特許第6702679号(P6702679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特許6702679長円形物体の振動遮断性取り付けのためのプラスチック製ホルダ
<>
  • 特許6702679-長円形物体の振動遮断性取り付けのためのプラスチック製ホルダ 図000002
  • 特許6702679-長円形物体の振動遮断性取り付けのためのプラスチック製ホルダ 図000003
  • 特許6702679-長円形物体の振動遮断性取り付けのためのプラスチック製ホルダ 図000004
  • 特許6702679-長円形物体の振動遮断性取り付けのためのプラスチック製ホルダ 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702679
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】長円形物体の振動遮断性取り付けのためのプラスチック製ホルダ
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/223 20060101AFI20200525BHJP
   H02G 3/32 20060101ALI20200525BHJP
   B60R 16/08 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   F16L3/223
   H02G3/32
   B60R16/08 M
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-195587(P2015-195587)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-70504(P2016-70504A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2018年6月25日
(31)【優先権主張番号】10 2014 114 275.6
(32)【優先日】2014年10月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504075577
【氏名又は名称】ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン シュタウ
(72)【発明者】
【氏名】ローター シュリスナー
【審査官】 二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−116189(JP,A)
【文献】 特開2000−018433(JP,A)
【文献】 特開2011−094745(JP,A)
【文献】 特表2001−525525(JP,A)
【文献】 特開平07−310866(JP,A)
【文献】 特開2006−234056(JP,A)
【文献】 実開平02−011861(JP,U)
【文献】 特開2003−278953(JP,A)
【文献】 特開2005−188578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/223
B60R 16/08
H02G 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管等のような長円形物体を車両に振動遮断性取り付けするためのプラスチック製ホルダであって、
ボルト収容開口部(20)が設けられた基部部分(2)と、
前記基部部分(2)の上に一体的に形成され、前記長円形物体を収容するのに適し、中空の内面をもつ凹部及び基部部分(2)から離れる方向を向いた挿入開口部(30)を備えた、U字形状壁によって形成された保持区域(24、25、35、40)を有するリテーナ部分(3、4、5)と
を有し、
前記凹部内に突出する弾性保持フィンガ(29)が、前記挿入開口部(30)に設けられ、前記長円形物体を前記凹部内に保持することができ、
前記リテーナ部分(3、4、5)は、1又はそれ以上の可撓性壁要素(31、32、36、37、41、42)によって前記基部部分(2)に接続され、前記基部部分(2)に直接触れることなく前記基部部分(2)に固定されるように構成されており、
前記基部部分(2)は、その内部に開口部(15、16)が設けられ、前記挿入開口部(30)とは反対側にある前記U字形状壁の頂部領域(27)に隣接し、且つ、前記可撓性壁要素(31、32)の変形が生じたときに、その中に前記頂部領域(27)が移動することができるフレーム形状支持区域を有し、
前記フレーム形状支持区域は、前記保持区域(24、25、35、40)の前記U字形状壁の断面に対して平行に延びる2つの長手方向要素(10、11)と、これらを接続する横断方向要素(12、13)とをもつ矩形フレーム(9)を有し、
前記長手方向要素(10、11)及び前記横断方向要素(12、13)が、矩形形状の縁部で前記開口部(15、16)を定める
ことを特徴とするプラスチック製ホルダ。
【請求項2】
前記開口部(15、16)の縁部は、前記縁部が前記基部部分(2)の方向における前記リテーナ部分(4)の移動を制限するように、前記U字形状壁の前記頂部領域(27)から間隔をおいて配置されることを特徴とする、請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記長手方向要素(10、11)間の前記開口部(15、16)の幅は、前記保持区域(24、25)の前記U字形状壁の前記頂部領域(27)の対応する幅を上回ることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のホルダ。
【請求項4】
前記フレーム(9)の前記長手方向要素(10、11)及び/又は前記横断方向要素(12、13)には、補強リブが設けられることを特徴とする、請求項〜請求項のいずれかに記載のホルダ。
【請求項5】
前記リテーナ部分(4)は、各々が長円形物体を収容するためのU字形状断面をもつ壁によって形成された凹部をもった複数の保持区域(24、25)を有し、これら保持区域(24、25)は、その中央のU字形状断面が同じ平面内にあるように一列に配置され、前記基部部分(2)の前記フレーム形状支持区域は、前記複数の保持区域(24、25)の前記U字形状壁の前記頂部領域(27)に沿って延び、前記頂部領域(27)に隣接して位置する開口部(15、16)を有し、その中に前記頂部領域(27)が移動することができることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載のホルダ。
【請求項6】
隣接する保持区域(24、25)は、互いに接続され、それぞれの可撓性壁要素によって、両端の各々において前記基部部分に接続されたユニットを形成することを特徴とする、請求項に記載のホルダ。
【請求項7】
隣接する保持区域は互いに間隔をおいて配置され、可撓性壁要素のみによって互いに接続されることを特徴とする、請求項に記載のホルダ。
【請求項8】
前記基部部分(2)は、平坦な壁区域(21、22)によって両端部が延ばされ、前記平坦な壁区域(21、22)の端は、それぞれの可撓性壁要素(37、42)によってリテーナ部分(3、5)に接続されることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載のホルダ。
【請求項9】
前記基部部分(2)が前記ボルト収容開口部(20)を含み、前記リテーナ部分(3、4、5)の方向に向いた前記基部部分(2)の側に位置し、且つ、可撓性壁要素(31、36)によって前記リテーナ部分(3、4)に接続されたスリーブ様構成部(19)を有することを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載のホルダ。
【請求項10】
前記スリーブ様構成部(19)は、可撓性壁要素(31、36)によって前記スリーブ様構成(19)に接続された2つのリテーナ部分(3、4)の間に位置することを特徴とする、請求項に記載のホルダ。
【請求項11】
前記リテーナ部分(3、4、5)から離れる方向を向いた側に、前記基部部分(2)は平坦な接触面(6)を有することを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれかに記載のホルダ。
【請求項12】
前記基部部分(2)は、そこから突出する弾性フィンガ(7)を有し、その自由端は、前記基部部分(2)の前記接触面(6)から間隔をおいて配置された平面内にあることを特徴とする、請求項1〜請求項11のいずれかに記載のホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管等のような長円形の物体を、車両に対し振動遮断性取り付けするためのプラスチック製ホルダであって、ボルト収容開口部が設けられた基部部分と、基部部分の上に一体的に形成され、長円形物体を収容するのに適し、中空の内面を有する凹部及び基部部分から離れる方向を向いた挿入開口部を有する、U字形状断面の壁によって形成された保持区域を有するリテーナ部分とを有し、凹部内に突出する弾性保持フィンガが、挿入開口部に設けられ、長円形物体を凹部内に保持することができ、リテーナ部分は、1つ又はそれ以上の薄い可撓性壁要素によって基部部分に接続され、基部部分に直接触れることなく該基部部分に固定されるように構成された、ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
上述のタイプのホルダは、特許文献1及び特許文献2から公知である。これらのホルダは、主として、燃料ライン、ブレーキライン、又はケーブルなどの配管を車両に締結するために使用され、配管から車両へ又は車両から配管への振動の伝達を妨げるために振動遮断作用又は減衰作用をもたらす必要がある。こうしたホルダの他の要件として、隣接する構成要素の近くに取り付けることを可能にするコンパクトな設計、強力な保持力の生成、簡単な設置、及び安価な製造が挙げられる。
【0003】
特許文献1から公知のホルダにおいては、長円形の基部部分に、多数の配管保持部分が基部部分の長手方向に一列に配置され、各々がV字形状に湾曲したそれぞれの薄い接続要素によって互いに接続される。配管保持部分の両端部は、薄い弾性接続要素によって、基部部分又はボルト収容部分の直立壁にも接続される。配管保持部分と基部部分との間には、中空のチューブ状クッションが付加的に設けられ、各クッションは、上部保持ステムによって配管保持部分に接続され、下部保持ステムによって基部部分に接続される。チューブ状クッションは、垂直方向における振動に対して緩衝作用を生じさせる。V字形状の薄い弾性接続要素は、横断方向における振動を減衰すると考えられる。このホルダでは、チューブ状クッションの構成のために、配管は、基部部分から比較的大きい距離を隔てて配置される。従って、これに対応して大量の設置空間が必要になり、それにより、ホルダを使用する可能性が制限される。
【0004】
特許文献3は、U字形状の断面をもつリテーナ部分が振動吸収ユニットによって基部部分に締結される、配管を車両の本体に振動遮断取り付けするためのプラスチック製ホルダを開示する。振動吸収ユニットは、挿入開口部から離れる方向を向いたリテーナ部分の側に位置し、基部部分上に互いに間隔をおいて配置し、各々がそれぞれの屈曲した板ばね要素によってリテーナ部分に接続される、2つの環状ばね要素で構成される。リテーナ要素上のばね要素の間に、箱様のフレーム部分が設けられ、基部部分から突出するT字形状の調整要素がフレーム部分に係合する。フレーム部分と調整要素の協働により、基部部分に対するリテーナ部分の移動度が制限され、ばね要素の破壊が生じた場合に、リテーナ部分が基部部分から分離することが防止される。ばね要素及びフレーム部分の構成のため、リテーナ部分及びその中に保持される配管は、基部部分を締結できる締結面から比較的大きい距離を隔てて配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国実用新案第299 11 639 U1号明細書
【特許文献2】国際公開第02/065009号
【特許文献3】米国出願公開第2005/0139732 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底にある目的は、長円形物体の支持要素への振動遮断取り付け又は振動減衰取り付けをもたらす、冒頭に述べたタイプのホルダを生成することである。ホルダはまた、全高が低いことも特徴とし、締結する基材の近くに、長円形物体又は幾つかの長円形物体を取り付けることができなければならない。ホルダは、設置が簡単であり、取り付けられた物体が外れるのを防止する高い引き抜き力を確実にしなければならない。ホルダはまた、製造に費用がかからず、製造に要する材料が少ないものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、述べられた目的は、請求項1に開示される特徴を有するホルダによって達成される。ホルダの有利な変更は、従属請求項に開示される。
【0008】
本発明によれば、配管等のような長円形物体を、車両に対し振動遮断性取り付けするために、プラスチック製ホルダが、ボルト収容開口部が設けられた基部部分と、基部部分の上に一体的に形成され、長円形物体を収容するのに適し、中空の内面をもつ凹部及び基部部分から離れる方向を向いた挿入開口部を備えた、形状断面をもつ壁によって形成された保持区域を有するリテーナ部分とを有し、凹部内に突出する弾性保持フィンガが、挿入開口部に設けられ、長円形物体を凹部内に保持することができ、リテーナ部分は、1つ又はそれ以上の薄い可撓性壁要素によって基部部分に接続され、基部部分に直接触れることなく基部部分に固定され、基部部分は、その内部に開口部が設けられ、挿入開口部とは反対側にあるU字形状壁の頂部領域に隣接し、且つ、可撓性壁要素の変形が生じたとき、その中に頂部領域が移動することができるフレーム形状支持区域を有する。
【0009】
本発明によるホルダにおいて、基部部分は、振動を受けてリテーナ部分が基部部分に対して移動されると、その頂部領域が基部部分の方向に向けられるように、リテーナ部分が突出することができる開口部を有する。結果として、リテーナ部分は、基部部分に対するリテーナ部分の移動度を妨げることなく、従って、関連した振動遮断性を損なうことなく、基部部分の非常に近くに位置することができる。リテーナ部分と基部部分との間の空間的近接性により、ホルダの設置に関する低い空間要件が可能となり、さらに、ホルダによって保持される長円形物体と、基部部分が載っており、そこに基部部分が締結される基材との間の距離の短縮も可能になる。
【0010】
基部部分における開口部の縁部が、基部部分に対するリテーナ部分の移動範囲を制限するように働くことも可能である。このことは、固定された長円形物体が基材に近づきすぎることを防止する。基部部分の開口部の縁部に対するリテーナ部分の支持は、設置中に長円形物体が挿入される際のリテーナ部分の安定化ももたらし、設置中に、薄い可撓性壁要素が過度に変形することを防止する。基部部分における開口部によって、基部部分とリテーナ部分との間の短い距離、従って、ホルダの空間要件に悪影響を与えることなく、より強力な保持力を生成するために、例えばリブによって、リテーナ部分の、特に頂部領域における保持区域を補強することができる。
【0011】
ホルダの好ましい実施形態において、フレーム形状支持区域は、保持区域のU字形状断面に対して平行に延びる2つの長手方向要素と、これらを接続する2つの横断方向要素とをもつ矩形のフレームを有することができ、長手方向要素と横断方向要素は、矩形の縁部により開口部を形成する。長手方向要素又は横断方向要素の各々には、フレームの剛性を高めるために、補強リブを設けることができる。支持区域のこのフレーム形状の構成により、剛性で安定した基部部分の実施形態が可能になるので、基部部分を基材に取り付けるのに、単一のボルト収容開口部で十分である。
【0012】
本発明の別の提案によれば、ホルダは、複数の長円形物体を収容するように具体化することができ、リテーナ部分は、各々が長円形物体を収容するためのU字形状断面をもつ壁によって形成された凹部を有する複数の保持区域を有し、保持区域は、その中央のU字形状断面が同じ平面内にあるように一列に配置され、基部部分のフレーム形状支持区域は、複数の保持区域のU字形状壁の頂部領域に沿って延び、頂部領域に隣接して位置する開口部を有し、その中に頂部領域が移動することができる。
【0013】
リテーナ部分を単純化するために、2つの隣接する保持区域を互いにしっかりと接続し、それぞれの薄い可撓性壁要素によって、両端の各々において基部部分に接続されたユニットを形成することができる。このように、薄い可撓性壁要素の数、基部部分へのその取り付け、及びそれらが必要とする空間の量を減らすことが可能である。
【0014】
代替的に又は付加的に、隣接する保持区域を、互いに間隔をおいて配置し、薄い可撓性壁要素のみによって互いに接続することができる。薄い可撓性壁要素は、保持区域の列の端部に位置する保持区域において特に有利である。この場合、基部部分は、平坦な壁区域によって両端部を延ばすことができ、平坦な壁区域の自由端は各々、薄い可撓性壁要素によって、列の端部に位置するリテーナ部分に接続される。
【0015】
本発明によれば、ボルト収容開口部は、基部部分上のスリーブ様構成により形成されることが有利であり、これは、リテーナ部分の方向に向いた基部部分の側に位置し、薄い可撓性壁要素によってリテーナ部分に接続される。
【0016】
リテーナ部分から離れる方向を向いた側に、基部部分は、基材に接触するための接触面をさらに有することができる。基部部分が締結される基材上に、遊びがない基部部分の支持を保証するために、基部部分はそこから突出する弾性フィンガを有することができ、その自由端は、接触面により定められる平面から間隔をおいて配置される。基部部分が基材に取り付けられると、弾性フィンガは、基材と係合し、基材に対するホルダの圧力によって弾性的に変形され、それによって、ホルダは、遊びがない方法で基材上に支持される。
【0017】
本発明は、図面に示される例示的な実施形態と併せて、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】上から斜めに見た、本発明によるホルダの斜視図である。
図2】下から斜めに見た、図1によるホルダの斜視図である。
図3図1によるホルダの上面図である。
図4図3による線IV−IVに沿った図1によるホルダを通る断面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面に示されるホルダ1は、プラスチック製の射出成形された構成要素の形態で製造され、本質的に剛性の長円形の基部部分2を含み、その上に、配管又はケーブルなどの長円形の物体を受け、保持するための保持区域を有するリテーナ部分3、4、5が配置される。リテーナ部分3、4、5から離れる方向を向いた基部部分2の裏側に、平坦な接触面6が設けられ、この平坦な接触面6は、ホルダ1が締結される基材上にホルダ1を支持するように設計される。基部部分2から側方に広がる弾性フィンガ7は、その自由端が接触面6の平面を超えて下向きに突出し、ホルダ1を支持する基材上に、弾力性のある遊びのないホルダ1の支持を生成する。
【0020】
その中間領域において、基部部分2は、2つの平行な長手方向要素10、11、及びこれらを接続する横断方向要素12、13、14を有する矩形フレーム9の形態で具体化される。横断方向要素13は長手方向要素10、11をそのほぼ中間で接続し、フレーム9を、各々がそこを通って延びる矩形開口部15、16を含む2つの区域に分割する。長手方向要素10、11及び横断方向要素13は、その内縁部がそれぞれの開口部15、16を境界付ける内部リブ17、18によって補強される。
【0021】
フレーム9の横断方向要素12に隣接して、基部部分2には、接触面6に対して直角に上向きに延び、フレーム9の上面を超えて突出するスリーブ様構成部19が設けられる。構成部19は、ホルダ1を基材に取り付ける締結ボルトを受けるためのボルト収容開口部20を含む。ボルト収容開口部20の内部には、挿入された雄ねじが設けられた締結ボルトをボルト収容開口部20内に固定する弾性デテントポール又は同等の保持手段が設けられる。
【0022】
基部部分2の両端は、壁区域21、22で構成され、壁区域の一方は、構成部19に隣接し、もう一方はフレーム9に隣接する。壁区域21、22は、その上面に設けられたリブによって補強される。
【0023】
リテーナ部分4は、フレーム9の上面に配置され、隣同士に位置し、互いにしっかりと締結された2つの保持区域24、25を有する。保持区域24、25の各々は、断面が本質的にU字形状である壁を有し、この壁は、本質的に半円筒の形態の頂部領域27と、フレーム9に対して本質的に直角に上向きに延びる2つの本質的に平行な端部領域28とを有する。ガイド開口部30が、端部領域28の自由端の間にある。端部領域28の自由端は、該自由端の上に弾性保持フィンガ29が形成され、この弾性保持フィンガ29は、端部領域28に対して斜めに頂部領域27に向かって内向きに延び、ひとたび長円形物体が保持区域に挿入されると、その自由端により、物体が所定の位置に保持される。
【0024】
チューブ状物体が保持区域24又は25に挿入されると、保持フィンガ29及び端部領域28は、チューブ状物体によって互いから離れるように押され、チューブ状物体は、保持フィンガ29を超えて保持位置に動かされ、頂部領域27の中空の内面に押し当たる。このチューブ状物体の位置において、保持フィンガ29は、その初期位置に跳ね戻り、従って、チューブ状物体を、強力な引き抜き力に対抗して保持区域内にしっかりと保持することができる。
【0025】
リテーナ部分4は、2つの薄い可撓性壁要素31、32によって基部部分に固定される。壁要素31は、ほぼS字形状であり、保持区域24の端部領域28を構成部19の上端に接続する。壁要素32は、U字形状に曲げられ、頂部領域27の外側において保持区域25をフレーム9の横断方向要素14に接続する。
【0026】
壁要素31、32は、リテーナ部分4が、基部部分2とぶつかることなく空間内で全方向にある程度まで動くことができるように、リテーナ部分4を基部部分2に固定する。基部部分2に対するリテーナ部分4の自由移動度を超えない振動は、可撓性壁要素によって遮断され、減衰した方法で伝達されるだけである。
【0027】
保持区域24、25の頂部領域27において、フレーム9内の開口部15、16により、必要なリテーナ部分4の運動の自由度がもたらされる。このように、リテーナ部分4、従って同じくリテーナ部分4内に収容されるチューブ状物体を、基部部分2の近くに配置し、これに対応して、基部部分2を支持する基材から短い距離のところに配置することができる。開口部15、16によってもたらされる間隙は、保持区域24、25と基部部分2との間の距離を対応して増大させることなく、保持区域24、25の頂部領域27の外側に、補強リブ34を設けることも可能にする。
【0028】
チューブ状物体がリテーナ部分4に挿入されると、保持区域24、25は、挿入力によって、開口部の縁部に押し当たるまで、開口部15、16内に押し込まれる。その結果、リテーナ部分4は、さらに基部部分2上に支持される。従って、このことは、可撓性壁要素31、32の過度な変形又は過負荷が生じるリスクを回避する。
【0029】
保持区域24、25の確実な接続は、長手方向におけるホルダ1の全長の短縮を促進する。しかしながら、本発明は、そうした実施形態に限定されるものではなく、全ての保持区域が、薄壁の可撓性壁要素のみにより互いに接続されたホルダ設計においても同じように有利に用いることができる。
【0030】
リテーナ部分3は、U字形状の断面をもつ壁によって形成された単一の保持区域35を有し、原則的に、保持区域24、25と同じように具体化され、より大きい直径をもつチューブ状物体用に設計される。リテーナ部分4と同様に、リテーナ部分3は、S字形状の薄壁の可撓壁要素36によって構成部に接続され、別のS字形状の壁要素37によって壁区域21の端部に接続される。チューブ状物体が挿入されると、リテーナ部分3は、壁区域21を構成部19に接続する補強リブの面取り形状面38に押し当たることができる。
【0031】
ホルダ1の他方の端部におけるリテーナ部分5は、より小さい直径をもつ長円形物体用に設計される。この目的のため、そのU字形状の保持区域40の内面には、段と、より小さい直径を有する中空面とが設けられる。リテーナ部分5は、S字形状の薄い可撓性壁要素42によって壁区域22の端部に接続され、U字形状の薄い可撓性壁要素41によってリテーナ部分4の保持区域25に接続される。
【符号の説明】
【0032】
1:ホルダ
2:基部部分
3、4、5:リテーナ部分
6:接触面
7:弾性フィンガ
9:フレーム
10、11:長手方向要素
12、13、14:横断方向要素
15、16:矩形開口部
17、18:内部リブ
19:スリーブ様構成部
20:ボルト収容開口部
21、22:壁区域
24、25、35、40:保持区域
27:頂部領域
28:端部領域
29:弾性保持フィンガ
30:ガイド開口部
31、32、36、37、41、42:可撓性壁要素
34:補強リブ
38:面取り形状面
図1
図2
図3
図4