(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒンジ軸と平行を成す方向に延在され、前記ヒンジ軸の軸方向一方側へ移動されることで前記検知レバーに当接して該検知レバーを作動させるルーパカバー開閉検知軸と、
前記ルーパカバーに設けられ、前記ルーパカバーの閉位置において前記ルーパカバーが前記ヒンジ軸の軸方向一方側へスライドされることで前記ルーパカバー開閉検知軸を押圧して軸方向一方側へ移動させる押圧部と、
を備え、
前記サイドカバーの閉位置における前記検知レバーの作動時では、前記サイドカバーが前記ルーパカバーに対して直接又は間接的に作用して、前記検知レバーが前記作動許可位置に留まるように前記押圧部の位置が規制され、
前記サイドカバーの開位置における前記検知レバーの作動時では、前記サイドカバーが前記ルーパカバーから離間して、前記押圧部の位置規制が解除されると共に前記検知レバーが前記作動不許可位置に配置される請求項1に記載のロックミシン。
前記主軸の回転を許可する状態のときに許可位置に停止し、前記主軸の回転が許可されていない状態のときには前記許可位置からずれた揺動位置にあるように所定の範囲で揺動可能に設けられた揺動レバー部と、
前記揺動レバー部が前記許可位置にある場合に前記検知レバーの作動を許可すると共に、前記揺動レバー部が前記許可位置にない場合に前記検知レバーの作動を制限する作動制限部と、
を備えた請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のロックミシン。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るロックミシン1について説明する。なお、図面にて適宜矢印で示される上下、前後、左右の方向は、それぞれロックミシン1の上下方向、前後方向、左右方向(幅方向)を示している。
図1に示されるように、ロックミシン1は、ルーパ部Aと、空気流路切換機構Bと、糸通し切換機構Cと、主軸固定機構Dと、安全機構Eとを含んで構成されている。また、
図11に示されるように、ロックミシン1は、ロックミシン1の前部を構成し且つ安全機構Eを作動させるためのルーパカバー110と、メスカバー120と、ロックミシン1の左側部を構成するサイドカバー130と、を有している。さらに、ロックミシン1は、サイドカバー130の開閉状態に応じて、閉止位置におけるルーパカバー110の左右位置を切換えるカバー位置切換機構Fを有している。そして、ロックミシン1では、空気の力を利用してルーパに糸通しを行う「糸通し機構」が、空気流路切換機構B及び糸通し切換機構Cによって構成されており、糸通し機構を糸通し状態と縫製可能状態とに切換える「切換機構」が、糸通し切換機構C及び主軸固定機構Dによって構成されている。以下、各構成について説明する。
【0015】
(ルーパ部Aについて)
図1に示されるように、ルーパ部Aは、ミシン本体140(
図9参照)の一部を構成するユニット台142の左側に配置されている。このルーパ部Aは、中空構造を成す略長尺状の上ルーパ10及び下ルーパ12を備えている。上ルーパ10及び下ルーパ12のそれぞれの基端部は、上ルーパ受口10A及び下ルーパ受口12Aとされており、上ルーパ10及び下ルーパ12のそれぞれの先端部は、上ルーパ剣先10B及び下ルーパ剣先12Bとされている。そして、空気流路切換機構B及び糸通し切換機構Cを介して搬送される上ルーパ糸TH1及び下ルーパ糸TH2を、上ルーパ受口10A及び下ルーパ受口12Aによって受け容れるようになっている。また、ルーパ部Aは、ルーパ天秤14を有しており、ルーパ天秤14は、上ルーパ糸掛け14A及び下ルーパ糸掛け14Bを有している。そして、上ルーパ10と下ルーパ12は、後述する主軸68の回転により上下動する針(図示省略)と交差タイミングを図りながら往復運動を行う構成になっている。
【0016】
(空気流路切換機構Bについて)
図1に示されるように、空気流路切換機構Bは、略ブロック状の本体部16を有しており、本体部16は、ユニット台142の前面に固定されている。この本体部16の後面には、チューブ19が設けられており、圧縮空気供給装置(図示省略)によって発生した圧縮空気を、チューブ19を介して空気流路切換機構Bに供給する構成になっている。また、本体部16の上面には、上ルーパ糸挿入孔16A及び下ルーパ糸挿入穴16Bが形成されており、上ルーパ糸挿入孔16A及び下ルーパ糸挿入穴16Bは、本体部16の下面に設けられた上ルーパ糸排出管16C及び下ルーパ糸排出管16Dにそれぞれ連通されている。さらに、本体部16の前面には、選択つまみ18が設けられており、選択つまみ18が操作されることにより、糸通し作業の際、上ルーパ糸TH1及び下ルーパ糸TH2のいずれの糸を通すのかを設定する構成になっている。
【0017】
(糸通し切換機構Cについて)
図1に示されるように、糸通し切換機構Cは、空気流路切換機構Bの下側に配置されている。
図2にも示されるように、糸通し切換機構Cは、管用支持部材20を有しており、管用支持部材20は、上方から見た平面視で、前方へ開放された略U字形に屈曲されて、ねじによってユニット台142(
図1参照)に固定されている。また、糸通し切換機構Cは、左右方向に延在し且つ前後方向に並んだ一対のスライド管22を有しており、スライド管22の左端部が、管用支持部材20の左側壁に形成された支持孔20A,20Bに摺動可能に保持されている。さらに、スライド管22の右端部には、正面視で略逆L字形状を成す上ルーパ導通管32及び下ルーパ導通管34が摺動可能に挿入されている。この上ルーパ導通管32及び下ルーパ導通管34の左側の端部は、管用支持部材20の右側壁に保持されており、上ルーパ導通管32及び下ルーパ導通管34の上端部が、前述した上ルーパ糸排出管16C及び下ルーパ糸排出管16Dにそれぞれ連結されている。また、スライド管22の右側の端部には、フランジ22Aが形成されている。
【0018】
管用支持部材20の右側には、前後方向を板厚方向とし且つ左右方向に延在された略長尺板状のスライド板(スライド部材)24が設けられている。スライド板24の左側の端部は、平面視で前方へ開放された略U字形状を成す保持部24Lとされており、保持部24Lが、管用支持部材20の内側に配置されている。そして、保持部24Lに形成されたU溝24Aによってスライド管22が摺動可能に保持されると共に、スライド管22のフランジ22Aが、保持部24Lの内側に配置されている。また、スライド管22の右端部には、圧縮コイルバネとして構成されたスライド管バネ26が装着されており、スライド管バネ26は、フランジ22Aと、保持部24Lにおける右壁と、の間に配置されている。これにより、スライド板24の左右のスライドに従動して、スライド管22が糸通し位置と縫製可能位置との間を移動するようになっている。具体的には、糸通し位置では、スライド管22の左端が、前述した上ルーパ受口10A及び下ルーパ受口12Aに接続されように設定され、縫製可能位置では、スライド管22の左端が、上ルーパ受口10A及び下ルーパ受口12Aに対して右側へ離間する設定になっている。
【0019】
さらに、スライド板24には、左右方向を長手方向とする長孔24B及び異形長孔24Cが左右に並んで形成されており、異形長孔24Cが長孔24Bに対して右側に配置されている。また、異形長孔24Cは、幅寸法が一定とされた長孔部24C1と、長孔部24C1の左側端部に接続され且つ長孔部24C1の幅よりも径寸法が大きくされた略円形状の拡径部24C2と、を有している。さらに、スライド板24の右側端部には、前側へ突出されたピン24Dが一体に設けられている。
【0020】
前述したスライド管22の上側には、左右方向を軸方向とする支持軸28が、管用支持部材20の左右の両側壁に架け渡されている。また、支持軸28は、スライド板24の保持部24Lを貫通しており、保持部24Lが支持軸28に摺動可能に保持されている。また、支持軸28の右側部には、圧縮コイルバネとして構成された軸バネ30(
図2参照)が装着されており、軸バネ30は、スライド板24の保持部24Lを管用支持部材20に対して左側へ付勢している。
【0021】
図1に示されるように、管用支持部材20の右側で且つスライド板24の後側には、スライド板支え36が設けられており、スライド板支え36は、ねじによってユニット台142に固定されている。
図3(A)にも示されるように、スライド板支え36は、左右方向に延在された略長尺板状に形成されており、スライド板支え36の右側部分が、平面視で前方へ開放された略U字形状に形成されている。
【0022】
スライド板支え36の左側部分には、前側へ突出された左右一対のピン36Pが設けられている。この一対のピン36Pは、スライド板24の長孔24B及び長孔部24C1内に、それぞれ挿入されて、スライド板24を摺動可能に保持している。スライド板支え36の右側部分(U字形に屈曲された部分)には、左右方向を軸方向とする作動軸38が架け渡されており、作動軸38が、スライド板支え36の通し孔36A,36B内に挿通されて、スライド板支え36に回転可能に保持されている。
【0023】
図3(A)及び(B)に示されるように、作動軸38には、スライド板支え36の右壁に対して左側において、切換部材(切換え制限部)40が一体揺動(回動)可能に固定されている。この切換部材40の右端部には、上側へ延出された腕が形成されており、当該腕の先端部には、右側へ突出されたピン40Pが設けられている。ピン40Pは、スライド板支え36の右壁に形成され且つ円弧状に湾曲された長孔36Cに摺動可能に挿入されている。また、切換部材40は、前方側へ延びる係合ピン40Aを有している。
【0024】
作動軸38には、スライド板支え36の中央側壁に対して右側において、切換作動部材(主軸固定作動腕部)42が一体揺動(回動)可能に固定されている。切換作動部材42は、下方側へ延出された腕を有しており、当該腕の先端部には、右側へ突出されたピン42Pが設けられている。このピン42Pには、トーションバネとして構成された作動バネ44の一端部が係止され、作動バネ44の他端部は、スライド板支え36の小孔36Dに係止されている。そして、作動バネ44の作用により、切換作動部材42が、中立位置(
図3(B)に示される位置)を境に前側又は後側へ付勢されるようになっている。また、切換作動部材42の上端部には、上下方向を長手方向とする係合長孔42Aが貫通形成されている。
【0025】
図1に示されるように、スライド板支え36の前側には、切換連動部材48が設けられている。
図4に示されるように、切換連動部材48は、略円筒状を成すボス48Aを有しており、ボス48Aは、ユニット台142に固定された前後方向を軸方向とする支持軸46に回動可能に支持されている。そして、切換連動部材48は、支持軸46に固定された受け部材50と、支持軸46に係止されたEリング52とによって、前後に挟みこまれている。
【0026】
切換連動部材48は、切換アーム(スライド部材係合部)48Bと、一対の係合アーム(切換え係合部)48C、48Dとを有している。切換アーム48Bは、ボス48Aから上側へ延出されており、切換アーム48Bの先端部が、前述したスライド板24のピン24D(
図1参照)の左側に隣接して配置されている。係合アーム48Cは、切換アーム48Bの長手方向中間部から略右斜め上方へ延設されており、係合アーム48Dは、係合アーム48Cの下側の位置において、切換アーム48Bの長手方向中間部から右側へ延設されている。そして、一対の係合アーム48C、48Dの間に、前述した切換部材40の係合ピン40A(
図1参照)が配置されている。
【0027】
さらに、切換連動部材48のボス48Aには、切換つまみ(切換操作部)54が、一体揺動(回動)可能に固定されている。そして、切換つまみ54が、支持軸46の軸回りを時計回りに回動されると、切換アーム48Bが、スライド板24のピン24Dを右側へ押して、スライド板24を右側へスライドさせるようになっている。なお、ロックミシン1では、切換つまみ54が、後述する正面カバー146(
図6参照)の前側に配置されて、使用者によって操作可能に構成されている。また、
図1に示されるように、糸通し切換機構Cの左端には、ルーパ天秤案内56が配置されており、ルーパ天秤案内56は、ミシン本体140(後述)又はユニット台142に固定されている。このルーパ天秤案内56には、管用支持部材20の支持孔20A,20Bに対応する位置において、一対の丸孔56A、56Bが形成されている。
【0028】
(主軸固定機構Dについて)
図4に示されるように、主軸固定機構Dは、前後方向を軸方向とし且つ後方側へ開放された略有底円筒形状の外側固定軸(第1の軸)60を有しており、外側固定軸60は、ユニット台142に形成された挿通孔142A内に挿入されている。この外側固定軸60の内部には、内側固定軸(第2の軸)62が相対移動可能に挿入されている。また、外側固定軸60の内部には、外側固定軸60の底部(前端部)と内側固定軸62との間において、圧縮コイルバネとして構成された軸バネ64が挿入されており、軸バネ64は、外側固定軸60と内側固定軸62とを互いに離間する方向に付勢している。
【0029】
図3(B)にも示されるように、内側固定軸62の前端部には、連結ピン66が固定されている。この連結ピン66は、内側固定軸62から右側へ延出されると共に、外側固定軸60の外周部に形成され且つ前後方向に延在された長孔(係合部)60Aの内部に挿通されている。これにより、軸バネ64の付勢力によって、連結ピン66が長孔60Aの後端部に係合されて、内側固定軸62と外側固定軸60との相対位置が維持されるようになっている。また、連結ピン66の右端部は、前述した切換作動部材42の係合長孔42A内に挿入されている(
図3(B)参照)。これにより、内側固定軸62が連結ピン66によって切換作動部材42に連結されており、切換作動部材42が揺動することで、内側固定軸62及び連結ピン66が前後方向に移動するようになっている。
【0030】
また、前述したスライド板24の
縫製可能位置では、外側固定軸60が、スライド板24の拡径部24C2内に配置されている。さらに、外側固定軸60の前端部における外周部には、周方向全周に亘って、溝部60Bが形成されている。そして、スライド板24の長孔部24C1の縁部が溝部60B内に挿入されて、スライド板24が左方向へスライドすることで、スライド板24の
糸通し位置へのスライドが許容される構成になっている。
【0031】
図1に示されるように、外側固定軸60の後側には、左右方向を軸方向とした主軸68が配置されており、主軸68は、ロックミシン1の右側部に設けられた、はずみ車144(
図11参照)の回転操作によって回転可能に構成されている。主軸68には、略円板状の主軸固定板69が同軸上に固定されており、主軸固定板69は、外側固定軸60の軸線上に配置されている。主軸固定板69の外周部には、主軸固定板69の径方向外側へ開放された切欠き69Aが形成されている。そして、外側固定軸60が後方へ移動されて、外側固定軸60の後端60C(
図4参照)が、切欠き69A内に嵌合することで、主軸68の回転が阻止される設定になっている。
【0032】
(安全機構Eについて)
図1に示されるように、安全機構Eは、前述した糸通し切換機構Cに対して右側に配置されている。この安全機構Eは、判別リング72、カバー検知台74、検知レバー76、ルーパカバー開閉検知軸80(以下、単に「カバー検知軸80」という)、スイッチ84、及びスイッチ台86を含んで構成されている。
【0033】
図3(B)に示されるように、判別リング72は、略円筒形状に形成されると共に、スライド板支え36の右側において、作動軸38に一体回動可能に固定されている。判別リング72の外周部には、判別リング72の径方向外側へ開放された切欠き72Aが形成されており、切欠き72Aは判別リング72の軸方向に貫通されている。そして、判別リング72が、作動軸38と一体回動して、切欠き72Aの回動位置が変更されることによって、後述する検知レバー76の作動を制御(検知レバー76の作動を許可又は制限)するようになっている。すなわち、判別リング72及び後述する検知レバー76の第1レバー部76Cは、作動軸38の揺動位置により検知レバー76の作動を制限する作動制限部として機能している。なお、本実施形態では、上述した、作動軸38と、切換部材40と、切換作動部材42と、判別リング72とにより揺動レバー部を形成しており、これらの一部又は全部を一体化して揺動レバー部を構成してもよい。
【0034】
図5に示されるように、カバー検知台74は、判別リング72(
図1参照)の右斜め下方に配置されて、ねじによってユニット台142に固定されている。このカバー検知台74の略中央部には、前方へ突出された支持軸74Aが設けられている。
【0035】
検知レバー76は、中央部に支持孔76Aを有する円筒形状のボス76Bを有しており、支持孔76A内にカバー検知台74の支持軸74Aが挿入されて、ボス76B(検知レバー76)が支持軸74Aに回動(揺動)可能に支持されている。すなわち、検知レバー76の回動軸線と、前述した作動軸38の軸方向(左右方向)とが交差している。そして、ボス76Bの後端部には、トーションバネとして構成された検知レバーバネ78が装着されおり、検知レバーバネ78によって、検知レバー76が正面視で時計回りに付勢されている。
【0036】
また、検知レバー76は、ボス76Bから上方側へ延出された第1レバー部76Cと、第1レバー部76Cの長手方向中間部における左側面から前方側へ延出された作動アーム76Dと、ボス76Bから右斜め下方側へ延出され且つ後述するスイッチ84の作動突起84Aを押圧するための第2レバー部76Eと、第1レバー部76Cの長手方向中間部において右側へ突出されたストッパ76Fとを有している。
【0037】
そして、糸通し切換機構Cの縫製可能状態では、前述した判別リング72の切欠き72Aが、第1レバー部76Cの左側(許可位置)に配置されて、第1レバー部76Cの左側への揺動が判別リング72によって制限されない状態(検知レバー76の作動許可状態)に設定されている。一方、糸通し切換機構Cの糸通し状態では、判別リング72の切欠き72Aが、第1レバー部76Cの先端部に対して判別リング72の周方向にずれて(揺動位置に配置されて)、第1レバー部76Cの左側への揺動が判別リング72によって制限される状態(検知レバー76が作動制限状態)になるように設定されている。
【0038】
なお、検知レバー76の非作動状態では、検知レバーバネ78の付勢力によって、検知レバー76のストッパ76Fがカバー検知台74の左側の腕74Bに当接して、検知レバー76が初期位置に維持される設定になっている。
【0039】
カバー検知軸80は、左右方向を軸方向として検知レバー76の作動アーム76Dの右側に隣接配置されると共に(
図1参照)、カバー検知台74に形成された一対の通し孔74C内に摺動可能に挿入されている。また、カバー検知軸80の左側部分には、圧縮コイルバネとして構成された付勢バネ82(カバー検知軸バネ)が装着されており、付勢バネ82の右端が、カバー検知軸80に固定されたEリング83に係止されて、カバー検知軸80が、付勢バネ82によって右側(検知レバー76に対して離間する方向)へ付勢されている。そして、カバー検知軸80が、付勢バネ82に抗して左側へ移動して、検知レバー76の作動アーム76Dを左側へ押圧することで、検知レバー76が作動する(支持軸74Aの軸回りに揺動する)構成になっている。
【0040】
スイッチ84は、検知レバー76(第2レバー部76E)の右側に配置されて、後述するスイッチ台86にねじによって固定されている。このスイッチ84は、作動突起84Aを有している。そして、検知レバー76が作動して、第2レバー部76Eが作動突起84Aを押圧することで、スイッチ84が作動する構成になっている。具体的には、作動突起84Aが検知レバー76(第2レバー部76E)によって押圧されて引っ込んだ状態となるときには、スイッチ84がON状態となり、モータが駆動可能な状態になるように設定されている。一方、作動突起84Aが検知レバー76(第2レバー部76E)によって押圧されずに突出した状態となるときには、スイッチ84がOFF状態となり、モータが駆動不能な状態となるように設定されている。
【0041】
スイッチ台86は、絶縁体によって構成されており、ねじによりカバー検知台74に固定されている。このため、前述したスイッチ84が、カバー検知台74を介して、ユニット台142に固定されている。したがって、スイッチ84が、後述するルーパカバー110及びサイドカバー130の開閉動作時に移動しない部材に固定されている。なお、スイッチ84及びその端子部に対する絶縁状態が確保されていれば、このスイッチ台86を省略してもよい。
【0042】
ここで、検知レバー76における初期位置では、検知レバー76における第2レバー部76E(の先端部)が、スイッチ84の作動突起84Aに対して下方側(不作用域)に退避(離間)している。すなわち、モータが駆動不能な状態にされている。また、検知レバー76の作動では、カバー検知軸80による検知レバー76に対する押込み量によって、検知レバー76が、以下に示す2通りに作動するように設定されている。
【0043】
具体的には、カバー検知軸80の検知レバー76に対する押込み量が所定量である場合には、検知レバー76が、初期位置から支持軸74Aの軸回りに反時計回りに回転して、第2レバー部76Eがスイッチ84の作動突起84Aを押圧する作動許可位置に移動(作動)するように設定されている。これにより、検知レバー76の作動許可位置では、モータが駆動可能となるように構成されている。一方、カバー検知軸80の検知レバー76に対する押込み量が所定量よりも大きい場合には、検知レバー76が作動許可位置よりもさらに回転して、第2レバー部76Eが作動突起84Aから離間するように設定されている(以下、この位置を「作動不許可位置」という)。これにより、検知レバー76の作動不許可位置では、モータが駆動不能な状態となるように構成されている。
【0044】
なお、検知レバー76に対するカバー検知軸80の押圧が解除されると、検知レバー76は検知レバーバネ78の付勢力によって、作動許可位置又は作動不許可位置から初期位置へ回動(復帰)するように構成されている。
【0045】
(ルーパカバー、メスカバー、サイドカバー、カバー位置切換機構Fについて)
次に、本発明の要部であるカバー位置切換機構Fについて説明しつつ、ルーパカバー110、メスカバー120、及びサイドカバー130の各構成について説明する。
図11に示されるように、カバー位置切換機構Fは、ルーパカバー110をロックミシン1にヒンジ結合するヒンジ機構90と、サイドカバー開閉検知軸100(以下、単に「カバー検知軸100」という)と、を含んで構成されている。また、
図6及び
図7に示されるように、ヒンジ機構90は、ロックミシン1の正面側に配置された正面カバー146の下端部に設けられた左右一対の固定ヒンジ部92L,92Rと、左右方向(幅方向)を軸方向とするヒンジ軸94と、圧縮コイルバネとして構成されたヒンジバネ96と、を含んで構成されている。なお、正面カバー146は、前述した糸通し切換機構C、主軸固定機構D、及び安全機構Eを前側から覆っている。
【0046】
ここで、正面カバー146の前側には、前述したルーパ部Aの一部を覆うための略板状のルーパカバー110が設けられており、ルーパカバー110は、ヒンジ機構90によって正面カバー146に対して開閉可能に構成されている。また、ルーパカバー110は、正面カバー146を覆うカバー部110Aを有している。さらに、ルーパカバー110の開状態(
図6の状態)における後端部は、カバー部110Aに対して左側へ延長されており、当該延長された部分が延長部110Bとされている。換言すると、カバー部110Aの左側部分が切り欠かれた形状に形成されている。また、ルーパカバー110の開状態における後端部には、左右一対のヒンジ部110L、110Rが設けられており、ヒンジ部110L、110Rは、延長部110Bに対して右側において、左右に離間して配置されている。
【0047】
ヒンジ機構90における一対の固定ヒンジ部92L,92Rは、左右方向に離間して配置されており、ルーパカバー110の一対のヒンジ部110L、110Rの間に配置されている。そして、一対の固定ヒンジ部92L,92Rにヒンジ軸94がスライド可能に保持されており、当該ヒンジ軸94に、ルーパカバー110一対のヒンジ部110L、110Rが回動可能及び左右方向にスライド可能に保持されている。また、左側の固定ヒンジ部92Lには、下方へ開放された切欠き部93が形成されている。さらに、ヒンジ軸94の軸長は、ルーパカバー110の開状態における後端部の左右長さに対応した長さに設定されている。すなわち、ヒンジ軸94の軸長は、一対のヒンジ部110L、110Rの間の長さよりも長く設定されており、ヒンジ軸94がヒンジ部110Lに対して左側へ延出されている。
【0048】
ヒンジバネ(ルーパカバーバネ)96は、ヒンジ軸94の右側部分に装着(嵌装)されている。そして、ヒンジバネ96の装着状態では、固定ヒンジ部92Rの左側においてヒンジ軸94に係止されたEリング97と、固定ヒンジ部92Rと、の間で、ヒンジバネ96が圧縮変形した状態にされている。これにより、ヒンジバネ96の付勢力によってヒンジ軸94が左側へ付勢されている。さらに、ヒンジ軸94には、ルーパカバー110におけるヒンジ部110Lの右側において、Eリング97が係止されている。これにより、左側へ付勢されたヒンジ軸94によってEリング97がヒンジ部110Lに当接されて、ルーパカバー110が左側へ付勢されている。
【0049】
また、固定ヒンジ部92Lに対して右側には、ルーパカバー110に一体に設けられたリブ110Cが配置されている。そして、ルーパカバー110の開状態では、リブ110Cが固定ヒンジ部92Lに当接して、ルーパカバー110の左側への移動が制限される構成になっている。一方、ルーパカバー110が正面カバー146を閉じた状態では、固定ヒンジ部92Lの切欠き部93の右側にリブ110Cが配置されて、リブ110Cによるルーパカバー110に対する位置規制が解除される設定になっている。
【0050】
さらに、ルーパカバー110の右側壁には、フック(押圧部)110Dが一体に設けられており、フック110Dは、当該右側壁から左側へ突出されている。そして、
図6に示されるルーパカバー110の開位置から、ルーパカバー110を閉位置側(
図6の矢印K1側)へ回動させると、ルーパカバー110が、正面カバー146又はベルトカバー148に当接して閉位置に到達する。具体的には、当該閉位置において、ルーパカバー110のフック110Dが正面カバー146の右壁に形成された窓146Aに対して右側に隣接配置されるようになっている。
【0051】
そして、ルーパカバー110の閉位置では、ヒンジバネ96の付勢力によってルーパカバー110が左側へスライドして、リブ110Cがヒンジ機構90の切欠き部93内を侵入すると共に、ルーパカバー110のフック110Dが、窓146A内に侵入(
図9の矢印K2を参照)して、窓146Aと係合する構成になっている。これにより、ルーパカバー110の前側への開放が阻止されて、ルーパカバー110が閉止位置に保持される構成になっている。そして、後述するサイドカバー130を閉じた状態では、閉止位置におけるルーパカバー110の右側面と、ミシン本体カバー158の右側面と、が面一に配置される設定になっている(以下、このルーパカバー110の閉止位置を「正規閉止位置」という)。さらに、ヒンジバネ96の付勢力によってルーパカバー110が左側へスライドするときには、ルーパカバー110のフック110Dが、カバー検知軸80の右端80Aを左側へ押圧する構成になっている。
【0052】
メスカバー120は、ルーパカバー110(具体的には、カバー部110A)の左側に配置されている。メスカバー120は、ヒンジ軸94とヒンジ結合する左右一対のヒンジ部120L,120Rを有しており、ヒンジ部120L,120Rは、ヒンジ軸94(の左側部分)に回動可能及び左右方向にスライド可能に保持されている。すなわち、ヒンジ軸94がルーパカバー110及びメスカバー120の共通の回動軸として構成されている。
【0053】
また、ヒンジ軸94の左側部分には、メスカバー120における一対のヒンジ部120L,120Rの間において、圧縮コイルバネとして構成されたメスカバーバネ98が装着(嵌装)されている。このメスカバーバネ98の右端は、ヒンジ軸94に固定されたEリング97に係止されて、メスカバー120が、メスカバーバネ98によって左側へ付勢されている。
【0054】
また、メスカバー120の右側部分には、右側へ突出されたフック120Aが形成されており、フック120Aは、ルーパカバー110の左側部分に形成された略U字形状のガイド110Eに左側からスライド可能に挿入されている。これにより、フック120Aがガイド110E内に挿入された状態では、メスカバー120がルーパカバー110と共に回動して、ミシン本体140の下メス150、上メス152(
図11参照)を前側から覆うように構成されている。一方、メスカバー120は、ルーパカバー110と共に閉位置へ回動した後、ヒンジ軸94上を左側へスライドするが、メスカバー120の左端120Bが下メス150又はその支持部材に当接して、メスカバー120の左側へのスライドが制限される構成になっている。
【0055】
また、メスカバー120には、ルーパカバー110の左側部分(切り欠かれた部分)の縁部に沿って延在された段差部120Cが形成されている。そして、メスカバー120のフック120Aがルーパカバー110のガイド110E内に挿入された状態では、メスカバー120の表面(閉じた状態の前面)とルーパカバー110の表面(前面)とが面一に配置されるように、段差部120Cが形成されている。
【0056】
図8に示されるように、カバー検知軸100は、左右方向を軸方向として、ヒンジ軸94(
図11参照)の左側においてヒンジ軸94と同軸上に配置されている。また、カバー検知軸100は、ミシン本体140に形成された貫通孔140A内に摺動可能に挿入されており、カバー検知軸100の右端が、ヒンジ軸94の左端と当接可能に構成されている。カバー検知軸100の左側の部分は、ミシン本体140に対して左側へ突出されており、当該部分には、圧縮コイルバネとして構成された検知バネ102が装着されている(
図9参照)。この検知バネ102は、カバー検知軸100の左端部に係止されたEリング104と、ミシン本体140との間に配置されて、カバー検知軸100を左側へ付勢している。さらに、カバー検知軸100の右端部には、Eリング106が係止されており、Eリング106がミシン本体140に係合することで、カバー検知軸100の位置が維持されている。以下、このカバー検知軸100の位置を、「開状態検知位置」という。
【0057】
ミシン本体140の左側には、カバー検知軸100の上側において、受け板154が設けられており、受け板154は、平面視で、右側へ開放された略ハット形板状に形成されている。そして、受け板154の長手方向両端部が、ねじによってミシン本体140に固定されている。
【0058】
サイドカバー130は、右側へ開放された略箱状に形成されて、ルーパカバー110に対して左側(ヒンジ軸94の軸方向一方側)に配置されている。そして、サイドカバー130における後壁の開口部分が、ヒンジ部材156を介してミシン本体140に固定されている。具体的には、サイドカバー130が、上下方向を軸方向としてミシン本体140に開閉可能に固定されている。
【0059】
また、サイドカバー130における上壁の開口部には、右側へ開放された収容部130Aが形成されており、収容部130A内にミシン本体140の針板153が収容される構成になっている。さらに、サイドカバー130の左側壁には、係止部材132が固定されている。この係止部材132は、正面視で略逆L字形板状に形成されており、係止部材132の下部が、ねじによって、サイドカバー130に形成された上下一対の固定部130Bに固定されている。また、係止部材132の上端側の端部には、上側へ突出されたフック部132Aが形成されている。そして、サイドカバー130の閉状態において、フック部132Aが、受け板154の下面154Aに係止されることで、サイドカバー130の閉状態が保持されるようになっている。
【0060】
また、サイドカバー130の左側壁には、固定部130Bに対して上側の位置において、略円柱状のストッパ130Cが突出成形されている。そして、サイドカバー130を閉じたときには、ストッパ130Cが受け板154の頂壁に当接して、サイドカバー130の回動が制限されるようになっている。
【0061】
さらに、サイドカバー130の左側壁には、略円柱状の検知軸押圧部130Dが突出成形されている。そして、
図9に示されるように、サイドカバー130を開いた状態では、検知軸押圧部130Dがカバー検知軸100の左側に離間されて、カバー検知軸100が開状態検知位置に配置される設定になっている。一方、
図10に示されるように、サイドカバー130を閉じた状態では、検知軸押圧部130Dがカバー検知軸100の左端を検知バネ102の付勢力に抗して右側(
図10の矢印参照)へ押圧して、カバー検知軸100が、開状態検知位置に対して右側に配置されるようになっている(以下、このカバー検知軸100の位置を「閉状態検知位置」という)。
【0062】
そして、カバー検知軸100が閉状態検知位置では、カバー検知軸100の右端がヒンジ軸94と当接して、ルーパカバー110が正規閉止位置に配置される構成になっている。また、ルーパカバー110の正規閉止位置では、ルーパカバー110のフック110Dがカバー検知軸80を左側へ押圧して、カバー検知軸80が検知レバー76の作動アーム76Dを所定量だけ左側へ押し込むように設定されている。すなわち、検知レバー76が初期位置から作動許可位置へ揺動されて、スイッチ84がON状態に切換わるようになっている。一方、カバー検知軸100の開状態検知位置では、カバー検知軸100が閉状態検知位置に対して左側に配置されるため、ルーパカバー110及びヒンジ軸94が正規閉止位置よりもさらに左側に配置される(オーバーランする)設定になっている。具体的には、ルーパカバー110のフック110Dによって押し込まれるカバー検知軸80の押込み量が所定量より大きくなり、検知レバー76が初期位置から作動不許可位置へ揺動される設定になっている。
【0063】
また、
図11に示されるように、下メス150及び上メス152(本開示の「切断機構」に対応)による布(被縫製物)の切り幅が最少側に設定された場合では、メスカバー120がメスカバーバネ98の付勢力によって左側(
図11の矢印M1参照)に寄るようになっている。具体的には、左右方向における、ルーパカバー110の左端面110Fと、メスカバー120の左端120Bとの位置が一致して、メスカバー120の段差部120Cとカバー部110Aの左端面110Gとの間には、隙間が形成されるようになっている。この隙間は、布の切り幅調節に伴う上下メスの左右方向移動量に対して、適宜の余裕を持たせた量に設定されている。
【0064】
一方、
図12に示されるように、下メス150及び上メス152による布の切り幅が最大側に設定された場合では、メスカバー120の左端120Bが上下メスの移動に伴い右側(
図12の矢印M2参照)に移動して、メスカバー120の左端120Bとルーパカバー110の左端面110Fとの間に、段差が生じるようになっている。さらに、メスカバー120の段差部120Cとカバー部110Aの左端面110Gとの間の隙間は、メスカバー120の移動分だけ、
図11の状態と比べて減少している。なお、ロックミシン1の意匠性を向上するために、上記の段差や隙間を隠すための布切り屑受け等の箱状の部材を別途設けてもよい。
【0065】
(作用及び効果)
次に、本実施の形態の作用及び効果について、
図13に示される表を用いて説明する。なお、
図13は、以下に示すロックミシン1の4種類(状態S1〜状態S4)の状態における、ロックミシン1の主要部の状態を一覧にした表である。ここで、
図13の縦列は、ロックミシン1の主要部の状態を以下の項目毎に分類している。
第1列では、糸通し切換機構Cの状態(糸通し状態又は縫製可能状態)を正面図にて図示している。
第2列では、主軸固定板69と外側固定軸60との嵌合状態(主軸68の回転可否状態)を図示している。
第3列では、判別リング72の位置(検知レバー76の作動可否状態)を図示している。
第4列では、ルーパカバー110の開閉状態を示している。
第5列では、サイドカバー130の開閉状態を示している。
第6列では、スイッチ84の作動状態を示している。
第7列では、ロックミシン1のモータの電源の状態(切断又は導通)を示している。
【0066】
(状態S1について)
図13における状態S1の行を参照すると、状態S1では、切換つまみ54が正面視で反時計回りに回動されて、糸通し切換機構Cが糸通し状態にされている。
すなわち、糸通し切換機構Cでは、切換つまみ54が反時計回りに回動されることで、切換つまみ54と共に切換連動部材48が支持軸46の軸回りに回動される。このとき、切換連動部材48の係合アーム48Dが、切換部材40の
係合ピン40Aと係合して、切換部材40が作動軸38の軸回りを時計回りに回動する。これにより、切換部材40と共に切換作動部材42が作動軸38の軸回りに回動して、切換作動部材42に連結された連結ピン66によって、外側固定軸60が後方側へ移動される。
【0067】
そして、はずみ車144を回して、主軸固定板69の切欠き69Aが外側固定軸60の位置に一致したとき、作動バネ44の付勢力によって外側固定軸60が主軸固定板69の切欠き69A内に突入して、外側固定軸60が切欠き69Aに嵌合される。その結果、主軸68が回転不能の状態になる。なお、状態S1では、スライド板24の長孔部24C1の縁部が、外側固定軸60の溝部60B内に挿入されて、スライド板24及び一対のスライド管22が、糸通し位置へスライドされる。
【0068】
また、この状態では、安全機構Eの判別リング72が、切換部材40と共に作動軸38の軸回りを時計回りに回動して、判別リング72の切欠き72Aの開口部が前斜め下方に開放された位置に配置される。すなわち、切欠き72Aが、作動軸38の周方向において、検知レバー76の第1レバー部76Cに対して、ずれた位置に配置される。これにより、検知レバー76が作動制限状態にされる。
【0069】
したがって、状態S1では、検知レバー76は回動できずに初期位置に維持される。すなわち、検知レバー76の第2レバー部76Eがスイッチ84の作動突起84Aを押圧しない位置に維持される。よって、状態S1では、ルーパカバー110及びサイドカバー130の開閉状態に係わらず、スイッチ84がOFF状態となると共に、モータ電源が切断された状態になる。
【0070】
(状態S2について)
図13における状態S2の行を参照すると、状態S2では、切換つまみ54が時計回りに回動されて、糸通し切換機構Cが縫製可能状態にされている。
すなわち、糸通し切換機構Cでは、切換つまみ54が時計回りに回動されることで、切換つまみ54と共に切換連動部材48が支持軸46の軸回りに回動される。このとき、切換連動部材48の係合アーム48Cが、切換部材40の
係合ピン40Aと係合して、切換部材40が作動軸38の軸回りを反時計回りに回動する。これにより、切換部材40と共に切換作動部材42が作動軸38の軸回りに回動して、切換作動部材42に連結された連結ピン66が前方側へ移動される。
【0071】
一方、切換連動部材48の回動時には、切換連動部材48の切換アーム48Bが、スライド板24のピン24Dを右側へ押圧し、スライド板24が右側へスライドして、スライド板24の拡径部24C2内に外側固定軸60が配置される。そして、連結ピン66の前方側への移動によって、外側固定軸60が前方側へ移動されて、外側固定軸60の後端60Cが主軸固定板69に対して前側へ離間した位置に配置される。すなわち、外側固定軸60と切欠き69Aとの嵌合状態が解除される。その結果、主軸68が回転可能な状態になる。
【0072】
また、この状態では、安全機構Eの判別リング72が、切換部材40と共に作動軸38の軸回りを
反時計回りに回動して、切欠き72Aの開口部が下方に開放された位置に配置される。換言すると、切欠き72Aが、作動軸38の周方向において、検知レバー76の第1レバー部76Cと一致した位置に配置される。これにより、検知レバー76における支持軸74Aの軸回りの回動が許可された状態になる(検知レバー76が作動許可状態にされる)。
【0073】
しかしながら、状態S2では、ルーパカバー110が開いた状態にされている。このため、ルーパカバー110のフック110Dによってカバー検知軸80の右端80Aを左側へ押圧することができない。これにより、検知レバー76の非作動状態が維持されて、検知レバー76が初期位置に維持される。したがって、状態S2では、状態S1と同様に、サイドカバー130の開閉状態に係わらず、スイッチ84がOFF状態となると共に、モータ電源が切断された状態になる。
【0074】
(状態S3について)
図13における状態S3の行を参照すると、状態S3では、状態S2と同様に、糸通し切換機構Cが縫製可能状態にされている。すなわち、主軸68が回転可能状態にされると共に、検知レバー76が作動許可状態にされている。
【0075】
また、状態S3では、ルーパカバー110が閉じた状態にされている。すなわち、ルーパカバー110の閉位置において、ヒンジバネ96の付勢力によってルーパカバー110が左側へスライドして、ルーパカバー110のフック110Dが正面カバー146の窓146A内に侵入する。このため、フック110Dが、カバー検知軸80の右端80Aを左側へ押圧して、付勢バネ82の付勢力に抗してカバー検知軸80が左側へスライドする。
【0076】
しかしながら、状態S3では、サイドカバー130が開いた状態となっている。このため、サイドカバー130の検知軸押圧部130Dがカバー検知軸100の左端に対して左側に離間した位置に配置されて、カバー検知軸100が開状態検知位置に配置されている。これにより、ヒンジ軸94及びルーパカバー110が、正規閉止位置よりも左側に配置される。すなわち、ルーパカバー110のフック110Dが、カバー検知軸80の右端80Aを左側へ押圧するときには、フック110Dによってカバー検知軸80が左側へ過剰に押し込まれる。その結果、検知レバー76の作動では、検知レバー76の第1レバー部76Cが、スイッチ84の作動突起84Aを通過して(作動許可位置を通過して)、作動不許可位置に配置される。したがって、状態S3では、スイッチ84が、一旦ON状態になるが、直ちにOFF状態に変更されて、モータ電源が切断された状態になる。
【0077】
(状態S4について)
図13における状態S4の行を参照すると、状態S4では、状態S2及びS3と同様に、糸通し切換機構Cが縫製可能状態にされている。すなわち、主軸68が回転可能状態にされると共に、検知レバー76が作動許可状態にされている。
【0078】
また、状態S4では、サイドカバー130及びルーパカバー110の各々が、閉じた状態になっている。すなわち、サイドカバー130の検知軸押圧部130Dがカバー検知軸100の左端を右側へ押圧して、カバー検知軸100が、閉状態検知位置に配置される。このため、ヒンジ軸94及びルーパカバー110が、正規閉止位置に配置される。すなわち、ルーパカバー110のフック110Dが、カバー検知軸80の右端80Aを左側へ押圧するときには、フック110Dによってカバー検知軸80が左側へ所定量だけ押し込まれる。その結果、状態S4では、検知レバー76が作動許可位置へ回動されて、第1レバー部76Cが、スイッチ84の作動突起84Aを押圧する。したがって、スイッチ84がON状態になり、モータ電源が導通状態にされる。
【0079】
このように、本実施の形態のロックミシン1では、切換機構(糸通し切換機構C)が縫製可能状態に切り換えられたときに、検知レバー76が作動許可状態とされる。すなわち、切換機構(糸通し切換機構C)が糸通し状態のときには、検知レバー76が非作動状態となり、検知レバー76の位置が、スイッチ84の作動突起84Aを押圧しない初期位置に維持される。これにより、切換機構における縫製可能状態及び糸通し状態の切換え検知を、単一のスイッチ84によって実現することができる。
【0080】
また、ルーパカバー110の閉位置において、ルーパカバー110が左側(ヒンジ軸94の軸方向一方側)へスライドされることで、検知レバー76が作動する。そして、サイドカバー130の閉位置における検知レバー76の作動時では、検知レバー76が、スイッチ84の作動突起84Aを押圧する作動許可位置に配置される。一方、サイドカバー130の開位置における検知レバー76の作動時では、検知レバー76が、作動許可位置を経由(通過)して、スイッチ84の作動突起84Aを押圧しない作動不許可位置に配置される。以上により、ルーパカバー110及びサイドカバー130が閉じた状態になるときに、スイッチ84がON状態になり、モータ電源が導通状態にされる。これにより、ルーパカバー110及びサイドカバー130の2つのカバーの開閉検知を、単一のスイッチ84によって実現することができる。
【0081】
また、ロックミシン1のカバー位置切換機構Fは、カバー検知軸100を有している。そして、サイドカバー130が閉じた状態では、カバー検知軸100が閉状態検知位置に配置されて、ルーパカバー110を正規閉止位置に留まるように、ルーパカバー110の位置を規制する。すなわち、カバー検知軸80による検知レバー76に対する押込み量を所定量にするように、閉止位置におけるルーパカバー110の位置が規制される。一方、サイドカバー130が開いた状態では、カバー検知軸100が開状態検知位置に配置されて、ルーパカバー110が正規閉止位置よりもさらに左側に配置される。すなわち、カバー検知軸80による検知レバー76に対する押込み量を所定量よりも大きくするように、正規閉止位置におけるルーパカバー110の位置規制が解除される。このように、カバー検知軸100は、サイドカバー130の開閉状態に応じて、閉止状態のルーパカバー110(フック110D)の左右位置を規制又は解除する部材として機能している。これにより、サイドカバー130の開閉状態を簡易な構成で検知することができる。
【0082】
また、ルーパカバー110を閉位置に回動させたときには、ヒンジバネ96によって付勢されたヒンジ軸94及びルーパカバー110が、カバー検知軸80を付勢する付勢バネ82及び検知レバー76を付勢する検知レバーバネ78の付勢力に抗して、左側へスライドする。これにより、使用者がルーパカバー110を開位置から閉位置へ回動させることで、ルーパカバー110を正規閉止位置側へ自動的にスライドさせることができる。したがって、使用者に対する利便性を向上することができる。
【0083】
また、糸通し切換機構Cが縫製可能状態のときには、検知レバー76の作動を許可する許可位置に判別リング72が配置され、糸通し切換機構Cが糸通し状態のときには、検知レバー76の作動を制限(不許可)する位置に判別リング72が回動(揺動)される。このため、糸通し切換機構Cの糸通し状態において、使用者がルーパカバー110を不用意に閉じたときでも、検知レバー76が作動されることを防止できると共に、モータ電源が導通状態にされることを防止することができる。
【0084】
また、安全機構Eでは、スイッチ84が、カバー検知台74を介して、ユニット台142に固定されている。換言すると、スイッチ84が、ルーパカバー110及びサイドカバー130の開閉動作時に移動しない部材に固定されている。これにより、ルーパカバー110及びサイドカバー130の開閉時には、スイッチ84に接続された配線部材の移動が抑制されるため、当該配線部材の損傷を抑制することができる。また、スイッチ84は、正面カバー146によって前側から覆われているため、使用者が当該配線部材に不用意に触れることを抑制できる。
【0085】
また、ルーパカバー110とメスカバー120とが、別体にされて、メスカバー120が、ルーパカバー110とは独立して左右方向にスライド可能に構成されている。これにより、下メス150及び上メス152の切断幅調整量に応じて、メスカバー120が左右方向に移動しても、ルーパカバー110の位置に影響を及ぼすことはない。
【0086】
すなわち、ルーパカバー110及びメスカバー120が一体に構成されている場合には、下メス150及び上メス152の切断幅調整量に応じて、ルーパカバー110の左右位置が変動するため、ルーパカバー110のフック110Dによるカバー検知軸80に対する押込み量が変動する。このため、スイッチ84の作動が不安定な状態になる。
これに対して、本実施の形態では、ルーパカバー110及びメスカバー120が、別体に構成されているため、下メス150及び上メス152の切断幅調整量に応じてメスカバー120が左右にずれたとしても、ルーパカバー110及びサイドカバー130の動作には影響はなくスイッチ84の作動に影響を及ぼすことはない。
【0087】
なお、本実施の形態では、カバー位置切換機構Fがカバー検知軸100を含んで構成されているが、カバー位置切換機構Fにおいてカバー検知軸100を省略してもよい。この場合には、ヒンジ軸94を本実施の形態と比べて左側へ延長させて、サイドカバー130を閉じたときに、サイドカバー130(検知軸押圧部130D)によってヒンジ軸94又はルーパカバー110の左端を直接押圧して、ヒンジ軸94及びルーパカバー110を正規閉止位置に配置するように構成してもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、ルーパカバー110にフック110Dが一体に設けられているが、フック110Dをルーパカバー110と別体に構成し、フック110Dをルーパカバー110に固定する構成にしてもよい。
【0089】
また、本実施の形態では、ヒンジバネ96が圧縮コイルバネで構成されているが、ヒンジバネ96を他のバネで構成してもよい。例えば、ヒンジバネ96を引張コイルバネで構成してもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、スイッチ84が、カバー検知台74を介してユニット台142に固定されているが、スイッチ84を固定する部材はこれに限らない。例えば、ルーパカバー110及びサイドカバー130の開閉動作時に移動しないミシン本体140にスイッチ84を固定してもよい。