(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タブ側端面に沿い、かつ互いに異なる極性の前記タブを結ぶ方向を並設方向とすると、互いに同じ極性の前記電極端子と前記タブとは前記並設方向に並んでいる請求項4に記載の蓄電装置。
前記絶縁部材が前記蓋の内面に最接近した状態では、前記蓋の内面に対し前記絶縁部材の外面が接触しており、前記第2寸法は、前記絶縁部材の前記絶縁端面から前記外面までの前記絶縁部材の高さである請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
前記絶縁部材は、前記電流遮断装置以外の前記導電経路の部位と前記蓋の内面との間に配設され、前記電流遮断装置以外の前記導電経路の部位を前記蓋から絶縁している請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、二次電池10の第1の実施形態を
図1(a)〜
図5にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、直方体状のケース11を備え、このケース11内には電極組立体12が収容されている。ケース11は、開口部及び底部を有する四角筒状の金属製(例えば、アルミニウム製又はアルミニウム合金製)のケース本体11aと、ケース本体11aの開口部を塞ぐ蓋11bとを有する。ケース11内には図示しない電解質(電解液)が収容されている。本実施形態の二次電池10は、リチウムイオン二次電池である。
【0020】
図2に示すように、電極組立体12は、矩形シート状である複数の正極電極13と矩形シート状である複数の負極電極14とを有している。正極電極13と負極電極14との間にシート状のセパレータ15が介在する状態で正極電極13及び負極電極14が積層されており、電極組立体12はいわゆる積層型である。電極組立体12において、正極電極13と負極電極14とは、セパレータ15によって相互に絶縁されている。以下の説明では、正極電極13と負極電極14との重なる方向を積層方向Yと示す。
【0021】
正極電極13は、略矩形状である正極用の金属箔13aと、その両面に形成された正極用の活物質層13bと、金属箔13aの一縁部(一辺)から突出する正極タブ13cとを有する。
【0022】
そして、
図1(a)に示すように、複数の正極電極13が積層されることによって、電極組立体12の一つの端面には、複数の正極タブ13cが層状に重なって形成された正極タブ群18が突出している。金属箔13aは、例えばアルミニウム箔である。なお、正極タブ群18は、正極タブ13cを電極組立体12の積層方向Yの一端に寄せ集めた後、積層方向Yの他端に向けて折り返して形成されている。
【0023】
また、
図2に示すように、負極電極14は、略矩形状である金属箔14aと、その両面に形成された負極用の活物質層14bと、金属箔14aの一縁部(一辺)から突出する負極タブ14cとを有する。そして、
図1(a)に示すように、複数の負極電極14が積層されることによって、電極組立体12の一つの端面には、複数の負極タブ14cが層状に重なって形成された負極タブ群19が突出している。負極電極14の金属箔14aは、例えば銅箔である。なお、
図3に示すように、負極タブ群19は、負極タブ14cを電極組立体12の積層方向Yの一端に寄せ集めた後、積層方向Yの他端に向けて折り返して形成されている。電極組立体12は、正極タブ群18(正極タブ13c)及び負極タブ群19(負極タブ14c)の突出した端面にタブ側端面12aを有する。このタブ側端面12aからは互いに異なる極性のタブである正極タブ13cと負極タブ14cとが突出している。
【0024】
図1(a)に示すように、タブ側端面12aにおいて、そのタブ側端面12aに沿い、かつ正極タブ群18(正極タブ13c)と、負極タブ群19(負極タブ14c)とを結ぶ方向、すなわち互いに異なる極性のタブ群18,19が並ぶ方向を並設方向Xとする。また、二次電池10において、蓋11bの内面11cと、タブ側端面12aとを最短距離で結ぶ方向を対向方向Zとする。そして、対向方向Zに沿った蓋11bの内面11cとタブ側端面12aとの最短距離を対向距離Lとすると、蓋11bの内面11cとタブ側端面12aとの間には、対向距離Lの空間が画定されている。
【0025】
二次電池10は、ケース11の外側に突出するように蓋11bに固定された正極の電極端子としての正極端子16と、ケース11の外側に突出するように蓋11bに固定された負極の電極端子としての負極端子17とを有し、正極端子16と負極端子17は並設方向Xに並んで配置されている。正極タブ群18(正極タブ13c)と正極端子16とは並設方向Xに並んで配置され、負極タブ群19(負極タブ14c)と負極端子17とは並設方向Xに並んで配置されている。
【0026】
負極端子17は、負極端子17のうちケース11の外側に突出する端部に雄ねじ(図示せず)を有し、この雄ねじにはナット17bが螺合されている。そして、負極端子17は、負極端子17のうちケース11の内側に突出する端部(図示せず)とナット17bとで蓋11bを挟んだ状態で蓋11bに締結されている。
【0027】
負極端子17は、負極端子17のうちケース11の内側に突出する端部に接合された金属製(例えば銅製)及び矩形板状の負極導電部材21を介して、電極組立体12の負極タブ群19(負極タブ14c)と電気的に接続されている。負極導電部材21と負極タブ群19とは接合されている。負極導電部材21と負極タブ群19との接合部は、蓋11bの内面11cとタブ側端面12aとの間に位置する。負極導電部材21は、電極組立体12のタブ側の端面12aに平行な状態で配置されるとともに、タブ側端面12aと蓋11bの内面11cとの間に介在している。
【0028】
図1(b)に示すように、正極端子16は、正極端子16のうちケース11の外側に突出する端部に雄ねじ(図示せず)を有し、この雄ねじにはナット16bが螺合されている。そして、正極端子16は、正極端子16のうちケース11の内側に突出する端部16cとナット16bとで蓋11bを挟んだ状態で蓋11bに締結されている。正極端子16は、正極端子16のうちケース11の内側に突出する端部16cと電気的に接続された金属製(例えばアルミニウム製)及び矩形板状の正極導電部材22を介して、電極組立体12の正極タブ群18(正極タブ13c)に電気的に接続されている。正極導電部材22と正極タブ群18とは接合されている。正極導電部材22と正極タブ群18との接合部は、蓋11bの内面11cとタブ側端面12aとの間に位置する。正極導電部材22は、電極組立体12のタブ側端面12aに平行な状態で配置されるとともに、タブ側端面12aと蓋11bの内面11cとの間に介在している。正極導電部材22は、正極電極13と正極端子16とを電気的に接続する導電経路を構成する。
【0029】
二次電池10は、電流遮断装置25を備える。この電流遮断装置25は、正極電極13と正極端子16とを電気的に接続する導電経路に配設されている。導電経路を構成する正極導電部材22は、蓋11bの内面11cと、電極組立体12のタブ側端面12aとの間に画定された空間に配置されている。このため、導電経路上に配設された電流遮断装置25は、蓋11bの内面11cと電極組立体12のタブ側端面12aとの間に画定された空間に配置されている。そして、電流遮断装置25は、ケース11の内圧が所定の圧力を超える場合に正極電極13と正極端子16との導電経路を遮断可能に構成されている。
【0030】
電流遮断装置25は、ケース11の内部において、正極端子16の端部16cと、正極導電部材22との間に設けられている。電流遮断装置25は、正極端子16の端部16cと、接続部材27を介して電気的に接続された金属製(例えば、アルミニウム製又はアルミニウム合金製)の反転板26を有する。反転板26と正極導電部材22との間には絶縁板28が介在する。
【0031】
反転板26は、ケース11の内圧が所定の圧力を超えると、該ケース11の内圧を受けて蓋11b側へ変位可能な変位部26aを有する。変位部26aには、正極導電部材22のうち、破断して正極導電部材22から分離可能に構成された分離部22aが連結されている。即ち、導電部材22の分離部22aは、電流遮断装置25の一部を構成している。このように、本実施形態の二次電池10では、電流遮断装置25のうち、金属製である部分の一部(分離部22a)が電極組立体12のタブ側端面12aと対向するように配置されている。
【0032】
ここで、電流遮断装置25において、変位部26aは正極導電部材22に接触しており、正極導電部材22は電流遮断装置25の一部と捉えることができる。よって、正極導電部材22のうち、タブ側端面12aに対向した面を、電流遮断装置25におけるタブ側端面12aへの対向面と捉えることができ、この正極導電部材22におけるタブ側端面12aへの対向面を装置端面22bとする。また、電流遮断装置25は、正極端子16に一体化されており、正極端子16はナット16bによって蓋11bに固定されている。このため、電流遮断装置25は蓋11bに対し変位不能である。よって、電流遮断装置25は、蓋11bに対し、常に最接近した位置にあり、この最接近した状態での、上記対向方向Zに沿った蓋11bの内面11cから装置端面22bまでの寸法を第1寸法L1とする。この第1寸法L1は、上記の対向距離Lより短く、二次電池10内では、装置端面22bは電極組立体12のタブ側端面12aから対向方向Zに沿って離れている。
【0033】
二次電池10では、
図1(b)において二点鎖線で示すように、ケース11の内圧が上昇して所定の圧力を超えると、該ケース11の内圧によって、反転板26の変位部26aが蓋11bに向けて変位する。これに伴って、二次電池10では、分離部22aが正極導電部材22から分離することによって、正極電極13と正極端子16との導電経路が物理的に切断されるとともに、電流が遮断される。
【0034】
図1(a)及び
図3に示すように、二次電池10は、負極導電部材21及び正極導電部材22と蓋11bとを絶縁する絶縁部材40をケース11内に備えている。絶縁部材40は、例えば樹脂などで構成されている。絶縁部材40は、長方形の板状の本体部41と、当該本体部41の一対の長側縁から電極組立体12に向けて延びる側壁部42とを有しており、並設方向Xから見て逆U字状(チャネル形状)となっている。本体部41は、負極導電部材21と正極導電部材22とに跨って配置されている。絶縁部材40において、本体部41の短辺に沿った長さは、蓋11bの短辺に沿った長さより短く、かつ負極導電部材21及び正極導電部材22の短辺に沿った長さより若干長い。側壁部42は本体部41から電極組立体12のタブ側端面12aに向けて突出している。
【0035】
ここで、絶縁部材40の本体部41において、蓋11bの内面11cに対向した面を外面41aとし、絶縁部材40の側壁部42において、電極組立体12のタブ側端面12aに対向した面を絶縁端面42aとする。
【0036】
図5に示すように、絶縁部材40において、本体部41の外面41aが蓋11bの内面11cに接触し、絶縁部材40が蓋11bに最接近した位置を最接近位置とする。絶縁部材40が最接近位置にあるときの、上記対向方向Zに沿った蓋11bの内面11cから絶縁端面42aまでの寸法を第2寸法L2とする。第2寸法L2は、本体部41の外面41aから側壁部42の絶縁端面42aまでの最短距離でもある。この本体部41の外面41aから側壁部42の絶縁端面42aまでの最短距離は、対向方向Zに沿った絶縁部材40の高さである。よって、第2寸法L2は、絶縁部材40の高さと同じである。そして、本実施形態では、第1寸法L1<第2寸法L2が成立している。このため、絶縁部材40の高さは、蓋11bの内面11cから装置端面22bまでの寸法より長い。なお、第2寸法L2は、対向方向Zに沿った対向距離Lより短い。
【0037】
次に、上記のように構成した二次電池10の作用を二次電池10の組立方法とともに説明する。
まず、電極組立体12を形成した後、正極タブ群18に正極導電部材22を溶接し、その正極導電部材22に電流遮断装置25を含めた正極端子16を溶接する。また、負極タブ群19に負極導電部材21を溶接した後、負極導電部材21に負極端子17を溶接する。次に、負極導電部材21と正極導電部材22とに絶縁部材40の本体部41を被せ、負極導電部材21と正極導電部材22とに絶縁部材40を一体化した状態で、正極端子16の雄ねじと負極端子17の雄ねじとを、蓋11bを貫通させ、正極の雄ねじにナット16bを螺合し、負極の雄ねじにナット17bを螺合する。その結果、蓋11bに正極端子16及び負極端子17が締結されるとともに、蓋11bと電極組立体12とが一体化される。
【0038】
図4に示すように、蓋11bと電極組立体12とが一体化された状態では、絶縁部材40の外面41aは、蓋11bの内面11cから対向方向Zに離れている。また、電流遮断装置25において、正極導電部材22の装置端面22bは電極組立体12のタブ側端面12aから対向方向Zに沿って離れているとともに、絶縁部材40の絶縁端面42aも電極組立体12のタブ側端面12aから対向方向Zに沿って離れている。なお、正極タブ群18及び負極タブ群19は、それぞれ積層方向一端から他端に向けて折り返された状態にある。
【0039】
次に、
図5に示すように、電極組立体12をケース本体11aの開口部からケース本体11a内に挿入する。このとき、蓋11bを電極組立体12に向けて押し込み、蓋11bに一体の正極端子16、負極端子17、負極導電部材21、正極導電部材22、正極タブ群18、及び負極タブ群19を介して電極組立体12をケース本体11a内に向けて押し込む。すると、正極タブ群18及び負極タブ群19が対向方向Zに圧縮されて変位し、蓋11bの内面11cに絶縁部材40の外面41aが接触する。さらに、蓋11bがタブ側端面12aに向けて押し込まれると、正極タブ群18及び負極タブ群19が対向方向Zに圧縮されて変位し、絶縁部材40の絶縁端面42aが電極組立体12のタブ側端面12aに接触する。このとき、第1寸法L1<第2寸法L2の関係から、絶縁部材40の絶縁端面42aがタブ側端面12aに接触しても、電流遮断装置25を構成する正極導電部材22の装置端面22bは、タブ側端面12aから対向方向Zに沿って離れた位置にある。
【0040】
その後、ケース本体11a内への電極組立体12の収容が完了すると、蓋11bとケース本体11aとを接合してケース本体11aの開口部を閉塞すると、二次電池10の組立が完了する。
【0041】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電流遮断装置25における第1寸法L1と、絶縁部材40における第2寸法L2を設定し、第1寸法L1<第2寸法L2が成立するように設計した。このため、二次電池10の組立において、蓋11bに電極組立体12を一体化した状態で、電極組立体12をケース本体11aに挿入するため、蓋11bを電極組立体12に向けて押し込んだとき、絶縁部材40の絶縁端面42aが、電流遮断装置25の装置端面22bより先に電極組立体12のタブ側端面12aに接触する。このため、電極組立体12をケース本体11aに挿入する際、電流遮断装置25の装置端面22bがタブ側端面12aに接触することを抑制でき、装置端面22bがタブ側端面12aに接触することで電流遮断装置25に荷重が掛かってしまうことを抑制できる。その結果として、電流遮断装置25の誤作動や、電流遮断装置25が損傷受けることを抑制できる。
【0042】
また、二次電池10を車両へ搭載するときや、運搬時に二次電池10が振動した場合、正極タブ13c及び負極タブ14cが変位して電極組立体12が電流遮断装置25に近付くように移動することがある。この場合であっても、第1寸法L1<第2寸法L2が成立することから、電極組立体12のタブ側端面12aが絶縁部材40の絶縁端面42aに接触する。このため、二次電池10が振動しても、電極組立体12のタブ側端面12aが電流遮断装置25の装置端面22bに接触することを抑制でき、電流遮断装置25の誤作動や、電流遮断装置25が損傷を受けることを抑制できる。
【0043】
(2)絶縁部材40は、負極導電部材21及び正極導電部材22を蓋11bから絶縁する。このため、絶縁部材40の本体部41は、対向方向Zにおいて、負極導電部材21及び正極導電部材22と蓋11bとの間に介在することとなる。よって、二次電池10の組立時、蓋11bを電極組立体12に向けて押し込むと、蓋11bの内面11cが絶縁部材40の外面41aに接触し、蓋11bの押し込みとともに、絶縁部材40が電極組立体12に向けて押し込まれることとなる。また、二次電池10が振動した際、絶縁部材40は蓋11bの内面11cに接触し、絶縁部材40の蓋11bに向けた移動が規制される。そして、この絶縁部材40に第2寸法L2を設定したため、組立の際は、絶縁部材40を電流遮断装置25より先に電極組立体12に接触させることができ、振動した際は、電極組立体12のタブ側端面12aが電流遮断装置25に接触することを抑制できる結果、電流遮断装置25を保護できる。
【0044】
(3)正極端子16と正極タブ13cとは並設方向Xに並び、負極端子17と負極タブ14cとは並設方向Xに並んでいる。すなわち、正極端子16と正極タブ13cとは対向方向Zに重なっておらず、負極端子17と負極タブ14cとは対向方向Zに重なっていない。よって、電極端子とタブが対向方向Zに重なっている場合と比べて、対向方向Zに沿った二次電池10の体格を小型化できる。特に、正極においては、正極端子16に電流遮断装置25が一体化されているが、並設方向Xに正極端子16と正極タブ13cとを並べることで、電流遮断装置25の影響を受けずに、対向方向Zに沿った二次電池10の体格を小型化できる。
【0045】
(4)絶縁部材40は、負極導電部材21と正極導電部材22とに跨る。このため、蓋11bを電極組立体12に向けて押し込んだとき、1枚の絶縁部材40から2枚の導電部材21,22に荷重が掛かる。よって、1枚1枚の導電部材21,22に別々に荷重が掛かることが抑制され、各導電部材21,22に曲げ応力が発生することを抑制でき、正極においては、電流遮断装置25に曲げ応力が生じることを抑制できる。
【0046】
(5)絶縁部材40の高さが第2寸法L2である。このため、絶縁部材40における本体部41の外面41aに蓋11bの内面11cを接触させて押し込んだとき、絶縁部材40の高さを利用して電流遮断装置25の装置端面22bがタブ側端面12aに接触することを抑制することができる。また、二次電池10が振動したとき、絶縁部材40の高さを利用してタブ側端面12aが装置端面22bに接触することを抑制することができる。よって、電極組立体12をケース本体11aに挿入する際や振動した際、二次電池10の構成部品を利用して、電流遮断装置25の装置端面22bとタブ側端面12aの接触を抑制できる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、蓄電装置としての二次電池10の第2の実施形態を
図6〜
図9にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0048】
図6又は
図7に示すように、正極タブ群18には正極導電部材51が接合されている。また、負極タブ群19には負極導電部材52が接合されている。蓋11bの内面11cと電極組立体12のタブ側端面12aとの間には、正極導電部材51及び負極導電部材52が配置されている。
【0049】
正極導電部材51は、長手方向における第1端及び第2端を有し、その第1端側に正極タブ群18と接合されたU字状(チャネル形状)の電極接合部51aを備える。電極接合部51aは、タブ側端面12aに対峙する部位に接合片51dを備える。この接合片51dに正極タブ群18が溶接されている。正極タブ群18は、積層方向の一端側に寄せ集められ、かつ他端側に折り曲げられた状態にあり、折り曲げ部から積層方向他端側へ突出する突出部18aを有する。
【0050】
正極タブ群18の突出部18aに対し、電極接合部51aの接合片51dがタブ側の端面12a側から接合されている。接合片51dは、正極タブ群18の突出部18aを電極組立体12側から覆っている。また、正極タブ群18と電極接合部51aとの接合部は、蓋11bの内面11cとタブ側端面12aとの間に位置する。正極導電部材51は、平板状の端子接続部51bを長手方向第2端側に備え、電極接合部51aと端子接続部51bとは長手方向に連続している。また、正極導電部材51は、図示しない挿通孔を端子接続部51bに備える。
【0051】
図6又は
図8に示すように、負極導電部材52は、負極タブ群19と電気的に接合されたU字状(チャネル形状)の電極接合部52aを長手方向第1端側に備える。電極接合部52aは、タブ側端面12aに対峙する部位に接合片52dを備える。この接合片52dに負極タブ群19が溶接されている。負極タブ群19は、積層方向の一端側に寄せ集められ、かつ他端側に折り曲げられた状態にあり、折り曲げ部から積層方向他端側へ突出する突出部19aを有する。
【0052】
負極タブ群19の突出部19aに対し、電極接合部52aの接合片52dがタブ側端面12a側から接合されている。接合片52dは、負極タブ群19の突出部19aを電極組立体12側から覆っている。また、負極タブ群19と電極接合部52aとの接合部は、蓋11bの内面11cとタブ側端面12aとの間に位置する。また、負極導電部材52は、端子接続部52bを長手方向第2端側に備え、電極接合部52aと端子接続部52bは長手方向に連続している。
【0053】
次に、正極端子構造60及び負極端子構造61を説明する。なお、正極端子構造60と負極端子構造61は、電流遮断装置を除いて基本的に同じ構成であるため、共通の部材については、同じ部材番号を使用して説明する。
【0054】
図6に示すように、蓋11bは、長手方向における両端寄りにそれぞれ挿通孔11eを備える。正極端子構造60及び負極端子構造61の各々は、蓋11bの外面11dに配置された外側絶縁部材57を備える。外側絶縁部材57は、正極の外部接続端子66及び正極引出端子74と蓋11bとを絶縁し、負極の外部接続端子66及び負極引出端子75と蓋11bとを絶縁する。外側絶縁部材57は合成樹脂製である。各外側絶縁部材57は挿通孔57dを備える。
【0055】
正極端子構造60及び負極端子構造61の各々は、蓋11bの外側に配置された外部接続端子66を備え、外部接続端子66は蓋11bの外側で、二次電池10同士を電気的に接続するバスバーを固定可能とする。外部接続端子66は金属製である。各外部接続端子66には、バスバー締結用のナットが螺合可能である。
【0056】
正極端子構造60は、正極導電部材51を介して電極組立体12の正極タブ群18と電気的に接続された電極端子としての正極引出端子74を備える。負極端子構造61は、負極導電部材52を介して電極組立体12の負極タブ群19と電気的に接続された電極端子としての負極引出端子75を備える。
【0057】
正極端子構造60は、正極の外部接続端子66と正極引出端子74とを電気的に接続する端子接続部材44を備え、負極端子構造61は、負極の外部接続端子66と負極引出端子75とを電気的に接続する端子接続部材44を備える。各端子接続部材44は、長手方向の一端側に接続片46を備え、長手方向の他端側に固定片47を備える。端子接続部材44の各々は、接続片46をそれらの厚み方向に貫通する貫通孔46aを備え、貫通孔46aには外部接続端子66がそれぞれ挿通されている。また、端子接続部材44の各々は、固定片47をそれらの厚み方向に貫通する挿通孔47aを備え、挿通孔47aには正極引出端子74又は負極引出端子75が挿通されている。
【0058】
正極端子構造60の正極引出端子74は、その軸方向に連続する接続用軸部74a及び基部74bを備える。正極引出端子74の基部74bは、蓋11bの内面11cからケース11内に配置されているとともに、接続用軸部74aは、正極導電部材51の挿通孔、後述する内側絶縁部材30の挿通孔30a、蓋11bの挿通孔11e、外側絶縁部材57の挿通孔57d、及び端子接続部材44の挿通孔47aを貫通している。正極端子構造60において、前述の内側絶縁部材30は、正極端子構造60において、蓋11bと端子接続部51bとの間に介在し、蓋11bと端子接続部51bとの接触を規制するとともに、蓋11bと正極導電部材51とを絶縁する。
【0059】
端子接続部材44の挿通孔47aを貫通した接続用軸部74aの先端部は軸方向にかしめられている。
図7に示すように、接続用軸部74aと基部74bとによって、正極導電部材51、内側絶縁部材30、蓋11b、外側絶縁部材57、及び端子接続部材44の固定片47が挟持されている。このかしめに伴う挟持により、正極引出端子74が蓋11bに固定されている。
図6に示すOリング73は、蓋11bの内面11cのうち挿通孔11eの周囲に密接し、蓋11bの挿通孔11eをシールしている。
【0060】
正極引出端子74の接続用軸部74aの先端部は端子接続部材44と電気的に接続されている。また、正極引出端子74の基部74bは正極導電部材51と電気的に接続されている。
【0061】
図6に示すように、負極端子構造61において、負極引出端子75はその軸方向に連続する接続用軸部75a及び基部75bを備える。負極引出端子75の接続用軸部75aは、内側絶縁部材30の挿通孔30a、蓋11bの挿通孔11e、外側絶縁部材57の挿通孔57d、及び端子接続部材44の挿通孔47aに挿通されている。負極引出端子75は、その軸方向に貫通する軸孔75cを備える。
【0062】
負極端子構造61において、内側絶縁部材30は、蓋11bと負極引出端子75の基部75bとの間に介在し、蓋11bと基部75bとの接触を規制するとともに、蓋11bと負極引出端子75とを絶縁する。
【0063】
負極端子構造61において、端子接続部材44の挿通孔47aを貫通した接続用軸部75aの先端部が軸方向にかしめられている。
図7に示すように、接続用軸部75aと基部75bとによって、内側絶縁部材30、蓋11b、外側絶縁部材57、及び端子接続部材44が挟持されている。このかしめに伴う挟持により、負極引出端子75が蓋11bに固定されている。
図6に示すOリング73は、蓋11bの内面11cのうち挿通孔11eの周囲に密接し、蓋11bの挿通孔11eをシールしている。また、負極引出端子75の接続用軸部75aの先端部は端子接続部材44と電気的に接続されている。
【0064】
二次電池10は、一方の電極端子である負極引出端子75に一体の電流遮断装置80を備える。電流遮断装置80は、負極タブ14c(負極タブ群19)と負極引出端子75とを電気的に接続する導電経路に配設されている。電流遮断装置80は、ケース11の内部に配置されている。電流遮断装置80には、負極引出端子75の軸孔75cを介してケース11外の圧力が導入されている。
【0065】
電流遮断装置80は、ケース11の内部圧力が、ケース11外の圧力を超えて所定の設定圧力に達すると、電極組立体12と負極引出端子75とを電気的に接続している通電経路の電流を遮断する。電流遮断装置80は負極導電部材52に接触しており、負極導電部材52は電流遮断装置80の一部と捉えることができる。よって、
図7に示すように、負極導電部材52のうち、タブ側端面12aに対向した面を、電流遮断装置80におけるタブ側端面12aへの対向面と捉えることができ、この負極導電部材52におけるタブ側端面12aへの対向面を装置端面52fとする。
【0066】
また、
図8に示すように、電流遮断装置80は、負極引出端子75に一体化されており、負極引出端子75はかしめによって蓋11bに固定されている。このため、電流遮断装置80は蓋11bに対し変位不能である。よって、電流遮断装置80は、蓋11bに対し、常に最接近した位置にあり、この最接近した状態での、上記対向方向Zに沿った蓋11bの内面11cから装置端面52fまでの寸法が第1寸法L1となる。この第1寸法L1は、上記の対向距離Lより短く、二次電池10内では、装置端面52fは電極組立体12のタブ側端面12aから対向方向Zに沿って離れている。
【0067】
上記構成の第2の実施形態の二次電池10において、絶縁部材40は電極接合部51a,52aと蓋11bとの間に介在し、両者を絶縁する。側壁部42の絶縁端面42aは、電極接合部51a,52aの接合片51d,52dよりも、タブ側端面12aに近くなるように接合片51d,52dよりもタブ側の端面12aに向けて突出した位置にある。そして、第2の実施形態においても、絶縁部材40が最接近位置にある状態で第1寸法L1<第2寸法L2が成立している。
【0068】
次に、第2の実施形態の二次電池10の組立方法を記載する。
なお、負極引出端子75と電流遮断装置80と負極導電部材52が予め一体化されているとする。まず、蓋11bの外面11dに外側絶縁部材57を配置する。外側絶縁部材57に外部接続端子66を支持させる。次に、端子接続部材44の貫通孔46aに外部接続端子66を挿入する。
【0069】
次に、正極側において、蓋11bの内面11c側にOリング73、内側絶縁部材30を配置するとともに正極導電部材51を配置する。負極側において、蓋11bの内面11c側にOリング73、内側絶縁部材30を配置するとともに負極導電部材52を配置する。このとき、正極の電極接合部51a及び負極の電極接合部52aと蓋11bの内面11cとの間に絶縁部材40の本体部41を介在させる。
【0070】
そして、正極引出端子74の接続用軸部74aを正極導電部材51の挿通孔、内側絶縁部材30の挿通孔30a、Oリング73、蓋11bの挿通孔11e、外側絶縁部材57の挿通孔57d、及び端子接続部材44の挿通孔47aに挿入する。また、負極において、負極引出端子75の接続用軸部75aを、内側絶縁部材30の挿通孔30a、Oリング73、蓋11bの挿通孔11e、外側絶縁部材57の挿通孔57d、及び端子接続部材44の挿通孔47aに挿入する。
【0071】
そして、正極の接続用軸部74aのかしめにより、基部74bと接続用軸部74aの先端部との間に、端子接続部51b、内側絶縁部材30、Oリング73、蓋11b、外側絶縁部材57、及び端子接続部材44が一体化される。また、負極の接続用軸部75aのかしめにより、基部75bと接続用軸部75aの先端部との間に、内側絶縁部材30、Oリング73、蓋11b、外側絶縁部材57、及び端子接続部材44が一体化されるとともに、電流遮断装置80も一体化される。
【0072】
すると、蓋11bに正極端子構造60及び負極端子構造61が設置されるとともに、絶縁部材40が蓋11bに一体化される。そして、正極導電部材51の電極接合部51aに対し、正極タブ群18がレーザ溶接によって接合され、負極導電部材52の電極接合部52aに対し、負極タブ群19がレーザ溶接によって接合される。なお、電極接合部51a及び電極接合部52aは、タブ群18,19とレーザ溶接される前は、U字状(チャネル形状)に折り曲げられておらず、平板状である。次に、電極接合部51a,52aをU字状(チャネル形状)に折り曲げ、正極タブ群18及び負極タブ群19を折り曲げる。すると、接合片51d,52dによって、突出部18a,19aが電極組立体12側から覆われた状態になる。その結果、蓋11bと電極組立体12とが正極タブ群18及び負極タブ群19を介して一体化される。
【0073】
そして、電極組立体12をケース本体11a内に挿入する。このとき、電極組立体12をケース本体11a内に押し込む。そして、電極組立体12がケース本体11a内に挿入された後、蓋11bをケース本体11aの開口端に接合すると、二次電池10が組み立てられる。
【0074】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(5)の効果と同様の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(6)絶縁部材40が蓋11bに予め一体化された状態であっても、第1寸法L1<第2寸法L2が成立する。このため、絶縁部材40によって、電流遮断装置80と電極組立体12との接触を抑制できる。
【0075】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第2の実施形態において、
図9に示すように、絶縁部材90は、その長手方向から見た側面視が絶縁部材90の短手方向のうち一方向に開口するU字状(チャネル形状)であってもよい。
図9及び
図10では、負極側の構成のみを示すが、正極側の構成も負極側の構成と同様である。絶縁部材90は、矩形平板状の本体部91を有する。本体部91は、電極接合部51a,52aと蓋11bとの間に介在し、両者を絶縁する。また、絶縁部材90は側壁部92を有する。側壁部92は、本体部91の一長辺から電極組立体12に向けてL字状に突出している。側壁部92は、正極タブ群18の突出部18a及び負極タブ群19の突出部19aを電極組立体12側から覆う。側壁部92において、タブ側の端面12aに対峙する面を絶縁端面92aとする。絶縁部材90において、本体部91の外面91aが蓋11bの内面11cに接触し、絶縁部材90が蓋11bに最接近した位置を最接近位置とする。絶縁部材90が最接近位置にあるときの、上記対向方向Zに沿った蓋11bの内面11cから側壁部92の絶縁端面92aまでの寸法が第2寸法L2となる。第2寸法L2は、側壁部92の高さと同じである。そして、絶縁部材90についても第1寸法L1<第2寸法L2が成立する。
【0076】
次に、二次電池10の組立方法を説明する。
まず、正極端子構造60及び負極端子構造61が蓋11bに設置される。次に、正極導電部材51の電極接合部51aに対し、正極タブ群18がレーザ溶接によって接合され、負極導電部材52の電極接合部52aに対し、負極タブ群19がレーザ溶接によって接合される。次に、電極接合部51a,52aがU字状(チャネル形状)となるように折り曲げられ、正極タブ群18及び負極タブ群19を折り曲げる。すると、接合片51d,52dによって、突出部18a,19aが電極組立体12側から覆われた状態になる。その結果、蓋11bと電極組立体12が一体化される。蓋11bと電極組立体12が一体化された状態では、蓋11bと電極接合部51a,52aとの間には隙間が存在する。
【0077】
そして、
図10に示すように、絶縁部材90の長手方向に沿う開口を、電極接合部51a,52aの曲げ部に対向させた状態で、それら電極接合部51a,52aに向けてスライドさせる。そして、本体部91を、電極接合部51a,52aと蓋11bとの隙間に挿入するとともに、側壁部92のタブ側端面12a側の端部を、接合片51d,52dとタブ側端面12aとの間に挿入する。すると、絶縁部材90の本体部91が電極接合部51a,52aに支持されるとともに、側壁部92の一部によって、接合片51d,52dが電極組立体12側から覆われる。
【0078】
このように構成すると、蓋11bに正極端子構造60及び負極端子構造61を設置した後でも絶縁部材90を装着することができる。
○ 各実施形態では、絶縁部材40,90の高さを第2寸法L2としたが、これに限らない。例えば、絶縁部材40,90における本体部41,91の外面41a,91aと、蓋11bの内面11cとの間に別部材が介在する場合は、その別部材と絶縁部材40,90の高さを合わせた寸法が第2寸法L2となる。
【0079】
○ 各実施形態において、絶縁部材40,90は、負極導電部材21,52と蓋11bとの間に介在する負極用の絶縁部材と、正極導電部材22,51と蓋11bとの間に介在する正極用の絶縁部材とに分かれていてもよい。
【0080】
○ 第1の実施形態において、絶縁部材40は、負極導電部材21及び正極導電部材22と蓋11bとを絶縁するものであったが、これに限らない。例えば、電流遮断装置25が正極端子16ではなく、正極導電部材22の長辺方向の途中に設けられている場合、正極端子16におけるタブ側端面12aの対向面に、正極端子16と電極組立体12とを絶縁する絶縁部材を設ける。このとき、正極端子16用の絶縁部材におけるタブ側端面12aへの対向面を絶縁端面とする。また、電極組立体12をケース本体11aに挿入する際、蓋11bを電極組立体12に向けて押し込んだとき、絶縁部材が蓋11bの内面11cに最接近する。この最接近した状態で第2寸法L2を設定する。また、電流遮断装置25は正極導電部材22に設けられている。このため、電極組立体12をケース本体11aに挿入する際、蓋11bを電極組立体12に向けて押し込んだとき、電流遮断装置25が蓋11bの内面11cに最接近し、この状態において電流遮断装置25の第1寸法L1を設定する。そして、電流遮断装置25の第1寸法L1と絶縁部材の第2寸法L2との関係について、第1寸法<第2寸法が成立するようにする。
【0081】
○ 第1の実施形態において、電流遮断装置25は、正極の導電経路に配設されず、負極側において、負極タブ14cと負極端子17とを電気的に接続する導電経路に配設されていてもよい。また、第2の実施形態において、電流遮断装置80は、負極の導電経路に配設されず、正極側において、正極タブ13cと正極引出端子74とを電気的に接続する導電経路に配設されていてもよい。
【0082】
○ 各実施形態において、電流遮断装置25,80の構造は実施形態の構造に限られず、適宜変更してもよい。
○ 第1の実施形態において、正極端子16は、対向方向Zにおいて正極導電部材22を挟んで正極タブ群18に重なるように配設されていてもよいし、負極端子17は、対向方向Zにおいて負極導電部材21を挟んで負極タブ群19に重なるように配設されていてもよい。
【0083】
○ 各実施形態において、電極組立体は、一枚の長尺帯状の正極電極と、一枚の長尺帯状の負極電極との間にセパレータを介在させて捲回した捲回型であってもよい。
○ 正極電極13は、片面に活物質層13bを有していてもよい。同様に、負極電極14は、片面に活物質層14bを有していてもよい。
【0084】
○ セパレータ15は、正極電極13又は負極電極14を収容する袋状であってもよい。
○ 正極電極13及び負極電極14は1枚ずつであってもよい。
【0085】
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池に限らず、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池等の他の二次電池であってもよい。
○ 蓄電装置は、二次電池10に限らず、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等のようなキャパシタであってもよい。