【文献】
KAROLIEN BETTENS; NATHALIE BROUWERS; SEBASTIAAN ENGELBORGHS; ET AL,BOTH COMMON VARIATIONS AND RARE NON-SYNONYMOUS SUBSTITUTIONS AND SMALL INSERTION/DELETIONS 以下備考,MOLECULAR NEURODEGENERATION,BIOMED CENTRAL LTD.,2012年 1月16日,VOL:7, NR:1,PAGE(S):3,IN CLU ARE ASSOCIATED WITH INCREASED ALZHEIMER RISK,URL,http://dx.doi.org/10.1186/1750-1326-7-3
【文献】
CHARLOTTE JAGO,ALZHEIMER'S DISEASE: ONE YEAR LATER,[ONLINE],2014年 2月 3日,URL,http://lsconnect.thomsonreuters.com/alzheimers-disease-year-later/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多型が、走査型プローブ及びナノ細孔DNA配列決定、ピロシーケンシング、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、時間温度勾配電気泳動(TTGE)、Zn(II)−サイクレンポリアクリルアミドゲル電気泳動、均一蛍光PCR系単一ヌクレオチド多型分析、リン酸−アフィニティポリアクリルアミドゲル電気泳動、ハイスループットSNP遺伝子型判定プラットフォーム、分子ビーコン、5’ヌクレアーゼ反応、Taqmanアッセイ、MassArray(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析と組み合わせた単一塩基プライマー伸長)、トリチル質量タグ、遺伝子型判定プラットフォーム(Invader Assay(登録商標)など)、単一塩基プライマー伸長(SBE)アッセイ、PCR増幅(例えば、磁気ナノ粒子(MNP)上でのPCR増幅)、PCR産物の制限酵素分析(RFLP法)、アレル特異的PCR、マルチプライマー伸長(MPEX)、及び等温スマート増幅からなる群から選択される技術によって検出される、請求項5又は6に記載の医薬。
多型が、少なくとも1つの多型を含有する標的領域の増幅、並びにストリンジェントな条件下で少なくとも1つの多型にハイブリダイズする少なくとも1つの配列特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、及びハイブリダイゼーションの検出により検出される、請求項1から7の何れか一項に記載の医薬。
患者が少なくとも20、20〜30、20〜26、24〜30、21〜26、22〜26、22〜28、23〜26、24〜26、又は25〜26のMMSEスコアを有する、請求項9又は10に記載の医薬。
ヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を用いた治療に応答する可能性がより高いとして早期又は軽度から中等度のADに罹患している患者を同定する方法であって、ヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を用いた治療に対する応答を予測する多型を含むCLUSTERINアレルの存在を、患者に由来する試料中で検出することを含み
前記抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、方法。
ADに罹患している患者が抗Aベータ抗体、又はその抗原結合断片を含む治療から利益を得る可能性を決定するための方法であって、患者の遺伝子型を決定することを含み、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有する少なくとも1つのCLUSTERINアレルを有する患者が、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有するアレルを有さない患者よりも、抗Aベータ抗体を用いた治療に応答する可能性がより高く
前記抗Aベータ抗体、又はその抗原結合断片が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、方法。
多型が、走査型プローブ及びナノ細孔DNA配列決定、ピロシーケンシング、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、時間温度勾配電気泳動(TTGE)、Zn(II)−サイクレンポリアクリルアミドゲル電気泳動、均一蛍光PCR系単一ヌクレオチド多型分析、リン酸−アフィニティポリアクリルアミドゲル電気泳動、ハイスループットSNP遺伝子型判定プラットフォーム、分子ビーコン、5’ヌクレアーゼ反応、Taqmanアッセイ、MassArray(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析と組み合わせた単一塩基プライマー伸長)、トリチル質量タグ、遺伝子型判定プラットフォーム(Invader Assay(登録商標)など)、単一塩基プライマー伸長(SBE)アッセイ、PCR増幅(例えば、磁気ナノ粒子(MNP)上でのPCR増幅)、PCR産物の制限酵素分析(RFLP法)、アレル特異的PCR、マルチプライマー伸長(MPEX)、及び等温スマート増幅からなる群から選択される技術によって検出される、請求項26又は27に記載の方法。
多型が、少なくとも1つの多型を含有する標的領域の増幅、並びにストリンジェントな条件下で少なくとも1つの多型にハイブリダイズする少なくとも1つの配列特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、及びハイブリダイゼーションの検出により検出される、請求項19から28の何れか一項に記載の方法。
患者が少なくとも20、20〜30、20〜26、24〜30、21〜26、22〜26、22〜28、23〜26、24〜26、又は25〜26のMMSEスコアを有する、請求項30又は31に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0034】
別途定義されない限り、本明細書で用いられる技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology、第2版、J.Wiley&Sons(New York, N.Y. 1994)、及びMarch,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure、第4版、John Wiley&Sons(New York, N.Y. 1992)は、当業者に、本出願において用いられる多くの用語に対する一般的指針を提供する。
【0035】
ある特定の定義及び省略形
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、単数形で用いられる用語は適宜複数形も含み、その逆も同様である。以下に記載の任意の定義が出典明示により本明細書で援用される任意の文献と矛盾する場合、以下に記載の定義が優先されるものとする。
【0036】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が別途明確に区別しない限り、複数の指示対象を含む。かくして、例えば、「タンパク質」又は「抗体」と言及される場合、それらはそれぞれ複数のタンパク質又は抗体を含み、「細胞」は細胞の混合物などを含む。
【0037】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に提供される範囲は、両方の終点及び終点間の全ての点を含む。かくして、例えば、2.0−3.0の範囲は、2.0、3.0、及び2.0と3.0の間の全ての点を含む。
【0038】
本明細書で用いられる語句「実質的に類似する」、又は「実質的に同じ」とは、当業者が、前記値(例えば、Kd値)により測定される生物学的特性の文脈内で、生物学的及び/又は統計的有意性がほとんどないか、又は全くない2つの値の間の差異を考慮するような、2つの数値(一般的には、一方は本発明の抗体と関連し、他方は参照/コンパレータ抗体と関連する)間の十分に高い程度の類似性を示す。前記2つの値間の差異は、参照/コンパレータ抗体に関する値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満である。
【0039】
本明細書で用いられる用語「試料」又は「試験試料」とは、例えば、物理的、生化学的、化学的及び/又は生理的特性に基づいて特徴を明らかにされる、及び/又は同定される細胞性及び/又は他の分子実体を含有する目的の対象から得られる、又はそれに由来する組成物を指す。一実施態様においては、定義は、生検標本又は組織培養物又はそれに由来する細胞などの、血液及び生物学的起源の他の液体試料及び組織試料を包含する。組織試料の供給源は、新鮮な、凍結された、及び/又は保存された臓器若しくは組織試料又は生検若しくは吸引物などの固形組織;血液又は任意の血液構成要素;体液;及び対象の妊娠若しくは発生における任意の時点に由来する細胞又は血漿であってもよい。本明細書で用いられる用語「生物学的試料」は、限定されるものではないが、血液、血清、血漿、痰、組織生検(例えば、肺試料)、及び鼻腔スワブ又は鼻腔ポリープを含む鼻腔試料を含む。
【0040】
用語「試料」、「生物学的試料」又は「試験試料」は、試薬を用いる処理、可溶化、又はタンパク質若しくはポリヌクレオチドなどのある特定の成分に関する富化、又は切片化する目的での半固体若しくは固体マトリックス中への包埋などにより、その調達後に任意の方法で操作された生物学的試料を含む。本明細書における目的のために、組織試料の「切片」は、組織試料の単一の部分又は小片、例えば、組織試料から切断された組織又は細胞の薄いスライスを意味する。試料としては、限定されるものではないが、全血、血液由来細胞、血清、血漿、リンパ液、滑液、細胞抽出物、及びその組合せが挙げられる。一実施態様においては、試料は、臨床試料である。別の実施態様においては、試料は、診断アッセイにおいて用いられる。
【0041】
一実施態様においては、試料は、抗Aベータ抗体を用いる治療の前に対象又は患者から得られる。別の実施態様においては、試料は、抗Aベータ抗体を用いる少なくとも1回の治療の後に対象又は患者から得られる。
【0042】
本明細書で用いられる「基準試料」とは、比較目的で用いられる任意の試料、標準、又はレベルを指す。一実施態様においては、基準試料は、同じ対象又は患者の身体の健康な、及び/又は非疾患性部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。別の実施態様においては、基準試料は、同じ対象又は患者の身体の治療されていない組織及び/又は細胞から得られる。さらに別の実施態様においては、基準試料は、対象又は患者ではない個体の身体の健康な、及び/又は非疾患性部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。さらに別の実施態様においては、基準試料は、対象又は患者ではない個体の身体の治療されていない組織及び/又は細胞部分から得られる。
【0043】
ある特定の実施態様においては、基準試料は、試験試料が得られる時とは1つ又は複数の異なる時点で得られる同じ対象又は患者に由来する単一の試料又は組み合わせた複数の試料である。例えば、基準試料は、試験試料が得られる時よりも早い時点で同じ対象又は患者から得られる。ある特定の実施態様においては、基準試料は、対象又は患者ではない1又は複数の個体から得られる用語「試料」の下で上記に定義されたあらゆる型の生物学的試料を含む。ある特定の実施態様においては、基準試料は、対象又は患者ではない、アミロイドーシス、例えば、アルツハイマー病を有する1又は複数の個体から得られる。
【0044】
ある特定の実施態様においては、基準試料は、対象又は患者ではない1又は複数の健康な個体に由来する組み合わせた複数の試料である。ある特定の実施態様においては、基準試料は、対象又は患者ではない疾患又は障害(例えば、アルツハイマー病などのアミロイドーシス)を有する1又は複数の個体に由来する組み合わせた複数の試料である。ある特定の実施態様においては、基準試料は、対象又は患者ではない1又は複数の個体からの、正常組織に由来するプールされたRNA試料又はプールされた血漿若しくは血清試料である。
【0045】
核酸試料は、対象から得られる生物学的試料から単離される。核酸試料を、標準的な技術を用いて生物学的試料から単離することができる。核酸試料を、多型変異体の存在を決定するための方法において用いることができる。多型変異体の存在又は非存在を、核酸試料中に存在する一方又は両方の染色体対を用いて決定することができる。核酸試料中に存在する両方の染色体対中の多型変異体の存在又は非存在の決定は、多型変異体について個体の接合性を決定するのに有用である。
【0046】
用語「低分子」とは、50ダルトンから2500ダルトンの分子量を有する有機分子を指す。
【0047】
用語「抗体」及び「免疫グロブリン」(「Ig」)は、その最も広い意味で互換的に用いられ、それらが所望の生物活性を示すという条件で、限定されるものではないが、モノクローナル抗体(例えば、完全長又はインタクトなモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体、ポリエピトープ特異性を有する抗体、単鎖抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体)、及び抗体の断片を含む。そのような抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、合成抗体、及び/又は親和性成熟抗体であってもよい。そのような抗体及びそれらを生成する方法は、本明細書により詳細に記載される。
【0048】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部のみを含み、ここで、その部分は、好ましくは、インタクトな抗体中に存在する場合、その部分と通常関連する機能の少なくとも1つ、典型的には多く、又は全部を保持する。一実施態様においては、抗体断片は、インタクトな抗体の抗原結合部位を含み、かくして、抗原に結合する能力を保持する。別の実施態様においては、抗体断片、例えば、Fc領域を含むものは、FcRn結合、抗体半減期モジュレーション、ADCC機能及び補体結合などの、インタクトな抗体中に存在する場合にFc領域と通常関連する生物学的機能の少なくとも1つを保持する。一実施態様においては、抗体断片は、インタクトな抗体と実質的に類似するインビボでの半減期を有する一価抗体である。例えば、そのような抗体断片は、断片にインビボでの安定性を付与することができるFc配列に連結された抗原結合アームを含んでもよい。抗体断片の例としては、限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0049】
本明細書で用いられる用語「標的」とは、別途指示がない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物起源に由来する任意の天然分子を指す。この用語は、「完全長」のプロセシングされていない標的並びに細胞中でのプロセシングの結果生じる任意の形態の標的を包含する。この用語はまた、標的の天然に存在する変異体、例えば、スプライスバリアント又はアレル変異体も包含する。
【0050】
本明細書で互換的に用いられる用語「アミロイドベータ」、「ベータ−アミロイド」、「Aベータ」、「アミロイドβ」及び「Aβ」は、アミロイド前駆体タンパク質(「APP」)のβ−セクレターゼ1(「BACE1」)切断の際に産生されるAPPの断片、並びに限定されるものではないが、Aβ1−40及びAβ1−42を含む、その修飾体、断片及び任意の機能的等価物を指す。Aβは、モノマー形態で存在し、会合してオリゴマー及びフィブリル構造を形成することが知られており、アミロイド斑の構成要素として見出すことができる。そのようなAβペプチドの構造及び配列は、当業者には周知であり、前記ペプチドを産生する、又は脳及び他の組織からそれらを抽出する方法は、例えば、Glenner及びWong,Biochem Biophys Res.Comm.129:885−890(1984)に記載されている。さらに、Aβペプチドはまた、様々な形態で市販されている。ヒトAβ1−42の例示的なアミノ酸配列は、DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号1)である。
【0051】
用語「抗標的抗体」及び「標的に結合する抗体」とは、抗体が標的を標的化する際に診断剤及び/又は治療剤として有用であるような十分な親和性で標的に結合することができる抗体を指す。一実施態様においては、非関連の非標的タンパク質への抗標的抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)又はBIAcoreアッセイにより測定されるように、抗体の標的への結合の約10%未満である。ある特定の実施態様においては、標的に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、又は0.001nM以下(例えば、10
−8M以下、例えば、10
−8M−10
−13M、例えば、10
−9M−10
−13M)の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施態様においては、抗標的抗体は、異なる種間で保存された標的のエピトープに結合する。
【0052】
「抗Aベータ免疫グロブリン」、「抗Aベータ抗体」及び「Aベータに結合する抗体」は、本明細書では互換的に用いられ、ヒトAベータに特異的に結合する抗体を指す。抗Aベータ抗体の非限定的な例は、クレネズマブである。抗Aベータ抗体の他の非限定的な例は、ソラネズマブ、バピネウズマブ、アデュカヌマブ、及びガンテネルマブである。
【0053】
用語「クレネズマブ」及び「MABT5102A」は、本明細書では互換的に用いられ、モノマー、オリゴマー、及びフィブリル形態のAベータに結合し、CAS登録番号1095207と関連する特異的抗Aベータ抗体を指す。一実施態様においては、そのような抗体は、
図2に記載のHVR領域配列を含む。別のそのような実施態様においては、そのような抗体は、(1)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H1;(2)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H2配列;(3)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−H3;(4)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L1配列;(5)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L2配列;及び(6)配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR−L3配列を含む。別の実施態様においては、特異的抗Aベータ抗体は、
図3に記載のアミノ酸配列を有するVH及びVLドメインを含む。別のそのような実施態様においては、そのような特異的抗Aベータ抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号9のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む。別の実施態様においては、抗体はIgG4抗体である。別のそのような実施態様においては、IgG4抗体は、セリン228がプロリンに代わるように、その定常ドメイン中に突然変異を含む。
【0054】
本明細書で用いられる用語「アミロイドーシス」とは、アミロイド又はアミロイド様タンパク質により引き起こされる、又はそれと関連する疾患群及び障害群を指し、限定されるものではないが、アミロイド斑などによる、モノマー、フィブリル、若しくはポリマー状態、又は3つの何れかの組合せにあるアミロイド様タンパク質の存在又は活性により引き起こされる疾患及び障害が挙げられる。そのような疾患としては、限定されるものではないが、続発性アミロイドーシス及び加齢性アミロイドーシス、例えば、限定されるものではないが、アルツハイマー病(「AD」)などの神経障害などの疾患、認知記憶能力の喪失を特徴とする疾患又は状態、例えば、軽度認知障害(MCI)、レヴィ小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(Dutch型)、グアム−パーキンソン認知症複合及びアミロイド様タンパク質に基づく、又はそれと関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、封入体筋炎(IBM)、成人発症型糖尿病、内分泌腫瘍及び老人性心臓アミロイドーシス、並びに黄斑変性、ドルーゼン関連視神経症、緑内障、及びベータ−アミロイド沈着に起因する白内障などの様々な眼の疾患が挙げられる。
【0055】
緑内障は、視神経症の特徴的なパターンにおける網膜神経節細胞(RGC)の喪失を含む視神経の疾患群である。RGCは、視覚シグナルを眼から脳へ伝達する神経細胞である。アポトーシスプロセスにおける2つの主要な酵素であるカスパーゼ−3及びカスパーゼ−8が、RGCのアポトーシスをもたらすプロセスにおいて活性化される。カスパーゼ−3はアミロイド前駆体タンパク質(APP)を切断して、Aベータを含む神経毒性断片を産生する。APPの保護効果がない場合、網膜神経節細胞層でのAベータ蓄積は、RGCの死滅及び視力の不可逆的な喪失をもたらす。
【0056】
緑内障は、常にではないが、眼圧の増大を伴うことが多く、これは水性の循環、又はその排水のブロックの結果であり得る。眼内圧の上昇は緑内障の発症に関する有意な危険因子であるが、緑内障を引き起こすための決定因子である眼内圧の閾値を定義することはできない。また、損傷は、生きた視神経線維への少ない血液供給、神経の構造の弱さ、及び/又は神経線維自体の健康における問題によっても引き起こされ得る。治療されていない緑内障は、視神経の永続的な損傷及びその結果である視野の喪失をもたらし、これは失明に進行することがある。
【0057】
異なる型の緑内障が、状態が慢性的である場合は、開放隅角緑内障、又は急性緑内障が突発する場合は、閉塞隅角緑内障と分類される。緑内障は通常、両眼に影響するが、疾患は他方の眼よりも一方の眼においてより急速に進行することがある。
【0058】
原発性開放隅角緑内障(POAG)としても知られる慢性開放隅角緑内障(COAG)は、最も一般的な型の緑内障である。COAGは、小柱網における顕微鏡的ブロックにより引き起こされ、シュレム管への水性流出物の排水を減少させ、眼内圧(IOP)を上昇させる。POAGは通常、両眼に影響し、年齢及び陽性の家族歴と強く関連する。眼の排水機構は加齢と共に徐々に詰まるようになるため、その頻度は高齢者において増大する。慢性開放隅角緑内障に罹患した対象における眼内圧の増大は、中心視覚野上で喪失が感じられるまで症候を伴わない。
【0059】
急性閉塞隅角緑内障(AACG)又は閉塞隅角緑内障は、35−80mmHgへの眼内圧の突然の上昇を特徴とする比較的稀な型の緑内障であり、激しい疼痛及び視力の不可逆的な喪失をもたらす。突然の圧力上昇は、フィルタリング角の閉鎖及び排水チャネルのブロックにより引き起こされる。狭い角度を有する個体は、角度の突然の閉鎖に関する高い危険性を有する。AACGは通常、単眼的に生じるが、危険性は両眼に存在する。年齢、白内障及び偽落屑はレンズの拡大及び角度の込み合い又は狭窄と関連するため、それらも危険因子である。突然の緑内障発作は、激しい眼の疼痛及び頭痛、眼の炎症、悪心、嘔吐、並びに視界不良と関連し得る。
【0060】
混合型(Mixed/Combined)緑内障は、開放隅角緑内障及び閉塞隅角緑内障の混合型又は組合せ型である。それは、レーザー虹彩切開術後に隅角が開く急性ACGを有するが、IOPコントロールのために医薬を継続的に必要とする患者、並びに隅角の狭窄を徐々に生じるPOAG又は偽落屑緑内障を有する患者に影響する。
【0061】
低眼圧緑内障(LTG)としても知られる、正常眼圧緑内障(NTG)は、他の型の緑内障において見られるものと類似する進行性の視神経損傷及び周辺視野の喪失を特徴とする;しかしながら、眼内圧は、正常範囲であるか、又は正常を下回る。
【0062】
先天性(小児)緑内障は、比較的稀な、遺伝型の開放隅角緑内障である。排水領域の不十分な発達は、視神経損傷に由来する視力喪失及び眼の拡大をもたらし得る眼内圧の増大をもたらす。早期診断及び治療は、疾患に罹患した乳児及び小児において視力を保持するのに重要である。
【0063】
続発性緑内障は、眼の傷害、眼の虹彩の炎症(虹彩炎)、糖尿病、白内障、又はステロイド感受性個体におけるステロイドの使用の結果生じ得る。続発性緑内障はまた、網膜剥離又は網膜静脈閉塞若しくはブロックと関連し得る。
【0064】
色素性緑内障は、虹彩からの色素顆粒の剥離を特徴とする。顆粒は、眼の排水系のブロックを引き起こし、眼内圧の上昇及び視神経に対する損傷をもたらす。落屑緑内障(偽落屑)は、前嚢上及び眼の隅角中のフレーク状物質の沈着を特徴とする。フレーク状物質の蓄積は、排水系をブロックし、眼圧を上昇させる。
【0065】
緑内障の診断を、様々な試験を用いて行うことができる。眼圧測定法は、眼の表面の色調又は硬度を測定することにより、眼中の圧力を決定する。いくつかの型の眼圧計がこの試験のために利用可能であり、最も一般的なものは圧平眼圧計である。厚度測定法(pachymetry)は、角膜の厚さを決定し、順に、眼内圧を測定する。隅角鏡検査法は、眼のフィルタリング角及び排水領域の検査を可能にする。隅角鏡検査法はまた、異常な血管が眼からの水性流体の排水をブロックし得るかどうかを決定することもできる。検眼鏡検査は、視神経の検査を可能にし、視神経頭における神経線維層の脱落若しくは変化、又は眼内圧の増大若しくは軸索脱落により引き起こされ得る、この構造の圧入(吸角)を検出することができる。隅角鏡検査法はまた、弱い血流又は眼内圧の増大に由来する神経に対する損傷を評価するのにも有用である。視野検査は、視野を主観的にマッピングするものであり、視神経に対する緑内障性損傷の兆候を検出することができる。これは、視野喪失の特定のパターンによって表される。光干渉断層法は、神経線維層喪失の客観的尺度であり、損傷した軸索組織を通る光透過性の差異により視神経線維層の厚さ(緑内障の変化)を見ることによって実行される。
【0066】
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて参照抗体のその抗原への結合を50%以上ブロックする抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて抗体のその抗原への結合を50%以上ブロックする。例示的な競合アッセイは、本明細書に提供される。
【0067】
本明細書で用いられる用語「バイオマーカー」とは、一般に、哺乳動物組織又は細胞の中又は上での発現を、標準的な方法(又は本明細書に開示される方法)により検出することができ、それが補体、例えば、補体活性化第2経路の阻害に基づく治療レジメンに対する哺乳動物細胞又は組織の感受性を予測する、診断する、及び/又は予後診断する、単一ヌクレオチド多型(SNP)、タンパク質、炭水化物構造、又は糖脂質を含む分子を指す。任意選択的に、SNPバイオマーカーは、SNP(バイナリーエンティティ)が個体群を応答者と非応答者に階層化する場合に決定される。例えば、2個のヌクレオチド、AがリスクアレルであるG及びAを有するSNPを考えると、Aアレルの担体(例えば、AA又はGA個体)は、治療に応答するが、Aアレルを有さない個体(例えば、GG個体)は応答しない。
【0068】
本明細書で用いられる「予測バイオマーカー」は、所与の治療に応答する可能性が最も高い患者の部分母集団を同定する。
【0069】
本明細書で用いられる「予後バイオマーカー」は、治療されていない個体における疾患の起こり得る経過を示すマーカーである。
【0070】
本明細書で用いられる用語「単一ヌクレオチド多型」は、本明細書では「SNP」とも呼ばれ、遺伝的変異性をもたらすDNA配列内の単一塩基置換を指す。1を超える塩基型が集団中で可能であるゲノム中のヌクレオチド位置は、本明細書では「多型部位」又は「多型」と呼ばれる。多型部位は、例えば、1つ若しくは複数のヌクレオチドのヌクレオチド配列、挿入されたヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列、欠失されたヌクレオチド若しくはヌクレオチド配列、又はマイクロサテライトであってもよい。2つ以上のヌクレオチド長である多型部位は、全部又はいくつかのヌクレオチド配列が領域内で異なる、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15以上、20以上、30以上、50以上、75以上、100以上、500以上、又は約1000のヌクレオチド長であってよい。単一ヌクレオチド長である多型部位は、本明細書ではSNPと呼ばれる。多型部位に2、3又は4つの代替的ヌクレオチド配列が存在する場合、それぞれのヌクレオチド配列は「多型変異体」又は「核酸変異体」と呼ばれる。DNA配列中のそれぞれの可能な変異体は、「アレル」と呼ばれる。2つの多型変異体が存在する場合、ある集団に由来する試料の大部分に存在する多型変異体は、「一般的アレル」又は「メジャーアレル」と呼ばれ、集団中であまり一般的ではない多型変異体は「非一般的アレル」又は「マイナーアレル」と呼ばれる。2つの一般的アレル又は2つの非一般的アレルを担持する個体は、多型に関して「ホモ接合性」である。1つの一般的アレル及び1つの非一般的アレルを担持する個体は、多型に関して「ヘテロ接合性」である。C/G又はA/T SNPに関して、アレルは多義であり、遺伝子型判定プラットフォームからデータを抽出するのに用いられる鎖に依存する。これらのC/G又はA/T SNPに関して、それぞれ、C若しくはGヌクレオチド又はA若しくはTヌクレオチドは、リスクアレル若しくは保護的アレルであってよく、アレル頻度の相関によって決定される。疾患に関するリスクの増大と相関する、又は1より大きいオッズ比若しくは相対リスクと関連するアレルは、「リスクアレル」又は「効果アレル」と呼ばれる。リスクアレル又は効果アレルは、マイナーアレル又はメジャーアレルであってもよい。リスクの低下(若しくは療法からの利益の可能性の増大)と相関する、又は1より小さいオッズ比と関連するアレルは、「保護的アレル」と呼ばれる。保護的アレルは、マイナー又はメジャーアレルであってもよい。
【0071】
本明細書で用いられる場合、「等価アレル」又は「代用アレル」とは、公開されたアレルと同様に挙動すると予想され、アレル頻度並びに本明細書で定義される公開されたアレル及び/若しくは選択されたSNPに関して高いr
2(0.6以上)及び/又は高いD’(0.6以上)に基づいて選択されるアレルを指す。一実施態様においては、高いr
2は0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0以上である。一実施態様においては、高いD’は0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0以上である。
【0072】
本明細書で用いられる場合、「連鎖不平衡」又は「LD」とは、無作為に関連しない、すなわち、その頻度と比例して関連しない異なる遺伝子座にあるアレルを指す。アレルが正の連鎖不平衡にある場合、アレルは予想される推定統計的独立よりも高頻度で同時に存在する。逆に、アレルが負の連鎖不平衡にある場合、アレルは予想される推定統計的独立よりも低頻度で同時に存在する。本明細書で用いられる場合、「オッズ比」又は「OR」とは、マーカー(アレル又は多型)を含まない個体における疾患のオッズと比較したマーカー(アレル又は多型)を含む個体に関する疾患のオッズの比を指す。本明細書で用いられる場合、「ハプロタイプ」とは、単位として通常遺伝されるのに十分密接に連結される単一の染色体上のアレル群を指す。
【0073】
多型変異体を、二本鎖核酸の何れか、又は両方の鎖の上で検出することができる。また、多型変異体を、遺伝子のイントロン若しくはエクソン内又はプロモーター、5’非翻訳領域(UTR)、3’UTRなどの調節領域の一部内、並びにDNA(例えば、ゲノムDNA(gDNA)及び相補的DNA(cDNA))、RNA(例えば、mRNA、tRNA、及びRRNA)、又はポリペプチド中に位置してもよい。多型変異は、遺伝子発現、ポリペプチド構造又はポリペプチド機能の検出可能な差異をもたらしてもよいか、又はもたらさなくてもよい。
【0074】
本明細書で用いられる場合の用語「交互SNP」とは、選択されたSNPと同様に挙動すると予想され、類似するアレル頻度に基づいて選択され、0.6以上のr
2及び/又は0.6以上のD’により測定される選択されたSNPとの連鎖不平衡を有するSNPを指す。
【0075】
用語「治療剤」とは、限定されるものではないが、疾患の症候を治療する薬剤を含む、疾患を治療するために用いられる任意の薬剤を指す。
【0076】
本明細書で用いられる場合、「治療」(及び「治療する」又は「治療すること」などのその文法上の変化形)とは、治療される個体の自然の経過を変化させる試みにおける臨床的介入を指し、臨床病理の経過中に実施することができる。望ましい治療効果としては、限定されるものではないが、1つ又は複数の症候の緩和又は改善、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的帰結の出現又は悪化の減少又は遅延、疾患進行速度の低下、及び病態の改善又は緩和が挙げられる。いくつかの実施態様においては、疾患の発達を遅延させる、又は疾患の進行を減速させるために、抗体が用いられる。
【0077】
本明細書で用いられる用語「治療中に発生する」とは、第1の用量の治療剤が投与された後に生じる事象を指す。例えば、「治療中に発生する有害事象」は、臨床試験における第1の用量の治療の際又はその後に同定される事象である。
【0078】
「治療レジメン」とは、第2の医薬の添加を用いる、又は用いない、用量、投与頻度、又は治療期間の組合せを指す。
【0079】
「有効な治療レジメン」とは、治療を受ける患者に有益な応答を提供する治療レジメンを指す。
【0080】
「治療を修飾すること」とは、用量、投与頻度、又は治療期間を変化させること、及び/又は第2の医薬の添加を含む、治療レジメンを変化させることを指す。
【0081】
ある薬剤の「有効量」又は「有効用量」とは、必要な時間にわたって、所望の結果を達成するのに有効な量又は用量を指す。例えば、「治療的有効量」は、必要な時間にわたって、示された疾患、状態、臨床病理、又は症候を治療する、すなわち、ADの進行経過を修飾する、並びに/又はADの1つ若しくは複数の症候を改善する、及び/若しくは防止するのに有効な量である。
【0082】
本発明は、治療に対する応答を予測するための予測バイオマーカーとして、及びADの進行を評価するための予後バイオマーカーとしてSNP又は他の遺伝子に基づく機構を用いる方法、治療方針を選択するためにSNP又は他の遺伝子に基づく機構を用いる方法、並びに限定されるものではないが、臨床試験のための患者を選択すること、又は臨床治療決定を行うことを含む、患者階層化のためのSNP又は他の遺伝子に基づく機構を用いる方法を提供する。本明細書で用いられる場合、「患者階層化」とは、治療に応答する可能性を決定するための個体の遺伝子型判定を指す。遺伝子型判定は、個体がSNPを担持するかどうかを同定するために行われる。特定のSNP遺伝子型の測定のための多くの方法が存在する。1つ又は複数のSNP中に突然変異を担持する個体を、限定されるものではないが、SNPアレイ、Taqman、蛍光分極、Sequenom(又は本明細書に記載のSNPの分析のための他の方法)を含む様々な技術により、DNAレベルで検出することができる。診断のための核酸を、血液、尿、唾液、組織生検及び剖検材料などの患者の細胞から取得することができる。
【0083】
ゲノムDNA又は転写物の分析の前に、ゲノムDNAを、検出のために直接用いるか、又はPCRを用いることにより増幅することができる。例えば、個体に由来する断片化された一本鎖DNAを、数百から数千の固定されたユニークなヌクレオチドプローブ配列を含有するアレイにハイブリダイズさせる。ヌクレオチドプローブ配列は、標的DNA配列に結合するように設計される(例えば、SNPについては、アレル特異的プローブを用いて、SNPの存在又は非存在を同定及び分析する)。検出系を用いて、固定されたプローブと、個体に由来するDNAとの間のハイブリダイゼーションシグナルを記録及び解釈する(プローブ又はDNAの何れかを、検出された又は測定されたフルオロフォアで標識する)。特異的DNA配列の検出を、限定されるものではないが、ハイブリダイゼーション、RNAse保護、化学的切断、直接的DNA配列決定又は制限酵素の使用、ゲノムDNAのサザンブロット法、in situ分析、数百又は数千のオリゴヌクレオチドプローブを含有する高密度アレイへの試料及びコントロール核酸のハイブリダイゼーション(Croninら、Hum Mutat, 7(3): 244-55 (1996))(又は本明細書に記載のSNPの分析のための他の方法)を含む方法により達成することができる。例えば、遺伝子突然変異を、マイクロアレイを用いて同定することができる(Shenら、Mutat Res,573(1-2): 70-82 (2005))。これらの遺伝子試験は、個体の集団を、抗Aベータの治療に対する異なる応答性を有する部分母集団に階層化するのに有用である。
【0084】
本明細書で用いられる用語「遺伝子型判定」とは、限定されるものではないが、DNA挿入又は欠失、多型(SNP若しくはその他)、アレル(分析若しくは生物アッセイ(又は本明細書に記載のSNPの分析のための他の方法)を用いて個体のDNA配列を検査することによる、SNPの形態のマイナー若しくはメジャー若しくはリスクアレルを含む)の存在の検出を含む、個体の遺伝子構成(「遺伝子型」)の差異を決定する方法を指す。例えば、配列決定又は他の方法(例えば、本明細書に記載のSNPの分析のための他の方法)により決定される個体のDNA配列を、別の個体の配列又は参照配列と比較することができる。限定されるものではないが、ゲノムDNAの制限断片長多型同定(FRLP)、ゲノムDNAの無作為増幅多型検出(RAPD)、増幅断片長多型検出(AFLPD)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、DNA配列決定、アレル特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブ、及びDNAマイクロアレイ又はビーズへのハイブリダイゼーションを含む、遺伝子型判定の方法は、当該技術分野で一般に公知である(例えば、本明細書に記載のSNPの分析のための他の方法)。同様に、これらの技術を、SNP又は他の遺伝因子をコードする転写物の分析に適用することができる。試料を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析、アレイハイブリダイゼーションを用いて、又はDNAマイクロアレイスナップショットを含む、商業的に入手可能である、DNA SNPチップマイクロアレイを用いて、SNPについて都合よくアッセイすることができる。マイクロアレイを、SNPが核酸試料中に存在するか、又は存在しないかどうかを決定するために用いることができる。マイクロアレイはオリゴヌクレオチドを含んでもよく、診断的使用にとって好適なオリゴヌクレオチドマイクロアレイを作製及び使用するための方法は、米国特許第5492806号;第5525464号;第5589330号;第5695940号;第5849483号;第6018041号;第6045996号;第6136541号;第6152681号;第6156501号;第6197506号;第6223127号;第6225625号;第6229911号;第6239273号;国際公開第00/52625号;国際公開第01/25485号;及び国際公開第01/29259号に開示されている。
【0085】
いくつかの実施態様においては、それを最も必要とする個体に対して適切な治療手順を指示するために、臨床医は遺伝子型判定を用いることができる。例えば、試験における対象を遺伝子型判定し、(1)治療に好ましく応答する集団及び(2)治療に有意に応答しない集団、並びに(3)治療に有害に応答する集団に分類する。その結果に基づいて、対象を遺伝子型判定して、対象が治療に好ましく応答する、又は治療に応答しない可能性があるかどうかを予測する。治療の臨床治験における潜在的参加者をスクリーニングして、治療に好ましく応答する可能性が最も高い者を同定することができる。かくして、薬物治療の効率を、薬物に対して正に応答する個体において測定することができる。かくして、一実施態様は、治療の臨床治験における含有のための個体を選択する方法であって、(a)個体から核酸試料を取得する工程、(b)治療に対する正の応答と関連する多型変異体又は治療に対する応答の欠如、若しくは治療に対する応答の減少と関連する多型変異体の存在を決定する工程を含む、方法である。別の実施態様においては、本発明は、治療のための個体を選択する方法であって、(a)個体から核酸試料を取得する工程、(b)治療に対する正の応答と関連する多型変異体の存在を決定する工程及び(c)治療を投与することにより個体を治療する工程を含む、方法を含む。
【0086】
用語「アレル特異的プライマー」又は「ASプライマー」とは、標的配列の1を超える変異体にハイブリダイズするが、変異体の1つに関してのみ、プライマーが好適な条件下で核酸ポリメラーゼにより効率的に伸長される点で標的配列の変異体間を識別することができるプライマーを指す。標的配列の他の変異体に関しては、伸長はあまり効率的ではないか、又は非効率的である。伸長があまり効率的でないか、又は非効率的である場合、シグナルは実質的により低い強度のものであるか、又は好ましくは、検出限界未満である。
【0087】
用語「アレル特異的プローブ」又は「ASプローブ」とは、標的配列の1を超える変異体にハイブリダイズするが、変異体の1つに関してのみ、検出可能なシグナルが生成される点で標的配列の変異体間を識別することができるプローブを指す。標的配列の他の変異体に関しては、シグナルは実質的により低い強度のものであるか、又は好ましくは、検出限界未満である。
【0088】
用語「一次配列」とは、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの配列を指す。窒素塩基修飾、糖修飾又は他の骨格修飾などのヌクレオチド修飾は、一次配列の一部ではない。オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた発色団などの標識も、一次配列の一部ではない。かくして、2つのオリゴヌクレオチドは、同じ一次配列を共有するが、修飾及び標識に関して異なっていてもよい。
【0089】
当業者であれば、ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」を容易に決定でき、一般的には、プローブの長さ、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的計算である。一般に、より長いプローブは、適切なアニーリングのためにより高い温度を必要とするが、より短いプローブはより低い温度を必要とする。ハイブリダイゼーションは一般に、相補鎖がその融点以下の環境中に存在する場合に再アニーリングする、変性したDNAの能力に依存する。プローブとハイブリダイズ可能な配列との間の所望の相同性の程度が高いほど、用いることができる相対温度は高くなる。結果として、より高い相対温度は反応条件をよりストリンジェントなものにする傾向があるが、より低い温度はそうではないということになる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーのさらなる詳細及び説明については、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience Publishers,(1995)を参照されたい。
【0090】
本明細書で定義される「ストリンジェント条件」又は「高ストリンジェンシー条件」を、(1)洗浄のために低イオン強度及び高温、例えば、50℃の0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを用いるもの;(2)ハイブリダイゼーション中に、ホルムアミドなどの変性剤、例えば、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムと共に0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウムバッファー、pH6.5を含む50%(v/v)ホルムアミド、42℃を用いるもの;又は(3)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%硫酸デキストラン、42℃を用いる溶液中での一晩のハイブリダイゼーションと、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中、42℃での10分間の洗浄、次いで、55℃のEDTAを含有する0.1×SSCからなる10分間の高ストリンジェンシー洗浄によって同定することができる。
【0091】
「中ストリンジェント条件」を、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor Press,1989により記載されたように同定することができ、上記のものよりもあまりストリンジェントではない洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中ストリンジェント条件の例は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、及び20mg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中、37℃での一晩のインキュベーション、次いで、約37−50℃、1×SSC中でのフィルターの洗浄である。当業者であれば、プローブの長さなどの因子を提供するのに必要な温度、イオン強度などを調整する方法を認識できる。
【0092】
「親和性」又は「結合親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との非共有的相互作用の総和の強度を指す。別途指摘しない限り、本明細書で用いられる「結合親和性」とは、結合対(例えば、抗体と抗原結合アーム)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)により表すことができる。親和性は、本明細書に記載のものを含む、当該技術分野で公知の一般的方法により測定することができ、その何れも本発明の目的のために用いることができる。結合親和性を測定するための特定の実例的及び例示的実施態様は、本明細書に記載される。
【0093】
「親和性成熟」抗体とは、1つ又は複数の変化を有さない親抗体と比較して、1つ又は複数の超可変領域(HVR)中にそのような変化を有する抗体を指し、そのような変化は、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす。
【0094】
本明細書で用いられる用語「患者」とは、治療が望まれる任意の単一の対象を指す。ある特定の実施態様においては、本明細書における患者は、ヒトである。
【0095】
本明細書における「対象」は、典型的には、ヒトである。ある特定の実施態様においては、対象は非ヒト哺乳動物である。例示的非ヒト哺乳動物としては、実験動物、家庭動物、ペット、スポーツ動物、及び家畜、例えば、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、及びウシが挙げられる。典型的には、対象は、治療の資格があり、例えば、1つ又は複数の疾患の兆候を示す。一般に、そのような対象又は患者は、アミロイドーシス、例えば、ADのための治療の資格がある。一実施態様においては、そのような資格のある対象又は患者は、ADの1つ若しくは複数の兆候、症候、若しくは他の指標を経験しているか、若しくは経験した、又は例えば、新しく診断された、以前に診断された、若しくはADを発症するリスクがあろうとなかろうと、ADと診断されたものである。ADの診断を、病歴、臨床検査、及び確立された画像化モダリティに基づいて行うことができる。本明細書における「患者」又は「対象」は、ADの1つ又は複数の兆候、症候、又は他の指標を経験しているか、又は経験した治療のための資格がある任意の単一のヒト対象を含む。対象として含まれる目的のものは、臨床研究治験に含まれる任意の対象、又は疫学的研究に含まれる対象、又はコントロールとして一度用いられた対象である。対象は、抗Aベータ抗体、又はその抗原結合断片、若しくは別の薬物で以前に治療されていてもよく、又はそのように治療されていなくてもよい。対象は、本明細書における治療が開始される時に用いられる追加の薬物(1又は複数)に対してナイーブであってもよい、すなわち、対象は、例えば、「ベースライン」(すなわち、治療を開始する前に対象をスクリーニングする日などの、本明細書の治療方法における抗Aベータの第1の用量の投与前の設定された時点)での抗Aベータ以外の療法で以前に治療されていなくてもよい。そのような「ナイーブ」な対象は、一般的には、追加の薬物(1又は複数)による治療のための候補であると考えられる。
【0096】
本明細書で用いられる場合、対象の「生存期間」とは、治療を開始した後の対象の残りの人生を指す。
【0097】
本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体、すなわち、少量で存在してもよい可能な天然に存在する突然変異を除いて同一である集団を含む個々の抗体を指す。モノクローナル抗体は、単一の抗原を指向する、高度に特異的なものである。さらに、典型的には異なる決定基(エピトープ)を指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル個体は、抗原上の単一の決定基を指向する。
【0098】
本明細書におけるモノクローナル抗体は、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか、又は相同であるが、鎖(1又は複数)の残りが、別の種に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか、又は相同である「キメラ」抗体、並びにそれらが所望の生物活性を示す限り、そのような抗体の断片を含む(米国特許第4816567号;及びMorrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。
【0099】
抗体の「クラス」とは、その重鎖が有する定常ドメイン又は定常領域の型を指す。5つの主要なクラスの抗体:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのいくつかはサブクラス(又は「アイソタイプ」)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2にさらに分割することができる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。
【0100】
「ヒト化」形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。多くの部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種の超可変領域(ドナー抗体)に由来する残基で置きかえられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例においては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基で置きかえられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体中には見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の性能をさらに改良するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全部又は実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全部又は実質的に全部がヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には、2つの可変ドメインの実質的に全部を含む。ヒト化抗体は、任意選択的に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部を含んでもよい。さらなる詳細については、Jonesら、Nature 321:522−525(1986);Riechmannら、Nature 332:323−329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照されたい。また、そこに引用される以下の総説及び参考文献も参照されたい:Vaswani及びHamilton,Ann.Allergy,Asthma&Immunol.1:105−115(1998);Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035−1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428−433(1994)。
【0101】
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞により産生される、及び/又は、例えば、本明細書に開示されるヒト抗体を作製するための技術の何れかを用いて作製された、ヒト抗体レパートリー若しくは他のヒト抗体コード配列を用いる、非ヒト起源に由来した抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含むものである。そのような技術としては、限定されるものではないが、ファージディスプレイライブラリー(例えば、Marksら、J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)及びHoogenboomら、Nucl. Acids Res., 19: 4133-4137 (1991)を参照されたい)などのヒト由来コンビナトリアルライブラリーのスクリーニング;ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株の使用(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, p.55-93 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoernerら、J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照されたい);並びに内因性免疫グロブリン産生の非存在下でのヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)中でのモノクローナル抗体の生成(例えば、Jakobovitsら、Proc. Natl. Acad. Sci USA, 90: 2551 (1993);Jakobovitsら、Nature, 362: 255 (1993);Bruggermannら、Year in Immunol., 7: 33 (1993)を参照されたい)が挙げられる。ヒト抗体のこの定義は、具体的には、非ヒト動物に由来する抗原結合残基を含むヒト化抗体を含まない。
【0102】
「単離された」抗体は、その天然の環境の成分から同定及び分離及び/又は回収されたものである。その天然の環境の夾雑物成分は、抗体のための診断的又は治療的使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含んでもよい。いくつかの実施態様においては、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換若しくは逆相HPLC)により決定された場合、95%又は99%を超える純度まで精製される。抗体の純度の評価のための方法の概説については、例えば、Flatmanら、J.Chromatogr.B 848:79−87(2007)を参照されたい。
【0103】
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般的に、類似する構造を有し、それぞれのドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む(例えば、Kindtら、Kuby Immunology, 第6版、W.H. Freeman and Co., p.91 (2007)を参照されたい)。単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分なものであってもよい。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、抗原に結合する抗体に由来するVH又はVLドメインを用いて単離して、それぞれ、相補的VL又はVHドメインのライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、Portolanoら、J.Immunol.150:880−887(1993);Clarksonら、Nature 352:624−628(1991)を参照されたい。
【0104】
本明細書で用いられる場合、用語「超可変領域」、「HVR」又は「HV」とは、配列において超可変的である、及び/又は構造的に定義されるループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つの超可変領域;VH中の3つ(H1、H2、H3)、及びVL中の3つ(L1、L2、L3)を含む。いくつかの超可変領域の描写は、本明細書で使用されており、包含される。Kabatの相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に用いられている(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))。Chothiaとは、構造ループの位置に代わるものを指す(Chothia及びLesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM超可変領域は、KabatのCDRとChothiaの構造ループとの間の折衷であり、Oxford Molecular’s AbM抗体モデリングソフトウェアにより用いられている。「コンタクト」超可変領域は、利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づくものである。これらのHVRのそれぞれに由来する残基を、以下に記載する。
【0105】
超可変領域は、以下のような「拡大超可変領域」:VL中の24−36又は24−34(L1)、46−56又は49−56又は50−56又は52−56(L2)及び89−97(L3)並びにVH中の26−35(H1)、50−65又は49−65(H2)及び93−102、94−102又は95−102(H3)を含んでもよい。可変ドメイン残基は、これらの定義のそれぞれについてKabatら、上掲に従って番号付けられる。
【0106】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR及びFR配列は一般に、VH(又はVL)中の以下の配列:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4中に出現する。
【0107】
本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下に定義されるような、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよく、又はそれはアミノ酸配列変化を含有してもよい。いくつかの実施態様においては、アミノ酸変化の数は10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの実施態様においては、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列において同一である。
【0108】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基であるフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループに由来する。一般に、配列のサブグループは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、NIH Publication 91−3242,Bethesda MD(1991),vols.1−3に記載のようなサブグループである。
【0109】
用語「アミロイド関連画像化異常−浮腫」又は「ARIA−E」は、血管原性脳浮腫及び溝浸出を包含する。
【0110】
用語「アミロイド関連画像化異常−出血」又は「ARIA−H」は、中枢神経系の微小出血及び脳表ヘモシデリン沈着症を包含する。
【0111】
本明細書で「アポリポタンパク質E4陽性」又は「ApoE4陽性」と互換的に用いられる「アポリポタンパク質E4担体」又は「ApoE4担体」とは、少なくとも1つのアポリポタンパク質E4(又は「ApoE4」)アレルを有する個体を指す。ゼロApoE4アレルを有する個体は、本明細書では「ApoE4陰性」又は「ApoE4非担体」であると本明細書で呼ばれる。Prekumarら、1996,Am.J Pathol.148:2083−95も参照されたい。
【0112】
用語「血管原性脳浮腫」とは、脳の細胞内又は細胞外空間中での血管内流体又はタンパク質の過剰な蓄積を指す。血管原性脳浮腫は、例えば、限定されるものではないが、FLAIR MRIを含む脳MRIによって検出可能であり、無症候性(「無症候性血管浮腫」であってよいか、又は精神錯乱、めまい、嘔吐、及び倦怠感などの神経症候と関連してもよい(「症候性血管浮腫」)(Sperlingら、Alzheimer's & Dementia, 7:367, 2011を参照されたい)。
【0113】
用語「脳大出血」とは、直径約1cmより大きい面積の、頭蓋内出血、又は脳内出血を指す。脳大出血は、例えば、限定されるものではないが、T2
*−加重GRE MRIを含む脳MRIによって検出可能であり、無症候性(「無症候性大出血」)であってよいか、又は一過性若しくは永続性の局所運動又は感覚障害、運動失調、失語症、及び構音障害などの症候と関連してもよい(「症候性大出血」)(例えば、Chalela JA, Gomes J. Expert Rev. Neurother. 2004 4:267, 2004及びSperlingら、Alzheimer's & Dementia, 7:367, 2011を参照されたい)。
【0114】
用語「脳微小出血」とは、直径約1cm未満である面積の、頭蓋内出血、又は脳内出血を指す。脳微小出血は、例えば、限定されるものではないが、T2
*−加重GRE MRIを含む脳MRIによって検出可能であり、無症候性(「無症候性微小出血」)であってよいか、又は一過性若しくは永続性の局所運動又は感覚障害、運動失調、失語症、及び構音障害などの症候と潜在的に関連してもよい(「症候性微小出血」)。例えば、Greenbergら、2009,Lancet Neurol.8:165−74を参照されたい。
【0115】
用語「溝浸出」とは、脳のしわ、又は溝への流体の浸出を指す。溝浸出は、例えば、限定されるものではないが、FLAIR MRIを含む脳MRIによって検出可能である。Sperlingら、Alzheimer’s&Dementia,7:367,2011を参照されたい。
【0116】
用語「中枢神経系の脳表ヘモシデリン沈着症」とは、脳のくも膜下腔への出血(bleeding/hemorrhage)を指し、例えば、限定されるものではないが、T2
*−加重GRE MRIを含む脳MRIによって検出可能である。中枢神経系の脳表ヘモシデリン沈着症を示す症候としては、感音難聴、小脳性運動失調、及び錐体路兆候が挙げられる。Kumara−N,Am J Neuroradiol.31:5,2010を参照されたい。
【0117】
本明細書で用いられる用語「進行」とは、経時的な疾患の悪化を指す。疾患の「進行速度」又は「進行の速度」とは、疾患が、疾患を有すると診断された患者においてどれぐらい早く又は遅く、経時的に発達するかを指す。疾患の進行速度は、疾患の特定の特性の経時的な測定可能な変化によって表すことができる。特定の遺伝形質を担持する患者は、その疾患状態が、そのような遺伝形質を有さない患者よりも早く進行する場合、「増大した進行速度」を有する、又は有する可能性がより高いと言われる。他方で、療法に応答する患者は、その疾患進行が、治療前のその病状又は治療していない他の患者と比較した場合に、療法後に減速する場合、「低下した進行速度」を有するか、又は有する可能性が高いと言われる。
【0118】
本明細書で用いられる場合、「応答する可能性がより高い」とは、十中八九、アミロイドーシス、例えば、ADの進行の減速又は防止を示す患者を指す。ADに関しては、「応答する可能性がより高い」とは、十中八九、治療と共に機能又は認識の喪失の減少を示す患者を指す。本発明の文脈では、語句「に応答性である」は、本明細書に記載の障害に罹患している、罹患すると疑われる、若しくは罹患する傾向がある、又はそれと診断された患者が、抗Aベータ治療に対する応答を示すことを示す。
【0119】
本明細書で用いられる語句「患者を選択すること」又は「患者を同定すること」とは、抗Aベータ抗体を含む治療から利益を得る可能性がより高いとして患者を同定又は選択するために、患者の試料中のアレルの存在に関して生成された情報又はデータを使用することを指す。使用又は生成される情報又はデータは、文書、口頭又は電子の任意の形態にあってもよい。いくつかの実施態様においては、生成された情報又はデータの使用は、通信、提示、報告、記憶、送信、伝達、供給、伝送、分配、又はその組合せを含む。いくつかの実施態様においては、通信、提示、報告、記憶、送信、伝達、供給、伝送、分配、又はその組合せは、コンピュータデバイス、分析装置ユニット又はその組合せにより実施される。いくつかのさらなる実施態様においては、通信、提示、報告、記憶、送信、伝達、供給、伝送、分配、又はその組合せは、実験室又は医療専門家によって実施される。いくつかの実施態様においては、情報又はデータは、特異的アレルが試料中に存在する、又は存在しないことの指示を含む。いくつかの実施態様においては、情報又はデータは、患者が抗Aベータを含む療法に応答する可能性がより高いことの指示を含む。
【0120】
「エフェクター機能」とは、抗体アイソタイプに応じて変化する、抗体のFc領域に起因する生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;及びB細胞活性化が挙げられる。野生型IgG4抗体は野生型IgG1抗体よりも低いエフェクター機能を有することが当該技術分野で公知である。
【0121】
本明細書における用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために用いられる。この用語は、天然配列のFc領域及び変異Fc領域を含む。一実施態様においては、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで伸びる。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在しても、又は存在しなくてもよい。本明細書で別途特定されない限り、Fc領域又は定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載された、EUインデックスとも呼ばれる、EU番号付け系による。
【0122】
用語「完全長抗体」、「インタクト抗体」及び「全抗体」は、本明細書では互換的に用いられ、天然の抗体構造と実質的に類似する構造を有する、又は本明細書で定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0123】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」は、本明細書では互換的に用いられ、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、一次形質転換細胞及び継代回数に関係なく、それに由来する子孫を含む、「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含む。子孫は、親細胞と核酸含有量において完全に同一でなくてもよいが、突然変異を含有してもよい。元々形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されるのと同じ機能又は生物活性を有する突然変異子孫は、本明細書に含まれる。
【0124】
「イムノコンジュゲート」は、限定されるものではないが、さらなる治療剤を含む、1つ又は複数の異種分子にコンジュゲートされた抗体である。
【0125】
「単離された」核酸とは、その天然の環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、核酸分子を通常は含有する細胞中に含有される核酸分子を含むが、核酸分子は、染色体外に、又はその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0126】
「抗Aベータ抗体をコードする単離された核酸」とは、抗体重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする1つ又は複数の核酸分子を指し、単一のベクター又は別々のベクター中のそのような核酸分子(1つ又は複数)、及び宿主細胞中の1つ又は複数の位置に存在するそのような核酸分子(1つ又は複数)を含む。
【0127】
本明細書で用いられる用語「早期アルツハイマー病」又は「早期AD」(例えば、「早期ADと診断された患者」又は「早期ADに罹患する患者」)は、ADに起因する記憶障害などの軽度認知障害を有する患者及びADバイオマーカーを有する患者、例えば、アミロイド陽性患者を含む。
【0128】
本明細書で用いられる用語「軽度のアルツハイマー病」又は「軽度のAD」(例えば、「軽度のADと診断された患者」)とは、20−26のMMSEスコアを特徴とするADのステージを指す。
【0129】
本明細書で用いられる用語「軽度から中等度のアルツハイマー病」又は「軽度から中等度のAD」は、軽度と中等度のADの両方を包含し、18−26のMMSEスコアを特徴とする。
【0130】
本明細書で用いられる用語「中等度のアルツハイマー病」又は「中等度のAD」(例えば、「中等度のADと診断された患者」)とは、18−19のMMSEスコアを特徴とするADのステージを指す。
【0131】
「ネイキッド抗体」とは、異種部分(例えば、さらなる治療剤部分)又は放射標識にコンジュゲートされていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的製剤中に存在してもよい。
【0132】
「天然抗体」とは、変化する構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然のIgG抗体は、ジスルフィド結合した2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質である。N末端からC末端に向かって、それぞれの重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、次いで、3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端に向かって、それぞれの軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる、可変領域(VL)、次いで、定常軽鎖(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖に、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる、2つの型の1つを割り当てることができる。
【0133】
用語「添付文書」は、治療剤製品の使用に関する指示、用法、用量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含有する、そのような治療剤製品の市販のパッケージに慣習的に含まれる指示書を指すために用いられる。用語「添付文書」はまた、目的の使用、試験原理、試薬の調製及び取り扱い、標本の収集及び調製、アッセイ及びアッセイ手順の較正、アッセイの感度及び特異度などの性能及び精度データに関する情報を含有する診断製品の市販のパッケージに慣習的に含まれる指示書を指すために用いられる。
【0134】
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、必要に応じて、ギャップを導入して、最大の配列同一性パーセントを達成した後、配列同一性の部分として任意の保存的置換を考慮しない場合の、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントを、当該技術分野の知識の範囲内にある様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公共的に利用可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成することができる。当業者であれば、比較される配列の完全長にわたって最大のアラインメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータアルゴリズムALIGN−2を用いて生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が著したものであり、そのソースコードはU.S.Copyright Office,Washington D.C.,20559においてユーザードキュメントと共にファイリングされており、U.S.Copyright Registration No.TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公共的に利用可能であるか、又はソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標) V4.0Dを含む、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルするべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され、変化しない。
【0135】
ALIGN−2がアミノ酸配列比較のために用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、又はそれに対するアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、又はそれに対するある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、又は含む所与のアミノ酸配列Aと表現することもできる)は、以下のように算出される:
割合(X/Y)x100
(式中、Xは、AとBのそのプログラムのアラインメントにおける配列アラインメントプログラムALIGN−2による同一の一致としてスコア化されるアミノ酸残基の数であり、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくないことが理解される。別途特に記述されない限り、本明細書で用いられる全てのアミノ酸配列同一性%値は、ALIGN−2コンピュータプログラムを用いて直前の段落に記載のように得られる。
【0136】
用語「薬学的製剤」及び「薬学的組成物」は本明細書では互換的に用いられ、その中に含有される活性成分の生物活性を有効にするような形態にあり、製剤が投与される対象にとって許容不可能に毒性的であるさらなる成分を含有しない調製物を指す。
【0137】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性的である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、限定されるものではないが、バッファー、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が挙げられる。
【0138】
本明細書で用いられる用語「ベクター」とは、それが連結される別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター並びにそれが導入された宿主細胞のゲノム中に組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが動作可能に連結される核酸の発現を指令することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。
【0139】
「画像化剤」は、その存在及び/又は位置を直接的又は間接的に検出することができる1つ又は複数の特性を有する化合物である。そのような画像化剤の例としては、検出を可能にする標識された部分を含むタンパク質及び低分子化合物が挙げられる。
【0140】
「標識」は、検出又は画像化のために用いられる分子に結合したマーカーである。そのような標識の例としては、放射標識、フルオロフォア、発色団、又は親和性タグが挙げられる。一実施態様においては、標識は、医学的画像化のために用いられる放射標識、例えば、tc99m若しくはI123、又は再びヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン、鉄などの核磁気共鳴(NMR)画像化(磁気共鳴画像化、mriとしても知られる)のためのスピン標識である。
【0141】
方法及び組成物
本開示は、抗Aベータ抗体による治療のための良好な候補である、ADを含む、アミロイドーシスを有するか、そのリスクがある患者の治療、予後診断、選択及び/又は同定のための組成物及び方法を提供する。一態様において、本発明は、部分的には、改良された治療方法に基づく。
【0142】
ある特定の実施態様においては、Aベータに結合する抗体が提供される。本発明の抗体は、例えば、アルツハイマー病(「AD」)及び他の疾患の診断又は治療にとって有用である。
【0143】
例示的抗体
一態様において、本発明は、Aベータに結合する単離された抗体を提供する。ある特定の実施態様においては、本発明は、良好な親和性でモノマー形態、オリゴマー形態及びフィブリル形態のヒトAベータ抗体に結合することができる抗Aベータ抗体を提供する。一実施態様においては、抗Aベータ抗体は、Aベータの残基13−24内のAベータのエピトープに結合する抗体である。1つのそのような実施態様においては、抗体はクレネズマブである。
【0144】
一実施態様においては、抗体は、配列番号5に記載の重鎖アミノ酸配列と、配列番号9に記載の軽鎖アミノ酸配列とを含む。別の実施態様においては、抗体は、配列番号5に記載のアミノ酸配列のアミノ酸1−112の重鎖可変領域と、配列番号9に記載のアミノ酸配列のアミノ酸1−112の軽鎖可変領域とを含む。別の実施態様においては、抗体は、配列番号5及び配列番号9のHVR配列を含む。別の実施態様においては、抗体は、配列番号5及び配列番号9のHVR配列と95%、96%、97%、98%、又は99%以上同一であるHVR配列を含む。
【0145】
上記実施態様の何れかにおいて、抗Aベータ抗体はヒト化されている。一実施態様においては、抗Aベータ抗体は、上記実施態様の何れかに記載のようなHVRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0146】
別の態様において、抗Aベータ抗体は、配列番号5のアミノ酸配列のアミノ酸1−112に対する少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある特定の実施態様においては、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対する置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Aベータ抗体は、Aベータに結合する能力を保持する。ある特定の実施態様においては、合計1−10個のアミノ酸が配列番号5中で置換、挿入及び/又は欠失されている。ある特定の実施態様においては、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FR)中に存在する。任意選択的に、抗Aベータ抗体は、配列番号5中のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0147】
別の態様においては、抗体が配列番号9のアミノ酸配列のアミノ酸1−112に対する少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗Aベータ抗体が提供される。ある特定の実施態様においては、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対する置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含有するが、その配列を含む抗Aベータ抗体はAベータに結合する能力を保持する。ある特定の実施態様においては、合計1−10個のアミノ酸が、配列番号9中で置換、挿入及び/又は欠失されている。ある特定の実施態様においては、置換、挿入、又は欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FR)中に存在する。任意選択的に、抗Aベータ抗体は、配列番号9中のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0148】
別の態様においては、抗体が上記に提供された実施態様の何れかに記載のようなVHと、上記に提供された実施態様の何れかに記載のようなVLとを含む、抗Aベータ抗体が提供される。
【0149】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に提供される抗Aベータ抗体と同じエピトープに結合する抗体を提供する。例えば、ある特定の実施態様においては、配列番号5中のVH配列と配列番号9中のVL配列とを含む抗Aベータ抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0150】
本発明のさらなる態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗Aベータ抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一実施態様においては、抗Aベータ抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。別の実施態様においては、抗体は、完全長抗体、例えば、インタクトなIgG4抗体又は本明細書に定義される他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。別の実施態様においては、抗体は二重特異性抗体である。
【0151】
さらなる態様において、上記実施態様の何れかに記載の抗Aベータ抗体は、以下のセクション1−7に記載されるような、特徴の何れかを、単独で、又は組み合わせて含んでもよい。
【0152】
一実施態様においては、抗Aベータ抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L1;配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR−L2;配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR−L3;配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H1;配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H2;及び配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む。
【0153】
別の実施態様においては、抗体は、配列番号5及び配列番号9の重鎖及び軽鎖配列を含む。
【0154】
別の実施態様においては、抗体は、配列番号5及び配列番号9中の可変領域配列を含む。
【0155】
上記実施態様の何れかにおいて、抗Aベータ抗体はヒト化されていてもよい。一実施態様においては、抗Aベータ抗体は、上記実施態様の何れかに記載のようなHVRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
【0156】
1.抗体親和性
ある特定の実施態様においては、本明細書に提供される抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、又は0.001nM以下(例えば、10
−8M以下、例えば、10
−8M−10
−13M、例えば、10
−9M−10
−13M)の解離定数(Kd)を有する。
【0157】
一実施態様においては、Kdは、以下のアッセイにより記載されるような目的の抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて実施される放射標識抗原結合アッセイ(RIA)により測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、未標識の抗原の滴定系列の存在下でFabと最小濃度の(
125I)標識された抗原とを平衡化させた後、結合した抗原を、抗Fab抗体でコートされたプレートで捕捉することにより測定される(例えば、Chenら、J. Mol. Biol. 293:865-881(1999)を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コートした後、室温(約23℃)で2−5時間、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンでブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)中で、100pM又は26pMの[125I]−抗原を、目的のFabの段階希釈液と混合する(例えば、Prestaら、Cancer Res. 57:4593-4599 (1997)における、抗VEGF抗体、Fab−12の評価と一致する)。次いで、目的のFabを、一晩インキュベートする;しかしながら、確実に平衡に達するように、インキュベーションをより長時間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、室温でのインキュベーションのために、混合物を捕捉プレートに移す(例えば、1時間)。次いで、溶液を除去し、プレートを、PBS中の0.1%ポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥した時、150μl/ウェルの閃光物質(MICROSCINT−20(商標);Packard)を添加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)上で10分間計数する。最大結合の20%未満又はそれに等しいそれぞれのFabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
【0158】
別の実施態様によれば、Kdは、〜10反応単位(RU)で固定された抗原CM5チップと共に25℃でBIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いる表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。簡単に述べると、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給業者の指示書に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を、5μl/分の流速で注入する前に、10mM酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈して、約10反応単位(RU)の結合したタンパク質を達成する。抗原の注入後、1Mエタノールアミンを注入して、未反応の基をブロックする。反応速度論的な測定のために、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM−500nM)を、約25μl/minの流速、25℃で0.05%ポリソルベート20(TWEEN−20(商標))界面活性剤を含むPBS(PBST)中に注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、会合及び解離センサーグラムを同時に適合化することにより、単純1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を用いて算出する。平衡解離定数(Kd)を、koff/kon比として算出する。例えば、Chenら、J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照されたい。会合速度が上記の表面プラズモン共鳴アッセイにより10
6M
−1s
−1を超える場合、撹拌キュベットを備えた、流動停止を備えた分光光度計(Aviv Instruments)又は8000シリーズSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光光度計中で測定される漸増濃度の抗原の存在下、PBS、pH7.2中の20nM抗原抗体(Fab形態)の、25℃での蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、16nm帯域通過)の増大又は低下を測定する蛍光消光技術を用いることにより、会合速度を決定することができる。
【0159】
2.抗体断片
ある特定の実施態様においては、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片としては、限定されるものではないが、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、並びに以下に記載される他の断片が挙げられる。ある特定の抗体断片の概説については、Hudsonら、Nat.Med.9:129−134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説については、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg及びMoore(編)(Springer-Verlag, New York),p.269−315(1994)を参照されたい;また、国際公開第93/16185号;並びに米国特許第5571894号及び第5587458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボでの半減期が増大したFab及びF(ab’)2断片の考察については、米国特許第5869046号を参照されたい。
【0160】
ダイアボディは、二価又は二重特異性であってもよい2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404097;国際公開第1993/01161号;Hudsonら、Nat.Med.9:129−134(2003);及びHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディも、Hudsonら、Nat.Med.9:129−134(2003)に記載されている。
【0161】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部又は軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体断片である。ある特定の実施態様においては、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6248516B1号を参照されたい)である。ある特定の実施態様においては、2つ以上の単一ドメイン抗体を一緒に連結して、多価親和性を有する免疫グロブリンコンストラクトを形成させることができる(すなわち、第1の単一ドメイン抗体のN又はC末端を、第2の単一ドメイン抗体のN又はC末端に融合するか、又はそうでなければ連結することができる)。
【0162】
抗体断片を、限定されるものではないが、本明細書に記載されるような、インタクトな抗体のタンパク質分解的消化並びに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)又はファージ)を含む様々な技術により作製することができる。
【0163】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
ある特定の実施態様においては、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号;及びMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984)に記載されている。一例においては、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)と、ヒト定常領域とを含む。さらなる例においては、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のものから変化した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0164】
ある特定の実施態様においては、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体を、親非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低下させるためにヒト化する。一般的には、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体に由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する1つ又は複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意選択的に、ヒト定常領域の少なくとも一部をも含んでもよい。いくつかの実施態様においては、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基を、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)に由来する対応する残基で置換して、例えば、抗体の特異性又は親和性を回復させるか、又は改善する。
【0165】
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro及びFransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)に概説されており、例えば、Riechmannら、Nature 332:323−329(1988);Queenら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029−10033(1989);米国特許第5821337号、第7527791号、第6982321号、及び第7087409号;Kashmiriら、Methods 36:25−34(2005)(SDR(a−CDR)グラフティングを記載する);Padlan,Mol.Immunol.28:489−498 (1991)(「リサーフェイシング」を記載する);Dall’Acquaら、Methods 36:43−60(2005)(「FRシャッフリング」を記載する);並びにOsbournら、Methods 36:61−68(2005)及びKlimkaら、Br.J.Cancer,83:252−260(2000)(FRシャッフリングに対する「ガイデッドセレクション」手法を記載する)にさらに記載されている。
【0166】
ヒト化のために用いることができるヒトフレームワーク領域としては、限定されるものではないが、「最良適合」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Simsら、J. Immunol. 151:2296 (1993)を参照されたい);軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carterら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);及びPrestaら、J. Immunol., 151:2623 (1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro及びFransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照されたい);並びにスクリーニングFRライブラリーに由来するフレームワーク領域(例えば、Bacaら、J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997)及びRosokら、J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)を参照されたい)が挙げられる。
【0167】
4.ヒト抗体
ある特定の実施態様においては、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体を、当該技術分野で公知の様々な技術を用いて生産することができる。ヒト抗体は、van Dijk及びvan de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368−74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450−459(2008)に一般的に記載されている。
【0168】
ヒト抗体を、抗原チャレンジに応答するインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することにより調製することができる。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座と置き換わる、又は染色体外に存在する、若しくは動物の染色体中に無作為に組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有する。そのようなトランスジェニックマウスにおいては、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を取得するための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117−1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6075181号及び第6150584号;HUMAB(登録商標)技術を記載する米国特許第5770429号;K−M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7041870号、VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。そのような動物により生成されるインタクトな抗体に由来するヒト可変領域を、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、さらに修飾することができる。
【0169】
ヒト抗体を、ハイブリドーマに基づく方法により作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の生産のためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, p. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoernerら、J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体も、Liら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557−3562(2006)に記載されている。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265−268(2006)(ヒト−ヒトハイブリドーマを記載する)に記載されたものが挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)も、Vollmers及びBrandlein,Histology and Histopathology,20(3):927−937(2005)並びにVollmers及びBrandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185−91(2005)に記載されている。
【0170】
ヒト抗体を、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することにより生成することもできる。次いで、そのような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術は、以下に記載される。
【0171】
5.ライブラリー由来抗体
本発明の抗体を、所望の活性又は複数の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が、当該技術分野で公知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology 178:1−37(O'Brienら(編)、Human Press, Totowa, NJ, 2001)に概説されており、例えば、McCaffertyら、Nature 348:552−554;Clacksonら、Nature 352:624−628(1991);Marksら、J.Mol.Biol.222:581−597(1992);Marks及びBradbury、Methods in Molecular Biology 248:161−175(Lo(編)、Human Press, Totowa, NJ, 2003);Sidhuら、J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004);Leeら、J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004);及びLeeら、J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132(2004)にさらに記載されている。
【0172】
ある特定のファージディスプレイ法においては、VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別々にクローニングし、ファージライブラリー中で無作為に組み換えた後、Winterら、Ann.Rev.Immunol.,12:433−455(1994)に記載のように抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、単鎖Fv(scFv)断片又はFab断片として、抗体断片を展示する。免疫化された供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマを構築することを必要とせずに免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、天然のレパートリーをクローニングして(例えば、ヒトから)、Griffithsら、EMBO J,12:725−734(1993)により記載された免疫化を用いずに様々な非自己及びまた自己抗原に対する単一の供給源の抗体を提供する。最後に、Hoogenboom及びWinter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)により記載されたように、天然のライブラリーを、幹細胞から再配置されていないV遺伝子セグメントをクローニングすること、及び高度に可変性のCDR3領域をコードし、インビトロで再配置を達成するPCRプライマー含有無作為配列を使用することにより、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載する特許公報としては、例えば、米国特許第5750373号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、第2005/0119455号、第2005/0266000号、第2007/0117126号、第2007/0160598号、第2007/0237764号、第2007/0292936号、及び第2009/0002360号が挙げられる。
【0173】
ヒト抗体ライブラリーから単離される抗体又は抗体断片は、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体断片と考えられる。
【0174】
6.多重特異性抗体
ある特定の実施態様においては、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施態様においては、結合特異性の一方はAベータに対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。ある特定の実施態様においては、二重特異性抗体は、Aベータの2つの異なるエピトープに結合してもよい。二重特異性抗体を用いて、細胞傷害性剤を細胞に局在化させることもできる。二重特異性抗体を、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
【0175】
多重特異性抗体を作製するための技術としては、限定されるものではないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組換え共発現(Milstein及びCuello, Nature 305: 537 (1983)、国際公開第93/08829号、並びにTrauneckerら、EMBO J. 10: 3655 (1991)を参照されたい)、及び「ノブインホール(knob−in−hole)」工学(例えば、米国特許第5731168号を参照されたい)が挙げられる。多重特異性抗体を、抗体Fc−ヘテロダイマー分子を作製するために静電気ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004A1号);2つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば、米国特許第4676980号及びBrennanら、Science, 229: 81 (1985)を参照されたい);二重特異性抗体を生産するためにロイシンジッパーを用いること(例えば、Kostelnyら、J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)を参照されたい);二重特異性抗体断片を作製するために「ダイアボディ」技術を用いること(例えば、Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照されたい);及び単鎖Fv(sFv)ダイマーを用いること(例えば、Gruberら、J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照されたい);並びに例えば、Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)に記載されたように三重特異性抗体を調製することにより作製することもできる。
【0176】
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1を参照されたい)。
【0177】
本明細書における抗体又は断片はまた、Aベータ並びに別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む、「二重作用性FAb」又は「DAF」も含む(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。
【0178】
7.抗体変異体
ある特定の実施態様においては、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体を、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入することにより、又はペプチド合成により調製することができる。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列からの欠失、及び/又はその中への挿入及び/又はその中の残基の置換を含む。最終コンストラクトが所望の特性、例えば、抗原結合を有するという条件で、欠失、挿入、及び置換の任意の組合せを作製して、最終コンストラクトに到達させることができる。
【0179】
置換、挿入、及び欠失変異体
ある特定の実施態様においては、1つ又は複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換突然変異誘発のための目的の部位は、HVR及びFRを含む。保存的置換は、「保存的置換」の見出しの下で表1に示される。より実質的な変化は、「例示的置換」の見出しの下で、及びアミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載されるように表1に提供される。アミノ酸置換を、目的の抗体中に導入し、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、低下した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについて、生成物をスクリーニングすることができる。
【0180】
アミノ酸を、一般的な側鎖特性に従ってグループ化することができる。
【0181】
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile。
【0182】
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln。
【0184】
(4)塩基性:His、Lys、Arg。
【0185】
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro。
【0186】
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0187】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスに交換することを必要とする。
【0188】
1つの型の置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体)の1つ又は複数の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、さらなる試験のために選択される得られる変異体(1又は複数)は、親抗体に対してある特定の生物学的特性(例えば、増大した親和性、低下した免疫原性)の修飾(例えば、改善)を有する、及び/又は親抗体のある特定の生物学的特性を実質的に保持している。例示的な置換変異体は、親和性成熟抗体である。ある特定の実施態様においては、親和性成熟抗体は、標的抗原に対するナノモル又はさらにはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、例えば、本明細書に記載されるものなどのファージティスプレイに基づく親和性成熟技術を用いることを含む、当該技術分野で公知の手順により生産される。簡単に述べると、1つ又は複数のHVR残基を突然変異させ、変異体抗体をファージ上に展示させ、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。他の手順も公知である。Marksら、Bio/Technology 10:779−783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟を記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbasら、Proc Nat.Acad.Sci,USA 91:3809−3813(1994);Schierら、Gene 169:147−155(1996);Yeltonら、J.Immunol.155:1994−2004(1995);Jacksonら、J.Immunol.154(7):3310−9(1995);及びHawkinsら、J.Mol.Biol.226:889−896(1992)により記載されている。
【0189】
変化(例えば、置換)をHVR中で作製して、例えば、抗体親和性を改善することができる。そのような変化を、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞変異プロセス(例えば、Chowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照されたい)中に高頻度で突然変異を受けるコドンによりコードされる残基、及び/又はSDR(a−CDR)中で作製してもよく、得られる変異体VH又はVLは結合親和性について試験される。二次ライブラリーから構築及び再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology 178:1−37(O'Brienら(編)、Human Press, Totowa, NJ, (2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施態様においては、多様性を、様々な方法の何れか(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指定突然変異)により成熟のために選択される可変遺伝子中に導入する。次いで、二次ライブラリーを作出する。次いで、ライブラリーをスクリーニングして、所望の親和性を有する任意の抗体変異体を同定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、同時に4−6残基)が無作為化されるHVR特異的手法を含む。抗原結合に関与するHVR残基を、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発又はモデル化を用いて特異的に同定することができる。特に、CDR−H3及びCDR−H3が標的化されることが多い。
【0190】
ある特定の実施態様においては、置換、挿入、又は欠失は、そのような変化が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、1つ又は複数のHVR内に存在してもよい。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変化(例えば、本明細書に提供される保存的置換)を、HVR中で作製することができる。そのような変化は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側にあってもよい。上記に提供された変異体VH及びVL配列のある特定の実施態様においては、それぞれのHVRは未変化のままであるか、又は1、2又は3より多いアミノ酸置換を含有する。
【0191】
突然変異誘発のために標的化することができる抗体の残基又は領域の同定のための有用な方法は、Cunningham及びWells(1989)Science,244:1081−1085により記載された「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの荷電残基)の残基又は群を同定し、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)により置き換えて、抗体の抗原との相互作用が影響されるかどうかを決定する。さらなる置換を、初期の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入することができる。あるいは、又はさらに、抗原−抗体複合体の結晶構造により、抗体と抗原との間の接触点が同定される。そのような接触残基及び隣接残基を、置換のための候補として標的化又は除去することができる。変異体をスクリーニングして、それらが所望の特性を含有するかどうかを決定することができる。
【0192】
アミノ酸配列挿入は、1個の残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合物、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体としては、抗体のN又はC末端と、抗体の血清半減期を増大させる酵素(例えば、ADEPTのため)又はポリペプチドとの融合物を含む。
【0193】
グリコシル化変異体
ある特定の実施態様においては、本明細書に提供される抗体を変化させて、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させる。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失を、1つ又は複数のグリコシル化部位が作出又は除去されるようにアミノ酸配列を変化させることにより都合よく達成することができる。
【0194】
抗体がFc領域を含む場合、それに結合した炭水化物を変化させることができる。哺乳動物細胞により産生される天然抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297へのN結合により一般的に結合される分枝状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wrightら、TIBTECH 15:26−32(1997)を参照されたい。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐オリゴ糖構造の「ステム」中でGlcNAcに結合したフコースを含んでもよい。いくつかの実施態様においては、本発明の抗体中でのオリゴ糖の修飾を作製して、ある特定の改善された特性を有する抗体変異体を作出することができる。
【0195】
一実施態様においては、Fc領域に結合した(直接的又は間接的に)フコースを欠く炭水化物構造を有する抗体変異体が提供される。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%−80%、1%−65%、5%−65%又は20%−40%であってもよい。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載された、MALDI−TOF質量分析により測定された場合、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297での糖鎖内のフコースの平均量を算出することにより決定される。Asn297は、Fc領域中の297位近くに位置するアスパラギン残基(Fc領域残基のEu番号付け)を指すが、Asn297は、抗体における小さい配列差異のため、297位のおよそ±3アミノ酸残基上流又は下流に、すなわち、294位と300位の間に位置してもよい。そのようなフコシル化変異体は、改善されたADCC機能を有してもよい。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.);米国特許出願公開第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo CO.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異体に関する刊行物の例としては、米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;国際公開第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;米国特許出願公開第2002/0164328号;米国特許出願公開第2004/0093621号;米国特許出願公開第2004/0132140号;米国特許出願公開第2004/0110704号;米国特許出願公開第2004/0110282号;米国特許出願公開第2004/0109865;国際公開第2003/085119号;国際公開第2003/084570号;国際公開第2005/035586号;国際公開第2005/035778号;国際公開第2005/053742号;国際公開第2002/031140号;Okazakiら、J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004);Yamane−Ohnukiら、Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損するLec13 CHO細胞(Ripkaら、Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108A1号、Presta, L;及び国際公開第2004/056312A1号、Adamsら、特に、実施例11)、及びアルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8などのノックアウト細胞株、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnukiら、Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda, Y.ら、Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);及び国際公開第2003/085107号を参照されたい)が挙げられる。
【0196】
抗体変異体に、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcにより二分される、二分されたオリゴ糖がさらに提供される。そのような抗体変異体は、低下したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有してもよい。そのような抗体変異体の例は、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean−Mairetら);米国特許第6602684号(Umanaら);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umanaら)に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は、改善されたCDC機能を有してもよい。そのような抗体変異体は、例えば、国際公開第1997/30087号(Patelら);国際公開第1998/58964号(Raju,S.);及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。
【0197】
Fc領域変異体
ある特定の実施態様においては、1つ又は複数のアミノ酸修飾を、本明細書に提供される抗体のFc領域中に導入し、それによって、Fc領域変異体を生成することができる。Fc領域変異体は、1つ又は複数のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4 Fc領域)を含んでもよい。
【0198】
ある特定の実施態様においては、本発明は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を有する抗体変異体を企図し、それを、インビボでの抗体の半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能(補体及びADCCなど)は不要であるか、又は有害である適用のための望ましい候補にする。インビトロ及び/又はインビボでの細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/又はADCC活性の低下/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、ADCC活性を欠く可能性がある)が、FcRn結合能力を保持することを確保することができる。ADCCを媒介するための一次細胞であるNK細胞は、FcλRIIIのみを発現するが、単球はFcλRI、FcλRII及びFcλRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol.9:457−492(1991)の464頁の表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5500362号(例えば、Hellstrom, I.ら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照されたい)及びHellstrom,Iら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499−1502(1985);米国特許第5821337号(Bruggemann, M.ら、J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射活性アッセイ法を用いることができる(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射活性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA;及びCytoTox96(登録商標)非放射活性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい)。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、又はさらに、目的の分子のADCC活性を、インビボで、例えば、Clynesら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652−656(1998)に開示されたものなどの動物モデルにおいて評価することができる。C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qに結合することができず、したがって、CDC活性を欠くことを確認することもできる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実施することができる(例えば、Gazzano-Santoroら、J. Immunol. Methods 202:163 (1996);Cragg, M.S.ら、Blood 101:1045-1052 (2003);並びにCragg, M.S.及びM.J. Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004)を参照されたい)。FcRn結合及びインビボでのクリアランス/半減期の決定を、当該技術分野で公知の方法を用いて実施することもできる(例えば、Petkova, S.B.ら、Int'l. Immunol. 18(12):1759-1769 (2006)を参照されたい)。
【0199】
エフェクター機能が低下した抗体は、1つ又は複数のFc領域残基238、265、269、270、297、327及び329の置換を有するものを含む(米国特許第6737056号)。そのようなFc突然変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc突然変異体(米国特許第7332581号)を含む、2つ以上のアミノ酸位置265、269、270、297及び327に置換を有するFc突然変異体を含む。
【0200】
FcRへの結合が改善された、又は減少したある特定の抗体変異体が記載されている(例えば、米国特許第6737056号;国際公開第2004/056312号、及びShieldsら、J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照されたい)。
【0201】
ある特定の実施態様においては、抗体変異体は、ADCCを改善する1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298位、333位、及び/又は334位(残基のEU番号付け)の置換を有するFc領域を含む。
【0202】
いくつかの実施態様においては、例えば、米国特許第6194551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogieら、J.Immunol.164:4178−4184(2000)に記載されたような、変化した(すなわち、改善された、又は減少した)C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)をもたらすFc領域中で変化を作製する。
【0203】
半減期が増大し、胎児への母体IgGの移行を担う、新生児Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体(Guyerら、J. Immunol. 117:587 (1976)及びKimら、J. Immunol. 24:249 (1994))が、米国特許出願公開第2005/0014934A1号(Hintonら)に記載されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する1つ又は複数の置換をその中に有するFc領域を含む。そのようなFc変異体としては、1つ又は複数のFc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものが挙げられる(米国特許第7371826号)。Fc領域変異体の他の例に関しては、Duncan&Winter,Nature 322:738−40(1988);米国特許第5648260号;米国特許第5624821号;及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0204】
システイン操作抗体変異体
ある特定の実施態様においては、抗体の1つ又は複数の残基がシステイン残基で置換された、システイン操作抗体、例えば、「チオMAb」を作出することが望ましい。特定の実施態様においては、置換される残基は、抗体の接近可能部位に存在する。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基を抗体の接近可能部位に配置し、これを用いて抗体を薬物部分又はリンカー−薬物部分などの他の部分にコンジュゲートさせて、本明細書にさらに記載されるようなイムノコンジュゲートを作出することができる。ある特定の実施態様においては、以下の残基の何れか1つ又は複数を、システインで置換することができる:軽鎖のV205(Kabat番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体を、例えば、米国特許第7521541号に記載のように生成することができる。
【0205】
抗体誘導体
ある特定の実施態様においては、本明細書に提供される抗体を、当該技術分野で公知であり、容易に利用可能であるさらなる非タンパク質性部分を含有するようにさらに改変することができる。抗体の誘導体化にとって好適な部分としては、限定されるものではないが、水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/マレイン酸無水物共重合体、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダム共重合体)、及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、及びその混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造における利点を有し得る。このポリマーは、任意の分子量のものであってよく、分枝状又は非分枝状であってもよい。抗体に結合されるポリマーの数は変化してもよく、1より多いポリマーが結合される場合、それらは同じか、又は異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化のために用いられるポリマーの数及び/又は型は、限定されるものではないが、改善される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が規定の条件下で療法において用いられるかどうかなどを含む考慮に基づいて決定することができる。
【0206】
別の実施態様においては、放射線への曝露により選択的に加熱することができる抗体と非タンパク質性部分とのコンジュゲートが提供される。一実施態様においては、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブ(Kamら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605 (2005))である。放射線は、任意の波長のものであってもよく、限定されるものではないが、通常の細胞を損傷しないが、抗体−非タンパク質性部分に近い細胞が殺傷される温度に非タンパク質性部分を加熱する波長を含む。
【0207】
組換え方法及び組成物
抗体を、例えば、米国特許第4816567号に記載されたような、組換え方法及び組成物を用いて生産することができる。一実施態様においては、本明細書に記載の抗Aベータ抗体をコードする単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードしてもよい。さらなる実施態様においては、そのような核酸を含む1つ又は複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる実施態様においては、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。1つのそのような実施態様においては、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それで形質転換されている)。一実施態様においては、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施態様においては、抗Aベータ抗体を作製する方法であって、上記に提供された抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現にとって好適な条件下で培養すること、及び任意選択的に、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む方法が提供される。
【0208】
抗Aベータ抗体の組換え生産のために、例えば、上記のような抗体をコードする核酸を単離し、宿主細胞中でのさらなるクローニング及び/又は発現のために1つ又は複数のベクター中に挿入する。そのような核酸を、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)、容易に単離し、配列決定することができる。
【0209】
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現のための好適な宿主細胞としては、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞が挙げられる。例えば、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要でない場合、抗体を細菌中で産生させることができる。細菌中での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5648237号、5789199号及び第5840523号を参照されたい(大腸菌中での抗体断片の発現を記載する、Charlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo(編)、Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp. 245-254も参照されたい)。発現後、抗体を、細菌細胞ペーストから可溶性画分中に単離し、さらに精製することができる。
【0210】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母などの真核微生物も、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的又は完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌及び酵母株を含む、抗体をコードするベクターのための好適なクローニング又は発現宿主である。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409−1414(2004)、及びLiら、Nat.Biotech.24:210−215(2006)を参照されたい。
【0211】
グリコシル化された抗体の発現のための好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。特に、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と共に用いることができる多くのバキュロウイルス株が同定されている。
【0212】
植物細胞培養物を、宿主として用いることもできる。例えば、米国特許第5959177号、第6040498号、第6420548号、第7125978号、及び第6417429号(トランスジェニック植物中で抗体を産生させるためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載する)を参照されたい。
【0213】
脊椎動物細胞を、宿主として用いることもできる。例えば、懸濁液中での増殖に適合させた哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7);ヒト胚性腎臓細胞株(293又は例えば、Grahamら、J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載された293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載のTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(HepG2);マウス乳房腫瘍(MMT060562);例えば、Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982)に記載のようなTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR−CHO細胞(Urlaubら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;並びにY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生にとって好適なある特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki及びWu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C. Lo(編)、Humana Press, Totowa, NJ),p.255−268(2003)を参照されたい。
【0214】
アッセイ
本明細書に提供される抗Aベータ抗体を、当該技術分野で公知の様々なアッセイにより、その物理的/化学的特性及び/又は生物活性について同定する、スクリーニングする、又は特徴を明らかにすることができる。
【0215】
結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様において、本発明の抗体を、例えば、ELISA、ウェスタンブロットなどの公知の方法により、その抗原結合活性について試験する。
【0216】
別の態様においては、競合アッセイを用いて、Aベータへの結合について本発明の抗Aベータ抗体と競合する抗体を同定することができる。ある特定の実施態様においては、そのような競合抗体は、クレネズマブ又は本明細書で特定される別の抗Aベータ抗体により結合される同じエピトープ(例えば、線状又は立体的エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Morris(1996)、Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press, Totowa, NJ)中の「Epitope Mapping Protocols」に提供されている。
【0217】
例示的な競合アッセイにおいては、望ましい形態(例えば、モノマー、オリゴマー、又はフィブリル)にある固定化されたAベータを、Aベータに結合する第1の標識化抗体(例えば、クレネズマブ)及びAベータへの結合について第1の抗体と競合するその能力について試験される第2の未標識化抗体を含む溶液中でインキュベートする。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。コントロールとして、固定化されたAベータを、第2の未標識化抗体ではなく、第1の標識化抗体を含む溶液中でインキュベートする。Aベータへの第1の抗体の結合を可能にする条件下でインキュベートした後、過剰の未結合の抗体を除去し、固定化されたAベータと会合した標識の量を測定する。固定化されたAベータと会合した標識の量が、コントロール試料と比較して試験試料中で実質的に減少する場合、それは、第2の抗体がAベータへの結合について第1の抗体と競合していることを示す。Harlow及びLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照されたい。
【0218】
活性アッセイ
一態様においては、生物活性、例えば、クレネズマブの生物活性を有するその抗Aベータ抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物活性は、限定されるものではないが、例えば、オリゴマーAベータへのモノマーAベータの凝集、又はモノマーAベータへのオリゴマーAベータの分離の防止を含んでもよい。インビボ及び/又はインビトロでそのような生物活性を有する抗体も提供される。
【0219】
ある特定の実施態様においては、本発明の抗体を、そのような生物活性について試験する。
【0220】
CLUSTERINを用いた患者の同定及び選択のための方法及び組成物
本開示は、CLUSTERIN遺伝子(アポリポタンパク質J又はApoJとしても知られる、GenPept受託番号NP_001822)中の多型が、抗Aベータ抗体治療(例えば、抗Aベータ抗体又はその抗原結合断片)の有効性と相関するという発見に基づくものである。本明細書の実施例に示されるように、CLUSTERIN遺伝子中のSNPであるSNP rs1532278でのTヌクレオチドの存在は、軽度から中等度のADを有する患者、及びその特定の部分母集団における好ましい転帰と関連する。結果として、本開示は、限定されるものではないが、抗Aベータ抗体を含むADのための治療から利益を得る、又はそれに応答する可能性がある患者を同定及び選択するための方法及び手段を含む、方法及び手段を提供する。
【0221】
一態様において、本開示は、抗Aベータ抗体を用いた治療のための患者を選択する方法であって、患者が早期又は軽度から中等度のADに罹患する、方法を提供する。この方法は、患者に由来する試料中の、CLUSTERINアレルの存在又は非存在、特に、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有するCLUSTERINアレル又はそれに等価なアレルの存在を検出することを含む。この方法はさらに、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有するCLUSTERINアレル又はそれに等価なアレルが、抗Aベータ抗体を用いた治療に応答する可能性がより高いと検出される患者を選択することを含む。
【0222】
別の態様においては、本開示は、早期又は軽度から中等度のADに罹患している個体が抗Aベータ抗体を含むADのための治療に応答する可能性があるかどうかを予測する方法を提供する。いくつかの実施態様においては、方法は、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有する個体が抗Aベータ抗体を含む治療に応答する可能性が増大した、個体に由来する試料中でSNP rs1532278でのヌクレオチドの同一性を決定することを含む。いくつかの実施態様においては、方法は、患者に由来する試料中の、CLUSTERINアレルの存在又は非存在、特に、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有するCLUSTERINアレル又はそれに等価なアレルの存在を検出することを含む。
【0223】
別の態様において、本開示は、ADのための治療の治療有効性を最適化する方法であって、患者の遺伝子型を決定することを含む方法を提供し、ここで、少なくとも1つのCLUSTERINアレル、特に、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有するCLUSTERINアレル又はそれに等価なアレルの存在を担持すると決定される患者は、抗Aベータ抗体を用いた治療に応答する可能性がより高い。
【0224】
別の態様において、本開示は、ADに罹患している患者が、抗Aベータ抗体を含むADのための治療から利益を得る可能性を決定するための方法を提供する。一実施態様においては、患者がCLUSTERIN SNPrs1532278にTヌクレオチドを担持する場合、患者は抗Aベータ抗体(例えば、クレネズマブ、又はその抗原結合断片)を含む療法による治療から利益を得る可能性がある。
【0225】
開示される方法は、患者を同定、選択及び/又は治療するための適切な、又は有効な療法を評価するのに有用なデータ及び情報を取得するための都合のよい、効率的な、及び潜在的には費用効果的な手段を提供する。いくつかの実施態様においては、試料を患者から取得し、様々なインビトロアッセイにより検査して、抗Aベータ抗体で治療されたADに罹患している患者において治療効果と関連するアレルの存在又は非存在を決定することができる。好適な試料は本明細書の以下に記載され、血液、唾液、頬スワブ、体組織又は体液に由来するものであってもよい。
【0226】
バイオマーカー又はSNPの存在を、限定されるものではないが、mRNA、cDNA、タンパク質、タンパク質断片及び/又は遺伝子コピー数を含む、当該技術分野で公知の任意の好適な基準に基づいて決定することができる。
【0227】
いくつかの実施態様においては、CLUSTERINアレルは、rs1532278:Tアレル、若しくはそれに等価なアレルであるか、又はSNP rs1532278にTを含む。rs1532278と連鎖不平衡にある交互のSNPを、本開示の方法において用いることもできる。いくつかの実施態様においては、連鎖不平衡は、D’尺度又はr
2尺度である。いくつかの実施態様においては、選択されたSNPと交互のSNPとの間のD’尺度は、0.60以上である。いくつかの実施態様においては、選択されたSNPと交互のSNPとの間のD’尺度は、0.70、0.80又は0.90以上である。いくつかの実施態様においては、選択されたSNPと交互のSNPとの間のD’尺度は、1.0である。いくつかの実施態様においては、選択されたSNPと交互のSNPとの間のr
2尺度は、0.60以上である。いくつかの実施態様においては、選択されたSNPと交互のSNPとの間のr
2尺度は、0.70、0.80又は0.90以上である。いくつかの実施態様においては、選択されたSNPと交互のSNPとの間のr
2尺度は、1.0である。いくつかの実施態様においては、交互のSNPは、選択されたSNPの上流又は下流の500,000塩基対以内に位置する。
【0228】
試料中でのSNPの分析を、限定されるものではないが、DNA配列決定、RNA配列決定、DNAのポリメラーゼ連鎖反応分析、RNAのポリメラーゼ連鎖反応分析、オリゴヌクレオチドに基づくハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチドに基づくプライマー伸長、電気泳動及びHPLCを含む、多くが当該技術分野で公知であり、当業者によって理解される、いくつかの方法により、血液、組織又は他の体液中で分析することができる。SNPを検出するためのさらなる技術としては、限定されるものではないが、以下の技術:スキャニングプローブ及びナノ細孔DNA配列決定、ピロシーケンシング、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、時間温度勾配電気泳動(TTGE)、Zn(II)−サイクレンポリアクリルアミドゲル電気泳動、均一蛍光PCRに基づく単一ヌクレオチド多型分析、リン酸親和性ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ハイスループットSNP遺伝子型判定プラットフォーム、分子ビーコン、5’ヌクレアーゼ反応、Taqmanアッセイ、MassArray(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析と共役させた単一塩基プライマー伸長)、トリチルマスタグ、遺伝子型判定プラットフォーム(Invader Assay(登録商標)など)、単一塩基プライマー伸長(SBE)アッセイ、PCR増幅(例えば、磁気ナノ粒子(MNP)上でのPCR増幅)、PCR産物の制限酵素分析(RFLP法)、アレル特異的PCR、多重プライマー伸長(MPEX)、等温スマート増幅(Methods in Molecular Biology, Single Nucleotide Polymorphisms、第2版、Anton Komar(編)、Humana Press 2009; Chapters 7-28)、単純配列長多型(SSLP)のPCR増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、RNaseA切断、ヘテロ二本鎖DNAの化学的切断、一本鎖コンフォメーション多型(SSCP)分析(Warrenら、Current Protocol in Human Genetics, Supp 15: 7.4.1-7.4.23 (2001))、ビーズチップマイクロアレイ(Lambertら、Current Protocol in Human Genetics, Supp 78: 2.9.1-2.9.3(2013))、一本鎖コンフォメーション多型(SSCP)分析、プライマー単一塩基伸長(SBE)(Deshpandeら、Current Protocol in Human Genetics, Supp 34: 13.4.1-13.4.11 (2005))、プライマー伸長アッセイ(Kwokら、Current Protocol in Human Genetics, Supp 39: 2.11.1-2.11.10 (2003))が挙げられる。SNPの存在を、イムノアッセイ(例えば、ELISA、ELIFA、免疫組織化学及び/若しくはウェスタンブロット分析、免疫沈降法、分子結合アッセイ、蛍光活性化セルソーティング(FACS)など)、定量的血液系アッセイ(例えば、血清ELISA)、in situハイブリダイゼーション、又は生化学的酵素活性アッセイ若しくは細胞に基づく系を含む機能的アッセイを含む、タンパク質に基づく技術(例えば、タンパク質発現若しくは機能のレベルを検査するため)の分析、並びに遺伝子及び/又は組織アレイ分析により実施することができる様々なアッセイの何れか1つから推測することもできる。遺伝子及び遺伝子産物の状態を評価するための典型的なプロトコールは、例えば、Ausubelら(編)、1995,Current Protocols In Molecular Biology、ユニット2(ノーザンブロット法)、4(サザンブロット法)、15(イムノブロット法)及び18(PCR分析)に見出される。Rules Based Medicineから入手可能なものなどの多重化イムノアッセイ、ビーズに基づくイムノアッセイ、例えば、Luminex、ELISA又はMeso Scale Discovery(MSD)を用いることもできる。
【0229】
本発明のSNP分析に感受性であり、従う1つの技術は、例えば、米国特許第6627402号に記載のアレル特異的PCR(AS−PCR)である。この技術は、配列の野生型変異体の存在下で、核酸配列中の突然変異又は多型を検出する。成功したアレル特異的PCRにおいては、標的核酸の所望の変異体が増幅されるが、他の変異体は少なくとも検出可能なレベルでは増幅されない。
【0230】
アレル特異的PCRの識別の1つの尺度は、2つのアレルを含む増幅反応におけるCt値間の差異(ΔCt)である。それぞれの増幅反応は、核酸増幅アッセイの文脈では、独立変数が増幅サイクルの数であり、従属変数がフルオロフォアにより放出される蛍光などの、増幅の各サイクルで測定される増幅依存性測定可能パラメータである関数のグラフである「増殖曲線」又は「増幅曲線」を特徴とする。典型的には、増幅依存性測定可能パラメータは、ハイブリダイゼーションの際、又は核酸ポリメラーゼのヌクレアーゼ活性によるプローブの加水分解の際に放出される蛍光の量である。Hollandら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.88:7276−7280及び米国特許第5210015号を参照されたい。増殖曲線は、所定の規模の測定可能パラメータが達成されるサイクル数である「閾値」(又はCt値)を特徴とする。より低いCt値はより迅速な増幅を表すが、より高いCt値はより遅い増幅を表す。アレル特異的反応の文脈においては、2つの鋳型のCt値間の差異は、反応におけるアレル識別を表す。
【0231】
アレル特異的PCRにおいては、プライマー伸長が、配列の特異的変異体が存在する場合にのみ(又は選択的に)起こり、別の変異体が存在する場合には起こらない(又はより低い効率、すなわち、実質的なΔCtで起こる)ように、少なくとも1つのプライマーはアレル特異的である。典型的には、プライマー中の識別ヌクレオチド、すなわち、標的配列のただ1つの変異体と一致するヌクレオチドは、3’末端ヌクレオチドである。しかしながら、プライマーの3’末端は、特異性の多くの決定因子のうちのただ1つである。例えば、さらなる不一致は、識別にも影響し得る。2009年10月20日に出願された米国特許出願第12/582068号(米国特許出願公開第20100099110号として公開された)を参照されたい。別の手法は、プライマーと標的配列との塩基対形成を変化させる非天然又は修飾ヌクレオチドを含有させることである(その全体が出典明示により援用される米国特許第6001611号)。プライマーの伸長反応速度論及びかくして特異性の低下は、反応中に存在する不一致及び他の核酸の全体的な配列の文脈を含む多くの因子により影響される。それぞれのさらなる不一致に対するこれらの外部因子の効果並びにそれぞれのさらなる非天然ヌクレオチドの効果を、単独で、又は組み合わせて予測することはできない。一実施態様においては、本開示は、CLUSTERIN中の多型の決定にとって特異的なオリゴヌクレオチド、特に、CLUSTERIN中のrs1532278にとって特異的なオリゴヌクレオチドを提供する。
【0232】
実施態様において、多型の存在は、プローブを用いて検出される。プローブを、放射活性、又は発色団(フルオロフォア)標識、例えば、FAM、JA270、CY5ファミリー染料、又はHEX染料を含む標識で標識することができる。蛍光標識されたプローブを用いる検出の一例として、突然変異を、プローブのハイブリダイゼーションが、プローブの酵素的消化及び得られる蛍光の検出をもたらす、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(rt−PCR)により検出することができる(TaqMan(商標)プローブ法、Hollandら(1991) P.N.A.S. USA 88:7276-7280)。あるいは、多型の存在及び増幅産物を、例えば、Sambrook,J.及びRussell,D.W.(2001)Molecular Cloning、第3版、CSHL Press、第5章及び第9章に記載のように、ゲル電気泳動、次いで、染色又はブロッティング及びハイブリダイゼーションにより検出することができる。
【0233】
「蛍光染料」又は「フルオロフォア」は、好適な波長の光により励起された場合、光放射を放出することができる、例えば、核酸に結合した化合物又は部分である。典型的な蛍光染料としては、ローダミン染料、シアニン染料、フルオレセイン染料及びBODIPY(登録商標)染料が挙げられる。フルオロフォアは、蛍光発色団である。「FRET」又は「蛍光共鳴エネルギー移動」又は「フェルスター共鳴エネルギー移動」は、少なくとも2つの発色団、ドナー発色団とアクセプター発色団(クエンチャーとも呼ばれる)との間のエネルギーの移動である。ドナーは、典型的には、ドナーが好適な波長を有する光放射により励起された場合にアクセプターにエネルギーを移動させる。アクセプターが「ダーク」クエンチャーである場合、それは光以外の形態で移動したエネルギーを消散させる。一般的に用いられるダーククエンチャーは、BlackHole Quenchers(商標)(BHQ)、Biosearch Technologies,Inc.(Novato,Cal.)、Iowa Black(商標)、Integrated DNA Tech.,Inc.(Coralville,Iowa)、BlackBerry(商標)Quencher 650(BBQ−650)、Berry&Assoc.,(Dexter,Mich.)である。一般的に用いられるドナー−クエンチャー対としては、FAM−BHQ対、CY5−BHQ対及びHEX−BHQ対が挙げられる。
【0234】
バイオマーカー又はSNPを含む試料を、当該技術分野で周知の方法により取得することができる。以下の定義を参照されたい。さらに、療法の進行を、SNPについてそのような体試料を試験することにより、より容易にモニタリングすることができる。
【0235】
遺伝子型判定アレイを用いてDNA又はRNAを分析して、SNPの存在を検出することができる。1つのそのような例は、700Kを超える遺伝子座を含む市販のマイクロアレイ系(Oliphantら、Biotechniques, Supp: 56-8, 60-1 (2002))であり、DNA及びRNA分析(例えば、核酸試料中でのSNPの同定)のために用いられる一般的な方法であるIlluminaに基づくアレイ技術である。Illuminaマイクロアレイ技術は、2つの基質:光ファイバー束又は平面シリカスライドの何れかの上、マイクロウェル中で自己集合する3ミクロンのシリカビーズを用いる。各ビーズを、捕捉配列として作用する数百から数千コピーの特異的オリゴヌクレオチドで被覆する。
【0236】
組織又は細胞試料中での選択された遺伝子又はバイオマーカーの発現を、機能的アッセイ又は活性に基づくアッセイにより試験することもできる。例えば、バイオマーカーが酵素である場合、当該技術分野で公知のアッセイを行って、組織又は細胞試料中での所与の酵素活性の存在を決定又は検出することができる。
【0237】
試験結果に基づく患者のSNP状態を、報告中に提供することができる。報告は、任意の形態の文書化された材料(例えば、紙若しくはデジタル形態、又はインターネット上)又は口頭によるプレゼンテーション(例えば、人における(ライブ)又は記録されたもの)にあってもよい。報告は、患者が抗Aベータ治療から利益を得るか、又はそれに応答する可能性があることを医療専門家(例えば、医師)にさらに示してもよい。
【0238】
また、試料から多型の存在を検出する、又は患者の遺伝子型を決定するためのキットも本明細書に提供される。本発明のキットは、いくつかの実施態様を有する。ある特定の実施態様においては、キットは、容器、前記容器上のラベル、及び前記容器内に含有される組成物を含み、ここで、組成物はSNPに対する自己抗体に対応する1つ又は複数の標的ポリペプチド配列に結合する1つ又は複数の一次抗体を含み、容器上のラベルは、組成物を用いて少なくとも1つの型の哺乳動物細胞中での1つ又は複数の標的タンパク質の存在を評価することができることを示し、並びに少なくとも1つの型の哺乳動物細胞中での1つ又は複数の標的タンパク質の存在を評価するために抗体を用いるための指示書を含む。キットは、組織試料を調製し、抗体及びプローブを、組織試料の同じ切片に適用するための指示書と材料のセットをさらに含んでもよい。キットは、一次抗体と、標識、例えば、酵素標識にコンジュゲートされた二次抗体との両方を含んでもよい。
【0239】
診断及び検出のための方法及び組成物
ある特定の実施態様においては、本明細書に提供される抗Aベータ抗体は何れも、生物学的試料中のAベータの存在を検出するのに有用である。本明細書で用いられる用語「検出すること」は、定量的又は定性的検出を包含する。ある特定の実施態様においては、生物学的試料は、血清、血漿、鼻腔スワブ、痰、脳脊髄液、眼の水性液などの細胞若しくは組織、又は神経組織若しくは脳組織を含有する試料などの生物体から得られる組織若しくは細胞試料を含む。
【0240】
一実施態様においては、診断又は検出の方法における使用のための抗Aベータ抗体が提供される。さらなる態様において、生物学的試料中のAベータの存在を検出する方法が提供される。ある特定の実施態様においては、方法は、生物学的試料を、本明細書に記載の抗Aベータ抗体と、抗Aベータ抗体のAベータへの結合を可能にする条件下で接触させること、及び複合体が抗Aベータ抗体とAベータとの間で形成されるかどうかを検出することを含む。そのような方法は、インビトロ又はインビボでの方法であってもよい。
【0241】
本発明の抗体を用いて診断することができる例示的障害は、アミロイド又はアミロイド様タンパク質により引き起こされる、又はそれと関連する疾患及び障害である。これらのものとしては、限定されるものではないが、モノマー、フィブリル、若しくはポリマー状態、又は3つの何れかの組合せにあるアミロイド様タンパク質の存在又は活性により、例えば、アミロイド斑により引き起こされる疾患及び障害が挙げられる。例示的な疾患としては、限定されるものではないが、続発性アミロイドーシス及び加齢性アミロイドーシス、例えば、限定されるものではないが、アルツハイマー病(「AD」)などの神経障害などの疾患、認知記憶能力の喪失を特徴とする疾患又は状態、例えば、軽度認知障害(MCI)、レヴィ小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(Dutch型)、グアム−パーキンソン認知症複合及びアミロイド様タンパク質に基づく、又はそれと関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV関連認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、封入体筋炎(IBM)、成人発症型糖尿病、内分泌腫瘍及び老人性心臓アミロイドーシス、並びに黄斑変性、ドルーゼン関連視神経症、緑内障、及びベータ−アミロイド沈着に起因する白内障などの様々な眼の疾患が挙げられる。
【0242】
ある特定の実施態様においては、標識された抗Aベータ抗体が提供される。標識としては、限定されるものではないが、直接的に検出される標識又は部分(蛍光標識、色素標識、高電子密度標識、化学発光標識、及び放射活性標識など)、並びに間接的に、例えば、酵素反応又は分子相互作用により検出される、酵素又はリガンドなどの部分が挙げられる。例示的な標識としては、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はミクロペルオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカルなどの色素前駆体を酸化するために過酸化水素を用いる酵素と共役した、限定されるものではないが、放射性同位体
32P、
14C、
125I、
3H及び
131I、フルオロフォア、例えば、希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えば、蛍ルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン類、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、複素環式オキシダーゼ、例えば、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼが挙げられる。
【0243】
本開示は、CLUSTERINアレル中の多型を検出するための薬剤のインビトロでの使用をさらに提供する。いくつかの実施態様においては、抗Aベータ抗体を含む治療に応答する可能性がある、早期、軽度、又は軽度から中等度のADを有する患者の同定のために、CLUSTERINアレルを検出するための薬剤が提供される。いくつかの実施態様においては、薬剤は、SNP rs1532278中にTヌクレオチドを有するCLUSTERINアレル又はそれに等価なアレルの存在を検出することができる。
【0244】
薬学的製剤
本明細書に記載の抗Aベータ抗体の薬学的製剤は、所望の純度を有するそのような抗体又は分子と、1つ又は複数の任意選択的な薬学的に許容される担体(Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.編(1980))とを混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で調製される。薬学的に許容される担体は、一般的には用いられる用量及び濃度でレシピエントに対して非毒性的であり、限定されるものではないが、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロライド;ベンザルコニウムクロライド;ベンゼトニウムクロライド;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成性対抗イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質複合体);並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶型中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶型PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの間質性薬物分散剤をさらに含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び第2006/0104968号に記載されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ又は複数のさらなるグリコサミノグリカナーゼと混合される。
【0245】
一実施態様においては、本発明の抗体を、アルギニンバッファー中で製剤化することができる。一態様において、アルギニンバッファーは、アルギニンコハク酸バッファーであってもよい。1つのそのような態様においては、アルギニンコハク酸バッファーの濃度は、50mM以上であってもよい。別のそのような態様においては、アルギニンコハク酸バッファーの濃度は、100mM以上であってもよい。別のそのような態様においては、アルギニンコハク酸バッファーの濃度は、150mM以上であってもよい。別のそのような態様においては、アルギニンコハク酸バッファーの濃度は、200mM以上であってもよい。別の態様においては、アルギニンバッファー製剤は、界面活性剤をさらに含有してもよい。別のそのような態様においては、界面活性剤は、ポリソルベートである。別のそのような態様においては、ポリソルベートは、ポリソルベート20である。別のそのような態様においては、製剤中のポリソルベート20の濃度は、0.1%以下である。別のそのような態様においては、製剤中のポリソルベート20の濃度は、0.05%以下である。別の態様においては、アルギニンバッファー製剤のpHは、4.5〜7.0である。別の態様においては、アルギニンバッファー製剤のpHは、5.0〜6.5である。別の態様においては、アルギニンバッファー製剤のpHは、5.0〜6.0である。別の態様においては、アルギニンバッファー製剤のpHは、5.5である。前記実施態様及び態様の何れかにおいて、本発明の抗体はクレネズマブであってもよい。
【0246】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性抗体製剤は、米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載のものを含み、後者の製剤はヒスチジン酢酸バッファーを含む。
【0247】
本明細書の製剤は、治療される特定の指示のために、必要に応じて1より多い活性成分、好ましくは、互いに有害に作用しない相補的活性を有するものを含有してもよい。例えば、アルツハイマー病の症候を防止又は治療するために、1つ又は複数の化合物をさらに提供することが望ましい。そのような活性成分は、好適には、意図される目的にとって有効である量で一緒に存在する。
【0248】
活性成分を、例えば、液滴形成技術により、若しくは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)中の、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、又はマクロエマルジョン中に捕捉することができる。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.編(1980)に開示されている。
【0249】
徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の好適な例としては、マトリックスが、造形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態の、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられる。
【0250】
インビボでの投与のために用いられる製剤は、一般には滅菌される。無菌状態を、例えば、滅菌濾過膜を通す濾過により容易に達成することができる。
【0251】
治療方法及び組成物
本明細書に示されるように、クレネズマブの静脈内投与は、ADに罹患している患者における疾患進行を軽減した。具体的には、軽度のADを有する患者及びApoE4陽性患者を含む、軽度から中等度のADを有する患者、並びにADと診断された患者において典型的に見られる脳アミロイド量を有する患者は、プラセボと比較して、クレネズマブで治療された場合、認知低下速度の軽減を示した。MMSEスコアの増大に基づいて、疾患が軽度であるほど、プラセボ群と比較して、治療群における低下の軽減が大きい。これらの結果は、脳脊髄液中で検出されるAベータのレベルの増加及び脳におけるアミロイドの蓄積の減少を含む、クレネズマブによる迎撃の他の指示によってさらに実証された。さらに、比較的高用量の抗体(15mg/kg)は、他の抗Aベータ抗体の臨床治験において観察されたARIA型有害事象の発生を増加させなかった。
【0252】
従って、一実施態様においては、本発明の抗体は、軽度から中等度のAD、軽度のAD、及び早期のADを含む、ADを治療するために用いられる。別の実施態様においては、本発明の抗体は、アミロイドーシスを治療するために用いられる。1つのそのような実施態様においては、アミロイドーシスは、軽度の認知障害である。別のそのような実施態様においては、アミロイドーシスは、ダウン症候群である。別のそのような実施態様においては、アミロイドーシスは、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(Dutch型)である。別のそのような実施態様においては、アミロイドーシスは、グアム−パーキンソン認知症複合である。別のそのような実施態様においては、アミロイドーシスは、眼へのドルーゼン又は他のアミロイド沈着と関連する眼病である。別の態様においては、眼病は黄斑変性である。別の態様においては、眼病はドルーゼン関連視神経症である。別の態様においては、眼病は緑内障である。別の態様においては、眼病は白内障である。前記実施態様及び態様の何れかにおいて、本発明の抗体はクレネズマブであってもよい。
【0253】
患者は、典型的には、そのような患者を治療するための本発明の抗体の好適性を決定する前に1つ又は複数のアミロイドーシスの存在について最初に評価される。1つの非限定的な例として、ADを、「NINCDS−ADRDA」(神経及びコミュニケーション障害及び脳卒中−アルツハイマー病関連障害評価(Neurological and Communicative Disorders and Stroke−Alzheimer’s Disease Related Disorders Assessment))基準を用いて、患者において診断することができる。McKhannら、1984, Neurology 34:939−44を参照されたい。1つ又は複数の本発明の抗体を投与される潜在的な患者を、そのような患者が、(i)1つ若しくは複数のアミロイドーシスを経験しているそのような患者のより高いか、若しくはより低い可能性、又は(ii)本発明の抗体の投与の経過中に1つ若しくは複数の有害事象若しくは副作用を経験しているそのような患者のより高いか、若しくはより低い可能性の素因を有し得る1つ又は複数の遺伝子マーカーの存在又は非存在について試験することもできる。1つの非限定的な例として、ApoE4アレルを担持する患者は、そのアレルを欠く患者よりもADを発症する実質的により高いリスクを有すること(Saundersら、Neurology 1993; 43:1467-72;Prekumarら、Am. J. Pathol. 1996; 148:2083-95)、及びそのような患者が、別の抗Aベータ抗体であるバピネウズマブの臨床治験において観察されたARIA型有害事象を偏って示したこと(Sperlingら、Alzheimer's & Dementia 2011, 7:367-385;Sallowayら、N. Engl. J. Med. 2014, 370:322-333)が公知である。
【0254】
いくつかの実施態様においては、本発明の抗体は、患者における軽度から中等度のADを治療するために用いられる。患者は、ApoE4陽性又はApoE4陰性であってもよい。いくつかの実施態様においては、本発明の抗体は、軽度のADを治療するために用いられる。いくつかの実施態様においては、本発明の抗体は、軽度から中等度のAD又は軽度のADに罹患しているApoE4陽性患者を治療するために用いられる。いくつかの実施態様においては、本発明の抗体は、軽度のADに罹患している患者を治療するために用いられる。
【0255】
いくつかの実施態様においては、本発明の抗体は、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する患者を治療するために用いられる。いくつかの実施態様においては、患者は、22−26のMMSEスコアを有する。本明細書で用いられる場合、2つのメンバー間のMMSEスコアは、範囲のそれぞれの端部での数を含む。例えば、22−26のMMSEスコアは、22及び26のMMSEスコアを含む。
【0256】
いくつかの実施態様においては、本発明の抗体は、「アミロイド陽性」である患者、例えば、ADと診断された患者又は陽性のフロルベタピルPETスキャンを有する患者に典型的である脳アミロイド沈着を有する患者を治療するために用いられる。いくつかの実施態様においては、本発明の抗体は、脳アミロイド沈着又は老人斑の蓄積を軽減するため(すなわち、脳アミロイド負荷又は量の増加を軽減するため)に用いられる。
【0257】
さらに、本発明の抗体は、ARIA−E又はARIA−Hの発生を増加させることなく軽度から中等度のADを治療するのに有用である。いくつかの実施態様においては、患者は、軽度のADに罹患している。いくつかの実施態様においては、患者は、ApoE4陽性である。いくつかの実施態様においては、患者はApoE4陽性であり、軽度のADに罹患している。
【0258】
本明細書の実施例で証明されるように、治療効果は、より軽度の形態のADを有する患者において増大する。結果として、いくつかの実施態様においては、本発明の抗体は、早期のADを有する患者を治療するために用いられる。ある特定の実施態様においては、治療される患者は、1つ又は複数の以下の特性:(a)ADに起因する軽度の認知障害(MCI);(b)臨床的に検出可能な欠損を示さずにアルツハイマー病を示す1つ又は複数のバイオマーカー;(c)Free and Cued Selective Reminding Test(FCSRT)を用いて27以上のスコア;24−30のMMSEと定量された客観的記憶喪失;(d)0.5の包括的臨床認知症評価(CDR);及び(e)陽性のアミロイドPETスキャン(資格のあるリーダーにより決定される)を有する。
【0259】
別の態様においては、早期、軽度、又は軽度から中等度のADに罹患している患者においてADを治療するための方法であって、前記患者に、ADを治療するのに有効な量の抗Aベータ抗体を投与することを含み、患者がSNP rs1532278にTを含む少なくともCLUSTERINアレル又はそれに等価なアレルを有する、方法が本明細書に提供される。特異的SNPの存在又は非存在を検出又は決定するための方法、組成物、及び手段が本明細書に提供される。下記を参照されたい。
【0260】
本発明の抗体を、医学行動規範と一致した様式で製剤化、用量化、及び投与する。この文脈における考慮のための因子としては、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の対象の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医師には公知の他の因子が挙げられる。
【0261】
投与経路
本発明の抗体(及び任意のさらなる治療剤)を、非経口、肺内、及び鼻腔内、並びに局所的治療にとって望ましい場合、病巣内投与を含む、任意の好適な手段により投与することができる。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が挙げられる。投薬は、任意の好適な経路、例えば、部分的には、投与が簡便であるか、又は慢性的であるかに応じて、静脈内又は皮下注射などの注射によるものであってもよい。一実施態様においては、抗体は、皮下的に注射される。別の実施態様においては、抗体は、静脈内的に注射される。別の実施態様においては、抗体は、注射筒(例えば、予め充填されたか、若しくはされていない)又は自己注射器を用いて投与される。別の実施態様においては、抗体は吸入される。
【0262】
投薬
アミロイドーシスの治療のために、本発明の抗体の適切な用量(単独で、又は1つ若しくは複数の他のさらなる治療剤と共に用いられる場合)は、治療される特定の型の疾患、抗体の型、疾患の重症度及び経過、以前の療法、患者の病歴及び抗体に対する応答、並びに主治医の裁量に依存する。抗体は、単回で、又は一連の治療にわたって患者に好適に投与される。限定されるものではないが、様々な時点にわたる単回又は複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含む様々な投薬スケジュールが、本明細書で企図される。
【0263】
疾患の型及び重症度に応じて、約0.3mg/kg−100mg/kg(例えば、15mg/kg−100mg/kg、又はその範囲内の任意の用量)の抗体が、例えば、1回若しくは複数回の別々の投与によるものであろうと、又は連続的注入によるものであろうと、患者への投与のための初期候補用量であってよい。1つの典型的な日用量は、上記の因子に応じて、約15mg/kg−100mg/kg以上の範囲である。用量を、単一用量又は分割用量(例えば、合計用量30mg/kgについて15mg/kgの2用量)で投与することができる。数週間以上にわたる反復投与のために、状態に応じて、一般的には、病徴の望ましい抑制が起こるまで治療を持続させる。抗体の1つの例示的用量は、約10mg/kg−約50mg/kgの範囲にある。かくして、約0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、3mg/kg、4.0mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、若しくは100mg/kg(又はその任意の組合せ)のうちの1又は複数の用量を、患者に投与することができる。いくつかの実施態様においては、投与される合計用量は、50mg−2500mgの範囲にある。約50mg、約100mg、200mg、300mg、400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約720mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、約2000mg、約2050mg、約2100mg、約2200mg、約2300mg、約2400mg、若しくは約2500mg(又はその任意の組合せ)の例示的用量を、患者に投与することができる。そのような用量を、間欠的に、例えば、毎週、2週間毎、3週間毎、4週間毎、毎月、2ヶ月毎、3ヶ月毎、又は6ヶ月毎に投与することができる。いくつかの実施態様においては、患者は、1から35用量(例えば、約18用量の抗体)を受ける。しかしながら、他の用量レジメンも有用であり得る。この療法の進行を、従来の技術及びアッセイによりモニタリングすることができる。
【0264】
ある特定の実施態様においては、本発明の抗体は、15mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、60mg/kgの用量又はフラット用量、例えば、300mg、500mg、700mg、800mg以上の用量で投与される。いくつかの実施態様においては、用量は、一定期間にわたって2週間毎又は4週間毎に静脈内注射により投与される。いくつかの実施態様においては、用量は、一定期間にわたって、2週間毎又は4週間毎に皮下注射により投与される。ある特定の実施態様においては、期間は、6ヶ月、1年、18ヶ月、2年、5年、10年、15年、20年、又は患者の一生涯である。
【0265】
治療処置に対する応答のモニタリング/評価
本開示の方法において用いられる場合、抗体、又はその抗原結合断片は、患者に対する治療効果又は利益を提供する。ある特定の実施態様においては、治療利益は、ADの進行の遅延、若しくは阻害、又は臨床的、機能的、若しくは認知的低下の軽減である。いくつかの実施態様においては、治療効果又は利益は、「患者応答」又は「応答」(及びその文法上の変化形)に反映される。限定されるものではないが、(1)減速及び完全な停止を含む、疾患進行のある程度の阻害;(2)プラークの量の減少又は脳アミロイド蓄積の減少;(3)限定されるものではないが、ADAS−Cog、iADL、及びCDR−SOBスケールを含む、1つ又は複数の評価マトリックスの改善;(4)患者の日常機能の改善;(5)脳脊髄液中の、1つ又は複数のバイオマーカー、例えば、Aベータの濃度の増加;及び(6)ADの存在を示す1つ又は複数のバイオマーカーの減少を含む、患者に対する利益を示す任意のエンドポイントを用いて、患者応答を評価することができる。患者応答の評価は、治療と相関して生じ得る任意の有害事象の評価を含んでもよい。
【0266】
一実施態様においては、患者の認知能力及び日常機能は、本発明の抗体による療法の経過の前、間、及び/又は後に評価される。精神機能、認知、及び神経学的欠損の評価、診断、及びスコアリングにおける使用のために、いくつかの認知及び機能評価手段が開発されている。これらの手段としては、限定されるものではないが、12項目のADAS−Cog(ADAS−Cog12)、13項目のADAS−Cog(ADAS−Cog13)、14項目のADAS−Cog(ADAS−Cog14)を含むADAS−Cog;CDR判断及び問題解決並びにCDR記憶成分を含むCDR−SOB;手段的日常生活動作(iADL);並びにMMSEが挙げられる。
【0267】
「ADAS−Cog」とは、多部分認識評価であるアルツハイマー病評価尺度認知サブスケールを指す。Rosenら、1984,Amer.J.Psych.141:1356−1364;Mohsら、1997,Alzheimer’s Disease Assoc. Disorders 11(2):S13−S21を参照されたい。ADAS−Cog上の数的スコアが高くなるほど、より低いスコアを有する別の個体と比較した試験される患者の欠損又は障害が大きくなる。ADAS−Cogを、ADのための治療が治療的に有効であるかどうかを評価するための1つの尺度として用いることができる。ADAS−Cogスコアの増加は、患者の状態の悪化を示すが、ADAS−Cogスコアの低下は患者の状態の改善を示す。本明細書で用いられる場合、「ADAS−Cog性能の低下」又は「ADAS−Cogスコアの増加」は、患者の状態の悪化を示し、ADの進行を反映し得る。ADAS−Cogは、記憶、理解、応用、見当識、及び自発的会話を含む、複数の認知領域を評価する検査者により投与されるバッテリーである(Rosenら、1984, Am J Psychiatr 141:1356-64;Mohsら、1997, Alzheimer Dis Assoc Disord 11(S2):S13-S21)。ADAS−Cogは、AD治療の治験における標準的な主要エンドポイントである(Mani 2004, Stat Med 23:305-14)。ADAS−Cog12は、70点型のADAS−Cog+学習単語リストの再認を評価する10点の遅延単語再認項目である。他のADAS−Cog尺度は、ADAS−Cog13及びADAS−Cog14を含む。
【0268】
いくつかの実施態様においては、本明細書に提供される治療方法は、プラセボと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%低いADAS−Cogスコアにより測定された場合の認知低下の軽減を提供する。
【0269】
「MMSE」とは、1−30のスコアを提供する、ミニメンタルステート検査を指す。Folsteinら、1975,J.Psychiatr.Res.12:189−98を参照されたい。26及びそれより低いスコアは、一般的には、欠損を示すと考えられる。MMSE上の数的スコアが低いほど、より低いスコアを有する別の個体と比較して試験された患者の欠損又は障害が大きくなる。MMSEスコアの増加は、患者の状態の改善を示し得るが、MMSEスコアの低下は患者の状態の悪化を示し得る。
【0270】
「CDR−SOB」とは、臨床認知症評価尺度/包括的を指す。Hughesら、1982を参照されたい。CDRは6つの成分:記憶、見当識、判断/問題解決、社会性、家庭及び趣味、身の回りの世話を評価する。この試験は、患者と介護者の両方に施され、それぞれの成分(又はそれぞれの「ボックス」)は、0−3の尺度でスコア化される。完全CDR−SOBスコアは、6つ全部のボックスにわたるスコアの合計に基づく。サブスコアを、同様に、それぞれのボックス又は成分、例えば、CDR/記憶又はCDR/判断及び問題解決について個別に取得することができる。本明細書で用いられる場合、「CDR−SOB性能の低下」又は「CDR−SOBスコアの増加」は、患者の状態の悪化を示し、ADの進行を反映し得る。いくつかの実施態様においては、本明細書に提供される治療方法は、プラセボと比較して少なくとも約30%、少なくとも約35%、又は少なくとも約40%のCDR−SOB性能の低下の軽減を提供する。
【0271】
「iADL」とは、手段的日常生活関連動作尺度を指す。Lawton,M.P.及びBrody,E.M.,1969,Gerontologist 9:179−186を参照されたい。この尺度は、家事、洗濯、電話の操作、買い物、食事の準備などの典型的な日常活動を実施する能力を測定する。スコアが低いほど、個体は日常生活の活動を行うのに差し障りが多い。いくつかの実施態様においては、本明細書に提供される治療方法は、プラセボと比較して、iADL尺度上の少なくとも約10%、少なくとも約15%、又は少なくとも約20%の低下の軽減を提供する。
【0272】
脳アミロイド量又は負荷を、神経学的画像化技術及び手段を用いて、例えば、PET(ポジトロン放出断層撮影)スキャニングを用いて決定することができる。経時的に、例えば、治療の投与の前及び後に(又は治療レジメンの経過を通して1つ若しくは複数の間隔で)取られた患者の連続PETスキャンは、脳中のアミロイド負荷の増加、減少、又は未変化の検出を可能にする。この技術をさらに用いて、アミロイド蓄積が増加しているか、又は減少しているかを決定することができる。いくつかの実施態様においては、脳中のアミロイド沈着の検出を、フロルベタピル
18Fを用いて実施する。いくつかの実施態様においては、フロルベタピルPETスキャンは、スキャンの中心化された視覚的読み取りに基づいて、中程度から頻繁な老人斑の存在を確立する場合、陽性と考えられる。
【0273】
共投与
抗体は必ずではないが、任意選択的に、問題の障害又は1つ若しくは複数のその症候を防止又は治療するために現在用いられている1つ又は複数の薬剤と共に製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は治療の型、及び上記で考察された他の因子に依存する。これらのものは、一般的には同じ用量で、及び本明細書に記載の投与経路で、又は本明細書に記載の約1−99%の用量で、又は適切であると経験的/臨床的に決定される任意の用量で、及び任意の経路により用いられる。本発明の抗体を、前記化合物の何れかと同時に共投与してもよいか、又は前記化合物の何れかの投与の前、若しくは後に投与してもよいことが当業者には理解される。
【0274】
本発明の抗体を用いてアミロイドーシスを治療する場合、神経薬を共投与することができる。そのような神経薬を、限定されるものではないが、ベータセクレターゼ、タウ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質又はその部分、アミロイドベータペプチド又はオリゴマー若しくはその線維、デスレセプター6(DR6)、糖化最終産物のための受容体(RAGE)、パーキン、及びハンチンチン;コリンエステラーゼ阻害剤(すなわち、ガランタミン、ドネペジル、リバスチグミン、及びタクリン);NMDA受容体アンタゴニスト(すなわち、メマンチン)、モノアミン枯渇剤(すなわち、テトラベナジン);メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性抗パーキンソン病剤(すなわち、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン及びトリヘキシフェニジル);ドーパミン作動性抗パーキンソン病剤(すなわち、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルフィン、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポン及びアマンタジン);テトラベナジン;抗炎症薬(限定されるものではないが、非ステロイド性抗炎症薬(すなわち、インドメタシン及び上に列挙された他の化合物)を含む);ホルモン(すなわち、エストロゲン、プロゲステロン及びロイプロリド);ビタミン(すなわち、葉酸及びニコチンアミド);ジメボリン;ホモタウリン(すなわち、3−アミノプロパンスルホン酸;3APS);セロトニン受容体活性モジュレーター(すなわち、キサリプロデン);インターフェロン、及びグルココルチコイド又はコルチコステロイドから選択される標的に特異的に結合する抗体又は他の結合分子(限定されるものではないが、低分子、ペプチド、アプタマー、又は他のタンパク質結合剤を含む)を含む群から選択することができる。いくつかの実施態様においては、クレネズマブ以外の1つ又は複数の抗Aベータ抗体が共投与される。そのような抗Aベータ抗体の非限定的な例としては、ソラネズマブ、バピネウズマブ、アデュカヌマブ、及びガンテネルマブが挙げられる。用語「コルチコステロイド」としては、限定されるものではないが、フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾン(FP)を含む)、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、モメタゾン、フルニソリド、ベタメタゾン及びトリアムシノロンが挙げられる。「吸入コルチコステロイド」は、吸入による送達にとって好適であるコルチコステロイドを意味する。例示的な吸入コルチコステロイドは、フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデノシド、フロ酸モメタゾン、シクレソニド、フルニソリド、及びトリアムシノロンアセトニドである。
【0275】
本発明の抗体を用いて、眼の疾患又は障害であるアミロイドーシスを治療する場合、抗血管新生眼科用剤(すなわち、ベバシズマブ、ラニビズマブ及びペガプタニブ)、眼科用緑内障剤(すなわち、カルバコール、エピネフリン、デメカリウムブロミド、アプラクロニジン、ブリモニジン、ブリンゾラミド、レボブノロール、チモロール、ベタキソロール、ドルゾラミド、ビマトプロスト、カルテオロール、メチプラノロール、ジピベフリン、トラボプロスト及びラタノプロスト)、炭酸脱水酵素阻害剤(すなわち、メタゾラミド及びアセタゾラミド)、眼科用抗ヒスタミン剤(すなわち、ナファゾリン、フェニルエフリン及びテトラヒドロゾリン)、眼科用潤滑剤、眼科用ステロイド(すなわち、フルオロメトロン、プレドニゾロン、ロテプレドノール、デキサメタゾン、ジフルプレドナート、リメキソロン、フルオシノロン、メドリゾン及びトリアムシノロン)、眼科用麻酔剤(すなわち、リドカイン、プロパラカイン及びテトラカイン)、眼科用抗感染剤(すなわち、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、クロラムフェニコール、バシトラシン/ポリミキシンb、スルファセタミド、トブラマイシン、アジトロマイシン、ベシフロキサシン、ノルフロキサシン、スルフイソオキサゾール、ゲンタマイシン、イドクスウリジン、エリスロマイシン、ナタマイシン、グラミシジン、ネオマイシン、オフロキサシン、トリフルリジン、ガンシクロビル、ビダラビン)、眼科用抗炎症薬(すなわち、ネパフェナク、ケトロラク、フルルビプロフェン、スプロフェン、シクロスポリン、トリアムシノロン、ジクロフェナク及びブロムフェナク)、並びに眼科用抗ヒスタミン剤又は充血除去剤(すなわち、ケトチフェン、オロパタジン、エピナスチン、ナファゾリン、クロモリン、テトラヒドロゾリン、ペミロラスト、ベポタスチン、ナファゾリン、フェニルエフリン、ネドクロミル、ロドキサミド、フェニルエフリン、エメダスチン及びアゼラスチン)である神経薬を選択することができる。上記の製剤又は治療方法の何れかを、抗Aベータ抗体の代わりに、又はそれに加えて本発明のイムノコンジュゲートを用いて実行することができることが理解される。
【0276】
製造品
本発明の別の態様においては、上記の障害の治療、防止及び/又は診断にとって有用な材料を含有する製造品が提供される。製造品は、容器と、容器上の又は容器と関連するラベル又は添付文書とを含む。好適な容器は、例えば、ボトル、バイアル、注射筒、IV溶液バッグなどを含む。容器を、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成させることができる。容器は、それ自身で、又は状態を治療する、防止する、及び/若しくは診断するのに有効な別の組成物と混合した組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、皮下注射針により穿刺可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が選択された状態を治療するために用いられることを示す。さらに、製造品は、(a)その中に本発明の抗体を含む組成物が含有された第1の容器;及び(b)その中にさらなる細胞傷害性剤又はさもなければ治療剤を含む組成物が含有された第2の容器を含んでもよい。本発明のこの実施態様における製造品は、組成物を用いて特定の状態を治療することができることを示す添付文書をさらに含んでもよい。あるいは、又はさらに、製造品は、静菌性注射用水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液などの、薬学的に許容されるバッファーを含む第2(又は第3)の容器をさらに含んでもよい。それは、他のバッファー、希釈剤、充填剤、針、及び注射筒を含む、市販の、及びユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0277】
上記の製造品は何れも、抗Aベータ抗体の代わりに、又はそれに加えて本発明のイムノコンジュゲートを含んでもよいことが理解される。
【0278】
例示的実施態様
実例のために、例示的実施態様を本明細書に提供する。
1.早期又は軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者における機能的又は認知能力の低下を軽減する方法であって、早期又は軽度から中等度のADに罹患している患者に、患者における機能的又は認知能力の低下を減速させるのに有効な量の、アミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合するヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を投与することを含む、方法。
2.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様1に記載の方法。
3.抗体がIgG4抗体である、実施態様1に記載の方法。
4.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様2又は3に記載の方法。
5.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様4に記載の方法。
6.抗体がクレネズマブである、実施態様5に記載の方法。
7.認知能力の低下が、12項目のアルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog12)、13項目のアルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog13)、又は14項目のアルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog14)検査を用いて前記抗体の投与の前後で患者のスコアを決定することにより評価され、任意選択的に、ADAS−Cogにより測定された認知低下の軽減が、プラセボと比較して少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%である、実施態様1から6の何れか1つに記載の方法。
8.患者がApoE4陽性である、実施態様7に記載の方法。
9.患者が軽度のADに罹患している、実施態様7に記載の方法。
10.患者が早期のADに罹患している、実施態様7に記載の方法。
11.患者が、治療の開始前に少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様1から8の何れか1つに記載の方法。
12.患者が22−26のMMSEを有する、実施態様11に記載の方法。
13.抗体が10mg/kg−100mg/kg患者体重の用量で投与される、実施態様1から12の何れか1つに記載の方法。
14.抗体が少なくとも15mg/kgの用量で投与される、実施態様13に記載の方法。
15.抗体が15mg/kg、30mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、又は60mg/kgの用量で投与される、実施態様14に記載の方法。
16.抗体が静脈内注射により投与される、実施態様13又は14に記載の方法。
17.抗体が2週間毎、4週間毎、1ヶ月毎、2ヶ月毎、又は6ヶ月毎に投与される、実施態様13から16の何れか1つに記載の方法。
18.有害事象のリスクを増大させることなく早期又は軽度から中等度のADを治療する方法であって、早期又は軽度から中等度のADと診断された患者に、治療中に発生する有害事象のリスクを増大させることなくADを治療するのに有効であるアミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合するヒト化モノクローナル抗Aβ抗体の量を投与することを含み、有害事象が(i)アミロイド関連画像化異常−浮腫(ARIA−E)及び(ii)アミロイド関連画像化異常−出血(ARIA−H)から選択される、方法。
19.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様18に記載の方法。
20.抗体がIgG4抗体である、実施態様18に記載の方法。
21.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様19に記載の方法。
22.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様21に記載の方法。
23.抗体がクレネズマブである、実施態様22に記載の方法。
24.患者がApoE4陽性である、実施態様18から23の何れか1つに記載の方法。
25.有害事象がARIA−Eである、実施態様18から23の何れか1つに記載の方法。
26.治療中に発生したARIA−Eが検出される場合、抗体の投与が停止され、任意選択的に、ARIA−Eの治療が投与される、実施態様25に記載の方法。
27.ARIA−Eが解決された後、前記抗体の投与を再開することをさらに含み、投与が停止された前よりも低用量で抗体が投与される、実施態様26に記載の方法。
28.1つ又は複数の新しいARIA−Eが前記抗体を用いる治療中に患者において検出される場合、さらに多くの抗体が投与されず、任意選択的に、コルチコステロイドが患者に投与される、実施態様18に記載の方法。
29.患者がApoE4陽性である、実施態様28に記載の方法。
30.早期又は軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者における機能的又は認知能力の低下を軽減する方法であって、早期又は軽度から中等度のADに罹患しているApoE4陽性患者に、患者における機能的又は認知能力の低下を減速させるのに有効な量の、アミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合するヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を投与することを含む、方法。
31.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様30に記載の方法。
32.抗体がIgG4抗体である、実施態様30に記載の方法。
33.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様31又は32に記載の方法。
34.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様33に記載の方法。
35.抗体がクレネズマブである、実施態様34に記載の方法。
36.認知能力の低下が、ADAS−Cog12、ADAS−Cog13、又はADAS−Cog14検査を用いて前記抗体の投与の前後で患者のスコアを決定することにより評価され、任意選択的に、ADAS−Cogにより測定された認知低下の軽減が、プラセボと比較して少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%である、実施態様30から35の何れか1つに記載の方法。
37.患者が軽度のADを有する、実施態様36に記載の方法。
38.患者が早期のADを有する、実施態様36に記載の方法。
39.患者が治療の開始前に少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様30から37の何れか1つに記載の方法。
40.患者が22−26のMMSEスコアを有する、実施態様39に記載の方法。
41.抗体が10mg/kg−100mg/kg患者体重の用量で投与される、実施態様30から39の何れか1つに記載の方法。
42.抗体が少なくとも15mg/kgの用量で投与される、実施態様41に記載の方法。
43.抗体が15mg/kg、30mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、又は60mg/kgの用量で投与される、実施態様42に記載の方法。
44.抗体が静脈内注射により投与される、実施態様41又は42に記載の方法。
45.抗体が2週間毎、4週間毎、1ヶ月毎、2ヶ月毎、又は6ヶ月毎に投与される、実施態様41から44の何れか1つに記載の方法。
46.有害事象のリスクを増大させることなく早期又は軽度から中等度のADを治療する方法であって、早期又は軽度から中等度のADと診断されたApoE4陽性患者に、治療中に発生する有害事象のリスクを増大させることなくADを治療するのに有効であるアミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合するヒト化モノクローナル抗Aβ抗体の量を投与することを含み、有害事象が(i)アミロイド関連画像化異常−浮腫(ARIA−E)及び(ii)アミロイド関連画像化異常−出血(ARIA−H)から選択される、方法。
47.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様46に記載の方法。
48.抗体がIgG4抗体である、実施態様46に記載の方法。
49.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様47に記載の方法。
50.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様49に記載の方法。
51.抗体がクレネズマブである、実施態様50に記載の方法。
52.有害事象がARIA−Eである、実施態様46から51の何れか1つに記載の方法。
53.治療中に発生したARIA−Eが検出される場合、抗体の投与が停止され、任意選択的に、ARIA−Eの治療が投与される、実施態様52に記載の方法。
54.ARIA−Eが解決された後、前記抗体の投与を再開することをさらに含み、任意選択的に、投与が停止された前よりも低用量で前記抗体の投与を再開することを含む、実施態様53に記載の方法。
55.1つ又は複数の新しいARIA−Eが前記抗体を用いる治療中に患者において検出される場合、さらに多くの抗体が投与されず、任意選択的に、コルチコステロイドが患者に投与される、実施態様46に記載の方法。
56.患者が、標的に特異的に結合する治療剤;コリンエステラーゼ阻害剤;NMDA受容体アンタゴニスト;モノアミン枯渇剤;メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性抗パーキンソン病剤;ドーパミン作動性抗パーキンソン病剤;テトラベナジン;抗炎症薬;ホルモン;ビタミン;ジメボリン;ホモタウリン;セロトニン受容体活性モジュレーター;インターフェロン、及びグルココルチコイド;クレネズマブ以外の抗Aベータ抗体;抗生物質;抗ウイルス薬からなる群から選択される1つ又は複数の薬剤で同時に治療される、実施態様1から55の何れか1つに記載の方法。
57.薬剤がコリンエステラーゼ阻害剤である、実施態様56に記載の方法。
58.コリンエステラーゼ阻害剤が、ガランタミン、ドネペジル、リバスチグミン及びタクリンからなる群から選択される、実施態様57に記載の方法。
59.薬剤がNMDA受容体アンタゴニストである、実施態様56に記載の方法。
60.NMDA受容体アンタゴニストがメマンチン又はその塩である、実施態様59に記載の方法。
61.薬剤が標的に特異的に結合する治療剤であり、標的がベータセクレターゼ、タウ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質又はその部分、アミロイドベータペプチド又はそのオリゴマー若しくは線維、デスレセプター6(DR6)、糖化最終産物のための受容体(RAGE)、パーキン、及びハンチンチンからなる群から選択される、実施態様56に記載の方法。
62.薬剤がモノアミン枯渇剤、任意選択的に、テトラベナジンである、実施態様56に記載の方法。
63.薬剤が、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン及びトリヘキシフェニジルからなる群から選択される抗コリン作動性抗パーキンソン病剤である、実施態様56に記載の方法。
64.薬剤が、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルフィン、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポン及びアマンタジンからなる群から選択されるドーパミン作動性抗パーキンソン病剤である、実施態様56に記載の方法。
65.薬剤が非ステロイド性抗炎症薬及びインドメタシンからなる群から選択される抗炎症薬である、実施態様56に記載の方法。
66.薬剤がエストロゲン、プロゲステロン及びロイプロリドからなる群から選択されるホルモンである、実施態様56に記載の方法。
67.薬剤が葉酸及びニコチンアミドからなる群から選択されるビタミンである、実施態様56に記載の方法。
68.薬剤が、3−アミノプロパンスルホン酸又は3APSである、ホモタウリンである、実施態様56に記載の方法。
69.薬剤がキサリプロデンである、実施態様56に記載の方法。
70.早期又は軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者における臨床低下を減速させる方法であって、早期又は軽度から中等度のADに罹患している患者に、患者における低下を減速させるのに有効である量の、アミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合するヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を投与することを含む、方法。
71.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様70に記載の方法。
72.抗体がIgG4抗体である、実施態様70に記載の方法。
73.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様71又は72に記載の方法。
74.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様73に記載の方法。
75.抗体がクレネズマブである、実施態様74に記載の方法。
76.認知能力の低下が、12項目のアルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog12)、13項目のアルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog13)、又は14項目のアルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog14)検査を用いて前記抗体の投与の前後で患者のスコアを決定することにより評価されることをさらに含み、任意選択的に、ADAS−Cogにより測定された認知低下の軽減が、プラセボと比較して少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%である、実施態様70から75の何れか1つに記載の方法。
77.患者がApoE4陽性である、実施態様76に記載の方法。
78.患者が軽度のADに罹患している、実施態様76に記載の方法。
79.患者が早期のADに罹患している、実施態様76に記載の方法。
80.患者が治療の開始前に少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様70から78の何れか1つに記載の方法。
81.患者が22−26のMMSEスコアを有する、実施態様80に記載の方法。
82.抗体が10mg/kg−100mg/kg患者体重の用量で投与される、実施態様70から80の何れか1つに記載の方法。
83.抗体が少なくとも15mg/kgの用量で投与される、実施態様82に記載の方法。
84.抗体が15mg/kg、30mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、又は60mg/kgの用量で投与される、実施態様83に記載の方法。
85.抗体が静脈内注射により投与される、実施態様82又は83に記載の方法。
86.抗体が2週間毎、4週間毎、1ヶ月毎、2ヶ月毎、又は6ヶ月毎に投与される、実施態様82から85の何れか1つに記載の方法。
87.早期又は軽度のADに罹患している患者に、ADを治療するのに有効である量のアミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合するヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を投与することを含む、対象における早期又は軽度のADを治療する方法。
88.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様87に記載の方法。
89.抗体がIgG4抗体である、実施態様87に記載の方法。
90.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様88又は89に記載の方法。
91.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様90に記載の方法。
92.抗体がクレネズマブである、実施態様91に記載の方法。
93.量が、12項目のアルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog12)、13項目のアルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog13)、又は14項目のアルツハイマー病評価尺度−認知(ADAS−Cog14)検査を用いて前記抗体の投与の前後で患者のスコアを決定することにより評価される、認知能力の低下を軽減するのに有効であり、任意選択的に、ADAS−Cogにより測定された認知低下の軽減が、プラセボと比較して少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%である、実施態様87から92の何れか1つに記載の方法。
94.患者がApoE4陽性である、実施態様93に記載の方法。
95.患者が治療の開始前に少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様87から94の何れか1つに記載の方法。
96.患者が22−26のMMSEスコアを有する、実施態様95に記載の方法。
97.抗体が10mg/kg−100mg/kg患者体重の用量で投与される、実施態様87から95の何れか1つに記載の方法。
98.抗体が少なくとも15mg/kgの用量で投与される、実施態様97に記載の方法。
99.抗体が15mg/kg、30mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、又は60mg/kgの用量で投与される、実施態様98に記載の方法。
100.抗体が静脈内注射により投与される、実施態様97又は98に記載の方法。
101.抗体が2週間毎、4週間毎、1ヶ月毎、2ヶ月毎、又は6ヶ月毎に投与される、実施態様97から100の何れか1つに記載の方法。
102.患者が、標的に特異的に結合する治療剤;コリンエステラーゼ阻害剤;NMDA受容体アンタゴニスト;モノアミン枯渇剤;メシル酸エルゴロイド;抗コリン作動性抗パーキンソン病剤;ドーパミン作動性抗パーキンソン病剤;テトラベナジン;抗炎症薬;ホルモン;ビタミン;ジメボリン;ホモタウリン;セロトニン受容体活性モジュレーター;インターフェロン、及びグルココルチコイド;抗Aベータ抗体;抗生物質;抗ウイルス薬からなる群から選択される1つ又は複数の薬剤で同時に治療される、実施態様70から101の何れか1つに記載の方法。
103.薬剤がコリンエステラーゼ阻害剤である、実施態様102に記載の方法。
104.コリンエステラーゼ阻害剤が、ガランタミン、ドネペジル、リバスチグミン及びタクリンからなる群から選択される、実施態様103に記載の方法。
105.薬剤がNMDA受容体アンタゴニストである、実施態様102に記載の方法。
106.NMDA受容体アンタゴニストがメマンチン又はその塩である、実施態様105に記載の方法。
107.薬剤が標的に特異的に結合する治療剤であり、標的がベータセクレターゼ、タウ、プレセニリン、アミロイド前駆体タンパク質又はその部分、アミロイドベータペプチド又はそのオリゴマー若しくは線維、デスレセプター6(DR6)、糖化最終産物のための受容体(RAGE)、パーキン、及びハンチンチンからなる群から選択される、実施態様102に記載の方法。
108.薬剤がモノアミン枯渇剤、任意選択的に、テトラベナジンである、実施態様102に記載の方法。
109.薬剤が、プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、トリヘキシルフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン及びトリヘキシフェニジルからなる群から選択される抗コリン作動性抗パーキンソン病剤である、実施態様102に記載の方法。
110.薬剤が、エンタカポン、セレギリン、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ロチゴチン、セレギリン、ロピニロール、ラサギリン、アポモルフィン、カルビドパ、レボドパ、ペルゴリド、トルカポン及びアマンタジンからなる群から選択されるドーパミン作動性抗パーキンソン病剤である、実施態様102に記載の方法。
111.薬剤が非ステロイド性抗炎症薬及びインドメタシンからなる群から選択される抗炎症薬である、実施態様102に記載の方法。
112.薬剤がエストロゲン、プロゲステロン及びロイプロリドからなる群から選択されるホルモンである、実施態様102に記載の方法。
113.薬剤が葉酸及びニコチンアミドからなる群から選択されるビタミンである、実施態様102に記載の方法。
114.薬剤が、3−アミノプロパンスルホン酸又は3APSである、ホモタウリンである、実施態様102に記載の方法。
115.薬剤がキサリプロデンである、実施態様102に記載の方法。
116.薬剤がクレネズマブ以外の抗Aベータ抗体である、実施態様102に記載の方法。
117.早期又は軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)に罹患している患者におけるADを治療する方法であって、早期又は軽度から中等度のADに罹患している患者に、ADを治療するのに有効な量のヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を投与することを含み、患者が単一ヌクレオチド多型(SNP)rs1532278にTを含む少なくとも1つのCLUSTERINアレルを有する、方法。
118.CLUSTERINアレルがそれに等価なアレルである、実施態様117に記載の方法。
119.患者に由来する試料中の多型を検出することを含み、検出される多型がSNP rs1532278と連鎖不平衡にある、実施態様117に記載の方法。
120.試料が血液試料、唾液、頬スワブ、組織試料、又は体液試料である、実施態様119に記載の方法。
121.多型がポリメラーゼ連鎖反応により検出される、実施態様117から120のいずれか1つに記載の方法。
122.多型が配列決定により検出される、実施態様117から120のいずれか1つに記載の方法。
123.多型が、走査型プローブ及びナノ細孔DNA配列決定、ピロシーケンシング、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、時間温度勾配電気泳動(TTGE)、Zn(II)−サイクレンポリアクリルアミドゲル電気泳動、均一蛍光PCR系単一ヌクレオチド多型分析、リン酸−アフィニティポリアクリルアミドゲル電気泳動、ハイスループットSNP遺伝子型判定プラットフォーム、分子ビーコン、5’ヌクレアーゼ反応、Taqmanアッセイ、MassArray(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析と組み合わせた単一塩基プライマー伸長)、トリチル質量タグ、遺伝子型判定プラットフォーム(Invader Assay(登録商標)など)、単一塩基プライマー伸長(SBE)アッセイ、PCR増幅(例えば、磁気ナノ粒子(MNP)上でのPCR増幅)、PCR産物の制限酵素分析(RFLP法)、アレル特異的PCR、マルチプライマー伸長(MPEX)、及び等温スマート増幅からなる群から選択される技術によって検出される、実施態様121又は122に記載の方法。
124.多型が、少なくとも1つの多型を含有する標的領域の増幅、及びストリンジェントな条件下で少なくとも1つの多型にハイブリダイズする少なくとも1つの配列特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、及びハイブリダイゼーションの検出により検出される、実施態様117から120の何れか1つに記載の方法。
125.患者が軽度のADに罹患している、実施態様117に記載の方法。
126.患者が早期のADに罹患している、実施態様117に記載の方法。
127.患者が少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様125又は126の何れか1つに記載の方法。
128.患者が22−26のMMSEスコアを有する、実施態様127に記載の方法。
129.患者がApoE4陽性である、実施態様117から128の何れか1つに記載の方法。
130.抗アミロイドベータ抗体がアミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合する、実施態様117に記載の方法。
131.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様130に記載の方法。
132.抗体がIgG4抗体である、実施態様131に記載の方法。
133.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様131又は132に記載の方法。
134.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様133に記載の方法。
135.抗体がクレネズマブである、実施態様133に記載の方法。
136.抗アミロイドベータ抗体が、ソラネズマブ、バピネウズマブ、アデュカヌマブ及びガンテネルマブからなる群から選択される、実施態様117に記載の方法。
137.ヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を用いた治療のための早期又は軽度から中等度のADに罹患している患者を選択する方法であって、
(a)単一ヌクレオチド多型(SNP)rs1532278にTを有するCLUSTERINアレルの存在又は非存在を患者に由来する試料中で検出すること、及び
(b)単一ヌクレオチド多型(SNP)rs1532278のTが試料中に存在する場合、ヒト化モノクローナル抗Aβ抗体を用いた治療に応答する可能性がより高いとして患者を選択すること
を含む、方法。
138.CLUSTERINアレルがそれに等価なアレルである、実施態様137に記載の方法。
139.等価なアレルがSNP rs1532278と連鎖不平衡にある、実施態様138に記載の方法。
140.試料が血液試料、唾液、頬スワブ、組織試料、又は体液試料である、実施態様137又は138に記載の方法。
141.多型がポリメラーゼ連鎖反応により検出される、実施態様137から140の何れか1つに記載の方法。
142.多型が配列決定により検出される、実施態様137から140の何れか1つに記載の方法。
143.多型が、走査型プローブ及びナノ細孔DNA配列決定、ピロシーケンシング、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、時間温度勾配電気泳動(TTGE)、Zn(II)−サイクレンポリアクリルアミドゲル電気泳動、均一蛍光PCR系単一ヌクレオチド多型分析、リン酸−アフィニティポリアクリルアミドゲル電気泳動、ハイスループットSNP遺伝子型判定プラットフォーム、分子ビーコン、5’ヌクレアーゼ反応、Taqmanアッセイ、MassArray(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析と組み合わせた単一塩基プライマー伸長)、トリチル質量タグ、遺伝子型判定プラットフォーム(Invader Assay(登録商標)など)、単一塩基プライマー伸長(SBE)アッセイ、PCR増幅(例えば、磁気ナノ粒子(MNP)上でのPCR増幅)、PCR産物の制限酵素分析(RFLP法)、アレル特異的PCR、マルチプライマー伸長(MPEX)、及び等温スマート増幅からなる群から選択される技術によって検出される、実施態様141又は142に記載の方法。
144.多型が、少なくとも1つの多型を含有する標的領域の増幅、及びストリンジェントな条件下で少なくとも1つの多型にハイブリダイズする少なくとも1つの配列特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、及びハイブリダイゼーションの検出により検出される、実施態様137から140の何れか1つに記載の方法。
145.患者が軽度のADに罹患している、実施態様137に記載の方法。
146.患者が早期のADに罹患している、実施態様137に記載の方法。
147.患者が少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様138に記載の方法。
148.患者が22−26のMMSEスコアを有する、実施態様147に記載の方法。
149.患者がApoE4陽性である、実施態様137から147の何れか1つに記載の方法。
150.抗アミロイドベータ抗体がアミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合する、実施態様137に記載の方法。
151.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様150に記載の方法。
152.抗体がIgG4抗体である、実施態様151に記載の方法。
153.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様150又は151に記載の方法。
154.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様153に記載の方法。
155.抗体がクレネズマブである、実施態様153に記載の方法。
156.抗アミロイドベータ抗体が、ソラネズマブ、バピネウズマブ、アデュカヌマブ及びガンテネルマブからなる群から選択される、実施態様137に記載の方法。
157.ヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を用いた治療に応答する可能性がより高いとして早期又は軽度から中等度のADに罹患している患者を同定するための方法であって、患者に由来する試料中の、ヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(Aβ)抗体を用いた治療に対する応答を予測する多型を含むCLUSTERINアレルの存在を検出することを含む、方法。
158.多型が単一ヌクレオチド多型(SNP)rs1532278のTである、実施態様157に記載の方法。
159.CLUSTERINアレルがSNP rs1532278を含むアレルの等価なアレルである、実施態様157に記載の方法。
160.等価なアレルがSNP rs1532278と連鎖不平衡にある、実施態様159に記載の方法。
161.試料が血液試料、唾液、頬スワブ、組織試料、又は体液試料である、実施態様157又は158に記載の方法。
162.多型がポリメラーゼ連鎖反応により検出される、実施態様157から161の何れか1つに記載の方法。
163.多型が配列決定により検出される、実施態様157から161の何れか1つに記載の方法。
164.多型が、走査型プローブ及びナノ細孔DNA配列決定、ピロシーケンシング、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、時間温度勾配電気泳動(TTGE)、Zn(II)−サイクレンポリアクリルアミドゲル電気泳動、均一蛍光PCR系単一ヌクレオチド多型分析、リン酸−アフィニティポリアクリルアミドゲル電気泳動、ハイスループットSNP遺伝子型判定プラットフォーム、分子ビーコン、5’ヌクレアーゼ反応、Taqmanアッセイ、MassArray(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析と組み合わせた単一塩基プライマー伸長)、トリチル質量タグ、遺伝子型判定プラットフォーム(Invader Assay(登録商標)など)、単一塩基プライマー伸長(SBE)アッセイ、PCR増幅(例えば、磁気ナノ粒子(MNP)上でのPCR増幅)、PCR産物の制限酵素分析(RFLP法)、アレル特異的PCR、マルチプライマー伸長(MPEX)、及び等温スマート増幅からなる群から選択される技術によって検出される、実施態様162又は163に記載の方法。
165.多型が、少なくとも1つの多型を含有する標的領域の増幅、及びストリンジェントな条件下で少なくとも1つの多型にハイブリダイズする少なくとも1つの配列特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、及びハイブリダイゼーションの検出により検出される、実施態様157から161の何れか1つに記載の方法。
166.患者が軽度のADに罹患している、実施態様157に記載の方法。
167.患者が早期のADに罹患している、実施態様157に記載の方法。
168.患者が少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様166に記載の方法。
169.患者が22−26のMMSEスコアを有する、実施態様168に記載の方法。
170.患者がApoE4陽性である、実施態様157から168の何れか1つに記載の方法。
171.抗アミロイドベータ抗体がアミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合する、実施態様157に記載の方法。
172.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様171に記載の方法。
173.抗体がIgG4抗体である、実施態様172に記載の方法。
174.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様172又は173に記載の方法。
175.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様174に記載の方法。
176.抗体がクレネズマブである、実施態様175に記載の方法。
177.抗アミロイドベータ抗体が、ソラネズマブ、バピネウズマブ、アデュカヌマブ及びガンテネルマブからなる群から選択される、実施態様157に記載の方法。
178.ADに罹患している個体が、抗Aベータ抗体、又はその抗原結合断片を含む治療に応答する可能性があるかどうかを予測する方法であって、
(a)個体に由来する試料中のSNP rs1532278のヌクレオチドの同一性を決定すること、及び
(b)試料がSNP rs1532278にTヌクレオチドを有する少なくとも1つのアレルを含有する場合、抗Aベータ抗体、又はその抗原結合断片を含む治療に応答する増大した可能性を予測すること
を含む、方法。
179.患者が軽度のADに罹患している、実施態様178に記載の方法。
180.患者が早期のADに罹患している、実施態様178に記載の方法。
181.患者が20−26、21−26、22−26、23−26、24−26、又は25−26の範囲のMMSEを有する、実施態様178に記載の方法。
182.患者がApoE4陽性である、実施態様178から181の何れか1つに記載の方法。
183.抗アミロイドベータ抗体がアミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合する、実施態様178に記載の方法。
184.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様183に記載の方法。
185.抗体がIgG4抗体である、実施態様184に記載の方法。
186.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様184又は185に記載の方法。
187.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様186に記載の方法。
188.抗体がクレネズマブである、実施態様187に記載の方法。
189.抗アミロイドベータ抗体が、ソラネズマブ、バピネウズマブ、アデュカヌマブ及びガンテネルマブからなる群から選択される、実施態様178に記載の方法。
190.ADの治療に関する治療有効性を最適化する方法であって、患者の遺伝子型を決定することを含み、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有する少なくとも1つのCLUSTERINアレルを担持すると決定された患者が、抗Aベータ抗体、又はその抗原結合断片を用いた治療に応答する可能性がより高い、方法。
191.患者が早期又は軽度のADに罹患している、実施態様190に記載の方法。
192.患者が少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様190に記載の方法。
193.患者が22−26のMMSEスコアを有する、実施態様192に記載の方法。
194.患者がApoE4陽性である、実施態様190から192の何れか1つに記載の方法。
195.抗アミロイドベータ抗体がアミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合する、実施態様190に記載の方法。
196.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様195に記載の方法。
197.抗体がIgG4抗体である、実施態様196に記載の方法。
198.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様196又は197に記載の方法。
199.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様198に記載の方法。
200.抗体がクレネズマブである、実施態様199に記載の方法。
201.抗アミロイドベータ抗体が、ソラネズマブ、バピネウズマブ、アデュカヌマブ及びガンテネルマブからなる群から選択される、実施態様190に記載の方法。
202.ADに罹患している患者が抗Aベータ抗体、又はその抗原結合断片を含む治療から利益を得る可能性を決定するための方法であって、患者の遺伝子型を決定することを含み、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有する少なくとも1つのCLUSTERINアレルを有する患者が、SNP rs1532278にTヌクレオチドを有するアレルを有さない患者よりも、抗Aベータ抗体を用いた治療に応答する可能性がより高い、方法。
203.患者が早期又は軽度のADに罹患している、実施態様202に記載の方法。
204.患者が少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様202に記載の方法。
205.患者がApoE4陽性である、実施態様202から204の何れか1つに記載の方法。
206.抗アミロイドベータ抗体がアミロイドβ(1−42)(配列番号1)の残基13−24内に結合する、実施態様202に記載の方法。
207.抗体がアミロイドβのオリゴマー及びモノマー形態に結合することができる、実施態様206に記載の方法。
208.抗体がIgG4抗体である、実施態様207に記載の方法。
209.抗体が6つの超可変領域(HVR)を含み、
(i)HVR−H1が配列番号2であり;
(ii)HVR−H2が配列番号3であり;
(iii)HVR−H3が配列番号4であり;
(iv)HVR−L1が配列番号6であり;
(v)HVR−L2が配列番号7であり;
(vi)HVR−L3が配列番号8である、実施態様207又は208に記載の方法。
210.抗体が配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、実施態様209に記載の方法。
211.抗体がクレネズマブである、実施態様210に記載の方法。
212.抗アミロイドベータ抗体が、ソラネズマブ、バピネウズマブ、アデュカヌマブ及びガンテネルマブからなる群から選択される、実施態様202に記載の方法。
213.CLUSTERINアレルがSNP rs1532278を含むアレルの等価なアレルである、実施態様190から212の何れか1つに記載の方法。
214.等価なアレルがSNP rs1532278と連鎖不平衡にある、実施態様213に記載の方法。
215.試料が血液試料、唾液、頬スワブ、組織試料、又は体液試料である、実施態様213又は214に記載の方法。
216.多型がポリメラーゼ連鎖反応により検出される、実施態様213から215の何れか1つに記載の方法。
217.多型が配列決定により検出される、実施態様213から215の何れか1つに記載の方法。
218.多型が、走査型プローブ及びナノ細孔DNA配列決定、ピロシーケンシング、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、時間温度勾配電気泳動(TTGE)、Zn(II)−サイクレンポリアクリルアミドゲル電気泳動、均一蛍光PCR系単一ヌクレオチド多型分析、リン酸−アフィニティポリアクリルアミドゲル電気泳動、ハイスループットSNP遺伝子型判定プラットフォーム、分子ビーコン、5’ヌクレアーゼ反応、Taqmanアッセイ、MassArray(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析と組み合わせた単一塩基プライマー伸長)、トリチル質量タグ、遺伝子型判定プラットフォーム(Invader Assay(登録商標)など)、単一塩基プライマー伸長(SBE)アッセイ、PCR増幅(例えば、磁気ナノ粒子(MNP)上でのPCR増幅)、PCR産物の制限酵素分析(RFLP法)、アレル特異的PCR、マルチプライマー伸長(MPEX)、及び等温スマート増幅からなる群から選択される技術によって検出される、実施態様216又は217に記載の方法。
219.多型が、少なくとも1つの多型を含有する標的領域の増幅、及びストリンジェントな条件下で少なくとも1つの多型にハイブリダイズする少なくとも1つの配列特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、及びハイブリダイゼーションの検出により検出される、実施態様213から215の何れか1つに記載の方法。
220.生物学的試料中の少なくとも1つの多型の存在を決定するためのキットであって、CLUSTERIN中に少なくとも1つの多型の存在を検出するための試薬及び指示書を含み、多型がSNP rs1532278を含むアレル又は等価なアレルである、キット。
221.キットがSNP rs1532278でのTの存在を検出するために用いられる、実施態様220に記載のキット。
222.試薬がCLUSTERIN中の多型を検出するのに特異的なオリゴヌクレオチドのセットを含む、実施態様220に記載のキット。
223.抗Aベータ抗体を用いた療法から利益を得る可能性がある患者を選択するための診断剤の製造のための、CLUSTERIN中の多型に特異的に結合する薬剤の使用であって、多型がSNP rs1532278にTを含むアレルである、使用。
224.少なくとも1つの多型が、走査型プローブ及びナノ細孔DNA配列決定、ピロシーケンシング、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、時間温度勾配電気泳動(TTGE)、Zn(II)−サイクレンポリアクリルアミドゲル電気泳動、均一蛍光PCR系単一ヌクレオチド多型分析、リン酸−アフィニティポリアクリルアミドゲル電気泳動、ハイスループットSNP遺伝子型判定プラットフォーム、分子ビーコン、5’ヌクレアーゼ反応、Taqmanアッセイ、MassArray(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析と組み合わせた単一塩基プライマー伸長)、トリチル質量タグ、遺伝子型判定プラットフォーム(Invader Assay(登録商標)など)、単一塩基プライマー伸長(SBE)アッセイ、PCR増幅(例えば、磁気ナノ粒子(MNP)上でのPCR増幅)、PCR産物の制限酵素分析(RFLP法)、アレル特異的PCR、マルチプライマー伸長(MPEX)、及び等温スマート増幅からなる群から選択される技術によって検出される、実施態様223に記載の使用。
225.少なくとも1つの多型が、少なくとも1つの多型を含有する標的領域の増幅、及びストリンジェントな条件下で少なくとも1つの多型にハイブリダイズする少なくとも1つの配列特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、及びハイブリダイゼーションの検出により検出される、実施態様223に記載の使用。
226.SNP rs1532278でのTの存在が、抗Aベータ抗体を用いた療法からの、早期又は軽度のADに罹患している患者に対する利益の可能性の増大を示す、実施態様223に記載の使用。
227.多型が、抗Aベータ抗体、又はその抗原結合断片を含む療法に応答する可能性がある早期又は軽度から中等度のADを有する患者を同定するためのCLUSTERINアレルである少なくとも1つの多型に結合する薬剤のインビトロでの使用であって、前記多型の存在が、患者が療法に応答する可能性がより高いと同定する、使用。
228.CLUSTERINアレルが、SNP rs1532278を含むアレル又はそれに等価なアレルである、実施態様227に記載の使用。
229.患者が軽度のADを有する、実施態様228に記載の方法。
230.患者が早期のADを有する、実施態様228に記載の方法。
231.患者が少なくとも20、20−30、20−26、24−30、21−26、22−26、22−28、23−26、24−26、又は25−26のMMSEスコアを有する、実施態様228に記載の方法。
232.少なくとも1つの多型が、走査型プローブ及びナノ細孔DNA配列決定、ピロシーケンシング、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、時間温度勾配電気泳動(TTGE)、Zn(II)−サイクレンポリアクリルアミドゲル電気泳動、均一蛍光PCR系単一ヌクレオチド多型分析、リン酸−アフィニティポリアクリルアミドゲル電気泳動、ハイスループットSNP遺伝子型判定プラットフォーム、分子ビーコン、5’ヌクレアーゼ反応、Taqmanアッセイ、MassArray(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析と組み合わせた単一塩基プライマー伸長)、トリチル質量タグ、遺伝子型判定プラットフォーム(Invader Assay(登録商標)など)、単一塩基プライマー伸長(SBE)アッセイ、PCR増幅(例えば、磁気ナノ粒子(MNP)上でのPCR増幅)、PCR産物の制限酵素分析(RFLP法)、アレル特異的PCR、マルチプライマー伸長(MPEX)、及び等温スマート増幅からなる群から選択される技術によって検出される、実施態様228に記載の使用。
233.少なくとも1つの多型が、少なくとも1つの多型を含有する標的領域の増幅、及びストリンジェントな条件下で少なくとも1つの多型にハイブリダイズする少なくとも1つの配列特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、及びハイブリダイゼーションの検出により検出される、実施態様228に記載の使用。
【実施例】
【0279】
実施例1−軽度から中等度のアルツハイマー病の治療における、ヒト化抗Aβモノクローナル抗体、クレネズマブの臨床試験
試験設計及び対象
軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者におけるヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(「Aβ」)抗体クレネズマブの影響を評価するために、プラセボコントロールを用いて、無作為化、二重盲検第II相治験を行った。試験に含まれた患者は、スクリーニングの時点で、50−80歳の年齢であり、18−26点のミニメンタルステート検査(MMSE)スコア、6未満の老年期鬱病評価尺度(GDS−15)、6年の教育の完了(又は精神遅滞若しくは他の広汎性発達障害の排除と一致する良好な職歴)を含むNINCDS−ADRDA基準によるADの可能性の診断を有していた。さらに、同時的AD治療(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤又はメマンチンなど)を受けている患者について、患者は少なくとも3ヶ月間にわたって、及び無作為化の前に少なくとも2ヶ月間にわたって安定な用量でその薬剤で治療されていたことが確認された。登録された患者の少なくとも50%は、ApoE4陽性(少なくとも1つのApoE4アレルを担持する)であった。投与される用量が無作為化の前に少なくとも1ヶ月間にわたって一定であり、試験期間にわたって同じままであるという条件で、非抗コリン作動性抗鬱薬、非定型向精神病薬、非ベンゾジアゼピン系抗不安薬、催眠薬、中枢作用性抗コリン作動性抗ヒスタミン薬、及び中枢作用性抗コリン作動性抗けいれん薬などの、1つ若しくは複数の非除外処方薬又は一般用薬剤を同時に受けている患者も登録を可能にした。
【0280】
個体が、調査者又は支援者の意見で、試験評価を完了する患者の能力に干渉するか、又は施設介護若しくは入院介護の等価物を必要とする重篤な、若しくは不安定な病状に罹患する;脳に潜在的に影響する臨床的に明らかな血管疾患の履歴又は存在がある;重篤な、臨床的に意義のある中枢神経系外傷(永続的な神経学的欠損若しくは構造的な脳の損傷など)の履歴がある;彼らがスクリーニングの前に4週間入院している;彼らがクレネズマブ若しくはAβを標的化する任意の他の薬剤で以前に治療されている;又は彼らが生物学的療法における治療剤の5半減期より長く、若しくはスクリーニングの3ヶ月間前以内に任意の生物学的療法(常套的ワクチン接種以外)を用いた治療を受けている場合、彼らを治験から除外した。
【0281】
試験は、3つの期間−最大35日続くスクリーニング期間、68週間続く治療期間(本明細書では第1週、第2週などと言い、第69週まで)、及びさらに16週間続く安全性追跡期間(本明細書では第70週などと言い、第85週まで)を有していた。治療(又はプラセボ)を、静脈内注入により投与した。
【0282】
患者を治験に登録し、治療群(すなわち、クレネズマブ)とプラセボ群の2群のうちの1つに2:1(治療群:プラセボ群)無作為化で無作為化する。18−26(軽度から中等度のADと分類される)のMMSEスコアを有する249人の患者を、治験に登録し、その165人は治療を受け、84人はプラセボを受けた。治療群の121人及びプラセボ群の61人は、20−26(軽度のADと分類される)のMMSEスコアを有していた。治療群内の117人(又は70.9%)がApoE4陽性であった。プラセボ群においては、60人の患者(又は71.4%)がApoE4陽性であった。
図4A−B(患者の素因を一覧化する)を参照されたい。
【0283】
43日の安全性導入評価を実施して、15mg/kg静脈内用量と10mg/kg静脈内用量との安全性及び忍容性を決定し、15mg/kgの用量を選択した。治験の両群の患者は、68週間にわたって4週間毎に盲検化された静脈内注射を受けた;安全性導入の結果に基づいて、治療群の患者は15mg/kgを受けるが、プラセボ群の患者はプラセボの静脈内注射を受けた。
図5(プロトコールの略図)を参照されたい。
【0284】
患者を、(a)疾患進行の阻害を評価するための、治験の開始時でのベースラインスコアからの、第25週、第49週、及び第73週でのADAS−Cog12及びCDR−SOBスコアの変化並びに(b)プラセボと比較したクレネズマブの安全性及び忍容性について、72週間後に評価した。任意の測定された変化の統計的有意性を評価するために、共分散分析、信頼区間、及びベースラインからの平均変化の差異の最小二乗推定値を算出した。
【0285】
クレネズマブの安全性位及び忍容性を、治験を通じて治療中に発生する有害事象、特に、症候性又は無症候性ARIA−E(血管原性脳浮腫を含む)、症候性又は無症候性ARIA−H(脳の微小出血を含む)、及び脳の大出血の発生の頻度及び重症度を測定することにより評価した。スクリーニング期間(投薬の開始前)中、又は治療期間(プラセボ若しくはクレネズマブの投薬の開始後)中の血管原性脳浮腫事例の存在及び/又は数を、流体減衰反転回復核磁気共鳴画像化(FLAIR MRI)により評価した。例えば、Sperlingら、2011,Alzheimer’s&Dementia 7:367−385を参照されたい。スクリーニング期間(投薬の開始前)中、又は治療期間(プラセボ若しくはクレネズマブの投薬の開始後)中の脳の微小出血の存在及び/又は数を、さらなる不均一離調勾配リコールエコー磁気共鳴画像化を用いた横磁化緩和時間(T2
*−加重GRE MRI)により評価した。
【0286】
結果
73週でのADAS−Cog12測定は、クレネズマブを受けた患者がプラセボを受けた患者よりも小さい疾患進行を示したことを示している。
図6A−Bに示される表及び
図7−8に示されるチャートにまとめられるように、ADAS−Cog12スコアの変化は、軽度のADを有する患者について、プラセボ群よりも治療群において約24%(p=0.12)低く、軽度から中等度のADを有する患者については、プラセボ群よりも治療群において約16%(p=0.19)低かった。この効果はまた、治療群とプラセボ群とにおいてApoE4陽性患者間でも見られた:プラセボを受けている患者と比較して、クレネズマブを受けている患者において、ADAS−Cog12スコアの24.4%(p=0.08、多重性調整されていない)少ない増加(ADAS−Cog12スコアの増加は疾患進行を示す)があった。
図6A及び
図9を参照されたい。ApoE4陽性患者は、軽度のADと中等度のADの療法を有する患者を含んでいた。軽度及びApoE4陽性患者の両方に関する結果をプールした場合、その効果はさらにより顕著であった:プラセボ群と比較して治療群において、32.4%(p=0.05、多重性調整されていない)の減少が見られた。
図6A及び
図10を参照されたい。治療効果は、登録時のMMSEスコアの増加と共に増加した。
図6Bに示されるように、MMSEスコアが高いほど、治療群とプラセボ群におけるADAS−Cog12の減少率が高く、18−26のMMSEを有する患者についての約16%から、25−26のMMSEを有する患者における49%の減少までの範囲である。
図11も参照されたい。22−26のMMSEスコアを有する患者については、プラセボ群と比較した治療群におけるADAS−Cog12の減少率は、約35%であった。
【0287】
CDR−SOBにおける変化は、治療効果において同様の傾向を示した。
図12Aに示されるように、CDR−SOBスコアの変化における19%の減少が、22−26のMMSEを有する患者について治療群とプラセボ群において見られ、この効果は、25−26のMMSEスコアを有する患者においてさらにより顕著であり、減少率は約63%であった(
図13も参照されたい)。
図12Bは、22−26のMMSEを有する患者について、記憶又は判断及び問題解決成分スコアを見た場合、減少率はそれぞれ約42%及び30%であったことを示す。
【0288】
試験は、クレネズマブが15mg/kgで投薬した場合、ARIA型事象の発生を増加させないことをさらに示した。単一の、無症候性ARIA−E事象が、クレネズマブを受けている患者において、試験において観察された。ARIA−H発生の数は、治療群とプラセボ群の間で平衡していた。
【0289】
これらのデータは、クレネズマブが、軽度から中等度のADに罹患している患者、特に、軽度のADを有する患者及び/又はApoE4陽性である患者において15mg/kgの用量で投与した場合、ARIA−E又はARIA−Hなどの治療中に発生する有害事象の発生を増加させることなく疾患進行を阻害することを示している。
【0290】
実施例2−軽度から中等度のアルツハイマー病の治療における、及びアミロイド量への影響を評価するための、ヒト化抗Aβモノクローナル抗体クレネズマブの臨床試験
試験設計及び対象
軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者におけるヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(「Aβ」)抗体クレネズマブの影響を評価するために、プラセボコントロールを用いて、無作為化、二重盲検第II相治験を行った。試験に含まれた患者は、スクリーニングの時点で、50−80歳の年齢であり、18−26点のミニメンタルステート検査(MMSE)スコア、6未満の老年期鬱病評価尺度(GDS−15)、6年の教育の完了(又は精神遅滞若しくは他の広汎性発達障害の排除と一致する良好な職歴)を含むNINCDS−ADRDA基準によるADの可能性の診断を有していた。フロルベタピル−PETスキャンにより評価された場合にADと診断された患者について予想された範囲の脳アミロイド量の増加を示す、スクリーニング時に陽性のフロルベタピルPET(「アミロイド陽性」)スキャンを示す患者のみを登録した。さらに、少なくとも50%の登録患者がApoE4陽性であった。
【0291】
患者を治験に登録し、治療群(すなわち、クレネズマブ)とプラセボ群の2群のうちの1つに2:1(治療群:プラセボ群)無作為化で無作為化した。治験の両群にわたる52人の患者が、73週にわたって4週間毎に盲検化された静脈内注射を受けた。治療群においては、患者は、15mg/kg用量のクレネズマブを受けた。患者を、ApoE4状態(キャリア対非キャリア)及びMMSEスコアに従って階層化した。
【0292】
ADAS−Cog12、フロルベタピル−PETを用いて測定されたアミロイド負荷、及び脳脊髄液(CSF)中のAベータレベルの変化について、データを収集した。フロルベタピルPETスキャンを、フロルベタピル10mCi、50分の取込み期間及び30分の放出スキャンを用いてスクリーニング時、12ヶ月、及び18ヶ月の訪問時に獲得した。6×5分フレーム(又は動的能力を有さないスキャナー上では1×15分フレーム)からの画像を、いくつかの目的領域(ROI)から平均シグナルを抽出するために鋳型を用いる標準空間に対して正規化した。ベースラインT1加重MRIスキャンを用いて、鋳型ROIの体積を精緻化した。参照領域として小脳皮質又は皮質下白質を用いて分析を行った。CSFをスクリーニング時及び18ヶ月での投薬の前に収集した。CSFのAベータ、タウ及びp−タウ(181)を測定した。ANCOVA又は反復測定のための混合モデルを、試験終点での治療差の統計分析のために用いた。
【0293】
患者の特性、有害事象、並びにPETスキャン、MRIスキャン、及びCSFサンプリングのタイミングを、
図14A−Bに示す。
【0294】
結果。治療期間の終わりでのADAS−Cog12測定値は、クレネズマブを受けた患者がプラセボを受けた患者よりも小さい疾患進行を示したことを示している。20−26の初期MMSEスコアを有する患者において、認知低下の54.3%の軽減が観察された(p=0.2)。疾患進行のこの観察された減速と一致して、アミロイド沈着物の蓄積の減少も、クレネズマブで治療した患者とプラセボを受けている患者とにおけるPET分析(皮質下白質参照領域に関する)により観察された。
図15Aを参照されたい。さらに、Aベータの脳脊髄液濃度の増加が治療群において検出され、これはクレネズマブによる標的の連動と一致していた。
図15Bを参照されたい。Aベータの脳脊髄液濃度中での同様の増加は、2週間毎のクレネズマブの300mg皮下投与により治療された患者と、プラセボを受けている患者とにおいて検出された。
【0295】
これらのデータは、クレネズマブがその標的であるアミロイドベータと系合し、軽度から中等度のADに罹患している患者、特に、ADと診断された患者において見られるものに典型的である脳アミロイド負荷を有する患者におけるものを含む、軽度のADを有する患者において15mg/kgの用量で投与した場合、疾患進行を阻害することを示している。
【0296】
実施例3−軽度から中等度のアルツハイマー病の治療における治療応答と関連する、ヒト化抗Aβモノクローナル抗体クレネズマブの臨床試験における単一ヌクレオチド多型の試験
試験設計及び対象
軽度から中等度のアルツハイマー病(AD)と診断された患者におけるヒト化モノクローナル抗アミロイドベータ(「Aβ」)抗体クレネズマブの影響を評価するために、プラセボコントロールを用いて、無作為化、二重盲検第II相治験を行った。試験に含まれた患者は、スクリーニングの時点で、50−80歳の年齢であり、18−26点のミニメンタルステート検査(MMSE)スコア、6未満の老年期鬱病評価尺度(GDS−15)、6年の教育の完了(又は精神遅滞若しくは他の広汎性発達障害の排除と一致する良好な職歴)を含むNINCDS−ADRDA基準によるADの可能性の診断を有していた。さらに、同時的AD治療(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤又はメマンチンなど)を受けている患者について、患者は少なくとも3ヶ月間にわたって、及び無作為化の前に少なくとも2ヶ月間にわたって安定な用量でその薬剤で治療されていたことが確認された。登録された患者の少なくとも50%は、ApoE4陽性(少なくとも1つのApoE4アレルを担持する)であった。投与される用量が無作為化の前に少なくとも1ヶ月間にわたって一定であり、試験期間にわたって同じままであるという条件で、非抗コリン作動性抗鬱薬、非定型向精神病薬、非ベンゾジアゼピン系抗不安薬、催眠薬、中枢作用性抗コリン作動性抗ヒスタミン薬、及び中枢作用性抗コリン作動性抗けいれん薬などの、1つ若しくは複数の非除外処方薬又は一般用薬剤を同時に受けている患者も登録を可能にした。
【0297】
試験は、3つの期間−最大35日続くスクリーニング期間、68週間続く治療期間(本明細書では第1週、第2週などと言い、第69週まで)、及びさらに16週間続く安全性追跡期間(本明細書では第70週などと言い、第85週まで)を有していた。治療(又はプラセボ)を、静脈内注入により投与した。
【0298】
患者を治験に登録し、治療群(すなわち、クレネズマブ)とプラセボ群の2群のうちの1つに2:1(治療群:プラセボ群)無作為化で無作為化した。18−26(軽度から中等度のADと分類される)のMMSEスコアを有する249人の患者を、治験に登録し、その165人は治療を受け、84人はプラセボを受けた。治療群の121人及びプラセボ群の61人は、20−26(軽度のADと分類される)のMMSEスコアを有していた。治療群内の117人(又は70.9%)がApoE4陽性であった。プラセボ群においては、60人の患者(又は71.4%)がApoE4陽性であった。
図4A−B(患者の素因を一覧化する)を参照されたい。
【0299】
治験の両群の患者は、68週間にわたって4週間毎に盲検化された静脈内注射を受けた;治療群の患者は15mg/kgを受けたが、プラセボ群の患者はプラセボの静脈内注射を受けた。
【0300】
患者を、(a)プラセボと比較した、疾患進行の阻害を評価するための、治験の開始時でのベースラインスコアからの、第25週、第49週、及び第73週でのADAS−Cog12スコアの変化について、72週間後に評価した。任意の測定された変化の統計的有意性を評価するために、共分散分析、信頼区間、及びベースラインからの平均変化の差異の最小二乗推定値を算出した。
【0301】
ベースライン及び第73週で適格なADAS−Cog12尺度を示す治験に登録した224人の個体のうち、156人の個体が遺伝子関連試験に関するインフォームドコンセントを提供した。55人の個体がプラセボ群にあり、101人が治療群にあった。DNA試料をこれらの個体から収集し、遺伝子型判定及び品質コントロール試験にかけた。遺伝子型判定を、標準的なプロトコールに従ってIllumina HumanOmni 2.5−8 BeadChip(http://support.illumina.com/array/array_kits/humanomni2_5-8_beadchip_kit.ilmn)を用いて実施した。
【0302】
遺伝子型データを分析して、以下のように遺伝子型判定のエラー及び品質についてコントロールした。50%以上の遺伝子型判定率を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を、さらなる分析のために保持した。以下に記載のアッセイ品質コントロール標準を満たさなかったSNPは、SNP結果と共に試験集団の25%−75%を示さなかったサブグループであったため、考慮から除外した。品質コントロールのために、10%を超える全体欠測データを示す試料を除外した。5%を超える欠測データを示す個々の変異体を、さらなる分析から除外した。残りの変異体を、Turnerら、2011,Curr Protoc Hum Genet Chapter 1:Unit1.19に記載のように、隠れた関係性(IBD評価による)(Laurieら、2010, Genet Epidemiology 34(6):591-602)及び試料コンタミネーション(変異体の代表的なサブセットにおける過剰なヘテロ接合性試験による)について試験した。
【0303】
21の予め特定された遺伝子変異体の探索的分析を実施して、抗アミロイドベータ(「Aβ」)抗体療法と関連する潜在的に増強された治療利益の証拠が存在するかどうかを決定した。変異体を、ADゲノムワイドスクリーニング(Lambertら、2013を参照されたい)に報告されたか又は複数の疾患と関連する候補遺伝子座から選択した。変異体がIllumina HumanOmni 2.5−8 BeadChip上でタイピングされなかった場合、500kb以内の距離にある高度に相関した変異体を発見することにより、プロキシ変異体を同定した(r2を用いて算出されたペア毎の連鎖不平衡)。予め特定された21の変異体に対して0.80以上のr2を有するプロキシ変異体を算出するために用いられる参照データは、1000のGenomes Pilot 1、HapMap3(リリース2)を含んでいた。目的の2つの予め特定された変異体は、r2基準を満たすプロキシを有さず、さらなる分析から脱落させた。19の予め特定された、又はプロキシ変異体を、関連分析のために保持した。
【0304】
選択された変異体と治療利益との関係の存在を試験するために、治療群とプラセボ群における第73週でのADAS−Cog12の平均変化を、遺伝的形質の2つの遺伝子モデルを用いて評価した。第1のモデルにおいては、線形回帰モデル(Lynchら、Genetics and Analysis of Quantitative Traits (Sunderland, MA, Sinauer, 1998に記載された))を用いた、経時的なADAS−Cog12平均変化は、治療群におけるリスクアレルホモ接合性及びヘテロ接合性キャリアからなる群とプラセボ群の全ての個体との間で対照的であった。第2のモデルにおいては、同じ線形回帰モデルを用いた、経時的なADAS−Cog12平均変化は、治療群における保護的アレルホモ接合性及びヘテロ接合性キャリアからなる群と、プラセボ群における全ての個体との間で対照的であった。両遺伝子モデルについて、経時的なADAS−Cog12変化を、予測変数として目的の転帰及び群状態として指定した。予測変数としての群状態の有意性を、t統計値及び両側p値を用いて評価した。
【0305】
混合モデル反復測定(MMRM)分析を、保護アレルキャリア集団並びに非キャリア集団上でSAS(商標)バージョン9.2を用いて実施して、ADAS−Cog12について時系列データを分析した。モデルは、非構造化分散−共分散マトリックスを用いた、転帰尺度、MMSE階層(22未満対22を超える)、ApoE4状態、ApoE4状態相互作用によるMMSE階層、訪問、治療及び治療相互作用による訪問のベースライン値に関する固定効果を有していた。
【0306】
結果。ADを発症するリスクと以前に関連付けられた合計19の変異体を、クレネズマブ治療への応答に対する予測効果について試験した。リスクアレル又は保護アレルの何れかと、治療群とプラセボ群との間の第73週でのADAS−Cog12における推定治療デルタに基づく治療効果との関連について、0.06以下のp値を有するいくつかのSNPが同定された。同定されたSNPの1つは、CLUSTERIN(CLU、ApoJとしても知られる)遺伝子に由来するrs1532278であったが、保護的アレルTの保持者は潜在的に増強された治療効果を有していた。MMRM分析に基づいて、第73週でのADAS−Cog12における推定治療デルタは、SNP陽性集団(少なくとも1つの保護的アレルを有する個体)においては3.45であったのに対して、SNP陰性集団(保護的アレルを有さない個体)においては−0.78であった。これらのものは、SNP陽性患者に関する35.9%とSNP陰性患者に関する−7.4%のプラセボ群と比較したクレネズマブ群における減少率である。
図16A−Bを参照されたい。ApoE4陽性集団(
図17A−B)及び軽度(MMSE20−26)の集団(
図18A−B)内のCLUSTERIN SNPのさらなる分析は、類似する結果を示した。
【0307】
前記発明を明確な理解のために実例及び実施例によりいくらか詳細に説明してきたが、説明及び実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に引用される全ての特許出願及び特許公報及び科学的文献の開示は、あらゆる目的のためにその全体が出典明示により援用される。
【0308】