(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電圧センサは、2つの異なる相の電源端子間に接続されるか、あるいは、1つの相の電源端子と、複数の異なる電圧センサの共有接続点と、の間に接続され、この共有接続点は前記電気牽引システムの電気接地に接続されることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の電気牽引システム(110;210)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この技術水準に属する文献は、絶縁回路遮断器の作動を引き起こした故障が、電気機械の内部における故障であるかを検出する方法について記述したものではない。
【0007】
コンバータの複数のブランチにおける過電流を原因とする短絡が、絶縁回路遮断器の下流に位置している場合、すなわち、例えばコンバータの各ブランチを電気機械の各相に接続する電気ケーブル間のような電気機械の外部における短絡か、あるいは、電気機械の内部における短絡の場合、回路遮断器を開放することは、回転している牽引モータの近くに電源がある場合には、短絡を電源から十分に絶縁するものではない。
【0008】
なお、電気機械の1つの相とグラウンドとの間の下流短絡は、絶縁回路遮断器を開放することにより絶縁することが可能である。しかしながら、このような電気故障は、絶縁回路遮断器を開放することでは絶縁できない相間短絡に変わり得る。ここで、このような故障は、絶縁不可能な下流短絡と考えられる。
【0009】
短絡は、2つの導体が互いに直接接触するとき「完全」になり、あるいは、2つの導体が互いに直接触れている訳ではないが、あるインピーダンスを持つ媒体により接続されるとき「不完全」になる。後者の場合、短絡は、恒久的又は間欠的なアーク放電の形成をもたらす。この種の故障は、コンポーネントやアーク放電の周囲の材料の燃焼をもたらすエネルギーを生成して、材料の蒸発、材料の特性の変容などが起こる。
【0010】
なお、完全な故障は、当初接触していた複数の導体の材料の過熱及び劣化により、不完全な故障に変わり得る。
【0011】
電気機械の内部における不完全短絡は、発火の危険がある電気機械の破損(炎の出現:アーク放電は、相サークル(phasecircle)が破壊されるまで存在する)、及び/又は、ロータの閉塞(相サークルの材料は、エアギャップに収容されているため、貨物を損傷したり、表面に載置された磁石を解放したりする)をもたらし得る。
【0012】
したがって、本発明は、電気機械の内部における下流の故障と、電気機械の外部における下流の故障とを判別することを可能にして、適切なアクションを選択することにより、この問題を解決することを目的とする。ここで、適切なアクションとは、絶縁回路遮断器の単純な開放、あるいは、複数相間の対称化をも行う必要性である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、上記のタイプの牽引システムに関し、前記絶縁デバイスの下流の短絡型の故障の存在を検出することが可能であり、かつ、前記保護手段に向けて第2検出信号を発信することが可能な第2検出手段を更に含み、前記保護手段は、前記第1検出手段から発信された第1検出信号を既に受信し、かつ、前記絶縁デバイスを開放させていることを条件として、前記第2検出信号を受信したときに前記同期電気機械の複数相用の短絡手段を投入させることが可能であることを特徴とする。
【0014】
特定の実施形態によれば、前記システムは1つ以上の以下の特徴を含み、単独あるいは技術的に可能なあらゆる組み合わせによって考慮される。
【0015】
前記第2検出手段は、前記同期電気機械の内部温度に対応する温度を測定することが可能な少なくとも1つの温度センサを含む。
【0016】
前記第2検出手段は、1つ又は各温度センサにより測定された温度の時間変化を計算することが可能な第2検出デバイスを含む。
【0017】
前記第2検出デバイスは、前記温度の時間変化を所定の閾値と比較し、前記温度の時間変化が前記所定の閾値を超えたときに、短絡検出信号を発信する。
【0018】
前記所定の閾値が+1.0℃/sよりも大きく、特に+1.7℃/sに等しい。
【0019】
前記第2検出手段は、前記第1検出手段で検出された前記故障が、前記複数の電気ケーブル間での始動式の前記同期電気機械の外部における不完全短絡であるかを、前記温度の時間変化を+0.5℃/minにほぼ等しい第2の所定の閾値と比較することによって判別することも可能である。
【0020】
前記第2検出手段は、前記同期電気機械の複数相間の電圧不平衡を測定することが可能な少なくとも2つの電圧センサを含み、前記電圧センサは前記同期電気機械の電源端子のできるだけ近くに配置される。
【0021】
前記第2検出手段は、前記電圧センサにより送られた測定値から電圧偏差を計算するとともに、計算された前記電圧偏差が所定の閾値を超えたときに、前記同期電気機械の内部における不完全短絡に関する検出信号を生成することが可能な検出デバイスを含む。
【0022】
電圧センサは、2つの異なる相の電源端子間に接続されるか、あるいは、1つの相の電源端子と、複数の異なる電圧センサの共有接続点と、の間に接続され、この共有接続点は前記電気牽引システムの電気接地に接続されることが可能である。
【0023】
電気機械の内部における不完全短絡の検出は、電気機械の複数相間の電圧を測定すること、あるいは、電気機械の内部温度を測定することによって行うことができる。
【0024】
一旦、不完全な内部短絡が検出されると、電気機械の対称化が始められる。これは、電気機械の複数相間を互いに短絡することにより、電気機械の内部に現れる短絡アークを消し、相間短絡をリバランスして、この不均衡により生じるトルク脈動を回避するものである。
【0025】
本発明は、前記コンバータの少なくとも1つの出力ブランチにおける過電圧を検出するステップと、前記絶縁デバイスを開放させるステップと、前記絶縁デバイスの下流の短絡型の故障を検出するステップと、前記故障が検出された場合に、前記同期電気機械の複数相の短絡手段を投入させるステップと、を含むことを特徴とする上記の牽引システムで実行される保護方法にも関する。
【0026】
本発明及びその利点は、非限定的な例示として提供され、かつ添付の図面を参照した以下の特定の一実施形態の詳細な説明を読むことにより明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、地下鉄、路面電車、区間列車、高速列車などの鉄道車両に取り付けられる、本発明の第1の実施形態に係る電気牽引システムを図示する。
【0029】
電気牽引システム10は、入力端子34Aと入力端子34Bの間で直流電圧源(不図示)に接続される。直流電圧源は、例えばカテナリーのような電気グリッドに接続される。直流電圧源は、600Vより高い、例えば3kVに等しい電圧を伝送する。
【0030】
電気牽引システム10は、少なくとも1つの同期電気機械14を備える。同期電気機械14は、ロータとステータとを含む。ロータは永久磁石を備える。ステータは、適切な多相電圧により動くように設計されたN個の巻線、つまりN個の複数相を備える。
【0031】
同期電気機械14は、図面に示されているように、永久磁石を有する三相同期電動機である。同期電気機械14は、例えば50kWから2MWの定格電力を持つ。同期電気機械14の各相U,V,Wは、それぞれ電源端子P1,P2,P3と、異なる相間で共有される電源端子P4との間に接続される。
【0032】
電気牽引システム10は、同期電気機械14の電源回路16を含む。
【0033】
電源回路16は、直流電圧源から供給されて入力された直流電圧を、同期電気機械14の電源に適合した三相交流出力電圧に変換するコンバータ22を備える。
【0034】
コンバータ22は、直流電圧源に接続される、正の入力端子34Aと、負の入力端子34Bとを含む。
【0035】
コンバータ22は、3つの出力端子36を含む。各出力端子36は、多相交流電流の相に関連付けられ、電気ケーブル23,24,25によって、同期電気機械14の複数相U,V,Wのうちの1つに接続される。
【0036】
コンバータ22は、各出力端子36用のスイッチングブランチ(switching branch)38を備える。
【0037】
各スイッチングブランチ38は、正の入力端子34A及び負の入力端子34Bの間に接続される。各スイッチングブランチ38は、直列かつ同一方向に接続されるとともに、中点で互いに接続される2つの電気スイッチ40を備える。各中点は、コンバータ22の複数の出力端子36のうちの1つである。
【0038】
各電気スイッチ40は、電流双方向スイッチかつ電圧片方向スイッチである。各電気スイッチ40は、逆並列に接続されたトランジスタ44とダイオード46とを備え、それによってトランジスタ44がONの時に双方向電流流路を保証する。
【0039】
トランジスタ44は、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。各トランジスタ44のゲートは、適切な制御信号を受信するために制御手段28に接続される。
【0040】
電源回路16は、直流電圧源とコンバータ22の入力との間に配置されたストレージバンクを更に備える。ストレージバンクは、例えばコンバータ22の2つの入力端子34A,34Bの間に接続されたストレージキャパシタ47を備える。
【0041】
電源回路16は、コンバータ22の出力の間近に配置された絶縁デバイス26を含む。
【0042】
絶縁デバイス26は、電気ケーブル23,24,25及び同期電気機械14を含む電気牽引システム10の下流部を、コンバータ22及びストレージバンク47で構成される電気牽引システム10の上流部から絶縁することができる。
【0043】
例示の実施形態において、絶縁デバイス26は、Alstom Transport S.A.社によって2006年9月21日に出願された特許出願番号FR2906194(特許文献2)の示唆によって製造された真空バルブ絶縁デバイスである。
【0044】
絶縁デバイス26は、3つのスイッチングブランチを備える。各スイッチングブランチは、同期電気機械14の対応する相を切断するための電気スイッチ52を含む。各電気スイッチ52は、開放状態(open state)と投入状態(closed state)との2つの状態を有する。各電気スイッチ52は、保護手段64により制御される。複数の異なる電気スイッチ52は、同一の制御信号により同期的に制御される。
【0045】
あるいは、各スイッチングブランチは、直列に接続されたP個(Pは2以上の整数)の切断用の電気スイッチ52を含む。
【0046】
電源回路16は、絶縁デバイス26と同期電気機械14の電源端子P1,P2,P3との間に配置された、同期電気機械14の複数相を短絡するための短絡手段27を更に備える。短絡手段27は、同期電気機械14の3つの相を互いに接続することができる。有利には、短絡手段27は、同期電気機械14のできるだけ近くに配置され、すなわち、同期電気機械14の複数相の複数の電源端子に直接接続される。
【0047】
短絡手段27は、保護手段64により制御される。
【0048】
本実施形態においては、短絡手段27は、従来技術であるカットセット(cut-set)を用いた2つの状態を持つコンタクタで構成される。あるいは、短絡手段27は、文献FR2906194(特許文献2)の
図2に記載された、真空バルブによるカットセットを用いた2つの状態を持つコンタクタで構成される。
【0049】
このようなコンタクタは、第1の切替端子48Aと、第2の切替端子48Bと、第3の切替端子48Cと、の3つの切替端子48を含む。同期電気機械14の各電源端子P1,P2,P3は、コンタクタ27の複数の切替端子48A,48B,48Cのうちの1つに接続される。
【0050】
スイッチS1Aは、切替端子48A,48Bの間に配置されるとともに、スイッチS1Bは、切替端子48B,48Cの間に配置される。
【0051】
各スイッチS1A,S1Bは、開放状態及び投入状態の2つの状態を持つ。この2つのスイッチは、常に開放状態又は投入状態のいずれか同一の状態にある。
【0052】
投入状態において、スイッチS1Aは、同期電気機械14の相UとVとを短絡するために、第1の切替端子48Aを第2の切替端子48Bに接続する。開放状態において、スイッチS1Aは、同期電気機械14の相U及びVを互いに絶縁する。投入状態において、スイッチS1Bは、同期電気機械14の相UとWとを短絡するために、第2の切替端子48Bを第3の切替端子48Cに接続する。開放状態において、スイッチS1Bは、同期電気機械14の相V及びWを互いに絶縁する。
【0053】
各スイッチS1A,S1Bは、同一の制御信号を受信するために保護手段64に接続される。
【0054】
あるいは、コンタクタは、2つの位置を持つあらゆる切替器によって置き換えられる。第1の位置は、同期電気機械14の複数相を互いに絶縁することができるとともに、第2の位置は、同期電気機械14の複数相を(入力端子の側で)互いに直接接続することができる(本実施形態においては、複数相は共有された中性点P4においても互いに接続されるため)。
【0055】
電源回路16は、制御手段28を更に備える。制御手段28は、コンバータ22に制御信号を送信することができる。制御手段28は、コンバータ22の電気スイッチ40の制御法則を実行するコンピュータを含む。
【0056】
電気牽引システム10は、第1検出手段、第2検出手段、及び保護手段を含む監視手段を含む。
【0057】
第1検出手段は、複数の電流センサ32を含む。各電流センサ32は、コンバータ22の各出力端子36を流れる電流を測定することができる。
【0058】
各電流センサ32によって測定された瞬時値は、過電流が検出されたときに第1検出信号を発信することができる第1検出デバイス30に送信される。
【0059】
この第1検出信号は、保護手段64の入力に印加される。
【0060】
保護手段64は、第1検出信号を受信すると、絶縁デバイス26を開放するための指令信号を生成する。
【0061】
第1の実施形態では、第2検出手段は、温度センサ62を含む。温度センサ62は、同期電気機械14の瞬間温度を測定することができる。温度センサは、例えば、同期電気機械14のハウジング内に収容されて、同期電気機械14のロータとステータの間のエアギャップの温度を測定するようになっている。好ましくは、このセンサは、同期電気機械14のステータの巻線のコイルヘッドに向かい合うように、同期電気機械14の複数のフランジのうちの1つの上に配置される。これは、この箇所が空気の温度の上昇が最も大きい箇所だからである。また、感度を良くするためには、温度センサ62は、同期電気機械14のファン側とは反対の、制御側のフランジ上に取り付けられることが好ましい。
【0062】
温度センサ62により測定された瞬時値は、温度勾配、すなわち、温度センサ62により測定された温度の時間変化、を計算することが可能な第2検出デバイス60に送信される。
【0063】
もし、この勾配が所定の閾値を超えた場合、第2検出信号が第2検出デバイス60により生成される。実際に、不完全な内部短絡の出現に続く数分において、同期電気機械14における空気の温度勾配は1秒当たり数度であることが観測されているが、これに対して定格状態(nominal state)ではたった十分の数度である。例えば、1.7℃/sの「閾値」は、不完全な内部短絡の発生を判別することを可能にする。
【0064】
生成された第2検出信号は、保護手段64の入力に印加される。
【0065】
保護手段64は、第2検出信号を受信すると、短絡手段27のスイッチを投入するための制御信号を生成する。
【0066】
電気牽引システム10の動作は、今から説明される。
【0067】
初期設定では、絶縁回路遮断器の電気スイッチ52は投入されており、短絡手段27のスイッチS1A,S1Bは開放されている。コンバータ22及び同期電気機械14は、絶縁デバイス26及びコンタクタ27を介して電気的に接続されている。交流電流は、コンバータ22により、同期電気機械14のステータ20に送られる。
【0068】
同期電気機械14の内部又は外部において電気故障が発生するとき、第1検出手段は、スイッチングブランチ38を流れる電流における過電流をコンバータ22の出力において検出する。
【0069】
保護手段64は、電気スイッチ52を開放させる。電気スイッチ52は開放されているが、スイッチS1A,S1Bは開放されたままである。そして、同期電気機械14は、電源回路16から絶縁される。
【0070】
もし、短絡が同期電気機械14の内部におけるものであれば、温度センサ62により測定された温度は、その勾配があらかじめ定められた閾値を超えるように増加する。
【0071】
この故障の検出により、第2検出デバイス60は保護手段64に向けて第2検出信号を発信する。
【0072】
次に、保護手段64は、短絡手段27のスイッチS1A,S1Bを投入させる。スイッチS1A,S1Bは投入されているが、電気スイッチ52は開放され続けている。
【0073】
そして、同期電気機械14の3つの相U,V,Wが短絡される。形成されていたアーク放電は、急速に密度が低下し消滅する。
【0074】
スイッチS1A,S1Bは、鉄道車両が停止されるまで、及び/又は、電気牽引システム10の調整を行うオペレータの調整作業まで、投入され続けている。
【0075】
このように、対称化アクションは、不完全短絡が内部短絡型、すなわち、コンバータの各ブランチにおいて測定された電流が所定値を超え、かつ、温度勾配が所定の閾値を超えた場合、であるときにのみ実行される。
【0076】
誤検出を発生させることを回避するために、温度センサ62は連続的に検査される。過電流の検出を先に伴わない限り、所定の閾値を超えた温度勾配の検出は誤検出であると考えられる。
【0077】
あるいは、第2検出手段は、複数の電気ケーブル23,24,及び/又は25間での、アーク放電を伴う始動式の不完全な外部短絡を判別することも可能である。実際に、5〜15分間、特に10分間にわたって温度センサ62により観測された温度の約5℃の増加によって特徴づけられる、このような故障を検出することが可能であることが観測されている。
【0078】
この種の第2検出は比較的遅い。実際に、故障は、アーク放電が既に電気機械のコアに存在するときのみ検出され、恐らく不可逆的な損傷を引き起こす。
【0079】
第2の実施形態は、第1の実施形態よりも更に高速に同期電気機械14を保護することが可能なものであり、今から
図2を参照しながら説明される。
【0080】
図2の複数の構成要素のうち
図1と同一のものについては、
図1と同一の符号を使用して参照される。
【0081】
図2の電気牽引システム110は、第2検出手段を除いて
図1の電気牽引システム10と完全に同一である。
【0082】
第2の実施形態では、第2検出手段は複数の電圧センサで構成される。
【0083】
前記短絡が絶縁コンタクタの下流の短絡であることを確実に検出するために、複数の電圧センサは、同期電気機械14の電源端子のできるだけ近くに位置している。
【0084】
図2の他の実施形態においては、第1電圧センサ161が同期電気機械14の電源端子P1及びP2の間に接続され、第2電圧センサ162が同期電気機械14の電源端子P2及びP3の間に接続され、第3電圧センサ163が同期電気機械14の電源端子P3及びP1の間に接続される。
【0085】
第2検出デバイス160は、各電圧センサ161,162,163により測定された電圧の値のリアルタイム取得を行い、同期電気機械14の複数相U,V,Wのうちのペア間の電圧不平衡に対応する偏差(deviation)を決定する。
【0086】
これらの偏差のうちの2つが所定の閾値を超えているとき、第2検出デバイス160は、短絡型の故障が検出されたと判断し、保護手段64に第2検出信号を送信する。
【0087】
なお、複数の偏差のうちの1つが所定の閾値を超えている限り、短絡型の故障を検出するのには、2つの電圧センサと2つの偏差の計算で十分である。しかしながら、特に複数のセンサのうちの1つが故障した場合、第3のセンサの存在は第3の偏差を計算することを可能にし、それによってより安全に検出を得ることができる。
【0088】
絶縁回路遮断器が開放されている場合には、同期電気機械の複数相間の電圧間の不均衡は不完全短絡を示唆する。
【0089】
これらの状態で、保護手段64は短絡手段27のスイッチS1A,S1Bを投入させる。
【0090】
この例では、複数の電圧の測定は、絶縁回路遮断器が開放された後に(数秒)、不完全短絡を高速に検出することを可能にする。同期電気機械14で生じる損傷を回避する、又は、少なくとも大幅に低減するために、短絡手段27のスイッチを作動させることによって電気機械の複数相が短絡される。
【0091】
完全に効力のあるものとするために、前記検出は、2つの電圧間の不均衡から行われるべきであるが、各電圧の実効値と理論的な実効値の大きさとの間の偏差から行われてもよい。ここで、理論的な実効値は、例えば1分当たり1000回転で動作している場合の、電気機械の真空中の対向電圧の大きさに対応している。この理論値は、全速度域にわたって有効である。よって、測定された実効値は、理論的な実効値と比較される。
【0092】
誤検出を回避するために、同期電気機械がコンバータ22により駆動されるとき(システムの定格動作状態)に、複数の電圧センサは連続的に検査される。第1検出手段によって過電流が検出されていないのに、不均衡及び/又は振幅偏差が測定された場合は、電圧センサ161,162,163のうちの1つが故障していると考えられる。3つのセンサを用いることは、故障した電圧センサの特定を保証する冗長性を与える。
【0093】
図3及び4は、第2の実施形態の変形例を示している。
【0094】
図3の電気牽引システム210においては、電圧センサ161,162,163は、一方が同期電気機械14の入力端子に接続され、他方が複数の異なる電圧センサの共有接続点に接続される。
【0095】
図4の電気牽引システム210においては、電圧センサ161,162,163間の共有接続点は、システムの電気接地に接続される。
【0096】
本発明による電源回路は、電気機械の内部における短絡の出現に際して、脈動トルクの大きさと、電気機械の内部で生成された短絡電流の大きさを低減することが可能であり、それによって望ましくない現象の出現を回避することができる。