情報取得部11がフィールド機器の型式を検索キーとして検索した場合、そのフィールド機器で使用されているパーツ番号と推奨交換周期の情報を取得することができる。また、パーツ番号を検索キーとした場合、ベンダ情報取得部11は、そのパーツが使用されるフィールド機器の型式と、推奨交換周期の情報を取得することができる。
【0055】
例えば、「Model Name」が「CCC−F15/SS」のフィールド機器は、「Part NO.」が「P34567」のパーツと「P45678」のパーツが使用されており、「推奨交換周期」が、それぞれ「6Month」と「5Year」である。なお、推奨交換周期は、ベンダが想定する所定の使用環境における期間であるため、実際の使用においては推奨交換周期を超えて使用しても故障や劣化等のトラブルが発生しない場合もある。
図2においては、1つのパーツについて1つの推奨交換周期を示す場合を示したが、例えば、使用温度(50℃、70℃、100℃等)に応じて推奨交換周期が設定されてもよい。
【0056】
図3は、実施形態の保全管理装置1が取得するベンダ情報の「使用可能時間」の一例を示す図である。
図3(A)は、フィールド機器本体の使用可能時間を示し、
図3(B)
は、フィールド機器に使用されるパーツの使用可能時間を示している。
使用可能時間は、ベンダ情報提供装置2の使用可能時間記憶部22に記憶されている。
【0057】
図3(A)において、使用可能時間は、「Model Name」及び「使用可能時間」のデータ項目を有している。
図3(B)において、使用可能時間は、「Part NO.」及び「使用可能時間」のデータ項目を有している。「Part NO.」及び「Model Name」のデータ項目は
図2で説明したデータ項目と同じであり、説明を省略する。なお、以下において同じデータ項目の説明は省略する場合がある。
【0058】
「使用可能時間」は、フィールド機器が使用可能な累積稼働時間である。例えば、摩耗による劣化は稼働していない間は発生しないため、パーツの交換時期は推奨交換周期で定めるより、使用可能時間で定めた方が実際の劣化と交換時期との乖離が小さくなる。例えば、
図3(A)において、「Model Name」が「AAA−P10」のフィールド機器は、「使用可能時間」が「5,000hours」である。また、
図3(B)において、「AAA−P10」のフィールド機器に使用される「Part NO.」が「P12345」の「使用可能時間」は、フィールド機器本体の使用可能時間より短い「200hours」である。すなわち、「AAA−P10」のフィールド機器は、25回のパーツ交換がされた場合、フィールド機器本体も交換が必要となる。なお、使用可能時間についても、ベンダが想定する所定の使用環境における期間であるため、実際の使用においては使用可能時間を超えて使用しても故障や劣化等のトラブルが発生しない場合もある。
図3においては、1つのパーツについて1つの使用可能時間を示す場合を示したが、例えば、使用負荷(20%、50%、100%等)に応じて使用可能時間が設定されてもよい。
【0059】
図4は、実施形態の保全管理装置1が取得するベンダ情報の「推奨校正周期」の一例を示す図である。推奨校正周期は、ベンダ情報提供装置2の推奨校正周期記憶部23に記憶されている。
【0060】
図4において、推奨校正周期は、「Model Name」、「Part NO.」及び「推奨校正周期」のデータ項目を有している。「推奨校正周期」は、推奨される校正周期を示している。校正とは、例えば、ゼロ点調整等の入出力校正である。推奨校正周期において、ベンダ情報取得部11がフィールド機器の型式を検索キーとして検索した場合、そのフィールド機器の推奨校正周期の情報を取得することができる。
【0061】
例えば、「Model Name」が「AAA−P10」のフィールド機器は、「推奨校正周期」が、「5Year」である。なお、推奨校正周期は、ベンダが想定する所定の使用環境における期間又は法定期間等である。
【0062】
なお、
図2から
図4において説明した、推奨交換周期、使用可能時間及び推奨校正周期は、それぞれフィールド機器の型式(又はパーツ番号)を検索キーとして取得することができる。このため、ベンダ情報取得部11は、フィールド機器の型式を検索キーとしてこれらのベンダ情報を容易に取得することができるため、保全管理装置1の利用者は、取扱い説明書の確認作業等を行なう必要がなくなり、保全作業の効率化が可能となる。
【0063】
図5は、実施形態の保全管理装置1が取得するベンダ情報の「識別情報」の一例を示す図である。識別情報は、ベンダ情報提供装置2の識別情報記憶部24に記憶されている。
【0064】
図5において、識別情報は、「識別子」、「Model Name」、「製造日」及び「出荷日」のデータ項目を有している。「識別子」のデータ項目は、フィールド機器を一意に識別(特定)するための情報であり、例えばシリアルNO.である。「製造日」は、識別子で特定されたフィールド機器が製造された日付である。また、「出荷日」は、識別子で特定されたフィールド機器が出荷された日付である。「出荷日」は、フィールド機器をユーザが購入した日付であってもよい。識別情報において、ベンダ情報取得部11がフィールド機器の識別子を検索キーとして検索した場合、そのフィールド機器の「Model Name」、「製造日」及び「出荷日」の情報を取得することができる。また、「Model Name」の情報が分かれば、「Model Name」を検索キーとしてベンダ情報として
図2〜
図4で説明した推奨交換周期、使用可能時間及び推奨校正周期の情報を取得することができる。フィールド機器を購入したユーザは、フィールド機器の交換時期や校正時期等の保全作業の管理(保全管理)をするために、同じ型式であってもフィールド機器毎に異なる製造日等の情報を管理する必要がある。本実施形態においては、保全管理装置1がフィールド機器の識別子を検索キーとしてベンダ情報を検索することによって、「製造日」、「出荷日」、「推奨交換周期」、「使用可能時間」及び「推奨校正周期」の情報を簡単に取得することができる。このため、フィールド機器のユーザは、個々のフィールド機器についてこれの情報を機器台帳等に記入して管理する必要がなくなり、保全管理の効率化が可能となる。
【0065】
なお、
図5においては、「製造日」と「出荷日」をデータ項目とする場合を示したが、「製造日」と「出荷日」はいずれかの情報のみを提供するものであってもよい。例えば、出荷時において経時劣化するパーツを取付ける(経時劣化する状態にする)フィールド機器においては、出荷日のみをベンダ情報として提供すればよい。また、製造日において経時劣化するパーツを取付けるフィールド機器においては、製造日のみをベンダ情報として提供すればよい。すなわち、保全管理装置1が取得するベンダ情報は、識別子を検索キーとして、フィールド機器の保全に必要なフィールド機器毎の情報を提供するものであればよい。
【0066】
次に、
図6を用いて、ユーザ情報の取得方法を説明する。
図6は、実施形態の保全管理装置1が取得するユーザ情報の取得方法の一例を示す図である。
【0067】
図6において、保全管理装置1は、ユーザ情報提供装置3からユーザ情報を取得する。フィールド機器4、運転制御装置5、製造実行システム6及び基幹業務システム7は、プラントにおける制御システムを示している。フィールド機器4、運転制御装置5、製造実行システム6及び基幹業務システム7は、有線又は無線によって接続されている。フィールド機器4には、保全作業者によって保全機器8が接続される場合もある。ユーザ情報提供装置3は、フィールド機器4、運転制御装置5、製造実行システム6、又は保全機器8の1又は2以上の装置から、保全管理装置1に提供するユーザ情報を取得する。
【0068】
フィールド機器4は、プラントに設置されて、有線又は無線のネットワークを介して運転制御装置5と通信する通信機能を有するセンサやアクチュエータ等である。フィールド機器4は、例えば、ISA(International Society of Automation:国際計測制御学会)の無線通信規格であるISA100、HART(Highway Addressable Remote Transducer)(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等の工業計器専用の通信(「フィールド通信」という場合がある。)規格に対応した通信を行うことができる。なお、
図6においては、フィールド機器4が1台の場合を図示しているが、プラントにおいては多数のフィールド機器4が設置される。フィールド機器4は、フィールド通信を介して、ユーザ情報提供装置3に対してフィールド機器4が有するプロセスデータ等のパラメータの情報をユーザ情報として提供することができる。
【0069】
運転制御装置5は、フィールド機器4から取得したプロセスデータに基づき、図示しないポンプ、バルブ、ヒータ等を制御して、プラントにおけるプロセスを制御する。運転制御装置5は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)等の制御装置である。運転制御装置5は、フィールド通信を介してフィールド機器4から取得したパラメータの情報を演算してプロセスを制御する。運転制御装置5は、ユーザ情報提供装置3に対してプロセス制御に用いる情報をユーザ情報として提供するようにしてもよい。
【0070】
製造実行システム6は、例えば、基幹業務システム7と運転制御装置5との間に位置するMES(Manufacturing Execution System)であり、運転制御装置5が取得したフィールド機器4の情報を監視し又は管理する。製造実行システム6は、例えば、サーバ装置、デスクトップ型PC等の汎用コンピュータである。製造実行システム6は、PIMS(Plant Information Management System:プラント情報管理システム)61、又はCMMS(Computerised Maintenance Management System:プラント保全管理システム)62等の機能を有していてもよい。
【0071】
PIMS61は、プラントの状態情報を収集して記録するプラント情報管理システムとして機能する。
図6においてPIMS61は、運転制御装置5を介して(又は運転制御装置5を介さず直接に)、フィールド機器4の情報を収集して記録する。PIMS61は、フィールド機器4の情報を時系列で収集してヒストリーデータ(履歴データ、ヒストリアン)として記録する。ヒストリーデータには、フィールド機器4の情報とその情報が測定された日時を含む。PIMS61はユーザ情報提供装置3に対して、ヒストリーデータをユーザ情報として提供してもよい。PIMS61は、例えば、
図7を用いて後述する機器台帳に記録されるデータをユーザ情報提供装置3に対して提供してもよい。
【0072】
CMMS62は、プラントにおけるフィールド機器等の保全履歴を記録し、保全計画を管理するプラント保全管理システムとして機能する。CMMS62は、例えば、保全機器8で実施されて記録されたフィールド機器4に対する保全操作の操作履歴を、複数の保全機器8から取得して保全情報として記録する。また、CMMS62は、保全作業者によって実施された保全作業を手動で入力可能として保全情報として記録してもよい。また、CMMS62は、基幹業務システム7からフィールド機器の予備品の在庫情報を取得して、
図8を用いて後述する在庫情報をユーザ情報としてユーザ情報提供装置3に対して提供してもよい。
【0073】
基幹業務システム7は、例えば、会計処理、生産管理、販売管理、在庫管理等の経営資源を管理するためのプロセス製造業向けERP(Enterprise Resource Planning:経営資源統合)システムである。基幹業務システム7は、プラントの運転状態の情報を経営資源の管理情報として利用してもよい。また、基幹業務システム7は、プラントの保全や修理の業務情報を管理する保全管理システム等を含んでいてもよい。基幹業務システム7は、例えば、サーバ装置、デスクトップ型PC等の汎用コンピュータである。
【0074】
保全機器8は、フィールド機器4の保全作業を実施する機器である。保全機器8は、例えば、フィールド機器4の定期点検、フィールド機器4に設定されている設定情報(パラメータ)の変更、ゼロ点調整、ループテスト等の保全項目を実施するハンドヘルドターミナルである。保全機器8は、保全作業の結果を自動的に記録する機器であってもよい。保全機器8は、保全作業の結果をユーザ情報提供装置3に対して提供してもよい。
【0075】
ユーザ情報提供装置3は、上述のように、フィールド機器4、運転制御装置5、製造実行システム6、又は保全機器8から、保全管理装置1に提供するユーザ情報を取得してすることができる。ユーザ情報提供装置3は、取得したこれらの情報を保全管理装置1に対して提供する。
【0076】
次に、
図7から
図9を用いて、ユーザ情報取得部12がユーザ情報提供装置3から取得するユーザ情報を説明する。
図7から
図9で説明するユーザ情報は、ユーザが保全情報として利用している情報であり、その取得方法については
図6で説明したようにプラントの各制御装置から取得することができる。
【0077】
図7は、実施形態の保全管理装置が取得するユーザ情報の「機器台帳」の一例を示す図である。機器台帳は、ユーザ情報提供装置3の機器台帳記憶部31に記憶されている。
【0078】
図7において、機器台帳は、「識別子」、「Tag Name」、「取付日」及び「取付場所」のデータ項目を有している。「Tag Name」のデータ項目はフィールド機器のタグ名を示している。識別子がフィールド機器を一意に特定する情報であるのに対して、タグ名は、フィールド機器4の用途を識別するための識別情報(ID)である。タグ名は、それぞれのフィールド機器4に対してパラメータとして個別に設定することができる。したがって、交換前のフィールド機器と交換後のフィールド機器に対して同一のタグ名を設定して、プラントにおいて同一の用途であることを示すことができる。例えば、「識別子」の「xxxxx」は、フィールド機器を一意に特定する情報であり、「PT−1001」は、プラントにおける特定の用途で表す情報である。なお、ベンダ情報の検索キーには上述のように識別子の情報が利用され、プラント固有のタグ名は検索キーとしては利用されない。
【0079】
「取付日」のデータ項目は、フィールド機器4をプラントに設置した日付を示す。取付日は、フィールド機器の交換においては、交換日と同義となる。また、「取付場所」のデータ項目は、フィールド機器のプラントにおける取付け場所を示す取付け場所を示す。取付け場所は、例えばプラント内における平面(xy)座標で表すことができる。保全作業者は、取付け場所とタグ名から保全対象のフィールド機器をプラント内から探すことが可能となる。なお、「取付場所」のデータ項目には、例えば、「○○装置のXX部」のように文字情報を入力するようにしてもよい。
【0080】
なお、機器台帳は、例えば保全作業者がフィールド機器をプラントに設置したときにそのフィールド機器の情報が追加され、プラントから取り外したときにそのフィールド機器の情報が削除される。すなわち、機器台帳に記録されるフィールド機器は、現在プラントに設置されているフィールド機器であり、機器台帳のユーザ情報を取得することによって、保全対象を特定することが可能になる。
【0081】
図8は、実施形態の保全管理装置が取得するユーザ情報の「在庫情報」の一例を示す図である。在庫情報は、ユーザ情報提供装置3の在庫情報記憶部312記憶されている。
【0082】
図8において、在庫情報は、「Part NO.」、「残数」及び「所在」のデータ項目を有している。「残数」のデータ項目はフィールド機器のパーツ在庫品の在庫数である。また、「所在」のデータ項目は在庫品の所在(保管場所)である。
【0083】
ユーザ情報としてパーツ在庫品の残数の情報を取得することによって、交換時期の情報と併せて在庫品の使用計画を立てることが可能となり、さらには在庫品の購入計画や予算管理をすることが可能となる。なお、在庫情報は、
図6の基幹業務システム7で管理される倉庫の入出庫システムから情報を取得するようにしてもよい。
【0084】
図9は、実施形態の保全管理装置が取得するユーザ情報の「使用状況」の一例を示す図である。使用状況とは、フィールド機器4のパーツ交換履歴、稼働履歴、校正履歴等を含む。パーツ交換履歴は、ユーザ情報提供装置3のパーツ交換履歴記憶部33に記憶されている。稼働履歴は、稼働履歴記憶部34に記憶されている。また、校正履歴は、校正履歴記憶部35に記憶されている。
【0085】
図9(A)は、パーツ交換履歴を示している。パーツ交換履歴は、「識別子」、「Part NO.」及び「交換日」のデータ項目を有している。「交換日」のデータ項目は、フィールド機器のパーツを交換した日付けである。例えば、「識別子」が「zzzzz」のフィールド機器は、「Part NO.」が「P34567」と「P45678」の2つのパーツについて、それぞれ交換日の情報を有している。なお、パーツ未交換のフィールド機器においては、「交換日」のデータとしてフィールド機器の取付け日を入力するようにしてもよい。
【0086】
ユーザ情報としてパーツ交換履歴の情報を取得することによって、次回の交換日を把握することが可能となる。パーツ交換履歴は、例えば、CMMS62から取得するようにしてもよい。
【0087】
図9(B)は、フィールド機器の稼働履歴を示している。稼働履歴は、「識別子」及び「稼働時間」のデータ項目を有している。「稼働時間」のフィールド機器の累積稼働時間を示す。例えば、「識別子」が「zzzzz」のフィールド機器は、「稼働時間」が「400hours」であることを示している。
【0088】
ユーザ情報としてフィールド機器の稼働履歴の情報を取得することによって、使用可能時間に基づく次回の交換日を把握することが可能となる。稼働履歴は、例えば、PIMS61から取得するようにしてもよい。
【0089】
図9(C)は、パーツ稼働履歴を示している。パーツ稼働履歴は、「識別子」、「Part NO.」及び「稼働時間」のデータ項目を有している。「稼働時間」は、パーツの累積稼働時間を示す。
【0090】
ユーザ情報としてパーツの稼働履歴の情報を取得することによって、使用可能時間に基づく次回のパーツ交換日を把握することが可能となる。パーツの稼働履歴は、例えば、PIMS61から取得するようにしてもよい。
【0091】
図9(D)は、フィールド機器の校正履歴を示している。校正履歴は、「識別子」及び「校正日」のデータ項目を有している。「校正日」は、前回校正を実施した日付けを示す。
【0092】
ユーザ情報としてフィールド機器の校正履歴の情報を取得することによって、推奨校正周期に基づく次回の校正日を把握することが可能となる。校正履歴は、例えば、CMMS62から取得するようにしてもよい。
【0093】
なお、
図9においては、使用状況の取得先に合せて、フィールド機器4のパーツ交換履歴、稼働履歴、校正履歴を別のテーブルで記録する場合を示したが、これらの情報は同じテーブル記録されて使用されてもよい。
【0094】
次に、
図10を用いて、リコメンド情報を説明する。
図10は、実施形態の保全管理装置が参照するリコメンド情報の一例を示す図である。リコメンド情報は、リコメンド記憶部14に記憶されて、判定部15において参照される。
【0095】
図10において、リコメンド情報は、「Model Name」、「リコメンド条件」及びリコメンド内容」のデータ項目を有する。「リコメンド条件」のデータ項目は、「リコメンド内容」のデータ項目で設定された内容をユーザに報知するための条件である。判定部15は、リコメンド条件を満足するか否かを判定する。リコメンド条件が満足されたと判断された場合、リコメンド報知部16がリコメンド内容を報知する。
【0096】
例えば、「Model Name」が「AAA−P10」のフィールド機器は、2つのリコメンド条件を有している。「リコメンド条件」が「“推奨交換周期” < (“本日”− “交換日”) + “余裕日X1”」である場合、(“本日”− “交換日”)は、前回の交換日からの経過日数である。“余裕日X1”は、任意に設定可能な日数(変数)である。リコメンド条件が経過日数+余裕日が推奨交換周期より大きくなった場合、リコメンド内容である「推奨交換周期」に達した旨の内容が利用者に報知される。すなわち、推奨交換周期より余裕日X1日前にリコメンド内容が報知されることになる。余裕日X1は、リコメンド条件修正部19によって増加又は減少の修正がされる。
【0097】
また、「リコメンド条件」の“故障実績期間” < “本日”− “交換日”) + “余裕日X2”は、同型式のフィールド機器の故障実績から定められた“故障実績期間”に基づき、リコメンド内容において、その期間の経過を報知するための条件である。“故障実績期間”は、リコメンド条件修正部19によって適宜修正することができる。
【0098】
また、「Model Name」が「BBB−F11」のフィールド機器は、リコメンド条件が、「“使用可能時間” < “稼働時間” + “余裕時間Y”」である。すなわち、稼働時間(+余裕時間Y)が使用可能時間を経過したときに、使用可能時間上限到達まであと少しである旨の報知がされる。リコメンド内容は、テキストを表示するものであっても音声で報知するものであってもよい。
【0099】
また、「Model Name」が「CCC−F15/SS」のフィールド機器は、リコメンド条件が、「“推奨校正周期” < (“本日”− “校正日”) + “余裕日Z”」である。すなわち、前回校正日時からの経過日時(+余裕日Z)が推奨校正周期を経過したときに、推奨される校正時期である旨が報知がされる。
【0100】
なお、リコメンド条件は任意に設定することができ、例えば、推奨交換周期と使用可能時間を組合わせた条件を設定してもよい。また、リコメンド条件において、リコメンド内容を報知しない条件(例外条件)を設定してもよい。
図1ではリコメンド情報がリコメンド記憶部14に記憶される場合を示したが、リコメンド情報ユーザによってカスタマイズされることが望ましいので、例えばユーザ情報提供装置3が提供するようにしてもよい。
【0101】
次に、
図11を用いて、リコメンド内容の表示を説明する。
図11は、実施形態の保全管理装置が報知するリコメンド表示の一例を示す図である。リコメンド表示は、リコメンド報知部16によって、例えば、図示しない表示装置に表示される表示画面である。
【0102】
図11(A)において、リコメンド表示は、表形式の表示画面を示している。リコメンド表示は、「NO.」、「リコメンド日時」、「Tag Name」、「資産名」、「シリアルNO.(識別子)」、「リコメンド内容」、「リコメンドした理由」及び「リコメンドに従う場合にクリック」の表示項目を有する。
【0103】
「リコメンド日時」の表示項目は、リコメンド内容が表示された日時である。リコメンド表示は、
図10で説明したリコメンド条件を満足したと判断された場合に、それに対応したリコメンド内容が新たに追加されて表示される。すなわち、リコメンド表示は、リコメンド日時に示される日時に表示された表示の履歴である。「NO.」の表示項目は、新たにリコメンド内容が追加される度にインクリメントされる。
【0104】
「資産名」は、フィールド機器の型式を示している。リコメンド内容は、利用者に報知する文字列である。「リコメンドした理由」は、リコメンド内容が表示された理由(満足されたリコメンド条件)である。
【0105】
「リコメンドに従う場合にクリック」の表示項目は、「ワークオーダー」の操作ボタンを有する。リコメンド条件とリコメンド内容は、例えば推奨交換周期等から算出される所定の条件を満足するか否かで判断される所定の表示内容であり、フィールド機器のユーザ全てに対して最適ではない可能性がある。「ワークオーダー」の操作ボタンは、リコメンド条件とリコメンド内容が保全管理装置1の利用者(フィールド機器のユーザ)にとって適しているか否かを判断するために、リコメンド内容を実際に実施するか否かの情報である「実施状況」を取得するためのUIである。利用者は、リコメンド内容に従う場合、「ワークオーダー」の操作ボタンをマウス等で選択してクリックする。
図1の実施状況取得部は、「ワークオーダー」の操作ボタンへの操作を検出して、リコメンド日時との差異を判断する。
【0106】
例えば、「NO.」が「1」のリコメンド内容は、「パーツP12345を交換」する旨を20YY年4月17日に表示している。利用者がリコメンド表示がされた後にしばらくしてから「ワークオーダー」を操作してリコメンドに従ったことを実施状況取得部18が検出した場合、リコメンド条件修正部19は、その利用者へのリコメンド内容の報知のタイミングが早すぎたと判断して
図10の「余裕日X1」の値を減少させる修正を行う。一方、利用者がリコメンド表示がされた後に直ちに「ワークオーダー」を操作してリコメンドに従ったことを実施状況取得部18が検出した場合、リコメンド条件修正部19は、その利用者へのリコメンド内容の報知のタイミングが適切であった(又は遅かった)と判断して
図10の「余裕日X1」の値を維持する(又は増加させる)。
【0107】
図11(B)は、「NO.」が「1」の「ワークオーダー」の操作ボタンが操作されたときの表示例である。「オーダー日時」は、「ワークオーダー」が操作されたときの日時(時間は記載省略)であり、利用者は4月17日に操作をしたことを示している。リコメンド日時が4月15日であるため、利用者はリコメンド情報が表示されてから2日後にリコメンド内容に従うことを判断したことを意味する。
【0108】
「オーダー内容」は、リコメンド内容のより詳細な情報を表示する表示項目である。
図11では、フィールド機器の設置場所(xy座標)、フィールド機器を特定する情報(タグ名、型式)、作業内容(交換)、パーツの所在の情報が表示される場合を示している。オーダー内容の詳細は、例えば保全作業者がプラントの現場に可搬する保全機器に表示されるようにしてもよい。また、ベンダ情報として取得したその型式のフィールド機器の保全作業に関する情報を提供するものであってもよい。
【0109】
次に、
図12を用いて、保全管理装置1のハードウェア構成を説明する。
図12は、実施形態の保全管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0110】
図12において、保全管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、表示装置105、入力装置106、通信I/F(Interface)107、通信I/F108及びこれらを接続するバス109を有する。
【0111】
保全管理装置1は、例えば、サーバ装置、デスクトップ型PC等の汎用コンピュータ、FAコンピュータ、PLC等の装置、ノート型又はタブレット型のコンピュータ、PDA、又はスマートフォン等である。保全管理装置1のハードウェアは、単体装置として構成されてもよく、また、複数の装置の組合せで構成されるシステムであってもよい。また、保全管理装置1は、他の装置とハードウェアを共用するものであってもよい。
【0112】
CPU101は、RAM102、ROM103又はHDD104に記憶されたプログラムを実行することにより、保全管理装置1の制御を行なう。CPU101は、保全管理装置1の動作を実現するための保全管理プログラムを実行する。保全管理プログラムは、例えば、保全管理プログラムを記録した記録媒体、又はネットワークを介した保全管理プログラムを提供するサーバ等から取得されて、HDD104にインストールされ、CPU101から読出し可能にRAM102に記憶される。
【0113】
表示装置105は、表示機能を有する例えば液晶ディスプレイである。表示装置105は、ヘッドマウント型ディスプレイ、メガネ型ディスプレイ、腕時計型ディスプレイ等の種々の形態によって実現されてもよい。入力装置106は、入力機能を有する例えばキーボード又はマウスである。入力装置106は、音声情報を入力するマイク、画像情報を入力するカメラ又はスキャナ等であってもよい。なお、表示装置105と入力装置106は、タッチパネル等、表示機能と入力機能を有する装置によって実現されてもよい。
【0114】
通信I/F107は、有線通信又は無線通信を介して、後述する製造実行システム6、運転制御装置5、保全機器8等の他の装置との通信を制御する。通信I/F107は、接続された他の装置と、データ送受信、音声通話又はメール送受信等の通信制御を行なう。通信I/F107は、例えば、無線LAN通信、有線LAN通信、赤外線通信、近距離無線通信等の汎用通信規格に対応した通信制御を行なう。
【0115】
通信I/F108は、有線通信又は無線通信を介して、ベンダ情報提供装置2、ユーザ情報提供装置3等の他の装置との通信を制御する。通信I/F108は、例えば、ISA100、HART(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等のフィールド通信規格に対応した通信制御を行なう。
【0116】
次に、
図13〜
図14を用いて、保全管理システムの構成を説明する。
図13は、実施形態の保全管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図14は、実施形態の保全管理システムの構成の他の一例を示すブロック図である。
【0117】
図13は、保全管理装置1がフィールド機器のユーザによって管理される場合を想定した構成のブロック図である。保全管理装置1は、プラントがあるそれぞれのユーザサイトに配置される。保全管理装置1は、外部から保護されたネットワーク環境においてユーザ情報提供装置3と通信可能に接続される。一方、
図13において保全管理装置1は、ネットワーク9を介して、ベンダ情報提供装置2と通信可能に接続される。ベンダ情報提供装置2は、それぞれのユーザから共有される。
【0118】
図13の保全管理システムにおいては、保全管理装置1が外部から保護されたネットワーク環境に配置されるため、保全管理装置1とユーザ情報提供装置3の通信はセキュリティを確保しやすい。また、保全管理装置1が取得するユーザ情報についても外部からの保護が確保しやすい。
図13に示す保全管理装置1の機能は、例えば、PIMS61等と同様に製造実行システム6において容易に実現することができる。
【0119】
図14は、保全管理装置1がフィールド機器のベンダ側によって管理される場合を想定した構成のブロック図である。保全管理装置1は、複数のユーザから利用可能なベンダが管理するネットワーク環境に配置される。保全管理装置1は、複数のユーザのユーザ情報提供装置3とネットワーク9を介して通信可能に接続される。
【0120】
図14の保全管理システムにおいては、保全管理装置1は複数のユーザから共有されるため、それぞれのユーザにおいて保全管理装置1を設置し管理するコストを省略することができる。保全管理装置1がそれぞれのユーザから取得するユーザ情報は、それぞれのユーザ毎にセキュリティを確保して管理される。したがって、ユーザ情報提供装置3と保全管理装置1との通信、又はユーザ情報の処理においてセキュリティが確保される。
【0121】
次に、
図15を用いて、
図1の結合情報記憶部13に記憶される、結合テーブルを説明する。
図15は、実施形態の保全管理装置が生成するベンダ情報とユーザ情報の結合情報を含む結合テーブルの一例を示す図である。
図15(A)はフィールド機器のパーツに係る結合テーブルである。
図15(B)はフィールド機器本体に係る結合テーブルである。
【0122】
図15(A)において、結合テーブルは、「識別子」、「Part NO.」、「Model Name」、「Tag Name」、「取付日」、「取付場所」、「推奨交換周期」、「交換日」、「在庫数」、「在庫所在」、「使用可能時間」及び「稼働時間」のデータ項目を有する。
図15(A)は、取得されたベンダ情報とユーザ情報を、「識別子」及び「Part NO.」を検索キーとしてテーブル結合させた結合テーブルである。例えば、上記データ項目の中で、「Model Name」、「推奨交換周期」及び「使用可能時間」は、ベンダ情報提供装置2から取得されるベンダ情報に基づく。また、上記データ項目の中で、「Tag Name」、「取付日」、「取付場所」、「交換日」、「在庫数」、「在庫所在」及び「稼働時間」は、ユーザ情報提供装置3から取得されるユーザ情報に基づく。これらのデータ項目は、「識別子」及び「Part NO.」を検索キーとして検索することができる。結合テーブルにおいて保全作業に必要なフィールド機器のパーツに係るベンダ情報とユーザ情報とを結合させた結合情報を記憶することにより、利用者は、ベンダ情報とユーザ情報のそれぞれ別個の入手作業が不要となり、保全作業の効率を向上させることができる。
【0123】
図15(B)において、結合テーブルは、「識別子」、「Part NO.」、「Model Name」、「Tag Name」、「取付日」、「取付場所」、「推奨交換周期」、「交換日」、「在庫数」、「在庫所在」、「使用可能時間」、「稼働時間」、「推奨校正周期」及び「校正日」のデータ項目を有する。
図15(B)は、取得されたベンダ情報とユーザ情報を、「識別子」を検索キーとしてテーブル結合させた結合テーブルである。例えば、上記データ項目の中で、「Model Name」、「推奨交換周期」、「使用可能時間」及び「推奨校正周期」は、ベンダ情報提供装置2から取得されるベンダ情報に基づく。また、上記データ項目の中で、「Tag Name」、「取付日」、「取付場所」、「交換日」、「在庫数」、「在庫所在」、「稼働時間」及び「校正日」は、ユーザ情報提供装置3から取得されるユーザ情報に基づく。これらのデータ項目は、「識別子」を検索キーとして検索することができる。結合テーブルにおいて保全作業に必要なフィールド機器本体に係るベンダ情報とユーザ情報とを結合させた結合情報を記憶することにより、利用者は、ベンダ情報とユーザ情報のそれぞれ別個の入手作業が不要となり、保全作業の効率を向上させることができる。
【0124】
次に、
図16を用いて、
図1の保全計画作成部17が作成する保全計画を説明する。
図16は、実施形態の保全管理装置が作成する保全計画の一例を示す図である。保全計画は保全計画作成部17によって作成されて、例えば、表示装置105等に表示される表示データとして出力される。
図16は、表示装置105等に表示されるUIを示している。
【0125】
図16において、表示装置105等に表示された保全計画は、プラント毎の月別予算計画を表す。例えば、Aプラントはエリア1〜エリア5の区分がされて、それぞれのエリア毎のエリアで合計された月別予算計画を表すことができる。また、それぞれのエリアの表示(タブ)を利用者がマウス等によってクリックして開く(展開する)ことで、それぞれのエリアに含まれるフィールド機器(タグ名)毎の月別予算計画を表すことができる。図示する数値は、月別の予算額(千円)であり、「▲」は、メンテナンスが実施される月であることを示している。保全計画を作成することにより、利用者はいつ(何月に)、どこのエリアでいくらの予算が必要になるのかを確認することができる。
【0126】
以上説明した様に、本実施形態の保全管理装置は、機器のベンダが有するベンダ情報を、前記機器を一意に識別する識別情報を用いて取得するベンダ情報取得部と、前記機器を使用するユーザが有する前記機器の使用状況を取得するユーザ情報取得部と、前記ベンダ情報に基づき設定されたリコメンド条件と、前記機器の保全に係るリコメンド内容とを対応付けて記憶するリコメンド記憶部と、前記使用状況に基づき、前記リコメンド条件を満足するか否かを判定する判定部と、前記リコメンド条件を満足すると判定されたときに対応付けられた前記リコメンド内容を報知するリコメンド報知部とを備えるので、保全作業の効率を向上させることができる。
【0127】
なお、上述した保全管理装置1は、上述した機能を有する装置であればよく、例えば、複数の装置の組合せで構成されてそれぞれの装置を通信可能に接続したシステムで実現されるものであってもよい。また、保全管理装置1は、他の装置の機能の一部として実現されるものであってもよい。
【0128】
また、本実施形態の保全管理方法は、機器のベンダが有するベンダ情報を、前記機器を一意に識別する識別情報を用いて取得するベンダ情報取得ステップと、前記機器を使用するユーザが有する前記機器の使用状況を取得するユーザ情報取得ステップと、前記ベンダ情報に基づき設定されたリコメンド条件と、前記機器の保全に係るリコメンド内容とを対応付けて記憶するリコメンド記憶ステップと、前記使用状況に基づき、前記リコメンド条件を満足するか否かを判定する判定ステップと、前記リコメンド条件を満足すると判定されたときに対応付けられた前記リコメンド内容を報知するリコメンド報知ステップとを含むため、保全作業の効率を向上させることができる。
【0129】
なお、本実施形態の保全管理方法における各ステップの実行順序は上記ステップの記載順序に限定されるものではなく、任意の順序で実行されるものであってもよい。
【0130】
また、本実施形態で説明した装置を構成する機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0131】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0132】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。