(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の前記支持板部が、他方の前記支持板部よりも下方に垂れ下がっており、前記一方の前記支持板部にのみ、前記第一通孔が設けられている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
【背景技術】
【0002】
自動車用のステアリング装置は、例えば特許文献1等に記載される様に、従来から知られている。ステアリング装置は、
図13に示す様に、ステアリングホイール1の回転をステアリングギヤユニット2の入力軸3に伝達し、入力軸3の回転に伴い左右1対のタイロッド4、4を押し引きして、車輪(前輪)に舵角を付与する。
【0003】
ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト5の後端部に支持固定されており、ステアリングシャフト5は、円筒状のステアリングコラム6を軸方向に挿通した状態で、ステアリングコラム6に回転自在に支持されている。又、ステアリングシャフト5の前端部は、自在継手7を介して中間シャフト8の後端部に接続され、中間シャフト8の前端部は、別の自在継手9を介して、入力軸3に接続されている。又、図示の例は、電動モータ10を補助動力源としてステアリングホイール1を操作する為に要する力の低減を図る、電動アシスト装置も組み込んでいる。
尚、本明細書及び特許請求の範囲に於いて、前後方向、幅方向(左右方向)及び上下方向は、特に断らない限り、車両の前後方向、幅方向(左右方向)及び上下方向を言う。
【0004】
図示のステアリング装置は、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイール1の上下位置を調節する為のチルト機構と、前後位置を調節する為のテレスコピック機構とを備えている。チルト機構を構成する為に、ステアリングコラム6は、車体11に対し、幅方向に設置した枢軸12を中心とする揺動変位を可能に支持されている。又、テレスコピック機構を構成する為、ステアリングコラム6は、後側のアウタコラム13と前側のインナコラム14とをテレスコープ状に伸縮可能に組み合わせた構造としている。又、ステアリングシャフト5は、後側のアウタシャフト15と前側のインナシャフト16とをスプライン係合等によりトルク伝達可能に且つ伸縮可能に組み合わせた構造としている。更に、アウタコラム13の後端寄り部分に固設したディスタンスブラケット17は、車体11に支持固定した支持ブラケット18に対して、上下方向及び前後方向の変位を可能に支持されている。
【0005】
上述した様なステアリングホイールの位置調節を可能とするステアリング装置の場合、ステアリングホイールの位置調節が可能な状態と、調節後の位置に保持可能な状態とを、クランプ機構を利用して切り替える事が従来から考えられている。この様なクランプ機構の具体的構造に就いて、特許文献2に記載された
図14を参照しつつ説明する。
【0006】
図示の構造の場合、アウタコラム13の下面にはスリット19が形成されると共に、スリット19を幅方向両側から挟む部分には、ディスタンスブラケット17が設けられている。又、ディスタンスブラケット17を構成する1対の側板部20a、20bには、前後方向に長い1対のテレスコ調節用長孔21、21が形成されている。一方、車体に支持固定される支持ブラケット18のうち、両側板部20a、20bの幅方向両側に配置される1対の支持板部22a、22bには、上下方向に長いチルト調節用長孔23、23が形成されている。そして、チルト調節用長孔23、23及びテレスコ調節用長孔21、21には、調節ロッド24が幅方向に挿通されている。
【0007】
又、調節ロッド24の先端部で、一方(
図14の右側)の支持板部22aの幅方向外側面から突出した部分に、ナット25を螺合している。これに対し、調節ロッド24の基端部で、他方(
図14の左側)の支持板部22bの幅方向外側面から突出した部分に、調節レバー26を固定している。又、調節レバー26と他方の支持板部22bの幅方向外側面との間に、カム装置27を設けている。そして、調節レバー26の操作に基づいて、カム装置27の幅方向寸法を拡縮可能としている。
【0008】
又、調節ロッド24の中間部周囲に、偏心カム28を相対回転不能に外嵌固定している。そして、偏心カム28を、スリット19を通じてアウタコラム13の内側に進入させている。
【0009】
ステアリングホイール1(
図13参照)の上下位置又は前後位置を調節する際には、調節レバー26を所定方向に揺動させて、カム装置27の幅方向寸法を縮める。これにより、両支持板部22a、22bの幅方向内側面と両側板部20a、20bの幅方向外側面との間に作用している摩擦力を小さくする。これと共に、偏心カム28の外周面とインナコラム14の外周面との間に隙間を介在させる。この結果、調節ロッド24が、チルト調節用長孔23、23及びテレスコ調節用長孔21、21内で変位できる範囲で、ステアリングホイール1の位置を調節する事が可能になる。
【0010】
これに対し、ステアリングホイール1の位置調節後は、調節レバー26を所定方向とは逆方向に揺動させて、カム装置27の幅方向寸法を拡げる。これにより、支持板部22a、22bの幅方向内側面と側板部20a、20bの幅方向外側面との間に作用する摩擦力を大きくする。これと共に、偏心カム28の外周面をインナコラム14の外周面に向けて押し付け、インナコラム14の外周面とアウタコラム13の内周面とを摩擦係合させる。この結果、ステアリングホイール1が調節後の位置に保持される。
【0011】
上述した様な従来構造のステアリング装置の場合、偏心カム28が存在する分、ステアリングホイール1の位置を保持するのに寄与する摩擦係合部の数を多くできる為、ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する力を大きくする上で有利になる。
但し、従来構造の場合には、支持ブラケット18によるディスタンスブラケット17の保持力の向上と、ステアリングコラム6の幅方向に関する支持剛性の向上との両立を図る事が困難である。例えば、支持ブラケット18による保持力の向上を図る為に、両支持板部22a、22bの幅方向に関する剛性を低くする事が考えられるが、この場合には、保持力は大きくできるものの、支持剛性が低下してしまう。反対に、ステアリングコラム6の幅方向に関する支持剛性を高める為に、両支持板部22a、22bの幅方向に関する剛性を高くする事が考えられるが、この場合には、支持剛性は高められるものの、保持力が低下してしまう。この様に、従来構造の場合には、支持ブラケット18による保持力の向上と、ステアリングコラム6の幅方向に関する支持剛性の向上との両立を図る事が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、支持ブラケットによるディスタンスブラケットの保持力の向上と、ステアリングコラムの幅方向に関する支持剛性の向上との両立を図れる構造を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のステアリング装置は、ステアリングコラムと、支持ブラケットと、ディスタンスブラケットと、調節ロッドとを備えている。
前記ステアリングコラムは、例えば円筒状や角筒状等の中空筒状であって、ステアリングシャフトをその内側に回転自在に支持する。
前記支持ブラケットは、車体に支持固定される1対の取付板部、及び、1対の取付板部の幅方向内端部からそれぞれ下方に垂れ下がった(例えば略直角に折れ曲がった)1対の支持板部を有する。
前記ディスタンスブラケットは、前記1対の支持板部の幅方向内側面と、前記ステアリングコラムの外周面との間に配置される1対の側板部を有している。
前記調節ロッドは、前記1対の支持板部の少なくとも一方に設けられた第一通孔、及び、前記1対の側板部に設けられた1対の第二通孔を、それぞれ幅方向に挿通する状態で設けられている。
【0015】
特に本発明のステアリング装置の場合には、前記ステアリングコラムを上下方向に関して前記調節ロッドから離れる方向に押圧するコラム押圧部を設けている。
又、前記1対の側板部には、上下方向に関して前記ステアリングコラムの中心軸を挟んで前記調節ロッド(コラム押圧部)とは反対側に、前記調節ロッドから離れる程幅方向内側面同士の間隔が直線的又は曲線的に小さくなり、前記調節ロッドから離れる方向に変位する前記ステアリングコラムにより幅方向外側に押し拡げられる、1対の拡幅部を設けている。
更に、前記1対の取付板部の少なくとも一方の取付板部と、前記取付板部の幅方向内端部から下方に垂れ下がった前記支持板部との間(折れ曲がり部、隅角部)に、補強リブを例えば架け渡す様にして設けている。
別の言い方をすれば、幅方向片側に配置された取付板部と支持板部との折れ曲がり部と、幅方向他側に配置された取付板部と支持板部との折れ曲がり部との少なくとも一方に、補強リブを設けている。
【0016】
上述の様な本発明のステアリング装置を実施する場合に、前記支持ブラケットは、例えばアルミニウム系合金等の軽合金製の材料(素材)に、押し出し成形、引き抜き成形、若しくはダイキャスト成形を施す事により造る事もできるし、又は、鋼板等の金属板にプレス加工による打ち抜き加工や曲げ加工等を施して造る事もできる。
又、前記補強リブは、前記支持ブラケットと一体に造る事もできるし、又は、別体として溶接等により固定する事もできる。例えば、前記支持ブラケットを、押し出し成形、引き抜き成形、ダイキャスト成形により造る場合には、前記補強リブを前記支持ブラケットと一体に造る事ができる。これに対し、前記支持ブラケットを、金属板にプレス加工等を施して造る場合には、前記補強リブを別体として、支持ブラケットに固定する事ができる。
【0017】
又、本発明のステアリング装置を実施する場合に、前記補強リブの形成範囲は特に問わないが、例えば、前記取付板部と前記支持板部との間の折れ曲がり部において、支持板部に設けられる第一通孔の直上部(第一通孔と前後方向に関して整合する範囲)に形成する事ができる。又、前記補強リブは、前記折れ曲がり部の前後方向全長に亙って連続的又は間欠的に設ける事もできるし、この折れ曲がり部の前後方向一部に設ける事もできる。
又、本発明のステアリング装置を実施する場合に、前記補強リブの形状は特に問わないが、例えば、平板状、三角柱状(例えば直角三角柱状)、円柱状(例えば四分の一円柱状)、角柱状等を採用する事ができる。
【0018】
又、本発明のステアリング装置を実施する場合には、前記コラム押圧部を、前記ディスタンスブラケットを構成する1対の側板部にそれぞれ設ける事ができる。
具体的には、前記1対の側板部において、上下方向に関して前記ステアリングコラムの中心軸と前記各第二通孔との間に位置する部分(例えば第二通孔が形成された部分に対し上下方向に関してステアリングコラム側に隣接した部分)に、互いに近づく方向(幅方向内方)に向けてそれぞれ突出する状態で、コラム押圧部を設ける事ができる。
又、この場合には、前記各コラム押圧部の幅方向内側面を、上下方向に関して前記調節ロッドから離れる程幅方向外方に向かう方向に傾斜させて、前記1対のコラム押圧部の幅方向内側面同士の間隔を、上下方向に関して前記調節ロッドから離れる程大きくする。
又は、本発明のステアリング装置を実施する場合には、前記コラム押圧部を、前記調節ロッドの周囲に設ける事もできる。
具体的には、前記コラム押圧部を、中心から外周面までの距離が円周方向位置に応じて変化する偏心カムにより構成し、偏心カムを、前記調節ロッドの周囲に相対回転不能に外嵌固定する事ができる。
【0019】
又、本発明のステアリング装置を実施する場合には、例えば、前記1対の拡幅部と前記補強リブとを、上下方向に関して整合(幅方向に関して重畳)する位置に設ける事ができる。
【0020】
又、本発明のステアリング装置を実施する場合には、例えば、前記補強リブを、前後方向両側が開口した中空構造とする事ができる。
又は、前記補強リブを、中実構造とする事もできる。
又、前記補強リブには、上方のみ(又は下方のみ)が開口した除肉部を設ける事もできる。
又、本発明のステアリング装置を実施する場合には、例えば、前記補強リブは、前後方向で見て、少なくとも前記第二通孔の直上部に軸方向に亘って形成する事ができる。
【0021】
又、本発明のステアリング装置を実施する場合には、例えば、一方の支持板部を、他方の支持板部よりも下方に垂れ下げ、一方の支持板部にのみ、前記第一通孔を設ける事ができる。この場合に、前記他方の支持板部の下端部は、前記調節ロッドよりも上方に位置させる事ができる。
更に、本発明のステアリング装置を実施する場合には、例えば、上下方向に関して前記ステアリングコラムの中心軸よりも下方に前記コラム押圧部を設け、上下方向に関してこのステアリングコラムの中心軸よりも上方に前記1対の拡幅部を設ける事ができる。
又、本発明のステアリング装置を実施する場合には、例えば、前記1対の拡幅部は、その幅方向内側面が前記ステアリングコラムの外周面と接触し、前記1対の拡幅部は、上下方向に関して、前記ステアリングコラムの外周面と接触する領域において、その幅方向外側面が前記支持板部と接触しており、且つ、中実に形成する事ができる。
又、本発明のステアリング装置を実施する場合には、例えば、前記ステアリングコラムは、その外周面が前記1対のコラム押圧部及び前記1対の拡幅部の少なくとも一方と面接触するように、多角筒状に構成する事ができる。
又、本発明のステアリング装置を実施する場合には、例えば、前記ディスタンスブラケットは、前記1対の側板部を連結する連結部をさらに備え、前記1対の側板部と前記連結部とは一体的に形成する事ができる。
【発明の効果】
【0022】
上述した様な構成を有する本発明のステアリング装置によれば、支持ブラケットによるディスタンスブラケットの保持力の向上と、ステアリングコラムの幅方向に関する支持剛性の向上との両立を図れる。
【0023】
即ち、本発明の場合には、ステアリングホイールを調節後の位置に保持する際に、コラム押圧部により、ステアリングコラムを上下方向に関して調節ロッドから離れる方向に押圧し当該方向に変位させる。そして、ディスタンスブラケットを構成する1対の側板部に設けられた1対の拡幅部を、前記ステアリングコラムにより幅方向外側に押し拡げる。これにより、前記1対の拡幅部を、支持ブラケットを構成する1対の支持板部の幅方向内側面と前記ステアリングコラムの外周面との間で挟持する。ここで、前記1対の拡幅部の幅方向内側面同士の間隔は、前記ステアリングコラムの変位方向(調節ロッドから離れる方向)に向かう程小さくなっている為、前記1対の拡幅部を、くさび効果により、前記1対の支持板部の幅方向内側面と前記ステアリングコラムの外周面との間で強く挟持できる。従って、本発明によれば、前記支持ブラケットによる前記ディスタンスブラケットの保持力を向上できる。
【0024】
しかも、本発明の場合には、前記支持ブラケットを構成する1対の取付板部の少なくとも一方の取付板部と、取付板部の幅方向内端部から下方に垂れ下がった前記支持板部との間に、補強リブを設けている。この為、少なくとも一方の支持板部に関して、幅方向に関する剛性を高める事ができる。従って、本発明によれば、前記ステアリングコラムの幅方向に関する支持剛性の向上を図れる。
以上の様に、本発明によれば、前記支持ブラケットによる前記ディスタンスブラケットの保持力の向上と、前記ステアリングコラムの幅方向に関する支持剛性の向上との両立を図れる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に就いて、
図1〜4を参照しつつ説明する。本実施形態の自動車用ステアリング装置は、ステアリングホイール1(
図13参照)の前後位置及び上下位置を調節可能とするもので、ステアリングコラム6aと、ステアリングシャフト5aと、支持ブラケット18aと、ディスタンスブラケット17aと、調節ロッド24a等を含んで構成されるクランプ機構29とを備えている。
【0027】
ステアリングコラム6aは、前側に配置されたインナコラム14aの後部と、後側に配置されたアウタコラム13aの前部とを、軸方向の相対変位を可能に嵌合させる事により、全長を伸縮可能に構成している。インナコラム14aは、鉄系合金、若しくはアルミニウム系合金、マグネシウム系合金の如き軽合金等の、電縫管又は引き抜き管等で、全体を単なる円筒状に構成している。インナコラム14aの前端部は、電動アシスト装置を構成する図示しないハウジングの後端部に固定されている。このハウジングは、幅方向に設置した枢軸12(
図13参照)により、車体11(
図13参照)に対し、上下方向に関する揺動変位のみを可能に支持されている。従って、インナコラム14aは、車体11に対し、前後位置を規制された状態で支持されている。
【0028】
アウタコラム13aは、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金の如き軽合金をダイキャスト成形する等により一体に造られたもので、全体を多角筒状(図示の例では12角筒状)に構成している。又、アウタコラム13aの前端部下方部分のうち、円周方向に離隔した2箇所位置には、軸方向に長いスリット19a、19aが形成されている。これにより、アウタコラム13aの前端部の内径を弾性的に拡縮可能としている。尚、アウタコラム13aの前端部外周面と、インナコラム14aの後端部外周面との間に、合成樹脂製のスリーブを挟持する事で、これらアウタコラム13aとインナコラム14aとの摺動抵抗を小さく抑える事もできる。
【0029】
ステアリングシャフト5aは、後側に配置されたアウタシャフト15aの内周面に形成した雌スプライン歯と、前側に配置されたインナシャフト16(
図13参照)の外周面に形成した雄スプライン歯とをスプライン係合させる事により、全長を伸縮可能に且つトルク伝達を可能に構成している。この様な構成を有するステアリングシャフト5aは、ステアリングコラム6aの内側に回転自在に支持されている。具体的には、アウタシャフト15aの中間部後端寄り部分を、アウタコラム13aの後端部の内側に、単列深溝型玉軸受の如き、ラジアル荷重及びアキシアル荷重を支承可能な転がり軸受により、回転のみ可能に支持している。この為、アウタシャフト15aは、アウタコラム13aと同期して軸方向に移動し、これに伴ってステアリングシャフト5aが伸縮する。この様なステアリングシャフト5aは、ステアリングコラム6aの内側に回転可能に支持された状態で、その後端部をステアリングコラム6aの後端開口から後方に突出させている。そして、この後方に突出した部分に、ステアリングホイール1(
図13参照)を支持可能としている。
【0030】
支持ブラケット18aは、アルミニウム合金等の軽合金製の材料を押し出し成形(又は引き抜き成形)を施す事により一体に造られたもので、ステアリングコラム6aの中間部(アウタコラム13aの前端側部分)の周囲に配置されている。本実施形態の場合、支持ブラケット18aは、車体に支持固定する為の1対の取付板部30a、30bと、ディスタンスブラケット17aを幅方向両側から挟持する1対の支持板部31a、31bと、ブリッジ部32と、1対の補強リブ33a、33bとを備えている。
【0031】
取付板部30a、30bは、支持ブラケット18aの上部幅方向両側部分に設けられ、それぞれ矩形板状に構成されており、水平方向に配置されている。又、本実施形態の場合には、支持ブラケット18aを、車体11に対し、二次衝突に基づく衝撃荷重により前方への変位(離脱)を可能に支持固定する為に、取付板部30a、30bに、それぞれの後端縁に開口する切り欠き34、34を形成している。そして、切り欠き34、34に、図示しないボルト若しくはスタッドにより車体11に固定されたカプセル35、35を係止している。カプセル35、35は、合成樹脂、アルミニウム系合金の如き軟質金属等、支持ブラケット18a(取付板部30a、30b)に対し滑り易い材料から造られている。又、カプセル35、35は、それぞれの幅方向両側面に各切り欠き34、34の幅方向両側部分を係合させる為の係止溝36、36と、中央部に図示しないボルト若しくはスタッドを挿通させる為の通孔37、37とを、それぞれ形成している。
【0032】
支持板部31a、31bは、幅方向に離隔した状態で互いに平行に配置されており、取付板部30a、30bの幅方向内端部からそれぞれ直角に折れ曲がり、下方に垂れ下がる状態で設けられている。又、支持板部31a、31bの互いに整合する位置には、特許請求の範囲に記載した第一通孔に相当するチルト調節用長孔23a、23aが、支持板部31a,31bを幅方向に貫通する状態で形成されている。チルト調節用長孔23a、23aは、枢軸12を中心とする部分円弧状である。
【0033】
ブリッジ部32は、支持ブラケット18aの上部幅方向中央部に設けられており、断面略コ字形で、取付板部30a、30bの幅方向内端部同士を幅方向に連続している。
【0034】
補強リブ33a、33bは、取付板部30a、30bの下面と支持板部31a、31bの幅方向外側面との間の2個所の隅角部(折れ曲がり部)に、各隅角部の前後方向全長に亙り連続的に設けられている。即ち、
図2に示すように、補強リブ33a、33bの前後方向長さは、支持板部31a、31bの前後方向長さと同じ長さに形成されている。但し、各補強リブ33a(33b)は、各チルト調節用長孔23aの直上部(
図2中にXで示した範囲)に形成されていれば良い。つまり、各補強リブ33a(33b)は、前後方向で見て、少なくとも各チルト調節用長孔23aの直上部に軸方向に亘って形成されていれば良い。本実施形態の場合には、補強リブ33a、33bは、取付板部30a,30bと支持板部31a,31bと協働してそれぞれ略直角三角柱状とし、それぞれの内側に前後方向両側に開口する断面略直角三角形状の空間38、38を設ける事で、全体を中空構造としている。この結果、補強リブ33a、33bの中実部39、39(空間38、38以外の部分)は、それぞれが平板状に構成され、上方に向かう程幅方向外方に向かう方向に傾斜しており、取付板部30a、30bの幅方向内端寄り部分の下面と、支持板部31a、31bの上端寄り部分の幅方向外側面との間に架け渡される様に設けられている。なお、補強リブ33a、33bは、後述するディスタンスブラケット17aの側板部40a、40bの前後方向長さ(即ち、拡幅部43a,43bの前後方向長さ)よりも長く形成されていることが好ましい。
【0035】
又、本実施形態の場合には、補強リブ33a、33bの中実部39、39の板厚を、取付板部30a、30b及び支持板部31a、31bの板厚とほぼ同程度としている。又、補強リブ33a、33bの中実部39、39の傾斜角度θ
33(調節ロッド24aの中心軸に直交する仮想平面を基準とする傾斜角度)を、30°としている。尚、この傾斜角度θ
33は、任意に設定する事ができる。例えば、ステアリングホイール1の上下方向(チルト方向)への移動範囲全てに関して、補強リブ33a、33bと支持板部31a、31bとの連結部の上下方向範囲α(
図4参照)が、後述する様に、アウタコラム13aが上方に変位する事に基づき拡幅部43a、43bを幅方向外側に押圧する範囲β内(荷重発生範囲内、
図4参照)、又は、この範囲βよりも下側に位置する様に決定する事ができる。又、傾斜角度θ
33は、大きくなる程剛性の向上の面から好ましいが、他の部材(例えば後述するカプセル35等)との干渉を考慮して決定する事ができる。
【0036】
以上の様な構成を有する支持ブラケット18aは、二次衝突等に基づき、前方に向いた大きな衝撃荷重が加わった場合には、各切り欠き34、34から各カプセル35、35が後方に抜け出る事で、前方に変位(離脱)する。これにより、ステアリングホイール1が前方に変位する事を許容する。
【0037】
ディスタンスブラケット17aは、アルミニウム合金等の軽合金製で、アウタコラム13aの前端側部分の周囲に配置されており、1対の側板部40a、40bと、連結部41とを備えている。1対の側板部40a、40bと、連結部41とは、全て同一の材料で一体的に形成される単一部品から構成されている。即ち、1対の側板部40a、40bと、連結部41とを備えるディスタンスブラケット17aをダイキャストや押出成形で一体的に形成することで、寸法精度が向上し、保持力も向上する。
【0038】
側板部40a、40bは、ディスタンスブラケット17aの幅方向両側に位置しており、支持ブラケット18aを構成する1対の支持板部31a、31bの幅方向内側面とアウタコラム13aの外周面との間にそれぞれ配置されている(挟持されている)。又、側板部40a、40bは、下方から順に、テレスコ調節用長孔21a、21aと、コラム押圧部42a、42bと、拡幅部43a、43bとを有している。
【0039】
各テレスコ調節用長孔21a、21aは、それぞれ特許請求の範囲に記載した第二通孔に相当するもので、各側板部40a、40bの下端寄り部分に幅方向に貫通する状態で形成されており、アウタコラム13aの軸方向(前後方向)に伸長している。
【0040】
各コラム押圧部42a、42bは、側板部40a、40bのうち、各テレスコ調節用長孔21a、21aの上側に隣接した部分の幅方向内側面から、互いに近づく方向(幅方向内方)に向けて突出する状態で設けられている。この為、各コラム押圧部42a、42bの下面は、各テレスコ調節用長孔21a、21bの一部を構成している。又、この様なコラム押圧部42a、42bは、上下方向に関してアウタコラム13aの外周面(下面幅方向両側部分)と後述する調節ロッド24aとの間に進入している。又、各コラム押圧部42a、42bは、ぞれぞれ断面略直角三角形状に構成されており、斜辺に相当する幅方向内側面(押圧面)は、下方に向かう程幅方向内方に向かう方向に傾斜している。この為、コラム押圧部42a、42bの幅方向内側面同士の間隔は、上方に向かう程大きくなっている。図示の例では、各コラム押圧部42a、42bの幅方向内側面の傾斜角度θ
42(調節ロッド24aの中心軸に直交する仮想平面を基準とする傾斜角度)を60°としている。尚、この傾斜角度θ
42は、任意に設定する事ができるが、例えば15°≦θ
42≦85°の範囲で設定する事ができる。
【0041】
各拡幅部43a、43bは、上下方向に関してステアリングコラム6aの中心軸を挟んで調節ロッド24aと反対側に位置する、各側板部40a、40bのうちの上端部に設けられている。又、各拡幅部43a、43bは、上方に向かう程幅寸法(板厚)が大きくなる様に、それぞれの幅方向内側面を傾斜させている。具体的には、各拡幅部43a、43bの幅方向外側面は、各拡幅部43a、43bがアウタコラム13aの外周面と接触する位置、又は、該位置より高い位置まで、支持板部31a、31bの幅方向内側面と接触しつつ、各拡幅部43a、43bの幅方向内側面を、上方に向かう程幅方向内方に向かう方向に直線的に傾斜させて、それぞれの断面形状を楔形状(直角三角形状)に構成している。即ち、各拡幅部43a、43bがアウタコラム13aの外周面と接触する領域における各拡幅部43a、43bの幅方向外側面は、支持板部31a、31bの幅方向内側面と接触している。さらに、各拡幅部43a、43bは、上下方向に関するアウタコラム13aの外周面と接触する該領域において中実に形成される。
【0042】
この為、拡幅部43a、43bの幅方向内側面同士の間隔は、上方に向かう程小さくなっている。図示の例では、各拡幅部43a、43bの幅方向内側面の傾斜角度θ
43(調節ロッド24aの中心軸に直交する仮想平面を基準とする傾斜角度)を30°としている。尚、この傾斜角度θ
43は、任意に設定する事ができるが、例えば1°≦θ
43≦45°の範囲で設定する事ができる。更に、本実施形態の場合には、拡幅部43a、43bを、補強リブ33a、33bに対し上下方向に関して整合する位置(幅方向に関して重畳する位置)に設けている。
【0043】
なお、本実施形態のように、ステアリングコラム6a、即ち、アウタコラム13aは多角筒状に構成され、アウタコラム13aの外周面が1対のコラム押圧部42a、42b及び1対の拡幅部43a、43bと面接触することが好ましい。この場合、アウタコラム13aの外周面は、1対のコラム押圧部42a、42b及び1対の拡幅部43a、43bの幅方向内側面の傾斜角度θ
42、θ
43と同じ傾斜角度の斜面を有する。
ただし、アウタコラム13aの多角筒状は、アウタコラム13aの外周面が1対のコラム押圧部42a、42b及び1対の拡幅部43a、43bの少なくとも一方と面接触するように構成されればよく、本実施形態の12角筒状に限定されない。
【0044】
連結部41は、ディスタンスブラケット17aの幅方向中央に位置しており、側板部40a、40bよりも板厚が薄くなっている。又、連結部41は、断面略コ字形に構成されており、幅方向中央の中央板部44と、この中央板部44の幅方向両端縁から幅方向外方に向かう程下方に向かう方向に傾斜した1対の傾斜連続部45、45とを備えている。そして、傾斜連続部45、45の下端部を、拡幅部43a、43bの上端部にそれぞれ連続させている。又、中央板部44の下面の幅方向中央部は、アウタコラム13aの外周面の上端部に固定(例えば溶接固定)する事もできる。この様な構成を有する連結部41は、弾性変形する事で、アウタコラム13aが上方に変位するのを許容する。
【0045】
クランプ機構29は、ステアリングホイール1の位置調節が可能な状態と、調節後の位置に保持可能な状態とを切り替える為のもので、調節ロッド24aと、調節レバー26aと、拡縮機構であるカム装置27aとを備えている。
【0046】
調節ロッド24aは、鉄製の杆状部材であって、チルト調節用長孔23a、23a、及び、テレスコ調節用長孔21a、21aを、それぞれ幅方向に挿通している。又、調節ロッド24aの先端部には雄ねじ部46が形成されており、基端部には頭部47が設けられている。そして、雄ねじ部46にはナット48を螺合し、ナット48と幅方向他側の支持板部31bの幅方向外側面との間に、幅方向外側から順に、スラスト軸受49と押圧プレート50とを設けている。又、押圧プレート50の内側面に設けた係合駒(図示省略)を、幅方向他側の支持板部31bに形成したチルト調節用長孔23aに、チルト調節用長孔23aに沿った変位のみを可能に(回転を阻止した状態で)係合させている。
【0047】
又、調節ロッド24aの基端部で、幅方向片側の支持板部31aの幅方向外側面から突出した部分に、調節レバー26aの基端部を結合固定している。そして、調節レバー26aと幅方向片側の支持板部31aの幅方向外側面との間に、カム装置27aを設けている。カム装置27aは、駆動側カム51と被駆動側カム52との相対回転に基づいて幅方向寸法を拡縮するもので、被駆動側カム52を、幅方向片側の支持板部31aに形成したチルト調節用長孔23aに、チルト調節用長孔23aに沿った変位のみを可能に(回転を阻止した状態で)係合させている。一方、駆動側カム51は、調節レバー26aにより、調節ロッド24aと共に回動可能としている。
【0048】
上述した様な構成を有するクランプ機構29は、調節レバー26aの操作に基づきカム装置27aの幅方向寸法を拡縮する事で、1対の押圧部である押圧プレート50の幅方向内側面と被駆動側カム52の幅方向内側面との間隔を拡縮する事ができる。
【0049】
次に、ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する際の各部の動作に就いて、詳しく説明する。
先ず、ステアリングホイール1を位置調節可能な状態から、調節レバー26aを上方(ロック方向)に回動させると、駆動側カム51と被駆動側カム52との距離が拡がる事でカム装置27aの幅方向寸法が大きくなる。これにより、被駆動側カム52の幅方向内側面と押圧プレート50の幅方向内側面との幅方向の距離が縮まる。
【0050】
そして、支持ブラケット18aを構成する1対の支持板部31a、31bが、それぞれの下端部同士が互いに近づく様に、幅方向内側に向かって弾性変形する。又、これと共に、ディスタンスブラケット17aを構成する1対の側板部40a、40bが、支持板部31a、31bにより幅方向内側に押圧される。そして、側板部40a、40bが、それぞれの下端部同士が互いに近づく様に、幅方向内側に向かって弾性変形する。
【0051】
側板部40a、40bが上述の様に弾性変形すると、コラム押圧部42a、42bが互いに近づく様に幅方向内側に変位する。そして、コラム押圧部42a、42bの幅方向内側面がアウタコラム13aを上方に向けて押圧する(押し上げる)。即ち、前述した様に、コラム押圧部42a、42bの幅方向内側面は、下方に向かう程幅方向内方に向かう方向に傾斜している為、コラム押圧部42a、42bの幅方向内側への変位(幅方向内方の力)を、アウタコラム13aを上方に向けて押圧する力に変換する事ができる。又、アウタコラム13aの上方への変位は、連結部41の中央板部44が、幅方向中央部の上面が凸となる様に弓形に弾性変形する事により許容される。又、本実施形態の場合には、アウタコラム13aを多角筒状(12角筒状)に構成している為、アウタコラム13aの外周面を構成する辺と、コラム押圧部42a、42bの幅方向内側面とをそれぞれ面接触させる事ができる。
【0052】
そして、拡幅部43a、43bは、上方に変位するアウタコラム13aにより、幅方向外側に押し拡げられる(押圧される)。即ち、前述した様に、各拡幅部43a、43bの幅方向内側面は、上方に向かう程幅方向内方に向かう方向に傾斜している為、アウタコラム13aの上方への変位(上方に向いた力)を、拡幅部43a、43bを幅方向両側に押し拡げる力に変換する事ができる。これにより、拡幅部43a、43bを、支持板部31a、31bの幅方向内側面とアウタコラム13aの外周面との間で挟持する。本実施形態の場合には、アウタコラム13aを多角筒状(12角筒状)に構成している為、アウタコラム13aの外周面を構成する辺と、拡幅部43a、43bの幅方向内側面とをそれぞれ面接触させる(
図4中にβで示した範囲に押圧力を付与する)事ができる。
【0053】
又、この状態で、アウタコラム13aには、拡幅部43a、43bから上半部の円周方向に離隔した2個所位置に押圧力が作用すると共に、コラム押圧部42a、42bから下半部の円周方向に離隔した2個所位置に押圧力が作用する。これによりアウタコラム13aの内径を縮め、アウタコラム13aの内周面によりインナコラム14aの外周面を保持する。
本実施形態の場合には、以上の様にして、ステアリングホイール1が調節後の位置に保持される。
【0054】
これに対し、ステアリングホイール1の位置を調節する際には、ステアリングホイール1の位置を保持した状態から、調節レバー26aを下方(アンロック方向)に回動させる。そして、カム装置27aの幅方向寸法を小さくして、押圧プレート50の幅方向内側面と被駆動側カム52の幅方向内側面との幅方向の距離を拡げる。これにより、支持板部31a、31b及び側板部40a、40bが、弾性変形状態から自由状態に戻る。
【0055】
又、側板部40a、40bの弾性復帰に伴い、コラム押圧部43a、43bがそれぞれ幅方向外方に変位すると、コラム押圧部43a、43bがアウタコラム13aを上方に押圧している力が解除されて、アウタコラム13aが下方に変位(退避)する。すると、拡幅部43a、43bを幅方向外側に押し拡げる様に作用していた力も解除される。これにより、拡幅部43a、43bが、アウタコラム13aの外周面と支持板部31a、31bの幅方向内側面との間で強く挟持される事がなくなる。又、拡幅部43a、43b及びコラム押圧部42a、42bからアウタコラム13aに作用していた押圧力(保持力)も喪失する。この結果、ステアリングホイール1が前後方向及び上下方向に位置調節可能な状態となる。
【0056】
以上の様な構成を有する本実施形態のステアリング装置によれば、支持ブラケット18aによるディスタンスブラケット17aの保持力の向上と、ステアリングコラム6aの幅方向に関する支持剛性の向上との両立を図れる。
【0057】
即ち、ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する際に、支持板部31a、31bの幅方向内側面とアウタコラム13aの外周面との間で挟持される拡幅部43a、43bの幅方向内側面同士の間隔を、アウタコラム13aの変位方向(上方)に向かう程小さくしている。この為、拡幅部43a、43bを、くさび効果により、支持板部31a、31bの幅方向内側面とアウタコラム13aの外周面との間で強く挟持できる。しかも、本実施形態の場合には、拡幅部43a、43bを、支持板部31a、31bのうち、取付板部30a、30bとの連結部側である事に起因して幅方向に関する剛性の高い上端寄り部分に押し付けているだけでなく、当該部分(拡幅部43a、43bが押し付けている上端寄り部分)の幅方向外側に補強リブ33a、33bを設けている為、拡幅部43a、43bの押圧力に基づき、支持板部31a、31bが幅方向外側に弾性変形する事が効果的に防止される。この為、拡幅部43a、43bの幅方向両側面と、支持板部31a、31bの幅方向内側面及びアウタコラム13aの外周面との間の面圧を十分に高める事ができる。従って、本実施形態によれば、支持ブラケット18aによるディスタンスブラケット17aの保持力を向上できる。
【0058】
しかも、本実施形態の場合には、取付板部30a、30bの下面と、支持板部31a、31bの幅方向外側面との間に、補強リブ33a、33b(中実部39、39)をそれぞれ架け渡す様に設けている。この為、支持板部31a、31bに関して、幅方向に関する剛性をそれぞれ高める事ができる。従って、本実施形態によれば、ステアリングコラム6aの幅方向に関する支持剛性の向上を図れる。
以上の様に、本実施形態のステアリング装置によれば、支持ブラケット18aによるディスタンスブラケット17aの保持力の向上と、ステアリングコラム6aの幅方向に関する支持剛性の向上との両立を図れる。
【0059】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に就いて、
図5を参照しつつ説明する。本実施形態のステアリング装置は、支持ブラケット18bの構造のみが、前述した第1実施形態の構造と異なっている。
【0060】
本実施形態の支持ブラケット18bの場合、1対の補強リブ33c、33dの形状(断面形状)を、第1実施形態の場合とは異ならせている。即ち、本実施形態の場合には、補強リブ33c、33dは、第1実施形態の場合に比べて、上下方向寸法に対する幅方向寸法の割合を大きくして、取付板部30a,30b、支持板部31a,31b、及び補強リブ33c、33dがなす断面形状を直角二等辺三角形状としている。この為、各補強リブ33c、33dを構成する中実部39a、39aの傾斜角度θ
33(支持板部31a、31bの幅方向外側面に対する傾斜角度)が、第1実施形態の場合に比べて大きくなっている(図示の例では傾斜角度θ
33を45°としている)。又、補強リブ33c、33dの前後両側に開口した空間38a、38aの容積を、第1実施形態の場合に比べて大きくしている。
【0061】
以上の様な構成を有する本実施形態の場合には、1対の取付板部30a、30bの上下方向に関する剛性を向上させる事ができる。
その他の構成及び作用効果に就いては、第1実施形態の場合と同様である。
【0062】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に就いて、
図6を参照しつつ説明する。本実施形態のステアリング装置は、支持ブラケット18cの構造のみが、前述した第1実施形態の構造と異なっている。
【0063】
支持ブラケット18cは、アルミニウム合金等の軽合金製の材料を押し出し成形(又は引き抜き成形)を施す事により一体に造られたもので、1対の取付板部30a、30bの下面と1対の支持板部31a、31bの幅方向外側面との間(隅角部)に、中実状の補強リブ33e、33fを設けている。補強リブ33e、33fは、直角三角柱状(断面直角三角形状)に構成される。又、本実施形態の場合には、この様な構成を有する支持ブラケット18cを、車体11(
図13参照)に対して離脱不能に支持固定する為、取付板部30a、30bには、切り欠きに代えて、取付孔53、53が形成されている。
【0064】
以上の様な構成を有する本実施形態の場合には、支持板部31a、31bの幅方向に関する剛性を、第1実施形態の場合に比べてより向上させる事ができる。
その他の構成及び作用効果に就いては、第1実施形態の場合と同様である。
【0065】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に就いて、
図7を参照しつつ説明する。本実施形態のステアリング装置は、支持ブラケット18dの構造のみが、前述した第3実施形態の構造と異なっている。
【0066】
支持ブラケット18dは、アルミニウム合金等の軽合金のダイキャスト成形により一体に造られたもので、1対の取付板部30a、30bの下面と1対の支持板部31a、31bの幅方向外側面との間(隅角部)に、補強リブ33e、33fを設けている。補強リブ33e、33fは、軸方向から見て直角三角柱状(断面直角三角形状)に構成されている。特に本実施形態の場合には、補強リブ33e、33fの内側に、取付板部30a、30bの幅方向内端部の上面に開口する状態で、複数の除肉部54、54が形成されている。これら各除肉部54、54は、各補強リブ33e、33fの内側に、前後方向に離隔した状態で複数ずつ形成されている。又、図示の例では、各除肉部54、54を三角柱状(直角三角柱状)としている。
【0067】
以上の様な構成を有する本実施形態の場合には、各除肉部54、54を有しない第3実施形態の構造に比べて、支持ブラケット18dの軽量化を図る事ができる。
その他の構成及び作用効果に就いては、第1及び第3実施形態の場合と同様である。
【0068】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に就いて、
図8を参照しつつ説明する。本実施形態のステアリング装置は、支持ブラケット18eの構造のみが、前述した第1実施形態の構造と異なっている。
【0069】
支持ブラケット18eは、ステンレス鋼板等の金属板にプレス加工による打ち抜き加工や曲げ加工等を施す事により造られたものであり、1対の補強リブ33g、33hに就いても、支持ブラケット18eと同時に加工している。補強リブ33g、33hは、1対の取付板部30a、30bの幅方向内端寄り部分の後端縁部に、それぞれ後方に突出する状態で設けられた略直角三角形状で平板状の素片を、下方に向けて直角に折り曲げると共に、1対の支持板部31a、31bの後端縁部に溶接等により固定する事により構成されている。従って、本実施形態の場合には、補強リブ33g、33hが、平板状に構成され、支持ブラケット18eの後端部にのみ設けられている。
【0070】
以上の様な構成を有する本実施形態の場合には、鋼板にプレス加工を施す事により造られる安価な支持ブラケット18eを対象として、支持板部31a、31bの幅方向に関する剛性を高める事ができる。
その他の構成及び作用効果に就いては、第1実施形態の場合と同様である。
【0071】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に就いて、
図9を参照しつつ説明する。本実施形態のステアリング装置は、支持ブラケット18fの構造及びその周辺構造が、前述した第1実施形態の構造と異なっている。
【0072】
本実施形態の支持ブラケット18fの場合、1対の支持板部31a、31cのうち、幅方向他側に配置された支持板部31cの上下方向寸法を、幅方向片側に配置された支持板部31aの上下方向寸法よりも小さくしている。このため、幅方向他側の支持板部31cの下端部は、幅方向片側の支持板部31aの下端部よりも上方に位置している。より具体的には、本実施形態の場合には、幅方向他側の支持板部31cの下端部の位置は、補強リブ33b(中実部39)の下端部の位置と一致させている。この為、幅方向他側の支持板部31cには、幅方向片側の支持板部31aに設けられたチルト調節用長孔23aは設けていない。
【0073】
この為、本実施形態の場合には、調節ロッド24bとして、第1実施形態で使用したものよりも短いものを使用して、調節ロッド24bの周囲に設けられた押圧プレート50の幅方向内側面を、ディスタンスブラケット17aを構成する幅方向他側の側板部40bの幅方向外側面に直接当接させている。
【0074】
以上の様な構成を有する本実施形態の場合には、幅方向他側の支持板部31cを、押圧プレート50により幅方向内方に向けて押圧する事はないが、ディスタンスブラケット17aを構成する1対の拡幅部43a、43bが、支持板部31a、31cの幅方向内側面に強く押し付けられる為、支持ブラケット18fによりディスタンスブラケット17aを十分に大きな力で保持できる。更に、本実施形態の場合には、アウタコラム13aの後端側の周囲に設けた図示しないキーロックユニットを、二次衝突時等に、支持ブラケット18fよりも車両前方側に移動させる事ができる為、ステアリングコラム6aの収縮ストロークを大きく確保する事ができ、運転者の保護充実を図れる。
その他の構成及び作用効果に就いては、第1実施形態の場合と同様である。
【0075】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態に就いて、
図10を参照しつつ説明する。本実施形態のステアリング装置は、支持ブラケット18gの構造のみが、前述した第6実施形態の構造と異なっている。
【0076】
本実施形態の支持ブラケット18gの場合、幅方向片側に配置された取付板部30aの下面と幅方向片側に配置された支持板部31aの幅方向外側面との間から補強リブを省略している。幅方向他側に配置された取付板部30bの下面と幅方向他側に配置された支持板部31cの幅方向外側面との間には、第5実施形態と同様、補強リブ33bを設けている。
【0077】
以上の様な構成を有する本実施形態の場合、幅方向片側の支持板部31aが、第6実施形態の構造に比べれば幅方向に撓み易くなるが、支持板部31aは、被駆動側カム52により幅方向内方に向けて押圧される為、1対の拡幅部43a、43bが幅方向外側に押し拡げられる場合にも、当接部の面圧を十分に高くできる。更に本実施形態の場合には、支持ブラケット18gの軽量化を図れる。
その他の構成及び作用効果に就いては、第1実施形態の場合と同様である。
【0078】
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態に就いて、
図11を参照しつつ説明する。前述した第1〜第5実施形態では、支持板部31aの内側面と拡幅部43a、側板部40a及びコラム押圧部42aの外側面とを、また、支持板部31bの内側面と拡幅部43b、側板部40b及びコラム押圧部42bの外側面とを全面的に接触させている。それに対して本実施形態では、
図11において、側板部40c、40dの外側面に夫々凹部80a、80bを設けて、拡幅部43aの外側面と支持板部31aの内側面とが、また、拡幅部43bの外側面と支持板部31bの内側面とが接触する様にしている。更に、コラム押圧部42aの外側面と支持板部31aの内側面とが、また、コラム押圧部42bの外側面と支持板部31bの内側面とが接触する様にしている。この構成によって、拡幅部43aの内面とアウタコラム13aの外面との接触部分、及び拡幅部43bの内面とアウタコラム13aの外面との接触部分、更に、コラム押圧部42aとアウタコラム13aの外面との接触部分、及びコラム押圧部42bとアウタコラム13aの外面との接触部分に集中して調節レバー26aによるクランプ力を加えることが可能となる。したがって、支持ブラケット18bによるディスタンスブラケット17cの保持力の更なる向上と、ステアリングコラム6aの幅方向に関する支持剛性の更なる向上との両立を図れる。
その他の構成及び作用効果に就いては、第1実施形態の場合と同様である。
【0079】
[第9実施形態]
本発明の第9実施形態に就いて、
図12A及び
図12Bを参照しつつ説明する。前述した第1〜第8実施形態では、ステアリングコラム6aとして、
図12Bに示す様な、前側のインナコラム14aの後部を、後側のアウタコラム13aの前部に軸方向に関する相対変位を可能に内嵌する事により、テレスコープ状に全長を伸縮可能としたものを採用している。
一方、本実施形態のステアリング装置の場合、ステアリングコラム6bとして、
図12Aに示す様に、前側のアウタコラム13bの後部を、後側のインナコラム14bの前部に軸方向に関する相対変位を可能に外嵌する事により、テレスコープ状に全長を伸縮可能としたものを採用している。この様な本実施形態の場合には、ディスタンスブラケット17bを構成する1対の側板部40a、40bには、テレスコ調節用長孔21a、21aに代えて単なる円孔(図示省略)を形成する。
その他の構成及び作用効果に就いては、第1実施形態の場合と同様である。