(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
室外ユニット(30)の内部空間から仕切られた収容空間(R3)を形成している金属製仕切部材(62)及び樹脂部材(63)を有し、前記収容空間と前記内部空間との間において前記内部空間から前記収容空間に向って順に前記金属製仕切部材及び前記樹脂部材が配置されている箇所を含む電装品箱(60)と、
前記電装品箱の前記収容空間の中に収容されている電気部品(65)と
を備え、
前記電装品箱は、前記樹脂部材が前記金属製仕切部材に向って膨出して前記金属製仕切部材に接する膨出部(63a)を有し、前記内部空間と前記収容空間とを連通させている空気流路が、前記膨出部の周囲の前記樹脂部材と前記金属製仕切部材の間の第1隙間で構成されている第1流路を含み、
前記膨出部は、前記第1流路が蛇行するように配置されている、冷凍装置の室外ユニット。
前記電装品箱は、前記第1流路が水平面に沿うように構成され、前記第1流路に連通し且つ前記樹脂部材と前記金属製仕切部材の間の鉛直面に沿う第2隙間によって構成されている第2流路を前記空気流路が含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の冷凍装置の室外ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されている電装品箱では、熱を逃がすための空気の通路を通って電気部品に水が掛かり難くするため、遮水壁と防水壁との間に減速室が設けられている。しかしながら、粒子径の小さなミスト状の水が電気部品のところまで侵入するのを抑制するには、特許文献1の構成では十分とはいえない場合がある。
【0004】
冷凍装置の室外ユニットにおいて、ミスト状の水が電装品箱の電気部品まで到達するのを抑制するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の冷凍装置の室外ユニットは、室外ユニットの内部空間から仕切られた収容空間を形成している金属製仕切部材及び樹脂部材を有し、収容空間と内部空間との間において内部空間から収容空間に向って順に金属製仕切部材及び樹脂部材が配置されている箇所を含む電装品箱と、電装品箱の収容空間の中に収容されている電気部品とを備え、電装品箱は、樹脂部材が金属製仕切部材に向って膨出して金属製仕切部材に接する膨出部を有し、内部空間と収容空間とを連通させている空気流路が、膨出部の周囲の樹脂部材と金属製仕切部材の間の第1隙間で構成されている第1流路を含む、ものである。
【0006】
このような構成の室外ユニットでは、膨出部の周囲の第1隙間によって第1流路を狭く長く構成できるので、電気部品を冷やすために流れる空気流路の空気流に乗ってミスト状の水が収容空間に到達するのを空気流路の中の第1流路によって抑制することができる。
【0007】
第2観点の冷凍装置の室外ユニットは、第1観点の室外ユニットであって、膨出部は、第1流路が蛇行しつつ水平方向に延びるように配置されている、ものである。
【0008】
このような構成の室外ユニットでは、第1流路が蛇行しつつ水平方向に沿って延びているので、第1流路を長く形成しても電装品箱をコンパクト化することができる。
【0009】
第3観点の冷凍装置の室外ユニットは、第1観点または第2観点の室外ユニットであって、電装品箱は、第1隙間で流路を狭める内部スリットを有する、ものである。
【0010】
このような構成の室外ユニットでは、第1隙間で流路を狭める内部スリットを電装品箱が有するので、第1隙間の中に空気が緩やかに流れる箇所をつくってミスト状の水が第1隙間を通過するのを抑制することができる。
【0011】
第4観点の冷凍装置の室外ユニットは、第1観点から第3観点のいずれかの室外ユニットであって、内部空間は、ファンが配置されている送風機室と圧縮機が配置されている機械室とを含み、第1流路は、送風機室と機械室とが並ぶ方向に対して交差する方向に空気が流れるように配置されている、ものである。
【0012】
このような構成の室外ユニットでは、送風機室と機械室とが並ぶ方向に対して交差する方向に空気が流れるように第1流路が配置されているので、機械室から送風機室へ流れる空気の流れを長く形成することができる。
【0013】
第5観点の冷凍装置の室外ユニットは、第1観点から第4観点のいずれかの室外ユニットであって、電装品箱は、第1流路が水平面に沿うように構成され、第1流路に連通し且つ樹脂部材と金属製仕切部材の間の鉛直面に沿う第2隙間によって構成されている第2流路を空気流路が含む、ものである。
【0014】
このような構成の室外ユニットでは、水平面に沿う第1流路と鉛直面に沿う第2流路を空気流路が含むので、第1流路のみの場合に比べて空気流路を第2流路の長さだけさらに長く形成することができる。
【0015】
第6観点の冷凍装置の室外ユニットは、室外ユニットの内部空間から仕切られた収容空間に収容され、第1面及び第2面を持ち、第2面には電気部品が実装されている配線基板と、内部空間と収容空間との間に配置され、第1面を覆う本体部及び、本体部から配線基板の第2面より遠くまで延びて配線基板の側方を配線基板から離れて囲む内側壁を有する樹脂製の蓋と、配線基板を挟んで本体部とは反対側にあって第1面に垂直な方向に見て配線基板の周縁部に重なる位置まで延びている額縁部及び、内側壁より内側において額縁部から第2面に向って延びて額縁部と第2面との間の空隙を小さくする遮蔽部を有し、蓋を支持しているとともに収容空間に配線基板を支持している樹脂製の支持枠とを備える、ものである。
【0016】
このような構成の室外ユニットでは、内側壁より内側において額縁部から第2面に向って延びて額縁部と第2面との間の空隙を小さくする遮蔽部を有するので、電気部品を冷やすために流れる空気流に乗ってミスト状の水が配線基板と内側壁との間及び額縁部と第2面の間を通って蓋と支持枠と配線基板に囲まれた空間に到達するのを、遮蔽部によって抑制することができる。
【0017】
第7観点の冷凍装置の室外ユニットは、第6観点の室外ユニットであって、収容空間と内部空間との間において支持枠よりも内部空間に近い側に配置されている金属製仕切部材をさらに備え、蓋は、金属製仕切部材に対向する側部を有し、本体部から突出していて金属製仕切部材と蓋の側部との合わせ目を覆う屋根部をさらに有する、ものである。
【0018】
このような構成の室外ユニットでは、本体部から突出していて金属製仕切部材と蓋の側部との合わせ目を覆う屋根部を有するので、合わせ目からミスト状の水が侵入するのを屋根部によって抑制することができる。
【0019】
第8観点の冷凍装置の室外ユニットは、第7観点の室外ユニットであって、収容空間から内部空間に延びるハーネスをさらに備え、蓋及び/または支持枠と金属製仕切部材とは、蓋及び/または支持枠と金属製仕切部材との間にハーネスの配線経路となる溝部を構成し、蓋は、溝部に突出し、溝部の底部に向って傾斜した傾斜部を持ち、ハーネスを保持する保持爪をさらに有する、ものである。
【0020】
このような構成の室外ユニットでは、溝部に突出し、溝部の底部に向って傾斜した傾斜部を持ち、ハーネスを保持する保持爪を蓋が有するので、傾斜部によってハーネスが外れるのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1)全体構成
以下、実施形態に係る冷凍装置について図面を用いて説明する。
図1には、実施形態に係る冷凍装置が備える冷媒回路が示されている。
図1に示されている冷凍装置10は、空気調和機である。ここでは、冷凍装置10として、空気調和機を例に挙げて説明しているが、冷凍装置10には、空気調和機以外に、例えば、ヒートポンプ給湯器、冷蔵庫、及び庫内を冷却する冷却装置が含まれる。
図1に示されている冷凍装置10は、複数の室内ユニット20と、複数の室内ユニット20に接続された室外ユニット30とを備えている。室内ユニット20と室外ユニット30とは連絡配管12,13で接続されており、並列に接続された複数の室内ユニット20と室外ユニット30の間で冷媒を循環させるための冷媒回路11が形成されている。この冷媒回路11を冷媒が循環することによって、冷凍装置10は、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行うことができる。
【0023】
さらに詳細に見ると、各室内ユニット20は、室内熱交換器21と室内ファン22と室内制御装置41とを備えている。また、室外ユニット30は、圧縮機31と室外熱交換器32と複数の膨張弁33と室外ファン34とアキュムレータ35と四路切換弁36と室外制御装置42とを備えている。例えば膨張弁33には電動弁を用いることができる。冷房運転時には、四路切換弁36によって、圧縮機31、室外熱交換器32、複数の膨張弁33、複数の室内熱交換器21、そしてアキュムレータ35の順に冷媒が循環するように冷媒回路11が構成されている。暖房運転時には、四路切換弁36によって、圧縮機31、複数の室内熱交換器21、複数の膨張弁33、室外熱交換器32、そしてアキュムレータ35の順に冷媒が循環するように冷媒回路11が構成されている。
【0024】
(2)冷凍装置の動作
(2−1)冷房時の冷媒の流れ
次に冷凍装置10の動作の概略を説明する。冷房運転時は、四路切換弁36が
図1において実線で示す状態に保持される。圧縮機31から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四路切換弁36を介して室外熱交換器32に流入する。室外熱交換器32においては、冷媒が、室外ファン34により供給される室外空気との間で熱交換して放熱する。放熱して冷えた冷媒は、分流されて、各々の膨張弁33の流入口に流入する。各膨張弁33では、冷媒が膨張されて減圧される。減圧された冷媒が、各膨張弁33の流出口から各連絡配管12を通って、各膨張弁33に対応した各室内熱交換器21の流入口に流入する。各室内熱交換器21においては、冷媒が、各室内ファン22により供給される室内空気との間で熱交換して吸熱する。各室内熱交換器21で加熱された冷媒が、各室内熱交換器21の流出口から各連絡配管13と四路切換弁36とアキュムレータ35を通って圧縮機31に吸い込まれる。各室内ユニット20では、各室内熱交換器21で冷媒と熱交換されて冷えた調和空気が、各室内ファン22により吹出される。各室内ユニット20から吹出される冷えた調和空気により、各室内ユニット20の取り付けられている室内の冷房が行われる。
【0025】
(2−2)暖房時の冷媒の流れ
暖房運転時は、四路切換弁36が
図1において破線で示す状態に保持される。圧縮機31から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四路切換弁36を介して各連絡配管13を通って各室内熱交換器21に流入する。各室内熱交換器21においては、冷媒が、各室内ファン22により供給される室内空気と熱交換して放熱する。放熱して冷えた冷媒は、各室内熱交換器21の流出口から流出して、各連絡配管12を通って、各室内熱交換器21に対応した各膨張弁33の流入口に流入する。各膨張弁33では、冷媒が膨張されて減圧される。減圧された冷媒が、各膨張弁33の流出口から室外熱交換器32の流入口に流入する。室外熱交換器32においては、冷媒が、室外ファン34により供給される室外空気との間で熱交換して吸熱する。室外熱交換器32で加熱された冷媒は、室外熱交換器32の流出口から四路切換弁36とアキュムレータ35を通って圧縮機31に吸い込まれる。各室内ユニット20では、各室内熱交換器21で冷媒と熱交換されて暖められた調和空気が、各室内ファン22により吹出される。各室内ユニット20から吹出される暖かい調和空気により、各室内ユニット20の取り付けられている室内の暖房が行われる。
【0026】
(2−3)電気系統
複数の室内ユニット20のそれぞれの室内ファン22は、モータによって駆動され、電力の供給を受けている。また、複数の室内ユニット20には、それぞれの室内ファン22の回転数などを制御するための室内制御装置41がそれぞれ設置されている。
【0027】
室外ユニット30の圧縮機31、複数の膨張弁33及び室外ファン34は、モータによって駆動され、電力の供給を受けている。四路切換弁36は、例えば電磁石によって切り替えの方向が制御されている。また、室外ユニット30には、圧縮機31及び室外ファン34の回転数の制御、複数の膨張弁33の弁開度の制御及び四路切換弁36の切換を制御するための室外制御装置42が設置されている。なお、室外制御装置42と複数の室内制御装置41とは、互いに接続されて、制御装置40を構成している。室外ユニット30には、室外制御装置42を構成するための複数の電気部品並びに、圧縮機31、複数の膨張弁33及び室外ファン34に電力を供給するための電気部品65(
図8参照)が電装品箱60(
図9(a)参照)の中に収納されている。
【0028】
(3)室外ユニット30の外観
室外ユニット30は、
図2に示されているように、前後、左右及び上下を囲むボックス形状のケーシング50を備えている。
図2には、室外ユニット30を前方右斜め上から見た室外ユニット30が示されている。
図3には、室外ユニット30を後方右斜め下から見た室外ユニット30が示されている。なお、
図3に示されている室外ユニット30からは、後に取り付けられる保護用の金網(図示せず)が取り外されている。
【0029】
ケーシング50の上面には、天板51が配置され、その前面には、前板52が配置され、その右側面には、右側板53が配置され、その左側面には左側板54が配置され、その底面には、底フレーム55が配置されている。前板52には保護用のグリル52aが吹出口52bを覆って取り付けられている。また、右側板53には、閉鎖弁カバー56が取り付けられている。
【0030】
(4)室外ユニット30の内部構造の概要
図4には、後方右斜め上方から見た、
図2に描かれた天板51及び閉鎖弁カバー56の取り外された室外ユニット30が示されている。
図7には、右から見た、
図4の室外ユニット30が示されている。
【0031】
室外ユニット30の中の後側から左側にかけて室外熱交換器32が設置されている。室外熱交換器32は、送風機室R1に配置されている。室外熱交換器32は、天板51と右側板53と左側板54と底フレーム55とに囲まれた後側開口部よりも大きい形状を有する。従って、後側開口部を通過した室外空気が、実質的に全て、室外熱交換器32を通過する。また、左側板54の複数の左側開口部54aを通過した室外空気も、実質的に全て、室外熱交換器32を通過する。
【0032】
図5には、
図4に描かれた右側板53及び左側板54並びに電装品箱60の蓋61などが取り外された室外ユニット30が示されている。
図5に示されているように、送風機室R1の中に室外ファン34が設置されている。室外ファン34は、後側開口部の前に在る室外熱交換器32の領域よりもさらに前に配置されている。左側開口部54aよりも右に在る室外熱交換器32の領域よりもさらに右に、室外ファン34は配置されている。送風機室R1の中では、この室外ファン34によって、後から室外熱交換器32を通って前に向う気流が発生する。室外ファン34の前には、室外ファン34に対してベルマウス57が配置されている。室外ファン34によって前方に押し出される空気は、ベルマウス57の開口を通過して吹出口52bから吹出される。
【0033】
図6には、
図4に描かれた右側板53と左側板54とベルマウス57、
図2に描かれた前板52、及び圧縮機31と室外ファン34などが取り外された室外ユニット30が示されている。送風機室R1と機械室R2は、底フレーム55に固定され、底フレーム55から上方に向かって立ち上がった仕切板58によって仕切られている。この仕切板58の上に電装品箱60が固定されている。電装品箱60は、ヒートシンク90が取り付けられている左側部分60Lが送風機室R1に張り出すように配置され、端子盤取付板81の取り付けられている右側部分60Rが機械室R2に張り出すように配置されている。電装品箱60の右側部分60Rの前側に開口部60aがある。この開口部60aの直前には前板52が配置され、開口部60aを通って送風機室R1に向う気流は実質的に発生しない構成となっている。つまり、室外ユニット30は、前板52によって、開口部60aを通過する気流が実質的に遮断される構成を有している。
【0034】
電装品箱60の右側に取り付けられている端子盤取付板81は、ケーシング50の右側面に対向する配置になっている。端子盤取付板81は、ケーシング50の右側面を形成している右側板53の右側開口部53cから見えるところに位置している。なお、この右側開口部53cには、端子盤カバー板53aが取り付けられる。この右側開口部53cを通過した室外空気は、室外ファン34が駆動していることにより送風機室R1の気圧が大気圧よりも低くなっているときには、電装品箱60の中を通って送風機室R1へと流れる。送風機室R1と機械室R2とが仕切板58で仕切られているので、この電装品箱60の中を通る空気流路を除いては、機械室R2を通過して送風機室R1へと室外空気が流れる流路が実質的に存在しない。なお、電装品箱60と天板51との間には、これらの間の隙間を十分に塞ぐために例えば樹脂フォーム(図示せず)などが配置されている。右側板53には閉鎖弁カバー56が取り付けられており、
図2に示されている閉鎖弁カバー部スリット56aを通して、右側開口部53cと室外ユニット30の外部の空間とが繋がっている。室外熱交換器32は、例えばフィンアンドチューブ式であって冷媒が流れる伝熱管と熱交換を促進するための多数の伝熱フィンを有している。室外ファン34が駆動されて気流が発生すると、室外熱交換器32の伝熱フィンの間を通過するときに生じる空気抵抗などによって送風機室R1の中の気圧が大気圧より低くなる。
【0035】
端子盤取付板81には、端子盤82及び基板用カバー83によって覆われた設定用プリント基板(図示せず)が取り付けられている。端子盤取付板81には、閉鎖弁カバー部スリット56aを通過した室外空気を電装品箱60へと導くための取付板スリット81aが形成されている。取付板スリット81aを通過した室外空気は、仕切部材スリット62a(
図9(b)参照)などを通過して電装品箱60の中に入る。
【0036】
(5)電装品箱60の構成
図9(a)、
図9(b)及び
図10に示されているように、電装品箱60の上部には、樹脂製の蓋61が配置されている。蓋61は、上方から見て、凡そ長方形の形状を呈する。蓋61の下には、電装品箱60の前面60fの一部及び右側面60m並びに左側面60n、後面60u及び底面60s(
図12参照)を実質的に覆う金属製仕切部材62が配置されている。
図11には、電装品箱60を各構成部品に分解した状態が示されている。金属製仕切部材62は、樹脂製の支持枠63と組み合わされており、電装品箱60の表面に支持枠63の一部が露出している箇所もある。電装品箱60の前面60fには、既に説明した開口部60aが形成されている。電装品箱60の内部は、室外ユニット30の内部空間である送風機室R1と機械室R2から仕切られた収容空間R3となっている。言い換えると、樹脂部材である蓋61及び支持枠63並びに金属製仕切部材62が、送風機室R1と機械室R2から仕切られた収容空間R3を形成している。
【0037】
収容空間R3の中には、電気部品65が収容されている。電気部品65は、蓋61の下に配置されて、蓋61に対して実質的に平行に置かれている第1内部プリント基板66の下側にも実装されている。この第1内部プリント基板66は、
図11に示されているように、支持枠63によって支持されている。また、金属製仕切部材62の右側面には、第2内部プリント基板67(
図8参照)が取り付けられており、この第2内部プリント基板67にも電気部品65が実装されている。第1内部プリント基板66及び第2内部プリント基板67に実装された電気部品65の中には、収容空間R3に露出していて、収容空間R3を流れる空気によって冷却される発熱部品が含まれている。さらに、電装品箱60の底面60sの箇所の金属製仕切部材62には、電気部品65の一種であるリアクタ65aが取り付けられている。このリアクタ65aは、室外ユニット30の運転時に発熱する発熱部品である。リアクタ65aも収容空間R3を流れる空気によって冷却される。
【0038】
第1内部プリント基板66には、送風機室R1に張り出す電装品箱60の左側部分60LにIPM(Intelligent power module)などの発熱部品が取り付けられている。IPMは、例えば、圧縮機31のモータ及び室外ファン34の電力供給のために用いられている電気部品65である。発熱部品であるIPMは、第1内部プリント基板66の下方に配置されているヒートシンク90に例えばシリコーン樹脂により熱的に接続されている。つまり、第1内部プリント基板66に実装されている電気部品65の中には、ヒートシンク90に熱的に接続されて、ヒートシンク90により冷却される発熱部品が含まれている。
【0039】
(5−1)電装品箱60の空気流路
電装品箱60の空気流路は、主に、仕切部材スリット62a(
図9(b)参照)が形成されている右側面から収容空間側スリット64a〜64d(
図11参照)を通過して金属製仕切部材62と支持枠63の合わせ目60b(
図16参照)のある左側面の近傍まで続いている。この空気流路は、収容空間R3と、送風機室R1及び機械室R2(室外ユニット30の内部空間)とを連通させている。
図8に矢印Ar1で空気流路を流れる空気が概念的に示されている。この電装品箱60では収容空間側スリット64a〜64dが4つ設けられているが、収容空間側スリット64a〜64dの個数及び配置位置は変更されてもよい。
【0040】
電装品箱60の右側面60mには、仕切部材スリット62a以外に、電気部品65のための配線に用いられる配線用開口部60c(
図9(b)参照)が、空気が収容空間R3の中に侵入する主な入口になる。空気流路の中で、例えば、仕切部材スリット62aから収容空間側スリット64a〜64dまでが収容空間R3を通過する経路になる。収容空間R3を通過して、電気部品65を冷却した空気は、収容空間側スリット64a〜64dから金属製仕切部材62と支持枠63との間にできた空間に入る。収容空間側スリット64a〜64d野中では、収容空間側スリット64aが最も低い位置(電装品箱60の底面60sに近い位置)に配置され、次に収容空間側スリット64dが低い位置に配置され、最も高い位置には収容空間側スリット64b,64cが配置されている。
【0041】
収容空間側スリット64aは、この第1隙間G1(
図15参照)にできた第1流路の入り口である。第1流路は、
図14において、矢印Ar2が描かれている区間である。つまり、収容空間側スリット64aから開口部63cまでが第1流路である。この第1流路は、樹脂製の支持枠63が金属製仕切部材62に向って膨出して金属製仕切部材62に接する膨出部63aによって形成されている。言い換えると、支持枠63の膨出部63aの周囲の支持枠63と金属製仕切部材62の間の第1隙間G1で第1流路が構成されている。この膨出部63aは、支持枠63から金属製仕切部材62に向って突出したリブである。第1流路は、水平方向に沿って延びている。しかも、この第1流路が蛇行しつつ水平方向に延びるように膨出部63aが配置されている。
【0042】
膨出部63aの配置を見ると、第1流路を狭める内部スリット63bを形成している箇所がある。このような内部スリット63bにより、第1隙間G1の中の空気が緩やかに流れる場所を内部スリット63bの前後に形成でき、空気の流れの緩やかな場所でミスト状の水を支持枠63と金属製仕切部材62に付着させて侵入を抑制できる。
【0043】
第1流路は、送風機室R1と機械室R2とが並ぶ方向に対して交差する方向に空気が流れるように配置されている。本実施形態では、送風機室R1と機械室R2とが並ぶ方向が左右方向であり、送風機室R1と機械室R2とが並ぶ方向に対して交差する方向が前後方向である。
【0044】
第2流路は、
図14及び
図16において、矢印Ar3が描かれている区間である。つまり、開口部63cから開口部63dまでが第2流路である。第1流路は第2流路に繋がっている。第1流路が金属製仕切部材62の段差下面62q(
図13参照)と支持枠63との間の第1隙間G1に形成され、水平面である金属製仕切部材62の段差下面62qに沿うように第1流路が形成されている。それに対し、第2流路は、電装品箱60の左側面60nの箇所の金属製仕切部材62(
図12及び
図13参照)と支持枠63との間の第2隙間G2に形成され、鉛直面である左側面60nの箇所の金属製仕切部材62に沿うように第2流路が形成されている。このように、水平面に沿う第1流路から鉛直面に沿う第2流路に折り返すので、第2流路の分だけ空気流路を長く形成できる。また、水平面に沿う第1流路と鉛直面に沿う第2流路を組み合わせることで、電装品箱60をコンパクトに形成しながら、長い空気流路を形成できる。第2流路にも、第2流路を狭める内部スリット63eが形成されている箇所がある。内部スリット63eにより、第2隙間G2の中の空気が緩やかに流れる場所を内部スリット63eの前後に形成できる。
【0045】
第3流路は、
図14及び
図16において、矢印Ar4が描かれている区間である。つまり、開口部63dから合わせ目60bまでが第3流路である。第1流路、第2流路及び第3流路が、収容空間R3と内部空間である送風機室R1とを連通させている。
【0046】
第4流路は、
図14において、矢印Ar5が描かれている区間である。つまり、収容空間側スリット64bから開口部63dまでが第4流路である。第4流路は、前述の第3流路に繋がっている。第5流路は、
図14において、矢印Ar6が描かれている区間である。つまり、収容空間側スリット64cから開口部63fまでが第5流路である。第5流路は、前述の第3流路に繋がっている。第6流路は、
図14及びにおいて、矢印Ar7が描かれている区間である。つまり、収容空間側スリット64dから開口部63fまでが第6流路である。第6流路は、前述の第3流路に繋がっている。開口部63fは、開口部63dよりも高所に位置している。
【0047】
(5−2)電装品箱60へのミスト状の水の侵入
電装品箱60へのミスト状の水の侵入経路は、金属製仕切部材62と支持枠63との合わせ目60b(
図16参照)が入口となる場合と、閉鎖弁カバー部スリット56a(
図3参照)が入口となる場合がある。ここでは、金属製仕切部材62と支持枠63とによって形成される第1流路が重要な構成であることから、前者の場合について説明する。室外ユニット30の室外ファン34が駆動されているときには、合わせ目60bを通って収容空間R3から送風機室R1に向って空気が流れるので、電装品箱60へのミスト状の水が合わせ目60bから侵入する可能性は極めて小さい。室外ユニット30が室外に置かれるので、室外ファン34が停止しているときに風雨によって、ミスト状の水が室外ユニット30の吹出口52bから送風機室R1の中に入る場合がある。送風機室R1に入ったミスト状の水は、合わせ目60bから電装品箱60の中に入る。合わせ目60bから入ったミスト状の水は、第1流路から第6流路を遡らなければ、収容空間R3には到達できない。収容空間側スリット64aに到達するには、第3流路から第2流路を通ってさらに第1流路を遡らなければならない。
【0048】
ミスト状の水の密度は空気よりも大きいので、空気の流れが無ければ、重力に引かれて下に落ちる。従って、ミスト状の水は、合わせ目60bから開口部63dまで第3流路(矢印Ar4に沿う流路)を通って容易に到達する。しかし、第3流路に比べて長い第2流路(矢印Ar3に沿う流路)を水平方向に沿って遡る際に、ミスト状の水は、金属製仕切部材62と支持枠63の壁面に付着して漸次少なくなる。蛇行しつつ水平方向に沿って延びる第1流路(矢印Ar2に沿う流路)が第2流路よりもさらに長いので、第1流路を進むミスト状の水は、金属製仕切部材62の段差下面62qに付着して収容空間側スリット64aに到達し難くなる。
【0049】
ミスト状の水は、第3流路から第4流路(矢印Ar5に沿う流路)を通って収容空間側スリット64bに到達する可能性もある。しかしながら、開口部63dが収容空間側スリット64bよりも低い位置に配置されており、空気よりも密度の大きいミスト状の水は、上昇しなければ収容空間側スリット64bに到達できないので、開口部63dから収容空間側スリット64bに向う強い空気の流れがないと、収容空間側スリット64bに到達するのは困難である。
【0050】
ミスト状の水は、第3流路から第5流路(矢印Ar6に沿う流路)または第6流路(矢印Ar7に沿う流路)を通って収容空間側スリット64cまたは収容空間側スリット64dに到達する可能性もある。しかしながら、開口部63fが開口部63dよりも高い所に配置されていて且つ開口部63fが小さいので、空気よりも密度の大きいミスト状の水は、専ら重力に引かれて開口部63dに向うので、開口部63dから開口部63fに向う強い空気の流れがないと、収容空間側スリット64c,64dに到達するのは困難である。
【0051】
(6)支持枠63が第1内部プリント基板66を支持する構成
図17には、蓋61と支持枠63とが示されている。
図17のI−I線で切断すると、
図18に示されているように、蓋61と支持枠63の間に挟まれた第1内部プリント基板66が見える。
図19(a)には、
図18に描かれた第1内部プリント基板66の周辺の断面構造が拡大して示されている。
図19(a)に記載されているのは、ケーシング50の前板52に近い側である。第1内部プリント基板66は、蓋61に対向する第1面66aと、電気部品65が実装されている第2面66bとを有している。第1内部プリント基板66の第1面66aは、蓋61の本体部61aによって覆われている。
【0052】
蓋61は、本体部61aから第1内部プリント基板66の方(本実施形態では下方)に向って延びている内側壁61b及び外側壁61cを有している。内側壁61bは、第1内部プリント基板66の側方を、第1内部プリント基板66の全周囲にわたって囲んでいる。内側壁61bは第1内部プリント基板66の第2面66bより遠くまで延びている。つまり、内側壁61bの下端61buは、第2面66bよりも下にある。外側壁61cは、内側壁61bの外側を全周囲にわたって囲んでいる。外側壁61cは、本体部61aの周縁端部から下に延びている。つまり、蓋61においては、屋根部61dの箇所を除いて、外側壁61cが最も端にある。
【0053】
支持枠63は、第1内部プリント基板66を支持するための額縁部63gを有している。額縁部63gは、電気部品65を収容空間R3に露出させるための支持枠63の開口部63hを囲むように設けられている。額縁部63gは、支持されている第1内部プリント基板66に向って張り出している。この室外ユニット30においては、額縁部63gは水平方向に沿って延びている。支持枠63は、額縁部63gの付け根から蓋61に向って立ち上がっている蓋支持リブ63iを有している。蓋61が蓋支持リブ63iの頂部63itに接触して、蓋支持リブ63iによって蓋61が支持されている。従って、支持枠63が蓋61を支持している箇所には、ミスト状の水が侵入する隙間は実質的に存在しない。また、ミスト状の水の侵入は、蓋支持リブ63iの外周を取り囲む外側壁61cによっても抑制される。
【0054】
額縁部63gは、第1面66aに垂直な方向(この実施形態では上から下に向う方向)に見て、第1内部プリント基板66の周縁部に重なる位置まで延びている(
図19(b)の斜線部分が重なった箇所である)。この額縁部63gからは、第1内部プリント基板66を支持するために、複数の基板支持リブ63k(
図18及び
図19(a)参照)が蓋61の方に向って延びている。基板支持リブ63kの一部が第1内部プリント基板66の周縁部と額縁部63gが重なる位置に配置され、第1内部プリント基板66と額縁部63gの間に基板支持リブ63kが存在する。そのため、複数の基板支持リブ63kで支えられている第1内部プリント基板66は額縁部63gから浮きが上がっており、第1内部プリント基板66と額縁部63gとの間には空隙Apが生じている。第1内部プリント基板66の第1面66aに配線が露出している箇所が多いので、第2面66bが配置されている収容空間R3から第1面66aが配置されている空間R4に、空隙Apを通ってミスト状の水が侵入するのを抑制することが求められる。空間R4へのミスト状の水の侵入を抑制するために、支持枠63は、額縁部63gから第2面66bに向って延びる遮蔽部63mを有している。この遮蔽部63mによって、額縁部63gと第2面66bとの間の空隙Apが小さくなっている。
【0055】
(7)蓋61の屋根部61d
蓋61の屋根部61dについて、
図8、
図20、
図21及び
図22を用いて説明する。
図8には、天板51、右側板53、左側板54並びに電装品箱60の蓋61及び第1内部プリント基板66などが取り外された室外ユニット30が示されている。
図20には、
図8に示された電装品箱60が示されている。従って、
図20に示されている電装品箱60の蓋61及び第1内部プリント基板66が取り外され、電装品箱60の収容空間R3が見えている。
図21には、蓋61が取り付けられた状態の電装品箱60と室外熱交換器32の一部とが示されている。電装品箱60の後面60uが室外熱交換器32に対向している。電装品箱60のこの後面60uは、金属製仕切部材62で構成されている。後面60uを構成している金属製仕切部材62は、収容空間R3と内部空間である送風機室R1との間において支持枠63よりも送風機室R1に近い側に配置されている。電装品箱60の収容空間R3の中の後面60uに近い場所には、電気部品65として、例えばリアクタ65aが配置されている。室外熱交換器32を通過した室外空気が電装品箱60にミスト状の水を運ぶことがあるので、電装品箱60の収容空間R3の中にミスト状の水が侵入するのを抑制するために、蓋61は、電装品箱60の後面60uよりも後方に突出する屋根部61dを有している。
【0056】
図22には、電装品箱60の後面60uの周辺の断面構造が拡大して示されている。
図22に示されているように、蓋61は、金属製仕切部材62に対向する側部として外側壁61cを有している。なお、ここでは、金属製仕切部材62に外側壁61cが直接対向している場合を例に挙げて説明しているが、蓋61の側部は、例えば支持枠63を挟んで間接的に対向してもよい。屋根部61dは、蓋61の本体部61aから突出している。そして、屋根部61dは、蓋61の側部である外側壁61cと金属製仕切部材62との合わせ目Seを覆っている。屋根部61dは、先端部がL字形に曲がっていて、屋根部61dの先端61daが金属製仕切部材62の頂部62bよりも屋根部61dから遠い所まで下がっている。このような構造により、ミスト状の水が、さらに、合わせ目Seから侵入し難くなっている。屋根部61dが左右に延びている範囲Re1は、収容空間R3が左右に延びている範囲と同じかそれよりも長くなっている。
【0057】
(8)蓋61の保持爪61e
蓋61の保持爪61eについて、
図23、
図24、
図25及び
図26を用いて説明する。
図23には、電装品箱60とファンモータ70が示されている。
図24には、電装品箱60とハーネス71が示されている。
図25には、ハーネス71が取り外された状態の電装品箱60の一部が示されている。また、
図26には、
図25のII−II線で切断した断面が拡大して示されている。ハーネス71は、電装品箱60の収容空間R3から室外ユニット30の内部空間である送風機室R1に延びている。ファンモータ70は、室外ファン34を駆動するモータである。ハーネス71の束縛が不十分であった場合には、例えばハーネス71が室外ユニット30の内部の部材に当たって騒音の原因となったり、室外ファン34の羽根に当たって損傷したりする不具合の原因となる。ハーネス71を束縛して移動を制限するために、蓋61の周囲にハーネス71の配線経路となる溝部72が設けられている。金属製仕切部材62と蓋61及び支持枠63との間に溝部72が形成されている。ここでは、金属製仕切部材62と蓋61及び支持枠63との間に溝部72が形成される場合を例に挙げているが、金属製仕切部材と蓋との間に溝部を形成されてもよく、金属製仕切部材と支持枠との間に溝部を形成されてもよい。
図26に示されている溝部72は、金属製仕切部材62の一部が前側及び左側に突出して、金属製仕切部材62と蓋61及び支持枠63との間に連続した細長い空間を形成することによって溝部72を設けている。
【0058】
溝部72には、蓋61から複数の保持爪61eが突出している。保持爪61eは、先端に溝部72の底部72aに向って傾斜した傾斜部61eaを持っている。この傾斜部61eaによってハーネス71が溝部72から外れるのを抑制することができる。また、傾斜部61eaがあるによって傾斜部61eaのところまで真っ直ぐに保持爪61eを延ばす場合と比較して間口が広がる。傾斜部61eaによって間口が広がることにより、溝部72にハーネス71を押し込むときには、ハーネス71が溝部72に入り易くなる。また、溝部72の中にハーネス71が入った後は、傾斜部61eaにより溝部72の底部72aに近づくほど保持爪61eが金属製仕切部材62に近づくので、ハーネス71が外れ難くなる。
【0059】
(9)特徴
(9−1)
以上説明したように、冷凍装置10の室外ユニット30は、電装品箱60と、電装品箱60の収容空間R3に収容されている電気部品65を備えている。そして、電装品箱60は、室外ユニット30の内部空間である送風機室R1及び機械室R2と収容空間R3との間において、送風機室R1及び機械室R2の側から収容空間R3に向って順に金属製仕切部材62及び樹脂部材である支持枠63が配置されている箇所を含んでいる。このような箇所を含むことにより、電装品箱60の防炎性を高めている。
【0060】
複数の電気部品65の中の発熱部品から発生する熱エネルギーによって電装品箱60の仲の温度が上昇するのを抑制するため、電装品箱60は、収容空間R3に空気が流れるように構成されている。収容空間R3を通る電装品箱60の空気流路には、膨出部63aの周囲の樹脂部材である支持枠63と金属製仕切部材62の間の第1隙間G1で構成されている第1流路(
図14の矢印Ar2が描かれている区間)が含まれている。この膨出部63aの周囲の第1隙間G1によって第1流路を狭く長く構成できるので、電気部品65を冷やすために流れる空気流路の空気流に乗ってミスト状の水が収容空間R3に到達するのを空気流路の中の第1流路によって抑制することができている。
【0061】
(9−2)
図14に示されているように、第1流路(矢印Ar2が描かれている区間)は、蛇行しつつ水平方向に沿って延びている。このような構成であるので、第1流路を真っ直ぐに形成する場合に比べて第1流路を長く形成しても、支持枠63の前後方向の幅を小さくでき、電装品箱60をコンパクト化することができている。
【0062】
(9−3)
第1隙間G1に形成されている内部スリット63bが第1隙間G1で第1流路を狭めるので、内部スリット63bによって第1隙間G1の中の空気が緩やかに流れる場所を内部スリット63bの前後に形成できている。このような空気の流れの緩やかな場所でミスト状の水を支持枠63と金属製仕切部材62に付着させることができ、ミスト状の水が第1隙間G1を通過するのを抑制することができる。
【0063】
(9−4)
第1流路は、送風機室R1と機械室R2とが並ぶ方向(本実施形態では左右方向)に対して交差する方向(本実施形態では前後方向)に空気が流れるように配置されている。電装品箱60の中を空気は左右方向に流れるので、空気流路を左右方向の流路のみで構成する場合に比べて空気流路に前後方向に流れる第1流路を加えることで、機械室R2から送風機室R1へ流れる空気の流れを長く形成することができる。送風機室R1の側からのミスト状の水の侵入は、前後方向に延びる長く狭い第1流路によって抑制される。
【0064】
(9−5)
本実施形態では、空気流路が、水平面である電装品箱60の底面60sに沿う第1流路と、鉛直面である電装品箱60の左側面60nに沿う第2流路(
図14の矢印Ar3が描かれている区間)とを含んでいる。つまり、第1流路のみの場合に比べて空気流路を第2流路の長さだけさらに長く形成することができている。そのため、金属製仕切部材62と支持枠63との合わせ目60b(
図10C参照)から空気流路を遡って収容空間R3に到達するミスト状の水を第2流路により減らすることができる。
【0065】
(9−6)
配線基板である第1内部プリント基板66の第2面には電気部品が実装されている。この第1内部プリント基板66の第1面66aが露出している空間R4は、蓋61と第1内部プリント基板66と支持枠63の額縁部63gとで囲まれている。そして、遮蔽部63mは、内側壁61bより内側において額縁部63gから第2面66bに向って延びて額縁部63gと第2面66bとの間の空隙Apを小さくする。その結果、電気部品65を冷やすために流れる空気流に乗ってミスト状の水が第1内部プリント基板66と内側壁61bとの間及び額縁部63gと第2面66bの間を通って空間R4に到達するのを、遮蔽部63mによって抑制することができている。
【0066】
(9−7)
図8から
図22を用いて説明したように、電装品箱60において、蓋61の本体部61aから突出していている屋根部61dは、蓋61の側部である外側壁61cと金属製仕切部材62との合わせ目Seを覆っている。この合わせ目Seからミスト状の水が侵入することが、屋根部61dによって抑制されている。
【0067】
(9−8)
図23から
図26を用いて説明したように、電装品箱60の蓋61は、溝部72に突出している保持爪61eを有する。この保持爪61eで、ハーネス71が保持される。この保持爪61eは、溝部72の底部72aに向って傾斜した傾斜部61eaを持っている。保持爪61eの傾斜部61eaによってハーネス71を溝部72に嵌め込みやすくなっており、一旦溝部72に嵌ったハーネス71は傾斜部61eaによって外れるのが抑制される。
【0068】
(10)変形例
(10−1)変形例1A
上記実施形態では、収容空間側スリット64a以外に、収容空間側スリット64b,64c,64dを設ける場合について説明したが、これらのうちの一部または全部を省いてもよい。また、収容空間側スリット64b,64c,64d以外の収容空間側スリットを支持枠63に設けてもよい。
【0069】
(10−2)変形例1B
上記実施形態では、第1流路に続く第2流路を設ける場合について説明したが、例えば、第1流路の入口である収容空間側スリット64aを上記実施形態とは反対側の前板52に近いところに設け、第2流路を省いて、第1流路を第3流路に接続するように構成してもよい。
【0070】
(10−3)変形例1C
上記実施形態では、第1流路が蛇行しつつ水平方向に沿って延びる構成について説明したが、第1流路は、実質的に真っ直ぐ水平方向に沿って延びるように構成されてもよい。
【0071】
(10−4)変形例1D
上記実施形態では、金属製仕切部材62と支持枠63との合わせ目60bによって空気流路を収容空間R3と送風機室R1との間で連通させたが、
図27と
図28に示されているように、金属製仕切部材62の送風機室R1に面する箇所に仕切部材スリット62cを形成してもよい。この場合、仕切部材スリット62cは、その少なくとも一部が、側面視においてベルマウス57と重なる位置に設けられるのが好ましい。吹出口52bから風雨によってミスト状の水が侵入する場合、ベルマウス57から後方に向かって進むので、ベルマウス57の側方に配置された仕切部材スリット62cに風雨に起因するミスト状の水が到達までの距離が遠くなるからである。
【0072】
(10−5)変形例1E
上記実施形態の冷凍装置10は、冷房運転と暖房運転の切換が可能な冷暖兼用の冷凍装置であるが、冷房専用の冷凍装置または暖房専用の冷凍装置にも上記実施携帯で説明した技術が適用できる。
【0073】
(10−6)変形例1F
上記実施形態では、1つの室外ユニット30に、複数の室内ユニット20が繋がるタイプの冷凍装置10について説明したが、上記実施形態で説明した技術は、1つの室外ユニットに1つの室内ユニットが繋がるタイプの冷凍装置にも適用でき、また複数の室外ユニットに複数の室内ユニットが繋がるタイプの冷凍装置にも適用することができる。
【0074】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。