(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702713
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6582 20110101AFI20200525BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20200525BHJP
H01R 13/6587 20110101ALI20200525BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20200525BHJP
H01R 24/60 20110101ALI20200525BHJP
【FI】
H01R13/6582
H01R13/639 Z
H01R13/6587
H01R12/71
H01R24/60
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-246890(P2015-246890)
(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-112017(P2017-112017A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】境澤 直志
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0252255(US,A1)
【文献】
特開2003−243093(JP,A)
【文献】
特開2015−138719(JP,A)
【文献】
特開2004−134148(JP,A)
【文献】
特開2013−109971(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/020125(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00−12/91
H01R13/56−13/72
H01R24/00−24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部導体シェルと、複数の端子を保持して前記外部導体シェルに収容された絶縁体とを含むケーブル側コネクタであって、
前記外部導体シェルは、
側壁を隆起させて傾斜した形状で弾性を有する傾斜部と、
相手側コネクタの相手側係合部と係合するための係合部と、
相手側コネクタの嵌合凹部と嵌合するための嵌合部と、
を含み、
前記傾斜部は、前記相手側コネクタの前記嵌合凹部の一部分が当接する、前記外部導体シェルの側壁において、前記係合部が設けられた位置よりも後方の位置に設けられ、
前記傾斜部が前記嵌合凹部の一部分に当接したときに、前記係合部は前記相手側係合部に隙間なく密着することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記外部導体シェルの1つの側壁に設けられ、当該側壁とは反対側の側壁にも設けられたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記係合部が設けられた側壁と同じ面上に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記傾斜部は、前記係合部が設けられた側壁とは異なる面上に設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記外部導体シェルとケーブルの接続部分を覆い、前記コネクタの先端側から前記嵌合部を露出したカバー部材と、
前記係合部と連結し、前記カバー部材に設けられた孔から露出したロック操作用ボタンとを更に含み、
前記ロック操作用ボタンを押し込むことに連動して、前記係合部が前記外部導体シェルの内側に押し込まれるように構成されたこと
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のコネクタと接続される相手側コネクタであって、
前記コネクタの前記係合部と係合可能な位置に相手側係合部を備える外部導体シェルと、
前記外部導体シェルに収容された絶縁体とを含み、
前記相手側コネクタの前記外部導体シェルは、前記コネクタの前記嵌合部と嵌合する嵌合凹部を備え、
前記コネクタとの接続時に、前記嵌合凹部の一部分が、前記コネクタの前記傾斜部に当接するように構成されたこと
を特徴とする相手側コネクタ。
【請求項7】
前記コネクタとの接続時に、前記相手側コネクタの前記相手側係合部は、前記コネクタの前記係合部と係合し、前記相手側コネクタの前記嵌合凹部の一部分は、前記コネクタの前記傾斜部に当接して、前記傾斜部の弾性力で押されることによって、前記相手側係合部と前記係合部との間に隙間を生じさせないように構成されたこと
を特徴とする請求項6に記載の相手側コネクタ。
【請求項8】
前記傾斜部が当接する前記嵌合凹部の一部分は、前記嵌合凹部の縁部分であり、該縁部分から延びて外側に傾いた傾斜縁部を設けたこと
を特徴とする請求項6又は7に記載の相手側コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号の高速伝送に適したコネクタに関する。具体的には、相手側コネクタと接続した際に、嵌合部でのガタつきを防止するように構成されたコネクタの嵌合部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、一般的に、相手側のコネクタと着脱しやすくするために、相手側のコネクタと接続された状態で、わずかな隙間ができるように構成されている。従来のコネクタでは、このような隙間が原因で生じ得るガタつきを防止するために、ばね等の弾性部材を設けて隙間を詰めている。例えば、特許第5406746号公報(特許文献1)に記載のコネクタでは、嵌合凹部の奥壁に設けられたバネ片によって、コネクタのロック部と係合部との隙間(係合隙間)を詰めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5406746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の端子を保持する絶縁体と、当該絶縁体を収容する外部導体シェルを備え、比較的小さな高速伝送用コネクタにおいて、特許第5406746号公報(特許文献1)に記載のコネクタのように嵌合凹部の奥の壁にバネ片を設けることは、コネクタの構造が複雑になるという課題があった。また、相手側のコネクタとの嵌合時に、コネクタ同士の隙間をしっかりと詰めなければ、電気信号を高速伝送する際に、ガタつきによって高周波特性が著しく悪化するという問題が生じ得る。
【0005】
以上のような課題を解決するために、複数の端子と、該複数の端子を保持する絶縁体と、該絶縁体を収容する外部導体シェルとを含むコネクタにおいて、外部導体シェルの側壁から隆起した傾斜部を、相手側コネクタの嵌合凹部の一部分(例えば、縁部分)が当接する側壁部分に設けることで、コネクタの外部導体シェル先端側の嵌合部と相手側コネクタの嵌合凹部とが嵌合した際に、ガタつきを防止することが可能なコネクタを提供する。具体的には、コネクタのロック突部を相手側コネクタのロック孔に係合した時に生じ得る隙間(係合隙間)を、コネクタの嵌合部の側壁に設けられた傾斜部によって、相手側コネクタの嵌合凹部の開口部の一部分(例えば、縁部分)を押すことで、ロック突部の側壁がロック孔の内壁に押し付けられて、係合隙間を詰めることができるコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態に係るコネクタは、外部導体シェルと、複数の端子を保持して前記外部導体に収容された絶縁体とを含むケーブル側コネクタであって、
前記外部導体シェルは、
側壁を隆起させて傾斜した形状で弾性を有する傾斜部と、
相手側コネクタの相手側係合部と係合するための係合部と、
相手側コネクタの嵌合凹部と嵌合するための嵌合部と、
を含み、
前記傾斜部は、前記相手側コネクタの前記嵌合凹部の一部分が当接する、前記外部導体シェルの側壁に設けられ、
前記傾斜部が前記嵌合凹部の一部分に当接したときに、前記係合部は前記相手側係合部に隙間なく密着することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、前記傾斜部は、前記外部導体シェルの1つの側壁に設けられ、当該側壁とは反対側の側壁にも設けられたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、前記傾斜部は、前記係合部が設けられた側壁と同じ面上に設けられたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、前記傾斜部は、前記係合部が設けられた側壁と異なる面上に設けられたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、前前記外部導体シェルとケーブルの接続部分を覆い、前記コネクタの先端側から前記嵌合部を露出したカバー部材と、
前記係合部と連結し、前記カバー部材に設けられた孔から露出したロック操作用ボタンとを更に含み、
前記ロック操作用ボタンを押し込むことに連動して、前記係合部が前記外部導体シェルの内側に押し込まれるように構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の1つの実施形態に係る相手側コネクタは、前記コネクタの前記係合部と係合可能な位置に相手側係合部を備える外部導体シェルと、
前記外部導体シェルに収容された絶縁体とを含み、
前記相手側コネクタの前記外部導体シェルは、前記コネクタの前記嵌合部と嵌合する嵌合凹部を備え、
前記コネクタとの接続時に、前記嵌合凹部の一部分が、前記コネクタの前記傾斜部に当接するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る相手側コネクタの好ましい実施形態として、前記コネクタとの接続時に、前記相手側コネクタの前記相手側係合部は、前記コネクタの前記係合部と係合し、前記相手側コネクタの前記嵌合凹部の一部分は、前記コネクタの前記傾斜部に当接して、前記傾斜部の弾性力で押されることによって、前記相手側係合部と前記係合部との間に隙間を生じさせないように構成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る相手側コネクタの好ましい実施形態として、前前記傾斜部が当接する前記嵌合凹部の一部分は、前記嵌合凹部の縁部分であり、該縁部分から延びて外側に傾いた傾斜縁部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコネクタは、外部導体シェル先端側に含まれる嵌合部の側壁から隆起した傾斜部を、相手側コネクタの嵌合凹部の縁部分が当接する嵌合部の側壁部分に設けたことによって、相手側コネクタとの接続時に嵌合凹部の縁部分が、嵌合部の側壁に設けられた傾斜部の弾性力で押されて、コネクタのロック突部と相手側コネクタのロック孔との間に生じ得る係合隙間を詰めて、ガタつきを防止することができる。
【0015】
また、本発明に係るコネクタ及び相手側コネクタは、従来のコネクタのようにバネ片を嵌合凹部の奥の壁に設けるのではなく、外部導体シェルの側壁から隆起した傾斜部を、相手側コネクタの嵌合凹部の縁部分が当接する位置に設けただけであるから、従来のコネクタに比べて簡単な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ケーブル側のコネクタと基板側のコネクタの外観を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコネクタの外観を示す図である。
【
図3】ケーブル側のコネクタの先端側の嵌合部を構成する外部導体シェルの部品を示す図である。
【
図4】基板側のコネクタの外部導体シェルの部品を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るコネクタを相手側コネクタに接続した状態で、嵌合方向に沿って垂直方向にそれらコネクタを切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、それぞれの実施形態は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせてコネクタを構成することを排除するものではない。
【0018】
図1は、基板側のコネクタ及びケーブル側のコネクタの外観を示す図である。コネクタの嵌合方向は、図中のX1―X2方向(X軸方向)である。基板側のコネクタ100の先端側はX2方向側であり、ケーブル側のコネクタ200の先端側はX1方向側である。基板300に対して垂直な面はX―Z平面であり、基板300に対して水平な面(平行な面)はX―Y平面である。図中のZ軸方向に沿って上方及び下方を、それぞれのコネクタの上下とする。以上の事項は、その他の図においても同様である。
【0019】
基板側のコネクタ100は、ケーブル側のコネクタ200との接続側(X2方向側)に嵌合凸部104を形成する複数の端子を保持する絶縁体112と、絶縁体112を内部に含む外部導体シェル106とから構成される。嵌合凹部102は、外部導体シェル106の嵌合側(X2側)に設けられた嵌合凸部104と、外部導体シェル106の内壁との間の空間である。外部導体シェル106は、当該外部導体シェル106を基板300に実装して固定するためのシェル実装部108を含む。シェル実装部108は、基板300に設けられた孔に挿入され、半田付けされるディップ端子であるが、基板の表面に実装可能な端子でも良い。
【0020】
また、外部導体シェル106は、ケーブル側のコネクタ200の係合部であるロック突部206と係合する相手側係合部としてロック孔110を備える。ロック孔110は、ケーブル側のコネクタ200のロック突部206と係合できる位置に設けられる。
図1では、ロック孔110は、コネクタ100の外部導体シェル106の上下(Z軸方向での上下)の側壁に設けられる。ロック孔110は、ロック突部206と係合できる構造の係合部であれば、必ずしも外部導体シェルを貫通した孔でなくてもよい。
【0021】
ケーブル側のコネクタ200は、基板側のコネクタ100との接続側(X1方向側)に嵌合部204を先端側に有し、複数の端子を保持する絶縁体を内部に収めた外部導体シェル200と、外部導体シェル204の孔から突出したロック突部206と連動するロック操作用ボタン208と、外部導体シェル204とケーブル400との接続部分を覆うカバー部材210とから構成される。
【0022】
嵌合部202は、基板側のコネクタ100との接続時に、嵌合凹部102に挿入される。外部導体シェル204は、ロック突部206を内側から突出させるための孔218を側壁に有する。係合部であるロック突部206は、基板側のコネクタ100の相手側係合部であるロック孔110と係合できる位置に設けられる。
図1では、ロック突部206は、コネクタ200の外部導体シェル204の上下(Z軸方向での上下)の側壁に設けられる。ロック突部206は、ロック孔110と係合できる構造の係合部であればどのような構造でもよい。
【0023】
ロック突部206は、外部導体シェル204の内部で、ロック操作用ボタン208と連結され、ロック操作用ボタン208を押し込むことに連動して、ロック突部206が押し込まれる。基板側のコネクタ100との接続時に、ロック操作用ボタン208を押し込むことで、ロック突部206がロック孔110から外れて、ケーブル側のコネクタ200は、基板側のコネクタ100から抜くことができる。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係るケーブル側のコネクタを示す図であり、ケーブル側のコネクタ200を、相手側コネクタであるコネクタ100との嵌合側(X1側)斜めからみた斜視図である。コネクタ200の外部導体シェル204は、嵌合部202(
図1参照)の側壁(
図2では、上面)に、傾斜部212を含む。傾斜部212は、外部導体シェル204(嵌合部202(
図1参照))の側壁を隆起させて弾性を有するように形成される。傾斜部212は、相手側コネクタ(コネクタ100)の嵌合凹部102の一部分(本実施形態では、縁部分)が当接する、外部導体シェル204の側壁に設けられる。傾斜部212を設ける位置は、嵌合凹部102の一部分が当接する位置であれば、外部導体シェル204のどの位置でもよい。
【0025】
ケーブル側のコネクタ200の先端には、複数の端子を絶縁体で保持した内壁を備えた挿入口214が設けられる。挿入口214は、相手側コネクタ(コネクタ100)の嵌合凸部104を受け入れることができる。相手側コネクタとの接続時に、挿入口214の内壁に保持された複数の端子の接触部は、嵌合凸部104を形成する絶縁体によって保持された複数の端子の接触部に接触する。
【0026】
ロック操作用ボタン208を押し込むことに連動して、係合部であるロック突部206は、外部導体シェル204の内側に押し込まれるように構成される。ロック突部206は、ロック操作用ボタン208で、相手側コネクタの相手側係合部と係合を解除できる構成であれば、
図1から2に示す実施形態以外の構成でもよい。
【0027】
図3は、ケーブル側のコネクタ先端側の嵌合部を構成する外部導体シェルの部品を示す。
図3(a)は、外部導体シェル204をコネクタの先端側(X1側)斜め上方からみた斜視図であり、
図3(b)は、外部導体シェル204をコネクタの先端側(X1側)の斜め下方からみた斜視図であり、
図3(c)は、外部導体シェル204をコネクタの横方向(Y軸方向)からみた側面図である。
【0028】
外部導体シェル204の先端側(X1側)に、シェル開口部216を含み、シェル開口部216の内部には、複数の端子を保持して挿入口214(
図2参照)を構成する絶縁体が収容される。
図3(a)及び(b)に示されるように、外部導体シェル204の上下(Z軸方向での上下)側壁には、外部導体シェル204の内側からロック突部206を外側に突出させるための貫通孔218が設けられる。貫通孔218は、相手コネクタ(コネクタ100)の係合部であるロック孔110に係合できるように配置されるロック突部206の位置に合わせて設けることができる。また、外部導体シェル204の1つの側壁に、貫通孔218は、ロック突部206と共に設けられ、当該側壁とは反対側の側壁にも、貫通孔218とロック突部206を設けることができる。
【0029】
傾斜部212は、
図3(a)及び(b)に示されるように、外部導体シェル204の1つの側壁に設けられ、当該側壁とは反対側の側壁にも傾斜部212を設けることができる。傾斜部212は、外部導体シェル204の上下(Z軸方向での上下)側壁に、嵌合方向(X方向)に延びる2本のスリット213を設けて、外部導体シェル204の内側から側壁を隆起させて形成される。これにより、傾斜部212は弾性を有する。
図2及び
図3を参照すると、本発明の一実施形態では、傾斜部212は、貫通孔218が設けられた位置よりも後方(X2側)の位置であって、カバー210カバーよりも前方(X1側)の位置に設けられている。本実施形態に限定されることなく、傾斜部212は、相手側コネクタの嵌合凹部の一部分と当接できる位置であればどの位置でも良く、外部導体シェルの側壁において、ロック突部206や貫通孔218と同じ面上にあってもよいし、異なる面上にあってもよい。
【0030】
図4は、基板側のコネクタの外部導体シェルの部品を示す。
図4(a)は、外部導体シェル106をコネクタの先端側(X2側)斜め上方からみた斜視図であり、
図4(b)は、外部導体シェル106をコネクタの先端側(X2側)の斜め下方からみた斜視図であり、
図4(c)は、外部導体シェル106をコネクタの先端側(X2側)斜め横方向からみた斜視図である。外部導体シェル106のシェル開口部103は、内部に収容した絶縁体によって形成される嵌合凸部104を露出させることができ、嵌合凸部104と外部導体シェル106の内壁との間の空間を、嵌合凹部102とすることができる。
【0031】
外部導体シェル106のシェル開口部103の縁部分、すなわち、嵌合凹部102(
図1参照)の縁部分に、該縁部分から延びて外側に傾いた傾斜縁部105を設けることができる。傾斜縁部105は、ケーブル側のコネクタ200の傾斜部212と当接可能な縁部分に設けることができる。
【0032】
ケーブル側のコネクタ200の係合部であるロック突部206と係合する相手側係合部としてのロック孔110は、
図4(a)及び(b)に示されるように、外部導体シェル106の上下(Z軸方向での上下)に設けられる。ロック孔110は、外部導体シェル106の1つの側壁に設けられ、当該側壁とは反対側の側壁にも、ロック孔110を設けることができる。
【0033】
図5は、本発明の一実施形態に係るコネクタを相手側コネクタに接続した状態で、嵌合方向(X軸方向)に沿って垂直方向(Z軸方向)にそれらコネクタを切断した断面図である。ケーブル側のコネクタ200のロック突部206は、相手側コネクタであるコネクタ100のロック孔110に嵌ることで、コネクタの接続状態を維持することができる。傾斜部212の先端側(X1側)の傾斜面は、相手側コネクタの嵌合凹部102の縁部分に当接して、当該縁部分を傾斜部212の弾性力で押すことによって、ロック突部(係合部)の外壁がロック孔110(相手側係合部)の内壁に押し付けられるので、係合部間の隙間を生じさせないようにできる。
【0034】
図5に示す実施形態では、傾斜部212の先端側(X1側)の傾斜面は、傾斜縁部105に当接し、傾斜部212の弾性力によって、コネクタ200を後方(X2方向)に押し戻そうとすることによって、ロック突部206の後方(X2側)の後壁219が、ロック接触面220に密着し、係合隙間を防ぐことができ、ガタつきを防止することができる。その結果、ガタつきによって生じ得る高周波特性の悪化を未然に防ぐことができる。
【0035】
また、コネクタ200は、外部導体シェル204の側壁から隆起した傾斜部212を、相手側コネクタ(コネクタ100)の嵌合凹部102の縁部分が当接する位置に設けただけであるから、バネ片を嵌合凹部の奥の壁に設ける従来のコネクタに比べて、コネクタ200及びコネクタ100の構造を簡略化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るコネクタは、高周波信号を扱う計測機器等の電子機器によって、高い周波数の電気信号を伝送するために、機器間をケーブルで接続する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
100 コネクタ
102 嵌合凹部
103 シェル開口部
104 嵌合凸部
105 傾斜縁部
106 外部導体シェル
108 シェル実装部
110 ロック孔
112 絶縁体
120 端子群
122 端子実装部
124 接触部
126 屈曲部
128 屈曲部
130 屈曲部
132 端子実装部
200 コネクタ
202 嵌合部
204 外部導体シェル
206 ロック突部
208 ロック操作用ボタン
210 カバー部材
212 傾斜部
213 スリット
214 挿入口
216 シェル開口部
218 貫通孔
219 後壁
220 ロック接触面
300 基板
400 ケーブル