特許第6702843号(P6702843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702843
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】帯状部材の切断方法および切断装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/46 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   B29D30/46
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-201589(P2016-201589)
(22)【出願日】2016年10月13日
(65)【公開番号】特開2018-62125(P2018-62125A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】生越 竜慈
(72)【発明者】
【氏名】森野 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】畑山 裕
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−193328(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/103861(WO,A1)
【文献】 特開2015−98083(JP,A)
【文献】 特開2001−9929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのベルト用の帯状部材をカッターより上流側から下流側へ向かって送りながら次々にカットしていく帯状部材の切断方法において、
前記カッターと、前記カッターより上流側において前記帯状部材を送り出す動作をする定寸送りハンドとの間に設けられた先端送り装置が、前記帯状部材を保持してその先端をカッターよりも下流側へ短距離送り出し、その後前記帯状部材を離して前記帯状部材を保持する前の待機位置に戻り、
前記短距離送り出された前記帯状部材の先端をカッターより下流側に設けられた先端把持ハンドが保持するとともに、前記短距離送り出された前記帯状部材の前記カッターより上流側の部分を前記定寸送りハンドが保持し、
前記先端把持ハンドと前記定寸送りハンドとが、同調して前記帯状部材を下流側へ長距離送り出し、その後前記帯状部材を離して前記帯状部材を保持する前のそれぞれの待機位置に戻り、
前記長距離送り出された前記帯状部材を前記先端送り装置がその待機位置において保持して前記カッターがカットし、カット後に前記先端送り装置が前記帯状部材を再び短距離送り出す、
帯状部材の切断方法。
【請求項2】
タイヤのベルト用の帯状部材をカッターより上流側から下流側へ向かって送りながら次々にカットしていく帯状部材の切断装置において、
前記帯状部材が上流側から下流側へ長距離送り出される度に前記帯状部材をカットするカッターと、
前記長距離送り出された前記帯状部材を前記カッターより上流側の待機位置において保持し、前記カット後に前記帯状部材の先端をカッターよりも下流側へ短距離送り出し、前記短距離送り出した後に前記帯状部材を離して前記待機位置まで戻る先端送り装置と、
前記カッターより下流側に設けられ、前記短距離送り出された前記帯状部材の先端を保持して下流側へ前記長距離引っ張り出し、その後、前記帯状部材を離して前記帯状部材を保持する前の待機位置まで戻る先端把持ハンドと、
前記先端送り装置より上流側に設けられ、前記短距離送り出された前記帯状部材の前記カッターより上流側の部分を保持して前記先端把持ハンドと同調して前記帯状部材を下流側へ前記長距離送り出し、その後、前記帯状部材を離して前記帯状部材を保持する前の待機位置まで戻る定寸送りハンドと、
を備える帯状部材の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯状部材の切断方法および切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、タイヤのベルトの製造において、1本の長い帯状部材(ストリップ材)が、カッターより上流側から下流側へ送り出され、帯状部材の前端部分がカッターより所定距離だけ下流側まで到達したときに、帯状部材がカッターによりカットされる工程がある。この工程でカットされて出来た複数の小さなストリップ片は、別の場所でつなぎ合わされて、1枚のベルトとなる。
【0003】
上記の工程におけるカッターより上流側から下流側への帯状部材の送り出しの具体的方法が、特許文献2に記載されている。この具体的方法では、帯状部材を保持することができ、かつ、カッターより上流側において移動可能な保持部材が使用される。この保持部材が、帯状部材の上流側の部分を保持して、帯状部材の先端をカッターより下流側へ押し出すようにして、帯状部材を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/010592号
【特許文献2】国際公開第2006/103861号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2の方法では、帯状部材の先端が保持部材に保持されていないフリーな状態で送り出しが行われるため、帯状部材の先端がカッターの位置等に引っかかり、カッターより下流側までうまく送り出されない場合があった。
【0006】
そこで本発明では、カッターより下流側への帯状部材の送り出しの途中で帯状部材の引っかかりが生じにくい切断方法および切断装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の帯状部材の切断方法は、タイヤのベルト用の帯状部材をカッターより上流側から下流側へ向かって送りながら次々にカットしていく帯状部材の切断方法において、前記カッターと、前記カッターより上流側において前記帯状部材を送り出す動作をする定寸送りハンドとの間に設けられた先端送り装置が、前記帯状部材を保持してその先端をカッターよりも下流側へ短距離送り出し、その後前記帯状部材を離して前記帯状部材を保持する前の待機位置に戻り、前記短距離送り出された前記帯状部材の先端をカッターより下流側に設けられた先端把持ハンドが保持するとともに、前記短距離送り出された前記帯状部材の前記カッターより上流側の部分を前記定寸送りハンドが保持し、前記先端把持ハンドと前記定寸送りハンドとが、同調して前記帯状部材を下流側へ長距離送り出し、その後前記帯状部材を離して前記帯状部材を保持する前のそれぞれの待機位置に戻り、前記長距離送り出された前記帯状部材を前記先端送り装置がその待機位置において保持して前記カッターがカットし、カット後に前記先端送り装置が前記帯状部材を再び短距離送り出すことを特徴とする。
【0008】
また、実施形態の帯状部材の切断装置は、タイヤのベルト用の帯状部材をカッターより上流側から下流側へ向かって送りながら次々にカットしていく帯状部材の切断装置において、前記帯状部材が上流側から下流側へ長距離送り出される度に前記帯状部材をカットするカッターと、前記長距離送り出された前記帯状部材を前記カッターより上流側の待機位置において保持し、前記カット後に前記帯状部材の先端をカッターよりも下流側へ短距離送り出し、前記短距離送り出した後に前記帯状部材を離して前記待機位置まで戻る先端送り装置と、前記カッターより下流側に設けられ、前記短距離送り出された前記帯状部材の先端を保持して下流側へ前記長距離引っ張り出し、その後、前記帯状部材を離して前記帯状部材を保持する前の待機位置まで戻る先端把持ハンドと、前記先端送り装置より上流側に設けられ、前記短距離送り出された前記帯状部材の前記カッターより上流側の部分を保持して前記先端把持ハンドと同調して前記帯状部材を下流側へ前記長距離送り出し、その後、前記帯状部材を離して前記帯状部材を保持する前の待機位置まで戻る定寸送りハンドとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の帯状部材の切断方法および切断装置によれば、帯状部材が、その先端と上流側の部分とが保持された状態で長距離送り出されるため、帯状部材が送り出しの途中で引っかかりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ベルト製造装置1を上から見た平面図。
図2】切断装置2を図1の矢印Fの方向から見た正面図。
図3】(a)帯状部材5の平面図。(b)ストリップ片80の平面図。(c)並べられた複数のストリップ片80の平面図(コード6は省略されている)。
図4】先端送り装置23が帯状部材5を短距離送り出す直前の切断装置2の斜視図。
図5】先端送り装置23が帯状部材5を短距離送り出した直後の切断装置2の斜視図。
図6】先端把持ハンド60が帯状部材5の先端7を保持した時の切断装置2の斜視図。
図7】先端送り装置23が帯状部材5を離した時の切断装置2の斜視図。
図8】先端把持ハンド60と定寸送りハンド30とが帯状部材5を長距離送り出した直後の切断装置2の斜視図。
図9】先端把持ハンド60および定寸送りハンド30が帯状部材5を離し、先端送り装置23が帯状部材5を保持した時の切断装置2の斜視図。
図10】カッター10が帯状部材5をカットした時の切断装置2の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態について図面に基づき説明する。以下の説明において、帯状部材5が送られていく方向を下流側、その反対方向を上流側とする。
【0012】
まず、ベルト製造装置1の全体構造、帯状部材5の構造および切断装置2の全体構造について説明する。
【0013】
図1に示すベルト製造装置1は、タイヤのベルト用の帯状部材5を上流側から下流側へ送りながらカットする切断装置2と、帯状部材5がカットされて出来たストリップ片80が並べられる整列コンベア3と、ストリップ片80を切断装置2から整列コンベア3へ運搬する運搬装置4とを備える。なお、図1および図2における矢印Bは、帯状部材5が送られる方向を示している。
【0014】
実施形態で切断される帯状部材5は、図3(a)に示すように、平行に並べられた金属製の複数のコード6がゴムで被覆されたものである。帯状部材5の延長方向はコード6の延長方向と同じである。帯状部材5は切断装置2において所定長さの複数のストリップ片80にカットされる。帯状部材5はその延長方向に対して斜めにカットされる。そのため図3(b)に示すように、ストリップ片80は、2つの切断辺81が1組の対辺、2つの非切断辺82がもう1組の対辺となる細長い平行四辺形となる。複数のストリップ片80は、整列コンベア3において、図3(c)に示すように非切断辺82近傍同士が重なり合うようにして並べられる。その重なり合った部分が接合されて、1枚のベルトとなる。
【0015】
図1図2に示す切断装置2は、帯状部材5をカットするカッター10と、カッター10よりも上流側における帯状部材5の通路である送りテーブル20と、カッター10と送りテーブル20との間に配置された先端送り装置23と、カッター10よりも下流側におけるストリップ片80の置き場となる搬出用テーブル50とを備える。後で詳細に述べるように、先端送り装置23は帯状部材5を下流側へ短距離送り出すものである。
【0016】
さらに、切断装置2は、それぞれ帯状部材5を保持可能な、定寸送りハンド30および先端把持ハンド60を備える。定寸送りハンド30は送りテーブル20の上方において送りテーブル20に沿って移動可能である。先端把持ハンド60は搬出用テーブル50の上方において搬出用テーブル50に沿って移動可能である。後で詳細に述べるように、定寸送りハンド30および先端把持ハンド60は帯状部材5を下流側へ長距離送り出すものである。ここで長距離とは、前記短距離より長い距離のことである。
【0017】
次に、ベルト製造装置1を構成する各部の具体的な構造について、図1および図2に基づき説明する。
【0018】
図1に示すように、送りテーブル20の幅方向両側には側壁21が設けられている。両側の側壁21の間隔は、帯状部材5の幅と同じか、帯状部材5の幅よりも若干広い。これらの側壁21は、送りテーブル20上で帯状部材5がその幅方向にずれることを防ぐ。送りテーブル20には図示しない供給装置から帯状部材5が供給される。
【0019】
図2に示すように、送りテーブル20の上方には定寸送り装置40が設けられている。定寸送り装置40は、移動手段41と、移動手段41が稼働することによって送りテーブル20に沿って移動させられる移動体42とを備える。移動手段41は、例えば、サーボモータにより駆動されるボールネジ機構である。移動体42には昇降手段43と昇降手段43の稼働により昇降できる定寸送りハンド30とが取り付けられている。昇降手段43は例えばエアシリンダである。定寸送りハンド30は、磁気吸着や真空吸着等の吸着手段により送りテーブル20上の帯状部材5を吸着し保持することができ、また、吸着を解除して帯状部材5を離すことができる。移動手段41が稼働すると、移動体42、昇降手段43、および定寸送りハンド30は一体となって送りテーブル20に沿って移動する。定寸送りハンド30は、定寸送りハンド30の待機位置と、定寸送りハンド30の待機位置よりも下流側の所定位置との間で移動する。定寸送りハンド30の待機位置は、送りテーブル20の上流側の所定位置にある。
【0020】
定寸送りハンド30がテーブル20上の帯状部材5を下流側へ送り出す場合、まず、移動手段41が稼働することによって定寸送りハンド30が送りテーブル20の上流側にある待機位置に移動させられる。次に、昇降手段43が稼働することによって定寸送りハンド30が帯状部材5の位置まで下降させられる。次に、定寸送りハンド30が帯状部材5を吸着し保持する。次に、移動手段41が稼働して定寸送りハンド30が下流側へ移動する。定寸送りハンド30が下流側へ移動することで、定寸送りハンド30に保持されている帯状部材5が下流側へ送り出される。定寸送りハンド30が予め定められた所定距離移動して停止した後、定寸送りハンド30は帯状部材5を離して上昇し、始めの待機位置へ戻る。この動作により、帯状部材5が間欠的に下流側へ送り出される。
【0021】
図2に示すように、先端送り装置23は上プレート26および下プレート27からなる。先端送り装置23が開状態のとき、上プレート26および下プレート27は離間している。一方、先端送り装置23が閉状態のとき、上プレート26および下プレート27は近接して帯状部材5を挟み込み、これを上下から保持する。
【0022】
先端送り装置23には、これを開閉する装置である開閉装置28と、先端送り装置23および開閉装置28を上流側と下流側との間で移動させる移動装置29とが設けられている。
【0023】
開閉装置28は、例えば、ピストンが上下動するように設けられたエアシリンダであり、ピストン側に上プレート26が、シリンダ側に下プレート27が、それぞれ設けられている。そして、下プレート27に対して上プレート26が上下動することにより、上プレート26と下プレート27とからなる先端送り装置23が開閉する。
【0024】
移動装置29は、先端送り装置23を、先端送り装置23の待機位置と、先端送り装置23の待機位置よりも下流側の受け渡し位置との間で移動させる。先端送り装置23の待機位置は送りテーブル20の下流側の端部近傍にある。受け渡し位置はカッター10近傍にある。移動装置29は、例えば、送りテーブル20の下流側の端部付近に設けられたエアシリンダであり、ピストンを下流側へ向かって動かすものである。そして、そのピストンに開閉装置28および先端送り装置23が設けられている。この構造の場合、移動装置29であるエアシリンダが稼働することにより、先端送り装置23が、先端送り装置23の待機位置と受け渡し位置との間を移動する。なお、先端送り装置23の移動可能な範囲は、カッター10より上流側に限られても良いし、カッター10より下流側にまで及んでいても良い。
【0025】
先端送り装置23が帯状部材5を下流側へ送り出す場合の動作を説明する。まず先端送り装置23の待機位置において、先端送り装置23が開いており下プレート27上に帯状部材5が置かれているものとする。次に、開閉装置28が稼働することにより先端送り装置23が閉じ、先端送り装置23が帯状部材5を保持する。次に、移動装置29が稼働することにより、帯状部材5を保持した先端送り装置23が下流側へ移動する。先端送り装置23が下流側へ移動することで、先端送り装置23に保持されている帯状部材5が下流側へ送り出される。先端送り装置23は受け取り位置まで移動して停止する。停止後、先端送り装置23が開いて、帯状部材5が離される。その後、先端送り装置23は、開いたまま、先端送り装置23の待機位置へ戻る。この動作により、帯状部材5が間欠的に下流側へ送り出される。
【0026】
カッター10は帯状部材5をその延長方向に対して斜めにカットするものである。カッター10の構造は限定されないが、例えば図2に示すように、上下一対の刃11からなるものである。カッター10は、帯状部材5の延長方向に対するカット角を調整可能なものであっても良い。カッター10は、帯状部材5が定寸送りハンド30および先端把持ハンド60によって間欠的に下流側へ送り出されるたびに、帯状部材5をカットする。
【0027】
図1に示すように、搬出用テーブル50の幅方向両側には側壁51が設けられている。両側の側壁51の間隔は、ストリップ片80の幅と同じか、ストリップ片80の幅よりも若干広い。両側の側壁51の間隔は調整可能であっても良い。これらの側壁51は、搬出用テーブル50上でストリップ片80がその幅方向にずれることを防ぐ。図2に示すように、送りテーブル20および先端送り装置23がほぼ同じ高さにあり先端把持ハンド60およびカッター10がこれらと同じ高さの所で動作するのに対し、搬出用テーブル50はこれらよりも低い位置にある。搬出用テーブル50は、カッター10よりも下流側において、ストリップ片80を受け取る受け取り位置とストリップ片80を搬出する搬出位置との間で移動可能となっている。搬出位置は受け取り位置よりも下流側にある。
【0028】
図2に示すように、先端把持ハンド60は上プレート62および下プレート63を備える。先端把持ハンド60が開状態のとき、上プレート62および下プレート63は離間している。一方、先端把持ハンド60が閉状態のとき、上プレート62および下プレート63は近接して帯状部材5を上下から挟み、これを保持する。
【0029】
先端把持ハンド60には、先端把持ハンド60を開閉する装置である開閉装置65と、先端把持ハンド60および開閉装置65を上流側と下流側との間で移動させる移動装置67とが設けられている。
【0030】
開閉装置65は、例えば、ピストンが上下動するように設けられたエアシリンダであり、ピストン側に上プレート62が、シリンダ側に下プレート63が、それぞれ設けられている。この構造の場合、下プレート63に対して上プレート62が上下動することにより、上プレート62と下プレート63とからなる先端把持ハンド60が開閉する。
【0031】
移動装置67は、先端把持ハンド60を、先端送り装置23による上記の受け渡し位置と、それより下流側の所定位置との間で移動させる。これら2つの位置の間であって受け渡し位置より僅かに下流側には、先端把持ハンド60の待機位置がある。移動装置67は、移動手段68と、移動手段68によって搬出用テーブル50に沿って移動させられる移動体69とを備える。移動手段68は、例えば、サーボモータにより駆動されるボールネジ機構である。移動体69に開閉装置65および先端把持ハンド60が設けられており、移動手段68が稼働すると、移動体69、開閉装置65および先端把持ハンド60が一体となって移動する。
【0032】
先端把持ハンド60が帯状部材5を下流側へ引っ張り出す場合、まず、移動手段68が稼働することにより、先端把持ハンド60がその待機位置へ移動する。次に、先端送り装置23が帯状部材5を下流側へ送り出すと同時または送り出した後、移動手段68が稼働することにより、先端把持ハンド60が帯状部材5の受け渡し位置へ移動する。次に、開閉装置65が稼働することにより、受け渡し位置に到達していた帯状部材5の先端7を先端把持ハンド60が保持する。次に、移動手段68が稼働することにより、帯状部材5の先端7を保持した先端把持ハンド60が下流側へ移動する。先端把持ハンド60が下流側へ移動することで、先端把持ハンド60に保持されている帯状部材5が下流側へ引っ張り出される。この動作により、帯状部材5が間欠的に下流側へ引っ張り出される。
【0033】
図1に示す運搬装置4は、磁気吸着や真空吸着等の吸着手段を有し、ストリップ片80を吸着したり離したりできる構造となっている。さらに運搬装置4は上下動可能となっている。切断装置2と整列コンベア3とに水平移動装置70が掛け渡されており、水平移動装置70が稼働することにより運搬装置4が切断装置2と整列コンベア3との間で水平移動可能となっている。
【0034】
運搬装置4がストリップ片80を切断装置2から整列コンベア3へ運搬する場合、まず、ストリップ片80を載せた搬出用テーブル50が搬出位置に移動する。次に、運搬装置4が、搬出位置の上方まで移動し、次に下降して搬出用テーブル50上のストリップ片80を吸着する。次に運搬装置4が上昇しストリップ片80を持ち上げる。次に、水平移動装置70が運搬装置4を整列コンベア3の上方に移動させる。次に運搬装置4が下降する。次に、運搬装置4がストリップ片80を離して整列コンベア3上の所定の位置に置く。
【0035】
整列コンベア3は、運搬装置4により1つのストリップ片80が運搬されて来て整列コンベア3上に置かれるたびに、所定距離だけ一方向へ回り、ストリップ片80を所定距離だけ移動させる。この所定距離は、先に整列コンベア3上に置かれていたストリップ片80と、その次に整列コンベア3上に置かれたストリップ片80との、非切断辺82近傍同士が重なり合うことができるように、定められる。整列コンベア3には、ストリップ片80同士の重なり合う部分を押圧する押圧装置が設けられている。ストリップ片80が整列コンベア3上に置かれるたびに、そのストリップ片80とその前に整列コンベア3上に置かれていたストリップ片80との重なり合う部分を、押圧装置が押圧する。複数のストリップ片80が押圧により接合されて1枚のベルトが完成する。
【0036】
次に、切断装置2による帯状部材5の切断方法およびベルト製造装置1によるベルトの製造方法について、図4図10に基づき説明する。切断装置2は、図4図10に描かれている動作を繰り返すことにより、帯状部材5をカッター10より上流側から下流側へ向かって送りながら次々にカットしていく。
【0037】
図4に示すように、あらかじめ、先端7がカットされた帯状部材5が送りテーブル20上に置かれ、その先端7がカッター10の位置にあるものとする。つまり、帯状部材5が、カッター10によりカットされた直後の位置にあるものとする。このとき先端送り装置23はその待機位置において帯状部材5を保持している。また帯状部材5の先端7は先端送り装置23よりも下流側へ突出している。また、定寸送りハンド30および先端把持ハンド60は、それぞれの待機位置にあり、帯状部材5を離している。また、搬出用テーブル50は搬出位置にある。
【0038】
次に、先端送り装置23が受け渡し位置へ向かって移動し、帯状部材5を下流側へ短距離送り出す。図5に示すように、先端送り装置23が受け渡し位置に到達すると、帯状部材5の先端7がカッター10よりも下流側の位置へ到達する。また、先端把持ハンド60が待機位置から上流側へ向かって移動し、先端送り装置23が受け渡し位置に到達すると同時にまたはその後、先端把持ハンド60も受け渡し位置へ到達する。
【0039】
次に、図6に示すように、先端把持ハンド60が帯状部材5の先端7を保持する。このようにして、先端送り装置23から先端把持ハンド60へ帯状部材5が受け渡される。
【0040】
次に、図7に示すように、先端送り装置23が帯状部材5を離す。その後、先端送り装置23は待機位置へ戻る。また、帯状部材5が先端送り装置23によって短距離送り出された後、カッター10より上流側では、定寸送りハンド30がその待機位置において帯状部材5を保持する。
【0041】
次に、図8に示すように、先端把持ハンド60と定寸送りハンド30とが同調して下流側へ長距離移動し、帯状部材5を下流側へ長距離送り出す。ここで、先端把持ハンド60と定寸送りハンド30とが同調して移動するとは、先端把持ハンド60と定寸送りハンド30とが同時に同じ速度で移動することである。先端把持ハンド60と定寸送りハンド30とが長距離移動するとほぼ同時に、搬出用テーブル50がカッター10の近くの受け取り位置へ移動する。
【0042】
次に、図9に示すように、先端把持ハンド60および定寸送りハンド30が帯状部材5を離す。すると帯状部材5の先端7が搬出用テーブル50の上へ落ちる。先端把持ハンド60および定寸送りハンド30は、帯状部材5を離した後、それぞれの待機位置へ戻る。先端把持ハンド60および定寸送りハンド30は、次に先端送り装置23が帯状部材5を短距離送り出し終えるまでに、それぞれの待機位置へ戻っている。また、帯状部材5が長距離送り出されて停止した後、先端送り装置23はその待機位置において再び帯状部材5を保持する。先端送り装置23が再び帯状部材5を保持するタイミングは、例えば、定寸送りハンド30が帯状部材5を離す前である。
【0043】
次に、図10に示すように、カッター10が帯状部材5をカットする。カット中は先端送り装置23がその待機位置において帯状部材5を保持している。帯状部材5の先端7側の部分が、カットされることによりストリップ片80となる。先端把持ハンド60および定寸送りハンド30はこのカット中にそれぞれの待機位置へ戻る動作をしていても良い。
【0044】
カット後のストリップ片80は、保持されていないため、受け取り位置に移動を完了していた搬出用テーブル50の上へ落ちる。搬出用テーブル50は、落ちてきたストリップ片80を受け取った後、受け取り位置よりも下流側の搬出位置へ移動して停止する。搬出用テーブル50が停止した後、運搬装置4が搬出用テーブル50から整列コンベア3へストリップ片80を運搬する。
【0045】
その後、以上の動作が繰り返される。具体的には、帯状部材5のカット中に先端送り装置23の待機位置において帯状部材5を保持していた先端送り装置23は、カット後も帯状部材5を保持したまま、再び帯状部材5を下流側へ短距離送り出す。その後は以上の動作が繰り返される。
【0046】
以上の動作が繰り返されることにより、次々に帯状部材5がカットされてストリップ片80が製造され、それらのストリップ片80が次々に整列コンベア3へ運搬されて整列コンベア3上で接合されて、タイヤ用のベルトが完成する。
【0047】
実施形態の帯状部材5の切断方法によれば、帯状部材5の先端7が先端把持ハンド60に保持され、帯状部材5のカッター10より上流側の部分が定寸送りハンド30に保持された状態で、帯状部材5がカッター10より下流側へ長距離送り出される。そのため、送り出しの途中で帯状部材5の引っかかりが生じにくい。
【0048】
しかも、先端送り装置23が、帯状部材5のカット中に帯状部材5を保持し、帯状部材5のカット後に帯状部材5を下流側へ短距離送り出す。このように先端送り装置23が帯状部材5を保持している間に、帯状部材5を長距離送り出した後の先端把持ハンド60および定寸送りハンド30がそれぞれの待機位置に戻ることができる。そして、先端把持ハンド60および定寸送りハンド30が、先端送り装置23によって短距離送り出された帯状部材5を、すぐに保持することができる。このようにして、時間を無駄にすることなく、次々に帯状部材5をカットすることが可能となる。
【0049】
また、実施形態の帯状部材5の切断装置2は、帯状部材5を下流側へ長距離送り出す動作をする定寸送りハンド30の他に、帯状部材5の先端7を保持して下流側へ長距離引っ張り出す先端把持ハンド60を備える。そのため、送り出しの途中で帯状部材5の引っかかりが生じにくい。
【0050】
しかも、帯状部材5を下流側へ長距離送り出す動作をする先端把持ハンド60および定寸送りハンド30の他に、帯状部材5のカット中に帯状部材5を保持しその後帯状部材5を下流側へ短距離送り出す先端送り装置23が設けられている。そのため、先端送り装置23が帯状部材5を保持している間に、帯状部材5を長距離送り出した後の先端把持ハンド60および定寸送りハンド30がそれぞれの待機位置に戻ることができる。その結果、先端把持ハンド60および定寸送りハンド30は、先端送り装置23によって短距離送り出された帯状部材5を直ちに保持することができる。従って、時間を無駄にすることなく、次々に帯状部材5をカットすることが可能となる。
【0051】
以上の実施形態は例示であって、発明の範囲はこれに限定されない。以上の実施形態に対して、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な変更、置換、省略等を行うことができる。例えば、先端送り装置23、定寸送り装置40および先端把持ハンド60ならびにそれらを動作、移動させる手段の構造は、上記実施形態の構造に限定されず、上記の帯状部材5の送り出しを実現できる構造であれば良い。
【符号の説明】
【0052】
1…ベルト製造装置、2…切断装置、3…整列コンベア、4…運搬装置、5…帯状部材、6…コード、7…先端、10…カッター、11…刃、20…送りテーブル、21…側壁、23…先端送り装置、26…上プレート、27…下プレート、28…開閉装置、29…移動装置、30…定寸送りハンド、40…定寸送り装置、41…移動手段、42…移動体、43…昇降手段、50…搬出用テーブル、51…側壁、60…先端把持ハンド、62…上プレート、63…下プレート、65…開閉装置、67…移動装置、68…移動手段、69…移動体、70…水平移動装置、80…ストリップ片、81…切断辺、82…非切断辺
図1
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図7
図8
図9
図10