特許第6702756号(P6702756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702756
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】噴射装置およびエアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/28 20060101AFI20200525BHJP
   A45D 33/02 20060101ALI20200525BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B65D83/28 100
   A45D33/02
   B05B9/04
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-31077(P2016-31077)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-149429(P2017-149429A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知之
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−275660(JP,A)
【文献】 実開昭48−072240(JP,U)
【文献】 実開昭63−196613(JP,U)
【文献】 実開昭60−012313(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/28
A45D 33/02
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウダーを含むエアゾール組成物が加圧充填される容器本体と、前記容器本体に取り付けられるエアゾールバルブとを備えるエアゾール容器に取り付けて使用される噴射装置であり、
前記エアゾールバルブに取り付けられ、凸面状の塗布面が形成された塗布部を備え、
前記塗布面には、前記パウダーを噴射するための噴射孔が形成されており、
前記塗布面は、前記噴射孔から噴射される前記パウダーを塗布するための塗布用具を載置するための面であり、
前記塗布部は、天面部と、前記天面部の外周縁に形成された延設部を有し、
前記延設部は、切欠き部が形成されている、噴射装置。
【請求項2】
前記塗布部に着脱自在に取り付けられ、前記塗布部を覆うカバー部をさらに備え、
前記塗布面と前記カバー部とによって画定される空間であり、前記噴射孔から噴射される前記パウダーを塗布するための塗布用具を収容するための収容空間が形成された、請求項1記載の噴射装置。
【請求項3】
パウダーを含むエアゾール組成物が加圧充填される容器本体と、前記容器本体に取り付けられるエアゾールバルブとを備えるエアゾール容器に取り付けて使用される噴射装置であり、
前記エアゾールバルブに取り付けられ、凸面状の塗布面が形成された塗布部を備え、
前記塗布面には、前記パウダーを噴射するための噴射孔が形成されており、
前記塗布面は、前記噴射孔から噴射される前記パウダーを塗布するための塗布用具を載置するための面であり、
前記塗布部に着脱自在に取り付けられ、前記塗布部を覆うカバー部をさらに備え、
前記塗布面と前記カバー部とによって画定される空間であり、前記噴射孔から噴射される前記パウダーを塗布するための塗布用具を収容するための収容空間が形成されており、
前記カバー部は、前記収容空間と外部とを連通する連通孔が形成されている、噴射装置。
【請求項4】
前記噴射孔は、前記塗布面の中心に対して同心円状に設けられた複数の噴射小孔を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の噴射装置。
【請求項5】
前記噴射小孔は、スリット形状である、請求項4記載の噴射装置。
【請求項6】
塗布用具がさらに備えられた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の噴射装置。
【請求項7】
前記収容空間に、塗布用具がさらに備えられ、
前記塗布用具は、前記カバー部に取り付けられている、請求項2または3記載の噴射装置。
【請求項8】
パウダーを含むエアゾール組成物が加圧充填される容器本体と、前記容器本体に取り付けられるエアゾールバルブとを備えるエアゾール容器と、
前記エアゾール容器に取り付けられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の噴射装置と、を備える、エアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射装置およびエアゾール製品に関する。より詳細には、本発明は、パウダーを含むエアゾール組成物を塗布用具に噴射するための噴射装置およびエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パウダーを含むエアゾール組成物を、塗布用具に塗布するための噴射装置が知られている。特許文献1には、収納室に収納されたスポンジに、ファンデーションを噴霧して付着させるファンデーション容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−8314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のファンデーション容器は、スポンジにファンデーションを噴霧した後、付着しなかったファンデーション(特に顔料)が噴射孔を閉塞しやすい。また、付着しなかったファンデーションは、噴射孔の周囲に蓄積しやすく、不衛生となりやすい。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、パウダーを含むエアゾール組成物を、パウダーの飛び散りを抑制しつつ塗布用具に噴射することができ、かつ、塗布用具に付着しなかったパウダーを噴射孔近傍に残留させにくい噴射装置およびエアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)パウダーを含むエアゾール組成物が加圧充填される容器本体と、前記容器本体に取り付けられるエアゾールバルブとを備えるエアゾール容器に取り付けて使用される噴射装置であり、前記エアゾールバルブに取り付けられ、凸面状の塗布面が形成された塗布部を備え、前記塗布面には、前記パウダーを噴射するための噴射孔が形成されており、前記塗布面は、前記噴射孔から噴射される前記パウダーを塗布するための塗布用具を載置するための面である、噴射装置。
【0008】
このような構成によれば、噴射装置は、塗布用具を塗布面に載置することができ、塗布用具にパウダーを含むエアゾール組成物を噴射することができる。この際、パウダーは、塗布用具に直接噴射されるため、飛び散りにくい。また、塗布部において、噴射孔は、凸面状の塗布面に形成されている。そのため、塗布用具に付着しなかったパウダーは、乾燥すると塗布面上を流れ落ちやすく、残留しにくい。その結果、パウダーは、噴射孔近傍に蓄積されにくく、噴射装置は、衛生的である。
【0009】
(2)前記塗布部に着脱自在に取り付けられ、前記塗布部を覆うカバー部をさらに備え、前記塗布面と前記カバー部とによって画定される空間であり、前記噴射孔から噴射される前記パウダーを塗布するための塗布用具を収容するための収容空間が形成された、(1)記載の噴射装置。
【0010】
このような構成によれば、噴射装置は、塗布用具を、収容空間によって塗布面上の適切な位置に収容することができる。また、噴射装置は、収容された塗布用具の適切な位置にパウダーを含むエアゾール組成物を噴射することができ、使用者が塗布用具を使いやすい。さらに、カバー部によって塗布部が覆われているため、パウダーは、収容空間から外部に漏れだしにくく、飛び散りにくい。
【0011】
(3)前記カバー部は、前記収容空間と外部とを連通する連通孔が形成されている、(2)記載の噴射装置。
【0012】
このような構成によれば、収容空間に噴射されたエアゾール組成物は、連通孔に向かう流路が形成されやすい。その結果、噴射されたエアゾール組成物は、流路を通過する際にパウダーを塗布用具に付着させ、その後、噴射剤などを外部に流出されやすい。また、収容空間の内圧は、外部と同程度に維持される。その結果、たとえばカバー部を開放して塗布用具を取り出す際に、パウダーが舞い散りにくい。
【0013】
(4)前記噴射孔は、前記塗布面の中心に対して同心円状に設けられた複数の噴射小孔を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の噴射装置。
【0014】
このような構成によれば、噴射装置は、それぞれの噴射小孔からパウダーを含むエアゾール組成物を塗布用具に対して噴射することができる。そのため、塗布用具は、たとえば噴射孔が1箇所のみ形成されている場合と比較して、より広範囲に渡って均一にパウダーが付着しやすい。また、複数の噴射小孔からエアゾール組成物が噴射されるため、たとえば噴射孔が1箇所のみ形成されている場合と比較して、塗布用具に噴射される際のエアゾール組成物の噴射圧が低減される。そのため、噴射されるパウダーは、塗布用具の深部にまで浸透し過ぎることなく、塗布用具の表面に適切に付着する。その結果、パウダーは、塗布用具を使用して適用部位(たとえば皮膚等)に塗り拡げられる際に、容易に適用部位に転着させやすい。
【0015】
(5)前記噴射小孔は、スリット形状である、(4)記載の噴射装置。
【0016】
このような構成によれば、噴射装置は、凸面状の塗布面に形成されたスリット形状の噴射小孔は円弧状に開口するため、塗布用具に対して、より広範囲に渡って均一にパウダーを付着させやすい。さらに、パウダーが噴射小孔で詰まりにくくなる。
【0017】
(6)塗布用具がさらに備えられた、(1)〜(5)のいずれかに記載の噴射装置。
【0018】
このような構成によれば、噴射装置は、収容空間に塗布用具をさらに備える。そのため、エアゾールバルブが操作されることにより、収容された塗布用具には、パウダーを含むエアゾール組成物が噴射され、適切な位置に付着する。この際、パウダーは、収容空間から外部に漏れ出しにくく、飛び散りにくい。また、塗布部において、噴射孔は、凸面状の塗布面に形成されている。そのため、塗布用具に付着しなかったパウダーは、乾燥すると塗布面上を流れ落ちやすく、残留しにくい。その結果、パウダーは、噴射孔近傍に蓄積されにくく、噴射装置は、衛生的である。
【0019】
(7)前記収容空間に、塗布用具がさらに備えられ、前記塗布用具は、前記カバー部に取り付けられている、(2)〜(5)のいずれかに記載の噴射装置。
【0020】
このような構成によれば、塗布用具は、カバー部に取り付けられている。そのため、使用者は、エアゾールバルブを操作してエアゾール組成物を噴射させた後に、カバー部を開放する動作を行うことによって、同時に塗布用具を取り出し、使用することができる。また、塗布用具は、カバー部に取り付けられているため、紛失されにくい。
【0021】
(8)パウダーを含むエアゾール組成物が加圧充填される容器本体と、前記容器本体に取り付けられるエアゾールバルブとを備えるエアゾール容器と、前記エアゾール容器に取り付けられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の噴射装置と、を備える、エアゾール製品。
【0022】
このような構成によれば、エアゾール製品は、上記噴射装置を備える。そのため、エアゾール製品は、エアゾールバルブを操作することにより、塗布用具にパウダーを含むエアゾール組成物を噴射することができる。この際、パウダーは、塗布用具に直接噴射されるため、飛び散りにくい。また、噴射装置の塗布部において、噴射孔は、凸面状の塗布面に形成されている。そのため、塗布用具に付着しなかったパウダーは、乾燥すると塗布面上を流れ落ちやすく、残留しにくい。その結果、パウダーは、噴射孔近傍に蓄積されにくく、衛生的である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、パウダーを含むエアゾール組成物を、パウダーの飛び散りを抑制しつつ塗布用具に噴射することができ、かつ、塗布用具に付着しなかったパウダーを噴射孔近傍に残留させにくい噴射装置およびエアゾール製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態のエアゾール製品の構成を説明するための模式的な分解図である。
図2図2は、本発明の一実施形態のエアゾール製品の模式的な部分断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態のエアゾール製品の斜視図である。
図4図4は、本発明の一実施形態の塗布部の模式的な斜視図である。
図5図5は、本発明の一実施形態のエアゾール製品の模式的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[エアゾール製品]
本発明の一実施形態(第1の実施形態)のエアゾール製品が、図面を参照しながら詳細に説明される。図1は、本実施形態のエアゾール製品1の構成を説明するための模式的な分解図である。図2は、本実施形態のエアゾール製品1の模式的な部分断面図である。図3は、本実施形態のエアゾール製品1の斜視図である。本実施形態のエアゾール製品1は、エアゾール容器2と、エアゾール容器2に取り付けられる噴射装置3とを主に備える。エアゾール容器2は、パウダーを含むエアゾール組成物が加圧充填される容器本体4と、容器本体4に取り付けられるエアゾールバルブ5とを備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、本実施形態のエアゾール製品1は、噴射装置3に特徴を有する。そのため、エアゾール容器2等のその他の構成は例示であり、適宜設計変更を行うことができる。
【0026】
<噴射装置>
噴射装置3は、エアゾール容器2に取り付けて使用され、後述するエアゾール容器2のエアゾールバルブ5を作動させ、パウダーを含むエアゾール組成物を噴射するための部位である。噴射装置3は、エアゾールバルブ5に取り付けられる塗布部6と、塗布部6に着脱自在に取り付けられ、塗布部6を覆うカバー部7と、カバー部7をさらに覆うキャップ部8とを主に備える。なお、カバー部7およびキャップ部8は、本実施形態の噴射装置3において好適に取り付けられる部位である。そのため、カバー部7およびキャップ部8は必須ではなく、適宜省略されてもよい。また、以下の説明では、説明の明瞭化のため、塗布用具9を備える噴射装置1について述べる。しかしながら、本実施形態の噴射装置1は、塗布用具9を収容するための収容空間Sが形成されることを特徴とする。そのため、塗布用具9そのものは、必須ではない。すなわち、後述されるとおり、塗布用具9は、各種用具が使用されてもよい。
【0027】
(塗布部)
塗布部6は、天面部61と、天面部61の外周縁において下方に延設された周状の外側延設部62と、天面部61の裏面において下方に延設された内側延設部63とを備える。外側延設部62および内側延設部63は、いずれも塗布部6をエアゾール容器2に対して適切に位置決めするための部位である。天面部61(塗布面61a)の中心には、天面部61および内側延設部63を、天面部61の厚さ方向に貫通する貫通路64が形成されている。貫通路64の一端側の開口は、パウダーを含むエアゾール組成物を噴射するための噴射孔65である。一方、貫通路64の他端側の開口は、後述するエアゾールバルブ5のステム51の上端が挿入される挿入孔である。
【0028】
外側延設部62は、後述する二重円筒状の肩カバー42(外側肩カバー43および内側肩カバー44)の間隙に挿入される大径部62aと、大径部62aよりも径の小さい小径部62bとからなる。大径部62aと小径部62bとの接続位置には、段部62cが形成されている。
【0029】
図4は、塗布部6の模式的な斜視図である。大径部62aには、複数の切欠き部62dが所定間隔ごとに形成されている。大径部62aは、肩カバー42の間隙に挿入されることにより、エアゾール容器2に対して位置決めされる(図2参照)。塗布部6が肩カバー42に取り付けられた状態において、大径部62aの切欠き部62dは、塗布部6の内部と外部とを連通する(図3参照)。また、切欠き部62dは、噴射されたパウダーのうち、後述する塗布用具9(図1参照)に付着しなかったパウダーを外側肩カバー43内に取り込み、容器本体4に付着しないよう貯留するための開口である。内側延設部63は、内側延設部63を貫通する貫通路64にステム51の上端が挿入されることにより、エアゾール容器2に対して位置決めされる。
【0030】
本実施形態において、天面部61は、凸面状の塗布面61aが形成されている。塗布面61aは、後述する塗布用具9が載置される面である。塗布面61aにおける凸面形状の程度は特に限定されない。一例を挙げると、塗布面61aは、塗布部6の径方向と直交する方向における断面(垂直断面)において、20〜200mmの曲率半径を有する曲面である。なお、塗布面61aの曲率は、一定であってもよく、変動してもよい。
【0031】
塗布部6を構成する材料としては特に限定されない。一例を挙げると、塗布部6は、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどの合成樹脂から構成され得る。これらの合成樹脂が採用される場合、噴射後に乾燥したパウダーは、塗布面61aから滑り落ちやすく、塗布面61a上に残りにくい。
【0032】
噴射孔65の形状は特に限定されない。一例を挙げると、噴射孔65の形状は、円形であってもよく、非円形状であってもよい。非円形状である場合、噴射孔65の形状は、楕円状、矩形状、多角形状、不定形状等の各種形状であってもよい。また、噴射孔65の数は特に限定されないが、噴射物が一点に集中しないように複数個設けることが好ましい。図4には、細長い長方形状(非円形状の一例、スリット形状)の4つの小孔(噴射小孔65a)から構成される噴射孔が例示されている。4つの噴射小孔65aは、天面部61の中心から放射状に拡がるように、かつ、各噴射小孔65a間の角度が90度になるように等角に配置され、略十字形状の噴射孔が形成されている。これにより噴射孔の先端は天面部61の中心を頂点として円弧状に開口し、塗布用具9に広範囲に噴射することができる。なお、これら4つの噴射小孔65aは、天面部61の裏面側から塗布面61a側にかけて貫通路64の端部が四方向に分岐することにより構成されている(図2参照)。なお、噴射孔65は図4の略十字形状以外にも、複数の噴射小孔65aを、噴射小孔65a間の角度が等角になるように配置することができる。たとえば、2つの噴射小孔65aを、噴射小孔65a間の角度が180度になるように等角に配置した略一文字形状や、3つの噴射小孔65aを、噴射小孔65a間の角度が120度になるように等角に配置した略Y字形状や、6つの噴射小孔65aを、噴射小孔65a間の角度が60度になるように等角に配置した略アスタリスク(*)形状などが挙げられる。
【0033】
本実施形態において、塗布部6の径方向において整列する2つの噴射小孔65aの外側端部の離間距離(d1)は、塗布面61aの径方向の長さ(直径d2)の3〜30%となるように、所定長さの噴射小孔65aが形成されている。このような長さとなるように噴射小孔65aが形成されていることにより、噴射されたエアゾール組成物に含まれるパウダーは、塗布用具9に広範囲に渡って行き渡りやすく、付着しやすい。なお噴射小孔65aは、長辺(スリット長さ)が1.0〜10.0mm、短辺(スリット幅)が0.2〜2.0mmであることが好ましい。
【0034】
噴射孔65の寸法は特に限定されない。一例を挙げると、本実施形態の噴射孔65は、短辺(スリット幅)が0.75mmであり、長辺(スリット長さ)が4.0mmである長孔状の噴射小孔65aから構成されている。また、噴射孔65の断面積は特に限定されない。一例を挙げると、噴射孔65の断面積(本実施形態の場合、複数の噴射小孔65aの総和)は、1mm2以上であることが好ましく、2mm2以上であることが好ましい。また、噴射孔65の断面積は、30mm2以下であることが好ましく、20mm2以下であることがより好ましい。噴射孔65の断面積が1mm2未満の場合、パウダーが詰まりやすく、また塗布用具9の広範囲にわたって均一にパウダーを付着させにくい傾向がある。一方、噴射孔65の断面積が30mm2を超える場合、単位時間当たりの噴射量が多くなりすぎ、塗布用具に付着しすぎ使いにくくなる傾向がある。なお、本実施形態の噴射孔65の断面積(噴射小孔65aの断面積の総和)は、12mm2である。
【0035】
本実施形態の噴射装置3は、4つの噴射小孔65aが塗布面の中心から放射状に配置された略十字形状の噴射孔65が形成されているため、それぞれの噴射小孔65aからパウダーを含むエアゾール組成物を塗布用具9に対して噴射することができる。そのため、塗布用具9は、たとえば噴射孔65が1箇所のみ形成されている場合と比較して、より広範囲に渡って均一にパウダーが付着しやすい。また、複数の噴射小孔65aからエアゾール組成物が噴射されるため、たとえば噴射孔65が1箇所のみ形成されている場合と比較して、塗布用具9に噴射される際のエアゾール組成物の噴射圧が低減される。そのため、噴射されるパウダーは、塗布用具9の深部にまで浸透し過ぎることなく、塗布用具9の表面に適切に付着する。その結果、パウダーは、塗布用具9を使用して適用部位(たとえば皮膚等)に塗り拡げられる際に、容易に適用部位に転着させやすい。
【0036】
(カバー部)
カバー部7は、本実施形態の噴射装置3において好適に取り付けられる部位である。カバー部7は、着脱自在であり、略円板状の平板部71と、平板部71の外周縁において下方に延設された周状の取付部72とを備える。平板部71の裏面には、後述する収容空間S(図5参照)において塗布用具9を適切に位置決めするための複数のリブ71aが形成されている。取付部72の内径は、塗布部6の小径部62bの外径と同程度である。そのため、カバー部7は、取付部72の下端が塗布部6の段部62cと当接するまで嵌め込まれることにより、塗布部6に取り付けられる。
【0037】
図5は、本実施形態のエアゾール製品1の模式的な部分断面図である。噴射装置3には、カバー部7が塗布部6に取り付けられた状態において、塗布用具9を収容するための収容空間Sが形成される。収容空間Sは、塗布面61aとカバー部7とによって画定される空間であり、適宜、塗布用具9(図1参照)が収容され得る。
【0038】
塗布用具9は特に限定されない。塗布用具9は、噴射孔65から噴射されるエアゾール組成物に含まれるパウダーを適宜付着させることができ、適用部位(たとえば皮膚等)に塗り拡げることのできる用具であればよい。このような塗布用具9としては特に限定されない。一例を挙げると、塗布用具9は、パウダーパフ、スポンジ、コットン、ティッシュペーパー、不織布等である。
【0039】
塗布用具9の形状および寸法は、収容空間Sに収まれば、特に限定されない。一例を挙げると、塗布用具9がパウダーパフである場合、塗布用具9の形状は、扁平な円柱状である。また、塗布用具9の厚みは、カバー部7が塗布部6に取り付けられた状態における塗布面61aとカバー部7の平板部71の裏面との離間距離(距離d3)と同程度であるか、いくらか距離d3よりも厚くてもよい。一方、塗布用具9の径は、カバー部7の平板部71の径方向に沿って対向して配置される2つのリブ71aの離間距離(距離d4)と同程度であるか、距離d4よりもいくらか大きくてもよい。このような塗布用具9は、収容空間Sにおいて、噴射孔65を覆うように収容され、リブ71aと当接しつつ、塗布面61aおよびカバー部7の平板部71の裏面によって挟持され、適切に位置決めされる。
【0040】
カバー部7の説明に戻り、カバー部7は、収容空間Sと外部とを連通する連通孔73が形成されている。連通孔73が形成されていることにより、収容空間S内に噴射されたエアゾール組成物は、収容空間S内の圧力と、外部の圧力との圧力差にしたがって、連通孔73から外部に流出される流路が形成されやすい。本実施形態において、連通孔73は、噴射孔65から噴射されたエアゾール組成物が塗布用具9と接触(好ましくは塗布用具9内を通過)してから到達する位置に形成されていることが好ましい。本実施形態の噴射装置3は、連通孔73がカバー部7の平板部71の外周縁(取付部72との接続箇所)に等間隔で4箇所形成されている。これにより、噴射孔65から噴射されたエアゾール組成物は、塗布用具9と接触した後に、連通孔73に到達しやすい。その結果、塗布用具9には、充分な量のパウダーが付着しやすい。また、連通孔73からは、パウダーが充分に低減されたエアゾール組成物が流出しやすい。したがって、本実施形態によれば、使用者は、連通孔73から流出されるエアゾール組成物中のパウダーを吸引する虞が低減され得る。また、このような連通孔73が形成されていることにより、噴射後の収容空間Sの内圧は、外部と同程度に維持される。そのため、本実施形態の噴射装置3は、使用者がカバー部7を取り外して塗布用具9を取り出す際に、パウダーが舞い散りにくい。
【0041】
(キャップ部)
キャップ部8は、カバー部7をさらに覆う部材であり、カバー部7および塗布部6を保護する。キャップ部8は、噴射装置3を操作する際に、取り外される。キャップ部8は、図5に示されるように、天板81と、天板81の外周縁において下方に延設された周状の嵌め込み部82とを備える。嵌め込み部82は、後述する外側肩カバー43に嵌め込まれる部位である。
【0042】
以上の噴射装置3は、エアゾール製品1の一部品として使用される。これにより、本実施形態のエアゾール装置1は、パウダーを含むエアゾール組成物を、パウダーの飛び散りを抑制しつつ塗布用具9に噴射することができ、かつ、塗布用具9に付着しなかったパウダーを噴射孔65近傍に残留させにくい。なお、噴射装置3を用いたエアゾール製品1の使用方法は、後述される。
【0043】
<エアゾール容器>
図2に示されるように、本実施形態のエアゾール容器2は、パウダーを含むエアゾール組成物が加圧充填される容器本体4と、容器本体4に取り付けられるエアゾールバルブ5とを備える。なお、これらは、いずれも周知の部材であり、適宜設計変更を行うことができる。
【0044】
(容器本体)
容器本体4は、汎用の形状であってよい。本実施形態の容器本体4は、上部に開口を有する有底筒状の容器である。また、容器本体4の上部には、縮径された肩部41が形成されている。肩部41の上部には開口するビード部が形成されている。ビード部は、エアゾール組成物を充填するための充填口である。容器本体4のビード部には、後述するエアゾールバルブ5が取り付けられる。
【0045】
容器本体4の材質は特に限定されない。容器本体4の材質としては、アルミニウム、ブリキ等の金属、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロンなどのポリアミドなどの各種合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。
【0046】
エアゾール組成物は、パウダーを含む。パウダーは、エアゾール組成物の液相に溶解せず、微細な固体の状態で分散されている。パウダーは、使用感を向上させる、または、乳化助剤として使用する等を目的として配合される。
【0047】
パウダーの種類は特に限定されない。一例を挙げると、パウダーは、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、フェノールスルホン酸アルミニウム等の制汗剤、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(黄色、赤、黒)、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、無水ケイ酸、タルク、マイカ、アルミナ、セリサイト、カオリン、雲母、ベントナイト、モンモリオナイト、無水ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、群青、ベンガラ、酸化クロム、カーボンブラック、ゼオライト、ナイロンパウダー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体、コーンスターチ等である。これらは、併用されてもよい。これらの中でも、塗布部6から流れ落ちやすく、噴射孔65近傍を汚染しにくい点から、パウダーは、吸水しにくい酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、ナイロンパウダー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体などの親油性パウダーを含有させることが好ましい。
【0048】
パウダーの配合量は特に限定されない。一例を挙げると、パウダーの配合量は、エアゾール組成物中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、パウダーの配合量は、エアゾール組成物中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。パウダーの配合量が0.1質量%未満である場合、エアゾール組成物は、パウダーを含有する効果が得られにくくなる。一方、パウダーの配合量が30質量%を超える場合、エアゾール組成物は、均一な組成で噴射されにくく、噴射孔65や通路内で詰まりやすくなる。
【0049】
エアゾール組成物は、エアゾール容器2内で液体で存在する水性溶媒、油性溶媒、液化ガスおよびこれらの混合物を含んでもよい。
【0050】
水性溶媒としては、精製水、イオン交換水等の水、エタノール、イソプロパノール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、およびこれらの混合物等が例示される。
【0051】
油性溶媒としては、エステル油、シリコーンオイル、炭化水素油等が例示される。
【0052】
液化ガスは、エアゾール容器内では蒸気圧を有する液体であり、エアゾール容器内の圧力を大気圧よりも高くしてパウダーを含むエアゾール組成物を外部に噴射する噴射剤として作用する。また、液化ガスは、噴射されると気化して塗布用具を冷却する効果も有する。液化ガスとしては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン等のハイドロフルオロオレフィン、ジメチルエーテルおよびこれらの混合物等が例示される。
【0053】
油性溶媒、水性溶媒、または、液化ガスには、噴射形態、製品の用途や目的などに応じて、適宜、有効成分、界面活性剤、水溶性高分子等が配合されてもよい。
【0054】
有効成分としては、天然香料、合成香料等の各種香料、l−メントール、カンフル、ハッカ油等の清涼剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、コラーゲン、ヒアルロン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素等の保湿剤、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールおよびこれらの混合物等のビタミン類、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン等のアミノ酸、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾール等の殺菌消毒剤、ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液等の抽出液、酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸、ミョウバン等の収斂剤、アラントイン、グリシルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレン等の抗炎症剤、ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキス等の消臭剤、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤、アルブチン、コウジ酸等の美白剤等が例示される。
【0055】
界面活性剤はパウダーの分散剤としても作用する。界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジメチルアミンオキシド液、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等が例示される。
【0056】
水溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース系高分子、カラギーナン、キサンタンガム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガムなどのガム質、ゼラチン、デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等が例示される。
【0057】
容器本体4の説明に戻り、図1または図2に示されるように、肩部41には、肩カバー42が取り付けられている。肩カバー42は、上記した塗布部6やキャップ部8を容器本体4に取り付けるための部位である。肩カバー42は、二重円筒状であり、外側肩カバー43と、外側肩カバー43の内側に設けられた内側肩カバー44とからなる。
【0058】
外側肩カバー43は、容器本体4の外径と同程度の外径である下側カバー43aと、下側カバー43aよりも小径であり、下側カバー43aの上側に取り付けられた上側カバー43bとからなる。下側カバー43aと上側カバー43bとの接続箇所には、段部43cが形成されている。段部43cには、後述するキャップ部8の嵌め込み部82(図5参照)が嵌め込まれる。
【0059】
内側肩カバー44は、外側肩カバー43の内側に設けられ、容器本体4の肩部41の一部を覆うための部材である。内側肩カバー44の外径は、外側肩カバー43の内径よりも小さい。そのため、外側肩カバー43と内側肩カバー44との間には、間隙が形成される。このような間隙には、塗布部6の大径部62aが挿入される。これにより、塗布部6は、肩カバー42を介して容器本体4に取り付けられる。
【0060】
(エアゾールバルブ)
エアゾールバルブ5は、容器本体4のビード部に取り付けられ、容器本体4内を密封するための部材である。エアゾールバルブ5の構造は特に限定されず、汎用のエアゾールバルブが適宜用いられる。一例を挙げると、エアゾールバルブ5は、下方に押し下げられることにより外部と連通するステム孔(図示せず)を有するステム51と、ステム孔をシールするステムラバー(図示せず)と、ステム51を下方から常時垂直上方向に付勢するスプリング(図示せず)等を備える。このような構成のエアゾールバルブ5によれば、噴射装置3が操作されると、ステムラバーによって閉止されていたステム孔が開放される。これにより、パウダーを含むエアゾール組成物は、容器本体4の内圧(液化ガスの蒸気圧)と、外部との圧力差にしたがって、噴射装置3に取り込まれ、噴射孔65から噴射装置3内に載置される塗布用具9に噴射される。
【0061】
容器本体4にエアゾール組成物を充填する方法は特に限定されない。一例を挙げると、容器本体4の開口からパウダーを分散させた原液を充填し、エアゾールバルブ5により開口を閉止し、エアゾールバルブ5のステムから噴射剤を圧入する方法が採用される。ほかにも、エアゾールバルブ5を固着する前に噴射剤を充填するアンダーカップ充填が採用されてもよい。エアゾール組成物が充填された容器本体4の内圧は、25℃において0.1〜0.6MPa程度である。
【0062】
以上、本実施形態のエアゾール製品1によれば、エアゾールバルブ5を操作することにより、塗布用具9にパウダーを含むエアゾール組成物を噴射することができる。この際、パウダーは、塗布用具9に直接噴射されるため、飛び散りにくい。また、噴射装置3の塗布部6において、噴射孔65は、凸面状の塗布面61aに形成されている。そのため、塗布用具9に付着しなかったパウダーは、塗布面61aに沿って下方に流れ落ち、塗布面61a上に残留しにくい。その結果、パウダーは、噴射孔65近傍に蓄積されにくく、エアゾール製品1は、衛生的である。
【0063】
<エアゾール製品の使用方法>
次に、本実施形態のエアゾール製品1を使用する方法について説明する。
【0064】
まず、エアゾール製品1は、図5に示される状態から、キャップ部8が取り外される。次いで、使用者によって、エアゾール製品1は、カバー部7が押し下げられる。カバー部7が押し下げられることにより、エアゾールバルブ5のステム51が下方に押し下げられ、ステム孔(図示せず)が開放される。これにより、パウダーを含むエアゾール組成物は、容器本体4の内圧と、外部との圧力差にしたがって、噴射装置3に取り込まれ、噴射孔65から噴射装置3内に載置される塗布用具9(図1参照)に噴射される。
【0065】
ここで、本実施形態の塗布部6は、凸面状の塗布面61aが形成されている。そのため、塗布用具9は、塗布用具9の周縁部分よりも、中心部分の方が、塗布面61aとカバー部7とによって強固に挟持され得る。その結果、噴射されたエアゾール組成物中のパウダーは、中心部分だけに付着されずに、適宜塗布用具9の周縁部分にも拡がるよう付着されやすい。これにより、噴射されたパウダーは、塗布用具9の広範囲にわたって均一に付着しやすい。さらに、本実施形態の噴射孔65は、複数のスリット形状の噴射小孔65a(図4参照)が形成されている。これら噴射小孔は細長く円弧状に開口するため、パウダーを含むエアゾール組成物の噴射速度が中心部分と外側部分とで差が小さくなり、パウダーを塗布用具に均等に付着させやすい。
【0066】
また、本実施形態のカバー部7には、収容空間Sと外部とを連通する連通孔73が形成されている。そのため、収容空間S内に噴射されたエアゾール組成物は、収容空間S内の圧力と、外部の圧力との圧力差にしたがって、連通孔73から外部に流出される流路が形成されやすい。特に、本実施形態において、連通孔73は、カバー部7の平板部71の外周縁に所定間隔ごとに4箇所形成されている。そのため、噴射孔65から噴射されたエアゾール組成物は、塗布用具9の径方向の外側に拡がりつつ、塗布用具9内を厚さ方向に通過し得る。
【0067】
使用者によるカバー部7の押し下げが止められると、エアゾールバルブ5のステム51は元の位置に復帰し、ステム孔がステムラバーによって閉止され、噴射操作が完了する。収容空間S内に噴射されたエアゾール組成物に含まれるパウダーのうち、塗布用具9に付着しなかったパウダーは、塗布部6の塗布面61aに落下する。本実施形態の塗布部6の塗布面61aは、凸面状である。そのため、塗布面61aに落下したパウダーは、乾燥すると塗布面61a上を流れ落ちやすくなる。その結果、パウダーは、噴射孔65近傍に蓄積されにくい。したがって、本実施形態の噴射装置3を用いたエアゾール製品1は、噴射孔65近傍が過去に噴射されたパウダーによって汚染されにくく、衛生的である。なお、塗布面61a上から流れ落ちたパウダーは、適宜、塗布部6の切欠き部62dから、塗布部6内に取り込まれ得る。
【0068】
また、本実施形態のカバー部7には、収容空間Sと外部とを連通する連通孔73が形成されている。そのため、噴射操作が完了した後、収容空間Sの内圧は、外部と同程度となる。その結果、本実施形態の噴射装置3を用いたエアゾール製品1は、使用者がカバー部7を取り外して塗布用具9を取り出す際に、パウダーが舞い散りにくい。使用者は、塗布用具9を用いて適用部位(たとえば皮膚等)にパウダーを塗り拡げることができる。塗布用具9は、使用後に噴射装置3に収容されて再利用されてもよく、新しい塗布用具9に交換されてもよい。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明した。本発明は、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0070】
(1)上記実施形態では、カバー部を備える噴射装置について例示した。これに代えて、本発明の噴射装置は、カバー部が省略されてもよい。このような変形例によれば、塗布用具は、塗布部の塗布面に載置される。使用者は、塗布用具を押し下げることにより、エアゾール組成物を噴射し得る。この場合、使用者は、噴射孔の位置に合わせて塗布用具を適宜移動させることにより、塗布用具の所望の位置に所望される量のパウダーを付着させることができる。また、カバー部の開閉動作が省略されるため、本変形例の噴射装置は、利便性がよい。
【0071】
(2)上記実施形態では、塗布用具が載置された塗布部に、別途、カバー部が取り付けられる態様について例示した。これに代えて、本発明の噴射装置は、塗布用具がカバー部に取り付けられていてもよい。このような変形例によれば、使用者は、エアゾール組成物を噴射した後に、カバー部を開放する動作を行うことによって、同時に塗布用具を取り出し、すぐに使用することができる。また、塗布用具がカバー部と一体的に設けられているため、カバー部を開けた際に塗布用具が落下する等の不具合が防がれる。また、塗布用具は、紛失されにくい。さらに、本変形例によれば、塗布用具を塗布面の中心位置に合わせて正確に載置する煩わしさがない。
【0072】
(3)上記実施形態では、連通孔が、カバー部の平板部の外周縁に等間隔で4箇所形成されている態様について例示した。これに代えて、本発明は、連通孔が他の位置に形成されていてもよい。たとえば、連通孔は、カバー部の取付部に形成されてもよく、取付部と平板部の両方に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 エアゾール製品
2 エアゾール容器
3 噴射装置
4 容器本体
41 肩部
42 肩カバー
43 外側肩カバー
43a 下側カバー
43b 上側カバー
43c 段部
44 内側肩カバー
5 エアゾールバルブ
51 ステム
6 塗布部
61 天面部
61a 塗布面
62 外側延設部
62a 大径部
62b 小径部
62c 段部
62d 切欠き部
63 内側延設部
64 貫通路
65 噴射孔
65a 噴射小孔
7 カバー部
71 平板部
71a リブ
72 取付部
73 連通孔
8 キャップ部
81 天板
82 嵌め込み部
9 塗布用具
図1
図2
図3
図4
図5