(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるクレーン装置1について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかるクレーン装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
このクレーン装置1は、エンジン発電装置10で発電した発電電力PGを共通母線Bに供給することにより、共通母線Bに接続されたインバータ31,32,33を介して電動機20,21,22,23を駆動して荷物の積み降ろしを行う装置である。
クレーン装置1には、主な構成として、エンジン発電装置10、主巻電動機20、走行電動機21,22、横行電動機23、インバータ(INV)31〜33、補機設備4、補機電源装置5、コントローラ6、および共通母線Bが設けられている。
【0015】
本実施の形態は、補機電源装置5により、インバータ32からの駆動電力P2を昇圧して得られた昇圧駆動電力PH、またはエンジン発電装置10から共通母線Bに供給された発電電力PGのいずれか一方を、補機設備4へ切替供給するものとし、この際、駆動電力P2を使用する電動機20,21電動機が停止している場合には、昇圧駆動電力PHを補機設備4へ供給し、電動機20,21電動機が動作している場合には、発電電力PGを補機設備4へ供給するようにしたものである。
【0016】
以下、本実施の形態にかかるクレーン装置1の構成について詳細に説明する。
エンジン発電装置10は、ディーゼルエンジン(DE)11と交流発電機(G)12を有し、ディーセルエンジン11で交流発電機12を駆動することにより交流の発電電力PGを発電して、共通母線Bへ供給する機能と、エンジン回転数を示すコントローラ6からの運転指示6Aに基づいて、ディーゼルエンジン11のエンジン回転数を制御する機能とを有している。
【0017】
主巻電動機20は、荷物の昇降を行うための交流電動機である。
走行電動機21,22は、ヤードに設けられたレーンに沿って架台を走行させるための交流電動機である。
横行電動機23は、レーンと直交する方向にスプレッダを横行させるための交流電動機である。
【0018】
インバータ31は、共通母線B上の発電電力PGを取り込んで電圧および周波数を変換し、得られた駆動電力P1を、コンタクタCNAまたはコンタクタCN1を介して、主巻電動機20または走行電動機21へ供給する機能を有している。
インバータ32は、共通母線B上の発電電力PGを取り込んで電圧および周波数を変換し、得られた駆動電力P2を、コンタクタCNBまたはコンタクタCN2を介して、主巻電動機20または走行電動機22へ供給する機能を有している。
【0019】
インバータ33は、共通母線B上の発電電力PGを取り込んで電圧および周波数を変換し、得られた駆動電力P3を、コンタクタCN1を介して横行電動機23へ供給する機能を有している。
なお、電動機20〜23およびインバータ31〜33の数や対応関係については、これに限定されるものではなく、クレーン装置1の用途において適宜変更してもよい。
【0020】
補機設備4は、照明装置、空調装置、あるいはコントローラなど、クレーン装置1の付帯設備として設けられている電気設備である。
補機電源装置5は、インバータ32からの駆動電力P2を昇圧して得られた昇圧駆動電力PH、またはエンジン発電装置1から共通母線Bに供給された発電電力PGのいずれか一方を、補機設備4へ切替供給する機能と、駆動電力P2を使用する主巻電動機20および走行電動機22が停止している場合には、昇圧駆動電力PHを補機設備4へ供給し、主巻電動機20または走行電動機22が動作している場合には、発電電力PGを補機設備4へ供給する機能とを有している。
【0021】
本実施の形態では、補機電源装置5がインバータ32からの駆動電力P2を取り込む場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、P2と等しい駆動電力P1を取り込んでもよい。また、補機設備4で必要となる補機電力P4を十分賄えるのであれば、P1,P2より小さい駆動電力P3を取り込んでもよい。
【0022】
コントローラ6は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、マイクロプロセッサまたは周辺回路に設けられたメモリからプログラムを読み込んで実行することにより、プログラムと上記ハードウェアとを協働させて、クレーン装置1全体を制御するための各種制御機能を有している。
【0023】
コントローラ6の主な制御機能としては、操作レバーや操作スイッチを介して検出した操作者のクレーン操作60に基づいて、各種のコマンド6Bをやり取りすることによりインバータ31〜33およびコンタクタCNA,CNB,CN1〜CN3を制御して、電動機20〜23をそれぞれ駆動することにより、荷物の昇降、架台の走行や横行などの運転動作を制御するクレーン運転機能や、電動機20〜23で実行する運転動作の内容に応じてエンジン発電装置10のエンジン回転数Nを運転指示6Aにより多段階に切替制御する回転数制御機能がある。
【0024】
[補機電源装置]
次に、
図1を参照して、補機電源装置5の構成について詳細に説明する。
補機電源装置5には、主な機能部として、コンタクタCN5、フィルタ5A、昇圧トランス5B、切替器SW、および切替制御部5Cが設けられている。
【0025】
コンタクタCN5は、電動機20〜23の駆動/停止に応じて、インバータ32から供給される駆動電力P2の取り込みの切/入を制御するコンタクタである。
フィルタ5Aは、コンタクタCN5を介してインバータ32から取り込んだ駆動電力P2に重畳している高周波ノイズを低減する機能を有している。
昇圧トランス5Bは、フィルタ5Aから出力された駆動電力P2を昇圧して昇圧駆動電力PHを出力する機能を有している。
【0026】
切替器SWは、電動機20〜23の駆動/停止に応じて、発電電力PGまたは昇圧駆動電力PHを補機設備4へ切替供給する切替器である。
切替制御部5Cは、コントローラ6からのコマンド6Bに基づく電動機20〜23の駆動/停止に応じて、コンタクタCN5および切替器SWを切替制御する機能と、切替器SWを切り替える際、昇圧駆動電力PHと発電電力PGとの位相が同期した時点で切替器SWを切り替える機能とを有している。
【0027】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図2〜
図4を参照して、本実施の形態にかかるクレーン装置1の動作について説明する。
図2は、第1の実施の形態にかかるクレーン動作とエンジン回転数および発電電力との関係を示す説明図である。
図3は、第1の実施の形態にかかるクレーン動作と補機電力との関係を示す説明図である。
図4は、第1の実施の形態にかかる補機電源供給動作を示すシーケンス図である。
【0028】
本実施の形態では、
図2に示すように、コントローラ6がエンジン発電装置10のエンジン回転数Nを2段階で変速する場合を例とする。具体的には、巻き上げ、走行、または横行のクレーン動作を行う際には、電動機20〜23のいずれかを駆動するため、エンジン回転数Nを予め設定された定格回転数Nsに切替制御して、発電電力PGを定格電力値Gsまで上昇させる。一方、クレーン動作を停止しているアイドリング状態の際には、電動機20〜23を駆動する必要がないため、エンジン回転数Nを予め設定されたアイドリング回転数Ni(Ni<Ns)に切替制御して、発電電力PGをアイドリング電力値Giまで低下させる。
【0029】
したがって、エンジン回転数Nが定格回転数Nsの場合、発電電力PGが定格電力値Gsとなるため、必要とされる補機電力P4と発電電力PG(Gs)とがほぼ等しくなる。このため、発電電力PGをそのまま補機電力P4として使用できることになる。
一方、エンジン回転数Nがアイドリング回転数Niの場合、発電電力PGが定格電力値Gsより低いアイドリング電力値Giとなるため、必要とされる補機電力P4より発電電力PG(Gi)が低くなる。このため、発電電力PGを補機電力P4としてそのまま使用できなくなる。
【0030】
本実施の形態では、このような各クレーン動作における発電電力PGと補機電力P4との比較結果に鑑み、電動機20〜23の駆動/停止に応じて、発電電力PGまたは昇圧駆動電力PHのいずれか一方を、補機電力P4として補機設備4へ切替供給している。
【0031】
具体的には、
図3に示すように、巻き上げ、走行、横行のいずれかのクレーン動作を行う場合、補機電力P4と発電電力PG(Gs)とがほぼ等しくなるため、発電電力PGをそのまま補機電力P4として補機設備4へ供給する。
一方、クレーン動作を停止しているアイドリング状態の場合、発電電力PGがアイドリング電力値Giまで低下するため、インバータ32からの駆動電力P2を昇圧して得られた昇圧駆動力PHを、補機電力P4として補機設備4へ供給する。
【0032】
この際、インバータ32は、コントローラ6からのコマンド6Bに基づいて、巻き上げ動作時には共通母線B上の発電電力PG(=Gs)を変換して得られた電力値Psを駆動電力P2として出力し、走行動作時には発電電力PG(=Gs)を変換して得られた電力値Pa(Pa<Ps)を駆動電力P2として出力し、横行動作時には駆動電力P2の出力を停止し、アイドリング状態では、共通母線B上の発電電力PG(=Gi)を変換して得られた電力値Pi(Pi<Pa<Ps)を駆動電力P2として出力する。
【0033】
したがって、
図4に示すように、巻き上げに伴う一連のクレーン動作としては、時刻T0以前において、いずれの電動機も駆動していないアイドリング状態であるため、コントローラ6は、エンジン回転数NをNiに切り替えており、コンタクタCNA,CNB,CN1〜CN3はすべてOFF状態に制御している。これにより、エンジン発電装置10からの発電電力PGは、最も低いアイドリング電力値Giを示している。
【0034】
また、補機電源装置5の切替制御部5Cは、このようなアイドリング状態において、コンタクタCN5をON状態に制御して、インバータ32からの駆動電力P2を取り込み、切替器SWを端子A側に切り替えている。したがって、時刻T0以前においては、駆動電力P2が昇圧トランス5Bで昇圧され、得られた昇圧駆動電力PHが切替器SWを介して補機設備4へ補機電力P4として供給される。
この際、コントローラ6からのコマンド6Bにより、駆動電力P2が補機電力P4の生成に最適な電圧、電流、および周波数を持つ電力値Piとなるよう、予め制御されている。
【0035】
この後、時刻T0において、操作者のクレーン操作60に応じて、主巻電動機20を動作させる場合、コントローラ6は、エンジン回転数NをNsに切替制御する。これにより、エンジン回転数NがNiから徐々に上昇するとともに、発電電力PGもアイドリング電力値Giから徐々に上昇する。
【0036】
その後、エンジン回転数NがNsまで到達するとともに、発電電力PGが定格電力値Gsまで到達した時刻T1において、コントローラ6は、インバータ32にコマンド6Bを出力して、駆動電力P2が主巻電動機20の駆動に最適な電圧、電流、および周波数を持つ電力値Psとなるよう制御した後、コンタクタCNA,CNBをON状態に制御して、インバータ31,32からの駆動電力P1,P2を主巻電動機20へ供給する。これにより、主巻電動機20が巻き上げ動作を開始する。なお、コンタクタCN1,CN2,CN3は、巻き上げ動作時、OFF状態に維持されている。
【0037】
また、時刻T1において、補機電源装置5の切替制御部5Cは、コントローラ6からのコマンド6Bに基づいて、昇圧駆動電力PHと発電電力PGとの位相を確認し、両位相が同期したタイミングで、コンタクタCN5をOFF状態に制御して、インバータ32からの駆動電力P2の取り込みを停止するとともに、切替器SWを端子B側に切り替える。
【0038】
したがって、時刻T1以降においては、共通母線Bの発電電力PGが切替器SWを介して補機設備4へ補機電力P4として供給される。また、位相同期タイミングでの切り替えにより、補機電源P4の正弦波形を滑らかにでき、非同期切り替えにより発生する正弦波形の不連続に起因する、電灯の瞬きなどの違和感、さらには補機設備4の動作不具合を回避することができる。
【0039】
この後、時刻T2において、操作者のクレーン操作60に応じて、主巻電動機20を停止させる場合、コントローラ6は、コンタクタCNA,CNBをOFF状態に制御するとともに、インバータ32にコマンド6Bを出力して、駆動電力P2が補機電力P4の生成に最適な電圧、電流、および周波数を持つ電力値Piとなるよう制御する。これにより、主巻電動機20に対する駆動電力P1,P2の供給が停止し、主巻電動機20の動作が停止する。
【0040】
この後、コントローラ6からのコマンド6Bに基づいて、補機電源装置5の切替制御部5Cは、コンタクタCN5をON状態に制御してインバータ32からの駆動電力P2の取り込みを再開した後、昇圧駆動電力PHと発電電力PGとの位相を確認し、両位相が同期したタイミングで切替器SWを端子A側に切り替える。
したがって、時刻T2以降においては、駆動電力P2が昇圧トランス5Bで昇圧され、得られた昇圧駆動電力PHが切替器SWを介して補機設備4へ補機電力P4として供給される。
【0041】
コントローラ6は、補機電源装置5における昇圧駆動電力PHへの切り替え後、エンジン回転数Nをアイドリング回転数Niに切替制御する。これにより、エンジン回転数NがNsから徐々に低下するとともに、発電電力PGも電力値Psから徐々に低下し、時刻T3において、エンジン回転数Nがアイドリング回転数Niまで低下するとともに、発電電力PGが電力値Piまで低下する。
【0042】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、補機電源装置5により、インバータ32からの駆動電力P2を昇圧して得られた昇圧駆動電力PH、またはエンジン発電装置10から共通母線Bに供給された発電電力PGのいずれか一方を、補機設備4へ切替供給するものとし、この際、主巻電動機20、走行電動機21,22、横行電動機23のいずれかを駆動する場合には、発電電力PGを補機設備4へ切替供給し、主巻電動機20、走行電動機21,22、横行電動機23をすべて停止する場合には、昇圧駆動電力PHを補機設備4へ切替供給するようにしたものである。
【0043】
これにより、主巻電動機20、走行電動機21,22、横行電動機23をすべて停止して、エンジン発電装置10のエンジン回転数Nをアイドリング回転数Niに低下させた場合には、インバータ32からの駆動電力P2を昇圧して得られた昇圧駆動電力PHが補機設備4へ供給される。したがって、発電電力PGから補機設備4用の補機電力P4を生成する専用のインバータを別個に追加することなく、エンジン回転数Nを低下させても補機設備4へ補機電力P4を安定供給することが可能となる。
【0044】
[第2の実施の形態]
次に、
図5を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるクレーン装置10について説明する。
図5は、第2の実施の形態にかかるクレーン装置の要部を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、いずれの電動機20〜23も駆動していないアイドリング状態において、エンジン発電装置10のエンジン回転数Nをアイドリング回転数Niに切り替え、任意の電動機20〜23を駆動する場合には、定格回転数Nsに切り替える2段階変速制御を前提として説明した。これにより、アイドリング状態におけるエンジン発電機10でのエネルギー消費を削減できる。
【0045】
一方、主巻電動機20、走行電動機21,22、および横行電動機23で消費する電力は、それぞれの電動機で異なるため、主巻電動機20で必要となる最大電力に合わせて定格回転数Nsを設定すると、走行電動機21,22および横行電動機23を駆動する場合、発電電力PGが過剰となる。このため、駆動する電動機での消費電力に合わせてエンジン回転数Nを3段階以上で変速制御することにより、過不足なくエンジン発電機10を運転して無駄なエネルギー消費をさらに削減する方法が考えられる。
【0046】
コントローラ6が、運転指示6Aによりエンジン発電装置10のエンジン回転数Nを3段階以上で変速制御する場合、クレーン動作に応じて発電電力PGの電圧も変化するため、走行動作時や横行動作時などのようにエンジン回転数Nが定格回転数Nsより低下させる場合には、第1の実施の形態のように、発電電力PGをそのまま補機電力P4として供給することができなくなる。
【0047】
本実施の形態では、このようなエンジン回転数Nによる発電電力PGの変化に対応するため、補機電源装置5において、複数のインバータ32,33ごとに、駆動電力P2,P3の取り込みを制御するコンタクタCN5,CN6を設け、エンジン回転数Nが定格回転数Nsより低下させる場合には、切替制御部5Cにより、クレーン動作の内容に応じてコンタクタCN5,CN6を制御することにより、クレーン動作で未使用となるインバータからの駆動電力を切り替えて取り込むようにしたものである。
【0048】
[第2の実施の形態の動作]
次に、
図6〜
図8を参照して、本実施の形態にかかるクレーン装置1の動作について説明する。
図6は、第2の実施の形態にかかるクレーン動作とエンジン回転数および発電電力との関係を示す説明図である。
図7は、第2の実施の形態にかかるクレーン動作と補機電力との関係を示す説明図である。
図8は、第2の実施の形態にかかる補機電源供給動作を示すシーケンス図である。
【0049】
本実施の形態では、
図6に示すように、コントローラ6がエンジン発電装置10のエンジン回転数Nを4段階で変速する場合を例とする。具体的には、巻き上げ、走行、または横行のクレーン動作を行う際には、主巻電動機20、走行電動機21,22、横行電動機23のいずれかを駆動するため、エンジン回転数Nを予め設定された回転数Ns,Na,Nbに切替制御して、発電電力PGを電力値Gs,Ga,Gbまでそれぞれ上昇させる。一方、クレーン動作を停止しているアイドリング状態の際には、主巻電動機20、走行電動機21,22、および横行電動機23を駆動する必要がないため、エンジン回転数Nを予め設定されたアイドリング回転数Ni(Ni<Nb<Na<Ns)に切替制御して、発電電力PGをアイドリング電力値Gi(Gi<Gb<Ga<Gs)まで低下させる。
【0050】
したがって、エンジン回転数Nが定格回転数Nsの場合、発電電力PGが定格電力値Gsとなるため、必要とされる補機電力P4と発電電力PG(Gs)とがほぼ等しくなる。このため、PGをそのまま補機電力P4として使用できることになる。
一方、エンジン回転数Nが回転数NaやNbの場合、発電電力PGが定格電力値Gsより低い電力値Ga,Gbとなるため、必要とされる補機電力P4より発電電力PG(Ga,Gb)が低くなる。このため、PGを補機電力P4としてそのまま使用できなくなる。
【0051】
本実施の形態では、このような各クレーン動作における発電電力PGと補機電力P4との比較結果に鑑み、インバータからの駆動電力を取り込む場合、クレーン動作時に応じてコンタクタCN5,CN6を制御することにより、クレーン動作で未使用となるインバータからの駆動電力を取り込むようにしたものである。
【0052】
具体的には、
図7に示すように、巻き上げ動作を行う場合、補機電力P4と発電電力PG(Gs)とがほぼ等しくなるため、発電電力PGをそのまま補機電力P4として補機設備4へ供給する。
また、走行動作を行う場合、発電電力PGが電力値Gaまで低下するため、コンタクタCN6を介して、電動機の駆動に使用していないインバータ33からの駆動電力P3を取り込み、この駆動電力P3を昇圧して得られた昇圧駆動力PHを、補機電力P4として補機設備4へ供給する。
【0053】
また、横行動作を行う場合、発電電力PGが電力値Gbまで低下するため、コンタクタCN5を介して、電動機の駆動に使用していないインバータ32からの駆動電力P2を取り込み、この駆動電力P2を昇圧して得られた昇圧駆動力PHを、補機電力P4として補機設備4へ供給する。
一方、クレーン動作を停止しているアイドリング状態の場合、発電電力PGがアイドリング電力値Giまで低下するため、電動機の駆動に使用していないインバータ32からの駆動電力P2を昇圧して得られた昇圧駆動力PHを、補機電力P4として補機設備4へ供給する。
【0054】
この際、インバータ32は、コントローラ6からのコマンド6Bに基づいて、巻き上げ動作時、共通母線B上の発電電力PG(=Gs)を変換して得られた電力値Psを駆動電力P2として出力し、走行動作時には、共通母線B上の発電電力PG(=Ga)を変換して得られた電力値Paを駆動電力P2として出力し、横行動作時およびアイドリング状態では、共通母線B上の発電電力PG(=Gi)を変換して得られた電力値Piを駆動電力P2として出力する。
【0055】
また、インバータ33は、コントローラ6からのコマンド6Bに基づいて、巻き上げ動作時には駆動電力P3の出力を停止し、走行動作時には、共通母線B上の発電電力PG(=Ga)を変換して得られた電力値Piを駆動電力P3として出力し、横行動作時には共通母線B上の発電電力PG(=Gb)を変換して得られた電力値Pbを駆動電力P3として出力し、アイドリング状態では駆動電力P3の出力を停止する。
【0056】
したがって、
図8に示すように、時刻T11以前、時刻T12以降においては、
図4と同様にして、コンタクタCN5を介してインバータ32からの駆動電力P2が補機電源装置5に取り込まれて昇圧トランス5Bで昇圧され、得られた昇圧駆動電力PHが切替器SWを介して補機設備4へ補機電力P4として供給される。
【0057】
また、エンジン回転数NがNaまで到達するとともに、発電電力PGが電力値Gaまで到達した時刻T11〜T12の走行動作時においては、コンタクタCN5がOFF状態に制御されるとともに、コンタクタCN6がON状態に制御されて、インバータ33からの駆動電力P3が補機電源装置5に取り込まれて昇圧トランス5Bで昇圧され、得られた昇圧駆動電力PHが切替器SWを介して補機設備4へ補機電力P4として供給される。なお、時刻T11における切替時には、駆動電力P2,P3の位相が同期したタイミングでコンタクタCN5,CN6が切り替えられる。
【0058】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、コントローラ6で、実行するクレーン動作の内容に応じて、対応する電動機20〜23を駆動するとともに、エンジン回転数Nを定格回転数Nsとアイドリング回転数Niとの間で多段階に切替制御し、補機電源装置5により、エンジン回転数Nが定格回転数Nsの場合には発電電力PGを補機設備4へ切替供給し、エンジン回転数Nが定格回転数Ns以外の場合には電動機20〜23のうち停止中の電動機と対応するインバータ32,33の駆動電力P2,P3を昇圧して得られた昇圧駆動電力PHを補機設備4へ切替供給するようにしたものである。
【0059】
これにより、切替制御部5Cにより、クレーン動作で未使用となるインバータからの駆動電力が切り替えられて、補機電源装置5に取り込まれることになる。このため、走行動作時や横行動作時などのようにエンジン回転数Nが定格回転数Nsより低下させる場合でも、補機設備4に対して補機電力P4を安定供給することが可能となる。
【0060】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。