特許第6702517号(P6702517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6702517
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ゴム組成物及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20200525BHJP
   C08K 5/31 20060101ALI20200525BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20200525BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20200525BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20200525BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20200525BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C08L21/00
   C08K5/31
   C08K5/54
   C08K3/013
   C08K3/06
   C08K3/36
   B60C1/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-567386(P2019-567386)
(86)(22)【出願日】2019年7月11日
(86)【国際出願番号】JP2019027528
【審査請求日】2019年12月5日
(31)【優先権主張番号】特願2018-157531(P2018-157531)
(32)【優先日】2018年8月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】影山 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 麻耶
(72)【発明者】
【氏名】印南 享
【審査官】 岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−203071(JP,A)
【文献】 特開2013−144797(JP,A)
【文献】 特表2016−525168(JP,A)
【文献】 特表平10−507231(JP,A)
【文献】 特開昭57−192490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 −101/16
C08K 3/00 − 13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グアニジンと脂肪酸との塩であるグアニジン脂肪酸塩(A)、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)、並びに無機充填材(C)を含有し、
グアニジン脂肪酸塩(A)における脂肪酸が、炭素数6〜22の脂肪酸を含む、ゴム組成物。
【請求項2】
グアニジン脂肪酸塩(A)の含有量が、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)100質量部に対して、0.2〜5.0質量部である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
グアニジン脂肪酸塩(A)の含有量が、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)100質量部に対して、0.5〜3.0質量部である、請求項に記載のゴム組成物。
【請求項4】
無機充填材(C)が、シリカを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
シランカップリング剤(D)をさらに含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
加硫剤(E)をさらに含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載のゴム組成物を含む、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及び当該ゴム組成物を含むタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
充填材は、それをゴムに混合して、ゴムの補強、増量や特殊機能を付与する等の目的で用いられる配合剤である。代表的な充填材であるカ−ボンブラックは、ゴムの弾性率、破断強度等の力学特性の向上(補強効果)に寄与しているのみならず、導電性を付与する等の機能も有する。
【0003】
カ−ボンブラックと同様にゴムの補強効果が得られ、発熱性の低いゴム組成物を得ることができる方法として、シリカ等の無機充填材を使用する方法が知られている。また、その方法は環境性に配慮した低燃費タイヤ向けのゴム組成物等に応用されている。
【0004】
無機充填材を配合するゴム組成物において無機充填材を配合する際、無機充填材は、特に表面にシラノ−ル基を有する親水性のシリカは、疎水性のゴムとの親和性が低く、ゴム組成物中で凝集してしまう。よって、シリカによる補強性を高め、さらに低発熱化効果を得るためには、シリカとゴムの親和性を高める必要がある。そのための方法として、シランカップリング剤を配合する技術が開発されている。また、かかるシリカ配合ゴム組成物の特性を改良するために、シリカとシランカップリング剤の反応性を向上させる物質を配合することが知られている。例えば、特許文献1には、シリカとシランカップリング剤との反応促進化合物として、ジフェニルグアニジン、1,3-ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジエチルチオウレア、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩等の塩基性加硫促進剤が開示されている。
【0005】
また、特許文献2〜4には、アミノグアニジン、アルキリデンアミノグアニジン、ジアミノグアニジンの強い塩基性を有する化合物によって変性させることにより得られる変性ゴムと、無機充填物及びシランカップリング剤と、を配合したタイヤ用ゴム組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/123306号パンプレット
【特許文献2】国際公開第2015/190519号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2015/190504号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2016/039276号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、グアニジン骨格を有するグアニジン化合物のゴム組成物への使用は、無機充填材とゴムとの親和性を向上させて、ゴム組成物の低発熱性及び補強性の向上に寄与する。一方、強い塩基性を有するグアニジン化合物は、ゴム組成物中の成分の各種反応を促進することに起因して、ゴム組成物の加工性が低下してしまう。
【0008】
今後、大気中の二酸化炭素濃度、大気汚染等の環境問題に対する世の中の関心はますます高くなることが予想される。そのため、シリカ等の無機充填材をゴム組成物に添加しても生産性に関わる優れた加工性を維持しつつ、低発熱性及び補強性に優れるゴム組成物及びタイヤを提供できる技術が求められている。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、無機充填材を含有するゴム組成物において、生産性に関わる優れた加工性を維持しつつ、低発熱性及び補強性に優れるゴム組成物及び当該ゴム組成物を含むタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、グアニジンと脂肪酸との塩であるグアニジン脂肪酸塩(A)、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)、並びに無機充填材(C)を含有するゴム組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
グアニジンと脂肪酸との塩であるグアニジン脂肪酸塩(A)、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)、並びに無機充填材(C)を含有する、ゴム組成物。
[2]
グアニジン脂肪酸塩(A)における脂肪酸の炭素数が、3以上である、[1]に記載のゴム組成物。
[3]
グアニジン脂肪酸塩(A)における脂肪酸が、炭素数6〜22の脂肪酸を含む、[1]に記載のゴム組成物。
[4]
グアニジン脂肪酸塩(A)の含有量が、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)100質量部に対して、0.2〜5.0質量部である、[1]〜[3]のいずれかに記載のゴム組成物。
[5]
グアニジン脂肪酸塩(A)の含有量が、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)100質量部に対して、0.5〜3.0質量部である、[4]に記載のゴム組成物。
[6]
無機充填材(C)が、シリカを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のゴム組成物。
[7]
シランカップリング剤(D)をさらに含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載のゴム組成物。
[8]
加硫剤(E)をさらに含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載のゴム組成物。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載のゴム組成物を含む、タイヤ。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無機充填材を含有するゴム組成物において、生産性に関わる優れた加工性を維持しつつ、低発熱性及び補強性に優れるゴム組成物及び当該ゴム組成物を含むタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0014】
〔ゴム組成物〕
本実施形態のゴム組成物は、上述したグアニジンと脂肪酸との塩であるグアニジン脂肪酸塩(A)、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)(以下、「ゴム成分(B)」ともいう。)、並びに無機充填材(C)を含有する。
【0015】
〔グアニジン脂肪酸塩(A)〕
グアニジン脂肪酸塩(A)は、グアニジンと脂肪酸とからなる塩である。本実施形態のゴム組成物は、グアニジン脂肪酸塩(A)を含有することにより、生産性に関わる優れた加工性を維持しつつ、低発熱性及び補強性に優れる。この理由は次のように推察される(ただし、要因はこれに限定されない。)。
【0016】
本実施形態のゴム組成物において、グアニジン脂肪酸塩(A)が、内部滑剤として作用して無機充填材(C)に吸着し、該無機充填材(C)の表面の極性を下げることにより、無機充填材(C)とゴム成分(B)との親和性及び無機充填剤(C)の分散性を向上させる。特に、無機充填材(C)が有し得る極性基(特にシリカの場合はシリカ表面のシラノ−ル基)とシランカップリング剤(D)の加水分解を伴う反応(シラニゼ―ション反応)が、グアニジン脂肪酸塩(A)の有する塩基性触媒効果により促進される。以上のことから、本実施形態のゴム組成物が低発熱性及び補強性に優れると推察される。
【0017】
また、グアニジン脂肪酸塩(A)自体の塩基性は、グアニジンの強い塩基性が脂肪酸との塩を形成していることによって弱まっており、ゴム組成物中のグアニジン脂肪酸塩(A)、ゴム成分(B)及び無機充填材(C)の間における各種反応、特にシランカップリング剤(D)を本実施形態の組成物が含有する場合における、グアニジン脂肪酸塩(A)とシランカップリング剤(D)との過剰な反応や、混練中のゴム成分(B)とシランカップリング剤(D)間での過剰な架橋反応、を抑制する。これに起因して、本実施形態のゴム組成物は加工性にも優れる。
【0018】
グアニジン脂肪酸塩(A)が有する脂肪酸は、分岐していてもよい鎖状の炭化水素が結合した1価のカルボン酸であれば特に限定されないが、公知の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸と同様の構造を有することができる。また、グアニジン脂肪酸塩(A)の脂肪酸は、好ましくは炭素数が3以上の脂肪酸であり、より好ましくは炭素数が6〜22の脂肪酸であり、さらに好ましくは炭素数が8〜22の脂肪酸であり、よりさらに好ましくは炭素数が12〜18の脂肪酸である。炭素数が3以上の脂肪酸であることにより、混練中の脂肪酸の揮発によるグアニジン脂肪酸塩(A)の分解が抑制され、本発明の作用効果を確実に奏することが可能である。また、炭素数が6〜22の範囲の脂肪酸であることにより、ゴム成分(B)及びゴム成分(B)に対する無機充填材(C)界面との相溶性が向上し、無機充填材(C)の分散が促進され、本発明の作用効果をより確実に奏することが可能である。
【0019】
ここで、脂肪酸における「炭素数」は、カルボン酸の炭素原子と鎖状の炭化水素の炭素原子との総数であり、鎖状の炭化水素が分岐している場合には、分岐している部分の炭化水素の炭素原子も含んだものである。
【0020】
脂肪酸としては、飽和脂肪酸不飽和脂肪酸が挙げられ、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、カプロン酸、オクチル酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、へベン酸の直鎖飽和脂肪酸及び分岐鎖飽和脂肪酸;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸の直鎖不飽和脂肪酸及び分岐鎖不飽和脂肪酸が挙げられる。また、脂肪酸としては、パーム油(パルミチン酸とオレイン酸を多く含み、リノール酸、ステアリン酸、ミリスチン酸も含む。その中でも、パルミチン酸が35〜55%であり、オレイン酸が30〜50%であるものが好ましい。)や牛脂(パルミチン酸とオレイン酸、ステアリン酸を多く含み、リノール酸、ミリスチン酸も含む。)、ヤシ油(ラウリン酸とミリスチン酸を多く含み、パルミチン酸も含む。その中でも、ラウリン酸が35〜55%、ミリスチン酸が10〜30%であるものが好ましい。)、パーム核油(ラウリン酸とミリスチン酸を多く含み、パルミチン酸も含む。その中でも、ラウリン酸が35〜55%、ミリスチン酸が10〜30%であるものが好ましい。)等の飽和脂肪酸を複数種含む油脂由来の混合脂肪酸も挙げられる。ここで、混合脂肪酸は、飽和脂肪酸を50%以上含むものであればよく、不飽和脂肪酸をさらに含むものであってもよい。これら脂肪酸は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、脂肪酸は、乳酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸のように水酸基を含んでいてもよい。これらの中でも、飽和脂肪酸及び混合脂肪酸がより好ましく、飽和脂肪酸の中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸がさらに好ましく、ラウリン酸が特に好ましい。また、混合脂肪酸の中でも、パーム油及びヤシ油が好ましく、油脂に含まれる脂肪酸をそのまま使うことも好ましい。
【0021】
グアニジン脂肪酸塩(A)が有するグアニジンは、特に限定されないが、公知のグアニジンと同様の構造を有する。
【0022】
グアニジン脂肪酸塩(A)は、特に限定されないが、例えばグアニジン塩と脂肪酸とを反応させて得られる。より具体的には、グアニジン炭酸塩と脂肪酸とを、水、アルコール等の極性溶媒中、常圧で、0℃〜100℃、好ましくは室温(20℃)〜80℃で10分〜24時間程度撹拌して反応させることにより、得られる。反応後、公知の方法により目的物を精製するとよい。より具体的には、後述する実施例の合成例1〜4に挙げる方法によって、グアニジン脂肪酸塩(A)を得ることができる。
【0023】
グアニジン脂肪酸塩(A)は、公知の製造方法(例えばMELVIN Z. POLIAKOFF1 AND GILBERT B. L. SMITH, GUANIDINE SOAPS. IND. ENG. CHEM., 40, 335-337 (1948)に記載の方法)で得ることもできる。より具体的には、次のとおりにして得ることができる。脂肪酸を、その質量の約10倍量の溶媒(例えばエチルアルコール又はアセトン)に溶解し、脂肪酸に対して1:1のモル等量よりもわずかに過剰の粉砕したグアニジン炭酸塩を添加し、その後、脂肪酸とグアニジン炭酸塩との混合物を約2時間穏やかに還流して、脂肪酸とグアニジン炭酸塩とを反応させて、反応物を得ることができる。得られた反応物を、その全量をろ過し、溶媒を除去し、反応容器内の残留物を真空下で乾燥させる等の公知の方法により精製すればよい。
【0024】
上記の反応において、反応が完了したか否かは、得られた反応物を過剰のグアニジン炭酸塩を除去するためにろ過し、適宜標準的な酸又は塩基で滴定することによって確認することができる。用いた脂肪酸の種類にもよるが、上記のとおり約2時間程度穏やかに還流して反応させれば、脂肪酸を全てグアニジン炭酸塩と反応させることができる傾向にある。
【0025】
グアニジン脂肪酸塩(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本実施形態のゴム組成物におけるグアニジン脂肪酸塩(A)の含有量は、後述するゴム成分(B)100質量部に対して、好ましくは0.2〜5.0質量部であり、より好ましくは0.3〜3.0質量部であり、更に好ましくは0.5〜3.0質量部である。グアニジン脂肪酸塩(A)の含有量が上記範囲であることにより、優れた低発熱性及び補強性を損なうことなく、ゴム組成物の加工性を向上させることができる傾向にある。
【0027】
〔天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)〕
天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)としては、特に限定されないが、例えばゴムの樹から得られる天然ゴム及び/又は石油等から工業的に製造される合成ゴムが挙げられる。
【0028】
(天然ゴム)
天然ゴムの原料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴムラテックス並びに天然ゴムラテックスを凝固及び乾燥して得られるシ−トゴム及びブロックゴムの形状を有するものが挙げられる。これら天然ゴムは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。天然ゴムの主成分としては、例えばポリイソプレンが挙げられる。
【0029】
シ−トゴムとしては、特に限定されないが、例えば、「天然ゴム各種等級品の国際品質包装基準」(通称グリ−ンブック)に記載されたものが挙げられる。より具体的には、シ−トを煙で燻しながら乾燥させたリブドスモ−クドシ−ト(RSS)、シ−トを熱風乾燥させたエアドライシ−ト(ADS)、凝固物を充分に水洗し熱風で乾燥させたクレ−プ、TCラバ−(Technically Classified Rubber)、SPラバ−(Super Processing Rubber)、MGラバ−、PPクレ−プ、軟化剤、しゃく解剤添加ゴム等が挙げられる。
【0030】
ブロックゴムとしては、特に限定されないが、例えば、マレ−シア産のStandard Malaysian Rubber(SMR)、インドネシア産のStandard Indonesian Rubber(SIR)、タイ産のThai Tested Rubber(TTR)、シンガポ−ル産のStandard Singapore Rubber(SSR)、ベトナム産のStandard Vietnamese Rubber(SVR)、インドネシア産のStandard Indonesian Rubber(SIR)、中国産のStandard China Rubber(SCR)等が挙げられる。
【0031】
天然ゴムの市販品としては、例えば加藤産商社製の商品名「RSS#1」が挙げられる。
【0032】
(合成ゴム)
合成ゴムとしては、特に限定されないが、例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリイソプレン、3,4−ポリイソプレン、イソブチレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、プロピレン−ブチレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等の分子内に二重結合を有するジエン系ゴムが挙げられる。合成ゴムは、必要に応じて、上記ジエン系ゴムに対してアミノ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン等を導入した変性ジエン系ゴムであってもよい。これら合成ゴムは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
合成ゴムの市販品としては、例えば旭化成社製の商品名「タフデンE581」、「タフデン2000R」が挙げられる。
【0034】
ゴム成分(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
本実施形態のゴム組成物におけるゴム成分(B)の含有量は、ゴム組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは40〜80質量%であり、より好ましくは45〜75質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。ゴム成分(B)の含有量が上記範囲内であることにより、低発熱性及び破断強度により優れる傾向にある。
【0036】
〔無機充填材(C)〕
無機充填材(C)としては、当業界で用いられる無機充填材であれば特に限定されないが、例えば、ケイ素、典型金属、又は遷移金属の酸化物;ケイ素、典型金属、又は遷移金属の水酸化物;それらの水和物;ケイ素、典型金属、又は遷移金属の炭酸塩;カ−ボンブラック等からなる群より選択される一種以上が挙げられる。
【0037】
また、無機充填材(C)は、主として補強性を高める目的で使用される補強性充填材;増量の目的や圧延性、主として押出性等の加工性を改善する目的で使用される非補強性充填材に分類することもできる。補強性充填材としては、特に限定されないが、例えば、表面が活性なシリカ、表面処理クレー、カーボンブラック、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。また、非補強性充填材としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、けいそう土、粉砕石英、溶融石英、アルミノケイ酸、有機酸表面処理炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、酸化第二鉄等が挙げられる。上記のなかでも、補強性充填材が好ましく、その中でもシリカがより好ましい。このような無機充填材(C)を用いることにより、ゴム組成物の補強性がより向上するとともに、ゴム成分(B)と無機充填材(C)との親和性がより向上し、得られるゴム成形体の低ロス性がより優れる傾向にある。
【0038】
シリカとしては、特に限定されないが、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)及びコロイダルシリカを使用することができる。また、シリカのBET比表面積は、好ましくは40〜350m/gであり、より好ましくは100〜300m/gであり、更に好ましくは150〜250m/gである。シリカのBET表面積が上記範囲であることにより、シリカの粒子径が適切となり、ゴム組成物を成形した成形体の引張り強度がより向上し、ヒステリシスロスがより低下する傾向にある。シリカの市販品としては、例えばエボニック社製の商品名「Ultrasil 7000GR」や「Ultrasil VN3」が挙げられる。
【0039】
またカーボンブラックの市販品としては、例えば、東海カーボン社製の商品名「シースト9」、「シースト7HM」、旭カーボン社製の商品名「旭#70」が挙げられる。
【0040】
無機充填材(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
本実施形態のゴム組成物における無機充填材(C)の含有量は、ゴム成分(B)100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部であり、より好ましくは20〜125質量部であり、さらに好ましくは30〜100質量部である。無機充填材(C)の含有量が上記範囲内であることにより、ゴム組成物の加工性及び補強性がより向上し、得られるゴム成形体の低ロス性がより優れる傾向にある。
【0042】
〔シランカップリング剤(D)〕
本実施形態のゴム組成物は、好ましくはシランカップリング剤(D)をさらに含有する。本実施形態のゴム組成物において、シランカップリング剤をさらに含有することにより、無機充填材(C)、特にシリカとシランカップリング剤(D)との反応(シラニゼーション)によって、ゴム成分(B)と無機充填材(C)との親和性をより向上させ、ゴム組成物が低発熱性及び補強性により優れる傾向にある。
【0043】
シランカップリング剤(D)としては、特に限定されないが、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等のチオ系シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン系シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン系シランカップリング剤等が挙げられる。このなかでも、スルフィド系シランカップリング剤が好ましい。
【0044】
シランカップリング剤(D)の市販品としては、例えばエボニック社製の商品名「Si69」、「Si75」が挙げられる。
【0045】
シランカップリング剤(D)を用いることにより、ゴム成分(B)と無機充填材(C)との親和性がより向上する傾向にある。シランカップリング剤(D)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
本実施形態のゴム組成物におけるシランカップリング剤(D)の含有量は、無機充填材(C)100質量部に対して、好ましくは1〜25質量部であり、より好ましくは2〜20質量部であり、さらに好ましくは3〜15質量部である。シランカップリング剤(D)の含有量が上記範囲内であることにより、ゴム成分(B)と無機充填材(C)との親和性がより向上する傾向にある。
【0047】
〔加硫剤(E)〕
本実施形態のゴム組成物は、加硫剤(E)をさらに含有してもよい。
加硫剤(E)としては、ゴム組成物に用いる加硫剤として通常当業界で用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、加硫剤として一般的に使用される種々のタイプの硫黄、また例えば粉末硫黄、沈降硫黄及び不溶性硫黄が挙げられる。加硫剤(E)の市販品としては、例えば細井化学工業社製の商品名「HK200−1」が挙げられる。これら加硫剤(E)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
本実施形態のゴム組成物における加硫剤(E)の含有量は、ゴム成分(B)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜3質量部である。加硫剤(E)の含有量が0.1質量部以上であることにより、十分に加硫が進行する。また、加硫剤(E)の含有量が5質量部以下であることにより、混練り中にゴムやけを起こしてしまうことを抑制できる傾向にある。
【0049】
〔加硫促進剤(F)〕
本実施形態のゴム組成物は、加硫剤(E)に加えて加硫促進剤(F)をさらに含有してもよい。これにより、ゴム組成物は加硫する際に充分に速い加硫速度を得ることができる。加硫促進剤(F)としては、特に限定されないが、例えば、メルカプトベンゾチアゾ−ル、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾ−ル系化合物;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N’−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド等のグアニジン系化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド等のチウラム系化合物;N,N'-ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素等のチオウレア系化合物等が挙げられる。このなかでも、加硫反応の速度を容易に調整できることから、チアゾ−ル系化合物及び/又はスルフェンアミド系化合物が好ましく、スルフェンアミド系化合物がより好ましい。
【0050】
加硫促進剤(F)の市販品としては、例えば大内新興化学工業社製の商品名「ノクセラーCZ」、「ノクセラーD」が挙げられる。
【0051】
加硫促進剤(F)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
本実施形態のゴム組成物における加硫促進剤(F)の含有量は、ゴム成分(B)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部である。
【0053】
〔その他の成分〕
本実施形態のゴム組成物は、上記成分の他に、必要に応じて、ゴム工業界で通常使用される配合剤を更に含有してもよい。このような配合剤としては、特に限定されないが、例えば、老化防止剤、加工助剤(例えば非亜鉛せっけん&飽和脂肪酸エステル混合物、加硫助剤(例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛等)、滑剤(ワックスともいう。例えば大内新興化学工業社製の商品名「サンノック」)、可塑性樹脂、オイル等が挙げられる。これらの配合剤は、市販品を好適に使用することができる。
【0054】
老化防止剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、ナフチルアミン系、p−フェニレンジアミン系、ヒドロキノン誘導体、ビス,トリス,ポリフェノール系、ジフェニルアミン系、キノリン系、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダードフェノール系等を挙げることができ、更なる老化防止効果の点で、p−フェニレンジアミン系、ジフェニルアミン系のアミン系老化防止剤が好ましい。ジフェニルアミン系老化防止剤としては、特に限定されないが、4,4′−ビス(α−メチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、ジ(4−オクチルフェニル)アミン等が挙げられ、これらの中で、更に高い老化防止効果の点で、4,4′−ビス(α−メチルベンジル)ジフェニルアミンがより好ましい。また、p−フェニレンジアミン系老化防止剤としては、特に限定されないが、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられ、これらの中で、更に高い老化防止効果及びコスト面から、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン及び2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体がより好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンがさらに好ましくい。また、老化防止剤の市販品としては、例えば大内新興化学工業社製の商品名「ノクラック6C」、「ノクラック224」、川口化学工業社製の商品名「アンテージ6C」が挙げられる。本実施形態のゴム組成物における老化防止剤の含有量は、ゴム成分(B)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5.0質量部である。
【0055】
上記オイルの種類としては、特に限定されないが、石油やコールタール由来の鉱物油系オイル、脂肪油や松樹由来の植物油系オイル、合成樹脂系オイル等が挙げられる。オイルの市販品としては、例えばJXエネルギー社製の商品名「エラミック30」が挙げられる。
【0056】
〔ゴム組成物の製造方法〕
次に、本実施形態のゴム組成物の製造方法について述べる。本実施形態のゴム組成物は、少なくとも、グアニジン脂肪酸塩(A)、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)、並びに無機充填材(C)を混合する工程を有する。混合する工程は、当業界において一般的な方法を利用することが可能であり、例えば、ゴム成分(B)の可塑性を調整する素練り工程(以下、「素練り工程」ともいう。)、無機充填剤(C)等を混合するノンプロ練り工程(以下、「ノンプロ練り工程」ともいう。)、加硫用配合剤を混合するプロ練り工程(以下、「プロ練り工程」ともいう。)の3つの工程を含み、それらの工程で、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)に、他の配合剤(グアニジン脂肪酸塩(A)、無機充填材(C)、加硫剤(E)、加硫促進剤(F)、その他の成分等)を適切な工程で添加し混合することができる。なお、合成ゴム等のゴム成分(B)の重合度の調整が不要な場合には、素練り工程は省略できる。素練り工程、ノンプロ練り工程、プロ練り工程は、その順に行われることが好ましいが、必要に応じてこれらの工程を入れ替えて行ってもよい。
【0057】
グアニジン脂肪酸塩(A)は素練り工程又はノンプロ練り工程、プロ練り工程のいずれの添加でもよいが、無機充填材(C)を添加混合するノンプロ練りでの添加が好ましい。添加する方法としては、特に限定されないが、例えば、グアニジン脂肪酸塩(A)の粉体をそのまま添加する方法、グアニジン脂肪酸塩(A)を分散媒に分散させて懸濁液として添加する方法、グアニジン脂肪酸塩(A)を溶媒に溶解させて溶液又は乳濁液として添加する方法等が挙げられる。
【0058】
〔タイヤ〕
本実施形態のタイヤは、本実施形態のゴム組成物を含む、特に好ましくは本実施形態のゴム組成物をトレッドに含む。本実施形態のゴム組成物をトレッドに含むタイヤは、低燃費性に優れる。尚、本実施形態のタイヤは、本実施形態のゴム組成物をタイヤ部材の何れかに含む以外特に制限はなく、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0060】
(合成例1)グアニジンラウリン酸塩の合成
1Lナス型フラスコに、グアニジン炭酸塩52.09g(289.1mmol)、エタノール400mL、ラウリン酸115.1g(578.3mmol)を加え、磁気撹拌子を用いて室温で撹拌した。2時間撹拌したのち、エタノールを減圧留去した。得られた固体を40℃でアセトンに溶解したのち、室温まで冷却し、これを濾取、洗浄後、50℃で5時間真空乾燥して、白色固体を143.5g(553.2mmol)得た。得られた固体をH−NMRで分析し、得られた固体がグアニジンラウリン酸塩であることを確認した(H−NMR(DMSO−d6,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.1−1.5(br)、1.9(t;2H)、7.0−8.6(br))。モル収率は96%であった。
【0061】
(合成例2)グアニジンステアリン酸塩の合成
1Lナス型フラスコに、グアニジン炭酸塩39.33g(218.3mmol)、エタノール400mL、ステアリン酸124.2g(436.6mmol)を加え、磁気撹拌子を用いて50℃で撹拌した。2時間撹拌したのち、エタノールを減圧留去した。得られた固体を40℃でアセトンに溶解したのち、室温まで冷却し、これを濾取、洗浄後、50℃で5時間真空乾燥して、白色固体を143.1g(416.5mmol)得た。得られた固体をH−NMRで分析し、グアニジンステアリン酸塩であることを確認した(H−NMR(CDCl,500MHz,δ;ppm)=0.9(t;3H)、1.2−1.4(br)、2.2−2.3(br)、7.3−7.7(br))。また、得られた固体をガスクロマトグラフィー「GC6890」(Agilent社製商品名)により測定した結果が、標品であるステアリン酸とリテンションタイム(18.2分)が一致したことから、得られた固体がグアニジンステアリン酸塩であることを確認した。モル収率は95%であった。
【0062】
(合成例3)グアニジンパーム油脂肪酸塩の合成
500mLナス型フラスコに、グアニジン炭酸塩5.51g(30.6mmol)、エタノール40mL、パーム油の脂肪酸(パルミチン酸52%、オレイン酸31%を含む)16.38g(61.2mmol)を加え磁気撹拌子を用いて50℃で撹拌した。2時間撹拌したのち、エタノールを減圧留去した。得られた固体を、100℃で5時間真空乾燥して、褐色固体を20.0g(74.7mmol)得た。得られた固体を炭素・水素・窒素同時定量装置「CHNコーダーMT−6」(ヤナコテクニカルサイエンス社製商品名)を用いて元素分析したところ、グアニジンパーム油脂肪酸塩の計算値C,65.41;H,11.93;N,12.87に対し、実測値C,64.55;H,11.92;N,12.66であったため、得られた固体がグアニジンパーム油脂肪酸塩であることを確認した。モル収率は約99%であった。
【0063】
(合成例4)グアニジンヤシ油脂肪酸塩の合成
500mLナス型フラスコに、グアニジン炭酸塩33.76g(187.3mmol)、2−イソプロパノール105mL、ヤシ油の脂肪酸(ラウリン酸49%、ミリスチン酸17%を含む)77.94g(374.6mmol)を加え磁気撹拌子を用いて50℃で撹拌した。2時間撹拌したのち、2−イソプロパノールを減圧留去した。得られた固体を、100℃で5時間真空乾燥して、褐色固体を100g(374.6mmol)得た。得られた固体を炭素・水素・窒素同時定量装置「CHNコーダーMT−6」(ヤナコテクニカルサイエンス社製商品名)を用いて元素分析したところ、グアニジンヤシ油脂肪酸塩の計算値C,60.90;H,11.38;N,15.74に対し、実測値C,59.29;H,11.46;N,15.17であったため、得られた固体がグアニジンヤシ油脂肪酸塩であることを確認した。モル収率は約99%であった。
【0064】
以下の実施例1、2、比較例1〜4、参考例1で用いた各成分の詳細を下に示す。
ゴム成分:137.5質量部、合成ゴム、旭化成社製、商品名「タフデンE581」(37.5%油展)
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
:1質量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック224」
カーボンブラック:5質量部、SAF、東海カーボン社製、商品名「シースト9」
オイル:5質量部、T−DAEオイル、H&R社製
シランカップリング剤:6質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、エボニック社製、商品名「Si69」
シリカ:75質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil 7000GR」
グアニジンラウリン酸塩:1.0質量部、合成例1
グアニジンステアリン酸塩:1.0質量部、合成例2
ジフェニルグアニジン:1.0質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:0.5質量部、東京化成工業社製
脂肪酸亜鉛:2.0質量部、不飽和脂肪酸の亜鉛せっけん(商品名「ストラクトール A50P」、シル+ザイラッハ社製
滑剤:2質量部、精選特殊ワックス、大内新興化学工業社製、商品名「サンノック」
:2質量部、非亜鉛せっけん&飽和脂肪酸エステル混合物、シル+ザイラッハ社製、商品名「Struktol HT207」
加硫助剤:2質量部、酸化亜鉛、2種、ハクスイテック社製
:1質量部、ステアリン酸、日本精化社製
加硫剤:1.6質量部、硫黄、細井化学工業社製
加硫促進剤:2.5質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:1質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0065】
〔実施例1〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機社製600mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に加硫助剤及び老化防止剤、カーボンブラック及び滑剤を添加した。その30秒後にシランカップリング剤をまぶしたシリカ半量を投入し、その60秒後にオイルをまぶしたシリカの残る半量、滑剤、グアニジンラウリン酸塩1.0質量部(合成例1)を添加した。その後、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が145℃に達するまで混練した。
第二混練:第一混練で得られた混練物を室温まで冷却した後、バンバリーミキサー(東洋精機社製600mLラボプラストミル)に投入し、回転数100rpmで4分間混練を行い、未加硫ゴム組成物を得た。
第三混練:6インチ二本ロール混練機を用いて、ロール温度50℃、回転数25rpmの条件で、第二混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(王子機械社製)を用いて160℃、10MPaで未加硫ゴム組成物を14分間加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0066】
〔実施例2、比較例1〜4、参考例1〕
下記表1の組成に従って、グアニジンラウリン酸塩1.0質量部の化合物種及びその量を変更した以外は、実施例1と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0067】
以下の実施例3、4、比較例5、6、参考例2で用いた各成分の詳細を下に示す。
ゴム成分:100質量部、天然ゴム、商品名「RSS#1」、加藤産商社製
シリカ:30質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil 7000GR」
シランカップリング剤:2.4質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、エボニック社製、商品名「Si69」
グアニジンラウリン酸塩:1質量部、合成例1
グアニジンステアリン酸塩:1質量部、合成例2
ジフェニルグアニジン:1質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:1質量部、東京化成工業社製
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、川口化学工業社製、商品名「アンテージ6C」
加硫助剤:3質量部、酸化亜鉛2種、日本化学工業社製
:2質量部、ステアリン酸(試薬特級)、富士フィルム和光純薬社製
カーボンブラック:30質量部、HAF、旭カーボン社製、商品名「旭#70」
加硫剤:1.75質量部、硫黄、細井化学工業社製、商品名「HK200−1」
加硫促進剤:1質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:0.5質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0068】
〔実施例3〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
素練り:バンバリーミキサー(東洋精機製250mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し初期回転数を20rpmとして、1分ごとに20rpmずつ60rpmまで上昇させ、5分間混練した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機社製250mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に半量のシリカ、及びシランカップリング剤、グアニジンラウリン酸塩1質量部(合成例1)を添加した。30秒後に残る半量のシリカ、加硫助剤及び老化防止剤を投入した。カーボンブラックを添加後、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が145℃に達するまで混練した。
第二混練:6インチ二本ロール混練機(池田機械工業社製6インチ高温ロール)を用いて、ロール温度30℃、回転数25rpmの条件で、第一混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(大竹機械工業(株)製電熱プレス)を用いて150℃で未加硫ゴム組成物を加硫試験のt90の1.5倍の時間で加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0069】
〔実施例4、比較例5、6、参考例2〕
下記表2の組成に従って、グアニジンラウリン酸塩の化合物種を変更した以外は、実施例3と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0070】
以下の実施例5、6、比較例7、8、参考例3で用いた各成分の詳細を示す。
ゴム成分:100質量部、合成ゴム、旭化成社製、商品名「タフデン2000R」(油展なし)
カーボンブラック:20質量部、HAF、旭カーボン社製、商品名「旭#70」
グアニジンラウリン酸塩:1質量部、合成例1
グアニジンステアリン酸塩:1質量部、合成例2
ジフェニルグアニジン:1質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:1質量部、東京化成工業社製
シランカップリング剤:4質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、エボニック社製、商品名「Si69」
オイル:25質量部、T−DAEオイル、JXエネルギー(株)製、商品名「エラミック30」
シリカ:50質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil 7000GR」
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、川口化学工業社製、商品名「アンテージ6C」
加硫助剤:2質量部、酸化亜鉛2種、日本化学工業社製
:2質量部、ステアリン酸(試薬特級)、富士フィルム和光純薬社製
加硫剤:1.6質量部、硫黄、細井化学工業製、商品名「HK200−1」
加硫促進剤:2.5質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:1質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0071】
〔実施例5〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機製250mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後にカーボンブラック及びグアニジンラウリン酸塩1質量部(合成例1)を投入し、その30秒後にシランカップリング剤及びオイルをまぶしたシリカ半量を投入した。60秒後にオイルをまぶした残るシリカ半量を投入し、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が145℃に達するまで混練した。
第二混練:第一混練で得られた混練物を室温まで冷却した後、バンバリーミキサー(東洋精機製250mLラボプラストミル)に投入し、回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に加硫助剤及び老化防止剤を半量投入し、その15秒後に残りを投入した。ゴム温度が140℃に達するまで混練した。
第三混練:6インチ二本ロール混練機(池田機械工業社製6インチ高温ロール)を用いて、ロール温度50℃、回転数25rpmの条件で、第二混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(大竹機械工業社製電熱プレス)を用いて160℃、10MPaで未加硫ゴム組成物を加硫試験のt90の1.1倍の時間で加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0072】
〔実施例6、比較例7、8、参考例3〕
下記表3の組成に従って、グアニジンラウリン酸塩の化合物種を変更した以外は、実施例5と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0073】
以下の実施例7、比較例9、10、参考例4で用いた各成分の詳細を下に示す。
ゴム成分:100質量部、合成ゴム、旭化成株式会社製、商品名「タフデン2000R」(油展なし)
カーボンブラック:5質量部、ISAF-HS、東海カーボン社製、商品名「シースト7HM」
グアニジンパーム油脂肪酸塩:1質量部、合成例3
ジフェニルグアニジン:1質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:0.5質量部、東京化成工業社製
シランカップリング剤:4質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、エボニック社製、商品名「Si75」
オイル:25質量部、T−DAEオイル、JXエネルギー社製、商品名「エラミック30」
シリカ:50質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil 7000GR」
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
加硫助剤:2質量部、酸化亜鉛2種、日本化学工業社製
:2質量部、ステアリン酸(試薬特級)、富士フィルム和光純薬社製
加硫剤:1.6質量部、硫黄、東京化成工業社製
加硫促進剤:2.5質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:1質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0074】
〔実施例7〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後にカーボンブラック及びグアニジンパーム油脂肪酸塩1質量部(合成例3)を投入し、その60秒後にシランカップリング剤及び半量のオイルをまぶした半量のシリカを投入した。その後、残る半量のオイルをまぶした残る半量のシリカを投入し、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が160℃に達するまで混練した。
第二混練:第一混練で得られた混練物を室温まで冷却した後、バンバリーミキサー(東洋精機社製600mLラボプラストミル)に投入し、回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に加硫助剤及び老化防止剤を半量投入し、その15秒後に残りを投入した。混練時間が3分に達するまで混練した。
第三混練:6インチ二本ロール混練機(池田機械工業(株)製6インチ高温ロール)を用いて、ロール温度30℃、回転数25rpmの条件で、第二混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(大竹機械工業(株)製電熱プレス)を用いて160℃、10MPaで未加硫ゴム組成物を加硫試験のt90の1.1倍の時間で加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0075】
〔比較例9、10、参考例4〕
表4の組成に従ってグアニジンパーム油脂肪酸塩の化合物種を変更した以外は、実施例5と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0076】
以下の実施例8、9、比較例11、12、参考例5で用いた各成分の詳細を下に示す。
ゴム成分:100質量部、合成ゴム、旭化成株式会社製、商品名「タフデン2000R」(油展なし)
カーボンブラック:5質量部、ISAF-HS、東海カーボン社製、商品名「シースト7HM」
グアニジンヤシ油脂肪酸塩:1質量部、合成例4
グアニジンラウリン酸塩:1質量部、合成例1
ジフェニルグアニジン:1質量部、東京化成工業社製
アミノグアニジン炭酸塩:1質量部、東京化成工業社製
シランカップリング剤:4.8質量部、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、エボニック社製、商品名「Si75」
オイル:25質量部、T−DAEオイル、JXエネルギー社製、商品名「エラミック30」
シリカ:60質量部、エボニック社製、商品名「Ultrasil VN3」
老化防止剤:2質量部、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
加硫助剤:2質量部、酸化亜鉛2種、日本化学工業社製
:2質量部、ステアリン酸(試薬特級)、富士フィルム和光純薬社製
加硫剤:1.6質量部、硫黄、東京化成工業社製
加硫促進剤:2.5質量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ」
:1質量部、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
【0077】
〔実施例8〕
以下の作成手順にて未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を作製した。
第一混練:バンバリーミキサー(東洋精機製600mLラボプラストミル)を用いて、ゴム成分を投入し回転数100rpmで混練を開始した。30秒後にカーボンブラック及びグアニジンヤシ油脂肪酸塩1質量部(合成例4)を投入し、その60秒後にシランカップリング剤及び半量のオイルをまぶした半量のシリカを投入した。その後、残る半量のオイルをまぶした残る半量のシリカを投入し、ゴム温度が140℃に達した時点でシリンダーを1分間開放した。再度密閉した後、ゴム温度が160℃に達するまで混練した。
第二混練:第一混練で得られた混練物を室温まで冷却した後、バンバリーミキサー(東洋精機社製600mLラボプラストミル)に投入し、回転数100rpmで混練を開始した。30秒後に加硫助剤及び老化防止剤を半量投入し、その15秒後に残りを投入した。混練時間が3分に達するまで混練した。
第三混練:6インチ二本ロール混練機(池田機械工業(株)製6インチ高温ロール)を用いて、ロール温度30℃、回転数25rpmの条件で、第二混練で得られた混練物に加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混練を実施した。
プレス加硫:油圧プレス機(大竹機械工業(株)製電熱プレス)を用いて160℃、10MPaで未加硫ゴム組成物を加硫試験のt90の1.1倍の時間で加硫することにより加硫ゴム組成物を得た。
【0078】
〔実施例9、比較例11、12、参考例5〕
表5の組成に従ってグアニジンヤシ油脂肪酸塩の化合物種を変更した以外は、実施例8と同様に操作して、各種の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を得た。
【0079】
得られた実施例1〜9、比較例1〜12、参考例1〜5の未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物に対して、下記の方法で加工性、低発熱性、及び補強性を評価した。結果を下記表1〜5に示す。
【0080】
(1)加工性
上記未加硫ゴム組成物に対し、表1における例では、ムーニービスコメータ(東洋精機製作所社製、商品名「AM−4」)を用い、JIS K 6300−1:2013「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準拠して、L形ローターを用い、125℃の条件下で、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度ML1+4[M]を測定した。得られた未加硫ゴム組成物の加工性を、表1の参考例1のムーニー粘度ML1+4[M]の値を100として、その表中の他の実施例と比較例におけるムーニー粘度ML1+4[M]の値を相対値として算出した。ムーニー粘度ML1+4[M]は値が低い程、加工性が良好であることを示す。
【0081】
表2〜5における例では、ムーニービスコメータ(東洋精機製作所社製、商品名「AM−4」)を用い、JIS K 6300−1:2013「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準拠して、L型ローターを用い、100℃の条件下で未加硫ゴム組成物のムーニー粘度ML1+4[M]、125℃の条件下でスコーチタイムT5[分]を測定した。得られた未加硫ゴム組成物の加工性を、各表の各参考例のムーニー粘度ML1+4[M]、スコーチタイムT5[分]の値をそれぞれ100として、その表中の他の実施例と比較例におけるムーニー粘度ML1+4[M]の値及びスコーチタイムT5[分]の値をそれぞれ相対値として算出した。加工性ムーニー粘度ML1+4[M]のは値が低い程、スコーチタイムT5[分]は値が大きい程、加工性が良好であることを示す。
【0082】
(2)低発熱性
上記加硫ゴム組成物に対し、動的粘弾性測定装置(セイコ−インスツル(株)製、商品名「DMS6100」)を用い、温度60℃、歪み0.5%、周波数10Hzで損失正接(tanδ)を測定した。得られた加硫ゴム組成物の低発熱性は、各表において、各参考例の損失正接(tanδ)の値を100として、その表中の他の実施例と比較例における損失正接(tanδ)の値を相対値として算出した。低発熱性の値が小さい程、低発熱性が良好であることを示す。
【0083】
(3)補強性
上記加硫ゴム組成物に対し、JIS K6251:2010に準拠して引張り試験を行い、引張り破断強度を測定した。得られた加硫ゴム組成物の補強性を、各表において、各参考例の引張り破断強度の値「M300」の値を100として、その表中の他の実施例と比較例における引張り破断強度の値「M300」の値を相対値として算出した。補強性の値が大きい程、補強性が良好であることを示す。
【0084】
【表1】
表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【0085】
【表2】
表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【0086】
【表3】
表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【0087】
【表4】
表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【表5】

表中、配合処方の各成分の数値は質量部を示す。
【0088】
表1〜5に示される結果から、実施例におけるグアニジン脂肪酸塩(A)を含有するゴム組成物は、グアニジン脂肪酸塩(A)を含有していない比較例と同等以上に生産性に関わる優れた加工性を維持しつつ、低発熱性及び補強性に優れること、すなわち加工性、低発熱性及び補強性のバランスに優れていることが少なくとも確認された。
【0089】
本出願は、2018年8月24日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2018−157531号)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係るゴム組成物は、トレッドをはじめとする種々のタイヤ部材の材料等として利用することができる。
【要約】
本発明は、グアニジンと脂肪酸との塩であるグアニジン脂肪酸塩(A)、天然ゴム及び/又は合成ゴム(B)、並びに無機充填材(C)を含有する、ゴム組成物、を提供する。