【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ペレチノインなどの非環式レチノイドとアンジオテンシンII受容体拮抗薬とを併用することにより、両者の肝細胞がん発がん抑制作用が飛躍的に増強されること、そのため、非環式レチノイドとアンジオテンシンII受容体拮抗薬の組み合わせが、肝細胞がんの予防及び/又は治療において高い効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明により、非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及びアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を組み合わせてなる肝細胞がんの予防及び/又は治療のための医薬が提供される。
【0012】
すなわち、本発明は、以下に示す発明に関する。
[1] 非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及びアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を組み合わせてなる、肝細胞がんの予防及び/又は治療のための医薬。
[2] 非環式レチノイドがペレチノインである前記[1]に記載の医薬。
[3] アンジオテンシンII受容体拮抗薬が、ロサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン又はアジルサルタンである、前記[1]又は[2]に記載の医薬。
[4] 肝細胞がんの予防及び/又は治療が、肝細胞がん治療後の再発の抑制である、前記[1]〜[3]のいずれか1項記載の医薬。
[5] 肝細胞がんが肝炎ウイルスに起因する肝細胞がんである前記[1]〜[4]のいずれか1項記載の医薬。
[6] 肝炎ウイルスがC型肝炎ウイルスである前記[5]に記載の医薬。
[7] 非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及びアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を共に含有する単一製剤(配合剤)の形態である前記[1]〜[6]のいずれか1項記載の医薬。
[8] 非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する製剤、及びアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する製剤の組み合わせを含むキット製剤の形態である前記[1]〜[6]のいずれか1項記載の医薬。
[9] 肝細胞がんの予防及び/又は治療を目的としてアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と組み合わせて投与するための、非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬。
[10] 下記(1)及び(2);
(1)非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する、肝細胞がんの予防及び/又は治療のための医薬;
(2)前記医薬を、アンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と組み合わせて投与することを指示する指示書;
を含むキットの形態である、前記[9]に記載の医薬。
[11] 肝細胞がんの予防及び/又は治療を目的として非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と組み合わせて投与するための、アンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬。
[12] 下記(1)及び(2);
(1)アンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する、肝細胞がんの予防及び/又は治療のための医薬;
(2)前記医薬を、非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と組み合わせて投与することを指示する指示書;
を含むキットの形態である、前記[11]に記載の医薬。
[13] 非環式レチノイドがペレチノインである前記[9]〜[12]のいずれか1項記載の医薬。
[14] アンジオテンシンII受容体拮抗薬が、ロサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン又はアジルサルタンである、前記[9]〜[13]のいずれか1項記載の医薬。
[15] 肝細胞がんの予防及び/又は治療が、肝細胞がん治療後の再発の抑制である、前記[9]〜[14]のいずれか1項記載の医薬。
[16] 肝細胞がんが肝炎ウイルスに起因する肝細胞がんである前記[9]〜[15]のいずれか1項記載の医薬。
[17] 肝炎ウイルスがC型肝炎ウイルスである前記[16]に記載の医薬。
【0013】
[18] 非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量と、アンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量とを、必要とする患者に同時に又は時間を変えて別々に投与する工程を含む、肝細胞がんの予防及び/又は治療方法。
[19] 非環式レチノイドがペレチノインである前記[18]に記載の方法。
[20] アンジオテンシンII受容体拮抗薬が、ロサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン又はアジルサルタンである、前記[18]又は[19]に記載の方法。
[21] 肝細胞がんの予防及び/又は治療が、肝細胞がん治療後の再発の抑制である、前記[18]〜[20]のいずれか1項記載の方法。
[22] 肝細胞がんが肝炎ウイルスに起因する肝細胞がんである前記[18]〜[21]のいずれか1項記載の方法。
[23] 肝炎ウイルスがC型肝炎ウイルスである前記[22]に記載の方法。
【0014】
[24] 肝細胞がんの予防及び/又は治療のための医薬の製造のための、非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及びアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の組み合わせの使用。
[25] 非環式レチノイドがペレチノインである前記[24]に記載の使用。
[26] アンジオテンシンII受容体拮抗薬が、ロサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン又はアジルサルタンである、前記[24]又は[25]に記載の使用。
[27] 肝細胞がんの予防及び/又は治療が、肝細胞がん治療後の再発の抑制である、前記[24]〜[26]のいずれか1項記載の使用。
[28] 肝細胞がんが肝炎ウイルスに起因する肝細胞がんである前記[24]〜[27]のいずれか1項記載の使用。
[29] 肝炎ウイルスがC型肝炎ウイルスである前記[28]に記載の使用。
【0015】
[30] 肝細胞がんの予防及び/又は治療を目的としてアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と組み合わせて投与するための、非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[31] 非環式レチノイドがペレチノインである前記[30]に記載の非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[32] アンジオテンシンII受容体拮抗薬が、ロサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン又はアジルサルタンである、前記[30]又は[31]に記載の非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[33] 肝細胞がんの予防及び/又は治療が、肝細胞がん治療後の再発の抑制である、前記[30]〜[32]のいずれか1項記載の非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[34] 肝細胞がんが肝炎ウイルスに起因する肝細胞がんである前記[30]〜[33]のいずれか1項記載の非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[35] 肝炎ウイルスがC型肝炎ウイルスである前記[34]に記載の非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
【0016】
[36] 肝細胞がんの予防及び/又は治療を目的として非環式レチノイド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と組み合わせて投与するための、アンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[37] 非環式レチノイドがペレチノインである前記[36]に記載のアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[38] アンジオテンシンII受容体拮抗薬が、ロサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン又はアジルサルタンである、前記[36]又は[37]に記載のアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[39] 肝細胞がんの予防及び/又は治療が、肝細胞がん治療後の再発の抑制である、前記[36]〜[38]のいずれか1項記載のアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[40] 肝細胞がんが肝炎ウイルスに起因する肝細胞がんである前記[36]〜[39]のいずれか1項記載のアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
[41] 肝炎ウイルスがC型肝炎ウイルスである前記[40]に記載のアンジオテンシンII受容体拮抗薬若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。