特許第6702241号(P6702241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702241
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/00 20060101AFI20200518BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20200518BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20200518BHJP
   C09K 15/08 20060101ALI20200518BHJP
   C09K 15/18 20060101ALI20200518BHJP
   C09K 15/32 20060101ALI20200518BHJP
   F25B 41/00 20060101ALI20200518BHJP
   C10M 105/00 20060101ALI20200518BHJP
   C10M 105/06 20060101ALN20200518BHJP
   C10M 105/32 20060101ALN20200518BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20200518BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20200518BHJP
【FI】
   F25B47/00 A
   F25B1/00 396Z
   C09K5/04 E
   C09K5/04 F
   C09K15/08
   C09K15/18
   C09K15/32 C
   F25B41/00 F
   C10M105/00
   !C10M105/06
   !C10M105/32
   C10N30:00 Z
   C10N40:30
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-50317(P2017-50317)
(22)【出願日】2017年3月15日
(62)【分割の表示】特願2016-16428(P2016-16428)の分割
【原出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-142052(P2017-142052A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年11月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝
(72)【発明者】
【氏名】平良 繁治
(72)【発明者】
【氏名】配川 知之
(72)【発明者】
【氏名】清水 義喜
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/141679(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/136980(WO,A1)
【文献】 特開2014−112026(JP,A)
【文献】 特開2011−057885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/00
C09K 5/04
C09K 15/08
C09K 15/18
C09K 15/32
C10M 105/00
F25B 1/00
F25B 41/00
C10M 105/06
C10M 105/32
C10N 30/00
C10N 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源ユニット(10)と、
利用ユニット内部管路(29a〜29c)を有する利用ユニット(20A)と、
前記熱源ユニットと前記利用ユニット内部管路とを接続する液冷媒配管(31)およびガス冷媒配管(32)と、
HFOとHFCとを主成分とし、前記熱源ユニット、前記利用ユニット、前記液冷媒配管および前記ガス冷媒配管を循環する冷媒と、
アルキル芳香族炭化水素、及び、前記アルキル芳香族炭化水素よりも前記冷媒との相溶性が高い酸素含有炭化水素を主成分とする冷凍機油と、
を備え、
前記酸素含有炭化水素は、エーテルおよびエステルの少なくとも一方を含み、
前記冷媒における前記HFOの重量混合比率が第1冷媒比率であり、
前記冷媒における前記HFCの重量混合比率が第2冷媒比率であり、
前記冷凍機油における前記アルキル芳香族炭化水素の混合比率が第1油比率であり、
前記冷凍機油における前記酸素含有炭化水素の混合比率が第2油比率であり、
前記第1冷媒比率が前記第2冷媒比率よりも大きく、前記第1油比率は前記第2油比率よりも大き、冷凍装置(100)。
【請求項2】
前記HFOがHFO1123であり、
前記HFCがR32である、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記第1冷媒比率が前記第1油比率と等しく、
前記第2冷媒比率が前記第2油比率と等しい、
請求項1または請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記第1冷媒比率が40%〜60%であり、
前記第2冷媒比率が60%〜40%であり、
前記第1油比率が40%〜60%であり、
前記第2油比率が60%〜40%である、
請求項1から3のいずれか1つに記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記液冷媒配管または前記ガス冷媒配管内には、前記冷媒の重合を抑制する重合抑制剤を有する、
請求項1から4のいずれか1つに記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記液冷媒配管または前記ガス冷媒配管内には、耐酸化性向上剤、耐熱性向上剤、および金属不活性剤の少なくとも1つを有し、
前記耐酸化性向上剤および前記耐熱性向上剤は、
N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、
p−オクチルジフェニルアミン、
p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、
N−フェニル−1−ナフチルアミン、
N−フェニル−2−ナフチルアミン、
N−(p−ドデシル)フェニル−2−ナフチルアミン、
ジ−1−ナフチルアミン、
ジ−2−ナフチルアミン、
N−アルキルフェノチアジン、
6−(t−ブチル)フェノール、
2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、
4−メチル−2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、
4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、
のうちの少なくとも1つを含み、
前記金属不活性剤は、
イミダゾール、
ベンズイミダゾール、
2−メルカプトベンズチアゾール、
2,5−ジメルカプトチアジアゾール、
サリシリジン−プロピレンジアミン、
ピラゾール、
ベンゾトリアゾール、
トルトリアゾール、
2−メチルベンズイミダゾール、
3,5−ジメチルピラゾール、
メチレンビス−ベンゾトリアゾール、
有機酸またはそれらのエステル、
第1級、第2級または第3級の脂肪族アミン、
有機酸または無機酸のアミン塩、
複素環式窒素含有化合物、
アルキル酸ホスフェートのアミン塩またはそれらの誘導体、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から5のいずれか1つに記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記液冷媒配管または前記ガス冷媒配管内には、酸化防止剤を有し、
前記酸化防止剤は、
ジチオリン酸亜鉛、
有機硫黄化合物、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
フェニル−α−ナフチルアミン、
N,N’−ジ−フェニル−p−フェニレンジアミン、
N,N’‐ジサリシリデン‐1,2‐ジアミノプロパン、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から6のいずれか1つに記載の冷凍装置。
【請求項8】
前記液冷媒配管または前記ガス冷媒配管内には、脱酸素剤を有し、
前記脱酸素剤は、
2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、
フェニルグリシジルエーテル、
エポキシ化シクロヘキシルカルビノール、
ジ(アルキルフェニル)カルボジイミド、
β−ピネン、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から7のいずれか1つに記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷凍装置には、地球温暖化を抑制する観点から、特許文献1(特開2015−007257号公報)に開示されるように、冷媒としてハイドロフルオロオレフィン(HFO)が用いられることがある。HFOは、大気中のOHラジカルによって分解されやすいため地球温暖化係数が小さい。HFOの例としては、例えば、1,1,2−トリフルオロエチレン(HFO−1123)、および、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
冷凍装置に用いられる冷媒のなかには、低い熱安定性を有するために、一定条件下で不均化反応と呼ばれる自己分解反応が発生しやすいものがある。不均化反応とは、同一種類の分子2個以上が相互に反応するなどの原因により、2種類以上の異なる種類の物質に転じる化学反応である。
【0004】
不均化反応の一例は、HFO−1123冷媒の重合である。HFO−1123は、炭素―炭素不飽和結合を1以上有する分子式で表される化合物であるので、高温および高圧下では重合反応が進行しやすい。重合反応とは、複数のモノマーが重合することにより、分子量が大きい化合物(高分子化合物)が生成される反応である。重合反応により生成される化合物である重合体は、通常、10000以上の分子量を有する。
【0005】
同様に、HFO−1234yfも組成中に二重結合を有するので、高温などの条件によって重合を発生しやすい。
【0006】
不均化反応よって冷媒の一部が変質すると、冷媒回路を循環する冷媒の有効量が減少してしまい、冷媒回路の性能低下の原因となる。さらに、場合によっては不均化反応の生成物が冷媒回路の管路に詰まり、冷媒の循環を阻害するおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、冷媒を用いた冷凍装置において、冷媒の不均化反応の発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1観点に係る冷凍装置は、熱源ユニットと、利用ユニットと、液冷媒配管およびガス冷媒配管と、冷媒と、冷凍機油と、を備える。利用ユニットは、利用ユニット内部管路を有する。液冷媒配管およびガス冷媒配管は、熱源ユニットと利用ユニット内部管路とを接続する。冷媒は、HFOとHFCとを主成分とし、熱源ユニット、利用ユニット、液冷媒配管およびガス冷媒配管を循環する。冷凍機油は、アルキル芳香族炭化水素と酸素含有炭化水素とを主成分とする。冷媒の不均化反応を抑制する不均化反応抑制剤が、液冷媒配管、ガス冷媒配管、および利用ユニット内部管路のうちの少なくとも一部の内面に塗布されている。酸素含有炭化水素は、エーテルおよびエステルの少なくとも一方を含む。冷媒におけるHFOの重量混合比率が第1冷媒比率である。冷媒におけるHFCの重量混合比率が第2冷媒比率である。冷凍機油におけるアルキル芳香族炭化水素の混合比率が第1油比率である。冷凍機油における酸素含有炭化水素の混合比率が第2油比率である。第1冷媒比率が第2冷媒比率よりも大きい場合、第1油比率は第2油比率よりも大きく、第1冷媒比率が第2冷媒比率よりも小さい場合、第1油比率は第2油比率よりも小さい。
【0009】
この構成によれば、不均化反応抑制剤が、液冷媒配管、ガス冷媒配管、および利用ユニット内部管路のうちの少なくとも一部の内面に塗布されている。したがって、冷媒回路を循環する冷媒が不均化反応抑制剤と接触するので、冷媒の不均化反応が発生しにくくなる。
【0010】
加えて、HFC冷媒と相溶性が良い冷凍機油として用いられることの多いエーテル化合物およびエステル化合物は、炭素―炭素不飽和結合を有するHFO冷媒の不均化反応の開始剤として機能するおそれがある。しかし、冷凍機油の主成分の1つであるアルキル芳香族炭化水素が、HFC冷媒と冷凍機油との相溶性を確保しつつ、HFO冷媒の不均化反応を抑える。
【0011】
本発明の第2観点に係る冷凍装置は、第1観点に係る冷凍装置において、HFOがHFO1123であり、HFCがR32である。
【0012】
この構成によれば、冷凍機油の主成分として、アルキル芳香族炭化水素を所定量加えることで、HFC冷媒であるR32との相溶性を確保しつつ、HFO冷媒であるHFO1123の不均化反応を抑えることができる。
【0013】
本発明の第3観点に係る冷凍装置は、第1観点または第2観点に係る冷凍装置において、第1冷媒比率が第1油比率と等しく、第2冷媒比率が第2油比率と等しい。
【0014】
この構成によれば、冷凍機油の主成分として、アルキル芳香族炭化水素を所定量加えることで、HFC冷媒との相溶性を確保しつつ、HFO冷媒の不均化反応を抑えることができる。
【0015】
本発明の第4観点に係る冷凍装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る冷凍装置において、第1冷媒比率が40%〜60%である。第2冷媒比率が60%〜40%である。第1油比率が40%〜60%である。第2油比率が60%〜40%である。
【0016】
この構成によれば、HFC冷媒と冷凍機油との相溶性を確保しつつ、HFO冷媒の不均化反応をより抑えることができる。
【0017】
本発明の第5観点に係る冷凍装置は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る冷凍装置において、不均化反応抑制剤が、冷媒の重合を抑制する重合抑制剤である。
【0018】
この構成によれば、不均化反応抑制剤は冷媒の重合を抑制する。したがって、重合の生成物に起因する冷媒回路の性能低下を抑制できる。
【0019】
本発明の第6観点に係る冷凍装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つに係る冷凍装置において、不均化反応抑制剤が、安定剤、酸化防止剤、脱酸素剤の少なくとも1つを含む。
【0020】
この構成によれば、不均化反応抑制剤の具体的な内容が指定される。
【0021】
本発明の第7観点に係る冷凍装置は、第6観点に係る冷凍装置において、不均化反応抑制剤が安定剤を含む。安定剤は、耐酸化性向上剤、耐熱性向上剤、および金属不活性剤の少なくとも1つを含む。耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤は、N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、p−オクチルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N−(p−ドデシル)フェニル−2−ナフチルアミン、ジ−1−ナフチルアミン、ジ−2−ナフチルアミン、N−アルキルフェノチアジン、6−(t−ブチル)フェノール、2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4−メチル−2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、のうちの少なくとも1つを含む。金属不活性剤は、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2,5−ジメルカプトチアジアゾール、サリシリジン−プロピレンジアミン、ピラゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、2−メチルベンズイミダゾール、3,5−ジメチルピラゾール、メチレンビス−ベンゾトリアゾール、有機酸またはそれらのエステル、第1級、第2級または第3級の脂肪族アミン、有機酸または無機酸のアミン塩、複素環式窒素含有化合物、アルキル酸ホスフェートのアミン塩またはそれらの誘導体、のうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
この構成によれば、不均化反応抑制剤の成分である安定剤の具体的な組成が提示される。
【0023】
本発明の第8観点に係る冷凍装置は、第6観点または第7観点に係る冷凍装置において、不均化反応抑制剤が酸化防止剤を含む。酸化防止剤は、ジチオリン酸亜鉛、有機硫黄化合物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’‐ジサリシリデン‐1,2‐ジアミノプロパン、のうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
この構成によれば、不均化反応抑制剤の成分である酸化防止剤の具体的な組成が提示される。
【0025】
本発明の第9観点に係る冷凍装置は、第6観点から第8観点のいずれか1つに係る冷凍装置において、不均化反応抑制剤が脱酸素剤を含む。
【0026】
脱酸素剤は、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エポキシ化シクロヘキシルカルビノール、ジ(アルキルフェニル)カルボジイミド、β−ピネン、のうちの少なくとも1つを含む。
【0027】
この構成によれば、不均化反応抑制剤の成分である脱酸素剤の具体的な組成が提示される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の第1観点から第4観点に係る冷凍装置によれば、冷媒の不均化反応が発生しにくくなる。
【0029】
本発明の第5観点に係る冷凍装置によれば、重合の生成物に起因する冷媒回路の性能低下を抑制できる。
【0030】
本発明の第6観点から第9観点に係る冷凍装置によれば、不均化反応抑制剤の具体的な内容が指定される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る冷凍装置100の冷媒回路を示す模式図である。
図2図1に示す冷凍装置100の利用ユニット20Aおよび冷媒連絡配管30を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る冷凍装置の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明にかかる冷凍装置の具体的な構成は、下記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0033】
(1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置100を示す。冷凍装置100は、例えば空気調和装置である。冷凍装置100は、熱源ユニット10、利用ユニット20A、20B、冷媒連絡配管30、冷媒を備える。
【0034】
(2)詳細構成
(2−1)熱源ユニット10
熱源ユニット10は、温熱または冷熱を発生させるためのものである。熱源ユニット10は、圧縮機11、四路切換弁12、熱源ユニット熱交換器13、熱源ユニットファン14、熱源ユニット膨張弁15、熱源ユニット液路ポート17、熱源ユニットガス路ポート18、熱源ユニット内部管路19a〜19gを有する。
【0035】
(2−1−1)圧縮機11
圧縮機11は、低圧ガス冷媒を吸入して圧縮し、高圧ガス冷媒にして矢印の方向に吐出させる。
【0036】
(2−1−2)四路切換弁12
四路切換弁12は、冷熱利用運転と温熱利用運転を切り替える。四路切換弁12は、冷熱利用運転のときには実線で示した冷媒経路を構成し、温熱利用運転のときには破線で示した冷媒経路を構成する。
【0037】
(2−1−3)熱源ユニット熱交換器13
熱源ユニット熱交換器13は、冷媒と熱源ユニット10の周囲の空気との熱交換を行う。冷熱利用運転の場合、熱源ユニット熱交換器13は凝縮機として機能し、冷媒の熱を空気中へ放出する。一方、温熱利用運転の場合、熱源ユニット熱交換器13は蒸発機として機能し、空気中の熱を冷媒へ取り込む。
【0038】
(2−1−4)熱源ユニットファン14
熱源ユニットファン14は、熱源ユニット熱交換器13の熱交換を促進する。
【0039】
(2−1−5)熱源ユニット膨張弁15
熱源ユニット膨張弁15は開度調整が可能な弁であり、冷媒の減圧装置として機能する。
【0040】
(2−1−6)アキュームレータ16
アキュームレータ16は、圧縮機11の前段において蒸発していない液冷媒を蓄積するとともに、ガス冷媒を通過させるためのものである。
【0041】
(2−1−7)熱源ユニット液路ポート17
熱源ユニット液路ポート17は、液冷媒配管31を接続するためのものである。熱源ユニット液路ポート17には、長期にわたり冷凍装置100を使用する予定がない場合などに、主に液冷媒が流れる経路を手動により閉鎖するための弁が内蔵されている。
【0042】
(2−1−8)熱源ユニットガス路ポート18
熱源ユニット液路ポート17は、ガス冷媒配管32を接続するためのものである。熱源ユニット液路ポート17には、長期にわたり冷凍装置100を使用する予定がない場合などに、主にガス冷媒が流れる経路を手動により閉鎖するための弁が内蔵されている。
【0043】
(2−1−9)熱源ユニット内部管路19a〜19g
熱源ユニット内部管路19a〜19gは、熱源ユニット10の複数の構成要素、すなわち、圧縮機11、四路切換弁12、熱源ユニット熱交換器13、熱源ユニット膨張弁15
熱源ユニット液路ポート17、熱源ユニットガス路ポート18を接続し、それらの間での冷媒の授受に寄与する管路である。
【0044】
(2−2)利用ユニット20A、20B
利用ユニット20A、20Bは、熱源ユニット10が発生させた温熱または冷熱を、ユーザの便宜のために利用するためのものである。利用ユニット20Aは、利用ユニット膨張弁21、利用ユニット熱交換器22、利用ユニットファン23、利用ユニット液路ポート27、利用ユニットガス路ポート28、利用ユニット内部管路29a〜29cを有する。利用ユニット20Bの構成も、利用ユニット20Aの構成と同様である。
【0045】
以下に、利用ユニット20Aの詳細構成について説明し、利用ユニット20Bの構成についての説明は省略する。
【0046】
(2−2−1)利用ユニット膨張弁21
利用ユニット膨張弁21は開度調整が可能な弁であり、ガス冷媒の減圧装置または流量調整装置として機能する。
【0047】
(2−2−2)利用ユニット熱交換器22
利用ユニット熱交換器22は、冷媒と利用ユニット20Aの周囲の空気との熱交換を行う。冷熱利用運転の場合、利用ユニット熱交換器22は蒸発機として機能し、空気中の熱を冷媒へ取り込む。一方、温熱利用運転の場合、利用ユニット熱交換器22は凝縮機として機能し、冷媒の熱を空気中へ放出する。
【0048】
(2−2−3)利用ユニットファン23
利用ユニットファン23は、利用ユニット熱交換器22の熱交換を促進する。
【0049】
(2−2−4)利用ユニット液路ポート27
利用ユニット液路ポート27は、液冷媒配管31を接続するための部位である。
【0050】
(2−2−5)利用ユニットガス路ポート28
利用ユニットガス路ポート28は、ガス冷媒配管32を接続するための部位である。
【0051】
(2−2−6)利用ユニット内部管路29a〜29c
利用ユニット内部管路29a〜29cは、利用ユニット20Aの複数の構成要素、すなわち、利用ユニット膨張弁21、利用ユニット熱交換器22、利用ユニット液路ポート27、利用ユニットガス路ポート28を接続し、それらの間での冷媒の授受に寄与する管路である。
【0052】
(2−3)冷媒連絡配管30
冷媒連絡配管30は、熱源ユニット10と利用ユニット20Aを接続して冷媒回路を構成するためのものである。冷媒連絡配管30は、液冷媒配管31およびガス冷媒配管32を有する。液冷媒配管31は、熱源ユニット液路ポート17と利用ユニット液路ポート27を接続する。ガス冷媒配管32は、熱源ユニットガス路ポート18と利用ユニットガス路ポート28を接続する。
【0053】
(2−4)冷媒
冷媒は、熱源ユニット10、利用ユニット20A、20B、冷媒連絡配管30を循環する。冷媒は、炭素―炭素不飽和結合を1以上有する分子式で表される化合物を含む。冷媒は、例えばHFOである。
【0054】
(2−5)不均化反応抑制剤40
図2は、冷凍装置100の利用ユニット20Aおよび冷媒連絡配管30を示す。液冷媒配管31、ガス冷媒配管32、および、利用ユニット内部管路29a〜29cの少なくとも一部の内面には、不均化反応抑制剤40が塗布されている。不均化反応抑制剤40は、不均化反応の発生や進行を抑制する物質である。好ましくは、不均化反応抑制剤40は、冷媒の重合を抑制する重合抑制剤である。
【0055】
不均化反応抑制剤40は、安定剤、酸化防止剤、脱酸素剤の少なくとも1つを含む。
【0056】
(2−5−1)安定剤
安定剤は、耐酸化性向上剤、耐熱性向上剤、および金属不活性剤の少なくとも1つを含む。
【0057】
耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤は、下記に列挙する物質のうち少なくとも1つを含む。
【0058】
<耐酸化性向上剤、耐熱性向上剤>
N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、p−オクチルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N−(p−ドデシル)フェニル−2−ナフチルアミン、ジ−1−ナフチルアミン、ジ−2−ナフチルアミン、N−アルキルフェノチアジン、6−(t−ブチル)フェノール、2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4−メチル−2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)。
【0059】
金属不活性剤は、下記に列挙する物質のうち少なくとも1つを含む。
【0060】
<金属不活性剤>
イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2,5−ジメルカプトチアジアゾール、サリシリジン−プロピレンジアミン、ピラゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、2−メチルベンズイミダゾール、3,5−ジメチルピラゾール、メチレンビス−ベンゾトリアゾール、有機酸またはそれらのエステル、第1級、第2級または第3級の脂肪族アミン、有機酸または無機酸のアミン塩、複素環式窒素含有化合物、アルキル酸ホスフェートのアミン塩またはそれらの誘導体。
【0061】
(2−5−2)酸化防止剤
酸化防止剤は、下記に列挙する物質のうち少なくとも1つを含む。
【0062】
<酸化防止剤>
ジチオリン酸亜鉛、有機硫黄化合物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’‐ジサリシリデン‐1,2‐ジアミノプロパン。
【0063】
(2−5−3)脱酸素剤
脱酸素剤は、下記に列挙する物質のうち少なくとも1つを含む。
【0064】
<脱酸素剤>
2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エポキシ化シクロヘキシルカルビノール、ジ(アルキルフェニル)カルボジイミド、β−ピネン。
【0065】
(3)基本動作
(3−1)冷熱運転
冷熱運転において、四路切換弁12は図1の実線で示した冷媒経路を構成する。圧縮機11は、高圧ガス冷媒を図1の矢印の方向に吐出する。高圧ガス冷媒は、四路切換弁12を通過した後、熱源ユニット熱交換器13に到達する。熱源ユニット熱交換器13は凝縮機として機能し、高圧ガス冷媒を高圧液冷媒にする。高圧液冷媒は、熱源ユニット膨張弁15、液冷媒配管31、および利用ユニット膨張弁21で減圧されて気液2相冷媒となり、利用ユニット熱交換器22へ到達する。利用ユニット熱交換器22は蒸発機として機能し、気液2相冷媒を低圧ガス冷媒にする過程で周囲の空気から熱を吸収し、これによって周囲の空気は冷やされる。低圧ガス冷媒は、ガス冷媒配管32、次いで四路切換弁12を通過した後、アキュームレータ16を経て圧縮機11に吸入される。
【0066】
(3−2)温熱運転
温熱運転において、四路切換弁12は図1の破線で示した冷媒経路を構成する。圧縮機11は、高圧ガス冷媒を図1の矢印の方向に吐出する。高圧ガス冷媒は、四路切換弁12、次いでガス冷媒配管32を通過した後、利用ユニット熱交換器22へ到達する。利用ユニット熱交換器22は凝縮機として機能し、高圧ガス冷媒を高圧液冷媒にする過程で熱を放出し、周囲の空気を暖める。高圧液冷媒は、利用ユニット膨張弁21、液冷媒配管31、および熱源ユニット膨張弁15で減圧されて気液2相冷媒となり、熱源ユニット熱交換器13へ到達する。熱源ユニット熱交換器13は蒸発機として機能し、気液2相冷媒を低圧ガス冷媒にする。その後、低圧ガス冷媒は四路切換弁12を通過した後、アキュームレータ16を経て圧縮機11に吸入される。
【0067】
(4)設置手順
冷凍装置100を設置する際には、屋外に熱源ユニット10が設置され、屋内に利用ユニット20A、20Bが設置される。この設置工程において、熱源ユニット10には、冷凍装置100の全体が必要とする量の冷媒があらかじめ液体の状態で封入されている。次に、熱源ユニット10と利用ユニット20A、20Bとを接続する冷媒連絡配管30が設置され、それによって冷凍装置100の冷媒回路が完成する。最後に、熱源ユニット10に封入されていた冷媒が冷媒回路へ解放され、冷媒は利用ユニット20A、20Bへ向かって流れる。この時、不均化反応抑制剤40が液冷媒配管31またはガス冷媒配管32の内面に塗布されている場合には、冷媒は不均化反応抑制剤40と接触する。したがって、液冷媒配管31またはガス冷媒配管32を通過する冷媒の不均化反応は起こりにくい。次いで、利用ユニット液路ポート27および利用ユニットガス路ポート28に到達した冷媒は、利用ユニット20Aの各部へ浸透する。この時、不均化反応抑制剤40が利用ユニット内部管路29a〜29cの内面に塗布されている場合には、冷媒は不均化反応抑制剤40と接触する。したがって、利用ユニット内部管路29a〜29cを通過する冷媒の不均化反応は起こりにくい。
【0068】
(5)特徴
(5−1)
不均化反応抑制剤40が、液冷媒配管31、ガス冷媒配管32、および利用ユニット内部管路29a〜29cのうちの少なくとも一部の内面に塗布されている。したがって、冷媒回路を循環する冷媒が不均化反応抑制剤40と接触するので、冷媒の不均化反応が発生しにくい。
【0069】
(5−2)
不均化反応抑制剤40は、冷媒の重合を抑制する重合抑制剤であってもよい。この構成によれば、不均化反応抑制剤40は冷媒の重合を抑制する。したがって、重合の生成物に起因する冷媒回路の性能低下を抑制できる。
【0070】
(5−3)
不均化反応抑制剤40の組成として、本願は様々な知見を提示した。すなわち、不均化反応抑制剤40は、安定剤、酸化防止剤、脱酸素剤の少なくとも1つを含んでよい。安定剤は、耐酸化性向上剤、耐熱性向上剤、および金属不活性剤の少なくとも1つを含んでよい。加えて、耐酸化性向上剤、耐熱性向上剤、金属不活性剤、酸化防止剤、および脱酸素剤のそれぞれの可能な組成を、本明細書の(2−4)項において列挙した。これらの知見によれば、不均化反応抑制剤40の具体的な組成が提示され、その製造および準備が可能となる。
【0071】
(6)変形例
(6−1)構成
上述の実施形態では、冷凍装置100に用いられる冷媒は、炭素―炭素不飽和結合を1以上有する分子式で表される化合物を含む、としていた。これに代えて、冷媒は、具体的にHFOとHFCとを主成分とする混合冷媒としてよい。さらに、冷凍装置100に用いられる冷凍機油は、アルキル芳香族炭化水素と酸素含有炭化水素とを主成分とする冷凍機油としてよい。
【0072】
HFOは、ハイドロフルオロオレフィンである。HFOは、炭素―炭素不飽和結合を1以上有する分子式で表される化合物である。HFOは、例えば、1,1,2−トリフルオロエチレン(HFO−1123)、および、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)である。HFOは、大気中のOHラジカルによって分解されやすいため地球温暖化係数が小さい。
【0073】
HFCは、ハイドロフルオロカーボンである。HFCは、例えば、分子式C224で表されるR134a、分子式CH22で表されるR32、および、混合冷媒であるR410AおよびR407cである。HFCは、塩素を含まないので、クロロフルオロカーボン(CFC)およびハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)と比べてオゾン層を破壊する効果が小さい。
【0074】
アルキル芳香族炭化水素は、ベンゼンおよびナフタレン等の芳香族炭化水素にアルキル基が結合した化合物である。アルキル芳香族炭化水素は、例えば、トルエンおよびエチルベンゼン等のアルキルベンゼンである。
【0075】
酸素含有炭化水素は、エステル化合物、エーテル化合物、または、エステル化合物とエーテル化合物との混合物である。酸素含有炭化水素は、例えば、ポリビニルエーテルおよびポリオールエステルである。
【0076】
この冷凍装置では、混合冷媒におけるHFOの混合比率(重量比。以下同じ。)であるHFO冷媒比、混合冷媒におけるHFCの混合比率であるHFC冷媒比、冷凍機油におけるアルキル芳香族炭化水素の混合比率であるアルキル芳香族油比、および、冷凍機油における酸素含有炭化水素の混合比率である酸素含有油比は、以下の傾向を示す。
【0077】
具体的には、HFO冷媒比がHFC冷媒比よりも大きい混合冷媒を用いる場合、アルキル芳香族油比が酸素含有油比よりも大きい冷凍機油が用いられる。また、反対に、HFO冷媒比がHFC冷媒比よりも小さい混合冷媒を用いる場合、アルキル芳香族油比が酸素含有油比よりも小さい冷凍機油が用いられる。例えば、HFO冷媒比が70%であり、HFC冷媒比が30%である場合、アルキル芳香族油比は80%であり、酸素含有油比は20%である。なお、HFO冷媒比はアルキル芳香族油比と等しく、かつ、HFC冷媒比は酸素含有油比と等しいことが好ましい。さらに、HFO冷媒比が40〜60%であり、HFC冷媒比が60%〜40%であり、アルキル芳香族油比が40〜60%であり、酸素含有油比が60%〜40%であることが好ましい。例えば、HFO冷媒比が40%であり、HFC冷媒比が60%である場合、アルキル芳香族油比は40%であり、酸素含有油比は60%であることが好ましい。
【0078】
この冷凍装置は、地球温暖化係数が小さい冷媒として、HFOとHFCとの混合冷媒を用いる。HFO1123等のHFOは、炭素―炭素不飽和結合を有するので、圧縮機の内部空間等の高温の雰囲気下において、重合反応を起こす可能性がある。また、HFCとしてR32を用いる場合、冷媒との相溶性が良い冷凍機油として、エーテル化合物およびエステル化合物を用いることが好ましい。しかし、エーテル化合物およびエステル化合物は、炭素―炭素不飽和結合を有するHFOの重合反応の開始剤として機能する。HFOの重合反応により生成された重合体は、冷凍装置の配管等に付着して、冷媒流路が詰まる原因となる。
【0079】
しかし、冷凍機油の主成分として、重合反応の開始剤として機能しにくいアルキル芳香族炭化水素を所定量加えることで、HFCと冷凍機油との相溶性を確保しつつ、HFOの重合反応を抑えることができる。そのため、混合冷媒におけるHFOの混合比率であるHFO冷媒比が高いほど、冷凍機油におけるアルキル芳香族炭化水素の混合比率であるアルキル芳香族油比が高いことが好ましい。
【0080】
(6−2)特徴
(6−2−1)変形例の第1観点
変形例の第1観点に係る冷凍装置100は、HFOとHFCとを主成分とする混合冷媒、および、アルキル芳香族炭化水素と酸素含有炭化水素とを主成分とする冷凍機油を使用する。酸素含有炭化水素は、エーテルおよびエステルの少なくとも一方を含む。混合冷媒は、HFOの重量混合比率が第1冷媒比率であり、かつ、HFCの重量混合比率が第2冷媒比率である。冷凍機油は、アルキル芳香族炭化水素の混合比率が第1油比率であり、かつ、酸素含有炭化水素の混合比率が第2油比率である。第1冷媒比率が第2冷媒比率よりも大きい場合、第1油比率は、第2油比率よりも大きい。第1冷媒比率が第2冷媒比率よりも小さい場合、第1油比率は、第2油比率よりも小さい。
【0081】
この構成によれば、冷凍機油はアルキル芳香族炭化水素を含む。HFO冷媒は、炭素―炭素不飽和結合を有し、HFO1123等、高温下で重合しやすいものがある。一方、R32等のHFC冷媒と相溶性が良い冷凍機油としては、エーテル化合物およびエステル化合物が適している。しかし、エーテル化合物およびエステル化合物は、炭素―炭素不飽和結合を有するHFO冷媒の重合反応の開始剤として機能する傾向がある。重合反応により生成された重合体は、冷凍装置の配管等に付着して、冷媒流路が詰まる原因となる。しかし、冷凍機油の主成分として、アルキル芳香族炭化水素を所定量加えることで、HFC冷媒と冷凍機油との相溶性を確保しつつ、HFO冷媒の重合反応を抑えることができる。従って、第1観点に係る冷凍装置は、冷媒の重合反応により生成された重合体の詰まりを抑制し、安全性の高い冷凍装置を提供することができる。
【0082】
(6−2−2)変形例の第2観点
変形例の第2観点に係る冷凍装置100は、変形例の第1観点に係る冷凍装置において、HFOが、HFO1123であり、HFCが、R32としてよい。
【0083】
この構成によれば、冷凍機油の主成分として、アルキル芳香族炭化水素を所定量加えることで、HFC冷媒であるR32との相溶性を確保しつつ、HFO冷媒であるHFO1123の重合反応を抑えることができる。
【0084】
(6−2−3)変形例の第3観点
変形例の第3観点に係る冷凍装置100は、変形例の第1観点または第2観点に係る冷凍装置において、第1冷媒比率が、第1油比率と等しく、第2冷媒比率が、第2油比率と等しい。
【0085】
この構成によれば、冷凍機油の主成分として、アルキル芳香族炭化水素を所定量加えることで、HFC冷媒との相溶性を確保しつつ、HFO冷媒の重合反応を抑えることができる。
【0086】
(6−2−4)変形例の第4観点
変形例の第4観点に係る冷凍装置100は、変形例の第1観点から第3観点のいずれか1つに係る冷凍装置において、第1冷媒比率が40%〜60%、第2冷媒比率が60%〜40%、第1油比率が40%〜60%、第2油比率が60%〜40%である。
【0087】
この構成によれば、HFC冷媒と冷凍機油との相溶性を確保しつつ、HFO冷媒の重合反応をより抑えることができる。
【符号の説明】
【0088】
10 熱源ユニット
19a〜g 熱源ユニット内部管路
20A、20B 利用ユニット
29a〜c 利用ユニット内部管路
30 冷媒連絡配管
31 液冷媒配管
32 ガス冷媒配管
40 不均化反応抑制剤
100 冷凍装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2015−007257号公報
図1
図2