(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の認知症判定得点算出システム1の機能構成の一例を示す図である。この認知症判定得点算出システム1は、被験者の年齢や一般血液検査の結果に基づいて、当該被験者の認知症判定得点SCを算出する。この認知症判定得点SCは、認知症の判定に一般的に用いられているいわゆる「ミニメンタルステート検査」(MMSE;Mini Mental State Examination)の得点に相当する。ミニメンタルステート検査は、見当識、記憶力、計算力、言語的能力、図形的能力などをカバーする30点満点の11の質問からなる。ミニメンタルステート検査の質問に対する被験者の回答の得点が、24点以上で正常、20点未満では中等度の知能低下、10点未満では高度な知能低下、などと判定される。
【0015】
このミニメンタルステート検査は、検査者(医師など)と被験者とが対面して質問と回答とを繰り返し行う。ミニメンタルステート検査における質問及び回答には、5分から10分程度の時間を要する。認知症判定得点算出システム1は、被験者の年齢や一般血液検査の結果を参照することにより、これら対面による質問及び回答等の作業を行うことなく、ミニメンタルステート検査の得点に相当する認知症判定得点SCを算出する。したがって、認知症判定得点算出システム1は、質問及び回答が対面で行われることによる労力や時間を低減することができる。以下、対面による質問及び回答等の作業を行わずに認知症判定得点SCを算出することを実現する、認知症判定得点算出システム1の機能構成について
図1を参照して説明する。
【0016】
[認知症判定得点算出システム1の機能構成]
認知症判定得点算出システム1は、認知症判定得点算出装置10と、情報供給部20と、記憶部30と、提示部40とを備える。
情報供給部20は、認知症判定得点算出装置10に対して情報を供給する。情報供給部20は、例えば、キーボードやタブレット、スキャナなどのヒューマンインタフェイス装置であってもよいし、サーバなどの情報記憶装置であってもよい。
情報供給部20は、認知症判定得点算出装置10に対して年齢情報AGと、血液検査情報GBTとを供給する。年齢情報AGとは、認知症判定の被験者の年齢を示す情報である。血液検査情報GBTとは、当該被験者の一般血液検査の検査結果を示す情報である。ここで一般血液検査とは、検査項目が一般的である血液検査であり、例えば一般的な健康診断等において行われる血液検査である。一般血液検査の項目の一例について、
図2を参照して説明する。
【0017】
図2は、本実施形態の情報供給部20が供給する血液検査情報GBTの一例を示す図である。血液検査情報GBTには、一般血液検査の検査項目及び検査項目毎の検査値が含まれる。この一例において、血液検査情報GBTには、白血球数(WBC)、MCV、MCH、血小板数(PLT)、総たんぱく(TP)、アルブミン(Alb)、尿酸(UA)、尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Crea)、ソディウム(So)、及びクロール(Cl)が検査項目として含まれる。
血液検査情報GBTには、検査項目と、検査項目ごとの基準値と、検査値と、基準値及び検査値の単位とが、互いに対応づけられている。同図に示すある被験者についての具体例の場合、血液検査情報GBTには、白血球数(WBC)が基準値4000〜9000[個/μL]に対して検査値5000[個/μL]、MCVが基準値84〜99[fl]に対して検査値90[fl]…という情報が含まれている。
【0018】
図1に戻り、記憶部30には、演算係数情報CFが記憶されている。この演算係数情報CFとは、認知症判定得点算出装置10において認知症判定得点SCが算出される際に参照される係数を示す情報である。演算係数情報CFの具体例について
図3を参照して説明する。
【0019】
図3は、本実施形態の記憶部30に記憶されている演算係数情報CFの一例を示す図である。記憶部30には、年齢係数CF1の演算係数と、一般血液検査の検査項目係数CF2の演算係数とが記憶されている。同図の具体例の場合、記憶部30には、演算係数“0.62300750”が年齢係数CF1として、演算係数“−0.29594135”がMCH係数CF21として、演算係数“−0.26781031”がアルブミン係数CF22として、演算係数“−0.04468372”がA_G比係数CF23として、演算係数“−0.22565942”がソディウム係数CF24として、それぞれ記憶されている。この一例において、MCH係数CF21、アルブミン係数CF22、A_G比係数CF23、及びソディウム係数CF24を総称して「一般血液検査の検査項目係数CF2」ともいう。
【0020】
すなわち、記憶部30(演算係数記憶部)には、年齢についての演算係数と、一般血液検査の検査項目のうちの少なくとも一つの検査項目についての演算係数とが関連付けられて演算係数情報CFとして記憶されている。
【0021】
図1に戻り、認知症判定得点算出装置10は、年齢情報取得部110と、血液検査情報取得部120と、演算係数情報取得部130と、認知症判定得点算出部140とを備える。
【0022】
年齢情報取得部110は、情報供給部20が供給する年齢情報AGを取得する。年齢情報取得部110は、取得した年齢情報AGを認知症判定得点算出部140に供給する。
血液検査情報取得部120は、情報供給部20が供給する血液検査情報GBTを取得する。血液検査情報取得部120は、取得した血液検査情報GBTを認知症判定得点算出部140に供給する。
演算係数情報取得部130は、記憶部30に記憶されている演算係数情報CFを取得する。演算係数情報取得部130は、取得した演算係数情報CFを認知症判定得点算出部140に供給する。
【0023】
認知症判定得点算出部140は、年齢情報取得部110が取得する年齢情報AGと、血液検査情報取得部120が取得する血液検査情報GBTと、演算係数情報取得部130が取得する演算係数情報CFとに基づいて、認知症判定得点SCを算出する。認知症判定得点算出部140は、算出した認知症判定得点SCを提示部40に出力する。
【0024】
提示部40は、例えばディスプレイやプリンタであり、認知症判定得点算出装置10の認知症判定得点算出部140から供給される認知症判定得点SCを、表示や印字などの提示手段により提示する。
なお、提示部40は、ネットワークサーバなどの記憶装置であってもよい。この場合には、提示部40は、認知症判定得点算出部140から供給される認知症判定得点SCを記憶し、記憶した認知症判定得点SCを他の装置に供給する。
【0025】
[認知症判定得点算出装置10の動作]
次に、
図4を参照して認知症判定得点算出装置10の動作の一例について説明する。
図4は、本実施形態の認知症判定得点算出装置10の動作の一例を示す図である。
【0026】
(ステップS10)年齢情報取得部110は、情報供給部20から年齢情報AGを取得する。この年齢情報AGは、被験者の年齢を示す。
(ステップS20)血液検査情報取得部120は、情報供給部20から血液検査情報GBTを取得する。この一例では、血液検査情報取得部120は、
図2に示す血液検査情報GBTを取得する。この血液検査情報GBTには、被験者の一般血液検査の検査結果(検査値)が含まれている。
(ステップS30)演算係数情報取得部130は、記憶部30から演算係数情報CFを取得する。この一例では、演算係数情報取得部130は、
図3に示す演算係数情報CFを取得する。この演算係数情報CFには、年齢についての演算係数、及び一般血液検査の検査項目のうちの少なくとも一つの検査項目についての演算係数が含まれている。
【0027】
(ステップS40)認知症判定得点算出部140は、ステップS10において取得した年齢情報AG、及びステップS20において取得した血液検査情報GBTに対して、ステップS30において取得した演算係数情報CFによる係数演算を行う。具体的には、認知症判定得点算出部140は、式(1)に示す演算を行う。
【0029】
ここで、認知症判定得点算出部140は、血液検査情報GBTの複数の検査項目の検査値どうしを演算することにより、係数演算対象の値を算出してもよい。例えば、演算係数情報CFに「A_G比(アルブミン−グロブリン比)」が含まれている場合であって、血液検査情報GBTの検査項目に「A_G比」が含まれていない場合がある。この場合、認知症判定得点算出部140は、血液検査情報GBTの複数の検査項目の検査値どうしを演算することにより、係数演算対象の値、すなわちA_G比を算出する。
具体的には、A_G比は、血液中のアルブミンの総量とグロブリンの総量との比を示す。ここで、血液中のアルブミンの総量とグロブリンの総量との和は、血液中の総たんぱくの量にほぼ一致する。したがって、血液検査情報GBTの検査項目に「A_G比」が含まれていない場合であっても、検査項目に「総たんぱく」と「アルブミン」とが含まれていれば「A_G比」を算出することができる。
この一例の場合、認知症判定得点算出部140は、血液検査情報GBTの検査項目に含まれる「総たんぱく」の検査値と「アルブミン」の検査値とに基づいて、「A_G比算出値」を算出する。
【0030】
(ステップS50)認知症判定得点算出部140は、ステップS40における係数演算の結果に基づいて、認知症判定得点SCを算出する。この一例の場合、認知症判定得点算出部140は、式(1)に示した演算により、認知症判定得点SCを算出する。
【0031】
(ステップS60)認知症判定得点算出部140は、算出した認知症判定得点SCを提示部40に出力して、一連の処理を終了する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の認知症判定得点算出装置10は、被験者の年齢と、一般血液検査の結果とに基づいて、当該被験者の認知症判定得点SCを算出する。したがって、本実施形態の認知症判定得点算出装置10によれば、従来、MMSEにおいて質問及び回答が対面で行われることによって生じていた労力や時間を低減することができる。
【0033】
[演算係数情報CFの算出]
ここで、記憶部30に記憶されている演算係数情報CFの算出について説明する。この演算係数情報CFは、被験者の年齢及び一般血液検査の検査項目のうち、MMSEによる得点に相当する「認知症判定得点SC」の算出に寄与する項目及びその係数が、機械学習によって求められたものである。換言すれば、演算係数情報CFとは、説明変数(被験者の年齢、及び一般血液検査の検査項目)から、機械学習手法によってMMSEの得点が予測された結果を示す情報である。
【0034】
ここで機械学習手法を用いる場合には、一般的に次の2つの注意点がある。すなわち、
1)説明変数が多ければ多いほどよい、というわけではない。余計な説明変数を使うと、予測が劣化する。
2)(過去に存在する情報であればその情報を参照すればよいが)過去に存在しない情報に基づいてMMSEを予測しなければならない。
注意点 1)に対しては、機械学習手法(LASSO Regression)によって、説明変数のうちどの説明変数が重要であるかを自動的に判定したうえで予測する。
注意点 2)に対しては、既知の「Leave One Out Prediction」手法を用いる。
ここで、
図5を参照して、演算係数情報CFを求める機械学習手法の一例について説明する。
【0035】
図5は、本実施形態の演算係数情報CFを求める手順の一例を示す図である。この手順は、Iterated Pnalized Logistic Regression(イタレイテッド・ペナライズド・ロジスティック・リグレッション;繰り返し罰則付き論理的回帰演算)ともいう。
被験者iのMMSE得点をy
i、被験者iの血液検査結果のデータベクトルをx
iとして、(α,λ)を固定したとき、既知のPnalized Logistic Regression(ペナライズド・ロジスティック・リグレッション;罰則付き論理的回帰演算)によって、式(2)に示す最小化を遂行する。
【0037】
この式(2)の値は、2つの未知パラメータ(α,λ)の関数である。これら(α,λ)は、(β
0,β)よりも上位にあると考えられることから、hyper parameter(ハイパーパラメータ)ともいう。以下、具体的な演算手順について説明する。なお、この演算手順は、コンピュータによって実行可能である。
【0038】
(ステップS110)k=1、n=1として、未知パラメータα
k(n)を選択する。
(ステップS120)上述した式(2)による最小化問題の解を求める。
(ステップS130)式(2)においてλを調整し、cross validation error(クロス・バリデーション・エラー)を最小化するλ
k(n)を求める。
(ステップS140)(α
k*,λ
k*)が確定したか否かを判定する。ここで、(α
k*,λ
k*)とは、ステップS130において最小のcross validation errorを与える(α
k(n),λ
k(n))である。(α
k*,λ
k*)が確定していないと判定した場合、nをインクリメントして(ステップS150)、処理をステップS110に戻して、ステップS140までの処理を繰り返す。(α
k*,λ
k*)が確定したと判定した場合、処理をステップS160に進める。
【0039】
(ステップS160)λ=λ
k*、α=α
k* とした場合の式(2)の最小値を与えるパラメータ(β
0,β)の成分のうち、その絶対値が閾値th(例えば、10
−3)を越えなかったものを削除し、削除されなかったベクトル(β
0k,β
k)を選別する。ここで、(β
0k,β
k)は、R
pkの要素である。
【0040】
(ステップS170)p
k=pであるか否かを判定する。p
k=pでなければ(ステップS170;NO)、kをインクリメントし(ステップS180)、処理をステップS110に戻して、手順を繰り返す。p
k=pであれば(ステップS170;YES)、(β
0k,β
k)をこの問題の解とし(ステップS190)、演算手順を終了する。
【0041】
Pnalized Logistic Regressionを繰り返し適用する上述の演算手順により、2つの未知パラメータ(α,λ)について、より相応しい解を得ることができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、
図6を参照して第2実施形態に係る認知症判定得点算出システム1−1について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の構成及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図6は、第2実施形態の認知症判定得点算出システム1−1の機能構成の一例を示す図である。
認知症判定得点算出システム1−1は、認知症判定得点算出装置10−1と、情報供給部20−1と、記憶部30−1と、提示部40とを備える。
情報供給部20−1は、上述した年齢情報AG及び血液検査情報GBTに加えて、脳活動測定結果情報BAを認知症判定得点算出装置10−1に対して供給する。この脳活動測定結果情報BAとは、非侵襲脳活動測定装置による被験者の脳活動の測定結果を示す情報である。非侵襲脳活動測定装置(不図示)は、近赤外線などの人体に対して非侵襲的な検出手段を用いて、脳の血流などを測定することにより、被験者の脳活動を測定する。この非侵襲脳活動測定装置は、例えば、ヘモグロビン濃度(Hb)、酸素化ヘモグロビン濃度(HbO2)、脱酸素化ヘモグロビン濃度(HbDO2)、酸素飽和度(SO2)などの測定対象項目について測定する。この場合、非侵襲脳活動測定装置は、左脳側、右脳側について上述の測定対象項目をそれぞれ測定する。この一例の場合、情報供給部20−1は、左脳側ヘモグロビン濃度L_Hb、右脳側ヘモグロビン濃度R_Hb、左脳側酸素化ヘモグロビン濃度L_HbO2、右脳側酸素化ヘモグロビン濃度R_HbO2、左脳側脱酸素化ヘモグロビン濃度L_HbDO2、右脳側脱酸素化ヘモグロビン濃度R_HbDO2、左脳側酸素飽和度L_SO2及び右脳側酸素飽和度R_SO2を、脳活動測定結果情報BAとして認知症判定得点算出装置10−1に供給する。
【0044】
記憶部30−1には、演算係数情報CFが記憶されている。本実施形態の演算係数情報CFの一例について、
図7を参照して説明する。
【0045】
図7は、本実施形態の記憶部30−1に記憶されている演算係数情報CFの一例を示す図である。記憶部30−1には、年齢係数CF111の演算係数と、一般血液検査の検査項目係数CF210の演算係数と、脳活動測定の測定対象項目CF310とが記憶されている。
同図の具体例の場合、記憶部30−1には、演算係数“−3.468312e−01”が年齢係数CF111として記憶されている。また、記憶部30−1には、演算係数“3.574603e−01”がA_G比係数CF211として、演算係数“−1.133581e−02”がグルコース係数CF212としてそれぞれ記憶されている。また、記憶部30−1には、演算係数“2.139804e−01”がR_SO2係数CF311として、演算係数“−3.207765e−01”がL_HbO2係数CF312として、演算係数“1.456725e−01”がL_SO2係数CF313として、それぞれ記憶されている。
この一例において、A_G比係数CF211及びグルコース係数CF212を総称して「一般血液検査の検査項目係数CF210」ともいう。また、この一例において、R_SO2係数CF311、L_HbO2係数CF312及びL_SO2係数CF313を総称して「脳活動測定の測定対象項目CF310」ともいう。
【0046】
図6に戻り、認知症判定得点算出装置10−1は、脳活動測定結果取得部150と、演算係数情報取得部130−1と、認知症判定得点算出部140−1とを備えている。
脳活動測定結果取得部150は、情報供給部20が供給する脳活動測定結果情報BAを取得する。脳活動測定結果取得部150は、取得した脳活動測定結果情報BAを認知症判定得点算出部140−1に供給する。
演算係数情報取得部130−1は、記憶部30−1に記憶されている演算係数情報CFを取得する。演算係数情報取得部130−1は、取得した演算係数情報CFを認知症判定得点算出部140−1に供給する。
【0047】
認知症判定得点算出部140−1は、年齢情報取得部110が取得する年齢情報AGと、血液検査情報取得部120が取得する血液検査情報GBTと、脳活動測定結果取得部150が取得する脳活動測定結果情報BAと、演算係数情報取得部130−1が取得する演算係数情報CFとをそれぞれ取得する。
【0049】
認知症判定得点算出部140−1は、取得した年齢情報AGと、血液検査情報GBTと、脳活動測定結果情報BAと、演算係数情報CFとに基づいて、式(3)を演算することにより、認知症判定得点SCを算出する。認知症判定得点算出部140−1は、算出した認知症判定得点SCを提示部40に出力する。
【0050】
[変形例]
なお、記憶部30−1には、
図7に示す演算係数情報CFに代えて、
図8に示す演算係数情報CFが記憶されていてもよい。
【0051】
図8は、本実施形態の記憶部30−1に記憶されている演算係数情報CFの変形例を示す。この変形例の場合、記憶部30−1には、年齢係数CF121の演算係数と、一般血液検査の検査項目係数CF220の演算係数と、脳活動測定の測定対象項目CF320とが記憶されている。
同図の具体例の場合、記憶部30−1には、演算係数“1.38745950”が年齢係数CF111として記憶されている。また、記憶部30−1には、演算係数“−0.97782573”が白血球数係数CF221として、演算係数“−0.73637778”がMCV係数CF222として、演算係数“−0.59748730”がMCH係数CF223として、演算係数“−0.27892258”が血小板数係数CF224として、演算係数“−0.22401490”がアルブミン係数CF225として、演算係数“−1.61055711”がA_G比係数CF226として、演算係数“−0.97656779”が尿酸係数CF227として、演算係数“−1.00942471”が尿素窒素係数CF228として、演算係数“−0.07854355”がクレアチニン係数CF229として、演算係数“−0.50365600”がソディウム係数CF230として、演算係数“−0.61035819”がクロール係数CF231として、それぞれ記憶されている。また、記憶部30−1には、演算係数“1.28841219”がL_Hb係数CF321として、演算係数“−0.62082756”がL_SO2係数CF322として、それぞれ記憶されている。
この一例において、白血球数係数CF221からクロール係数CF231までを総称して「一般血液検査の検査項目係数CF220」ともいう。また、この一例において、L_Hb係数CF321及びL_SO2係数CF322を総称して「脳活動測定の測定対象項目CF320」ともいう。
【0052】
この変形例の場合、認知症判定得点算出部140−1は、式(4)に基づいて認知症判定得点SCを算出する。
【0054】
[まとめ]
上述した実施形態に係る認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、被験者の年齢及び一般血液検査の結果に基づいて、当該被験者の認知症判定得点SCを算出する。このため、認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、特殊な検査や問診が不要である。したがって、認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、簡便に認知症判定得点を算出することができる。
【0055】
また、上述した実施形態に係る認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、算出された認知症判定得点SCの値が従来のMMSEによる得点の値と同じである。このため、認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、従来のMMSEを利用して被験者の認知症の状態を判定していた判定者が、認知症判定得点SCを理解しやすい。
【0056】
また、上述した実施形態に係る認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、認知症判定のための項目及び係数が機械学習によって算出されている。したがって、認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、血液検査項目の意味についての先入観にとらわれずに、認知症判定のための項目や係数を算出することができる。
【0057】
上述した実施形態に係る認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、認知症判定のための項目に、一般血液検査で得られるアルブミン−グロブリン比が含まれている。したがって、認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、特殊な検査や問診が不要であり、簡便に認知症判定得点を算出することができる。
【0058】
上述した実施形態に係る認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1によれば、非侵襲脳活動測定装置による被験者の脳活動の測定結果に基づいて、認知症判定得点SCを算出する。これにより、認知症判定得点算出装置10及び認知症判定得点算出装置10−1は、脳活動の測定結果に基づかずに認知症判定得点SCを算出する場合に比べて、認知症判定得点SCとMMSEによる得点との一致度、すなわち、認知症判定得点SCの算出精度が向上する。
【0059】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0060】
なお、上記の実施形態における各装置が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0061】
なお、各装置が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0062】
また、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部が備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0063】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。