(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
バッテリケースなどの、大型薄肉軽量の防水ケースには、防水ケースの内圧上昇による破裂防止のための安全装置が装着されている。一般的な安全装置としては、圧力リリーフバルブやラプチャディスクがある。ただし、これらは、圧力を受ける部分がケースに対して小型であるため、ある程度の圧力がないと、安全装置として動作しない。
【0003】
耐圧の低い気密ケースの場合、圧力リリーフバルブのばね力は極端に小さく、またラプチャディスクの膜厚は、極端に薄くなる。そのため、使用中の圧力以外の外乱(例えば、振動、衝撃などの加速度、砂塵などの飛来物)や、経年劣化(腐食や、紫外線などによる材質劣化)によって、耐えなければならない圧力以下で、圧力リリーフして、防水性が失われることが懸念される。
【0004】
一方で、耐圧の低い防水ケースでは、内外気圧差によるケースの損傷や、リークを防止するため、防水呼吸フィルタ(例えば、多孔質PTFE膜)を用いることが多い。ただし、この防水呼吸フィルタは、気体透過速度に限界がある(気体透過に伴う圧力損失が高い)。上記耐圧の低い気密ケースの場合と同様、フィルタは小型なものが多く、フィルタ自体の破裂圧力は、ケース耐圧に比べて高いことが多い。そのため、ケースの内部気体の急激な体積変化には、対応できず、限界を超えると、ケースが耐圧を超えて破裂してしまう可能性がある。
【0005】
また、小型の呼吸栓が何らかの事情、例えば、砂塵による目詰まり、氷結、油による汚損などにより、外部をふさがれてしまうこともある。その時も同様に、呼吸できずケース耐圧を超えてしまうことがある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態のバッテリケースの全体の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態のバッテリケースの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態のバッテリケースの上ケースと下ケースとのケース嵌合部を示す要部の縦断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態のバッテリケースのケース本体の内部に作用する圧力をケース本体の上から見た状態で概略的に示す図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施形態のバッテリケースの内部圧力によってケース嵌合部に作用する力を説明するための要部の縦断面図である。
【
図5B】
図5Bは、安全解放部の作動時の状態を説明するための要部の縦断面図である。
【
図6A】
図6Aは、第1の実施形態のバッテリケースの比較例における安全解放部の内部圧力によってケース接合部に作用する力を説明するための要部の縦断面図である。
【
図6B】
図6Bは、
図6Aの比較例のケース破断時の状態を説明するための要部の縦断面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態のバッテリケースの安全解放部の第1の変形例を示す要部の縦断面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態のバッテリケースの安全解放部の第2の変形例の要部を示す斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、第1の実施形態のバッテリケースの安全解放部の第2の変形例におけるパッキン受部が小さい部分を示す要部の縦断面図である。
【
図9B】
図9Bは、第2の変形例におけるパッキン受部が大きい部分を示す要部の縦断面図である。
【
図10A】
図10Aは、第1の実施形態のバッテリケースの安全解放部の第3の変形例におけるケース本体の解放圧力を大きくした第1の組み合わせを説明するための要部の縦断面図である。
【
図10B】
図10Bは、第3の変形例におけるケース本体の解放圧力を小さくした第2の組み合わせを説明するための要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至
図5Bは、第1の実施形態を示す。
図1は、防爆防水ケースの一例である二次電池のバッテリケース1の全体の概略構成を示す斜視図である。
図2は、
図1のバッテリケース1の分解斜視図である。
図3は、バッテリケース1の上ケース2と下ケース3とのケース嵌合部4を示す要部の縦断面図である。
図4は、バッテリケース1のケース本体10の内部に作用する圧力をケース本体の上から見た状態で概略的に示す図である。
【0011】
本実施形態のバッテリケース1は、上ケース2と、下ケース3と、ケース嵌合部4と、ねじ固定部5と、後述する2段の圧力リリーフ部6、7とを有する。
図2に示すように下ケース3は、上面開口部3aが形成された矩形箱形の筺体である。この下ケース3は、矩形平板状の底板3bと、前後左右の4面の側壁部3c、3d、3e、3fとを有する。下ケース3の内部には、図示しない複数の電池セルが並設された組電池と、この組電池の上面側に配置された基板、バスバ、その他の構造材などが収容されている。電池セルは、セル缶(またはラミネート膜)などに収容されている。
【0012】
上ケース2は、下面開口部2a(
図3参照)が形成された矩形箱形の筺体である。この上ケース2は、上面板2bと、前後左右の4面の側壁部2c、2d、2e、2fとを有する。上ケース2には、上面に正極端子8と、負極端子9と、低圧側の圧力リリーフ部6などが設けられている。正極端子8は、図示しない組電池の正極タブに接続されている。負極端子9は、図示しない組電池の負極タブに接続されている。
【0013】
2段の圧力リリーフ部6、7は、上ケース2と下ケース3とを接合させたケース本体10に設けられている。2段の圧力リリーフ部6、7は、ケース本体10の内圧上昇による破裂防止のための安全装置であり、内部圧力を解放する作動圧力が異なる。すなわち、一方の圧力リリーフ部6は、作動圧力が小さい低圧側の安全装置(低圧側圧力リリーフ部6)である。他方の圧力リリーフ部7は、作動圧力が大きい高圧側の安全装置(高圧側圧力リリーフ部7)である。
【0014】
本実施形態では、下ケース3の上端部(上面開口部3a側の端部)と、上ケース2の下端部(下面開口部2a側の端部)との当接部には、ケース嵌合部4が形成されている。ここで、下ケース3の上面開口部3aの周壁部には、嵌合凸部4aが形成されている。この嵌合凸部4aは、下ケース3の上面開口部3a側の上端部の周壁部に他の部分よりも内側に陥没させた切欠部(段部)を設けることで、下ケース3の上端部の周壁部に他の部分よりも外形が小さい矩形枠状の上向きの凸部を形成したものである。
【0015】
また、上ケース2の下面開口部2aの周壁部には、下ケース3の嵌合凸部4aと嵌合可能な嵌合凹部4bが形成されている。この嵌合凹部4bは、上ケース2の下端部の周壁部内周面に矩形枠状の凹部を形成したものである。そして、ケース嵌合部4は、下ケース3の嵌合凸部4aと、上ケース2の嵌合凹部4bとを嵌合させた部分である。なお、ケース嵌合部4は、下ケース3に嵌合凹部4bを形成し、上ケース2に嵌合凸部4aを形成してもよい。
【0016】
図3に示すように下ケース3の嵌合凸部4aの壁部と、上ケース2の嵌合凹部4bの壁部との間には、パッキンを装着可能な溜まり部であるパッキン装着部11が形成されている。このパッキン装着部11には、例えば、液状パッキンのような気密性を保つパッキン12が装着されている。この液状パッキンは、塗布時は、流動性のあるゴム状のものであり、パッキン装着部11に塗布したのちに、硬化して、ゴム状となり、パッキン装着部11の壁面に密着し、気密を保つ。これにより、嵌合凸部4aと嵌合凹部4bとが嵌合可能に接合された状態で下ケース3と上ケース2との間がパッキン12によって密閉される。さらに、パッキン12は、ゴム状なので、パッキン装着部11の壁面の変形にも、ある程度は、弾性変形して追随し、気密を維持する。
【0017】
また、ケース本体10には、上ケース2と下ケース3との接合部の例えば2か所に取っ手部16が設けられている。ここで、上ケース2には、例えば、2面の側壁部2e、2fに外向きに延出された取っ手部用の突起部17(
図1では側壁部2f側の突起部17のみを示す)が形成されている。同様に、下ケース3には、例えば、2面の側壁部3e、3fに外向きに延出された突起部18(
図1では側壁部3f側の突起部18のみを示す)が形成されている。そして、上ケース2と下ケース3との接合時には、上ケース2の突起部17と下ケース3の突起部18とが同時に接合されるようになっている。
【0018】
ねじ固定部5は、ケース嵌合部4の各角部(4か所)および取っ手部16に設けられている。ここで、下ケース3の上端部周壁部には、嵌合凸部4aの付け根部分の段部平面にねじ穴13が形成されている。上ケース2には、下ケース3のねじ穴13と対応する部位にねじ挿通孔14が形成されている。そして、上ケース2の上側から固定ねじ15が上ケース2のねじ挿通孔14に挿入され、このねじ挿通孔14を通して固定ねじ15が下ケース3のねじ穴13に螺挿されて固定される。これにより、上ケース2と下ケース3とをねじ固定する。
【0019】
取っ手部16には、上ケース2の突起部17と下ケース3の突起部18との間に貫通するねじ挿通孔が形成されている。そして、このるねじ挿通孔に挿入される固定ねじによって上ケース2の突起部17と下ケース3の突起部18との間をねじ固定する。
【0020】
また、低圧側圧力リリーフ部6は、ケース本体10の内部の防水性を保持しながら、ケース本体10の内外気を通気させる防水通気フィルタによって形成される。この防水通気フィルタは、例えば、多孔質PTFE膜をもつ。そして、低圧側圧力リリーフ部6は、周囲大気の気圧変化や、温度上昇などによるケース本体10の内部圧力の変化に対しては、防水性を保持しながら、内外気を通気させて(入れ替えて)、ケース本体10に内外気圧差をかけない構造になっている。
【0021】
高圧側圧力リリーフ部7は、ケースベント部による安全解放部である。
図4に示すようにこの安全解放部は、ケース本体10の4か所の角部10a間の壁面腹部10bに設けられている。この高圧側圧力リリーフ部7は、ケース本体10の内部で低圧側圧力リリーフ部6の防水通気フィルタの気体透過許容量を上回るケース本体10の内部の急激な体積膨張があった場合にケース本体10の一部を安全に解放して、ケース本体10の爆発を防止する。本実施形態では、ケース本体10の壁面腹部10bの引張変形に応じてパッキン装着部11のパッキン12を破壊してケース本体10の内部圧力を解放する。
【0022】
次に、上記構成の本実施形態のバッテリケース1の作用について説明する。本実施形態のバッテリケース1の使用時には、通常時には低圧側圧力リリーフ部6の防水通気フィルタによってケース本体10の内部の防水性を保持しながら、ケース本体10の内外気を通気させている。さらに、パッキン装着部11のパッキン12は、塗布時は、流動性のあるゴム状の液状パッキンであり、パッキン装着部11に塗布したのちに、硬化して、ゴム状となる。そのため、パッキン装着部11の壁面に密着し、気密を保つ。またゴム状なので、壁面の変形にも、ある程度は、弾性変形して追随し気密を維持する。これにより、通常時のバッテリケース1の内圧上昇による破裂防止が行われている。
【0023】
また、バッテリケース1の内部気体の急激な体積変化時(低圧側圧力リリーフ部6の防水通気フィルタの気体透過許容量(速度)を上回るケース本体10の内部の急激な体積膨張時)には、例えば
図4中に矢印で示すようにバッテリケース1の中心点Oからケース本体10の外向きに大きな押圧力が作用する。この押圧力により、ケース本体10の4壁面に
図4中に仮想線で示すように引張変形が発生する。このケース本体10の引張変形は、ケース本体10の4か所の角部10a間の壁面腹部10bの部分の変形量が大きい。そして、この壁面腹部10bの部分から角部10aに接近するにつれて、引張変形の比率は減り、曲げ変形の比率が増える。
【0024】
したがって、
図4中に仮想線で示す引張変形の発生時には、壁面腹部10bの部分の変形により、
図5Aに示すように下ケース3の嵌合凸部4aの壁部と、上ケース2の嵌合凹部4bの壁部との間の壁面同士が、“剪断方向(すべり方向)の変形”をする。このすべり方向の変形時には、
図5Bに示すようにパッキン装着部11のパッキン12がせん断破壊を起こす。このせん断破壊を起こす部分は、通常は、ケース本体10の4か所の角部10a間の壁面腹部10bのいずれか1か所である。そして、このパッキン12がせん断破壊を起こした部分からケース本体10の内部のガスが急速に流出することで、ケース本体10の内部圧力を解放する。さらに、4か所の角部10a間の壁面腹部10bのうちのどこか1か所の安全解放部(パッキン12のせん断破壊部分)から内圧が解放されれば、残りの壁面腹部10bでは変形が止まる。
【0025】
なお、ケース本体10の4か所の角部10aの部分は、引張変形が少ないため、パッキン12の破損は同時には起きない。つまりパッキン装着部11のパッキン12が同時に破損して、ケース本体10の一部が吹き飛ぶという可能性は低い。また、通常、ケース本体10の4か所の角部10aには、ねじ固定部5があるので、このねじ固定部5によってパッキン12の破損は防止される。そのため、ケース本体10の4か所の角部10aでケース本体10が破裂するという可能性はほとんどない。
【0026】
また、
図6A,
図6Bは、第1の実施形態のバッテリケース1の安全解放部の比較例を示す。ここでは、
図6Aに示すように下ケース3と、上ケース2との端面同士が突き当てられた部分にパッキン12が装着されている。この場合は、ケース本体10の内部の急激な体積膨張時には、
図6A中に矢印で示すようにパッキン12に引張変形の引張力が作用する。そのため、ケース本体10の引張変形の引張力と同方向の引張力がパッキン12に作用するので、パッキン12には大きな引張力が作用することになる。したがって、この場合は急激なパッキン12の亀裂、破壊が発生するので、
図6Bに示すようにこのパッキン12の破壊部分から大量の内部気体の放出が起こり、ケース本体10が破裂する。
【0027】
そこで、上記構成の本実施形態のバッテリケース1では、低圧側圧力リリーフ部6の防水通気フィルタの気体透過許容量(速度)を上回る内部の急激な体積膨張があった場合には、高圧側圧力リリーフ部7によりケース本体10の一部を安全に解放して、ケース本体10の爆発を防止することができる。これは、低圧側圧力リリーフ部6の防水通気フィルタが故障(詰まる)場合にも動作して、ケース本体10の破裂を防止することができる。したがって、耐圧の低い防水ケースの非常時に発生する急激な内部体積の膨張時における、ケース本体10の破裂を防止することができる防爆防水ケースを提供することができる。
【0028】
図7は、第1の実施形態のバッテリケース1の高圧側圧力リリーフ部7の安全解放部の第1の変形例を示す要部の縦断面図である。本変形例は、4か所の角部10a間の壁面腹部10bのいずれか1か所、ここでは上ケース2の4面の側壁部2c、2d、2e、2fのうちの1面の側壁部2cに壁厚を他の部分よりも小さくした薄肉部2c1を設けている。この薄肉部2c1は、上ケース2の他の3面の側壁部2d、2e、2fには設けられていない。
【0029】
同様に、下ケース3の4面の側壁部3c、3d、3e、3fのうちの1面の側壁部3cに壁厚を他の部分よりも小さくした薄肉部3c1を設けている。この薄肉部3c1は、下ケース3の他の3面の側壁部3d、3e、3fには設けられていない。
【0030】
したがって、本変形例では、ケース本体10の内部の急激な体積膨張時に、上ケース2の薄肉部2c1の部分と、下ケース3の薄肉部3c1との部分で、ケース本体10の引張変形の変形量を他の部分よりも大きくすることができる。そのため、これらの上ケース2の薄肉部2c1の部分と、下ケース3の薄肉部3c1と対応する部分(圧力解放位置設定部)で、パッキン12のせん断破壊を起こすことができ、そこで最初に圧力解放させることができる。これにより、ケース本体10の内部の急激な体積膨張時に、最初に圧力解放させる箇所を確定させることができるので、ケース本体10の内部から放出し、周囲に飛散される(しばしば高温で、有害な)気体の方向を特定することができる。
【0031】
図8および
図9A,
図9Bは、第1の実施形態のバッテリケース1の高圧側圧力リリーフ部7の安全解放部(圧力解放位置設定部)の第2の変形例の要部を示す。本変形例は、
図8に示すようにパッキン装着部11の壁面の一部を構成する下ケース3の嵌合凸部4aの壁部の稜線21の一部に切欠き部22を設けている。これにより、
図9Aに示すように切欠き部22の部分にパッキン12を保持するパッキン装着部11の面積が他の部分(
図9Bに示すように切欠き部22がない部分)よりも小さいパッキン装着部11の小面積部分11aを設けている。
【0032】
したがって、本変形例では、ケース本体10の内部の急激な体積膨張時に、パッキン装着部11の小面積部分11aによってケース本体10の引張変形の変形量を他の部分よりも大きくすることができる。そのため、このパッキン装着部11の小面積部分11aで、パッキン12のせん断破壊を起こすことができ、そこで最初に圧力解放させることができる。これにより、ケース本体10の内部の急激な体積膨張時に、最初に圧力解放させる箇所を確定させることができるので、ケース本体10の内部から放出し、周囲に飛散される(しばしば高温で、有害な)気体の方向を特定することができる。
【0033】
なお、安全解放部の圧力解放位置設定部は、隣接するねじ固定部5の間隔を調整し、この間隔を他の場所よりも大きくした部分を設けてもよい。このようにねじ固定部5の間隔を他の場所よりも大きくした部分では、ケース本体10の引張変形の変形量を他の部分よりも大きくすることができる。そのため、この場合もねじ固定部5の間隔を他の場所よりも大きくした部分によってケース本体10の最初に圧力解放させる解放場所を設定することができる。
【0034】
図10A,
図10Bは、第1の実施形態のバッテリケース1の安全解放部の第3の変形例を示す。本変形例は、ケース嵌合部4の向きを調整して、解放圧力を操作する構成にしたものである。
【0035】
図10Aは、ケース本体10の解放圧力を大きくしたケース嵌合部4の第1の組み合わせを説明するための要部の縦断面図である。また、
図10Bは、ケース本体10の解放圧力を小さくしたケース嵌合部4の第2の組み合わせを説明するための要部の縦断面図である。
【0036】
図10Aの第1の組み合わせでは、ケース壁面の面積が小さい上ケース2の方に嵌合凹部4bが形成され、ケース壁面の面積が大きい下ケース3の方に嵌合凸部4aが形成されている。この場合は、ケース壁面の面積が小さい上ケース2の方が外側に嵌合しているので、面積の大きな内側に嵌合した下ケース3の嵌合凸部4aの部分からの大きな荷重によって、ケース本体10は、内側から押されることになる。これは、パッキン装着部11に圧縮方向に働く荷重である。そのため、パッキン装着部11内のパッキン12は、圧縮荷重を受けながら、剪断変形をするので、開放圧力は高くなる。
【0037】
一方、
図10Bの第2の組み合わせは、ケース壁面の面積が小さい上ケース2の方に嵌合凸部4aが形成され、ケース壁面の面積が大きい下ケース3の方に嵌合凹部4bが形成されている。この場合は、ケース壁面の面積が小さい上ケース2の方が、内側に嵌合している。そのため、面積の大きな外側に嵌合した部分(下ケース3の嵌合凹部4bの壁部)に作用する大きな荷重によって、ケース本体10が内側から押された際に、これを押さえる部分がない。この場合は、パッキン装着部11内のパッキン12に引張方向の荷重が作用するので、パッキン12は、引張荷重を受け、ちぎれそうになりながら、剪断変形をする。そのため、ケース本体10の解放圧力は小さくなる。
【0038】
したがって、本変形例では、ケース嵌合部4の向きを
図10Aの第1の組み合わせと、
図10Bの第2の組み合わせのいずれかを選択することで、ケース本体10の解放圧力を調整して、解放圧力を操作することができる。
【0039】
また、第1の実施形態では、防爆防水ケースの一例として二次電池のバッテリケース1に適用した例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、燃料電池のバッテリケースや、燃料タンクなどに適用することも可能である。
【0040】
これらの実施形態によれば、耐圧の低い防水ケースの非常時に発生する急激な内部体積の膨張時における、ケースの破裂を防止することができる防爆防水ケースを提供することができる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。