【文献】
SCHLEY P,FRIELING H,Bestimmung der Methanzahl aus Gasbeschaffenheitskenngroessen,GWF Gas Erdgas,2000年,Vol.141,No.1,p.28-33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定対象ガスの基礎熱量は、当該測定対象ガスの屈折率から得られる屈折率換算熱量と、当該測定対象ガスの音速から得られる音速換算熱量とに基づいて得られるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のメタン価算出方法。
前記熱量測定機構が、測定対象ガスの屈折率の値から屈折率換算熱量を求める屈折率換算熱量測定手段と、当該測定対象ガスの音速の値から音速換算熱量を求める音速換算熱量測定手段と、当該測定対象ガスの基礎熱量を屈折率換算熱量と音速換算熱量とに基づいて算出する熱量算出手段とを備えることを特徴とする請求項12乃至請求項19のいずれか一項に記載のメタン価測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
而して、例えばLNGを気化させて得られたガス(以下、「LNG気化ガス」という。)には、通常、不燃ガス成分も含まれており、当該不燃ガス成分による発熱量に対する影響の程度に法則性がないことから、LNG気化ガスの発熱量(真の熱量)とメタン価の値との間には、特定の相関関係は成立しない。
然るに、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、燃料ガスとして利用される天然ガスの基礎熱量の値と、上記の各基準により算出されるメタン価の値との間に特定の相関関係が成立し、測定対象ガスである天然ガスの基礎熱量を測定することにより、各々の基準に対応するメタン価の近似解を得ることができることを見出した。ここに、「基礎熱量」とは、天然ガスから不燃ガス成分を除いたときの燃焼性ガス成分の燃焼熱量をいう。例えばLNG気化ガスの場合には、不燃ガス成分をN
2 だけと見なすことができるため、LNG気化ガスの基礎熱量は、LNG気化ガスからN
2 を除いた場合の燃焼熱量をいう。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、測定対象ガスである天然ガスについて、一応の信頼性を有するメタン価をガス組成に拘わらず容易に得ることのできるメタン価算出方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、測定対象ガスである天然ガスについて、一応の信頼性を有するメタン価をガス組成に拘わらず容易に得ることができ、燃料ガスとして利用される天然ガスの燃料性状の監視を行うことのできるメタン価測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のメタン価算出方法は、各々天然ガスよりなる互いにメタン価の値が異なる複数種の基準ガスについてのメタン価と
、天然ガスから不燃ガス成分を除いたときの燃焼性ガス成分の燃焼熱量である基礎熱量との特定の関係式を予め取得しておき、
測定対象ガスである天然ガスの基礎熱量を測定し、
測定された当該測定対象ガスの基礎熱量の値と、前記特定の関係式とから当該測定対象ガスのメタン価を算出することを特徴とする。
【0010】
本発明のメタン価算出方法においては、前記特定の関係式が下記式(1)で表されるものであることが好ましい。
【0011】
【数1】
但し、式(1)において、MNはメタン価、f
(Q´
) は、測定対象ガスの基礎熱量Q´〔MJ/m
3 〕の値に応じて選択される下記式(a)〜下記式(d)で表されるいずれかの関数であり、Aは−2.0〜2.0の範囲から選択される値である。
【0012】
【数2】
【0013】
また、本発明のメタン価算出方法においては、カリフォルニア州大気資源評議会で規定された特定の演算式により算出されるメタン価の近似値を取得するに際しては、前記特定の関係式として下記式(2)で表されるものが用いられる。また、ISO/TR 22302 3.1.1に準拠した方法により算出されるメタン価の近似値を取得するに際しては、前記特定の関係式として下記式(3)で表されるものが用いられる。さらにまた、ISO/TR 22302 3.1.2に準拠した方法により算出されるメタン価の近似値を取得するに際しては、前記特定の関係式として下記式(4)で表されるものが用いられる。
【0014】
【数3】
但し、式(2)において、MNはメタン価、f´
(Q´
) は、測定対象ガスの基礎熱量Q´〔MJ/m
3 〕の値に応じて選択される下記式(e)および下記式(f)で表されるいずれかの関数であり、Bは−2.0〜2.0の範囲から選択される値である。
【0015】
【数4】
【0016】
【数5】
但し、式(3)において、MNはメタン価、Q´は、測定対象ガスの基礎熱量〔MJ/m
3 〕、Cは−2.0〜2.0の範囲から選択される値である。
【0017】
【数6】
但し、式(4)において、MNはメタン価、Q´は測定対象ガスの基礎熱量〔MJ/m
3 〕、Dは−2.0〜2.0の範囲から選択される値である。
【0018】
本発明のメタン価算出方法は、各々窒素ガスを含有する天然ガスよりなる互いにメタン価の値が異なる複数種の基準ガスについてのメタン価と、
天然ガスから不燃ガス成分を除いたときの燃焼性ガス成分の燃焼熱量である基礎熱量との特定の関係式を予め取得しておき、
測定対象ガスである窒素ガスを含有する天然ガスの基礎熱量および当該測定対象ガスに含まれる窒素ガス濃度を測定し、
測定された当該測定対象ガスの基礎熱量の値および窒素ガスの濃度値と、前記特定の関係式とから当該測定対象ガスのメタン価を算出することを特徴とする。
【0019】
本発明のメタン価算出方法においては、前記特定の関係式が下記式(5)で表されるものであることが好ましい。
【0020】
【数7】
但し、式(5)において、MNはメタン価、f
(Q´
) は、測定対象ガスの基礎熱量Q´〔MJ/m
3 〕の値に応じて選択される下記式(g)〜下記式(j)で表されるいずれかの関数であり、Eは−2.0〜2.0の範囲から選択される値である。
【0021】
【数8】
但し、式(g)〜式(j)において、X
N2 は測定対象ガスに含まれる窒素ガスの、体積百分率で示される濃度〔vol%〕である。
【0022】
また、本発明のメタン価算出方法においては、窒素ガスを含有する天然ガスについて、ISO/TR 22302 3.1.1に準拠した方法により算出されるメタン価の近似値を取得するに際しては、前記特定の関係式として下記式(5)で表されるものが用いられることが好ましい。
【0023】
【数9】
但し、式(6)において、MNはメタン価、Q´は、測定対象ガスの基礎熱量〔MJ/m
3 〕、X
N2 は測定対象ガスに含まれる窒素ガスの、体積百分率で示される濃度〔vol%〕、Fは−2.0〜2.0の範囲から選択される値である。
【0024】
以上の本発明のメタン価算出方法においては、前記測定対象ガスである天然ガスは、液化天然ガスを気化させて得られたものであることが好ましい。
【0025】
さらにまた、本発明のメタン価算出方法においては、前記測定対象ガスの基礎熱量は、当該測定対象ガスの屈折率から得られる屈折率換算熱量と、当該測定対象ガスの音速から得られる音速換算熱量とに基づいて得られるものであることが好ましい。
【0026】
本発明のメタン価測定装置は、測定対象ガスである天然ガス
における不燃ガス成分を除いたときの燃焼性ガス成分の燃焼熱量である基礎熱量を測定する熱量測定機構と、
予め取得しておいた、各々メタン価の値が異なる天然ガスよりなる複数種の基準ガスについてのメタン価と基礎熱量との特定の関係式と、前記熱量測定機構により測定された当該測定対象ガスの基礎熱量の値とから、当該測定対象ガスのメタン価を算出するメタン価算出機構と
を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明のメタン価測定装置においては、前記特定の関係式が上記式(1)で表されるものであることが好ましい。
【0028】
さらにまた、本発明のメタン価測定装置においては、カリフォルニア州大気資源評議会で規定された特定の演算式により算出されるメタン価の近似値を取得する上記式(2)で表される特定の関係式、ISO/TR 22302 3.1.1に準拠した方法により算出されるメタン価の近似値を取得する上記式(3)で表される特定の関係式、および、ISO/TR 22302 3.1.2に準拠した方法により算出されるメタン価の近似値を取得する上記式(4)で表される特定の関係式がさらに設定されていることが好ましい。
【0029】
本発明のメタン価測定装置は、測定対象ガスである窒素ガスを含有する天然ガス
における不燃ガス成分を除いたときの燃焼性ガス成分の燃焼熱量である基礎熱量を測定する熱量測定機構と、
当該測定対象ガスに含まれる窒素ガス濃度を測定する濃度測定機構と、
予め取得しておいた、各々メタン価の値が異なる窒素ガスを含有する天然ガスよりなる複数種の基準ガスについてのメタン価と基礎熱量との特定の関係式と、前記熱量測定機構により測定された当該測定対象ガスの基礎熱量の値および前記濃度測定機構により測定された窒素ガス濃度の値とから、当該測定対象ガスのメタン価を算出するメタン価算出機構と
を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明のメタン価測定装置においては、前記特定の関係式が上記式(5)で表されるものであることが好ましい。
【0031】
さらにまた、本発明のメタン価測定装置においては、カリフォルニア州大気資源評議会で規定された特定の演算式により算出されるメタン価の近似値を取得する上記式(2)で表される特定の関係式、ISO/TR 22302 3.1.1に準拠した方法により算出されるメタン価の近似値を取得する上記式(6)で表される特定の関係式、および、ISO/TR 22302 3.1.2に準拠した方法により算出されるメタン価の近似値を取得する上記式(4)で表される特定の関係式がさらに設定されていることが好ましい。
【0032】
以上の本発明のメタン価測定装置においては、前記測定対象ガスである天然ガスは、液化天然ガスを気化させて得られたものであることが好ましい。
【0033】
さらにまた、本発明のメタン価測定装置においては、前記熱量測定機構が、測定対象ガスの屈折率の値から屈折率換算熱量を求める屈折率換算熱量測定手段と、当該測定対象ガスの音速の値から音速換算熱量を求める音速換算熱量測定手段と、当該測定対象ガスの基礎熱量を屈折率換算熱量と音速換算熱量とに基づいて算出する熱量算出手段とを備えた構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明のメタン価算出方法によれば、予め取得された基礎熱量とメタン価との特定の関係式を利用することにより、測定対象ガスの基礎熱量の値を測定するだけで、当該測定対象ガスのメタン価を求めることができる。特定の関係式は、各々メタン価の値が互いに異なる天然ガスよりなる複数種の基準ガスについて、基礎熱量とメタン価との相関関係を実験による裏づけにより定量的に明らかにしたものであるため、得られるメタン価は一応の信頼性を有するものとなる。
さらに、測定対象ガスに含まれる窒素ガス濃度に基づいた補正がなされることにより、得られるメタン価は一層信頼性の高いものとなる。
【0035】
上記のメタン価算出方法が実行される本発明のメタン価測定装置によれば、熱量測定機構によって測定対象ガスの基礎熱量を連続的に測定することにより、実際の状況に即した測定対象ガスのメタン価を連続的に取得することができるので、燃料ガスとしての天然ガスの実際の燃料性状の監視を行うことができる。従って、ガス組成の変動が生じた場合には、ガス組成の変動に伴うメタン価の変動を速やかに検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明においては、天然ガス、具体的には例えばLNG気化ガスを測定対象ガスとし、窒素ガスなどの不燃ガス成分を含んだものであってもよく、また、LNG気化ガスの精製過程においてメタンより重質の炭化水素成分が除去またはその含有量が調整されたものも含む。
【0038】
図1は、本発明のメタン価測定装置の一例における構成の概略を示すブロック図である。
このメタン価測定装置は、測定対象ガスの熱量を測定する熱量測定機構20と、当該測定対象ガスのメタン価を算出するメタン価算出機構40と、測定対象ガスの熱量およびメタン価などの情報を表示する表示機構45とが、例えば防爆性容器10内に配設されて構成されている。
【0039】
熱量測定機構20は、例えば、測定対象ガスの音速の値から求められる音速換算熱量Qsを得るための音速換算熱量測定機構25と、当該測定対象ガスの屈折率の値から求められる屈折率換算熱量Qnを得るための屈折率換算熱量測定機構21と、当該測定対象ガスに含まれる窒素ガス濃度X
N2 〔vol%〕を測定する窒素濃度測定機構30と、当該測定対象ガスの熱量Qnsの値および基礎熱量Q´の値を算出する熱量計算機構35とを備えている。
【0040】
音速換算熱量測定機構25は、測定対象ガス中における音波の伝播速度(測定対象ガスの音速)を測定する音速測定手段26と、音速測定手段26によって測定された音速の値に基づいて音速換算熱量Qsの値を求める機能を有する音速−熱量換算処理手段27とを備えている。
音速−熱量換算処理手段27は、測定対象ガスであるLNG気化ガスにおいて不燃ガス成分(N
2 )を含まない燃焼性ガス成分(パラフィン系炭化水素ガス)のみからなる特定ガスについて、例えばグラフ化することなどによって予め取得された音速と熱量との相関関係を利用し、当該相関関係に対して、測定対象ガスについて得られた音速の値が特定ガスの音速である仮定して対照することにより音速換算熱量Qsを算出する。
【0041】
屈折率換算熱量測定機構21は、測定対象ガスの屈折率を測定する屈折率測定手段22と、屈折率測定手段22によって測定された屈折率の値に基づいて屈折率換算熱量Qnを求める機能を有する屈折率−熱量換算処理手段23とを備えている。
屈折率−熱量換算処理手段23は、測定対象ガスであるLNG気化ガスにおいて不燃ガス成分(N
2 )を含まない燃焼性ガス成分(パラフィン系炭化水素ガス)のみからなる特定ガスについて、例えばグラフ化することなどによって予め取得された屈折率と熱量との相関関係を利用し、当該相関関係に対して、測定対象ガスについて得られた屈折率の値が特定ガスの屈折率であると仮定して対照することにより屈折率換算熱量Qnを算出する。
【0042】
窒素濃度測定機構30は、音速換算熱量測定機構25によって得られた音速換算熱量Qsの値と、屈折率換算熱量測定機構21によって得られた屈折率換算熱量Qnの値とに基づいて、下記式(7)により、補正因子αとして1.1〜4.2の範囲内、好ましくは2.40〜2.60の範囲内において選択される値を用いる条件にて測定対象ガスに含まれる窒素ガスの濃度を算出する。式(7)におけるX
N2 は、体積百分率で表される窒素ガス濃度〔vol%〕である。K
N2 は誤差係数であって、雑ガス成分としてのN
2 が及ぼす誤差の影響の大きさを表す。計算に供される音速換算熱量Qsの値および屈折率換算熱量Qnの値の単位は、〔MJ/m
3 〕である。
【0044】
熱量計算機構35は、音速換算熱量測定機構25によって得られた音速換算熱量Qsの値と、屈折率換算熱量測定機構21によって得られた屈折率換算熱量Qnの値とに基づいて、下記式(8)により、補正因子αとして1.1〜4.2の範囲内、好ましくは2.40〜2.60の範囲内において選択される値を用いる条件にて測定対象ガスの熱量Qnsの値を算出する。このようにして得られた熱量Qnsの値と、窒素濃度測定機構30によって得られた窒素ガスの濃度X
N2 の値とに基づいて、下記式(9)により、基礎熱量Q´の値〔MJ/m
3 〕を算出する。
【0047】
メタン価算出機構40は、測定対象ガスであるLNG気化ガスについて、上述した4つの基準(a)〜(d)のうちから選択された基準に基づく方法により得られるメタン価の値の近似解を算出する。以下、例えば窒素ガスを含まないLNG気化ガスについて、(a)AVL基準に基づく方法により得られるメタン価の値(以下、「AVL値」ともいう。)の近似解を算出する場合を例に挙げて具体的に説明する。
【0048】
メタン価算出機構40は、熱量測定機構20により測定された当該測定対象ガスの基礎熱量Q´の値と、予め取得しておいた、各々メタン価の値が異なる天然ガスよりなる複数種の基準ガスについて、AVL基準に基づく方法により得られるメタン価の値(AVL値)と基礎熱量Q´の値との特定の関係式とから、測定対象ガスのメタン価を算出する。
【0049】
特定の関係式は、例えば
図2に示すように、横軸を基礎熱量とし、縦軸をメタン価とする座標系において、前記複数種の基準ガスの各々について、基礎熱量Q´の値とAVL値との関係を示す実測値を取得し、得られた実測値を例えば多項式で曲線近似することにより取得することができる。具体的には、AVL基準に係る特定の関係式は、上記式(1)で表されるものであることが好ましい。
【0050】
上記式(1)において、MNはメタン価、具体的にはAVL値の近似解、f
(Q´
) は、測定対象ガスの基礎熱量Q´の値に応じて選択される上記式(a)〜上記式(d)で表されるいずれかの関数である。
上記式(1)におけるAは、−2.0〜2.0の範囲から選択される値である。このAについて設定される数値範囲は、式(1)においてA=0とした式で表される基準となるメタン価算出曲線自体の、実際のLNG気化ガスの燃料性状に即した補正が行われる実用的な許容範囲を示す。Aの値が上記数値範囲内であれば、後述する実験例の結果に示されるように、算出される近似解のAVL値に対する誤差率が5.0%以内となり、高い信頼度が得られる。
上記式(1)におけるAの値の具体的な設定方法としては、例えば、組成が既知の基準ガスについてメタン価を測定し、理論値(AVL値)との差分を「A」として設定(オフセット調整)することができる。
【0051】
図2において実線で示す、基準となるメタン価算出曲線は、上記式(a)〜上記式(d)で表される曲線部分の各々が変曲点を生じることなく連続するものである。この基準となるメタン価算出曲線は、例えば実在し得るLNG気化ガスのガス組成を考慮して、設定されている。
図2において破線で示す曲線は、式(1)においてA=2.0としたメタン価算出曲線であり、一点鎖線で示す曲線は、式(1)においてA=−2.0としたメタン価算出曲線である。
このようなメタン価算出曲線を利用することにより、算出されるメタン価の信頼性を一層高いものとすることができる。
【0052】
以上において、
図1における11は、測定対象ガスを音速測定手段26および屈折率測定手段22の各々に供給するための測定対象ガス導入部、12は、屈折率測定手段22において検知原理上必要とされる参照ガスを導入するための参照ガス導入部、13はガス排出部である。また、
図1における二点鎖線は、ガス配管を示す。
【0053】
上記のメタン価測定装置は、例えば、適宜のガスサンプリング装置を介してガスパイプラインに配管接続され、ガスパイプライン内を流通するLNG気化ガスが測定対象ガスとして測定対象ガス導入部11から音速換算熱量測定機構25の音速測定手段26および屈折率換算熱量測定機構21の屈折率測定手段22の各々に順次に供給される。一方、例えば空気などの参照ガスが参照ガス導入部12から屈折率換算熱量測定機構21の屈折率測定手段22に供給される。これにより、音速換算熱量測定機構25においては音速換算熱量Qsが求められる共に、屈折率換算熱量測定機構21においては屈折率換算熱量Qnが求められる。そして、音速換算熱量Qsの値と、屈折率換算熱量Qnの値とに基づいて、上記式(7)および上記式(8)により、補正因子αとして特定の範囲内において選択された値を用いて、窒素ガス濃度X
N2〔vol%〕および熱量Qnsが算出される。このようにして得られた熱量Qnsの値と、窒素ガス濃度X
N2〔vol%〕の値とに基づいて、上記式(9)により、測定対象ガスの基礎熱量Q´が算出される。
次いで、メタン価算出機構40によって、熱量測定機構20によって得られた基礎熱量Q´の値と、上記の特定の関係式、例えばA=0とした基準となるメタン価算出曲線を表す式(1)とから、AVL値の近似解としてのメタン価が算出される。
以上のようにして得られた測定対象ガスのメタン価の値および熱量Qnsの値が表示機構45に表示される。
なお、測定対象ガスおよび参照ガスは、ガス排出部13を介して装置外部に排出される。
【0054】
而して、上記のメタン価算出方法によれば、予め取得された基礎熱量Q´とメタン価との特定の関係式を利用することにより、測定対象ガスの基礎熱量Q´を測定するだけで、当該測定対象ガスのメタン価を求めることができる。特定の関係式は、各々AVL基準に基づくメタン価の値(AVL値)が互いに異なる天然ガスよりなる複数種の基準ガスについて、基礎熱量の値とAVL値との相関関係を実験による裏づけにより定量的に明らかにしたものであるため、得られるメタン価は一応の信頼性を有するものとなる。
従って、このようなメタン価算出方法が実行される上記構成のメタン価測定装置によれば、熱量測定機構20によって測定対象ガスの基礎熱量Q´を連続的に測定することにより、実際の状況に即した測定対象ガスのAVL値の近似解としてのメタン価を連続的に取得することができるので、燃料ガスとしての天然ガスの実際の燃料性状の監視を行うことができる。従って、ガス組成の変動が生じた場合には、ガス組成の変動に伴うメタン価の変動を速やかに検出することができる。
【0055】
また、上記のメタン価測定装置においては、熱量測定機構20およびメタン価算出機構40が防爆性容器10内に配設されてなるものであることから、測定システムの構築および操作が簡便となる。しかも、測定に際しては、相当の時間を要することがなく、しかも基礎熱量Q´の算出処理とメタン価の算出処理との間にタイムラグが生じることがないため、メタン価をリアルタイムに測定することができる。
【0056】
さらにまた、熱量測定機構20が、測定対象ガスの熱量を音速換算熱量Qsおよび屈折率換算熱量Qnの2つの換算熱量に基づいて算出する構成のものであることにより、得られる熱量Qnsは、測定対象ガスのガス組成によらずに当該測定対象ガスの熱量Qの真値との差の小さい値となるので、算出されるメタン価の値の信頼性が一層高いものなる。
【0057】
上述したように、天然ガスを燃料ガスとして利用する場合には、実際には、例えば地域ごとに異なる基準に基づく算出方法によって算出されるメタン価が要請されるため、例えば、メタン価算出機構は、上記(a)AVL基準、(b)CARB基準、(c)GRI(Lc)基準および(d)GRI(H/C)基準の各々に係るメタン価の近似解を算出する機能を有する構成とされていることが好ましい。このような構成のものにおいては、各基準に基づく方法により算出されるメタン価の値と、基礎熱量の値との特定の関係式を取得しておけばよい。
【0058】
(b)CARB基準に係る特定の関係式は、上記式(2)で表されるものであることが好ましい。
上記式(2)におけるBについての数値範囲は、上記式(1)におけるAについての数値範囲と同様に、B=0とした基準となるメタン価算出曲線自体の、実際のLNG気化ガスの燃料性状に即した補正が行われる実用的な許容範囲を示す。Bの値が上記数値範囲内であれば、後述する実験例の結果に示されるように、算出されるメタン価(近似解)の、CARB基準のメタン価に対する誤差率が5.0%以内となり、高い信頼度が得られる。CARB基準に係るメタン価算出曲線の一例を
図3に示す。
図3における実線で示す曲線が、基準となるメタン価算出曲線である。この基準となるメタン価算出曲線は、上記式(e)および上記式(f)で表される曲線部分の各々が変曲点を生じることなく連続するものであって、例えば実在し得るLNG気化ガスのガス組成を考慮して、設定されている。
図3における破線で示す曲線は、式(2)においてB=2.0としたメタン価算出曲線であり、一点鎖線で示す曲線は、式(2)においてB=−2.0としたメタン価算出曲線である。
上記式(2)におけるBの値は、例えば、上記式(1)におけるAの値の設定方法と同様の方法により設定することができる。
【0059】
(c)GRI(Lc)基準に係る特定の関係式は、上記式(3)で表されるものであることが好ましい。
上記式(3)におけるCは、−2.0〜2.0の範囲から選択される値であり、この数値範囲は、上記式(1)におけるAについての数値範囲と同様に、C=0とした基準となるメタン価算出曲線自体の、実際のLNG気化ガスの燃料性状に即した補正が行われる実用的な許容範囲を示す。Cの値が上記数値範囲内であれば、後述する実験例の結果に示されるように、算出されるメタン価(近似解)の、GRI(Lc)基準のメタン価に対する誤差率が5.0%以内となり、高い信頼度が得られる。GRI(Lc)基準に係るメタン価算出曲線の一例を
図4に示す。
図4における実線で示す曲線が、式(3)においてC=0とした基準となるメタン価算出曲線である。また、破線で示す曲線は、式(3)においてC=2.0としたメタン価算出曲線であり、一点鎖線で示す曲線は、式(3)においてC=−2.0としたメタン価算出曲線である。
上記式(3)におけるCの値は、例えば、上記式(1)におけるAの値の設定方法と同様の方法により設定することができる。
【0060】
(d)GRI(H/C)基準に係る特定の関係式は、上記式(4)で表されるものであることが好ましい。
上記式(4)におけるDは、−2.0〜2.0の範囲から選択される値であり、この数値範囲は、上記式(1)におけるAについての数値範囲と同様に、D=0とした基準となるメタン価算出曲線自体の、実際のLNG気化ガスの燃料性状に即した補正が行われる実用的な許容範囲を示す。Dの値が上記数値範囲内であれば、後述する実験例の結果に示されるように、算出されるメタン価(近似解)の、GRI(H/C)基準のメタン価に対する誤差率が5.0%以内となり、高い信頼度が得られる。GRI(H/C)基準に係るメタン価算出曲線の一例を
図5に示す。
図5における実線で示す曲線が、式(4)においてD=0とした基準となるメタン価算出曲線である。また、破線で示す曲線は、式(4)においてD=2.0としたメタン価算出曲線であり、一点鎖線で示す曲線は、式(4)においてD=2.0としたメタン価算出曲線である。
上記式(4)におけるDの値は、例えば、上記式(1)におけるAの値の設定方法と同様の方法により設定することができる。
【0061】
このような構成のメタン価測定装置においては、表示機構45は、同一の測定対象ガスについて、上記複数の特定の関係式の各々と、熱量測定機構20により測定される基礎熱量とから算出される各基準に係る複数のメタン価を同時に表示する機能を有するものであっても、選択された基準に係るメタン価を他のものと切り替え可能に表示する機能を有するものであってもいずれでもよい。このような構成とされていることにより、必要とされる基準に係るメタン価を得ることができるので、高い利便性が得られる。
【0062】
以上においては、例えば窒素ガスを含まないLNG気化ガスである測定対象ガスのメタン価を算出する場合について説明したが、測定対象ガスが窒素ガスを含むものである場合には、実際上は問題にはならないが、窒素ガスが含有されていることに起因して測定誤差が生じてしまう。然るに、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、例えばLNG気化ガスに含まれる窒素ガス濃度と、当該窒素ガス濃度に起因するメタン価の変動量(誤差)との間に特定の相関関係が成立し、窒素ガス濃度に応じた補正量で補正することにより、各々の基準に対応するメタン価の近似解を一層高い信頼性をもって得ることができることを見出した。
【0063】
以下、例えば窒素ガスを含むLNG気化ガスについて、(a)AVL基準に基づく方法により得られるメタン価の値(AVL値)の近似解を算出する場合を例に挙げて具体的に説明する。
【0064】
メタン価の算出に際して、測定対象ガスに含まれる窒素ガス濃度に基づいた補正を行う場合には、メタン価算出機構40は、熱量測定機構20により測定された当該測定対象ガスの基礎熱量Q´の値および窒素測定計算機構35によって得られた窒素ガス濃度X
N2〔vol%〕の値と、AVL基準に基づく方法により得られるメタン価の値(AVL値)と基礎熱量Q´の値との特定の関係式とから、測定対象ガスのメタン価を算出する機能を有するものとされる。
【0065】
窒素ガスを含むLNG気化ガスについてのAVL基準に係る特定の関係式は、上記式(5)で表されるものであることが好ましい。この特定の関係式は、上記のAVL基準に係る式(1)で表される特定の関係式と同様の方法により取得されたものである。
上記式(5)において、MNはメタン価、具体的にはAVL値の近似解、f
(Q´
) は、測定対象ガスの基礎熱量Q´の値に応じて選択される上記式(g)〜上記式(j)で表されるいずれかの関数であり、Eは−2.0〜2.0の範囲から選択される値である。
上記式(g)〜上記式(j)における0.320X
N2 の項は、窒素ガス濃度に基づくメタン価の補正量を示す。メタン価の補正量は、例えば
図6に示すように、横軸を測定対象ガスに含まれる窒素ガスの、体積百分率で示される濃度〔vol%〕とし、縦軸をメタン価とする座標系において、メタン価の値が互いに異なる複数種の基準ガスの各々について、窒素ガスの濃度値X
N2〔vol%〕とAVL値との関係を示す実測値を取得し、得られた実測値を例えば線形近似することにより取得された近似直線に基づいて設定されたものである。
図6から明らかなように、各々の基準ガスについての近似曲線は、互いに同一の大きさの傾きを有していることが理解される。
上記式(5)におけるEについて設定される数値範囲は、式(5)においてE=0とした式で表される基準となるメタン価算出曲線自体の、実際のLNG気化ガスの燃料性状に即した補正が行われる実用的な許容範囲を示す。Eの値が上記数値範囲内であれば、後述する実験例の結果に示されるように、算出されるメタン価(近似解)の、AVL値に対する誤差が5.0%以内となり、高い信頼度が得られる。
上記式(5)におけるEの値は、例えば、上記式(1)におけるAの値の設定方法と同様の方法により設定することができる。
【0066】
このようなメタン価測定装置においては、音速換算熱量測定機構25において求められた音速換算熱量Qsの値と、屈折率換算熱量測定機構21において求められた屈折率換算熱量Qnの値とに基づいて、上記式(7)および上記式(8)により、補正因子αとして特定の範囲内において選択された値を用いて、窒素ガスの濃度X
N2〔vol%〕および熱量Qnsが算出される。そして、このようにして得られた熱量Qnsの値と、窒素ガス濃度X
N2〔vol%〕の値とに基づいて、上記式(9)によって、測定対象ガスの基礎熱量Q´が算出される。
次いで、メタン価算出機構40によって、熱量測定機構20によって得られた基礎熱量Q´の値および窒素ガスの濃度値X
N2〔vol%〕と、上記式(5)において例えばE=0とした特定の関係式とから、AVL値の近似解としてのメタン価が算出される。
【0067】
而して、上記のメタン価算出方法によれば、実験による裏づけによって定量的に明らかにした、窒素ガス濃度X
N2 とメタン価との相関関係を利用することにより、測定対象ガスに含まれる窒素ガスによって生ずる誤差が補償されるので、当該測定対象ガスのメタン価を一層高い信頼性をもって求めることができる。
従って、このようなメタン価算出方法が実行される上記構成のメタン価測定装置によれば、実際の状況に即した測定対象ガスのAVL値の近似解としてのメタン価を、一層高い信頼性をもって連続的に取得することができるので、燃料ガスとしての天然ガスの実際の燃料性状の監視を一層確実に行うことができる。
【0068】
また、窒素ガスを含む例えばLNG気化ガスについての、(c)GRI(Lc)基準に係る特定の関係式は、上記式(6)で表されるものであることが好ましい。
上記式(6)におけるFは、−2.0〜2.0の範囲から選択される値であり、この数値範囲は、上記式(1)におけるAについての数値範囲と同様に、F=0とした基準となるメタン価算出曲線自体の、実際のLNG気化ガスの燃料性状に即した補正が行われる実用的な許容範囲を示す。Fの値が上記数値範囲内であれば、後述する実験例の結果に示されるように、算出されるメタン価(近似解)の、GRI(Lc)基準のメタン価に対する誤差率が5.0%以内となり、高い信頼度が得られる。
上記式(6)におけるFの値は、例えば、上記式(1)におけるAの値の設定方法と同様の方法により設定することができる。
【0069】
(b)CARB基準に係るメタン価および(d)GRI(H/C)基準に係るメタン価の算出に際しては、測定対象ガスに含まれる窒素ガス濃度に拘わらず、上記式(2)で表される特定の関係式および上記式(4)で表される特定の関係式が用いられる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
本発明においては、熱量測定機構は、上記構成のものに限定されるものではなく、熱伝導率換算熱量の値と、屈折率換算熱量の値とに基づいて熱量の値を求める構成を有する装置が用いられていてもよい。また、熱量と特定の対応関係を有する物性値の1つ、例えば屈折率、熱伝導率、音速のうちから選ばれる1つを測定し、その測定値に基づいて熱量を求める構成のものであってもよい。このようにして得られた測定対象ガスの熱量に基づいて算出される基礎熱量の値を利用しても、各基準に基づくメタン価の値に対して所定の許容範囲内のメタン価を得ることができる。
【0071】
以下、本発明の実験例について説明する。
【0072】
〔実験例1〕
下記表1に示すガス組成を有する11種類の試料ガスを用意し、
図1に示す構成のメタン価測定装置を用いて、各々の試料ガスA〜Kのメタン価を測定した。メタン価の算出は、上記式(1)においてA=0とした特定の関係式を利用した。そして、試料ガスについて測定される基礎熱量Q´の値が42.0〔MJ/m
3 〕以下である場合には、上記式(a)を選択し、基礎熱量Q´の値が42.0〔MJ/m
3 〕より大きく、55.0〔MJ/m
3 〕以下である場合には、上記式(b)を選択し、基礎熱量Q´の値が55.0〔MJ/m
3 〕より大きく、63.0〔MJ/m
3 〕以下である場合には、上記式(c)を選択し、基礎熱量Q´の値が63.0〔MJ/m
3 〕より大きい場合には、上記式(d)を選択した。また、上記式(1)においてA=−2.0とした特定の関係式、およびA=2.0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例1と同様の方法により、各々の試料ガスA〜Kのメタン価を算出した。結果を下記表2に示す。
【0074】
各々の試料ガスA〜Kについて、AVL基準に基づく方法(AVL社製のメタン価算出ソフト)によって、ガス組成に基づいて算出されるメタン価を真値としたときの、基礎熱量に基づいて算出されたメタン価の値(熱量換算値)の当該真値に対する誤差率を算出した。誤差率は、〔(誤差の絶対値)/真値〕×100〔%〕で得られる値である。上記式(1)におけるAの値を−2.0〜2.0の範囲内で設定したときに算出されるメタン価の値(熱量換算値)の真値に対する誤差率の最大値を下記表2に示す。
【0076】
〔実験例2〕
上記式(2)においてB=0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例1と同様の方法により、各々の試料ガスA〜Kのメタン価を算出した。メタン価の算出においては、試料ガスについて測定される基礎熱量Q´の値が55.0〔MJ/m
3 〕以下である場合には、上記式(e)を選択し、基礎熱量Q´の値が55.0〔MJ/m
3 〕より大きい場合には、上記式(f)を選択した。また、上記式(2)においてB=−2.0とした特定の関係式、および、上記式(2)においてB=2.0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例1と同様の方法により、各々の試料ガスA〜Kのメタン価を算出した。結果を下記表3に示す。
各々の試料ガスA〜Kについて、CARB基準に準拠した方法によって、ガス組成に基づいて算出されるメタン価を真値としたときの、基礎熱量に基づいて算出されたメタン価の値(熱量換算値)の当該真値に対する誤差率〔%〕を算出した。上記式(2)におけるBの値を−2.0〜2.0の範囲内で設定したときに算出されるメタン価の値(熱量換算値)の真値に対する誤差率の最大値を下記表3に示す。
【0078】
〔実験例3〕
上記式(3)においてC=0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例1と同様の方法により、各々の試料ガスA〜Kのメタン価を算出した。また、上記式(3)においてC=−2.0とした特定の関係式、および、上記式(3)においてC=2.0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例1と同様の方法により、各々の試料ガスA〜Kのメタン価を算出した。結果を下記表4に示す。
各々の試料ガスA〜Kについて、GRI(Lc)基準に準拠した方法によって、ガス組成に基づいて算出されるメタン価を真値としたときの、基礎熱量に基づいて算出されたメタン価の値(熱量換算値)の当該真値に対する誤差率〔%〕を算出した。上記式(3)におけるCの値を−2.0〜2.0の範囲内で設定したときに算出されるメタン価の値(熱量換算値)の真値に対する誤差率の最大値を下記表4に示す。
【0080】
〔実験例4〕
上記式(4)においてD=0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例1と同様の方法により、各々の試料ガスA〜Kのメタン価を算出した。また、上記式(4)においてD=−2.0とした特定の関係式、および、上記式(4)においてD=2.0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例1と同様の方法により、各々の試料ガスA〜Kのメタン価を算出した。結果を下記表5に示す。
各々の試料ガスA〜Kについて、GRI(H/C)基準に準拠した方法によって、ガス組成に基づいて算出されるメタン価を真値としたときの、基礎熱量に基づいて算出されたメタン価の値(熱量換算値)の当該真値に対する誤差率〔%〕を算出した。上記式(4)におけるDの値を−2.0〜2.0の範囲内で設定したときに算出されるメタン価の値(熱量換算値)の真値に対する誤差率の最大値を下記表5に示す。
【0082】
〔実験例5〕
下記表6に示すガス組成を有する11種類の試料ガスを用意し、
図1に示す構成のメタン価測定装置を用いて、各々の試料ガスa〜kのメタン価を測定した。メタン価の算出は、上記式(5)においてE=0とした特定の関係式を利用した。そして、試料ガスについて測定される基礎熱量Q´の値が42.0〔MJ/m
3 〕以下である場合には、上記式(g)を選択し、基礎熱量Q´の値が42.0〔MJ/m
3 〕より大きく、55.0〔MJ/m
3 〕以下である場合には、上記式(h)を選択し、基礎熱量Q´の値が55.0〔MJ/m
3 〕より大きく、63.0〔MJ/m
3 〕以下である場合には、上記式(i)を選択し、基礎熱量Q´の値が63.0〔MJ/m
3 〕より大きい場合には、上記式(j)を選択した。また、上記式(5)においてE=−2.0とした特定の関係式、およびE=2.0とした特定の関係式を利用したことの他は、同様の方法により、各々の各々の試料ガスa〜kのメタン価を測定した。結果を下記表7に示す。
【0084】
試料ガスa〜kの各々について、AVL基準に基づく方法(AVL社製のメタン価算出ソフト)によって、ガス組成に基づいて算出されるメタン価を真値としたときの、基礎熱量に基づいて算出されたメタン価の値(熱量換算値)の当該真値に対する誤差率〔%〕を算出した。誤差率は、〔(誤差の絶対値)/真値〕×100〔%〕で得られる値である。上記式(5)におけるEの値を−2.0〜2.0の範囲内で設定したときに算出されるメタン価の値(熱量換算値)の真値に対する誤差率の最大値を下記表7に示す。
【0086】
〔実験例6〕
上記式(2)においてB=0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例5と同様の方法により、各々の試料ガスa〜kのメタン価を算出した。メタン価の算出においては、試料ガスについて測定される基礎熱量Q´の値が55.0〔MJ/m
3 〕以下である場合には、上記式(e)を選択し、基礎熱量Q´の値が55.0〔MJ/m
3 〕より大きい場合には、上記式(f)を選択した。また、上記式(2)においてB=−2.0とした特定の関係式、および、上記式(2)においてB=2.0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例5と同様の方法により、各々の試料ガスa〜kのメタン価を算出した。結果を下記表8に示す。
試料ガスa〜kの各々について、CARB基準に準拠した方法によって、ガス組成に基づいて算出されるメタン価を真値としたときの、基礎熱量に基づいて算出されたメタン価の値(熱量換算値)の当該真値に対する誤差率〔%〕を算出した。上記式(2)におけるBの値を−2.0〜2.0の範囲内で設定したときに算出されるメタン価の値(熱量換算値)の真値に対する誤差率の最大値を下記表8に示す。
【0088】
〔実験例7〕
上記式(6)においてF=0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例5と同様の方法により、各々の試料ガスa〜kのメタン価を算出した。また、上記式(6)においてF=−2.0とした特定の関係式、および、上記式(6)においてF=2.0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例5と同様の方法により、各々の試料ガスa〜kのメタン価を算出した。結果を下記表9に示す。
試料ガスa〜kの各々について、GRI(Lc)基準に準拠した方法によって、ガス組成に基づいて算出されるメタン価を真値としたときの、基礎熱量に基づいて算出されたメタン価の値(熱量換算値)の当該真値に対する誤差率〔%〕を算出した。上記式(6)におけるFの値を−2.0〜2.0の範囲内で設定したときに算出されるメタン価の値(熱量換算値)の真値に対する誤差率の最大値を下記表9に示す。
【0090】
〔実験例8〕
上記式(4)においてD=0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例5と同様の方法により、各々の試料ガスa〜kのメタン価を算出した。また、上記式(4)においてD=−2.0とした特定の関係式、および、上記式(4)においてD=2.0とした特定の関係式を利用したことの他は、実験例5と同様の方法により、各々の試料ガスa〜kのメタン価を算出した。結果を下記表10に示す。
試料ガスa〜kの各々について、GRI(H/C)基準に準拠した方法によって、ガス組成に基づいて算出されるメタン価を真値としたときの、基礎熱量に基づいて算出されたメタン価の値(熱量換算値)の当該真値に対する誤差率〔%〕を算出した。上記式(4)におけるDの値を−2.0〜2.0の範囲内で設定したときに算出されるメタン価の値(熱量換算値)の真値に対する誤差率の最大値を下記表10に示す。
【0092】
以上の結果から、本発明に係るメタン価算出方法によれば、AVL基準、CARB基準、GRI(Lc)基準およびGRI(H/C)基準のいずれの基準であっても、試料ガスの組成に拘わらず、これらの基準に係るメタン価に対して一定の誤差範囲内の値のメタン価(近似解)を算出することができることが確認された。ここに、誤差率が5.0%以内であれば、実用上問題ない程度の誤差であるといえる。