特許第6702607号(P6702607)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6702607ウェイクアップパケットを伝送するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702607
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ウェイクアップパケットを伝送するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20200525BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20200525BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20200525BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20200525BHJP
【FI】
   H04W52/02 111
   H04W84/12
   H04W28/06 110
   H04W28/04 110
【請求項の数】22
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-513376(P2019-513376)
(86)(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公表番号】特表2019-533343(P2019-533343A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(86)【国際出願番号】CN2017099185
(87)【国際公開番号】WO2018045885
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2019年4月17日
(31)【優先権主張番号】15/261,773
(32)【優先日】2016年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】ユンソン・ヤン
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−529412(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/099140(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェイクアップパケットを伝送するための方法であって、前記方法は、
伝送デバイスによって、第1の受信デバイス用のペイロードの長さを示す第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成するステップと、
前記伝送デバイスによって、第2の受信デバイス用のウェイクアップパケット(wake−up packet、WUP)を生成するステップと、
前記伝送デバイスによって、前記第1のプリアンブル、前記ペイロード、および前記WUPの長さの合計の第2の長さ指示を含む第2のプリアンブルを生成するステップと、
前記伝送デバイスによって、前記第2のプリアンブル、前記第1のプリアンブル、前記ペイロード、および前記WUPを伝送するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のプリアンブル、前記第1のプリアンブル、前記ペイロード、および前記WUPを伝送するステップは、
前記伝送デバイスによって、前記第2のプリアンブル、前記第1のプリアンブル、前記ペイロード、および前記WUPを含んだ物理層プロトコルデータユニット(physical protocol data unit、PPDU)を生成するステップと、
前記伝送デバイスによって、前記PPDUを伝送するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記伝送デバイスによって、前記第2のプリアンブル、前記第1のプリアンブル、前記ペイロード、および前記WUPを伝送する前にチャネル競合を実行するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェイクアップパケットは、前記第2の受信デバイスの第1の無線通信モジュール(radio communications module、RCM)をスリーピングモードからウェイクアップさせるように構成され、前記方法は、前記伝送デバイスによって、前記第1のRCMをウェイクアップさせた後、前記第1のRCMと関連付けられた第2のRCMを使用して、前記第2の受信デバイスとデータを交換するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ペイロードは、「アクノリッジメントなし」アクノリッジメントポリシを示すアクノリッジメントポリシ指示をさらに含み、前記アクノリッジメントポリシ指示は、前記ペイロードの媒体アクセス制御(medium access control、MAC)ヘッダ内のサービス品質(Quality of Service、QoS)制御フィールドのビットB5およびB6としてバイナリ値「10」を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ペイロードは、「ブロックアクノリッジメント」アクノリッジメントポリシを示すアクノリッジメントポリシ指示をさらに含み、前記アクノリッジメントポリシ指示は、前記ペイロードのMACヘッダ内のQoS制御フィールドのビットB5およびB6としてバイナリ値「11」を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記伝送デバイスによって、前記WUPを送信した後指定された時間に、前記第1の受信デバイスにブロックアクノリッジメント要求フレームを伝送するステップと、
前記伝送デバイスによって、前記第1の受信デバイスからブロックアクノリッジメントフレームを受信するステップと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
伝送デバイスであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによる実行のためのプログラミングを記憶する、コンピュータ可読の記憶媒体であって、前記プログラミングは、
第1の受信デバイス用のペイロードの長さを示す第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成し、
第2の受信デバイス用のウェイクアップパケット(wake−up packet、WUP)を生成し、
前記第1のプリアンブル、前記ペイロード、および前記WUPの長さの合計の第2の長さ指示を含む第2のプリアンブルを生成し、
前記第2のプリアンブル、前記第1のプリアンブル、前記ペイロード、および前記WUPを伝送する、
ように前記伝送デバイスを設定するための命令を含む、コンピュータ可読の記憶媒体と
を含む、伝送デバイス。
【請求項9】
前記プログラミングは、前記第2のプリアンブル、前記第1のプリアンブル、前記ペイロード、および前記WUPを含んだ物理層プロトコルデータユニット(physical protocol data unit、PPDU)を生成し、前記PPDUを伝送するように前記伝送デバイスを設定するための命令を含む、請求項8に記載の伝送デバイス。
【請求項10】
前記ウェイクアップパケットは、前記第2の受信デバイスの第1の無線通信モジュール(radio communications module、RCM)をスリーピングモードからウェイクアップさせるように構成され、前記プログラミングは、前記第1のRCMをウェイクアップさせた後、前記第1のRCMと関連付けられた第2のRCMを使用して、前記第2の受信デバイスとデータを交換するように前記伝送デバイスを設定するための命令を含む、請求項8に記載の伝送デバイス。
【請求項11】
前記プログラミングは、前記ペイロード内に、前記第1の受信デバイス用の「アクノリッジメントなし」アクノリッジメントポリシを示すアクノリッジメントポリシ指示を含むように前記伝送デバイスを設定するための命令を含む、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の伝送デバイス。
【請求項12】
前記プログラミングは、前記ペイロード内に、前記第1の受信デバイス用の「ブロックアクノリッジメント」アクノリッジメントポリシを示すアクノリッジメントポリシ指示を含め、前記WUPを送信した後指定された時間に、前記第1の受信デバイスにブロックアクノリッジメント要求フレームを伝送し、および前記第1の受信デバイスからブロックアクノリッジメントフレームを受信するように前記伝送デバイスを設定するための命令を含む、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の伝送デバイス。
【請求項13】
ウェイクアップパケットを複数の第1の受信デバイスに伝送するための方法であって、前記方法は、
伝送デバイスによって、複数のウェイクアップパケット(wake−up packet、WUP)を生成するステップと、
前記伝送デバイスによって、前記複数のWUPの長さの合計以上である第1の長さの第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成するステップと、
前記伝送デバイスによって、前記第1のプリアンブルおよび前記複数のWUPを伝送するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記第1のプリアンブルおよび前記複数のWUPを伝送するステップは、
前記伝送デバイスによって、前記第1のプリアンブルおよび前記複数のWUPを含んだ物理層プロトコルデータユニット(physical protocol data unit、PPDU)を生成するステップと、
前記伝送デバイスによって、前記PPDUを伝送するステップと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記伝送デバイスによって、前記第1のプリアンブルおよび前記複数のWUPを伝送する前にチャネル競合を実行するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のWUPのおのおのは、前記複数の前記第1の受信デバイスの関連する第1の受信デバイスの第1の無線通信モジュール(radio communications module、RCM)をスリーピングモードからウェイクアップさせるように構成され、前記方法は、前記伝送デバイスによって、少なくとも1つの第1の受信デバイスの少なくとも1つの第1のRCMと関連付けられた少なくとも1つの第2のRCMを使用して、前記複数の前記第1の受信デバイスの前記少なくとも1つの第1の受信デバイスとデータを交換するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記伝送デバイスによって、第2の受信デバイス用のペイロードの第2の長さを示す第2の長さ指示を含む第2のプリアンブルを生成するステップをさらに含み、前記第1のプリアンブルおよび前記複数のWUPを伝送するステップは、前記伝送デバイスによって、前記第1のプリアンブル、前記第2のプリアンブル、前記ペイロード、および前記複数のWUPを伝送するステップを含み、前記第1の長さは、前記第2のプリアンブル、前記ペイロード、および前記複数のWUPの長さの合計に等しい、請求項13乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のプリアンブル、前記第2のプリアンブル、前記ペイロード、および前記複数のWUPを伝送するステップは、
前記伝送デバイスによって、前記第1のプリアンブル、前記第2のプリアンブル、前記ペイロード、および前記複数のWUPを含んだ物理層プロトコルデータユニット(physical protocol data unit、PPDU)を生成するステップと、
前記伝送デバイスによって、前記PPDUを伝送するステップと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
伝送デバイスであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによる実行のためのプログラミングを記憶する、コンピュータ可読の記憶媒体であって、前記プログラミングは、
複数のウェイクアップパケット(wake−up packet、WUP)を生成し、
前記複数のWUPの長さの合計以上である第1の長さの第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成し、
前記第1のプリアンブルおよび前記複数のWUPを伝送
するように前記伝送デバイスを設定するための命令を含む、コンピュータ可読の記憶媒体と
を含む、伝送デバイス。
【請求項20】
前記プログラミングは、前記第1のプリアンブルおよび前記複数のWUPを含んだ物理層プロトコルデータユニット(physical protocol data unit、PPDU)を生成し、前記PPDUを伝送するように前記伝送デバイスを設定するための命令を含む、請求項19に記載の伝送デバイス。
【請求項21】
前記複数のWUPのおのおのは、複数の第1の受信デバイスの関連する第1の受信デバイスの第1の無線通信モジュール(radio communications module、RCM)をスリーピングモードからウェイクアップさせるように構成され、前記プログラミングは、少なくとも1つの第1の受信デバイスの少なくとも1つの第1のRCMと関連付けられた少なくとも1つの第2のRCMを使用して、前記複数の前記第1の受信デバイスの前記少なくとも1つの第1の受信デバイスとデータを交換するように前記伝送デバイスを設定するための命令を含む、請求項19に記載の伝送デバイス。
【請求項22】
前記プログラミングは、第2の受信デバイス用のペイロードの第2の長さを示す第2の長さ指示を含む第2のプリアンブルを生成し、前記第1のプリアンブル、前記第2のプリアンブル、前記ペイロード、および前記複数のWUPを伝送するように前記伝送デバイスを設定するための命令を含み、前記第1の長さは、前記第2のプリアンブル、前記ペイロード、および前記複数のWUPの長さの合計に等しい、請求項19乃至21のいずれか1項に記載の伝送デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月9日に出願され、「A SYSTEM AND METHOD FOR TRANSMITTING A WAKE−UP PACKET」と題する、米国非仮特許出願第15/261,773号の優先権を主張するものであり、あたかもその全体を再現したかのように引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、デジタル通信のためのシステムおよび方法に関し、具体的な実施形態では、ウェイクアップパケットを伝送するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
バッテリ駆動のデバイスにおいて、パワー消費は重要な留意事項である。バッテリ駆動のデバイスにとっての設計基準は、バッテリ再充電または交換の間の時間の期間をできる限り延ばすために、パワー消費を最小限にすることである。遠隔配置されたセンサなど、いくつかの配備において、バッテリ交換は、費用がかかると同時に非現実的であり得る。携帯電話、タブレット、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス(wearable device、WD)などにおいてなど、バッテリ駆動のデバイスが簡単に利用でき、再充電が容易である状況にあっても、バッテリを再充電することは、依然として不便で時間のかかる作業である。
【0004】
無線通信モジュール(radio communications module、RCM)は、これらのバッテリ駆動デバイスの動作に非常に不可欠である無線接続性を提供するが、これも重大なパワー消費源である。そのため、RCMを有するバッテリ駆動デバイスにおけるパワー消費を低減する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な実施形態は、ウェイクアップパケットを伝送するためのシステムおよび方法を提供する。
【0006】
例示的な一実施形態によれば、ウェイクアップパケットを伝送するための方法が提供される。方法は、伝送デバイスによって、第1の受信デバイス用のペイロードの長さを示す第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成するステップと、伝送デバイスによって、第2の受信デバイス用のウェイクアップパケット(wake−up packet、WUP)を生成するステップと、伝送デバイスによって、第1のプリアンブル、ペイロード、およびWUPの長さの合計の第2の長さ指示を含む第2のプリアンブルを生成するステップと、伝送デバイスによって、第2のプリアンブル、第1のプリアンブル、ペイロード、およびWUPを伝送するステップとを含む。
【0007】
例示的な一実施形態によれば、伝送デバイスが提供される。伝送デバイスは、プロセッサと、プロセッサによる実行のためのプログラミングを記憶する、コンピュータ可読の記憶媒体とを含む。プログラミングは、第1の受信デバイス用のペイロードの長さを示す第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成し、第2の受信デバイス用のWUPを生成、第1のプリアンブル、ペイロード、およびWUPの長さの合計の第2の長さ指示を含む第2のプリアンブルを生成し、第2のプリアンブル、第1のプリアンブル、ペイロード、およびWUPを伝送するように伝送デバイスを設定するための命令を含む。
【0008】
例示的な一実施形態によれば、複数の第1の受信デバイスにウェイクアップパケットを伝送するための方法が提供される。方法は、伝送デバイスによって、複数のWUPを生成するステップと、伝送デバイスによって、複数のWUPの長さの合計以上である第1の長さの第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成するステップと、伝送デバイスによって、第1のプリアンブルおよび複数のWUPを伝送するステップとを含む。
【0009】
例示的な一実施形態によれば、伝送デバイスが提供される。伝送デバイスは、プロセッサと、プロセッサによる実行のためのプログラミングを記憶する、コンピュータ可読の記憶媒体とを含む。プログラミングは、複数のWUPを生成し、複数のWUPの長さの合計以上である第1の長さの第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成し、ならびに第1のプリアンブルおよび複数のWUPを伝送するように伝送デバイスを設定するための命令を含む。
【0010】
例示的な一実施形態によれば、受信デバイスを動作させるための方法が提供される。方法は、受信デバイスによって、ピギーバックされたウェイクアップパケットの連続シーケンスを受信するステップと、受信デバイスによって、ピギーバックされたウェイクアップパケットの連続シーケンスのウェイクアップパケットが受信デバイス用であるということを決定するステップと、受信デバイスによって、ウェイクアップパケットと関連付けられた無線通信モジュール(radio communications module、RCM)をウェイクアップさせるステップとを含む。方法は、受信デバイスによって、RCMをウェイアップさせた後にRCMを使用して、ピギーバックされたウェイクアップパケットの連続シーケンスの伝送デバイスとデータを交換するステップも含む。ピギーバックされたウェイクアップパケットの連続シーケンスは、連続して受信される。ウェイクアップパケットが受信デバイス用であるということを決定するステップは、ウェイクアップパケットからのウェイクアップアドレスを受信デバイスと関連付けられたウェイクアップアドレスと比較するステップを含む。
【0011】
例示的な一実施形態によれば、受信デバイスが提供される。受信デバイスは、プロセッサと、プロセッサによる実行のためのプログラミングを記憶する、コンピュータ可読の記憶媒体とを含む。プログラミングは、ピギーバックされたウェイクアップパケットの連続シーケンスを受信し、ピギーバックされたウェイクアップパケットの連続シーケンスのウェイクアップパケットが受信デバイス用であるということを決定し、ウェイクアップパケットと関連付けられたRCMをウェイクアップさせるように受信デバイスを設定するための命令を含む。プログラミングは、RCMをウェイアップさせた後にRCMを使用して、ピギーバックされたウェイクアップパケットの連続シーケンスの伝送デバイスとデータを交換するように受信デバイスを設定するための命令を含む。プログラミングは、ウェイクアップパケットからのウェイクアップアドレスを受信デバイスと関連付けられたウェイクアップアドレスと比較するように受信デバイスを設定するための命令を含む。
【0012】
伝送装置は、ウェイクアップパケットを伝送するために使用することができる。伝送装置(またはエレメント)は、第1の受信デバイス用のペイロードの長さを示す第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成するための第1の生成手段(またはエレメント)と、第2の受信デバイス用のWUPを生成するための第2の生成手段(またはエレメント)と、第1のプリアンブル、ペイロード、およびWUPの長さの合計の第2の長さ指示を含む第2のプリアンブルを生成するための第3の生成手段(またはエレメント)と、第2のプリアンブル、第1のプリアンブル、ペイロード、およびWUPを伝送するための伝送手段(またはエレメント)とを含むことができる。
【0013】
伝送装置は、複数の第1の受信デバイスにウェイクアップパケットを伝送するために使用することができる。伝送装置(またはエレメント)は、複数のWUPを生成するための第1の生成手段(またはエレメント)と、複数のWUPの長さの合計以上である第1の長さの第1の長さ指示を含む第1のプリアンブルを生成するための第2の生成手段(またはエレメント)と、第1のプリアンブルおよび複数のWUPを伝送するための伝送手段(またはエレメント)とを含むことができる。
【0014】
従属クレーム2、3、4、5、6および7、ならびに9、10、11および12、ならびに14、15、16、17および18、ならびに20、21および22の、さまざまな組合せが可能である。
【0015】
前述の実施形態の実践は、ウェイクアップパケットの、正規フレームとのピギーバックを可能にし、その結果、ウェイクアップパケットは、チャネル競合を要求してそれによって通信オーバーヘッドを増加させる、単独の物理層プロトコルデータユニットとしては伝送されない。さらに、IEEE 802.11プリアンブルは、ウェイクアップパケット専用である必要はなく、通信オーバーヘッドをさらに減少させる。
【0016】
前述の実施形態の利点は、1または複数のウェイクアップパケットを正規フレームとピギーバック(単一のプロトコルデータユニットを形成する)し、それによって伝送デバイスによって実行されるチャネル競合プロシージャ数を低減することによって、1または複数のウェイクアップパケットを伝送することと関連付けられた通信オーバーヘッドを低減することを含む。前述の実施形態の別の利点は、1または複数のウェイクアップパケットをプリアンブルとピギーバック(単一のプロトコルデータユニットを形成する)し、それによって伝送デバイスによって実行されるチャネル競合プロシージャ数を低減することによって、1または複数のウェイクアップパケットを伝送することと関連付けられた通信オーバーヘッドを低減することを含む。前述の実施形態のさらに別の利点は、ピギーバックすることが、単一のプロトコルデータユニットのさまざまなコンポーネント(例えば、正規フレームと1または複数のウェイクアップパケット、またはプリアンブルと1または複数のウェイクアップパケット)がギャップなしに伝送され、それによって通信オーバーヘッドをさらに低減することを可能にするということをさらに含む。
【0017】
本開示、およびそれの利点のより完全な理解のために、ここで、添付図面と組み合わせてなされる以下の記載を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一例示的な、スマートビルディングを示す。
図2】一例示的な、IEEE 802.11通信システムを示す。
図3】一例示的な、低パワーのウェイクアップ型無線を有するIEEE 802.11通信システムを示す。
図4A】一例示的なウェイクアップパケットの詳細図を示す。
図4B】一例示的な、ウェイクアップパケットを信号形態で示す。
図5】従来のIEEE 802.11nフレームを示す。
図6】Pre−IEEE 802.11nフレーム、従来のIEEE 802.11nフレーム、および本明細書に記載の例示的な実施形態に係る、ピギーバックされたフレーム内のL−SIGフィールドを示す。
図7】従来のIEEE 802.11nフレーム、および本明細書に記載の例示的な実施形態に係る、ピギーバックされたフレーム内のHT−SIGフィールドを示す。
図8】本明細書に記載の例示的な実施形態に係る、一例示的なピギーバックされたフレームを示す。
図9】本明細書に記載の例示的な実施形態に係る、伝送デバイスで発生する例示的な動作のフロー図を示す。
図10】本明細書に記載の例示的な実施形態に係る、受信デバイスで発生する例示的な動作のフロー図を示す。
図11】本明細書に記載の方法を実行するための一実施形態の処理システムのブロック図を示す。
図12】本明細書に記載の例示的な実施形態に係る、電気通信ネットワークを介して信号を伝送および受信するように適合されたトランシーバのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
現在の例示的な実施形態の動作、およびそれの構造を、以下に詳細に論じる。ただし、当然のことながら、本開示は、広くさまざまな特定の文脈において具現化することができる多くの適用可能な発明概念を提供する。論じられている具体的な実施形態は、実施形態の具体的な構造、および本明細書で開示される実施形態を動作させるための方法の単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定するものではない。
【0020】
モノのインターネット(IoT)は、デバイスおよび場所がすべての種類の情報を生成すること、および、即時データ分析、および理想的には「スマート」アクションのために、これらのデバイスおよび場所を結びつけることを可能にする、一連の技術およびアプリケーションである。例えば、IoTは、さまざまなセンサと設備機器とを統合して一体にすることによって、スマートビルディングを容易にすることを約束する。図1は、照明、温度、空気品質、炎、煙、COガス、セキュリティ、侵入、などのさまざまな状態、および照明器具、暖房または冷房器具、換気装置、火災警報機、スプリンクラシステム、セキュリティアラーム、情報システムなどのさまざまな設備機器をモニタリングするために商業用ビルディングまたは住居ビルディング内もしくは周囲に配備され、ビルディング内の人々のために健康で、快適で、安全な環境を提供するために上述のさまざまな状態を制御するため、およびそれをエネルギ効率の良いやり方で行うために配備される、さまざまなセンサおよびモニタリングデバイスを目玉とする一例示的なスマートビルディング100を示している。さまざまなセンサおよびモニタリングデバイスは、データ通信技術を使用してさまざまな設備機器と、直接、または通信および管理センタを介して通信する。例えば、1または複数のデータアクセスポイントがスマートビルディング中に配備され、データアクセスポイントは、通常はケーブルなどの有線接続を介して、通信、データ解析、および制御のセンタに接続されている。データアクセスポイントは、さまざまなセンサおよび機器が、後の時点で以前のケーブル配線を変更する必要なしにビルディングのどこでも配置され得るように、通常は無線通信(Wi−Fi、BlueTooth(登録商標)、およびZigBeeなど)を介して、さまざまなセンサおよびモニタリングデバイス、ならびにさまざまな設備機器上の通信モジュールに接続もされている。これらのセンサおよび通信モジュールの多くは、バッテリ駆動で動作する。
【0021】
また、IoTは、消費市場におけるパーソナルウェアラブルデバイス、および鉱業、運輸、農業、畜産などの産業用IoTにおいて使用されるセンサなど、バッテリ駆動で動作し、無線通信を使用する多くの他のタイプのデバイスをもたらすことも約束する。
【0022】
図2は、一例示的なIEEE 802.11通信システム200を示しており、スマートビルディング内のデータ通信のために使用され得る。通信システム200は、局210、212、214、216および218などの複数の局をサービスしているアクセスポイント(access point、AP)205を含む。例えば、先に図1に図示および記載したように、局210〜218は、スマートビルディング内の設備機器のセンサ、モニタリングデバイス、および通信モジュールであり得、AP 205は、スマートビルディング内のデータアクセスポイントであり得る。インフラベースの通信モードまたは無線LAN(Wireless LAN、WLAN)モードと一般に称される、第1の動作モードでは、アクセスポイント205は、それの関連する局との、またはそれら局の間の、ある一定の側面(無線周波数チャネル、伝送パワーリミット、認証、セキュリティなど)を制御する。一般的にいうと、通信システム200において、アップリンク(局からアクセスポイントへ)およびダウンリンク(アクセスポイントから局へ)伝送の両方のための無線リソースは、コリジョン回避付きのキャリア検知多重アクセス(carrier sensing multiple access with collision avoidance、CSMA/CA)と一般に称される分散競合メカニズムに基づいてトランスミッタによってアクセスされる。ただし、アクセスポイント205は、異なったアクセス優先順位を局および/またはトラフィックタイプに割り当てることによって、ならびにチャネル競合に成功したときには、ある局および/またはトラフィックのために、またはその時間の間は伝送し得るトランスミッタがない、Quiet Periodなど特別な目的のために、ある時間期間を明示的に割り当てることによって、リソース割当てに依然として影響し得る。
【0023】
直接通信モード、アドホックモード、またはピアツーピアモードと一般に称される、第2の動作モードでは、局(局216および局218など)は、ピア局として動作し、アクセスポイント205などの集中型のエンティティを経由することなく互いに直接的に通信し得る。こうした直接通信の例には、Wi−Fi Directおよび近接認識ネットワーキング(neighbor awareness networking、NAN)準拠の通信システムが含まれ、その両方ともが、IEEE 802.11標準に基づくWi−Fi Allianceによって規定されている。
【0024】
通信システムが、いくつかのUEと通信可能な複数のアクセスポイントを使用し得ることが理解されるが、簡単にするために、1つだけのアクセスポイントと5つの局が示されている。
【0025】
上記で論じたように、多くのウェアラブルデバイス、センサ、およびIoTデバイスが、バッテリ駆動で動作する。そのため、これらのデバイス上の無線通信モジュール(radio communications module、RCM)は、低パワー消費であることが要望される。
【0026】
図3は、一例示的な、低パワーのウェイクアップ型無線(low−power wake−up radio、LP−WUR)を有するIEEE 802.11通信システム300を示している。通信システム300は、伝送デバイス305および受信デバイス310を備える。伝送デバイス305は、特に、enhanced 802.11 RCM(「802.11+」とラベル付け)307を備えている。enhanced 802.11 RCM 307は、ウェイクアップパケットの伝送を含んで、IEEE802.11標準の信号、およびLP−WURの信号を利用する通信が可能である。ウェイクアップパケットの少なくともペイロード部分は、IEEE802.11標準の信号よりもずっと狭いチャネル帯域幅を介して伝送され得る。例えば、IEEE802.11標準の信号は、チャネル帯域幅20MHzを介して伝送され得、ウェイクアップパケットのペイロードは、チャネル帯域幅5MHz以下を介して伝送され得る。狭い帯域幅は、受信デバイス310内のものなど、意図するウェイクアップレシーバのコストおよびパワー消費を低減するのに役立つ。単純で低パワーのレシーバを容易にするために、オンオフキーイング(On−Off−Keying、OOK)などの単純な変調・符号化方式(modulation and coding scheme、MCS)が、ウェイクアップパケットを伝送するために検討されている。しかしながら、OOK変調は、与えられた信号対雑音比(signal−to−noise ratio、SNR)に対して、他のMCSのレベルよりも短い受信範囲を持つ傾向がある。狭い帯域幅は、通過帯域内の伝送パワースペクトル密度(および、したがって受信SNR)を上昇させるのに役立つ。狭い通過帯域内の高い受信SNRは、ウェイクアップパケットの受信範囲に対するOOK変調の悪影響を相殺または部分的に相殺するのに役立つ。
【0027】
受信デバイス310は、特に、802.11 RCM 312およびLP−WUR 314を含む。802.11 RCM 312は、ユーザデータを通信することを意図しているが、LP−WUR 314は意図していない。したがって、LP−WUR 314は、トランスミッタを通常は有していない。LP−WUR 314は、802.11 RCM 312をスリーピングモードまたはOFFモードからウェイクアップさせるのを支援するために存在している。一般に、LP−WUR 314は、802.11 RCM 312がOFF(例えば、スリーピングモードにある)のときにONである。LP−WUR 314は、802.11 RCM 312と関連付けられたプロセッサによって提供された値を記憶するように設計されたメモリ(またはレジスタ)と、少なくともウェイクアップパケットのペイロードを受信するように設計されたレシーバと、受信されたペイロード内の値を、メモリに記憶されている値と比較するように設計されたコンパレータとを含む。コンパレータは、受信された値が、記憶されている値と一致するとき、ウェイアップ割込みと称される信号を生成する。LP−WUR 314は、LP−WUR 314によって802.11 RCM 312をスリーピングモードからウェイクアップさせるために使用され得る、ウェイクアップ割込みを搬送するために使用される接続を介して802.11 RCM 312に連結されている。コンピュータサイエンスでは、割込みは、プロセッサが実行している現在のプログラムの中断を要求する、高い優先度の状態または事象をプロセッサに通報する、プロセッサ外部の信号について使用される用語である。プロセッサは、それの現在の動作をサスペンドすること、および事象を処理するためのプログラムを実行することによって応答する。中断は一時的であり得、事象を処理するプログラムの実行が終了した後、プロセッサは、それの現在の動作を再開し得る。例えば、しばらくの間データ通信がないとき、またはスリープコマンドが受信されたとき、802.11 RCM 312と関連付けられたプロセッサは、802.11 RCM 312内の電子回路の少なくとも大部分を、パワーセーブモードまたはパワーオフモードとも称され得る、スリーピングモードにするプログラムを実行し得る。802.11 RCM 312の電子回路の部分がスリーピングモードにある間、802.11 RCM 312の能力は、802.11 RCM 312がIEEE 802.11標準の信号を利用する通信がもはや可能ではない程度までディセーブルされる。後に、LP−WUR 314によって生成されたウェイクアップ割込みを受信したとき、802.11 RCM 312と関連付けられたプロセッサは、802.11 RCM 312内の電子回路に電源を入れ、それによってIEEE 802.11標準の信号を利用して通信するそれの能力を再開することによって、ウェイクアップ割込みに応答する。一般に、ONまたはアクティブ状態にあるとき、802.11 RCM 312は、LP−WUR 314よりも非常に大量のパワー、少なくとも1または2桁規模大きなエネルギを消費する。LP−WUR 314についての一例示的な目標のパワー消費は、ONの間100マイクロワット未満である。LP−WUR 314のレシーバは、ウェイクアップパケットのペイロードの帯域幅に一致する狭い帯域幅、例えば5MHz以下を有し、802.11 RCMのものとほぼ等しい受信範囲を有する。
【0028】
802.11通信を実行するとき、伝送デバイス305は、データパケット320などのデータパケットを、受信デバイス310に伝送し、802.11 RCM 312は、データパケットを受信および処理する。
【0029】
図3に示すように、受信デバイス310は、最初は、低減されたパワー状態にある。受信デバイス310が、パワー消費を低減することができる方法の1つは、LP−WUR 314をONにしたまま802.11 RCM 312をOFFにすることである。受信デバイス310が低減されたパワー状態にあるとき、802.11 RCM 312はOFFであり、受信デバイス310は、802.11データパケットを受信および処理できない。
【0030】
ただし、LP−WUR 314はONのままであり、受信デバイス310は、ウェイクアップパケット325などのウェイクアップパケットを受信することができる。伝送デバイス305は、受信デバイス310に伝送すべきデータを有しているが、受信デバイス310は、低減されたパワー状態にあるという状況において、伝送デバイス305は、例えば802.11+ RCM 307を使用してウェイクアップパケット325を受信デバイス310にまず伝送する。ウェイクアップパケット325は、LP−WUR 314によって受信および処理され、それが802.11 RCM 312をウェイクアップさせる。次いで、伝送デバイス305は、802.11+ RCM 307を使用してデータを受信デバイス310に伝送し、受信デバイス310は、802.11 RCM 312を使用してそのデータを受信する。
【0031】
強調表示330は、一例示的なウェイクアップパケット、例えばウェイクアップパケット325の詳細図を示している。ウェイクアップパケットは、プリアンブル332およびペイロード334を含む。通信システム300内の802.11準拠のデバイスと互換性を維持するために、プリアンブル332は、20MHzなど、802.11標準の信号に準拠したチャネル帯域幅を介して伝送された802.11のレガシプリアンブルである。LP−WURのレシーバの帯域幅は、通常、プリアンブル332などの802.11のレガシプリアンブルを受信するには不十分であるため、プリアンブル332は、LP−WUR 314などのLP−WURによって検出されるものではない。代わりに、プリアンブル332は、レガシ802.11デバイスが、ペイロード334の伝送の間レガシ802.11デバイスが伝送するのを防ぐよう意図されている。プリアンブル332内のレガシシグナルフィールド(Legacy SIGNAL field、L−SIG)のRATEサブフィールドおよびLENGTHサブフィールドは、ペイロード334の持続時間を示すために使用される。ペイロード334は、オンオフキーイング(OOK)などの単純な変調方式を使用して変調され、5MHz以下などの狭いチャネル帯域幅を介して伝送している、情報を含む。そのため、レガシ802.11デバイスは、通常、ペイロード334を正しくデコードすることができない。ただし、プリアンブル332は、レガシ802.11標準の帯域幅および信号フォーマットに完全に準拠しているので、レガシ802.11デバイスは、プリアンブル332を検出することができる。このように、プリアンブル332を受信したとき、レガシ802.11デバイスは、少なくとも、RATEサブフィールドおよびLENGTHサブフィールド内の値で計算される持続時間の間チャネルがビジーになることを認識し、その後、あたかもペイロード334がIEEE 802.11標準の信号に準拠しているかのように、ペイロード334の伝送の間、レガシ802.11デバイスの伝送する試みをサスペンドする。なお、OOK変調は、比較的軽微な変更でOFDMトランスミッタを使用して実施され得、例えば、enhanced 802.11 RCM 307は、OFDM変調された通信が可能なだけでなく、OOK変調波形に準拠する信号を伝送することも可能である。
【0032】
図4Aは、一例示的なウェイクアップパケット400の詳細図を示している。ウェイクアップパケット400は、プリアンブル405およびペイロード410を含む。プリアンブル405は、802.11技術標準に対応しており(伝送帯域幅を含んで)、レガシショートトレーニングフィールド(Legacy short training field、L−STF)406、レガシロングトレーニングフィールド(Legacy long training field、L−LTF)407、およびL−SIG 408を含む。ペイロード410は、プリアンブル405のものよりも狭い帯域幅を介して伝送される。ペイロード410は、ウェイクアッププリアンブル411および媒体アクセス制御ヘッダ(例えば、レシーバアドレス)412を含む、複数のフィールドを含む。ウェイクアッププリアンブル411は、ウェイクアップシーケンスを含む。ウェイクアップシーケンスは、例えば、LP−WURがペイロード410の残りをサンプリングおよび検出するためのタイミングを得るのを支援するための良好な自己相関特性を有する疑似乱数シーケンスであり得る。媒体アクセス制御ヘッダ412は、ウェイクアップパケット400がウェイクアップさせることを意図される受信デバイスのウェイクアップアドレスを含む。ペイロード410は、フレーム本体413およびフレームチェックシーケンス(frame check sequence、FCS)414も含み得る。フレーム本体413は、ウェイクアップさせる理由および制御パラメータなどの他の情報を含み得る。FCS 414は、完全性チェックウェイクアップパケット400のための巡回冗長検査(CRC)を含む。
【0033】
図4Bは、一例示的なウェイクアップパケット450を信号形態で示している。図4Bに示すように、ウェイクアップパケット450のペイロード(ペイロード410と同様)内の各ビットは、4ミリ秒であるOFDMシンボル期間に等しい期間にわたって伝送され、合計データレートは250kbpsである。
【0034】
過去において、ウェイクアップパケットは、スタンドアロンの物理層(PHY)プロトコルデータユニット(Physical(PHY)Protocol Data Unit、PPDU)と一般に見なされた。そのため、ウェイクアップパケットを伝送するために、APは、伝送機会を得るために個別にチャネル競合しなくてはならない。チャネル競合に勝つために、APは、チャネルがある一定量の時間(例えば、フレーム間のインターバルとランダムバックオフ時間の合計)アイドルであったことを検出することができる必要がある。これらのアイドル期間の存在の要求は、データトラフィックを伝送するためのチャネルの利用を、APに対する追加の通信オーバーヘッドのものと同様の影響まで減少させる。
【0035】
レガシデバイスに対する互換性を提供するため、ウェイクアップパケットがIEEE 802.11信号のように見えるように、ウェイクアップパケットの始まりに、レガシIEEE 802.11プリアンブル(図4Aのプリアンブル405など)が挿入される。レガシIEEE 802.11プリアンブルは、ウェイクアップパケットの伝送の間レガシデバイスが伝送しないように、レガシデバイスがウェイクアップパケットの最後を知ることも可能にする。レガシIEEE 802.11プリアンブルは、狭帯域(5MHz以下など)を介して伝送されるウェイクアップパケットの前に広帯域(20MHzなど)を介して伝送される。ウェイクアップレシーバの帯域幅が狭いので、レガシIEEE 802.11プリアンブルは、ウェイクアップレシーバによって使用されない。そのため、レガシIEEE 802.11プリアンブルは、ウェイクアップレシーバに関する限りは、通信オーバーヘッドである。
【0036】
一例示的な実施形態によれば、第1の局を対象としたウェイクアップパケットは、第2の局を対象とした正規フレームの後にピギーバックされる。ウェイクアップパケットの、正規フレームとのピギーバックは、あたかも正規フレームとウェイクアップパケットとが2つのPPDUではなくて単一のPPDUであるかのように、別の局またはAPに伝送する、APまたは局などの伝送デバイスが、正規フレームおよびウェイクアップパケットの両方を伝送するために、1回、チャネル競合をすることを可能にする。ウェイクアップパケットの、正規フレームとのピギーバックは、正規のフレームおよびウェイクアップパケットの、相互の直後の伝送を可能にする。よって、正規フレームとウェイクアップパケットとの間には、ウェイクアップパケットが別々のPPDUとして伝送される場合には両方とも必要だったであろう、ギャップも802.11プリアンブルもなく、これによって、ウェイクアップパケットを正規フレームと結合することによって、ウェイクアップパケットを伝送することに関連付けられた通信オーバーヘッドを最小限にする。
【0037】
一例示的な実施形態によれば、第1の局を対象としたウェイクアップパケットは、結合されたPPDUを形成するために、第2の局を対象としたIEEE 802.11フレームの後にピギーバックされる。IEEE 802.11フレームはハイスループット(high throughput、HT)(IEEE 802.11nとも一般に称される)フレームフォーマットに準拠したフレームであり得る。IEEE 802.11フレームのレガシPHYヘッダ内のレガシシグナル(legacy signal、L−SIG)フィールド内のレガシ長さ(内部PHYヘッダ内の第2の長さフィールドと区別するために、以下、L_LENGTHとする)サブフィールドなどの、IEEE 802.11フレームの外部PHYヘッダ内の第1の長さフィールドは、ウェイクアップパケットをペンディングするのに先立って、IEEE 802.11フレームの持続時間を反映している既存の値にウェイクアップパケットの持続時間を付け加えて調節される。そのため、レガシ局(すなわち、IEEE 802.11a、IEEE 802.11b、またはIEEE 802.11gなどのPre−IEEE802.11n標準に準拠する局)は、結合されたPPDUを、あたかもそれが単一のIEEE 802.11フレームであるかのように受信する。これらのレガシ局は、自身のNAVをL_LENGTHサブフィールドに従って設定し、そのことが、結合されたPPDUの伝送の間それらのレガシ局が伝送するのを防ぎ、それによってウェイクアップパケットおよびIEEE 802.11フレームの両方を保護する。
【0038】
HT−SIGフィールド内のLength(L_LENGTHと区別するために、以下、HT_LENGTHとする)サブフィールドなどの、IEEE 802.11フレームの、内部PHYヘッダ内の第2の長さフィールドは、第2の局を対象としたIEEE 802.11フレーム内のPHYサービスデータユニット(PHY Service Data Unit、PSDU)内の有用なデータの長さを示し、第2の局がデータを正しくデコードできるようにする。他のHT対応の(すなわち、IEEE 802.11n準拠の)局がそれらのそれぞれのNAVを設定するためにDurationフィールド内の値を使用できるように、PSDUの媒体アクセス制御(medium access control、MAC)ヘッダ内のDurationフィールドも、それに応じて調節され得る。
【0039】
図5は、従来のIEEE 802.11nフレーム500を示す。従来のIEEE 802.11nフレーム500は、外部PHYヘッダの一例であるレガシプリアンブル505、および内部PHYヘッダの一例であるHTプリアンブル510を含む。レガシプリアンブル505は、L−SIGフィールド507を含む。L−SIGフィールド507は、L−SIG持続時間509と称される持続時間を計算するために一緒に使用することができるRATEサブフィールドおよびLENGTHサブフィールドを含み、その時間の間レガシ局(Pre−HTまたはPre−IEEE 802.11n局)は、伝送を停止したままとなり、すなわち伝送していないままとなる。L−SIG持続時間509の用語は、L−SIGフィールド507の持続時間としてではなく、L−SIGフィールド507内のRATE値およびLENGTH値に従って導出される持続時間として解釈されるべきである。L−SIGフィールド507の持続時間は、IEEE 802.11標準にはっきりと定義されており、いかなる信号内でもそれを明示的に示す必要はない。L−SIG持続時間509は、HTプリアンブル510およびペイロード515の持続時間に対応する。HTプリアンブル510は、HT−SIG持続時間514と称される持続時間を計算するために一緒に使用することができる変調・符号化方式(modulation and code scheme、MCS)サブフィールドおよびLengthサブフィールドを含むHT−SIGフィールド512を含み、HT準拠の局がペイロード515内のPSDU 520を処理するために使用する。同様に、HT−SIG持続時間514の用語は、HT−SIGフィールド512の持続時間としてではなく、HT−SIGフィールド512内のMCS値およびLength値に従って導出される持続時間として解釈されるべきである。HT−SIGフィールド512の持続時間は、IEEE 802.11n標準において、2OFDMシンボル期間と定義されている。なお、3つの時空間ストリームを有する状況を除き、HTロングトレーニングフィールド(HT Long Training Field、HT−LTF)シンボルの数NLTFは、時空間ストリームの数NSTSに等しい。こうした状況において、4HT−LTFシンボルが従来のIEEE 80
2.11nフレーム500内に存在し、NSTSは、HT−SIGフィールド512内に示される。
【0040】
図6は、Pre−IEEE 802.11nフレーム、従来のIEEE 802.11nフレーム、および本発明の例示的な実施形態に係る、ピギーバックされたフレーム内のL−SIGフィールド600を示す。L−SIGフィールド600は、4ビットのRATEサブフィールド605、1ビットのリザーブされた(R)サブフィールド610、12ビットのLENGTHサブフィールド615(外部PHYヘッダ内の第1の長さフィールドの一例である)、1ビットのパリティ(P)サブフィールド620、および6ビットの信号テイルビットサブフィールド625を含む。Pre−IEEE 802.11nフレームでは、RATEサブフィールド605は、フレームの残り(L−SIGフィールド600の後)が伝送されるデータレート(したがって、変調・符号化方式)を示すために使用される。しかしながら、従来のIEEE 802.11nフレームおよびピギーバックされたフレームでは、たとえどんなデータレートがフレームのペイロードのために実際に使用されようとも、RATEサブフィールド605は、6Mbpsのデータレート(以下、ダミーRATEとする)を示すための値に意図的に設定される。6Mbpsは、IEEE 802.11nでサポートされている直交周波数分割多重(orthogonal frequency division multiplexing、OFDM)での最も低いデータレートである。ペイロードの長さをオクテットで示す、LENGTHサブフィールド615内の値と結合されたときに、示すことができる最も長い時間の持続時間が生成されるように、最も低いデータレートが、従来のIEEE 802.11nフレームおよびピギーバックされたフレーム内のRATEサブフィールド605を設定するために選択される。そのため、従来のIEEE 802.11nフレームおよびピギーバックされたフレームでは、RATEサブフィールド605によって示されるOFDMシンボル当たりのビット数L_NDBPSは、24である。従来のIEEE 802.11nフレームを伝送する局は、LENGTHサブフィールド615(内部PHYヘッダ内の第2の長さフィールドと区別するためにL_LENGTHサブフィールドとも称される)を、マイクロ秒(μsec)でのL−SIG Duration(RATEサブフィールド605
およびLENGTHサブフィールド615によって示される)が、図5に示すように、L−SIGフィールド507の終わりからパディング(PAD)ビットフィールドの終わりに及ぶ持続時間以上であるような値に設定する必要もある。L_LENGTH(オクテットで)とL−SIG Duration(時間で)との間の関係は、数学的に
【数1】
と表現でき、シーリング演算子(ceil())は切上げ関数であり、L_NDBPS=24である。図5に示すように、数16は、サービスフィールド内の16ビットを示し、数6は、テイルビットフィールド内の6ビットを示している。
【0041】
IEEE802.11n準拠ではないレガシIEEE802.11局(すなわちPre−IEEE 802.11局)は、L−SIGフィールド600を受信し、例えば、上に示すように、L−SIG持続時間値を決定するために、RATEサブフィールド605およびL_LENGTHサブフィールド615内の値を使用し、自信のNAVを設定する。次いで、レガシIEEE 802.11局は、L−SIGフィールド600の後のL−SIG持続時間の間、チャネル競合することを回避する。
【0042】
図7は、従来のIEEE 802.11nフレーム、および本発明の例示的な実施形態に係る、ピギーバックされたフレーム内のHT−SIGフィールド700を示している。HT−SIGフィールド700は、HT−SIG1フィールド705およびHT−SIG2フィールド750を含む。HT−SIG1フィールド705は、変調・符号化方式(modulation and coding scheme、MCS)サブフィールド710、キャリア帯域幅(carrier bandwidth、CBW)サブフィールド715、および長さサブフィールド720を含む。HT−SIG2フィールド750は、スムージング、非サウンディング、予備ビット、アグリゲーション、時空間ブロック符号化(space−time block coding、STBC)、前方誤り訂正(forward error correcting、FEC)符号化、ショートガード期間(guard interval、GI)、およびextension spatial stream数(すなわち、NSTS)用のサブフィールドを含む。HT−SIG2フィールド750は、巡回冗長符号(cyclic redundancy code、CRC)検査サブフィールド755、および信号テイルサブフィールド760も含む。
【0043】
Lengthサブフィールド720(外部PHYヘッダ内の第1の長さフィールドと区別するため、HT_LENGTHとも称される)は、内部PHYヘッダ内の第2の長さフィールドの一例であり、PSDUフィールド(図5のPSDUフィールド520など)のデータ長に設定される(オクテットで)。MCSサブフィールド710は、サービスフィールド(図5および図8のサービスフィールドなど)からパッドビットフィールド(図5および図8のパッドビットフィールドなど)まで使用されるMCSレベルを示す。
【0044】
HT互換の局は、HT−SIGフィールド700内のMCSおよびHT_LENGTH値に従って、HT−SIG Duration範囲内のOFDMシンボルの数(NSYM)を導出する。NSYMの導出は、数学的に
【数2】
と表現でき、HT_NDBPSはOFDMシンボルあたりのビット数で、MCSレベルから導出される。
【0045】
HT−SIG Durationは、数学的に
HT−SIG Duration=NSYM×4μsec
と表現できる。
そのため、L_LENGTHは、次の
【数3】
を満たすように設定され、NLTFは、HT−LTF用のOFDMシンボル数であり、3つの時空間ストリームを有する状況において4と等しいことを除き、時空間ストリームの数NSTSに等しい。数3は、HT−SIGフィールド(HT−SIGフィールド512など)用の2OFDMシンボルおよびHT−STFフィールド用の1OFDMシンボルに起因する。
【0046】
一例示的な実施形態によれば、第1の局を対象としたウェイクアップパケットは、第2の局を対象としたIEEE 802.11フレームの後にピギーバックされ、ピギーバックされたフレームは、IEEE 802.11フレームと関連付けられたプリアンブルだけを含む。言い換えれば、ウェイクアップパケットのIEEE 802.11プリアンブル(例えば、図4Aのウェイクアップパケット400のプリアンブル405)は省略される。IEEE 802.11フレームおよびウェイクアップパケットは、あたかもそれらが単一のPPDUであるかのように伝送される。そのため、伝送局は、それら両方を伝送するためにチャネル競合を1回実行する必要があるだけである。ウェイクアップパケットに関連付けられたIEEE 802.11プリアンブルの省略は、通信オーバーヘッドを低減するのに役立つ。
【0047】
図8は、一例示的な、ピギーバックされたフレーム800を示している。ピギーバックされたフレーム800は、IEEE 802.11フレーム805およびウェイクアップパケット810を含む。IEEE 802.11フレーム805は、L−SIG DurationおよびL_LENGTH値が決定される方法に関して例外はあるが、図5図6、および図7に記載のとおりである。L−SIG Duration内の時間の値は、HTプリアンブル820、ペイロード807、およびウェイクアップパケット810の結合された持続時間に対応する。HT−SIG Duration内の時間の値は、HT準拠の局がペイロード807内のPSDUを処理するために使用する時間の値に、依然として対応する。ウェイクアップパケット810は、レガシIEEE 802.11プリアンブル(図3のレガシプリアンブル332および図4Aのレガシプリアンブル405など)が含まれないことを除いて、図3図4A図4Bに記載するとおりである。
【0048】
ピギーバックされたフレーム800の伝送局(APなど)は、IEEE 802.11フレーム805のL−SIGフィールドのRATEサブフィールドが6Mbpsのレートを示すように、およびL−SIGフィールドのL_LENGTHサブフィールドが以下の表現
【数4】
を満足するように設定し、DurationWUPは、μsecでのウェイクアップパケットの持続時間であり、HT_LENGTH、HT_NDBPS、およびNLTFは、前述のとおりである。
【0049】
図9は、伝送デバイスで発生する例示的な動作900のフロー図を示している。動作900は、正規フレームの後にウェイクアップパケットをピギーバックすることによって、伝送デバイスがウェイクアップパケットを伝送するときに、APまたは局などの伝送デバイスで発生する動作を示し得、正規フレームは、第1の受信デバイスを対象としており、ウェイクアップパケットは、第2の受信デバイスを対象としている。
【0050】
動作900は、第1の持続時間で伝送デバイスがペイロードを生成することで始まる(ブロック905)。ペイロードはフレームの一部であり、第1の受信デバイスを対象とする。伝送デバイスは、ペイロード用の第1のプリアンブルを生成する(ブロック910)。第1のプリアンブルは、ペイロードの第1の持続時間と関連する第1の長さの第1の指示を含む。第1の長さの第1の指示は、例えば、第1のプリアンブルの第1の信号フィールドに位置する。伝送デバイスは、第2の持続時間を有するウェイクアップパケットを生成する(ブロック915)。ウェイクアップパケットは、第2の受信デバイスを対象とする。伝送デバイスは、第1のプリアンブル、ペイロード、およびウェイクアップパケット用に第2のプリアンブルを生成する(ブロック920)。第2のプリアンブルは、第1のプリアンブル、ペイロード、およびウェイクアップパケットの持続時間の合計に関連する第2の長さの第2の指示を含む。伝送デバイスは、第1のプリアンブル、ペイロード、およびウェイクアップパケットの持続時間の合計を計算し得、次いで、合計された持続時間(時間単位)およびダミーRATE(6Mbpsなど)を、オクテットでの第2の長さの値を決定するために使用し得る。第2の長さの第2の指示は、例えば、第2のプリアンブルの第2の信号フィールドに位置する。伝送局は、第2のプリアンブル、第1のプリアンブル、ペイロード、およびウェイクアップパケットを伝送する(ブロック925)。第2のプリアンブル、第1のプリアンブル、ペイロード、およびウェイクアップパケットの伝送は、第2のプリアンブル、第1のプリアンブル、ペイロード、およびウェイクアップパケットを含むPPDUを生成するステップ、および次いでそのPPDUを伝送するステップを包む。第2のプリアンブル、第1のプリアンブル、ペイロード、およびウェイクアップパケットは、即時連続して伝送される。言い換えれば、第2のプリアンブル、第1のプリアンブル、ペイロード、およびウェイクアップパケットは、間に一切のギャップなしに、次々に伝送される。
【0051】
一例示的な実施形態によれば、異なった局を対象とした複数のウェイクアップパケットが、正規フレーム(IEEE 802.11フレーム)の後にピギーバックされる。複数のウェイクアップパケットの、正規フレームとのピギーバックは、あたかも正規フレームと複数のウェイクアップパケットとが複数のPPDUではなくて単一のPPDUであるかのように、伝送デバイスが、正規フレームおよび複数のウェイクアップパケットの両方を伝送するために、1回、チャネル競合をすることを可能にする。外部PHYヘッダ内の第1の長さフィールド(IEEE 802.11フレームのL−SIGフィールドのL_LENGTHサブフィールドなど)内の値は、正規フレームおよび複数のウェイクアップパケットの両方をカバーするように調節され、一方、内部PHYヘッダ内の第2の長さフィールド(IEEE 802.11フレームのHT−SIGフィールド内のHT_LENGTHサブフィールドなど)内の値は、正規フレームの持続時間に関連する。正規フレームのMACヘッダ内の持続時間フィールド内の値も、正規フレームおよび複数のウェイクアップパケットの両方をカバーするように調節される。
【0052】
別の例示的な実施形態によれば、異なった局を対象とした複数のウェイクアップパケットが、正規フレーム(IEEE 802.11フレームなど)のペイロードなしにレガシプリアンブル(レガシIEEE 802.11プリアンブル)の後にピギーバックされる。この状況において、レガシプリアンブルおよびウェイクアップパケットは、間に一切のギャップなしに、次々に伝送される。複数のウェイクアップパケットの、単一のレガシIEEE 802.11プリアンブルの後のピギーバックは、あたかも複数のウェイクアップパケットが複数のPPDUではなくて単一のPPDUであるかのように、伝送デバイスが、複数のウェイクアップパケットを伝送するために、1回、チャネル競合をすることを可能にする。複数のウェイクアップパケットの前に伝送される単一のレガシIEEE 802.11プリアンブルは、結合されたPPDU全体を、あたかもIEEE 802.11準拠の信号のように見えるようにする。レガシIEEE 802.11プリアンブルのL−SIGフィールド内のLENGTHサブフィールドは、L−SIGフィールドのRATEサブフィールド内で示されるダミーRATE(6Mbpsなど)と結合されて、レガシIEEE 802.11プリアンブルを受信するレガシ局が、複数のウェイクアップパケットの伝送の間、伝送しないように、複数のウェイクアップパケットの合計持続時間をカバーする。
【0053】
図10は、受信デバイスで発生する例示的な動作1000のフロー図を示している。動作1000は、受信デバイスが複数のピギーバックされたウェイクアップパケットを受信するときに、局またはAPなどの受信デバイスで発生する動作を示し得る。
【0054】
動作1000は、受信デバイスが複数のピギーバックされたウェイクアップパケットを受信することで始まる(ブロック1005)。複数のピギーバックされたウェイクアップパケットは、正規フレーム(IEEE 802.11フレームなど)の後、またはちょうどレガシプリアンブル(レガシ(例えば、pre−IEEE 802.11n)IEEE 802.11プリアンブルなど)の後に、ピギーバックされ得る。複数のピギーバックされたウェイクアップパケット内の各ウェイクアップパケットは、受信デバイスによってシーケンシャルに受信される。受信デバイスは、ウェイクアップパケットのいずれかが受信デバイスを対象としているかどうかを決定するためにチェックを行う(ブロック1010)。一例として、受信デバイスは、ウェイクアップパケット内のウェイクアップアドレスを受信デバイス自身のウェイクアップアドレスと比較し、一致した場合、受信デバイスは、自身を対象としたウェイクアップパケットを受信する。
【0055】
受信デバイスが、自身を対象としたウェイクアップパケットを受信している場合、受信デバイスは無線制御モジュール(radio control module、RCM)をウェイクアップさせる(ブロック1015)。デバイスのRCMをウェイクアップさせ、その結果セキュリティを提供するための例示的なシステムおよび方法の詳細な議論は、出願番号62/370509で、2016年8月3日に出願され、「System and Method for Waking Up a Radio Communications Module of a Device」、および出願番号62/381899で、2016年8月31日に出願され、「A System and Method for Secure and Quick Wake Up of a Station」と題する、共同譲渡された米国仮出願に示されており、引用により本明細書に組み込まれる。受信デバイスは、ウェイクアップさせられたRCMを使用して伝送デバイスと通信する(ブロック1020)。受信デバイスが、自身を対象としたウェイクアップパケットを受信していない場合、動作1000は終了する。
【0056】
現在稼働中のかなりの割合のセンサデバイスは、低コストおよび低パワー消費(例えば、IEEE 802.11ac準拠のチップセットと比較したとき)に起因して、IEEE 802.11n準拠のチップセットを使用している。IEEE 802.11技術の直近の主要な拡張は、複数アンテナに基づいており、それは、まず第一に、複数アンテナを有するための、センサデバイスの限られたサイズ、パワーバジェット、およびコストバジェットに起因して、センサデバイスにとって非実用的であるため、IEEE 802.11技術がさらに発展するにもかかわらず、IEEE 802.11nおよびウェイクアップ型無線技術が多くのセンサデバイス上で一緒に使用され続けることが予想される。そのため、ウェイクアップ型無線が可能な伝送デバイスは、HTフレームまたは別のウェイクアップパケットの後にウェイクアップパケットをピギーバックする多くの機会を見つけ得る。例示的な一例として、伝送デバイスは、センサデバイスを一度にウェイクアップさせる方策を利用し得、第2のセンサデバイス(伝送デバイスが次にそれと通信をする)を対象としたウェイクアップパケットを、第1のセンサデバイス(伝送デバイスが現在それと通信をしている)に伝送された最後のデータフレームとピギーバックし得る。
【0057】
別の例として、中継デバイスは、中継デバイスによってサービスされている局に指定されたダウンリンクデータフレームの受信を確認するためにAPへアクノリッジメントフレームを送信する(しかし、局は現在スリープモードにいる)とき、ウェイクアップパケット(局を対象とする)を、APに伝送されるアクノリッジメントフレームとピギーバックし得る。
【0058】
なお、いくつかのIEEE 802.11フレームは、IEEE 802.11フレーム(例えば、リクエストツーセンド(request to send、RTS)フレーム、クリアツーセンド(clear to send、CTS)、ブロックアクノリッジメント(block acknowledgement、BA)要求フレームもしくはACKポリシを「通常のACK」に設定したBAフレーム、トラフィック発生通知メッセージ(announcement traffic indication message、ATIM)フレーム、データフレーム、または「通常のACK」を要求する管理フレームなど)の終了の後の1ショートインターフレームスペース(short interframe space、SIFS)において、アクノリッジ(acknowledge、ACK)フレームまたは応答フレームを求める。IEEE 802.11標準によれば、フレームにおける「通常のACK」ポリシは、対象とする受け手が、フレームを受信した後1ショートインターフレームスペース(short interframe space、SIFS)間隔後にACK制御フレームを送信するべきであることを示す。これらのフレームは、ACKまたは応答フレームを受信することとウェイクアップパケットを送信することとの間のコンフリクトに起因して、一般に、ウェイクアップパケットをピギーバックするために使用することができない。
【0059】
ただし、例えば、ACKポリシビット(すなわち、MACヘッダ内のサービス品質(Quality of Service、QoS)制御フィールドのビットB5およびB6)が、「ACKなし」用に「10」もしくは「ブロックACK」用に「11」と設定した管理フレームまたはデータフレームを選択することによって、伝送デバイス(APなど)は、ウェイクアップパケットとピギーバックするためのHTフレームを選ぶときに、選択的とすることができる。IEEE 802.11標準によれば、フレーム内の「ACKなし」ポリシは、対象とした受け手が、フレームを受信した後にACK制御フレームを送信すべきではないことを示し、フレーム内の「ブロックACK」ポリシは、対象とした受け手が、フレームの受信結果をキャッシュし、Block ACK(BA)Requestフレームを同じ伝送局から受信するのを待ち、次いで、Block ACK Requestフレームに対して、キャッシュされた結果を含んだBlock ACKフレームで応答するべきであることを示す。データフレームまたは管理フレームがアクノリッジメントをまさに要求する状況において、伝送デバイスは、フレームのACKポリシを「通常のACK」から「ブロックACK」に変更し得、後から、例えばウェイクアップパケットが伝送されてしまった後に、BAフレームを求めるためにBA Requestフレームを送信し得る。
【0060】
図11は、ホストデバイスにインストールされ得る、本明細書に記載の方法を実行するための一実施形態の処理システム1100のブロック図を示している。示しているように、処理システム1100は、図11に示すように配置され得る(または配置されなくてもよい)プロセッサ1104、メモリ1106、およびインタフェース1110〜1114を含む。プロセッサ1104は、計算および/または他の処理に関連するタスクを実行するように適合された、任意のコンポーネントまたはコンポーネントの群であり得、メモリ1106は、プロセッサ1104による実行のためのプログラミングおよび/または命令を記憶するように適合された、任意のコンポーネントまたはコンポーネントの群であり得る。プリアンブル、長さ指示、ペイロード、ウェイクアップパケット、アクノリッジメントポリシ指示、およびPPDUを生成するための手段は、プロセッサ1104を含み得る。チャネル競合を実行するための手段は、プロセッサ1104を含み得る。一実施形態において、メモリ1106は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。インタフェース1110、1112、1114は、処理システム1100が他のデバイス/コンポーネントおよび/またはユーザと通信することを可能にする任意のコンポーネントまたはコンポーネントの群であり得る。例えば、インタフェース1110、1112、1114の1または複数は、データ、制御、または管理メッセージをプロセッサ1104から、ホストデバイスおよび/またはリモートデバイス上にインストールされたアプリケーション(センサなど)に通信するように適合され得る。別の例として、インタフェース1110、1112、1114の1または複数は、ユーザまたはユーザデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ(PC)など)が処理システム1100と情報交換/通信することを可能にするように適合され得る。処理システム1100は、長期記憶(例えば、不揮発性メモリなど)など、図11に記述されていない追加のコンポーネントを含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、処理システム1100は、電気通信ネットワークにアクセスしているか、さもなければその一部であるネットワークデバイスに含まれる。一例では、処理システム1100は、アクセスポイント、基地局、中継局、スケジューラ、コントローラ、ゲートウェイ、ルータ、アプリケーションサーバ、または電気通信ネットワーク内の任意の他のデバイスなど、無線または有線の電気通信ネットワーク内のネットワーク側のデバイス内にある。他の実施形態では、処理システム1100は、センサデバイス、モバイル局、ユーザ機器(user equipment、UE)、パーソナルコンピュータ(personal computer、PC)、タブレット、ウェアラブル通信デバイス(例えば、スマートウォッチなど)、または電気通信ネットワークにアクセスするように適合された任意の他のデバイスなど、無線または有線の電気通信ネットワークにアクセスするユーザ側のデバイス内にある。
【0062】
いくつかの実施形態では、インタフェース1110、1112、1114の1または複数は、処理システム1100を、電気通信ネットワークを介して信号を伝送および受信するように適合されたトランシーバに接続する。図12は、電気通信ネットワークを介して信号を伝送および受信するように適合されたトランシーバ1200のブロック図を示している。トランシーバ1200は、ホストデバイス内にインストールされ得る。示しているように、トランシーバ1200は、ネットワーク側のインタフェース1202、カプラ1204、トランスミッタ1206、レシーバ1208、シグナルプロセッサ1210、およびデバイス側のインタフェース1212を含む。ネットワーク側のインタフェース1202は、無線または有線の電気通信ネットワークを介して信号を伝送または受信するように適合された、任意のコンポーネントまたはコンポーネントの群を含み得る。カプラ1204は、ネットワーク側のインタフェース1202を介して双方向通信を容易にするように適合された、任意のコンポーネントまたはコンポーネントの群を含み得る。トランスミッタ1206は、ベースバンド信号を、ネットワーク側のインタフェース1202を介した伝送に適した変調されたキャリア信号に変換するように適合された、任意のコンポーネントまたはコンポーネントの群(例えば、アップコンバータ、パワーアンプなど)を含み得る。プリアンブル、ペイロード、ウェイクアップパケット、データ、およびPPDUを伝送するための手段は、トランスミッタ1206を含み得る。レシーバ1208は、ネットワーク側のインタフェース1202を介して受信されたキャリア信号をベースバンド信号に変換するように適合された、任意のコンポーネントまたはコンポーネントの群(例えば、ダウンコンバータ、低ノイズアンプなど)を含み得る。広帯域の通信信号を受信するように適合されたコンポーネントの他に、レシーバ1208は、狭帯域のウェイクアップ信号(図8に示すように、ピギーバックされたフレーム内のウェイクアップパケットなど)を受信するように適合されたコンポーネントをさらに含み得る。別の方法として、狭帯域のウェイクアップ信号を受信するように適合されたコンポーネントを含む、ウェイクアップレシーバが、レシーバ1208へ接続されてレシーバ1208と並列に実施され、ウェイクアップレシーバが、レシーバ1208をウェイクアップさせることを可能にする。プリアンブル、ペイロード、ウェイクアップパケット、データ、およびPPDUを受信するための手段は、レシーバ1208を含み得る。シグナルプロセッサ1210は、ベースバンド信号を、デバイス側のインタフェース1212を介した通信に適したデータ信号に、またはその逆に変換するように適合された、任意のコンポーネントまたはコンポーネントの群を含み得る。デバイス側のインタフェース1212は、ホストデバイス(例えば、処理システム1100、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)ポートなど)内のシグナルプロセッサ1210とコンポーネントとの間でデータ信号を通信するように適合された、任意のコンポーネントまたはコンポーネントの群を含み得る。
【0063】
トランシーバ1200は、任意のタイプの通信媒体を介して信号を伝送および受信し得る。いくつかの実施形態では、トランシーバ1200は、無線媒体を介して信号を伝送および受信する。例えば、トランシーバ1200は、セルラプロトコル(例えば、ロングタームエボリューション(long−term evolution、LTE)など)、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)プロトコル(例えば、Wi−Fiなど)、または他の任意のタイプのプロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、近距離無線通信(near field communication、NFC)など)などの無線の電気通信プロトコルに従って通信するように適合された無線トランシーバであり得る。こうした実施形態では、ネットワーク側のインタフェース1202は、1または複数のアンテナ/放射エレメントを含む。例えば、ネットワーク側のインタフェース1202は、単一のアンテナ、複数の別々のアンテナ、またはマルチレイヤ通信、例えば、単入力多出力(single input multiple output、SIMO)、多入力単出力(multiple input single output、MISO)、多入力多出力(multiple input multiple output、MIMO)など用に構成された複数アンテナのアレイを含み得る。他の実施形態では、トランシーバ1200は、有線媒体、例えば、ツイストペアケーブル、同軸ケーブル、光ファイバなどを介して信号を伝送および受信する。具体的な処理システムおよび/またはトランシーバは、示されているコンポーネントのすべて、またはコンポーネントのサブセットだけを利用し得、統合のレベルはデバイスによって異なり得る。
【0064】
本明細書で提供される実施形態の方法の1または複数のステップは、対応するユニットまたはモジュールによって実行され得ることが理解されるべきである。例えば、信号は、伝送ユニットまたは伝送モジュールによって伝送され得る。信号は、受信ユニットまたは受信モジュールによって受信され得る。信号は、処理ユニットまたは処理モジュールによって処理され得る。他のステップは、生成ユニット/モジュール、決定ユニット/モジュール、および/またはウェイキングユニット/モジュールによって実行され得る。それぞれのユニット/モジュールは、ハードウエア、ソフトウェア、またはこれらの組合せであり得る。例えば、ユニット/モジュールの1または複数は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)または特定用途向け集積回路(application−specific integrated circuit、ASIC)などの、集積回路であり得る。
【0065】
本開示およびその利点が詳細に記載されてきたが、さまざまな変更、置換および代替を、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の精神および範囲を逸脱することなく本明細書において行うことができることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0066】
100 スマートビルディング
200 IEEE 802.11通信システム
205 アクセスポイント
210 局
212 局
214 局
216 局
218 局
300 IEEE 802.11通信システム
305 伝送デバイス
307 802.11+ RCM、enhanced 802.11 RCM
310 受信デバイス
312 802.11 RCM
314 LP−WUR
320 データパケット
325 ウェイクアップパケット
330 強調表示
332 レガシプリアンブル
334 ペイロード
400 ウェイクアップパケット
405 レガシプリアンブル
406 レガシショートトレーニングフィールド
407 レガシロングトレーニングフィールド
410 ペイロード
411 ウェイクアッププリアンブル
412 媒体アクセス制御ヘッダ
413 フレーム本体
414 フレームチェックシーケンス
450 ウェイクアップパケット
500 IEEE 802.11nフレーム
505 レガシプリアンブル
507 L−SIGフィールド
509 L−SIG持続時間
510 HTプリアンブル
512 HT−SIGフィールド
514 HT−SIG持続時間
515 ペイロード
520 PSDU、PSDUフィールド
600 L−SIGフィールド
605 RATEサブフィールド
610 リザーブされた(R)サブフィールド
615 LENGTHサブフィールド、L_LENGTHサブフィールド
620 パリティ(P)サブフィールド
625 信号テイルビットサブフィールド
700 HT−SIGフィールド
705 HT−SIG1フィールド
710 変調・符号化方式サブフィールド、MCSサブフィールド
715 キャリア帯域幅(CBW)サブフィールド
720 長さサブフィールド
750 HT−SIG2フィールド
755 巡回冗長符号(CRC)検査サブフィールド
760 信号テイルサブフィールド
800 ピギーバックされたフレーム、ピギーバックされたフレーム
805 IEEE 802.11フレーム
807 ペイロード
810 ウェイクアップパケット
820 HTプリアンブル
900 動作
1000 動作
1100 処理システム
1104 プロセッサ
1106 メモリ
1110 インタフェース
1112 インタフェース
1114 インタフェース
1200 トランシーバ
1202 ネットワーク側のインタフェース
1204 カプラ
1206 トランスミッタ
1208 レシーバ
1210 シグナルプロセッサ
1212 デバイス側のインタフェース
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12