(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記目的階信号が受信された際に前記自律移動体の乗車階を認識し、前記リターンパネル前が前記停止位置であると判断された場合に、前記自律移動体の乗車階及び前記自律移動体の乗車階から前記自律移動体の目的階までの間の前記自律移動体の目的階に向かう方向の乗場呼びを制限し、前記出入口前が前記停止位置であると判断された場合に、前記自律移動体の乗車階から前記自律移動体の目的階までの間のカゴ呼び及び前記自律移動体の目的階に向かう方向の乗場呼びを制限する請求項1に記載の自律移動体運搬システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。また、実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態による自律移動体運搬システムの構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態による自律移動体運搬システム1を示す構成図である。第1の実施形態による自律移動体運搬システム1は、エレベータ2を利用して自律移動体3を階間移動させるために用いることができる。
【0013】
エレベータ2は、最下階の乗場4の下方から最上階の乗場4の上方まで延びる昇降路5の上端近傍位置に設置された巻上機と、巻上機に掛け渡されたロープの一端に吊り下げられたカゴ6と、ロープの他端に吊り下げられた釣合い重りとを備える。なお、巻上機および釣合い重りについては、図示を省略している。また、エレベータ2は、制御装置の一例であり、巻上機を制御することでカゴ6の昇降動作を制御する制御盤7と、カゴ6のドアの戸開閉を制御するカゴドア駆動装置とを備える。カゴ6には、ケーブル14を介して制御盤7から電力が供給される。なお、カゴドア駆動装置については、図示を省略している。カゴドア駆動装置による戸開閉の制御は、制御盤7によるカゴドア駆動装置の制御によって行われてもよい。
【0014】
自律移動体3は、人間の手を介さずにエレベータ2を乗降して階間を移動可能な装置である。自律移動体3は、例えば、ロボットである。ロボットは、各階の部屋に移動して部屋内で清掃などの所定のサービスを実行してもよいが、このような構成に限定されない。自律移動体3には、目的階を通知する目的階信号を発信する発信器12が設けられている。
【0015】
エレベータ2を利用して自律移動体3を運搬するための具体的な構成として、自律移動体運搬システム1は、画像処理装置の一例である画像認識装置8と、送受信器の一例である信号送受信部9と、既述した制御盤7と、タイマ10と、を備える。
【0016】
画像認識装置8は、エレベータ2のカゴ6内を撮像する撮像手段の一例であるカメラ11から、カゴ6内を撮像した撮像画像信号を入力する。画像認識装置8は、カメラ11からの撮像画像信号に基づいてカゴ6内に自律移動体3が入り込める空きスペースがあるか否かを判断する。空きスペースの認識方法の一例として、カメラ11が撮像したカゴ6内の床の面積に基づいて空きスペースを判断する方法や、サーモグラフ等で温度分布を撮影する方法が挙げられる。空きスペースの認識方法は、これらの方法に限定されない。画像認識装置8によって認識された空きスペースの情報は、無線通信または有線通信によって制御盤7に伝達されて、自律移動体3の乗車可否の判断に用いられる。
【0017】
信号送受信部9は、自律移動体3の発信器12から、エレベータ2の乗場4で目的階信号を受信し、自律移動体3に乗車許可を通知する乗車許可信号を送信する。より詳しくは、信号送受信部9は、自律移動体3の発信器12から無線通信によって目的階信号を受信すると、伝送路13を介して、目的階信号と自律移動体3が位置する階を示す信号(以下、乗車階信号とも呼ぶ)とを制御盤7に送信する。信号送受信部9は、画像認識装置8によって空きスペースがあると判断された場合に、自律移動体3に乗車許可信号を送信する。乗車許可信号は、信号送受信部9を介して制御盤7から自律移動体3に送信されてもよい。
【0018】
一方、信号送受信部9は、画像認識装置8によって空きスペースが無いと判断された場合には、自律移動体3に乗車許可信号を送信しない。
【0019】
制御盤7は、信号送受信部9と伝送路13で接続されている。制御盤7は、伝送路13を通じて、信号送受信部9から目的階信号と乗車階信号とを受信する。制御盤7は、受信された目的階信号と乗車階信号とに基づいてカゴ6の運転を制御する。
【0020】
タイマ10は、制御盤7に設けられている。タイマ10は、目的階信号が受信されてからの経過時間を計測する。
【0021】
制御盤7は、目的階信号が受信されてからタイマ10の計測時間が一定時間を超過しても乗車許可信号が送信されない場合に、カゴ6の運転を、自律移動体3と利用客とが同乗可能な通常運転から、自律移動体3のみが利用可能な自律移動体専用運転に切り替える。
【0022】
ここで、自律移動体専用運転とは、より具体的には、自律移動体3の呼びをエレベータ2が感知した際に、自律移動体3が乗車する号機(すなわち、エレベータ2)の呼びを受け付けず、既存の全てのカゴ呼びに応答した後に自律移動体3を運搬するエレベータ2の運転方法である。
【0023】
一方、制御盤7は、目的階信号が受信されてからタイマ10の計測時間が一定時間を超過する前に乗車許可信号が送信された場合には、カゴ6の運転を自律移動体専用運転に切り替えず、通常運転のまま維持する。
【0024】
以下、上記の構成を有する第1の実施形態による自律移動体運搬システム1の動作例について、
図2を参照して説明する。
図2は、第1の実施形態による自律移動体運搬システム1の動作例を示すフローチャートである。
【0025】
図2に示すように、先ず、信号送受信部9は、自律移動体3の呼びの発生(ステップS1)にともなって、自律移動体3の発信器12から目的階信号を受信する。信号送受信部9は、目的階信号を受信すると、伝送路13を通じて制御盤7に目的階信号と乗車階信号とを送信する。このとき、タイマ10は、目的階信号の受信にともなって、カウントすなわち経過時間の計測を開始する。
【0026】
次いで、制御盤7は、信号送受信部9から送信された目的階信号と乗車階信号とを受信し、受信信号に基づいて、自律移動体3が位置する階および自律移動体3が位置する階から目的階までの間に、目的階に向かう方向の乗場呼びが有るか否かを判定する(ステップS2)。
【0027】
目的階に向かう方向の乗場呼びが無い場合(ステップS2:No)、画像認識装置8は、カメラ11から入力された撮像画像信号に基づいて、カゴ6内に空きスペースがあるか否かを判定する(ステップS3)。より詳しくは、画像認識装置8は、カゴ6内のリターンパネル前および出入口前に空きスペースがあるか否かを判定する。
【0028】
空きスペースがある場合(ステップS3:Yes)、信号送受信部9は、自律移動体3に乗車許可信号を送信する(ステップS4)。このとき、タイマ10は、乗車許可信号の送信にともなってカウントを停止する。すなわち、タイマ10はリセットされる。
【0029】
乗車許可信号が送信された後、制御盤7は、目的階信号に基づいて、自律移動体3の目的階のカゴ呼びを登録する(ステップS5)。
【0030】
自律移動体3の目的階のカゴ呼びを登録した後、自律移動体3が位置する階にカゴ6が着床すると、制御盤7は、カゴドア駆動装置を介してカゴ6を戸開する。カゴ6が戸開すると、自律移動体3は、自らの自走システムによってカゴ6内に乗車する。そして、自律移動体3の目的階にカゴ6が着床すると、制御盤7は、カゴドア駆動装置を介してカゴ6を戸開する(ステップS6)。
【0031】
目的階に向かう方向の乗場呼びが有る場合(ステップS2:Yes)、制御盤7は、タイマ10の計測時間が一定時間を超過したか否かを判定する(ステップS7)。一定時間は、例えば、5分であってもよいが、これに限定されない。
【0032】
タイマ10の計測時間が一定時間を超過した場合(ステップS7:Yes)、制御盤7は、エレベータ2の運転を通常運転から自律移動体専用運転に切り替える(ステップS8)。
【0033】
タイマ10の計測時間が一定時間を超過していない場合(ステップS7:No)、制御盤7は、エレベータ2の運転を通常運転に維持したまま、自律移動体3の乗車可否の判定を繰り返す(ステップS2)。
【0034】
自律移動体専用運転への切り替え後、自律移動体3が目的階に到着してカゴ6が戸開すると、制御盤7は、エレベータ2の運転を、自律移動体専用運転から通常運転に復帰させる(ステップS9)。
【0035】
以下、第1の実施形態によってもたらされる作用について説明する。
【0036】
上記のように構成された第1の実施形態による自律移動体運搬システム1によれば、エレベータ2の利用状況が空きスペースを有することを条件に、自律移動体3が利用客と同乗することを許可することができる。これによって、ロボットと利用客が同乗しない従来のオペレーションのみで運用しているエレベータに比べ、自律移動体3のエレベータ利用による利用客への影響を小さくすることができる。一方、自律移動体3が利用客と同乗できる条件に当てはまらない状態が一定時間続いた場合に、自律移動体専用運転に切り替えることにより、利用客の運搬効率の低下を抑えながら自律移動体3が確実に階間移動を行うことができる。
【0037】
すなわち、第1の実施形態によれば、エレベータ2を利用する利用者の乗降の円滑性および運搬効率の確保と、エレベータを利用した自律移動体3の階間移動の確保とを両立させることができる。
【0038】
また、第1の実施形態によれば、自律移動体3と利用客が同乗できる条件としてリターンパネル前の空きスペースを確保することで、自律移動体3がリターンパネル前に停止することができる。これにより、利用客が下車する際に自律移動体3が利用客の移動の妨げになることを防止できる。
【0039】
また、第1の実施形態によれば、自律移動体3が利用客と同乗する際に乗場呼びを受け付けないオペレーションとすることで、自律移動体3が階間移動する間における自律移動体3の停止位置及び移動スペースを有効に確保することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、自律移動体3の具体的な停止位置を判断する第2の実施形態について、
図3を参照して説明する。
図3は、第2の実施形態による自律移動体運搬システム1が適用されるエレベータ2のカゴ6内を示す平面図である。
【0041】
第2の実施形態では、画像認識装置8は、カゴ6内の出入口61前及びリターンパネル62、63前に空きスペースSP1、SP2、SP3があると認識する。または、画像認識装置8は、出入口61前のみに空きスペースSP1があると認識する。なお、リターンパネル62は、カゴ6内において出入口61の右側に位置する。リターンパネル63は、カゴ6内において出入口61の左側に位置する。
【0042】
制御盤7は、画像認識装置8によって出入口61前の空きスペースSP1及びリターンパネル62、63前の空きスペースSP2、SP3があると認識された場合に、リターンパネル62、63前が自律移動体3の停止位置であると判断する。
【0043】
一方、制御盤7は、画像認識装置8によって出入口61前のみに空きスペースSP1があると認識された場合に、出入口61前が自律移動体3の停止位置であると判断する。
【0044】
リターンパネル62、63前が停止位置であると判断された場合、信号送受信部9は、自律移動体3の乗車階及び自律移動体3の乗車階から自律移動体3の目的階までの間に自律移動体3の目的階に向かう方向の乗場呼びが登録されていなければ、自律移動体3にリターンパネル62、63前への停止を指示する信号を送信する。
【0045】
一方、出入口61が停止位置であると判断された場合、信号送受信部9は、自律移動体3の乗車階及び自律移動体3の乗車階から自律移動体3の目的階までの間に、カゴ呼び及び自律移動体3の目的階に向かう方向の乗場呼びが登録されていなければ、自律移動体3に出入口61前への停止を指示する信号を送信する。
【0046】
また、制御盤7は、目的階信号が受信された際に自律移動体3の乗車階を認識する。そして、制御盤7は、リターンパネル62、63前が停止位置であると判断された場合に、自律移動体3の乗車階及び自律移動体3の乗車階から自律移動体3の目的階までの間の、自律移動体3の目的階に向かう方向の乗場呼びを制限する。乗場呼びの制限は、乗場呼びに対してカゴ6を応答させないように制御することで行ってもよい。
【0047】
一方、制御盤7は、出入口61前が停止位置であると判断された場合に、自律移動体3の乗車階から自律移動体3の目的階までの間のカゴ呼び及び自律移動体3の目的階に向かう方向の乗場呼びを制限する。
【0048】
以下、上記の構成を有する第2の実施形態による自律移動体運搬システム1の動作例について、
図3および
図4を参照して説明する。
図4は、第2の実施形態による自律移動体運搬システム1の動作例を示すフローチャートである。
【0049】
図3に示すように、画像認識装置8は、カゴ6内の空きスペースを、複数のパターンSP1〜SP6のいずれかとして認識することができる。具体的には、画像認識装置8は、出入口61前の空きスペースSP1、右側のリターンパネル62前の空きスペースSP2、左側のリターンパネル62前の空きスペースSP3、出入口61前及び右側のリターンパネル62前の空きスペースSP4、出入口61前および左側のリターンパネル63前の空きスペースSP5、および、出入口61前及び左右のリターンパネル62、63前の空きスペースSP6のいずれかを認識することができる。
【0050】
すなわち、
図2のステップS2に示した同方向の乗場呼びが無い場合(ステップS2:No)、画像認識装置8は、
図4に示すように、カゴ6内の空きスペースSP1〜SP6のうち、どのパターンの空きスペースがあるかを判断する。
【0051】
具体的には、先ず、画像認識装置8は、出入口61前に空きスペースSP1があるか否かを判定する(ステップS10)。
【0052】
出入口61側に空きスペースSP1がある場合(ステップS10:Yes)、画像認識装置8は、リターンパネル62、63前に空きスペースSP2、SP3があるか否かを判定する(ステップS11)。
【0053】
リターンパネル62、63前に空きスペースSP2、SP3がある場合(ステップS11:Yes)、カゴ6内の空きスペースは、SP4、SP5、SP6のいずれかのパターンの空きスペースとなる。この場合、制御盤7は、リターンパネル62、63前が自律移動体3の停止位置であると判断する。
【0054】
リターンパネル62、63前の空きスペースSP4、SP5、SP6がある場合(ステップS11:Yes)、信号送受信部9は、リターンパネル62、63前が自律移動体3の停止位置であるとの制御盤7の判断にしたがって、自律移動体3に乗車許可信号とリターンパネル62、63前への停止を指示するリターンパネル前停止指示信号とを送信する(ステップS12)。このとき、カゴ6内の空きスペースSP6がある場合であって、カゴ内操作盤が片側にしか設置されていない場合、信号送受信部9は、カゴ内操作盤が設置されていないリターンパネル62、63前への停止を指示する内容のリターンパネル前停止指示信号を送信する。この場合、自律移動体3は、利用者の乗降を妨げず、かつ、利用者によるカゴ内操作盤の操作を妨げない位置に停止することができる。
【0055】
乗車許可信号およびリターンパネル前停止指示信号が送信された後、制御盤7は、自律移動体3の乗車階および自律移動体3の乗車階と目的階との間における自律移動体3と同方向の乗場呼びを制限する(ステップS13)。
【0056】
一方、リターンパネル62、63前に空きスペースSP2、SP3がない場合(ステップS11:No)、カゴ6内の空きスペースは、出入口61前の空きスペースSP1のみとなる。この場合、制御盤7は、出入口61前が停止位置であると判断する。
【0057】
リターンパネル62、63前に空きスペースSP2、SP3がない場合(ステップS11:No)、制御盤7は、カゴ6の位置が自律移動体3の乗車階(すなわち、待機階)を基準に目的階と反対側であり、かつ、カゴ6の進行方向が自律移動体3の乗車階から目的階に向かう方向と同方向であるか否かを判定する(ステップS14)。このステップS14の状況は、例えば、1階から10 階に停止可能なエレベータ2において、自律移動体3の乗車階が3階
であり、目的階が5階である場合に、カゴ6の位置が1階から3階までのいずれかで、かつ上昇している状況である。
【0058】
カゴ6の位置が目的階と反対側かつカゴ6の進行方向が目的階に向かう方向と同方向でない場合(ステップS14:No)、
図2のステップS7に進んでタイマ10の計測時間が一定時間を超過したか否かを判定し、一定時間を超過していない場合(ステップS7:No)に、自律移動体3の乗車可否の判定を繰り返す。これは、カゴ6が折り返す時にカゴ6内の空きスペースがより広くなることが考えられるからである。
【0059】
一方、カゴ6の位置が目的階と反対側かつカゴ6の進行方向が目的階に向かう方向と同方向である場合(ステップS14:Yes)、制御盤7は、自律移動体3の乗車階及び自律移動体3の乗車階から自律移動体3の目的階までの間に目的階に向かう方向のカゴ呼びが登録されているか否かを判定する(ステップS15)。この判定は、自律移動体3の乗車階及び自律移動体3の乗車階から自律移動体3の目的階までの間に目的階に向かう方向の乗場呼びが登録されているか否かの判定をともなってもよい。
【0060】
目的階に向かう方向のカゴ呼びが登録されていない場合(ステップS15:No)、制御盤7は、出入口61前が自律移動体3の停止位置であると判断する。そして、信号送受信部9は、出入口61前が自律移動体3の停止位置であるとの制御盤7の判断にしたがって、自律移動体3に、乗車許可信号および出入口613前への停止を指示する出入口前停止指示信号を送信する(ステップS16)。この出入口前停止指示信号の送信は、自律移動体3の乗車階及び自律移動体3の乗車階から自律移動体3の目的階までの間に目的階に向かう方向の乗場呼びが登録されていないことを更なる条件としてもよい。
【0061】
乗車許可信号および出入口前停止指示信号が送信された後、制御盤7は、自律移動体3の乗車階および自律移動体3の乗車階と目的階との間におけるカゴ呼びを制限する。また、制御盤7は、自律移動体3の乗車階および自律移動体3の乗車階と目的階との間における目的階に向かう方向の乗場呼びを制限する(ステップS17)。
【0062】
なお、いずれの空きスペースSP1〜SP6も存在しない場合(ステップS10:No)または目的階に向かう方向のカゴ呼びが登録されている場合(ステップS15:Yes)、自律移動体3は乗車不可となる。この場合、
図2のステップS7に移行する。
【0063】
以下、第2の実施形態によってもたらされる作用について説明する。
【0064】
上記のように構成された第2の実施形態による自律移動体運搬システム1によれば、カゴ6内の空きスペースの判定を出入口61前及びリターンパネル62、63前と、出入口61前のみとで区別することにより、第1の実施形態と比較して自律移動体3が利用客と同乗する頻度を増やすことができる。
【0065】
また、空きスペースが出入口61前のみの場合、自律移動体3が出入口61を塞いでしまうため、その場合の乗車許可の条件としてカゴ呼びの状況(ステップS15)を追加することで、自律移動体3が利用客の乗降の妨げになることを防止することができる。
【0066】
また、カゴ6内の空き状況に応じてエレベータ2側から自律移動体3に停止位置の指示を出すため、自律移動体3がカゴ6外からカゴ6内の空きスペースを判断する場合よりも正確に空きスペースを判断することができる。
【0067】
また、エレベータ2側で空きスペースを判断することで、自律移動体3が空きスペースを判断する間に利用客に待たせるようなことも無い。
【0068】
(第3の実施形態)
以下、自律移動体運搬システム1の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、制御盤7は、画像認識装置8によってカゴ6内の空きスペースがあると判断された場合に、カゴ6の位置から自律移動体3の乗車階までの間の乗場呼びを制限する。
【0069】
より詳しくは、第2の実施形態で説明した
図4のステップS12またはステップS16において信号送受信部9が自律移動体3に乗車許可信号を送信すると、制御盤7は、自律移動体3が乗車するカゴ6の位置から自律移動体3の乗車階までの間の新規の乗場呼びを制限する。
【0070】
例えば、1階から10階に停止可能なエレベータ2において、自律移動体3の乗車階が3 階であり、カゴ6が6、7階間を下降している場合、制御盤7は、3〜6階の乗場呼びを制限する。なお、カゴ6が6、7階間を上昇している場合、制御盤7は、3〜10階の乗場呼びを制限する。これにより、自律移動体3の乗車スペースを確保したまま自律移動体3の乗車階にカゴ6を向かわせることができる。
【0071】
第3の実施形態によれば、自律移動体3が利用客と同乗する際に、カゴ6と自律移動体3の乗車階との間の乗場呼びを制限することで、自律移動体3が乗車可能となってから自律移動体3が乗車するまでの間にカゴ6内の空きスペースが狭まってしまうことを防止することができる。
【0072】
(第4の実施形態)
以下、異なるエレベータ2の複数のカゴ6について空きスペースが見つかるまで空きスペースの有無を順に判断する自律移動体運搬システム1の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、画像認識装置8は、異なるエレベータ2に備えられた複数のカゴ6内を撮像する複数のカメラ11の撮像画像信号を入力する。画像認識装置は、入力された複数のカメラ11の撮像画像信号に基づいて、複数のカゴ6内のうちのいずれかに空きスペースがあると判断されるまで、空きスペースがあるか否かの判断を複数のカゴ6に対して順に行う。
【0073】
そして、信号送受信部9は、複数のカゴ6のうちの空きスペースがあると判断されたカゴ6に対する乗車許可信号を自律移動体3に送信する。
【0074】
より詳しくは、制御盤7は、複数台のエレベータ2を制御し、第1、第2の実施形態において自律移動体3の乗車が不可となったとき、自律移動体3の乗車が可能である号機を一台ずつ探していく。
【0075】
一例として、制御盤7が3台のエレベータ2を制御している場合、信号送受信部9が目的階信号を受信した際に、制御盤7は、1号機から順に自律移動体3の乗車可否を判定する。具体的には、1号機が乗車不可と判定した場合、制御盤7は、次に2号機への乗車可否を判定する。そして、3号機まで乗車不可と判定した場合、制御盤7は、再度1号機の乗車可否の判定を開始する。この動作を、
図1に示されるタイマ10により予め設定された一定時間(例えば5分)が経過するまで行う。
【0076】
一定時間経過後は、1台のエレベータ2を通常運転から自律移動体専用運転に切り替える。
【0077】
一方、自律移動体3の乗車が可能な号機が見つかった場合、信号送受信部9は、第1、第2の実施形態に記載の乗車許可信号およびカゴ内停止位置の信号に加え、乗車可能な号機を伝える信号を自律移動体3に送信する。
【0078】
第4の実施形態によれば、乗車可能なエレベータ2が見つかるまで全台を自律移動体3の乗車可否の判断対象とすることで、自律移動体3が利用客と同乗可能となる頻度を高めることができる。すなわち、自律移動体3の階間移動の効率を高めることができる。
【0079】
(第5の実施形態)
以下、自律移動体運搬システム1の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、制御盤7は、複数のカゴ6のうちの空きスペースがあると判断されたカゴ6について、自律移動体3の目的階に到着するまでの間の乗場呼びに応答させない。
【0080】
より詳しくは、第4の実施形態に記載した複数台のエレベータ制御を行う場合のオペレーションにおいて、制御盤7は、全ての号機について乗場呼びを制限するのではなく、自律移動体3が乗車する号機のみ、乗場呼びに応答しないように制御する。したがって、自律移動体3が乗車していても他号機は乗場呼びに応答するため、利用客は乗場呼び釦を操作することで自律移動体3が利用していない号機を利用することができる。
【0081】
第5の実施形態によれば、複数台のエレベータ制御を行っており、自律移動体3がエレベータ2に乗車する場合、全ての号機の乗場呼びに制限をかけるのではなく、自律移動体3が乗車する号機のみが応答しなくなるように制御することで、他号機は利用可能となる。このため、自律移動体3のエレベータ利用によって利用客に不快感を与える可能性を低くすることができる。
【0082】
(第6の実施形態)
以下、異なるエレベータ2の複数のカゴ6の全てについて空きスペースの有無を判断し、自律移動体3に対して最適な空きスペースを有するカゴ6への乗車を指示する自律移動体運搬システム1の第6の実施形態について説明する。
【0083】
第6の実施形態では、画像認識装置8は、異なるエレベータ2に備えられた複数のカゴ6内を撮像する複数のカメラ11の撮像画像信号を入力する。画像認識装置8は、入力された複数のカメラ11の撮像画像信号に基づいて、複数のカゴ6の全てに対して空きスペースがあるか否かの判断を行う。そして、画像認識装置8は、空きスペースがあると判断されたカゴ6が2以上存在する場合に、2以上のカゴ6同士の間で、空きスペースの広さとカゴ呼び数とを比較する。
【0084】
そして、信号送受信部9は、2以上のカゴ6のうちの空きスペースが広く、かつ、カゴ呼び数が少ないカゴ6に対する乗車許可信号を優先的に自律移動体3に送信する。
【0085】
より詳しくは、第4の実施形態では、自律移動体3が乗車可能な号機を1台ずつ探していき、乗車可能な号機が見つかり次第その号機を自律移動体3の運搬に割り当てるが、第6の実施形態では、乗車可能な号機が見つかっても全ての号機の乗車可否を判定する。そして、乗車可能な号機が複数見つかった場合、空きスペースが広く、カゴ呼び数が少ない号機を自律移動体3の運搬に割り当てる。
【0086】
例えば、第2の実施形態に記載したように、出入口61前の空きスペースSP1のみを有する号機と、出入口61前およびリターンパネル62、63前の空きスペースSP4、SP5、SP6を有する号機とでは、出入口61前およびリターンパネル62、63前の空きスペースSP4、SP5、SP6を有する号機を優先して自律移動体3の運搬に割り当てる。
【0087】
カゴ6内の空きスペースの広さが画像認識装置8で判断できる範囲で同等の場合、制御盤7は、カゴ呼びが少ない号機を優先して自律移動体3の運搬に割り当てる。ただし、カゴ呼びの判定は、自律移動体3の移動方向と同方向であり、自律移動体3の乗車階(すなわち、待機階)から目的階の間のカゴ呼び登録数に基づいて行う。
【0088】
例えば、1階から10階に停止可能なエレベータ2において、自律移動体3の乗車階が6階、自律移動体3の目的階が10階であり、カゴ6が3、4階間を上昇している時、制御盤7は、6〜10階間のカゴ呼び登録数で判定を行う。
【0089】
第6の実施形態によれば、複数台のエレベータ制御を行っている場合、カゴ6内の空きスペースがより広く、カゴ呼びの少ない号機に自律移動体3を乗車させることで、カゴ6内のスペースに余裕を持たせることができる。これにより、自律移動体3が同乗したことによる利用客への圧迫感を低減することができる。
【0090】
上記以外にも、種々の実施形態を適用することができる。例えば、カゴ6内の自律移動体3の経路上に利用客が存在する場合、アナウンスによりカゴ6内の利用客の移動を促してもよい。これにより、自律移動体3が同乗できる機会を増やすことができる。
【0091】
また、自律移動体3の乗車が確定した際に、カゴ内表示器に自律移動体3の移動経路と停止位置を表示してもよい。これにより、自律移動体3が利用する空きスペースに利用客が移動して滞在することを防ぐことができるので、オペレーションを確実なものにすることができる。
【0092】
また、エレベータ2の利用状況に応じて、自律移動体3への号機の割り当てを当初の割り当てから変更してもよい。例えば、空になった号機を優先的に自律移動体3の乗車階に向かわせるように、号機の割り当てを当初の割り当てから変更してもよい。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。