(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0010】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。なお、以下の説明においては、上下方向をサイロの軸方向と称する。
【0011】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る温度検出装置を示す模式図である。
【0012】
なお、以下の各実施形態では、サイロの内部の温度を光ファイバを用いて検出するが、この原理を簡単に説明する。光ファイバにパルス光を入射すると、当該パルス光は光ファイバの内部で僅かに散乱を起こして種々の散乱光となりながら進行する。その散乱光の一つであるラマン散乱光には温度依存性があるため、ラマン散乱光を検知することにより温度を検出する。
【0013】
第1実施形態に係る温度検出装置1は、例えば、サイロの内部に配置される光ファイバを有する。光ファイバ10は、詳細には、第1分割部11と、第2分割部12と、第3分割部13と、第4分割部14と、第5分割部15と、第6分割部16と、を有する。なお、図示しないが、第1サイロ31及び第2サイロ32の内部には、石炭又は穀物などの収容物が設けられている。
【0014】
第1分割部11において、光の進行方向下流側の端部11aと、第2分割部12における光の進行方向上流側の端部12aとは、融着点で融着して接続されている。融着点は、第1融着箱21の内部に配置される。第2分割部12において、光の進行方向下流側の端部12bと、第3分割部13における光の進行方向上流側の端部13aとは、融着点で融着して接続されている。融着点は、第2融着箱22の内部に配置される。第3分割部13において、光の進行方向下流側の端部13bと、第4分割部14における光の進行方向上流側の端部14aとは、融着点で融着して接続されている。融着点は、第2融着箱22の内部に配置される。
【0015】
第4分割部14において、光の進行方向下流側の端部14bと、第5分割部15における光の進行方向上流側の端部15aとは、融着点で融着して接続されている。融着点は、第1融着箱21の内部に配置される。第5分割部15において、光の進行方向下流側の端部15bと、第6分割部16における光の進行方向上流側の端部16aとは、融着点で融着して接続されている。融着点は、第1融着箱21の内部に配置される。第6分割部16における光の進行方向下流側の端部16bは、図示しない測定装置に接続される。
【0016】
測定装置は、例えばプロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラムやデータを格納する記憶手段の一例であるメモリ、及び測定結果を出力する出力手段の一例である表示部を有する。
【0017】
本実施形態では、2つ(複数)の第1サイロ31と第2サイロ32を有する。第1サイロ31の内部には、第3分割部13が配置される。第2サイロ32の内部には、第5分割部15が配置される。
【0018】
図2は、
図1の要部を拡大した模式図である。詳細には、第1サイロ31の底部近傍に配置される第3分割部13の下部を拡大した模式図である。なお、第2サイロ32の底部近傍に配置される第5分割部15の下部も同様の形状を有する。
【0019】
第3分割部13の光ファイバは、往路側光ファイバ部100と、折り返し部200と、復路側光ファイバ部300と、を有する。これらの往路側光ファイバ部100と、折り返し部200と、復路側光ファイバ部300とは、一体に繋がる。
【0020】
図1及び
図2に示すように、往路側光ファイバ部100は、上下方向に延びるサイロ(第1サイロ31及び第2サイロ32)の上端側から下端側に向けて延びる。即ち、往路側光ファイバ部100は、サイロの軸方向(上下方向)の一端側(上端側)から他端側(下端側)へ向けて延びる。
【0021】
折り返し部200は、湾曲した形状を有する。詳細には、湾曲した形状は、U字状の形状である。なお、折り返し部200をJ字状の形状としてもよい。折り返し部200の上端201は、往路側光ファイバ部100の下端101と一体に繋がっている。
【0022】
復路側光ファイバ部300は、上下方向に延びるサイロの下端側から上端側に向けて延びる。即ち、サイロの軸方向の他端側(下端側)から一端側(上端側)へ向けて延びる。折り返し部200の上端202は、復路側光ファイバ部300の下端301と一体に繋がっている。
【0023】
以上説明したように、本実施形態に係る温度検出装置1は、サイロ(第1サイロ31、第2サイロ32)の内部に配置され、往路側光ファイバ部100、折り返し部200及び復路側光ファイバ部300を有する光ファイバ10を備える。往路側光ファイバ部100は、サイロの軸方向の一端側(上端側)から他端側(下端側)へ向けて延び、折り返し部200は、湾曲した形状を有し、往路側光ファイバ部100の端部と一体に繋がり、復路側光ファイバ部300は、サイロの軸方向の他端側(下端側)から一端側(上端側)へ向けて延び、折り返し部200の端部と一体に繋がる。
【0024】
光ファイバ10は、温度検出の精度、応答性及び安定性が優れるという性質を有する。本実施形態に係る温度検出装置1では、光ファイバ10をサイロの内部に配置しているため、光ファイバ10を用いて、サイロの内部に収容された収容物の温度を検出することができる。よって、サイロの収容物の温度を精度よく、かつ、高い応答性及び安定性をもって検出することができる。なお、サイロの下側には、図示しないコンベアが配置され、高温になったサイロの収納物をサイロの底部から排出し、前記コンベアで搬送することにより、収納物を冷却させることができる。
【0025】
折り返し部200は、サイロ(第1サイロ31、第2サイロ32)の底部に配置される。光ファイバ10がサイロの軸方向の全長に亘って配置されるため、サイロの内部の略全域の温度を検出することができる。また、サイロの底部に配置される部位が、光ファイバ10において最も荷重がかかる部位であるため、当該部位に湾曲した折り返し部200を配置することにより、光ファイバ10の損傷を抑制することができる。
【0026】
折り返し部200は、側面視でU字状に湾曲している。U字状の形状は、局所的に応力が集中する部位が少ないため、光ファイバ10が損傷しにくい。
【0027】
サイロ(第1サイロ31、第2サイロ32)は複数(2つ)設けられ、それぞれのサイロについて光ファイバ10がそれぞれ設けられ、各光ファイバ10同士は、互いに繋がっている。これによれば、複数のサイロについて1本の光ファイバ10で温度管理を行うことができる。
【0028】
サイロ(第1サイロ31、第2サイロ32)内の収容物は、石炭である。これによれば、石炭は、高温になりやすく、自然発火しやすい。よって、光ファイバ10による高精度な温度管理をすることで火災等を未然に防止することができる。
【0029】
[第2実施形態]
次いで、第2実施形態に係る光ファイバについて説明する。
図3は、第2実施形態に係る光ファイバの底部近傍の模式図である。
【0030】
第2実施形態においては、1つのサイロの内部に、2本の光ファイバを配置した態様を示す。2本の光ファイバは、第1光ファイバ41及び第2光ファイバ42である。第1光ファイバ41は、
図2に示す第3分割部13の光ファイバ10と同一形状を有する。即ち、第1光ファイバ41は、一体に繋がった往路側光ファイバ部411と折り返し部412と復路側光ファイバ部413とを有する。また、第2光ファイバ42は、一体に繋がった往路側光ファイバ部421と折り返し部422と復路側光ファイバ部423とを有する。第1光ファイバ41及び第2光ファイバ42の下端の高さ位置は略同一である。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る光ファイバ10は、一つのサイロについて複数本(2本)設けられる。これによれば、一の光ファイバが断線した場合でも、他の光ファイバを繋ぎ直して使用することができる。
【0032】
[第3実施形態]
次いで、第3実施形態に係る光ファイバについて説明する。
図4は、第3実施形態に係る光ファイバの底部近傍の模式図である。第3実施形態においては、湾曲部材が設けられる。
【0033】
図4に示すように、湾曲部材50は、円盤部51,52と、円筒部53と、を有する。円盤部51,52の外径は、円筒部53の外径よりも大きい。円筒部53の軸方向(左右方向)に沿って2つの円盤部51,52が離隔して配置される。2つの円盤部51,52同士を円筒部53で連結している。2つの円盤部51,52と、円筒部53とは同軸である。
図2で説明した第3分割部13の光ファイバ10における折り返し部200が円筒部53の外周に巻き付けられる。なお、折り返し部200が円筒部53の外周に隙間なく密着して巻き付けられてもよく、折り返し部200が円筒部53の外周に多少の隙間をもった状態で巻回されてもよい。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、光ファイバ10の折り返し部200の内周側には、折り返し部200の形状に沿った湾曲部材50が配置される。
【0035】
これによれば、折り返し部200が収容物で押された場合でも、湾曲部材50によって折り返し部200の形状を保持するため、光ファイバ10が損傷しにくい。
【0036】
また、折り返し部200は、湾曲部材50に巻きついている。よって、折り返し部200が収容物で押された場合でも、折り返し部200が湾曲部材50から外れにくいため、光ファイバ10が損傷しにくい。
【0037】
[第4実施形態]
次いで、第4実施形態に係る光ファイバについて説明する。
図5は、第4実施形態に係る光ファイバの底部近傍の模式図である。第4実施形態においては、湾曲部材が設けられる。
【0038】
図5に示すように、湾曲部材60は、円盤部61,62,63と、円筒部64と、を有する。円盤部61,62,63の外径は、円筒部64の外径よりも大きい。円筒部64の軸方向(左右方向)に沿って3つの円盤部61,62,63が離隔して配置される。即ち、第1円盤部61、第2円盤部62及び第3円盤部63同士を円筒部で連結している。第1円盤部61と、第2円盤部62と、第3円盤部63と、円筒部64とは同軸である。
【0039】
3つの円盤部61,62,63は、円筒部64の軸方向に沿って等間隔に配置される。
図3で説明した第1光ファイバ41及び第2光ファイバ42における折り返し部412,422が円筒部64の外周に巻き付けられる。詳細には、第2光ファイバ42の折り返し部422は、第1円盤部61と第2円盤部62との間に配置され、第1光ファイバ41の折り返し部412は、第2円盤部62と第3円盤部63との間に配置される。なお、折り返し部412,422が円筒部64の外周に隙間なく密着して巻き付けられてもよく、折り返し部412,422が円筒部64の外周に多少の隙間をもった状態で巻回されてもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、1つの湾曲部材60に、複数の光ファイバ(第1光ファイバ41及び第2光ファイバ42)が巻回される。これによれば、第1光ファイバ41及び第2光ファイバ42の双方ともに折り返し部412,422が収容物で押された場合でも、折り返し部412,422が湾曲部材60から外れにくいため、第1光ファイバ41及び第2光ファイバ42が損傷しにくい。
【0041】
[第5実施形態]
次いで、第5実施形態に係る光ファイバについて説明する。
図6は、第5実施形態に係る光ファイバの底部近傍の模式図である。
図7は、
図6の第1治具の断面図である。
図8は、
図7のVIII−VIII線による断面図である。
図9は、
図6の第2治具の側面図である。
図10は、
図9をA方向から見た平面図である。
図11は、
図9をB方向から見た正面図である。
図12は、第2治具の外周に光ファイバが巻きついた状態を示す模式図である。
図13は、第2治具の外周に光ファイバが巻きついた状態を示す模式図である。
図14は、第2治具の外周に光ファイバが巻きついた状態を示す模式図である。第5実施形態においては、湾曲部材が設けられる。
【0042】
図6に示すように、湾曲部材70は、第1治具71と、第2治具72と、本体カバー73と、先端カバー74と、ワイヤロープ75と、を有する。第2治具72は、第1治具71に図示しない固定部材を介して固定されている。第1治具71の小径部711の外周側にはワイヤロープ75が配置される。第1治具71及び第2治具72の外周側には、円筒状の本体カバー73が配置され、第1治具71及び第2治具72の下端部は、先端カバー74で覆われる。図示しない円環状のバンドで本体カバー73を締め付けることにより、ワイヤロープ75が第1治具71の小径部711の外周側から圧縮して締め付ける。先端カバー74は、例えば半球状の形状を有する。本体カバー73は、例えば円筒状の形状を有する。
【0043】
図7及び
図8に示すように、第1治具71は、小径部711と、大径部712と、を有する。小径部711と大径部712とは、一体である。小径部711の外周面711aは、円筒面である。大径部712の外周面712aは、円筒面である。第1治具71の内方には、中心軸方向に延びる貫通孔が設けられる。この貫通孔は、第1貫通孔713と、第2貫通孔714と、第3貫通孔715と、を含む。第1貫通孔713の内径は、第3貫通孔715の内径よりも小さい。第2貫通孔714は、第1貫通孔713と第3貫通孔715との間に配置される。第2貫通孔714の内径は、第1貫通孔713から第3貫通孔715まで徐々に大きくなる。即ち、第2貫通孔714の内周面は、円錐台状のテーパ面である。大径部712の外周面712aには、中心軸方向に沿って2つの取付孔716が貫通して設けられる。第1治具71の材質は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐腐食性の高い材質が好ましいが、これに限定されず、種々の材質が適用可能である。
【0044】
図9から
図11を用いて第2治具72について説明する。第2治具72は、側方から見て略楕円状の形状を有する。第2治具72は、本体部721,722と、中間部723と、を有する。
図11に示すように、本体部721と本体部722とは、
図11の紙面の左右方向に離隔して配置される。本体部721と本体部722との間に中間部723が設けられる。本体部721は、
図9に示すように側方から見て全周に亘ってフランジ7211を有する。フランジ7211の外周縁7211aは、側方から見て略楕円状の形状を有する。本体部722は、
図9に示すように全周に亘ってフランジ7221を有する。フランジ7221の外周縁7221aは、側方から見て略楕円状の形状を有する。中間部723の外周723aも、側方から見て略楕円状の形状を有する。中間部723の外周723aは、外周縁7211a及び外周縁7221aよりも内周側に配置される。従って、フランジ7221と、中間部723の外周723aと、フランジ7221とによって溝が構成される。
【0045】
後述する
図13及び
図14に示すように、当該溝に光ファイバ10が巻回される。なお、本体部721と本体部722と中間部723とを貫通する貫通孔724が長手方向に沿って2つ配置される。貫通孔724は、第1治具71の取付孔716と対応して配置される。即ち、貫通孔724と取付孔716とを合致させて、ボルト等の締結具を貫通孔724と取付孔716とを貫通させて締結することにより、第1治具71と第2治具72とを締結することができる。また、第2治具72の材質は、例えば、JIS A5052等の耐腐食性の高いアルミニウム合金が好ましいが、これに限定されず、種々の材質が適用可能である。
【0046】
図12から
図14を用いて、光ファイバ10の折り返し部200Aが第2治具72の外周に巻き付けられる状態について説明する。本実施形態では、折り返し部200Aは、第2治具72の周りに複数回巻き付けられている。
【0047】
図9から
図11で説明したように、フランジ7211と、中間部723の外周723aと、フランジ7221とによって溝が構成される。よって、
図12〜
図14に示すように、当該溝に光ファイバ10の折り返し部200Aを複数回にわたって巻き付ける。なお、巻回する回数は限定されない。なお、折り返し部200Aが中間部723の外周723aに隙間なく密着して巻き付けられてもよく、折り返し部200Aが外周723aに多少の隙間をもった状態で巻回されてもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、折り返し部200Aは、湾曲部材70の第2治具72に複数回巻き付いている。よって、折り返し部200Aが収容物で押された場合でも、折り返し部200Aが湾曲部材70から外れにくいため、光ファイバ10が損傷しにくい。
【0049】
また、第1治具71を第2治具72の外周側に配置している。このため、第1治具71によって、第2治具72及び折り返し部200Aが保護される。具体的には、第2治具72及び折り返し部200Aがワイヤロープ75と接触して破損することが抑制される。
【0050】
なお、本体カバー73及び先端カバー74によって、第1治具71、第2治具72及び折り返し部200Aが保護される。
【0051】
なお、前記実施形態の具体的構成はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0052】
例えば、第2実施形態において、1つのサイロの内部に2本の光ファイバを配置している。しかし、1つのサイロの内部に2本の光ファイバを配置してもよい。また、実施形態では、サイロの収納物が石炭の場合を説明したが、収納物は穀物でもよい。穀物の例として、例えばとうもとこし、小麦、大麦、大豆、こうりゃん、菜種などが適用可能である。これらの穀物も本発明によってそれぞれの適正な温度基準の範囲に管理することができる。
温度検出装置は、サイロの内部に配置され、往路側光ファイバ部、折り返し部及び復路側光ファイバ部を有する光ファイバを備え、前記往路側光ファイバ部は、前記サイロの軸方向の一端側から他端側へ向けて延び、前記折り返し部は、湾曲した形状を有し、前記往路側光ファイバ部の端部と一体に繋がり、前記復路側光ファイバ部は、前記サイロの軸方向の他端側から一端側へ向けて延び、前記折り返し部の端部と一体に繋がる。