【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0060】
(合成例1)グアニジンラウリン酸塩の合成
1Lナス型フラスコに、グアニジン炭酸塩52.09g(289.1mmol)、エタノール400mL、ラウリン酸115.1g(578.3mmol)を加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2時間撹拌したのち、エタノールを減圧留去した。得られた固体を40℃でアセトンに溶解したのち、室温まで冷却し、これを濾取、洗浄後、50℃で5時間真空乾燥して、白色固体を143.5g(553.2mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、得られた固体がグアニジンラウリン酸塩であることを確認した(
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.1−1.5(br)、1.9(t;2H)、7.0−8.6(br))。モル収率は96%であった。
【0061】
(合成例2)グアニジンステアリン酸塩の合成
1Lナス型フラスコに、グアニジン炭酸塩39.33g(218.3mmol)、エタノール400mL、ステアリン酸124.2g(436.6mmol)を加え、磁気撹拌子を用いて50℃で撹拌した。2時間撹拌したのち、エタノールを減圧留去した。得られた固体を40℃でアセトンに溶解したのち、室温まで冷却し、これを濾取、洗浄後、50℃で5時間真空乾燥して、白色固体を143.1g(416.5mmol)得た。得られた固体を
1H−NMRで分析し、グアニジンステアリン酸塩であることを確認した(
1H−NMR(CDCl
3,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.2−1.4(br)、2.2−2.3(br)、7.3−7.7(br))。また、得られた固体をガスクロマトグラフィー「GC6890」(Agilent社製商品名)により測定した結果が、標品であるステアリン酸とリテンションタイム(18.2分)が一致したことから、得られた固体がグアニジンステアリン酸塩であることを確認した。モル収率は95%であった。
【0062】
(合成例3)グアニジンパーム油脂肪酸塩の合成
500mLナス型フラスコに、グアニジン炭酸塩5.51g(30.6mmol)、エタノール40mL、パーム油の脂肪酸(パルミチン酸52%、オレイン酸31%を含む)16.38g(61.2mmol)を加え磁気撹拌子を用いて50℃で撹拌した。2時間撹拌したのち、エタノールを減圧留去した。得られた固体を、100℃で5時間真空乾燥して、褐色固体を20.0g(74.7mmol)得た。得られた固体を炭素・水素・窒素同時定量装置「CHNコーダーMT−6」(ヤナコテクニカルサイエンス社製商品名)を用いて元素分析したところ、グアニジンパーム油脂肪酸塩の計算値C,65.41;H,11.93;N,12.87に対し、実測値C,64.55;H,11.92;N,12.66であったため、得られた固体がグアニジンパーム油脂肪酸塩であることを確認した。モル収率は約99%であった。
【0063】
(合成例4)グアニジンヤシ油脂肪酸塩の合成
500mLナス型フラスコに、グアニジン炭酸塩33.76g(187.3mmol)、2−イソプロパノール105mL、ヤシ油の脂肪酸(ラウリン酸49%、ミリスチン酸17%を含む)77.94g(374.6mmol)を加え磁気撹拌子を用いて50℃で撹拌した。2時間撹拌したのち、2−イソプロパノールを減圧留去した。得られた固体を、100℃で5時間真空乾燥して、褐色固体を100g(374.6mmol)得た。得られた固体を炭素・水素・窒素同時定量装置「CHNコーダーMT−6」(ヤナコテクニカルサイエンス社製商品名)を用いて元素分析したところ、グアニジンヤシ油脂肪酸塩の計算値C,60.90;H,11.38;N,15.74に対し、実測値C,59.29;H,11.46;N,15.17であったため、得られた固体がグアニジンヤシ油脂肪酸塩であることを確認した。モル収率は約99%であった。
【0064】
以下の実施例1、2、比較例1〜4、参考例1で用いた各成分の詳細を下に示す。
ゴム成分:137.5質量部、合成ゴム、旭化成社製、商品名「タフデンE581」(37.5%油展)
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
:1質量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック224」
カーボンブラック:5質量部、SAF、東海カーボン社製、商品名「シースト9」
オイル:5質量部、T−DAEオイル、H&R社製
シランカップリング剤:6質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、エボニック社製、商品名「Si69」
シリカ:75質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil 7000GR」
グアニジンラウリン酸塩:1.0質量部、合成例1
グアニジンステアリン酸塩:1.0質量部、合成例2
ジフェニルグアニジン:1.0質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:0.5質量部、東京化成工業社製
脂肪酸亜鉛:2.0質量部、不飽和脂肪酸の亜鉛せっけん(商品名「ストラクトール A50P」、シル+ザイラッハ社製
滑剤:2質量部、精選特殊ワックス、大内新興化学工業社製、商品名「サンノック」
:2質量部、非亜鉛せっけん&飽和脂肪酸エステル混合物、シル+ザイラッハ社製、商品名「Struktol HT207」
加硫助剤:2質量部、酸化亜鉛、2種、ハクスイテック社製
:1質量部、ステアリン酸、日本精化社製
加硫剤:1.6質量部、硫黄、細井化学工業社製
加硫促進剤:2.5質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:1質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0065】
〔実施例1〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機社製600mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に加硫助剤及び老化防止剤、カーボンブラック及び滑剤を添加した。その30秒後にシランカップリング剤をまぶしたシリカ半量を投入し、その60秒後にオイルをまぶしたシリカの残る半量、滑剤、グアニジンラウリン酸塩1.0質量部(合成例1)を添加した。その後、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が145℃に達するまで混練した。
第二混練:第一混練で得られた混練物を室温まで冷却した後、バンバリーミキサー(東洋精機社製600mLラボプラストミル)に投入し、回転数100rpmで4分間混練を行い、未加硫ゴム組成物を得た。
第三混練:6インチ二本ロール混練機を用いて、ロール温度50℃、回転数25rpmの条件で、第二混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(王子機械社製)を用いて160℃、10MPaで未加硫ゴム組成物を14分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0066】
〔実施例2、比較例1〜4、参考例1〕
下記表1の組成に従って、グアニジンラウリン酸塩1.0質量部の化合物種及びその量を変更した以外は、実施例1と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0067】
以下の実施例3、4、比較例5、6、参考例2で用いた各成分の詳細を下に示す。
ゴム成分:100質量部、天然ゴム、商品名「RSS#1」、加藤産商社製
シリカ:30質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil 7000GR」
シランカップリング剤:2.4質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、エボニック社製、商品名「Si69」
グアニジンラウリン酸塩:1質量部、合成例1
グアニジンステアリン酸塩:1質量部、合成例2
ジフェニルグアニジン:1質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:1質量部、東京化成工業社製
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、川口化学工業社製、商品名「アンテージ6C」
加硫助剤:3質量部、酸化亜鉛2種、日本化学工業社製
:2質量部、ステアリン酸(試薬特級)、富士フィルム和光純薬社製
カーボンブラック:30質量部、HAF、旭カーボン社製、商品名「旭#70」
加硫剤:1.75質量部、硫黄、細井化学工業社製、商品名「HK200−1」
加硫促進剤:1質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:0.5質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0068】
〔実施例3〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
素練り:バンバリーミキサー(東洋精機製250mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し初期回転数を20rpmとして、1分ごとに20rpmずつ60rpmまで上昇させ、5分間混練した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機社製250mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に半量のシリカ、及びシランカップリング剤、グアニジンラウリン酸塩1質量部(合成例1)を添加した。30秒後に残る半量のシリカ、加硫助剤及び老化防止剤を投入した。カーボンブラックを添加後、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が145℃に達するまで混練した。
第二混練:6インチ二本ロール混練機(池田機械工業社製6インチ高温ロール)を用いて、ロール温度30℃、回転数25rpmの条件で、第一混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(大竹機械工業(株)製電熱プレス)を用いて150℃で未加硫ゴム組成物を加硫試験のt90の1.5倍の時間で加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0069】
〔実施例4、比較例5、6、参考例2〕
下記表2の組成に従って、グアニジンラウリン酸塩の化合物種を変更した以外は、実施例3と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0070】
以下の実施例5、6、比較例7、8、参考例3で用いた各成分の詳細を示す。
ゴム成分:100質量部、合成ゴム、旭化成社製、商品名「タフデン2000R」(油展なし)
カーボンブラック:20質量部、HAF、旭カーボン社製、商品名「旭#70」
グアニジンラウリン酸塩:1質量部、合成例1
グアニジンステアリン酸塩:1質量部、合成例2
ジフェニルグアニジン:1質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:1質量部、東京化成工業社製
シランカップリング剤:4質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、エボニック社製、商品名「Si69」
オイル:25質量部、T−DAEオイル、JXエネルギー(株)製、商品名「エラミック30」
シリカ:50質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil 7000GR」
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、川口化学工業社製、商品名「アンテージ6C」
加硫助剤:2質量部、酸化亜鉛2種、日本化学工業社製
:2質量部、ステアリン酸(試薬特級)、富士フィルム和光純薬社製
加硫剤:1.6質量部、硫黄、細井化学工業製、商品名「HK200−1」
加硫促進剤:2.5質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:1質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0071】
〔実施例5〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機製250mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後にカーボンブラック及びグアニジンラウリン酸塩1質量部(合成例1)を投入し、その30秒後にシランカップリング剤及びオイルをまぶしたシリカ半量を投入した。60秒後にオイルをまぶした残るシリカ半量を投入し、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が145℃に達するまで混練した。
第二混練:第一混練で得られた混練物を室温まで冷却した後、バンバリーミキサー(東洋精機製250mLラボプラストミル)に投入し、回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に加硫助剤及び老化防止剤を半量投入し、その15秒後に残りを投入した。ゴム温度が140℃に達するまで混練した。
第三混練:6インチ二本ロール混練機(池田機械工業社製6インチ高温ロール)を用いて、ロール温度50℃、回転数25rpmの条件で、第二混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(大竹機械工業社製電熱プレス)を用いて160℃、10MPaで未加硫ゴム組成物を加硫試験のt90の1.1倍の時間で加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0072】
〔実施例6、比較例7、8、参考例3〕
下記表3の組成に従って、グアニジンラウリン酸塩の化合物種を変更した以外は、実施例5と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0073】
以下の実施例7、比較例9、10、参考例4で用いた各成分の詳細を下に示す。
ゴム成分:100質量部、合成ゴム、旭化成株式会社製、商品名「タフデン2000R」(油展なし)
カーボンブラック:5質量部、ISAF-HS、東海カーボン社製、商品名「シースト7HM」
グアニジンパーム油脂肪酸塩:1質量部、合成例3
ジフェニルグアニジン:1質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:0.5質量部、東京化成工業社製
シランカップリング剤:4質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、エボニック社製、商品名「Si75」
オイル:25質量部、T−DAEオイル、JXエネルギー社製、商品名「エラミック30」
シリカ:50質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil 7000GR」
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
加硫助剤:2質量部、酸化亜鉛2種、日本化学工業社製
:2質量部、ステアリン酸(試薬特級)、富士フィルム和光純薬社製
加硫剤:1.6質量部、硫黄、東京化成工業社製
加硫促進剤:2.5質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:1質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0074】
〔実施例7〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後にカーボンブラック及びグアニジンパーム油脂肪酸塩1質量部(合成例3)を投入し、その60秒後にシランカップリング剤及び半量のオイルをまぶした半量のシリカを投入した。その後、残る半量のオイルをまぶした残る半量のシリカを投入し、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が160℃に達するまで混練した。
第二混練:第一混練で得られた混練物を室温まで冷却した後、バンバリーミキサー(東洋精機社製600mLラボプラストミル)に投入し、回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に加硫助剤及び老化防止剤を半量投入し、その15秒後に残りを投入した。混練時間が3分に達するまで混練した。
第三混練:6インチ二本ロール混練機(池田機械工業(株)製6インチ高温ロール)を用いて、ロール温度30℃、回転数25rpmの条件で、第二混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(大竹機械工業(株)製電熱プレス)を用いて160℃、10MPaで未加硫ゴム組成物を加硫試験のt90の1.1倍の時間で加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0075】
〔比較例9、10、参考例4〕
表4の組成に従ってグアニジンパーム油脂肪酸塩の化合物種を変更した以外は、実施例5と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0076】
以下の実施例8、9、比較例11、12、参考例5で用いた各成分の詳細を下に示す。
ゴム成分:100質量部、合成ゴム、旭化成株式会社製、商品名「タフデン2000R」(油展なし)
カーボンブラック:5質量部、ISAF-HS、東海カーボン社製、商品名「シースト7HM」
グアニジンヤシ油脂肪酸塩:1質量部、合成例4
グアニジンラウリン酸塩:1質量部、合成例1
ジフェニルグアニジン:1質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:1質量部、東京化成工業社製
シランカップリング剤:4.8質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、エボニック社製、商品名「Si75」
オイル:25質量部、T−DAEオイル、JXエネルギー社製、商品名「エラミック30」
シリカ:60質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil VN3」
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
加硫助剤:2質量部、酸化亜鉛2種、日本化学工業社製
:2質量部、ステアリン酸(試薬特級)、富士フィルム和光純薬社製
加硫剤:1.6質量部、硫黄、東京化成工業社製
加硫促進剤:2.5質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:1質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0077】
〔実施例8〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後にカーボンブラック及びグアニジンヤシ油脂肪酸塩1質量部(合成例4)を投入し、その60秒後にシランカップリング剤及び半量のオイルをまぶした半量のシリカを投入した。その後、残る半量のオイルをまぶした残る半量のシリカを投入し、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が160℃に達するまで混練した。
第二混練:第一混練で得られた混練物を室温まで冷却した後、バンバリーミキサー(東洋精機社製600mLラボプラストミル)に投入し、回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に加硫助剤及び老化防止剤を半量投入し、その15秒後に残りを投入した。混練時間が3分に達するまで混練した。
第三混練:6インチ二本ロール混練機(池田機械工業(株)製6インチ高温ロール)を用いて、ロール温度30℃、回転数25rpmの条件で、第二混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(大竹機械工業(株)製電熱プレス)を用いて160℃、10MPaで未加硫ゴム組成物を加硫試験のt90の1.1倍の時間で加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0078】
〔実施例9、比較例11、12、参考例5〕
表5の組成に従ってグアニジンヤシ油脂肪酸塩の化合物種を変更した以外は、実施例8と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0079】
得られた実施例1〜9、比較例1〜12、参考例1〜5の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物に対して、下記の方法で加工性、低発熱性、及び補強性を評価した。結果を下記表1〜5に示す。
【0080】
(1)加工性
上記未加硫ゴム組成物に対し、表1における例では、ムーニービスコメータ(東洋精機製作所社製、商品名「AM−4」)を用い、JIS K 6300−1:2013「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準拠して、L形ローターを用い、125℃の条件下で、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度ML1+4[M]を測定した。得られた未加硫ゴム組成物の加工性を、表1の参考例1のムーニー粘度ML1+4[M]の値を100として、その表中の他の実施例と比較例におけるムーニー粘度ML1+4[M]の値を相対値として算出した。ムーニー粘度ML1+4[M]は値が低い程、加工性が良好であることを示す。
【0081】
表2〜5における例では、ムーニービスコメータ(東洋精機製作所社製、商品名「AM−4」)を用い、JIS K 6300−1:2013「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準拠して、L型ローターを用い、100℃の条件下で未加硫ゴム組成物のムーニー粘度ML1+4[M]、125℃の条件下でスコーチタイムT5[分]を測定した。得られた未加硫ゴム組成物の加工性を、各表の各参考例のムーニー粘度ML1+4[M]、スコーチタイムT5[分]の値をそれぞれ100として、その表中の他の実施例と比較例におけるムーニー粘度ML1+4[M]の値及びスコーチタイムT5[分]の値をそれぞれ相対値として算出した。加工性ムーニー粘度ML1+4[M]のは値が低い程、スコーチタイムT5[分]は値が大きい程、加工性が良好であることを示す。
【0082】
(2)低発熱性
上記加硫ゴム組成物に対し、動的粘弾性測定装置(セイコ−インスツル(株)製、商品名「DMS6100」)を用い、温度60℃、歪み0.5%、周波数10Hzで損失正接(tanδ)を測定した。得られた加硫ゴム組成物の低発熱性は、各表において、各参考例の損失正接(tanδ)の値を100として、その表中の他の実施例と比較例における損失正接(tanδ)の値を相対値として算出した。低発熱性の値が小さい程、低発熱性が良好であることを示す。
【0083】
(3)補強性
上記加硫ゴム組成物に対し、JIS K6251:2010に準拠して引張り試験を行い、引張り破断強度を測定した。得られた加硫ゴム組成物の補強性を、各表において、各参考例の引張り破断強度の値「M300」の値を100として、その表中の他の実施例と比較例における引張り破断強度の値「M300」の値を相対値として算出した。補強性の値が大きい程、補強性が良好であることを示す。
【0084】
【表1】
表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【0085】
【表2】
表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【0086】
【表3】
表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【0087】
【表4】
表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【表5】
表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【0088】
表1〜5に示される結果から、実施例におけるグアニジン脂肪酸塩(A)を含有するゴム組成物は、グアニジン脂肪酸塩(A)を含有していない比較例と同等以上に生産性に関わる優れた加工性を維持しつつ、低発熱性及び補強性に優れること、すなわち加工性、低発熱性及び補強性のバランスに優れていることが少なくとも確認された。
【0089】
本出願は、2018年8月24日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2018−157531号)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。