(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、透明弾性体シートにゴミ等が付着した場合や、透明弾性体シートが経年劣化を起こした場合等に、当該透明弾性体シートを交換する必要がある一方で、透明弾性体シートはプリズムの表面に均一に密着していることが求められるため、交換すべき透明弾性体シートをプリズムの表面から取り外し難い(剥し難い)という問題がある。
また、透明弾性体シートは、薄くかつ柔らかいため、新たな透明弾性体シートをプリズムの表面に貼り付ける際の取扱いが容易でなく、当該透明弾性体シートが必要以上に伸縮されたり、折り曲げられたりして、当該透明弾性体シートが変形することでプリズムと当該弾性体シートとの間に気泡が生じ、正しく印面が撮影されない虞があった。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、透明弾性体シートに歪を生じさせることなく、透明弾性体シートを容易に取扱うことができるとともに、プリズム等の光学部品の表面に対して気泡の発生を低減しつつ容易に設置または交換できる印面密着用シートおよび印面密着用シートの取扱い方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の印面密着用シートは、印鑑の印面が密着される透明弾性体シートと、
この透明弾性体シートの外周部に設けられ、かつ前記透明弾性体シートより機械的強度が高い材料で形成された支持体と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
ここで、支持体は透明弾性体シートの外周部に沿って設けられるリング状(環状)のものが好ましいが、透明弾性体シートの外周部に沿って所定間隔で設けられていてもよい。
【0009】
本発明においては、透明弾性体シートの外周部が支持体によって補強されるので、当該透明弾性体シートに伸縮や折れ曲がりなどの変形が生じ難くなる。したがって、透明弾性体シートに歪を生じさせることなく、透明弾性体シートを容易に取扱うことができるとともに、プリズム等の光学部品の表面に対して気泡の発生を低減しつつ容易に設置または交換できる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、前記透明弾性体シートの下面、または前記支持体の下部でかつ前記透明弾性体シートより下方に、スペーサが設けられていてもよい。
【0011】
ここで、スペーサは透明弾性体シートの外周部に沿って設けられるリング状(環状)のものが好ましいが、透明弾性体シートの外周部に沿って所定間隔で設けられていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、スペーサによって、透明弾性体シート上に圧力が加わっていない状態での透明弾性体シートとプリズム等の光学部品の表面の密着を無くし、プリズム等の光学部品の表面(貼り付け面)に沿ってスライドさせることが可能となる。したがって、例えば、プリズム等の光学部品を収納する筐体の側面に設けた開口部等からプリズム等の光学部品の表面と平行移動させることで容易に透明弾性体シートを交換できる。
【0013】
また、本発明の前記構成において、前記支持体に画像認識用のマーカーが設けられていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、支持体に画像認識用のマーカーが設けられているので、透明弾性体シートを用いた印影の画像記録装置での画像補正時に、マーカーを補正基準として利用できる。
【0015】
また、本発明の印面密着用シートの取扱い方法は、印面密着用シートを、光学部品の表面に設置または交換するに際し、
前記印面密着用シートの支持体を把持して前記透明弾性体シートを、前記光学部品の表面に当該表面と交差する方向から設置、または当該表面から交差する方向に取り外すことを特徴とする。
【0016】
ここで、光学部品としては、例えばプリズムや導光体等が挙げられるがこれに限ることはない。
【0017】
本発明においては、前記印面密着用シートの支持体を把持して前記透明弾性体シートを、前記光学部品の表面に当該表面と交差する方向から設置、または当該表面から交差する方向に取り外すので、透明弾性体シートに歪を生じさせることなく、透明弾性体シートを容易に取扱うことができるとともに、光学部品の表面に容易に設置または交換できる。
【0018】
また、本発明の印面密着用シートの取扱い方法は、印面密着用シートを、光学部品の表面に設置または交換するに際し、
透明弾性体シートの下面、または支持体の下部でかつ前記透明弾性体シートより下方にスペーサが設けられている印面密着用シートの支持体を把持して前記スペーサを、前記光学部品の表面に、当該表面に沿ってスライドさせて設置、または当該表面に沿ってスライドさせて取り外すことを特徴とする。
【0019】
本発明においては、スペーサによって、透明弾性体シート上に圧力が加わっていない状態での透明弾性体シートとプリズム等の光学部品の表面の密着を無くし、プリズム等の光学部品の表面(貼り付け面)に沿ってスライドさせることが可能となる。したがって、透明弾性体シートに歪を生じさせることなく、透明弾性体シートを容易に取扱うことができるとともに、例えば、プリズム等の光学部品を収納する筐体の側面に設けた開口部等からプリズム等の光学部品の表面と平行移動(スライド)させることで容易に透明弾性体シートを交換できる。
【0020】
また、本発明の印面密着用シートの取扱い方法は、印面密着用シートを、光学部品の表面に設置または交換するに際し、
前記プリズムを収納する筐体に、前記印面密着用シートを前記光学部品の表面と平行な方向に挿入するための開口部が設けられるとともに、この開口部に連続し、かつ前記透明弾性体シートと前記光学部品の表面との間に所定の隙間を設けるように、前記支持体を支持する支持面が設けられ、
前記印面密着用シートを、その支持体を把持して前記開口部から挿入するとともに、前記支持体を支持面に沿ってスライドさせて設置、または当該支持面に沿ってスライドさせて取り外すことを特徴とする。
【0021】
本発明においては、印面密着用シートの支持体を筐体の支持面に設置することによって、透明弾性体シート上に圧力が加わっていない状態での透明弾性体シートとプリズム等の光学部品の表面の密着を無くし、プリズム等の光学部品の表面(貼り付け面)に沿って当該表面と隙間をもってスライドさせることが可能となる。したがって、透明弾性体シートに歪を生じさせることなく、透明弾性体シートを容易に取扱うことができるとともに透明弾性体シートを容易に交換できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、透明弾性体シートに歪を生じさせることなく、透明弾性体シートを容易に取扱うことができるとともに、プリズム等の光学部品の表面に容易に設置または交換できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る印面密着用シートを示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)におけるA−A線断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の印面密着用シート1は、印鑑の印面が密着される透明弾性体シート2と、この透明弾性体シート2の外周部に設けられ、かつ当該透明弾性体シート2より機械的強度が高い材料で形成されたリング状の支持体3とを備えて構成されている。
【0025】
透明弾性体シート2は、平面視正方形状に形成され、厚さは0.1mm〜10mmとなっている。また、透明弾性体シート2は、エラストマーによって形成されているが、これに限ることはない。例えば、透明弾性体シート2は、ウレタン系、スチレン系、シリコーン系等の高分子で構成され、全光線透過率90%以上の無色透明、かつ、デュロメーターA硬度0〜70またはアスカーC硬度0〜80の範囲のものを使うことが好ましい。
また、透明弾性体シート2の形状は、平面視正方形状に限ることはない。例えば、平面視長方形状やその他の多角形状、または円状、楕円状等であってもよい。
【0026】
支持体3は、透明弾性体シート2より大きい平面視正方形のリング状(環状)に形成された枠体であり、厚さは0.1mm〜5mmとなっており、透明弾性体シート2と同等もしくはこれより薄肉に形成されている。
また、支持体3は、透明弾性体シート2より機械的強度が高い樹脂、例えばエンジニアリングプラスチック等によって形成されているが、これに限ることなく、透明弾性体シート2より機械的強度が高い材料であれば、金属等で形成してもよい。
【0027】
また、支持体3に形成された平面視正方形状の開口部3aは透明弾性体シート2の上面より小さくなっている。支持体3は透明弾性体シート2の上面の外周部に接着剤によって接着されている。支持体3を透明弾性体シート2の上面に接着する場合、支持体3の下面内周縁部と、透明弾性体シート2の上面外周縁部との重なり部分を接着剤によって接着する。また、支持体3を透明弾性体シート2に接着した状態において、透明弾性体シート2の上面はその外周縁部を除いて開口部3aによって支持体3の上面側に露出している。
【0028】
なお、透明弾性体シート2と支持体3とは接着剤による接着に限らず、嵌合や投錨効果などの機械的結合または、分子間力などの物理的相互作用、または、化学結合などの化学的相互作用によって結合してもよい。
また、透明弾性体シート2が平面視長方形状やその他の多角形状、または円状、楕円状である場合、支持体3は平面視長方形状やその他の多角形状、または円状、楕円状の枠体で構成すればよい。
また、支持体3の開口部3aは平面視正方形状に限ることなく、例えば平面視長方形状やその他の多角形状、または円状、楕円状であってもよい。
【0029】
次にこのような構成の印面密着用シート1を、プリズムの表面に設置または交換する方法について
図2を参照して説明する。
図2において、符号5は、プリズム6を収納する筐体を示す。この筐体5には、プリズム6が収納されているが、その他にも図示は省略するが(直角)プリズム6の長辺面に設けられた光源もしくは光拡散版、短辺面に設けられた電子式カメラ、電子カメラの出力が接続された映像信号処理装置等が収納されている。
【0030】
筐体5の上壁部5aのうち、印面密着用シート1の透明弾性体シート2を設置(装着)すべき、(直角)プリズム6の表面(斜辺面)6aの上方側には、印面密着用シート1を筐体5内に上方から挿入するための挿入口7が設けられている。
この挿入口7は、上側の上挿入口7aと、下側の下挿入口7bとから構成されており、これら上挿入口7aと下挿入口7bとは上下に隣接している。
上挿入口7aは平面視正方形状に形成され、その大きさは印面密着用シート1の支持体3とほぼ等しいか若干大きめに設定され、深さは支持体3の厚さとほぼ等しいか若干大きめに設定されている。
下挿入口7bは、上挿入口7aより小さい平面視正方形状に形成され、その大きさは印面密着用シート1の透明弾性体シート2とほぼ等しいか若干大きめに設定され、深さは透明弾性体シート2の厚さとほぼ等しいか若干大きめに設定されている。
また、プリズム6の表面6aは筐体5の上壁部5aの下面に当接しており、これによって、下挿入口7bの下面と、プリズム6の表面6aとは同一平面内に位置している。
【0031】
このような筐体5に印面密着用シート1を挿入してプリズム6の表面6aに設置する場合、印面密着用シート1の透明弾性体シート2を下側に向けた状態で、支持体3を把持したうえで、印面密着用シート1を、挿入口7に挿入する。この場合、透明弾性体シート2をプリズム6の表面6aと直交する方向から下挿入口7bに挿入するとともに、支持体3を上挿入口7aに挿入する。これによって、印面密着用シート1がプリズム6に対して位置決めされて、透明弾性体シート2がプリズム6の表面6aに設置され密着する。
【0032】
また、印面密着用シート1を新たな印面密着用シート1に交換する場合、筐体5内においてプリズム6の表面に透明弾性体シート2が密着している印面密着用シート1を、その支持体3を把持して、プリズム6の表面6aと直交または交差する方向に引き剥したうえで、上述した場合と同様にして、新たな印面密着用シート1を筐体5に挿入してその透明弾性体シート2をプリズム6の表面6aに密着する。
【0033】
以上のように、本実施の形態によれば、透明弾性体シート2の外周部が支持体3によって補強されるので、当該透明弾性体シート2に伸縮や折れ曲がりなどの変形が生じ難くなる。したがって、透明弾性体シート2に歪を生じさせることなく、透明弾性体シート2を容易に取扱うことができるとともに、プリズム6の表面6aに容易に設置または交換できる。
このように、透明弾性体シート2を、伸縮や折れ曲がり等の歪を生じさせることなくプリズム6の表面6aに設置できれば、印鑑の印面をカメラで撮像した時に、透明弾性体シート2の歪みで発生する光の屈折や、乱反射・気泡などによる印面画像の劣化が低減され、取得される印面画像の品質も向上する。
また、筐体5の上壁部5aに上挿入口7aと下挿入口7bとで構成された挿入口7が設けられ、上挿入口7aに支持体3が挿入されて嵌合し、下挿入口7bに透明弾性体シート2が挿入されて嵌合するので、挿入口7に印面密着用シート1を挿入することによって、透明弾性体シート2をプリズム6の表面6aに正確に位置決めして密着させることができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る印面密着用シートを示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)におけるB−B線断面図である。
この図に示す印面密着用シート1Aが、
図1に示す印面密着用シート1と異なる点は、透明弾性体シート2Aと支持体3との結合構造であるので、以下ではこの点について説明し、
図1に示す構成部分と共通部分には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0035】
本実施の形態では、透明弾性体シート2Aは、その厚さが
図1に示す透明弾性体シート2より厚くなっている。
また、透明弾性体シート2Aは、支持体3の開口部3aに挿入され、当該透明弾性体シート2Aの略上半分の外周面が、開口部3aの内周面に接着剤によって接着固定されている。
なお、透明弾性体シート2Aと支持体3とは接着剤による接着に限らず、嵌合や投錨効果などの機械的結合または、分子間力などの物理的相互作用、または、化学結合などの化学的相互作用によって結合してもよい。
【0036】
本実施の形態の印面密着用シート1Aをプリズムの表面に設置または交換する場合、第1の実施の形態で説明した場合と同様にして行う。
したがって、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、印面密着用シート1Aを
図2に示すような筐体5に挿入してプリズム6の表面6aに密着させた場合、透明弾性体シート2の表面と、筐体5の上面とがほぼ面一となるので、透明弾性体シート2の清掃が容易となるという利点がある。
【0037】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る印面密着用シートの一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)におけるC−C線断面図である。
この図に示す印面密着用シート1Bが、
図1に示す印面密着用シート1と異なる点は、スペーサ10を備えている点であるので、以下ではこの点について説明し、
図1に示す構成部分と共通部分には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0038】
図4に示すように、透明弾性体シート2の下面には、リング状(環状)のスペーサ10が設けられている。このスペーサ10は平面視正方形の枠状に形成されており、平面視における外周形状および大きさは、透明弾性体シート2と等しくなっている。
また、スペーサ10の開口部10aの形状および大きさは、支持体3の開口部3aと等しくなっている。
さらに、スペーサ10の厚さは0.1mm〜5mmとなっている。
また、スペーサ10は、透明弾性体シート2より機械的強度が高い材料、例えばエンジニアリングプラスチック等によって形成されている。
【0039】
そして、このようなスペーサ10は、透明弾性体シート2の下面に接着剤によって接着固定されている。この場合、スペーサ10の上面と透明弾性体シート2の下面外周縁部との重なり部分を接着剤によって接着する。また、この重なり部分は、支持体3の下面内周縁部と透明弾性体シート2の上面外周縁部との重なり部分と、平面視において同一位置にあり、かつ同一面積となっている。
なお、透明弾性体シート2とスペーサ10とは接着剤による接着に限らず、嵌合や投錨効果などの機械的結合または、分子間力などの物理的相互作用、または、化学結合などの化学的相互作用によって結合してもよい。
【0040】
次にこのような構成の印面密着用シート1Bを、プリズムの表面に設置または交換する方法について
図5および
図6を参照して説明する。
図5および
図6において、符号15は、プリズム6を収納する筐体を示す。筐体15には、プリズム6が収納されているが、その他にも図示は省略するが、(直角)プリズム6の長辺面に設けられた光源もしくは光拡散版、短辺面に設けられた電子式カメラ、電子カメラの出力が接続された映像信号処理装置等が収納されている。
【0041】
筐体15の上壁部のうち、印面密着用シート1の透明弾性体シート2を設置(装着)すべき、(直角)プリズム6の表面(斜辺面)6aの上方側には、印鑑の印面を透明弾性体シート2に密着させる際に使用される上面開口部15aが設けられている。この上面開口部15aは平面視正方形状に形成されている。
【0042】
また、筐体15の側壁の上端部には、側面開口部15bが設けられている。この側面開口部15bは横長の側面視長方形状に形成されている。側面開口部15bの左右方向の長さは、印面密着用シート1Bの支持体3一辺の長さとほぼ等しいか若干大きめに設定され、上下の長さは印面密着用シート1Bの厚さとほぼ等しいか若干大きめに設定されている。
これによって、印面密着用シート1Bを、側面開口部15bから筐体15内に横方向へのスライドによって挿入可能となっている。
また、側面開口部15bの下面の筐体15の底面からの高さは、筐体15に収納されたプリズム6の下面から表面6aまでの高さと等しくなっている。つまり、側面開口部15bの下面は、プリズム6の表面6aと面一となっている。
【0043】
このような筐体15に印面密着用シート1Bを挿入してプリズム6の表面6aに設置する場合、
図5および
図6(a)に示すように、印面密着用シート1Bのスペーサ10を下側に向けた状態で、支持体3を把持したうえで、印面密着用シート1Bを、側面開口部15bから横方向(プリズム6の表面6aと平行な方向)に挿入する。
これによって、支持体3を把持してスペーサ10を、プリズム6の表面6aに、当該表面6aに沿ってスライドさせて設置する。
【0044】
印面密着用シート1Bのスペーサ10をプリズム6の表面6aに設置すると、透明弾性体シート2と表面6aとの間にスペーサ10の厚さの分だけの隙間が生じる。この隙間は、透明弾性体シート2の厚さに応じて0.1mm〜5mmの範囲であることが好ましい。このような隙間はスペーサ10の厚さを調整することによって、容易に調整することができる。
そして、透明弾性体シート2の表面に印鑑を密着させる場合、印鑑を上方から押圧することによって、透明弾性体シート2がプリズム6の表面6a側に弾性的に撓み、印面が密着しいている透明弾性体シート2の部分が表面6aに密着するため、印面の凹凸を電子カメラで認識できる。
この時、透明弾性体シート2が十分に薄く柔らかければ、プリズム6に、印鑑の印面の凸部分のみが透明弾性体シート2を通して密着することになり、その他の不要部分(印面の凸部分以外)がプリズム6の表面6aには触れないので、カメラで撮像した画像には印面の凸部分のみが綺麗に映り込むことになるので、取得される印面画像の品質が向上する。
【0045】
また、印面密着用シート1Bを新たな印面密着用シート1Bに交換する場合、筐体15内においてプリズム6の表面6aにスペーサ10が設置されている印面密着用シート1Bを、
図6(b)に示すように、側面開口部15bから指を挿入して、支持体3を把持し、プリズム6の表面6aに沿ってスライドさせて取り外す。
【0046】
以上のように、本実施の形態によれば、スペーサ10によって、透明弾性体シート2上に圧力が加わっていない状態での透明弾性体シート2とプリズム6の表面6aの密着を無くし、プリズム6の表面(貼り付け面)6aに沿ってスライドさせることが可能となる。したがって、透明弾性体シート2に歪を生じさせることなく、透明弾性体シート2を容易に取扱うことができるとともに、筐体15の側面に設けた側面開口部15bからプリズム6の表面6aと平行移動(スライド)させることで容易に透明弾性体シート2を交換できる。
【0047】
(第4の実施の形態)
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る印面密着用シートの一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)におけるD−D線断面図である。
この図に示す印面密着用シート1Cが、
図4に示す印面密着用シート1Bと異なる点は、透明弾性体シート2Aと支持体3Aの構成およびそれらの結合構造であるので、以下ではこの点について説明する。
【0048】
本実施の形態では、透明弾性体シート2Aは、その厚さが
図4に示す透明弾性体シート2より厚くなっている。
また、透明弾性体シート2Aは、支持体3Aの平面視正方形状の開口部3bに挿入されている。支持体3Aは、正方形筒状の筒状体31と、この筒状体31の上端部に当該筒状体31と一体的に設けられた正方形環状のフランジ部32とから構成されている。
そして、支持体3Aの下部、つまり筒状体31の下部でかつ透明弾性体シート2Aより下方の部分がスペーサ10Aとされている。このようにして、支持体3Aの下部でかつ透明弾性体シート2Aより下方に、スペーサ10Aが設けられている。
また、透明弾性体シート2Aの外周面は、スペーサ10Aの部分を除く筒状体31の内周面に接着剤によって接着固定されている。
なお、透明弾性体シート2Aと支持体3Aとは接着剤による接着に限らず、嵌合や投錨効果などの機械的結合または、分子間力などの物理的相互作用、または、化学結合などの化学的相互作用によって結合してもよい。
【0049】
本実施の形態の印面密着用シート1Cをプリズムの表面に設置または交換する場合、第3の実施の形態で説明した場合と同様にして行う。
したがって、本実施の形態でも第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
図8は、
図1および
図3にそれぞれ示す印面密着用シート1および印面密着用シート1Aを筐体15にその開口部16から横方向にスライドさせて挿入する場合の例を示す要部の斜視図である。
図8に示すように、筐体15の側壁の上端部に設けられた、側面開口部(開口部)16は、印面密着用シート1,1Aの支持体3が挿入される上開口部16aと、この上開口部16aの下方に隣接して設けられ、透明弾性体シート2,2Aが挿入される下開口部16bとから構成されており、上開口部16aの左右の長さは、下開口部16bの左右の長さより大きくなっている。
【0051】
また、上開口部16aの左右方向の長さは、支持体3一辺の長さとほぼ等しいか若干大きめに設定され、下開口部16bの左右の長さは、透明弾性体シート2,2Aの一辺の長さとほぼ等しいか若干大きめに設定されている。
また、筐体15には、上開口部16aに連続し、かつ透明弾性体シート2,2Aの下面とプリズム6の表面6aとの間に所定の隙間(例えば0.1mm〜10mm)を設けるように、支持体3を支持する支持面17,17が左右に離間して設けられている。この支持面17は、下開口部16bの下面より下開口部16bの高さの分だけ1段高い位置にある平坦面であり、当該支持面17は上開口部16aから連続して筐体15の奥側に向けて延在している。
【0052】
このような筐体15に印面密着用シート1,1Aを挿入してプリズム6の表面6a上に設置する場合、印面密着用シート1,1Aの支持体3を把持したうえで、印面密着用シート1,1Aを、側面開口部16から横方向(プリズム6の表面6aと平行な方向)に挿入するともに、支持体3を支持面17に沿ってスライドさせて設置する。
印面密着用シート1,1Aの支持体3を支持面17に設置すると、透明弾性体シート2,2Aとプリズム6の表面6aとの間には0.1mm〜10mm程度の隙間が生じる。
そして、透明弾性体シート2,2Aの表面に印鑑を密着させる場合、印鑑を上方から押圧することによって、透明弾性体シート2,2Aがプリズム6の表面6a側に弾性的に撓み、印面が密着しいている透明弾性体シート2,2Aの部分が表面6aに密着するため、印面の凹凸を電子カメラで認識できる。
【0053】
また、印面密着用シート1,1Aを新たな印面密着用シート1,1Aに交換する場合、筐体15内の支持面17に支持体3が支持されている印面密着用シート1,1Aを、側面開口部16から指を挿入して、支持体3を把持し、支持面17に沿ってスライドさせて取り外す。
【0054】
このように本実施の形態では、印面密着用シート1,1Aの支持体3を筐体15の支持面17に設置することによって、透明弾性体シート1,1A上に圧力が加わっていない状態での透明弾性体シート1,1Aとプリズム6の表面6aの密着を無くし、プリズム6の表面(貼り付け面)6aに沿って当該表面6aと隙間をもってスライドさせることが可能となる。したがって、透明弾性体シート1,1Aに歪を生じさせることなく、透明弾性体シート1,1Aを容易に取扱うことができるとともに透明弾性体シート1,1Aを容易に交換できる。
【0055】
なお、上述した実施の形態において、
図9に示すように、印面密着用シート1,1A,1B,1Cの支持体3,3Aの上面に画像認識用のマーカー20を設けてもよい。マーカー20は、例えば支持体3,3Aの内周側の4つの隅角部に設けるのが好ましく、例えば、平面視円状の孔によって構成されているが、平面視円形状の孔に限らず、画像認識できる形状および印刷等の表面処理でも同様の機能が得られる。
このように、支持体3,3Aに画像認識用のマーカー20を設けることによって、透明弾性体シート2,2Aを用いた印影の画像記録装置での画像補正時に、マーカー20を補正基準として利用できる。