(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、実施の形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。また、本開示では、重複する説明については適宜に簡略化または省略する。なお、本開示は、以下の実施の形態で説明する構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含み得るものである。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の除湿機100の斜視図である。
図2は、実施の形態1の除湿機の正面図である。
図3は、実施の形態1の除湿機100の側面図である。
図1、
図2および
図3は、除湿機100の外観を示す図である。
【0012】
ここで、
図2における紙面上の上下方向を、除湿機100の上下方向とする。また、
図2における紙面の手前方向を、除湿機100の前方向とする。
図2における紙面の奥方向を除湿機100の後方向とする。
図2において、紙面上の左方向が除湿機100の右方向に、紙面上の右方向が除湿機100の左方向となる。
【0013】
図3における紙面上の左右方向は、除湿機100の前後方向である。また、
図3における紙面上の上下方向は、除湿機100の上下方向である。
図3において、紙面の手前方向が除湿機100の左方向に、紙面の奥方向が除湿機100の右方向となる。
【0014】
また、
図4は、実施の形態1の除湿機100の縦断面図である。
図4は、
図2におけるA−A位置での断面を示す。
図4は、除湿機100の内部の構造を示す図である。
図4における紙面上の上下左右方向は、
図3における紙面上の上下左右方向に対応する。
【0015】
除湿機100は、筐体1を備える。筐体1は、除湿機100の外殻となる部材である。筐体1は、例えば、自立可能な縦長の箱状の形状に形成される。除湿機100は、車輪2を備えてもよい。車輪2は、例えば、筐体1の底に設けられる。この車輪2によって、除湿機100は移動可能となる。
【0016】
筐体1には、吸込口3が形成される。吸込口3は、筐体1の内部に空気を取り込むための開口である。吸込口3は、例えば、筐体1の後面に形成される。また、筐体1には、吹出口4が形成される。吹出口4は、筐体1の内部から外部に向かって空気を吹き出すための開口である。吹出口4は、例えば、筐体1の前面の上部に形成される。吹出口4の形状は、例えば、筐体1の左右方向に伸びる長方形状である。
【0017】
筐体1の内部には、風路5が形成される。風路5は、吸込口3から吹出口4へ至る空間である。除湿機100は、吹出手段の一例として、送風ファン6aおよびファンモータ6を備える。送風ファン6aは、風路5内に、吸込口3から吹出口4へと向かう気流を発生させるファンである。送風ファン6aには、ファンモータ6が接続される。ファンモータ6は、送風ファン6aを回転させるモータである。
【0018】
送風ファン6aおよびファンモータ6は、筐体1の内部に設けられる。送風ファン6aは、風路5内に配置される。本実施の形態において風路5内には、送風ファン6aによって、吸込口3から吹出口4へ向かって空気が流れる。本実施の形態では、送風ファン6aによって、吹出口4から空気が吹き出される。ここで風路5において、吸込口3がある側を上流側、吹出口4がある側を下流側とする。送風ファン6aによって空気は、風路5内を上流側から下流側へと向かって流れる。
【0019】
除湿機100は、空気中に含まれる水分を除去する除湿手段の一例として、除湿部7を備える。除湿部7は、空気中の水分を凝縮して排出する装置である。一例として除湿部7は、凝縮した水分を、液体の水として下方に滴下する。除湿部7は、空気中の水分の除去、すなわち空気の除湿を行う。除湿部7によって除湿された空気は、乾燥した空気となる。
【0020】
除湿部7は、例えば、ヒートポンプ回路を利用した装置である。ヒートポンプ回路を利用した除湿部7は、蒸発器によって、空気中の水分を凝縮させる。なお、除湿部7は、デシカント方式の装置であってもよい。デシカント方式の除湿部7は、空気中の水分を吸着する吸着剤および熱交換器を有する。デシカント方式の除湿部7は、吸着剤によって吸着した水分を、熱交換器によって凝縮する。
【0021】
除湿部7は、筐体1の内部に設けられる。除湿部7は、風路5内に配置される。除湿部7は、一例として、吸込口3と送風ファン6aとの間に配置される。本実施の形態において除湿部7は、送風ファン6aの上流側に配置される。本実施の形態において、吸込口3、除湿部7、送風ファン6aおよび吹出口4は、上流側から下流側へ順に配置される。
【0022】
本実施の形態の除湿機100は、貯水部8を備える。貯水部8は、除湿部7によって排出された水を貯める。貯水部8は、例えば、上部が開口した容器状の部材である。貯水部8は、筐体1の内部で、除湿部7の下方に設けられる。貯水部8は、除湿部7から滴下された水を、上部の開口から受けて貯める。貯水部8は、筐体1に対して着脱可能であってもよい。
【0023】
除湿機100は、フィルター9を備えてもよい。フィルター9は、筐体1の内部に設けられる。フィルター9は、吸込口3を筐体1の内部から覆うように設けられる。フィルター9は、筐体1の内部への塵および埃の侵入を防止する。
【0024】
また、本実施の形態の除湿機100は、風向変更部10を備える。
図5は、実施の形態1の風向変更部10の構成を示す断面図である。
図5の紙面上の上下左右方向は、
図2の紙面上の上下左右方向に対応する。
図5は、
図3におけるB−B位置での断面を示す。
【0025】
風向変更部10は、吹出口4から空気が吹き出される方向を決めるものである。吹出口4から空気が吹き出される方向を、以下、吹出方向と呼称する。風向変更部10が動くことにより、吹出方向は変更される。風向変更部10は、吹出口4の近傍に配置される。本実施の形態の風向変更部10は、風向決定手段の一例である。
【0026】
風向変更部10は、
図1および
図5に示すように、第1変更部の一例として上下方向ルーバー11を有する。上下方向ルーバー11は、吹出口4の形状に合わせて形成される。本実施の形態の上下方向ルーバー11は、左右方向に伸びる長方形状の枠状である。一例として、上下方向ルーバー11は、
図5に示すように、左右方向に伸びる板状の部材を3枚有する。本実施の形態の上下方向ルーバー11は、左右方向に伸びる長方形状の開口を有する。上下方向ルーバー11は、この開口の向きが上下に変更されるよう、回動可能に形成される。
【0027】
風向変更部10は、上下方向ルーバー11を動かすための第1モータ12を有する。第1モータ12は、筐体1の内部に設けられる。第1モータ12は、歯車12a、歯車12bおよび歯車12cを介して、上下方向ルーバー11を回動させる。上下方向ルーバー11が回動すると、上下方向ルーバー11の開口の向きは、上下方向に変更される。これにより、吹出方向が上下方向に変更される。
【0028】
風向変更部10は、
図1および
図5に示すように、第2変更部の一例として左右方向ルーバー13を有する。左右方向ルーバー13は、上下方向に伸びる板状の部材を有する。一例として、左右方向ルーバー13は、上下方向に伸びる板状の部材を6枚有する。上下方向に伸びる6枚の板状の部材は、等間隔に配置される。左右方向ルーバー13は、枠状の上下方向ルーバー11の内側に配置される。左右方向ルーバー13は、上下方向に沿った軸を介し、上下方向ルーバー11に取り付けられる。左右方向ルーバー13は、この上下方向に沿った軸を中心にして回動可能である。また、一例として上下方向ルーバー11と左右方向ルーバー13とは、上下方向ルーバー11の左右方向の中央と左右方向ルーバー13全体の左右方向の中央とが一致するように配置される。
【0029】
風向変更部10は左右方向ルーバー13を動かすための第2モータ14を有する。第2モータ14は、筐体1の内部に設けられる。また、風向変更部10は、リンク15を有する。リンク15は、左右方向ルーバー13の後部に接続される。リンク15は、第2モータ14に接続される。左右方向ルーバー13と第2モータ14とは、リンク15を介して接続される。第2モータ14が駆動すると、リンク15を介して左右方向ルーバー13が回動する。左右方向ルーバー13が回動することにより、吹出方向が左右方向に変更される。
【0030】
リンク15は、上下方向ルーバー11と連動するように形成される。リンク15は、上下方向ルーバー11が動くと、上下方向ルーバー11と共に動く。リンク15が動くと、このリンク15に接続された左右方向ルーバー13も動く。すなわち、左右方向ルーバー13は、上下方向ルーバー11が動くと、この上下方向ルーバー11と共に動く。左右方向ルーバー13は、上下方向ルーバー11が動く方向と同じ方向へ動く。
【0031】
また、本実施の形態の除湿機100は、照射装置16を備える。この照射装置16は、枠状の上下方向ルーバー11の内側に配置される。一例として照射装置16は、上下方向ルーバー11の左右方向の中央の位置に配置される。
【0032】
図6は、実施の形態1の照射装置16を正面から見た図である。
図7は、実施の形態1の照射装置16の構造を示す断面図である。
図7は、
図6におけるC−C位置での断面を示す。本実施の形態では、
図6の紙面の手前方向を、照射装置16の正面方向とする。
図6の紙面上の上下方向を、照射装置16の上下方向とする。
図7において、紙面上の左方向は照射装置16の正面方向、紙面上の右方向は照射装置16の背面方向である。
図7の紙面上の上下方向は、照射装置16の上下方向である。
【0033】
照射装置16は、ケース17を有する。ケース17は、照射装置16の外枠を構成する。本実施の形態においてケース17は、上ケース17aと下ケース17bとを有する。上ケース17aの形状は、筒状である。上ケース17aは、開口を有する。下ケース17bは、上ケース17aの開口を閉じる。下ケース17bは、蓋状の部材である。上ケース17aと下ケース17bとの内部には、部品を収容するための空間がある。なお、上ケース17aと下ケース17bとは、一体的に形成されてもよい。また下ケース17bは、上ケース17aに対して着脱自在であってもよい。ケース17は、上下左右に回動可能に形成される。
【0034】
一例としてケース17は、上下方向ルーバー11の左右方向の中央の位置で、リンク15に接続される。ケース17は、リンク15を介して、左右方向ルーバー13に接続される。なお、ケース17は、リンク15を介さず、左右方向ルーバー13に直接接続されてもよい。
【0035】
ケース17は、当該ケース17の正面方向が吹出方向を向くように設けられる。上述したように、ケース17は、左右方向ルーバー13に機械的に接続されている。ケース17は、左右方向ルーバー13と共に動く。ケース17は、左右方向ルーバー13が動く方向と同じ方向へ動く。上述したように、左右方向ルーバー13は、上下方向ルーバー11が動くと、この上下方向ルーバー11と共に動く。すなわちケース17は、上下方向ルーバー11が動くと、この上下方向ルーバー11および左右方向ルーバー13と共に動く。このようにして、ケース17の正面方向は、吹出方向が変更された場合においても、変更された後の吹出方向へ向く。
【0036】
照射装置16は、光源19aおよびレンズ19bを有する。光源19aおよびレンズ19bは、ケース17の内部に収容される。レンズ19bは、光源19aの前方に配置される。光源19aは、レンズ19bの後方に配置される。換言すると、レンズ19bは、光源19aの正面側に配置される。光源19aは、レンズ19bの背面側に配置される。
【0037】
本実施の形態のケース17の正面側部分には、
図7に示すように、照射窓41が形成されている。照射窓41は、ケース17の内部から外部へ可視光を照射するための開口である。照射窓41は、光源19aの光軸およびレンズ19bの光軸が通る開口である。照射窓41を正面側から見た形状は、例えば、円形である。
【0038】
本実施の形態において、光源19aとレンズ19bとは、当該光源19aの光軸がレンズ19bの光軸に一致するように配置される。なお、光源19aの光軸とレンズ19bの光軸とは完全に一致していなくてもよい。また、一例として照射窓41は、光源19aの光軸およびレンズ19bの光軸が当該照射窓41の中心を通るように形成される。以下では、
図7に示すように、光源19aの光軸およびレンズ19bの光軸を軸線Lとも称する。
【0039】
光源19aは、可視光を発するものである。光源19aは、例えば、LEDまたはレーザーダイオード等である。光源19aは、例えば、直径5mmの砲弾形LEDである。一例として光源19aは、光度が1000mcd以上の可視光を発する。また、一例として光源19aは、緑色の可視光を発する。なお、光源19aが発する可視光の色は、例えば橙色等の緑色以外であってもよい。
【0040】
レンズ19bは、光源19aが発した可視光を集光するためのものである。レンズ19bは、例えば、アクリル樹脂で形成された両凸レンズである。レンズ19bの材質は、ポリカーボネイト樹脂またはガラスでもよい。また、レンズ19bは、フレネルレンズでもよい。
【0041】
ケース17内には、光源19aとレンズ19bとの間に空間が形成されている。光源19aが発した可視光は、この空間を介してレンズ19bへ到達する。
図7に示すように、光源19aの正面方向端部からレンズ19bの中心までは、距離Fだけ離れている。この距離Fは、レンズ19bの焦点距離と一致している。なお、距離Fとレンズ19bの焦点距離とは、完全に一致していなくてもよい。本実施の形態において、光源19aおよびレンズ19bは、光源19aからレンズ19bまでの距離がレンズ19bの焦点距離に一致するように配置されればよい。
【0042】
レンズ19bが両凸レンズである場合、当該レンズ19bの焦点距離は、当該レンズ19bの材質の屈折率と当該レンズ19bの曲率半径と当該レンズ19bの厚さとによって決まる。
【0043】
光源19aが発した可視光は、レンズ19bを通過することで集光される。レンズ19bを介して集光された可視光は、容易に視認される状態となる。レンズ19bによって集光された可視光は、照射窓41を介して、ケース17の外部へ照射される。光源19aおよびレンズ19bは、レンズ19bによって集光された可視光がケース17の正面方向に照射されるように設けられる。レンズ19bによって集光された可視光は、吹出方向へ照射される。
【0044】
ここで、レンズ19bによって集光された可視光が照射される領域を、照射領域30とする。一例として光源19aおよびレンズ19bは、筐体1から1m離れた位置での照射領域30が直径200mmの円となるように、配置および形成される。なお、照射領域30の形状は、長方形状等であってもよい。
【0045】
また、本実施の形態の照射装置16は、
図7に示すように、絞り19cを有する。絞り19cは、光源19aとレンズ19bとの間に設けられる。絞り19cは、光源19aから発せられた可視光がレンズ19bを透過する量を調整するためのものである。照射領域30の大きさは、この絞り19cによって調整可能である。一例として絞り19cの中心軸は、軸線Lに一致する。本実施の形態におけるケース17、光源19a、レンズ19bおよび絞り19cは、照射手段の一例である。
【0046】
また、本実施の形態においてケース17の正面部分には、樹脂シート40が設けられる。樹脂シート40は、樹脂製の板状の部材である。樹脂シート40の材質は、例えば、ポリエステルである。樹脂シート40の厚さは、例えば、0.2mmである。樹脂シート40は、照射窓41を覆う。本実施の形態の樹脂シート40は、被覆部材の一例である。正面視において、樹脂シート40のうち、当該樹脂シート40と照射窓41とが重なっている部分は、透明である。本実施の形態においてレンズ19bによって集光された可視光は、樹脂シート40を透過して吹出方向へ照射される。
【0047】
上述したように、ケース17は、上下方向ルーバー11および左右方向ルーバー13と共に動く。ケース17の正面方向は、吹出方向を向く。光源19aおよびレンズ19bは、このケース17に設けられている。光源19aおよびレンズ19bは、ケース17と共に動く。本実施の形態においてレンズ19bによって集光された可視光は、吹出方向が変更された場合においても、変更された後の、吹出方向へ照射される。
【0048】
また、本実施の形態の除湿機100は、制御装置20および操作部21を備える。制御装置20は、例えば、筐体1の内部に設けられる。また、操作部21は、例えば、
図1および
図4に示すように、筐体1の上面の後面側に設けられる。制御装置20と操作部21とは、電気的に接続される。
【0049】
制御装置20は、除湿機100に備えられる各機器に電気的に接続される。制御装置20は、除湿機100に備えられる各機器を制御する。本実施の形態の制御装置20は、ファンモータ6、除湿部7、第1モータ12、第2モータ14および照射装置16に電気的に接続される。本実施の形態の制御装置20は、ファンモータ6、除湿部7、第1モータ12、第2モータ14および照射装置16を制御する。
【0050】
操作部21は、使用者が除湿機100を操作するためのものである。一例として操作部21は、運転ボタン21a、モード選択ボタン21b、設定ボタン21cおよび操作キー21dを有する。運転ボタン21aは、除湿機100の運転を開始および停止させるためのものである。
【0051】
モード選択ボタン21bは、除湿機100の運転モードを選択するためのものである。モード選択ボタン21bは、使用者からの操作に応じた信号を、制御装置20へ送信する。設定ボタン21cは、除湿機100の設定を行うためのものである。設定ボタン21cは、使用者からの操作に応じた信号を、制御装置20へ送信する。
【0052】
操作キー21dは、操作指示を送信する操作手段の一例である。操作キー21dは、風向変更部10を動かすためのものである。操作キー21dは、例えば、十字キーである。操作キー21dは、使用者からの操作に応じた操作指示を、制御装置20へ送信する。制御装置20は、操作指示を受信すると、受信した操作指示に基づいて動作する。なお、操作キー21dは、十字キー以外のものでもよい。
【0053】
図8は、実施の形態1の制御装置20の機能を示すブロック図である。本実施の形態の制御装置20は、動作制御部20a、記憶部20bおよび設定部20dを有する。動作制御部20aは、除湿機100に備えられた各機器を制御する制御手段の一例である。動作制御部20aは、操作キー21dからの操作指示に基づいて、第1モータ12および第2モータ14を制御する。
【0054】
制御装置20が有する記憶部20bは、記憶手段の一例である。記憶部20bには、例えば、予め複数の運転モードが設定されている。動作制御部20aは、モード選択ボタン21bからの信号に基づいて、記憶部20bに設定された複数の運転モードの中から1つの運転モードの処理を実行する。動作制御部20aは、モード選択ボタン21bからの信号に基づいて、ファンモータ6、除湿部7、第1モータ12、第2モータ14および照射装置16を制御する。
【0055】
本実施の形態の記憶部20bには、複数の運転モードのうちの1つとして固定集中モードが記憶されている。固定集中モードは、除湿機100によって少量の対象物を乾燥させる時に使用される運転モードである。この対象物には、例えば、靴および衣服31等が含まれる。
【0056】
設定部20dは、設定ボタン21cからの信号に応じて、記憶部20bに設定方向を設定する。設定ボタン21cは、照射装置16によって可視光が照射されている時に押されると、設定部20dへ信号を送信する。設定部20dは、設定ボタン21cから信号を受信すると、照射装置16によって可視光が照射されている方向を設定方向として記憶部20bに設定する。設定ボタン21cおよび設定部20dは、設定方向を設定する設定手段の一例である。
【0057】
図9は、実施の形態1の制御装置20の構成の一例を示す図である。制御装置20の動作制御部20a、記憶部20bおよび設定部20dの各機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア200であってもよい。処理回路は、プロセッサ201およびメモリ202を備えていてもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア200として形成され、当該処理回路は更にプロセッサ201およびメモリ202を備えていてもよい。
図9は、処理回路の一部が専用ハードウェア200として形成され、当該処理回路がプロセッサ201およびメモリ202を備えている場合の例を示している。
【0058】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア200である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0059】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ201および少なくとも1つのメモリ202を備える場合、制御装置20の動作制御部20a、記憶部20bおよび設定部20dの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0060】
ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ202に格納される。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ202には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROMおよびEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクおよびDVD等が該当する。
【0061】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、制御装置20の動作制御部20a、記憶部20bおよび設定部20dの各機能を実現することができる。なお、除湿機100の構成は、単一の制御装置20により動作が制御される構成に限定されるものではない。除湿機100は、複数の装置が連携することにより動作が制御されるように構成されてもよい。
【0062】
次に、本実施の形態の除湿機100の動作の例について説明する。以下では、除湿機100の動作の一例として、固定集中モードの動作について説明する。
図10は、実施の形態1の固定集中モードの動作を示すフローチャートである。また、
図11は、実施の形態1の動作時の除湿機100を示す図である。
【0063】
除湿機100は、例えば室内で使用される。除湿機100は、運転ボタン21aが押されることによって、運転を開始する。使用者によって押された運転ボタン21aは、動作制御部20aへ信号を送信する。動作制御部20aは、運転ボタン21aから信号を受信すると、ファンモータ6および除湿部7を駆動させる。
【0064】
ファンモータ6が駆動すると、送風ファン6aが回転する。送風ファン6aは、気流を発生させる。送風ファン6aが発生させた気流によって、
図4に示すように、室内空気Pが吸込口3から筐体1の内部へ取り込まれる。室内空気Pは、除湿部7によって除湿されて、乾燥空気Qとなる。乾燥空気Qは、送風ファン6aが発生させた気流によって、吹出口4から室内へ吹き出される。乾燥空気Qの吹出方向は、風向変更部10によって決まる。上記のようにして、除湿機100は運転を開始する(ステップS101)。
【0065】
使用者は、運転ボタン21aによって除湿機100の運転を開始させた後、モード選択ボタン21bを操作する。上述した通り、本実施の形態において使用者は、固定集中モードを選択するものとする。動作制御部20aは、モード選択ボタン21bからの信号に基づいて、記憶部20bに設定された固定集中モードの処理を実行する(ステップS102)。
【0066】
固定集中モードの処理が実行されると、光源19aは、可視光を発する。可視光は、レンズ19bによって集光される。レンズ19bによって集光された可視光は、乾燥空気Qの吹出方向へ照射される(ステップS103)。
【0067】
図11に示すように、乾燥空気Qの吹出方向へ照射された可視光は、照射領域30を照らす。使用者は、照射領域30を見ながら操作キー21dを操作する。操作キー21dは、使用者からの操作に基づいた操作指示を動作制御部20aへ送信する。動作制御部20aは、受信した操作指示に基づいて、第1モータ12および第2モータ14を制御する。これにより、上下方向ルーバー11および左右方向ルーバー13が動く。上下方向ルーバー11および左右方向ルーバー13が動くことにより、吹出方向が変更される。
【0068】
上下方向ルーバー11および左右方向ルーバー13が動くと、照射装置16も共に動く。照射装置16は、変更された吹出方向へ光を照射するように動く。照射領域30は、吹出方向の変更に合わせて動く(ステップS104)。使用者は、照射領域30を見ながら、例えば
図11に示すように、予め設置しておいた衣服31が可視光で照らされるように操作キー21dを操作する。これにより、衣服31に乾燥空気Qが集中する。
【0069】
ここで使用者は、衣服31が可視光によって照らされている状態で、設定ボタン21cを押してもよい。使用者によって押された設定ボタン21cは、設定部20dへ信号を送信する。設定部20dは、設定ボタン21cから信号を受信すると、照射装置16によって可視光が照射されている方向を設定方向として記憶部20bに設定する。設定方向が記憶部20bに設定されると、動作制御部20aは、吹出方向が設定方向へ固定されるように第1モータ12および第2モータ14を制御する(ステップS105)。
【0070】
吹出方向が設定方向へ固定されると、乾燥空気Qは、設定方向へ一定時間吹き出され続ける。動作制御部20aは、送風方向が設定方向へ固定されてから一定時間が経過した時点でファンモータ6、除湿部7および照射装置16を停止させる(ステップS106)。これにより、除湿機100の運転が終了する。
【0071】
上記の実施の形態において照射装置16は、固定集中モードが選択されると可視光を照射する。照射装置16は、除湿機100の運転が開始すると同時に可視光の照射を開始してもよい。すなわち光源19aは、除湿機100の運転が開始すると同時に可視光を発してもよい。また、光源19aは、設定ボタン21cが押されたと同時に可視光を発し始めてもよい。
【0072】
上記の実施の形態の除湿機100の使用者は、照射領域30を見ることによって、乾燥空気Qの吹出方向を容易に認識することができる。また使用者は、操作キー21dによって乾燥空気Qの吹出方向を任意の方向へ容易に変更することができる。使用者は、乾かしたい衣服31に向けて照射領域30を動かすことによって、乾かしたい衣服31の方向に乾燥空気Qの吹出方向を変更することができる。使用者は、除湿機100に合わせて乾かしたい衣服31を動かすことなく、予め干しておいた衣服31を集中して乾燥させることができる。
【0073】
除湿機100の使用者は、設定ボタン21cを操作することにより、任意の方向に乾燥空気Qを集中させることができる。乾燥空気Qは、衣服31へ向かって無駄なく確実に送られる。これにより、乾燥させる必要のない物への送風による無駄な電気代が削減される。
【0074】
上記の実施の形態において、光源19aおよびレンズ19bは、光源19aの光軸がレンズ19bの光軸に一致するように配置されている。これにより、照射領域30は、輪郭がより明確でより明るい領域になる。上記の実施の形態の除湿機100は、乾燥空気Qが吹き出される方向を、使用者に、より確実に視認させることができる。
【0075】
上記の実施の形態において、光源19aおよびレンズ19bは、光源19aからレンズ19bまでの距離がレンズ19bの焦点距離と一致するように配置されている。これにより、可視光は、除湿機100からは直線的に照射される。このため、可視光が拡散して暗くなってしまうことが防止される。照射領域30は、輪郭がより明確でより明るい領域になる。上記の実施の形態の除湿機100は、乾燥空気Qが吹き出される方向を、使用者に、より確実に視認させることができる。また、上記の実施の形態であれば、照射領域30の大きさの調整がより容易になる。
【0076】
上記の実施の形態において、ケース17の正面部分には、樹脂シート40が設けられる。樹脂シート40は、照射窓41を覆う。これにより、ケース17の内部に水等の異物が侵入することを防止できる。上記の実施の形態であれば、水等の異物による除湿機100の動作への影響がない。
【0077】
なお、樹脂シート40には、
図6に示すように、透明領域40aと不透明領域40bとが設けられてもよい。透明領域40aは、可視光が透過可能な材料で形成される第1領域の一例である。不透明領域40bは、第1領域に比べて可視光線透過率が低い第2領域の一例である。透明領域40aは、軸線Lを中心軸とした環状の領域である。不透明領域40bは軸線Lを中心軸とした円状の領域である。不透明領域40bは、透明領域40aの内側に位置する。正面視において、透明領域40aの外径D1は、不透明領域40bの外径D2よりも大きい。外径D1は、例えば10mmである。外径D2は、例えば5mmである。正面視において、不透明領域40bは、光源19aと重なっている。これにより、使用者が照射装置16の正面を覗き込んだ際に当該使用者が感じる眩しさが低減される。
【0078】
上記の実施の形態において、光源19aとレンズ19bとの間には、絞り19cがある。これにより、照射領域30の大きさを容易に調整することができる。
【0079】
また、照射手段の一例であるケース17、光源19a、レンズ19bおよび絞り19cは、風向変更部10から吹き出された乾燥空気Qが当たる領域に比べて照射領域30が小さくなるように、配置および形成されてもよい。ケース17、光源19a、レンズ19bおよび絞り19cは、風向変更部10から吹き出された乾燥空気Qが当たる領域に照射領域30が含まれるように形成されてもよい。これにより、照射領域30には、確実に乾燥空気Qが当たる。
【0080】
上記の実施の形態によれば、乾燥空気Qの吹出方向をより容易に認識することができ、かつ乾燥空気Qの吹出方向を任意の方向へより容易に変更することができる除湿機100が得られる。なお上記の実施の形態においては衣服31を乾燥させる動作を一例として示したが、乾燥空気Qが吹き出される対象は衣服31に限られない。除湿機100は、浴室の壁および床等の、屋内の濡れた場所を乾燥する際にも使用できる。
【0081】
次に、実施の形態1の除湿機100の変形例について説明する。除湿機100は、
図1、
図2、
図5および
図7に示すように、表面温度検出手段の一例として表面温度検出部18を有してもよい。表面温度検出部18は、対象領域の表面温度を、非接触の状態で検出する装置である。
【0082】
表面温度検出部18は、ケース17の内部に設けられる。一例として、表面温度検出部18は、光源19aおよびレンズ19bよりも上方に設けられる。
【0083】
ケース17は、正面部分にセンサ窓42を有してもよい。センサ窓42は、赤外線の透過率が高い材料によって形成される。センサ窓42は、例えば、ポリエチレン樹脂から成形される部品である。センサ窓42は、水等の異物がケース17内に侵入することを防止する。センサ窓42は、吹出口4から吹き出された空気が当たる領域から放射される赤外線が透過するように、配置および形成される。吹出口4から吹き出された空気が当たる領域を、以下では吹出領域と呼称する。また、樹脂シート40のうち、正面視においてセンサ窓42と重なる部分には開口40cが形成される。
【0084】
表面温度検出部18は、センサ窓42の背面側に配置される。一例として、表面温度検出部18には、熱起電力を利用したものが用いられる。表面温度検出部18は、例えば、赤外線吸収膜およびサーミスタを有する。表面温度検出部18の赤外線吸収膜は、センサ窓42を透過する赤外線を吸収する。
【0085】
赤外線吸収膜は、感熱部分を有する。赤外線吸収膜の感熱部分は、センサ窓42を透過した赤外線を吸収することによって昇温する。赤外線吸収膜の感熱部分は、温接点となる。またサーミスタは、冷接点の一例である赤外線吸収膜の感熱部分ではない部位の温度を検出する。表面温度検出部18は、上記の温接点と冷接点との温度差から、赤外線吸収膜に吸収された赤外線を発した領域、すなわち吹出領域の表面温度を検出する。
【0086】
センサ窓42および表面温度検出部18は、表面温度検出部18が表面温度を検出する対象領域を照射領域30と一致させるように形成される。表面温度検出部18が表面温度を検出する対象領域を照射領域30とは、完全に一致していなくてもよい。例えば、表面温度検出部18が表面温度を検出する対象領域を照射領域30とは、大部分が重複する状態であってもよい。また、表面温度検出部18が表面温度を検出する対象領域は、照射領域30に含まれてもよい。表面温度検出部18、照射領域30の表面温度を検出してもよい。これにより、使用者が照射領域30を見ながら設定した吹出方向における対象物の温度が、表面温度検出部18によって検出可能になる。
【0087】
制御装置20は、
図8に示すように、温度判定部20cを有してもよい。また、制御装置20は、表面温度検出部18に接続されてもよい。温度判定部20cの機能は、
図9に示す処理回路により実現される。表面温度検出部18は、検出した表面温度の情報を、電圧等の電気信号に変換する。表面温度検出部18は、変換した電気信号を、制御装置20へ出力する。制御装置20の温度判定部20cは、表面温度検出部18からの電気信号に基づいて動作する。
【0088】
温度判定部20cは、表面温度検出部18によって出力された電気信号に基づいて、表面温度の判定を行う。本変形例において記憶部20bには、表面温度の基準値の情報が記憶される。この基準値は、例えば、人の顔の温度に基づいて設定される。温度判定部20cは、表面温度検出部18からの電気信号に含まれる温度情報と記憶部20bに記憶された基準値の情報とに基づいて、表面温度の判定を行う。温度判定部20cは、照射領域の表面温度が、予め設定された条件を満たしているかの判定を行う。この条件は、例えば、人の顔に可視光が当たっている際に満たされる。この条件が満たされたと温度判定部20cによって判定された場合、動作制御部20aは、光源19aに発光を停止させる。これにより、照射装置16による可視光の照射が停止する。また、上記の条件が満たされたと温度判定部20cによって判定された場合、動作制御部20aは、照射領域30の照度を低下させるように照射装置16を制御してもよい。これにより、使用者が感じる眩しさが低減される。
【0089】
除湿機100の高さは、一般的に、人の目線よりも低い。本変形例において、表面温度検出部18は、照射装置16の正面方向を向いている。また、表面温度検出部18は、光源19aおよびレンズ19bよりも上方に設けられる。これにより、表面温度検出部18は、可視光が人の目に照射される前に人の顔の表面温度を検出することができる。本変形例であれば、明るい可視光が人の目に直接照射されてしまうことをより確実に防止できる。
【0090】
なお、記憶部20bに記憶される基準値は、洗濯物が乾燥したかどうかを判定するための温度として設定されてもよい。温度判定部20cは、表面温度検出部18からの電気信号に含まれる温度情報と記憶部20bに記憶された基準値の情報とに基づいて、洗濯物が乾燥したかどうかを判定してもよい。除湿機100は、洗濯物が乾燥したと判定された場合に運転を停止するように構成されてもよい。