特許第6702889号(P6702889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6702889真空断熱ガラスユニット用の窓枠システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702889
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】真空断熱ガラスユニット用の窓枠システム
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/67 20060101AFI20200525BHJP
   C03C 27/06 20060101ALI20200525BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20200525BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20200525BHJP
   E06B 1/30 20060101ALI20200525BHJP
   E06B 3/263 20060101ALI20200525BHJP
   E06B 3/24 20060101ALI20200525BHJP
   E06B 3/64 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   E06B3/67 A
   C03C27/06 101E
   E06B1/18 K
   E06B5/00 B
   E06B1/30
   E06B3/263 F
   E06B3/24
   E06B3/64
【請求項の数】26
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-569871(P2016-569871)
(86)(22)【出願日】2015年5月27日
(65)【公表番号】特表2017-522469(P2017-522469A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】US2015032532
(87)【国際公開番号】WO2015183863
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2018年5月25日
(31)【優先権主張番号】62/003,158
(32)【優先日】2014年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/717,318
(32)【優先日】2015年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517413513
【氏名又は名称】ガーディアン・グラス・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN GLASS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン・ロバート・ディー
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン・チャールズ・エル
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル・ジョン・エム
(72)【発明者】
【氏名】フリン・ナイジェル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド・クナル・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ローリー・デビッド・スコット
(72)【発明者】
【氏名】スタム・ジュニア・エドワード・アイ
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0007396(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0184839(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00902148(EP,A1)
【文献】 特開2002−021436(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0072735(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/008018(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0069034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/18
E06B 1/30
E06B 3/24
E06B 3/263
E06B 3/64
E06B 3/67
E06B 5/00
C03C 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓組立体であって、
大気圧よりも低い圧力の、第1ガラス基板と第2ガラス基板との間の空間を定める第1ガラス基板及び第2ガラス基板を含む真空断熱ガラスユニットであって、前記第1ガラス基板及び前記第2ガラス基板のうちの一方は、この基板から外側に延びる真空口を含み、前記真空口は前記空間と連通する通路を定める、真空断熱ガラスユニットと、
前記ガラスユニットを支持し、基礎部材とグレージング部材とを含む枠組立体と、を含み、前記基礎部材及びグレージング部材は前記ガラスユニットの端部が収容されたスロットを定めるように協働し、前記基礎部材又は前記グレージング部材のうちの1つは真空口を収容する空洞を含み、前記グレージング部材及び前記基礎部材は前記枠組立体を通る熱伝導率を減少させる複数のポケットを定める、窓組立体。
【請求項2】
前記グレージング部材が、前記基礎部材とスナップ係合するタブを含む、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項3】
前記基礎部材が、組み込まれた補強部材を含む、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項4】
前記基礎部材が、前記ガラスユニットが歪んだ状態にあるときに、前記ガラスユニットの一部を収容する前記スロットに隣接する凹部を含む、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項5】
前記凹部が、前記ガラスユニットの歪みに伴うエネルギーを吸収するために、その内部に収容された断熱障壁を含む、請求項4に記載の窓組立体。
【請求項6】
前記グレージング部材が、構造的に前記ガラスユニットを支持する、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項7】
前記真空口を収容する空洞が、断熱材料で充填される、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項8】
前記ポケットの少なくとも1つが空気で充填される、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項9】
前記ポケットの少なくとも1つが発泡体で充填される、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項10】
前記基礎部材及び前記グレージング部材の少なくとも1つが、その熱伝導率を減少させる組み込まれた添加剤を有するビニールを含む、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項11】
前記ガラスユニットの端部が、1.25インチ以上のバイト深さまで前記スロットに挿入される、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項12】
前記グレージング部材が、前記ガラスユニットの負荷の少なくとも一部を支える、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項13】
前記グレージング部材及び前記基礎部材が、前記ガラスユニットの負荷を支えるように協働する、請求項12に記載の窓組立体。
【請求項14】
窓組立体であって、
大気圧よりも低い圧力の、第1ガラス基板と第2ガラス基板との間の空間を定める第1ガラス基板及び第2ガラス基板を含む真空断熱ガラスユニットと、
前記ガラスユニットを支持し、基礎部材とグレージング部材とを含む枠組立体と、を含み、
前記基礎部材及びグレージング部材は前記ガラスユニットの端部が収容されたスロットを定めるように協働し、前記基礎部材又は前記グレージング部材のうちの1つは前記ガラスユニットが歪んだ状態にあるときに、前記ガラスユニットの一部を収容する前記スロットに隣接する凹部を含
前記第1ガラス基板及び前記第2ガラス基板のうちの一方は、この基板から外側に延びる真空口を含み、前記真空口は前記空間と連通する通路を定め、前記基礎部材又は前記グレージング部材の1つは、前記真空口を収容する空洞を含む、窓組立体。
【請求項15】
前記真空口を収容する空洞が、断熱材料で充填される、請求項14に記載の窓組立体。
【請求項16】
前記グレージング部材及び前記基礎部材が、前記枠組立体を通る熱伝導率を減少させる複数のポケットを定める、請求項14に記載の窓組立体。
【請求項17】
前記ポケットの少なくとも1つが空気で充填される、請求項16に記載の窓組立体。
【請求項18】
前記ポケットの少なくとも1つが発泡体で充填される、請求項16に記載の窓組立体。
【請求項19】
前記基礎部材及び前記グレージング部材の少なくとも一方が、その熱伝導率を減少させる組み込まれた添加剤を有するビニールを含む、請求項18に記載の窓組立体。
【請求項20】
前記グレージング部材が、前記基礎部材とスナップ係合するタブを含む、請求項14に記載の窓組立体。
【請求項21】
前記基礎部材が、組み込まれた補強部材を含む、請求項14に記載の窓組立体。
【請求項22】
前記凹部が、前記ガラスユニットの歪みに伴うエネルギーを吸収するために、その内部に収容された断熱障壁を含む、請求項14に記載の窓組立体。
【請求項23】
前記グレージング部材が、構造的に前記ガラスユニットを支持する、請求項14に記載の窓組立体。
【請求項24】
前記ガラスユニットの端部が、1.25インチ以上のバイト深さまで前記スロットに挿入される、請求項14に記載の窓組立体。
【請求項25】
前記グレージング部材が、前記ガラスユニットの負荷の少なくとも一部を支える、請求項14に記載の窓組立体。
【請求項26】
前記グレージング部材及び前記基礎部材が、前記ガラスユニットの負荷を支えるように協働する、請求項25に記載の窓組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠システムに関し、より詳細には、真空断熱ガラスユニット用の窓枠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本セクションは、本開示に関連する背景情報を提供し、必ずしも先行技術ではない。
【0003】
ガラス技術の進歩によって、例えば、建物又は住宅の窓の断熱値が増えている。このような進歩によってガラスユニットを通過する伝熱量が減少している。しかし、このような高性能ガラスユニットは、従来の窓枠及び/又はグレージングの技術に新たな問題を生じさせる。窓組立体が全体として高水準の性能を発揮するためには、これらの高性能ガラスユニットが高性能窓枠システムに設置されることを必要とする。高性能ガラスユニットが高性能窓枠システムに設置されると、概して、窓組立体のR値(熱抵抗)が大幅に増加し、建物又は住宅のエネルギー効率が大幅に向上するという相乗効果が得られる。
[課題を解決するための手段]
【0004】
本セクションは、本開示の概要を提供するものであり、その全範囲又はその全ての特徴の包括的な開示ではない。
【0005】
窓組立体は、真空断熱ガラスユニットと枠組立体とを含んでもよい。真空断熱ガラスユニットは、大気圧よりも低い圧力の、第1ガラス基板と第2ガラス基板との間の空間を定める第1ガラス基板及び第2ガラス基板を含んでもよい。第1ガラス基板及び第2ガラス基板のうちの一方は、この基板から外側に延びる真空口を含んでもよい。真空口は空間と連通する通路を定めてもよい。枠組立体は、ガラスユニットを支持し、基礎部材とグレージング部材とを含んでもよい。基礎部材及びグレージング部材は、ガラスユニットの端部が収容されたスロットを定めるように協働する。基礎部材又はグレージング部材のうちの1つは、真空口を収容する空洞を含んでもよい。グレージング部材及び基礎部材は、枠組立体を通る熱伝導率を減少又は妨害する複数のポケットを定めてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、グレージング部材が、基礎部材とスナップ係合するタブを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、基礎部材が、組み込まれた補強部材を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、基礎部材及びグレージング部材の少なくとも1つが、その熱伝導率を減少させる組み込まれた添加剤を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、基礎部材が、ガラスユニットが歪んだ状態にあるときに、ガラスユニットの一部を収容するスロットに隣接する凹部を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、凹部が、ガラスユニットの歪みに伴うエネルギーを吸収するために、その内部に収容された断熱障壁を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、グレージング部材が、構造的にガラスユニットを支持する。
【0012】
いくつかの実施形態では、グレージング部材が、ガラスユニットの負荷の少なくとも一部を支える。
【0013】
いくつかの実施形態では、グレージング部材及び基礎部材が、ガラスユニットの負荷を支えるように協働する。
【0014】
いくつかの実施形態では、真空口を収容する空洞が断熱材料で充填される。
【0015】
いくつかの実施形態では、ポケットの少なくとも1つが空気で充填される。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポケットの少なくとも1つが発泡体で充填される。
【0017】
いくつかの実施形態では、ガラスユニットの端部が、少なくとも1.25インチのバイト深さ(bite depth)までスロットに挿入される。
【0018】
別の形態では、本開示は、真空断熱ガラスユニットと枠組立体とを含む窓組立体を提供する。ガラスユニットは、大気圧よりも低い圧力の、第1ガラス基板と第2ガラス基板との間の空間を定める第1ガラス基板及び第2ガラス基板を含んでもよい。枠組立体は、ガラスユニットを支持し、基礎部材とグレージング部材とを含んでもよい。基礎部材及びグレージング部材は、ガラスユニットの端部が収容されたスロットを定めるように協働してもよい。基礎部材又はグレージング部材の1つは、ガラスユニットが歪んだ状態にあるときに、ガラスユニットの一部を収容するスロットに隣接する凹部を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1ガラス基板及び第2ガラス基板のうちの一方が、この基板から外側に延びる真空口を含んでもよく、真空口は空間に連通する通路を定め、基礎部材又はグレージング部材の1つが、真空口を収容する空洞を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、真空口を収容する空洞が断熱材料で充填される。
【0021】
いくつかの実施形態では、グレージング部材及び基礎部材が、枠組立体を通る熱伝導率を減少させる複数のポケットを定める。
【0022】
いくつかの実施形態では、ポケットの少なくとも1つが空気で充填される。
【0023】
いくつかの実施形態では、ポケットの少なくとも1つが発泡体で充填される。
【0024】
いくつかの実施形態では、グレージング部材が、基礎部材とスナップ係合するタブを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、基礎部材が、組み込まれた補強部材を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、基礎部材及びグレージング部材の少なくとも1つが、その熱伝導率を減少させる組み込まれた添加剤を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、凹部が、ガラスユニットの歪みに伴うエネルギーを吸収するために、その内部に収容された断熱障壁を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、グレージング部材が、構造的にガラスユニットを支持する。
【0029】
いくつかの実施形態では、ガラスユニットの端部が、1.25インチ以上のバイト深さまでスロットに挿入される。
【0030】
いくつかの実施形態では、グレージング部材が、ガラスユニットの負荷の少なくとも一部を支える。
【0031】
いくつかの実施形態では、グレージング部材及び基礎部材が、ガラスユニットの負荷を支えるように協働する。
【0032】
さらなる適用領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。この要約における説明及び特定の実施例は、説明のみを目的としており、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本明細書に記載された図面は、選択された実施形態の説明のみを目的とし、すべての可能な実施形態ではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0034】
図1】本開示の原理による窓組立体の概略図である。
図2図1の窓組立体の窓枠システムに設置されたガラスユニットの断面図である。
図3】歪んだ状態の図2のガラスユニット及び窓枠システムの断面図である。
図4】本開示の原理によるガラスユニット及びカプラ(coupler)の斜視図である。
図5】枠組立体に設置されたガラスユニット及びカプラの斜視図である。
【0035】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、例示的な実施形態を添付の図面を参照してより完全に説明する。例示的な実施形態は、本開示が徹底したものであり、かつその範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、及び方法の例などの、多くの具体的な詳細が記載されている。特定の詳細を採用する必要はなく、例示的な実施形態は多くの異なる形態で実施してもよく、いずれも本開示の範囲を限定すると解釈すべきでないことが、当業者に明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知の工程、周知の装置構造、及び周知の技術は詳細に記載されていない。
【0037】
本明細書で使用する用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用するように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈で他に明記されない限り、複数形も含むことを意図することがある。「comprises」、「comprising」、「including」、及び「having」の用語は、包括的であり、従って、述べられている特徴、整数、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素が存在することを明示するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はその群が存在すること又は添加されることを排除するものではない。本明細書に記載されたこのような方法ステップ、工程、及び操作が、実行の順序として具体的に明示されない限り、必ずしも説明又は図示された特定の順序で実行することを必要とすると解釈されるべきではない。追加又は代替のステップを用いてもよいことも理解すべきである。
【0038】
ある要素又は層が別の要素又は層の「上にある」か、又は別の要素又は層に「係合されている」か、「接続されている」か、又は「結合している」と言及する場合、ある要素又は層が、他の要素又は層の直上にあるか、或いは他の要素又は層に直接係合されているか、或いは直接接続されているか、或いは直接結合してもよいか、又は介在する要素又は層が存在してもよい。対照的に、ある要素が、他の要素又は層の「直上にある」か、又は他の要素又は層に「直接係合している」か、「直接接続されている」か、又は「直接結合している」と言及されている場合、介在する要素又は層が存在しなくてもよい。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様の態様(例えば、「間」対「直接間」、「隣接」対「直接隣接」など)で解釈されるべきである。本明細書で使用されるように、用語「及び/又は」は、列挙された1つ以上の関連物品のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0039】
様々な要素、構成要素、領域、層及び/又は区域を説明するために「第1」、「第2」、「第3」などの用語が本明細書で使用されるが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又は区域は、このような用語によって制限すべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層又は区域を、別の領域、層又は区域と区別するために使用されてもよい。「第1」、「第2」及び他の数値的な用語のような用語が、本明細書で使用される場合、文脈で他に明記されない限り、シークエンス又は順序を暗示するものではない。従って、以下に説明する第1の要素、構成要素、領域、層、又は区域が、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層又は区域と呼ぶこともある。
【0040】
「内側」、「外側」、「下」、「下部」、「下側」、「上部」、「上側」などのような空間的に相対的な用語は、本明細書で、説明の便宜上用いられるものであって、図に示された、ある要素又は特徴の別の要素又は特徴への関係を記述する。空間的に相対的な用語は、図に描かれている方向に加えて、使用中又は操作中での装置の異なる方向を包含すると意図することがある。例えば、図中の装置がひっくり返されている場合、他の要素又は特徴の「下部」又は「下」にあると記載された要素は、他の要素又は特徴の「上」に向けられる。従って、「下」の例示的な用語は、上及び下の方向の両方を含むことができる。この装置は、それ以外の方向に向けられてもよく(90度回転されるか、又は他の方向に回転される)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0041】
図1〜3を参照すると、断熱ガラスユニット、特に真空断熱ガラス(VIG)ユニット12及び枠組立体14を含む例示的な窓組立体10が提供される。窓組立体10は、例えば、建物又は住宅の壁16(図1)に設置されることができる。図2に示すように、VIGユニット12は、第1ガラス基板18と第2ガラス基板20との間に空間22を定めるように協働する第1ガラス基板18及び第2ガラス基板20を含んでもよい。空間22は、大気圧よりも低い圧力であってもよい。第2ガラス基板20は、内部基板(即ち、建物又は住宅の内部に露出されている基板)であり、空間22と連通する通路25を定める(図2及び図3に概略的に示されている)真空口又はチューブ24を含む。空間22内のガスは、VIGユニット12を枠組立体14に設置する前又は後に、真空口24を通して排気することができる。
【0042】
図1に示すように、枠組立体14は、頭部26、敷居部28及び一対の縦枠部30を含んでもよい。頭部26、敷居部28、及び縦枠部30は、VIGユニット12を支持するように協働してもよい。頭部26、敷居部28及び縦枠部30は、木材、ビニール(vinyl)、アルミニウム、又は望ましい熱伝導率を有する任意の適切な構造材料であってもよい。頭部26、敷居部28及び縦枠部30は、熱伝導率を減少させる特定の添加剤を含んでもよい。例えば、材料としてビニールを選択する場合、材料は組み込まれた微小球を含むことができる。組み込まれた微小球は、例えば、膨張した微小球を含んでもよい。頭部26、敷居部28及び縦枠部30は、一般的に、類似しても同一であってもよく、従って、敷居部28のみが以下に詳細に説明される。
【0043】
図2に示されているように、敷居部28は、基礎部材32及びグレージング部材34を含んでもよい。グレージング部材34は、VIGユニット12の内側に配置されてもよく(即ち、グレージング部材34は、建物又は住宅の内側に配置されてよく)、グレージング部材34と基礎部材32と間にVIGユニット12の端部37の一部又は全部を収容するスロット36を定めるように基礎部材32に係合してもよい。端部37は、VIGユニット12の遠位端33から約2.5インチ延びたものとして定められる。いくつかの実施形態では、流体がスロット36に入ることを制限又は防止するために、VIGユニット12と基礎部材32との間、及び/又はVIGユニット12とグレージング部材34との間に、ガスケット35が設けられてもよい。
【0044】
いくつかの構成では、VIGユニット12の端部37は、1.25インチ以上のバイト深さDまでスロット36の内部に延びてもよい。いくつかの変形例では、バイト深さDは、例えば、約0.75〜5インチ又は約0.75〜3インチとすることもある。VIGユニット12は、遠位端33における第1ガラス基板18と第2ガラス基板20との間の端封により、遠位端33においてより高い熱伝導率を有する傾向がある。従って、大きなバイト深さは、VIGユニット12の内側と外側との間で伝導するために熱エネルギー(加熱又は冷却)が移動しなければならない通路を長くして、それによって窓組立体10の熱性能が改善される。
【0045】
第1ガラス基板18及び第2ガラス基板20の表面温度は、ガラス基板18,20の中心から端部37に達するまで、即ち、遠位端33から約2.5インチのところまで比較的一定のままであり、表面温度が、高性能VIGユニットに特有である急な温度勾配に沿って遠位端33に遷移する。第1ガラス基板18の表面温度は、第2ガラス基板20の表面温度に向かって遷移し、第2ガラス基板20の表面温度は、第1ガラス基板18の表面温度に向かって遷移する。大きなバイト深さは、建物又は住宅の内部の環境条件(例えば、相対湿度)に露出される第2ガラス基板20の表面温度に影響を与えることによって、第2ガラス基板20上に凝縮物が蓄積することを防止する。VIGユニット12が枠組立体14と合致するところが、視線Sを定める。バイト深さDは、凝縮を防止するために、視線Sにおける第2ガラス基板20の表面温度が、内部及び外部の環境条件の範囲全体にわたって目標温度を上回るように選択される。
【0046】
VIGユニット12の遠位端33は、スロット36の底部における1つ以上のグレージングブロック47の上に置かれている。グレージングブロック47は、ゴム又は同様の高分子材料を含んでもよく、窓組立体10の組み立て中にVIGユニット12を支持するために使用される。複数のグレージングブロック47がスロット36の底部に沿って離間していてもよい。グレージングブロック47は、スロット36に入る水分がスロット36の底部で滲出孔(図示せず)を通して排出されるように離間していてもよい。
【0047】
基礎部材32は、例えば、高分子材料又は複合材料から押出成形、引抜成形又は射出成形を実行してもよく、1つ以上のポケット38を形成するように協働する複数の支持部材又はリブ39を含んてもよい。ポケット38は、基礎部材32を通る熱伝導率を減少又は妨害するのに役立つことがある。基礎部材32の下端部は、建物又は住宅の壁16に係合する1つ以上のタブ41を含んでもよい。1つ以上のポケット38は、空気42及び/又は他のガスで充填されてもよく、1つ以上のポケット38は、枠組立体14の熱伝導率を減少させるために、断熱材料44で充填されてもよい。断熱材料44は、例えば、発泡体、ゴム、ガラス微小球、パーライト、エーロゲル、溶融シリカ、及び/又は不活性ガスが充填された発泡体を含むことができる。いくつかの変形例では、ポケット38のすべてが空気及び/又は他のガスで充填されるか、又はポケット38のすべてが断熱材料44で充填されてもよいことが分かる。そのような断熱ガス又は材料の任意の組合せが、同じ又は異なるポケット38に採用されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のリブ39は、たとえばVIGユニット12の歪みによって生じる力に対して枠組立体14を補強するために枠組立体14に追加の剛性及び強度を提供する補強部材46を含んでもよい。補強部材46は、任意の適切な材料から形成することができ、そして任意の適切な方法で枠組立体14に組み込むか、又は共押出されるか、又は共引き抜きされるか又は含まれることができる。補強部材46は、円形、長方形、又は正方形のような任意の適切な断面を有してもよい。さらに、各リブ39の内部に1つ以上の補強部材46が存在してもよい。基礎部材32の第1側面49は、第1ガラス基板18に接触してもよく、枠組立体14にVIGユニット12をしっかりと保持するためにグレージング部材34と協働する。いくつかの構成では、第1側面49と第1ガラス基板18との間に、両面接着グレージングテープ51又はシリコーン或いはシリコーン様製品が配置される。
【0048】
いくつかの実施形態では、基礎部材32は、スロット36に隣接する凹部48を含んでもよい。図3に示すように、凹部48は、VIGユニット12を遠位端33に拘束するのではなく、VIGユニット12の歪みに対応するように設計されている。VIGユニット12が遠位端33に拘束されると、VIGユニット12には追加のかなりの応力が導入されることがある。基礎部材32及びグレージング部材34は、視線Sに隣接してVIGユニット12を拘束し、それにより、VIGユニット12への歪みを防止又は最小化するように設計してもよい。VIGユニット12を視線Sに隣接して拘束すると、VIGユニット12を遠位端33に拘束する場合に導入される応力よりも小さい応力がVIGユニット12に導入される。さらに、グレージング部材34は、VIGユニット12の歪みに応答して建物又は住宅の内部に向かって屈曲するか又は旋回するように設計されてもよい。VIGユニット12の主な歪み原因は、室外温度と室内温度との大きな温度差に露出された結果としての熱膨張及び熱収縮の差であり、そしてそれは、VIGユニット12の堅い端封によって第1ガラス基板18及び第2ガラス基板20が同じ方向に共に歪ませる原因となる。このような第1基板18及び第2基板20の熱歪みは、従来のIG又は他の窓ユニットでは発生しないがVIGユニットでは発生する問題となる傾向がある。従って、VIGユニット12の端部37が、凹部48の内部へと熱歪みを経験する能力は、VIGユニット12又は枠組立体14の、長期間使用時に可能性のある機械的応力又は故障を防止する。VIGユニット12の歪みは、風負荷などによっても生じる可能性がある。いくつかの実施形態では、凹部48の内部に断熱障壁50を位置させてもよい。VIGユニット12及び/又は基礎部材32に断熱障壁50を接着剤で接合してもよい。例えば、断熱障壁50は、シリコーン又はポリスチレンテープを含むこともある。いくつかの構成では、断熱障壁50は、約5ミリメートル以上の厚さとすることもある。断熱障壁50は、構造的に基礎部材32をVIGユニット12に接着し、そしてVIGユニット12の歪みに伴うエネルギーを吸収して変位することがある。いくつかの実施形態では、凹部48が空いていることもある(例えば、断熱障壁50ではなく気体又は空気で充填される)ことが分かる。
【0049】
いくつかの実施形態では、基礎部材32の1つ以上のリブ39は、1つ以上のポケット38が他のガラス基板又は第2VIGユニットを収容するための別のスロットを定めるようにトリミングしても除去してもよい。例えば、図2に示す構成では、第1リブ52及び第2リブ54は、第1ポケット56及び第2ポケット58が、第2VIGユニットを収容するためにスロットとして機能するようにトリミングしても除去してもよい。第1リブ52及び第2リブ54の一方又は両方は、第1リブ52及び第2リブ54を容易に切断又は破砕する1つ以上のノッチ60を含んでもよい。
【0050】
グレージング部材34は、補強段階を含む高分子材料又は高分子複合材料を含んでもよい。グレージング部材34は、例えば、高分子材料又は複合材料などの押出成形、引抜成形又は射出成形によって形成してもよく、そしてポケット64を形成するように協働する複数の支持部材又はリブ62を含んでもよい。枠組立体14の熱伝導率を減少させるために、1つ以上のポケット64は、空気、他のガス及び/又は断熱材料66で充填してもよい。断熱材料66は、例えば、発泡体、ゴム、ガラス微小球、パーライト、エーロゲル、溶融シリカ及び/又は不活性ガスが充填された発泡体を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のリブ62が、枠組立体14にさらなる剛性及び強度を提供するために補強部材46を含んでもよい。グレージング部材34の第1側面68及び第2側面70は、第2ガラス基板20と接触し、枠組立体14にVIGユニット12をしっかりと保持するために基礎部材32と協働する。いくつかの構成では、両面接着グレージングテープ51又はシリコーン或いはシリコーン様製品が、第1側面68及び/又は第2側面70と第2ガラス基板20との間に配置される。
【0051】
グレージング部材34の下端部は、基礎部材32とスナップ係合する1つ以上の弾性可撓性タブ72を含んでもよい。タブ72は、VIGユニット12の歪みに対応するようにグレージング部材34を旋回しても、及び/又はグレージング部材34を除去してもよい。このようにして窓組立体10が建物又は住宅の壁16に設置された後であっても、必要に応じてグレージング部材34が繰り返して窓組立体10にスナップ係合されたり、外されたりしてもよい。
【0052】
グレージング部材34はまた、第1側面68と第2側面70との間に形成された凹部74を含んでもよい。凹部74は、VIGユニット12の真空口24を収容し、真空口24の損傷を防ぐことがある。凹部74は、真空口24を損傷することなく、又はより重要なことに、VIGユニット12の真空を失わせることなく、VIGユニット12の歪みに対応するように設計されている。凹部74は、真空口24を取り囲む断熱材料76で充填してもよい。断熱材料76は、例えば、発泡体、ゴム、ガラス微小球、パーライト、エーロゲル、溶融シリカ、及び/又は不活性ガスが充填された発泡体を含むことができる。断熱材料76は、真空口24を損傷することなく、又はより重要なことに、VIGユニット12の真空を失わせることなく、真空口24とグレージング部材34との間で相対運動を可能にするために十分な柔軟性を有してもよい。別の実施形態では、グレージング部材34の第2側面70は、第2ガラス基板20と接触しない。むしろ、凹部74が、第1側面68からスロット36の底部まで延びている。
【0053】
(米国南部などの)より暖かい気候では、(米国北部などの)より寒い気候で経験する方向とは反対の方向にVIGユニット12の歪みに対応するために、グレージング部材34がVIGユニット12の外側に配置されてもよい(即ち、グレージング部材34が建物又は住宅の外側に配置されてもよい)と予想される。
【0054】
図4及び図5を参照すると、VIGユニット12を標準的な窓枠組立体82に適合させるために使用してもよいカプラ80が設けられている。カプラ80は、VIGユニット12の歪みに対応するために、凹部48及び凹部74のような枠組立体14と類似又は同一の特徴を含んでもよい。カプラ80は、枠組立体14と同様に、第1基板18と第2基板20との間の熱伝達を妨害し、そして第2基板20上の凝縮物の蓄積を防止するために、大きなバイト深さを提供する。図5に示すように、カプラ80は、枠組立体82の内部に収容されても、他に枠組立体82に付着されてもよい。カプラ80の壁は、枠組立体14と同様に、上述の補強部材46のような補強部材を含んでもよい。断熱ガス又は断熱材料は、カプラ80のリブ86の間の1つ以上の空洞84を充填してもよい。
【0055】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明のために提供されたものである。本開示を限定すること又は網羅的であることを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は一般にその特定の実施形態に限定されないが、適用可能であれば、交換可能であり、特に示されなくても記載されていなくても、選択された実施形態で使用することができる。同じことは、多くの点で変化し得る。そのような変形は、本開示からの逸脱とみなされるべきではなく、そのような変更のすべては、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5