【実施例】
【0179】
実施例1
抗huNKp46抗体の作製
Balb/cマウスを、組換えヒトNKp46細胞外ドメイン組換えFcタンパク質で免疫した。マウスは、50μgのNKp46タンパク質と完全フロイントアジュバントのエマルションの腹腔内投与により最初の免疫を行い、50μgのNKp46タンパク質と不完全フロイントアジュバントのエマルションの腹腔内投与により2回目の免疫を行い、最後に、10μgのNKp46タンパク質の静脈投与により追加免疫した。免疫脾細胞を、追加免疫の3日後にX63.Ag8.653不死化B細胞に融合し、これを、放射線照射脾細胞の存在下で培養した。
【0180】
一次スクリーニング:増殖しているクローンの上清(S/N)を、細胞表面でヒトNKp46構築物を発現する細胞株を用いるフローサイトメトリーによって一次スクリーニングで試験した。簡単に述べると、FACSスクリーニングでは、上清中の反応抗体の存在を、PEで標識されたヤギ抗マウスポリクローナル抗体(pAb)によって明らかにした。
【0181】
NKp46に結合する抗体のセレクションを選択し、産生し、及びそれらの可変領域を二重特異的分子との関連でのそれらの活性についてさらに評価した。
【0182】
実施例2:
エフェクター細胞受容体を標的とする、FcRnに結合するがFcγRに結合しない二重特異的抗体形態の同定
この実験の目的は、免疫エフェクター細胞上の受容体及び目的の第2の抗原を標的にするのに有用な新規な二重特異的タンパク質を開発することにあり、この二重特異的タンパク質では、単量体Fcドメインが、2つの抗原結合ドメイン間のポリペプチド上に配置されている。このタンパク質は、2つの抗原に一価で結合し、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に対する少なくとも部分的な結合を維持するが、ヒトCD16及び/又は他のヒトFcγ受容体には実質的に結合しない。
【0183】
第1のステップでは、単量体Fcドメインがヒト新生児Fc受容体(FcRn)及びヒトFcγ受容体に結合し得るか否かを調べるために、単量体Fcドメインを有する一本鎖タンパク質を一本鎖タンパク質として作製した。
【0184】
実施例2−1 抗CD19−IgG1−Fcmono−CD3の作製及び結合アッセイ
腫瘍抗原CD19に特異的なscFv(抗CD19 scFv)及びT細胞の活性化受容体CD3に特異的なscFv(抗CD3 scFv)をベースとした二重特異的Fcを使用して、新規な単量体二重特異的ポリペプチド形態のFcRn結合及びCD19結合機能を評価した。最終ポリペプチドのドメイン配置が
図2に示されており、このドメイン配置は、
図6Aにおいて「F1」形態とも呼ばれる(CH2ドメインの星は、本明細書で試験されたポリペプチドには含まれていない任意選択のN297S変異を示す)。
【0185】
二重特異的単量体Fc含有ポリペプチドを、腫瘍抗原CD19に特異的なscFv(抗CD19 scFv)及びT細胞の活性化受容体CD3に特異的なscFv(抗CD3 scFv)をベースに構築した。CH3ドメインは、変異(EU付番)L351K、T366S、P395V、F405R、T407A、及びK409Yを含んでいた。このポリペプチドは、次のように配置されたドメインを有する:抗CD19−CH2−CH3−抗CD3。アミノ酸配列STGSを有するCH3/VHリンカーペプチドをコードするDNA配列を、CH3−VH接合部に特定のSall制限部位を挿入するために設計した。
【0186】
CH3ドメインは、変異(EU付番)L351K、T366S、P395V、F405R、T407A、及びK409Yを含んでいた。CH2ドメインは、野生型CH2であった。単量体CH2−CH3Fc部分及び抗CD19のDNA及びアミノ酸配列は以下に示されている。
【0187】
抗CD19 scFvの軽鎖及び重鎖DNA及びアミノ酸配列は以下の通りであった。
抗CD19−VK
【化11】
抗CD19−VK
【化12】
抗CD19−VH
【化13】
抗CD19−VH
【化14】
【0188】
単量体CH2−CH3Fc部分及び最終的な二重特異的ポリペプチドのDNA及びアミノ酸配列は以下の通りであった。
IgG1−Fcmono(この構築物中では最後のKが除去されている)
【化15】
IgG1−Fcmono
*(
*この構築物中では最後のKが除去されている)
【化16】
抗CD19−F1−抗CD3完全配列(成熟タンパク質)
【化17】
【0189】
組換えタンパク質のクローニング及び産生
コード配列を、直接合成及び/又はPCRによって構築した。PCRは、PrimeSTAR MAX DNAポリメラーゼ(Takara,#R045A)を用いて行い、PCR産物を、NucleoSpinゲル及びPCR clean−upキット(Macherey−Nagel,#740609.250)を用いて1%アガロースゲルから精製した。精製した後、PCR産物を定量してから、製造者のプロトコル(ClonTech,#ST0345)に記載されているようにIn−Fusion連結反応を行った。プラスミドは、Nucleospin 96プラスミドキット(Macherey−Nagel,#740625.4)を用いてEVO200(Tecan)で行われたミニプレップ調製後に得た。次いで、CHO細胞株のトランスフェクションの前に、プラスミドを配列の確認のために配列決定した。
【0190】
CHO細胞を、フェノールレッド及び6mM GlutaMaxが添加されたCD−CHO培地(Invitrogen)で増殖した。トランスフェクションの前日に、細胞をカウントし、175,000細胞/mlで播種した。トランスフェクションのために、細胞(200,000細胞/トランスフェクション)を、AMAXA SF細胞株キット(AMAXA,#V4XC−2032)に記載されているように調製し、Nucleofector 4D装置でDS137プロトコルを用いてヌクレオフェクトした。全てのトランスフェクションは、300ngの検証済みプラスミドを用いて行った。トランスフェクション後、細胞を、24ウェルプレートの予熱された培養培地に播種する。24時間後、ハイグロマイシンBを、培養培地に添加した(200μg/ml)。タンパク質の発現を、1週間後に培地で監視する。次いで、タンパク質を発現している細胞をサブクローニングして最高の産生株を得る。96平底ウェルプレートを用いて、200μg/mlのハイグロマイシンBが添加された200μlの培養培地に1細胞/ウェルで細胞を播種して、サブクローニングを行った。クローンの生産性を試験する前に、細胞を3週間放置した。
【0191】
IgG1−Fc断片を含む組換えタンパク質を、プロテインAビーズ(−rProteinA Sepharose fast flow,GE Healthcare,ref.:17−1279−03)を用いて精製する。簡単に述べると、細胞培養上清を濃縮し、遠心分離によって清澄化し、プロテインAカラムに注入し、組換えFc含有タンパク質を捕捉した。タンパク質を酸性pH(クエン酸0.1M pH3)で溶出し、TRIS−HCL pH8.5を用いて即座に中和し、1×PBSで透析した。「six his」タグを含む組換えscFvを、コバルト樹脂を用いてアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。他の組換えscFvを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。
【0192】
実施例2−2:抗CD19−IgG1−Fcmono−抗CD3〜B221、JURKAT、HUT78、及びCHO細胞株の結合分析
細胞を回収して、抗CD19−F1−抗CD3産生細胞の細胞上清で、4℃で1時間染色した。染色緩衝液(PBS 1X/BSA 0.2%/EDTA 2mM)で2回洗浄した後、細胞を、ヤギ抗ヒト(Fc)−PE抗体(IM0550 Beckman Coulter−1/200)で、4℃で30分間染色した。2回の洗浄後、染色物をBD FACS Canto IIで得て、FlowJoソフトウェアを用いて分析した。
【0193】
CD3及びCD19の発現もフローサイトメトリーによって制御した。細胞を回収して、5μlの抗CD3−APC及び5μlの抗CD19−FITC抗体を用いて、PBS 1X/BSA 0.2%/EDTA 2mM緩衝液で、4℃で30分間染色した。2回の洗浄後、染色物をBD FACS Canto IIで得て、FlowJoソフトウェアを用いて分析した。
【0194】
抗CD19−F1−抗CD3タンパク質は、CD3細胞株(HUT78及びJURKAT細胞株)及びCD19細胞株(B221細胞株)に結合するが、陰性対照として使用されるCHO細胞株には結合しない。
【0195】
実施例2−3:
精製抗CD19−F1−抗CD3によるT細胞及びB細胞の凝集
精製抗CD19−F1−抗CD3をT/B細胞凝集アッセイで試験して、抗体が、CD19及びCD3発現細胞の凝集において機能するか否かを評価した。
【0196】
結果が
図4に示されている。上のパネルは、抗CD19−F1−抗CD3は、B221(CD19)又はJURKAT(CD3)細胞株の存在下で凝集を引き起こさないが、B221及びJURKAT細胞の両方が同時にインキュベートされるときに細胞を凝集させることを示し、二重特異的抗体が機能的であることを例示する。下のパネルは、抗体を含まない対照を示す。
【0197】
実施例2−4:
二重特異的単量体FcポリペプチドのFcRnに対する結合性
表面プラズモン共鳴(SPR)による親和性試験
Biacore T100の一般的な手順及び試薬
SPR測定を、Biacore T100装置(Biacore GE Healthcare)で、25℃で行った。全てのBiacore実験では、酢酸緩衝液(50mM酢酸 pH5.6、150mM NaCl、0.1%界面活性剤p20)及びHBS−EP+(Biacore GE Healthcare)がそれぞれ泳動用緩衝液及び再生緩衝液としての役割を果たした。センサーグラムを、Biacore T100 Evaluationソフトウェアで分析した。組換えマウスFcRnをR&D Systemsから購入した。
【0198】
FcRnの固定化
組換えFcRnタンパク質を、Sensor Chip CM5上のデキストラン層のカルボキシル基に共有結合により固定した。チップ表面を、EDC/NHS(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩及びN−ヒドロキシスクシンイミド(Biacore GE Healthcare))で活性化した。FcRnタンパク質を、結合緩衝液(10mM酢酸、pH5.6)で10μg/mlに希釈し、適切な固定化レベル(即ち、2500RU)に達するまで注入した。残りの活性化基の不活性化を、100mMエタノールアミン pH8(Biacore GE Healthcare)を用いて行った。
【0199】
親和性試験
一価親和性試験を、Single Cycle Kinetic(SCK)プロトコルに従って行った。5段階希釈の41.5〜660nMの可溶性分析物(抗体及び二重特異的分子)を(再生なしで)FcRnに添加し、再生の10分前に解離させた。各分析物について、全てのセンサーグラムを、1:1SCK結合モデルを用いてフィッティングした。
【0200】
結果
そのCH2−CH3ドメインが2つの抗原結合ドメイン(ここでは2つのscFv)間に配置された抗CD19−F1−抗CD3を評価して、このような二重特異的単量体Fcタンパク質が、FcRnに対する結合性を維持することができ、それにより、従来の二重特異的抗体と比較して改善されたin vivo半減期を有するか否かを決定した。結果は、FcRN結合性が維持されたことを示し、このモデルは、正常なIgGに対して、2:1の比率(各抗体に対して2つのFcRn)ではなく1:1の比率(各単量体Fcに対して1つのFcRn)を示唆している。結果は
図5に示されている。
【0201】
親和性を、ヒトIgG1定常領域を有するキメラ完全長抗体に対してSPRを用いて評価した。結果が表5に示されている。単量体Fcは、FcRnに対して著しい単量体結合性を維持した(単量体Fc:KD=194nMの親和性;二価結合性を有する完全長抗体:KD=15.4nMの親和性)。
【0202】
実施例3:
多量体二重特異的単量体ポリペプチドの作製
この実験の目的は、開発中の現在利用可能な二重特異的抗体、例えば、DART及びBITE抗体よりも生産上の利点を有する新規な二重特異的形態を開発することにあった。
【0203】
最初の二重特異的タンパク質を、NK細胞上の活性化受容体NKp46に結合する抗NKp46であるように選択された、免疫エフェクター細胞の表面に存在する受容体に結合する結合ドメイン、及びリンパ腫腫瘍抗原に結合する抗CD19であるように選択された抗標的抗原結合ドメインと共に、Fcドメインをポリペプチドに配置するように設計した。この二重特異的タンパク質は、NKp46に一価で結合し、単量体Fcドメインは、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に対する少なくとも部分的な結合を維持するが、ヒトCD16及び/又は他のヒトFcγ受容体には実質的に結合しない。結果として、この二重特異的タンパク質は、Fcγ媒介(例えば、CD16媒介)標的細胞溶解を誘導しない。
【0204】
NK細上の活性化受容体が標的細胞の溶解に寄与し得るかは不明であり、抗NKp46抗体がNKp46をブロックし得るため、細胞毒性がNKp46のトリガーによって媒介することができたか否かは不明であった。本発明者らは、二重特異的タンパク質形態が、NKp46のトリガーを引き起こすことができたか否か、さらに標的細胞の非存在下でNKp46アゴニズムを誘導することなく、標的から離れた不適切なNK活性化及び/又は標的細胞に対する全活性の低下をもたらすことができたか否かを調べた。
【0205】
2つ又は3つのポリペプチド鎖を含み、Fcドメインが単量体を維持している多量体タンパク質を開発し、この多量体タンパク質は、scFv形態に変換されたときにそれらの標的に対する結合を維持しない抗体可変領域と共に使用するのに適合している。この形態は、抗体のスクリーニングに便利に使用することができ、少なくとも1つの結合領域をF(ab)構造として含めることにより、任意の抗標的(例えば、抗腫瘍)抗体可変領域を、抗体がscFvとして結合性を維持するか否かにかかわらず、二重特異的タンパク質内のF(ab)形態として二重特異的構築物で直接発現させて試験することができ、それにより、利用可能な抗体を単純にスクリーニングしてその数を増加させることができる。Fcドメインが単量体を維持するこれらの形態は、標的抗原、例えば、エフェクター細胞受容体及び/又は標的抗原の両方に対する最適な結合を可能にし得る最大の配座柔軟性を維持するという利点を有する。
【0206】
異なる構築物を、実施例2−1に記載の腫瘍抗原CD19に特異的なscFvからの可変ドメインDNA及びアミノ酸配列、及び実施例1に示されたNKp46受容体に特異的な抗体からの異なる可変領域を用いて、二重特異的抗体の調製に使用するために作製した。
【0207】
Fcドメインが、一本鎖ポリペプチドで、又は1つの鎖のみがFcドメインを有する多量体で単量体を維持するために、CH3−CH3二量体化が、2つの異なる戦略:(1)変異(EU付番)L351K、T366S、P395V、F405R、T407A、及びK409Yを含むCH3ドメインの使用によって、又は(2)直列型CH3ドメインが互いに結合された可撓性リンカーによって分離され、それにより、鎖間CH3−CH3二量体化を防止する直列型CH3ドメインの使用によって防止された。点変異を有する単量体CH2−CH3Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、実施例2−1と同様であった。直列型CH3ドメインを有する単量体CH2−CH3−リンカーCH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、
図6A〜
図6Dに示されている。
【0208】
抗CD19 scFvの軽鎖及び重鎖DNA及びアミノ酸配列は、実施例2−1と同様であった。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。以下に、抗NKp46 scFv NKp4646−3の例示的な軽鎖及び重鎖DNA及びアミノ酸配列が示される。
【0209】
【表5】
【0210】
形態1(F1)(抗CD19−IgG1−Fcmono−抗NKp46(scFv))
形態1(F1)のドメイン構造が
図6Aに示されている。二重特異的Fc含有ポリペプチドを、腫瘍抗原CD19(抗CD19 scFv)に特異的なscFv及びNKp46受容体に特異的なscFvをベースに構築した。このポリペプチドは、以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する一本鎖ポリペプチドである。
(VK−VH)
抗CD19−CH2−CH3−(VH−VK)
抗NKp46
【0211】
アミノ酸配列STGSを有するCH3/VHリンカーペプチドをコードするDNA配列を、CH3−VH接合部に特定のSall制限部位を挿入するために設計した。
図2には、最終ポリペプチドのドメイン配置が示されている(CH2ドメインの星は、任意選択のN297S変異を示す)。(VK−VH)単位は、VHドメインとVKドメインとの間にリンカーを含む。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。
【0212】
形態2(F2):CD19−F2−NKp46−3
F2ポリペプチドのドメイン構造が
図6Aに示されている。単量体CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、実施例2−1と同様であり、CH3ドメイン変異(変異(EU付番)L351K、T366S、P395V、F405R、T407A、及びK409Y)を含む。ヘテロ二量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
(VK−VH)
抗CD19−CH2−CH3−VH
抗NKp46−CH1、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK
抗NKp46−CK
【0213】
(VK−VH)単位は、VHドメイン、リンカー、及びVK単位(即ち、scFv)から構成されていた。二重特異的ポリペプチドの他の形態と同様に、アミノ酸配列STGSを有するCH3/VHリンカーペプチドをコードするDNA配列を、CH3−VH接合部に特定のSall制限部位を挿入するために設計した。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。CD19−F2−NKp46−3のポリペプチド鎖1のアミノ酸配列は、配列番号11に示され、CD19−F2−NKp46−3のポリペプチド鎖2のアミノ酸配列は、配列番号12に示されている。
【0214】
形態8(F8)
F8ポリペプチドのドメイン構造が
図6Bに示されている。単量体CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、CH3ドメイン変異(変異(EU付番)L351K、T366S、P395V、F405R、T407A、及びK409Y、並びにN連結グリコシル化を防止してFcγR結合性を消失させるためのN297S変異)を含む形態F2と同様であった。F8タンパク質の3つの変異体を作製した:(a)ヒンジ領域のシステイン残基が完全なままである(野生型、F8Aと呼ばれる)、(b)ヒンジ領域のシステイン残基がセリン残基によって置換されている(F8B)、及び(c)リンカー配列GGGSSがヒンジの残基DKTHTCPPCPを置換している(F8C)。変異型F8B及びF8Cは、中心鎖のホモ二量体の形成を防止することによって作製に利点を提供した。ヘテロ三量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
VH
抗CD19−CH1−CH2−CH3−VH
抗NKp46−CK、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK
抗NKp46−CH1、及び
(3)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第3のポリペプチド鎖:
VK
抗CD19−CK
【0215】
タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、3.7mg/L(F8C)の高い産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。F8「C」変異体の3つのF8タンパク質鎖のアミノ酸配列は、配列番号13、14、及び15に示されている。
【0216】
形態9(F9):CD19−F9−NKp46−3
F9ポリペプチドは、中心ポリペプチド鎖、及びそれぞれCH1−CKの二量体化によって中心鎖に結合された2つのポリペプチド鎖を有する三量体ポリペプチドである。三量体F9タンパク質のドメイン構造が
図6Bに示されており、CH1とCKドメインとの間の結合は、鎖間ジスルフィド結合である。2つの抗原結合ドメインは、抗体がscFv形態で機能を支持するか否かにかかわらず、この抗体の使用を可能にするF(ab)構造を有する。CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、同じポリペプチド鎖状の2つのCH3ドメインが互いに結合した直列型CH3ドメインを含み、それにより、異なる二重特異的タンパク質間の二量体化が防止された。CH2ドメインは、N297S置換を含んでいた。F9タンパク質の3つの変異体を作製した:(a)ヒンジ領域のシステイン残基が完全なままである(野生型、F9Aと呼ばれる)、(b)ヒンジ領域のシステイン残基がセリン残基によって置換されている(F9B)、及び(c)リンカー配列GGGSSがヒンジの残基DKTHTCPPCPを置換している(F9C)。変異型F9B及びF9Cは、中心鎖のホモ二量体の形成を防止することによって作製に利点を提供した。このヘテロ三量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
VH
抗CD19−CH1−CH2−CH3−CH3−VH
抗NKp46−CK、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK
抗NKp46−CH1、及び
(3)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第3のポリペプチド鎖:
VK
抗CD19−CK
【0217】
タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、8.7mg/L(F9A)及び3.0mg/L(F9B)の高い産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。変異体F9A、F9B、及びF9Cそれぞれの3つのF9タンパク質鎖のアミノ酸配列は、以下の表に列記された配列番号に示されている。
【0218】
【表6】
【0219】
形態10(F10):CD19−F9−NKp46−3
F10ポリペプチドは、中心ポリペプチド鎖、及びCH1−CKの二量体化によって中心鎖に結合された第2のポリペプチド鎖を有する二量体タンパク質である。二量体F10タンパク質のドメイン構造が
図6Bに示され、CH1とCKドメインとの間の結合は、鎖間ジスルフィド結合である。2つの抗原結合ドメインの一方はFab構造を有し、且つ他方はscFvである。CH2−CH3 Fc部分のDNA及びアミノ酸配列は、形態F9と同様の直列型CH3ドメイン及びN297S置換を有するCH2ドメインを含んでいた。加えて、F10タンパク質の3つの変異体を作製した:(a)ヒンジ領域のシステイン残基が完全なままである(野生型、F10Aと呼ばれる)、(b)ヒンジ領域のシステイン残基がセリン残基によって置換されている(F10B)、及び(c)リンカー配列GGGSSがヒンジの残基DKTHTCPPCPを置換している(F10C)。変異型F10B及びF10Cは、中心鎖のホモ二量体の形成を防止することによって作製に利点を提供した。(VK−VH)単位は、VHドメイン、リンカー、及びVK単位(scFv)から構成されていた。ヘテロ二量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
VH
抗CD19−CH1−CH2−CH3−CH3−(VH−VK)
抗NKp46、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK
抗CD19−CK。
【0220】
タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、2mg/L(F10A)の良好な産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。変異体F10A、F10B、及びF10Cそれぞれの3つのF9タンパク質鎖のアミノ酸配列は、以下の表に列記された配列番号に示されている。
【0221】
【表7】
【0222】
形態11(F11):CD19−F11−NKp46−3
F11ポリペプチドのドメイン構造が
図6Cに示されている。このヘテロ二量体タンパク質は、F10に類似しているが、抗原結合ドメインの構造が逆である。2つの抗原結合ドメインの一方は、Fab様構造を有し、他方はscFvである。このヘテロ二量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
(VK−VH)
抗CD19−CH2−CH3−CH3−VH
抗NKp46−CK、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK
抗NKp46−CH1
【0223】
タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、2mg/Lの良好な産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。F11タンパク質の2つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号31及び32に示されている。
【0224】
形態12(F12):CD19−F12−NKp46−3
二量体F12ポリペプチドのドメイン構造が
図6Cに示されており、CH1とCKドメインとの間の結合は、ジスルフィド結合である。このヘテロ二量体タンパク質は、F11に類似しているが、F(ab)構造内のCH1とCKドメインが逆である。このヘテロ二量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
(VK−VH)
抗CD19−CH2−CH3−CH3−VH
抗NKp46−CH1、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK
抗NKp46−CK
【0225】
タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、2.8mg/Lの良好な産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。F12タンパク質の2つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号33及び34に示されている。
【0226】
形態17(F17):CD19−F17−NKp46−3
三量体F17ポリペプチドのドメイン構造が
図6Cに示されており、CHとCKドメインとの間の結合はジスルフィド結合である。ヘテロ二量体タンパク質は、F9と同様であるが、VH及びVKドメイン、並びにC末端F(ab)構造内のCH1及びCKドメインは、それぞれ、それらのパートナーと逆である。このヘテロ二量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
VH
抗CD19−CH1−CH2−CH3−CH3−VK
抗NKp46−CH1、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VH
抗NKp46−CK、及び
(3)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第3のポリペプチド鎖:
VK
抗CD19−CK
【0227】
加えて、F17タンパク質の3つの変異体を作製した:(a)ヒンジ領域のシステイン残基が完全なままである(野生型、F17Aと呼ばれる)、(b)ヒンジ領域のシステイン残基がセリン残基によって置換されえいる(F10B)、及び(c)リンカー配列GGGSSがヒンジの残基DKTHTCPPCPを置換している(F17C)。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。F17Bタンパク質鎖の3つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号35、36、及び37に示されている。
【0228】
実施例4:
二量体Fcドメインを有する二重特異的NKp46抗体形態
二量体Fcドメインを有する新規なタンパク質構築物を開発し、このタンパク質構築物は、実施例3の単量体Fcドメインタンパク質の利点を共有するが、高い親和性でFcRnに結合し、さらにFcγRに対して低い結合性を有するか、又は結合性が消失している。このポリペプチド形態を、VH−(CH1又はCK)−CH2−CH3−を含む鎖及びVK−(CH1又はCK)−CH2−CH3−を含む鎖を含むヘテロ二量体タンパク質の機能を調べるために試験した。次いで、CH3ドメインの一方又は両方は、任意選択により介在アミノ酸配列若しくはドメインを介して、可変ドメイン(分離されたポリペプチド鎖上の可変ドメインに結合する単一可変ドメイン)、直列型可変ドメイン(例えば、scFv)、又は単一可変ドメインとして抗原に結合することができる単一可変ドメインに融合される。次いで、2つの鎖が、CH1−CK二量体化によって結合してジスルフィド結合二量体を形成するか、又は第3鎖と結合して三量体を形成する。
【0229】
様々な構築物を、二重特異的抗体の調製に使用するために、実施例2−1に記載の腫瘍抗原CD19に特異的なscFvに由来する可変ドメインDNA及びアミノ酸配列及び実施例1で明らかにされたNKp46に特異的な抗体からの異なる可変領域を用いて作製した。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。ドメイン構造は、
図6A〜
図6Dに示されている。
【0230】
形態5(F5):CD19−F5−NKp46−3
三量体F5ポリペプチドのドメイン構造が
図6Dに示されており、ヒンジドメイン間の鎖間結合及びCH1とCKドメインとの間の鎖間結合は鎖間ジスルフィド結合である。ヘテロ三量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
VH
抗CD19−CH1−CH2−CH3−VH
抗NKp46−CK、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK
抗CD19−CK−CH2−CH3、及び
(3)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第3のポリペプチド鎖:
VK
抗NKp46−CH1
【0231】
タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、37mg/Lの高い産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。3つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号38、39、及び40に示されている。
【0232】
形態6(F6):CD19−F6−NKp46−3
ヘテロ三量体F6ポリペプチドのドメイン構造が
図6Dに示されている。F6タンパク質は、F5と同じであるが、N連結グリコシル化を防止するためのN297S置換を有する。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、12mg/Lの高い産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。F6タンパク質の3つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号41、42、及び43に示されている。
【0233】
形態7(F7):CD19−F7−NKp46−3
ヘテロ三量体F7ポリペプチドのドメイン構造が
図6Dに示されている。F7タンパク質は、F6と同じであるが、中心鎖とVK
抗NKp46−CH1鎖との二量体種の少数集団の形成を防止するために、それらのC末端でFcドメインに連結されたCH1及びCKドメインにシステインのセリンでの置換を有する。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、11mg/Lの高い産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。76タンパク質の3つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号44、45、及び46に示されている。
【0234】
形態13(F13):CD19−F13−NKp46−3
二量体F13ポリペプチドのドメイン構造が
図6Dに示されており、ヒンジドメイン間の鎖間結合(鎖上のCH1/CKとCH2ドメイン間に示されている)及びCH1とCKドメインとの間の鎖間結合は、鎖間ジスルフィド結合である。このヘテロ二量体は、以下から構成される。
(1)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第1(中心)のポリペプチド鎖:
VH
抗CD19−CH1−CH2−CH3−(VH−VK)
抗NKp46、及び
(2)以下のように(N末端からC末端に)配置されたドメインを有する第2のポリペプチド鎖:
VK
抗CD19−CK−CH2−CH3
【0235】
(VH−VK)単位は、VHドメイン、リンカー、及びVK単位(scFv)から構成されていた。
【0236】
タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、6.4mg/Lの高い産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。F13タンパク質の2つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号47及び48に示されている。
【0237】
形態14(F14):CD19−F14−NKp46−3
二量体F14ポリペプチドのドメイン構造が
図6Eに示されている。F14ポリペプチドは、F13形態の構造を共有する二量体ポリペプチドであるが、野生型Fcドメイン(CH2−CH3)の代わりに、F14は、N連結グリコシル化をなくすためにCH2ドメイン変異N297Sを有する。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、2.4mg/Lの高い産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。F14タンパク質の2つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号49及び50に示されている。
【0238】
形態15(F15):CD19−F15−NKp46−3
三量体F15ポリペプチドのドメイン構造が
図6Eに示されている。F15ポリペプチドは、F6形態の構造を共有するが、中心鎖と第2鎖との間のN末端VH−CH1単位とVK−CK単位とが逆であるため、異なっている三量体ポリペプチドである。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。二重特異的タンパク質を、prot−Aビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製し、分析し、且つSECによって精製した。このタンパク質は、0.9mg/Lの良好な産生収率を示し、単純なSECプロフィールを有していた。F15タンパク質の3つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号51、52、及び53に示されている。
【0239】
形態16(F16):CD19−F16−NKp46−3)
三量体F16ポリペプチドのドメイン構造が
図6Eに示されている。F16ポリペプチドは、F6形態の構造を共有するが、中心鎖と第2鎖との間のC末端VH−CK単位とVK−CH1単位とが逆であるため、異なっている三量体ポリペプチドである。タンパク質を、実施例2−1と同様にクローニングし、産生し、且つ精製した。F16タンパク質の3つの鎖のアミノ酸配列は、配列番号54、55、及び56に示されている。
【0240】
実施例5:
表面プラズモン共鳴(SPR)による、二重特異的タンパク質によるNKp46結合親和性
Bacore T100の一般的な手順及び試薬
SPR測定を、Biacore T100装置(Biacore GE Healthcare)で、25℃で行った。全てのBiacore実験では、HBS−EP+(Biacore GE Healthcare)及びNaOH 10mMは、それぞれ泳動用緩衝液及び再生緩衝液としての役割を果たした。センサーグラムを、Biacore T100 Evaluationソフトウェアで分析した。プロテインAを(GE Healthcare)から購入した。ヒトNKp46組換えタンパク質を、クローニングし、産生し、且つInnate Pharmaで精製した。
【0241】
プロテインAの固定化
プロテインAタンパク質を、Sensor Chip CM5上のデキストラン層のカルボキシル基に共有結合により固定した。チップ表面を、EDC/NHS(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩及びN−ヒドロキシスクシンイミド(Biacore GE Healthcare))で活性化した。プロテインAを、結合緩衝液(10mM酢酸、pH5.6)で10μg/mlに希釈し、適切な固定化レベル(即ち、2500RU)に達するまで注入した。残りの活性化基の不活性化を、100mMエタノールアミン pH8(Biacore GE Healthcare)を用いて行った。
【0242】
結合試験
抗体を、異なる形態F5、F6、F9、F10、F11、F13、F14として試験し、一本鎖形態(F1)、及び完全長ヒトIgG1のような抗NKp46抗体と比較した。
【0243】
二重特異的タンパク質を1μg/mLで、プロテインAチップ上で捕捉し、組換えヒトNKp46タンパク質を、5μg/mLで、捕捉した二重特異的抗体に注入した。ブランク差し引きのために、サイクルを再び行って、NKp46タンパク質を泳動用緩衝液に替えた。
【0244】
親和性試験
一価親和性試験を、製造者(Biacore GE Healthcare kinetic wizard)が推奨する正規のCapture−Kineticプロトコルに従って行った。6.25〜400nMの範囲のヒトNKp46組換えタンパク質の7段階希釈物を、捕捉した二重特異的抗体に連続的に注入し、再生の10分前に解離させた。全てのセンサーグラムのセットを、1:1動態結合モデルを用いてフィッティングした。
【0245】
結果
SPRは、形態F1、F5、F6、F9、F10、F11、F13、F14の二重特異的ポリペプチドがNKp46に対する結合性を維持したことを示した。
【0246】
一価親和性並びに動力学的結合及び解離速度定数が、以下の表3に示されている。
【0247】
【表8】
【0248】
実施例6:
Daudi腫瘍標的に対するNK細胞とFc含有NKp46xCD19二重特異的タンパク質との結合
単量体Fcドメイン及び実施例3に記載の一本鎖F1又は二量体F2形態に従って配置されたドメイン、及び様々な抗NKp46可変ドメイン(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、又はNKp46−4)をベースとするNKp46結合領域を有する二重特異的抗体を、NK細胞にCD19陽性腫瘍標的細胞(Bリンパ芽球細胞株によって十分に特徴付けられるDaudi)を溶解させる機能的能力について試験した。F2タンパク質は、scFv形態ではNKp46に対する結合性を失うが、F2のF(ab)様形態では結合性を維持するNKp46−9の可変領域をさらに含んでいた。
【0249】
簡単に述べると、(a)静止ヒトNK細胞、及び(b)ヒトNKp46でトランスフェクトされたヒトNK細胞株KHYG−1のそれぞれの細胞溶解活性を、U底96ウェルプレートで、典型的な4時間の
51Cr放出アッセイで評価した。Daudi細胞を
51Cr(50μCi(1.85MBq)/1×10
6細胞)で標識し、次いで、異なる濃度の単量体二重特異的抗体の存在下で、KHYG−1では50、静止NK細胞では(F1タンパク質に対して)10又は(F2タンパク質に対して)8.8に等しいエフェクター/標的比で、hNK46でトランスフェクトされたKHYG−1と混合した。短時間の遠心分離及び37℃で4時間のインキュベーション後、上清のサンプルを取り出して、LumaPlate(Perkin Elmer Life Sciences,Boston,MA)に移し、
51Crの放出をTopCount NXT ベータ検出器(PerkinElmer Life Sciences,Boston,MA)で測定した。全ての実験条件を3連で分析し、特異的溶解のパーセンテージを以下のように決定した:100×(平均cpm実験放出−平均cpm自然放出)/(平均cpm総放出−平均cpm自然放出)。総放出のパーセンテージは、2% Triton X100(Sigma)での標的細胞の溶解によって得られ、自然放出は、培地(エフェクターもAbsも含まない)中の標的細胞に一致する。
【0250】
結果
KHYG−1 hNKp46 NK実験モデルでは、各二重特異的抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、又はNKp46−9が、陰性対照(ヒトIgG1アイソタイプ対照(IC)及びCD19/CD3二重特異的抗体)と比較して、ヒトKHYG−1 hNKp46 NK細胞株によるDaudi細胞の特異的溶解を誘導し、それにより、これらの抗体が、CD19/NKp46架橋によってKHYG−1 hNKp46によるDaudi標的細胞の溶解を誘導することが示された。
【0251】
静止NK細胞をエフェクターとして使用したときに、各二重特異的抗体NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、又はNKp46−9が同様に、陰性対照(ヒトIgG1アイソタイプ対照(IC)抗体)と比較して、ヒトNK細胞によるDaudi細胞の特異的溶解を誘導し、それにより、これらの抗体が、CD19/NKp46架橋によってヒトNK細胞によるDaudi標的細胞の溶解を誘導することが示された。リツキシマブ(RTX、キメラIgG1)を、静止ヒトNK細胞によるADCC(抗体依存性細胞傷害)の陽性対照として使用した。RTX(このアッセイでは10μg/mlで)で得られた最大応答は、21.6%の特異的溶解であり、二重特異的抗体が高い標的細胞溶解活性を有することを例証した。静止NK細胞での実験の結果は、一本鎖F1タンパク質については
図7Aに示され、二量体Fcタンパク質については
図7Bに示されている。
【0252】
実施例7:
完全長抗NKp46 mAbと枯渇抗腫瘍mAbとの比較:NKp46xCD19二重特異的タンパク質が非特異的NK活性化を防止する
これらの試験は、二重特異的抗体が、非特異的NK細胞の活性化を引き起こすことなく、癌標的細胞に対するNKp46媒介NK活性化を媒介できるか否かを調べることを目的とした。
【0253】
NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、又はNKp46−9からの抗NKp46可変ドメインを有する実施例3に記載のF2形態に従った配置を有するNKp46xCD19二重特異的タンパク質を、以下と比較した:
(a)完全長単一特異的抗NKp46抗体(ヒトIgG1のようなNKp46−3)、及び
(b)ADCC誘導抗体対照比較(ADCC inducing antibody control comparator)としての完全長ヒトIgG1のような抗CD19抗体。
【0254】
実験は、対照として以下をさらに含んでいた:リツキシマブ、高い発現レベルを有する標的抗原の抗CD20 ADCC誘導抗体対照;抗CD52抗体アレムツヅマブ、標的細胞及びNK細胞の両方に存在するCD52標的に結合するヒトIgG1;並びに陰性対照アイソタイプ対照治療抗体(標的細胞(HUG1−IC)に存在する標的に結合しないヒトIgG1)。
【0255】
様々なタンパク質を、CD19陽性腫瘍標的細胞(Daudi細胞)の存在下、CD19陰性CD16陽性標的細胞(HUT78 Tリンパ腫細胞)の存在下、且つ標的細胞の非存在下でのNK細胞の活性化に対する機能的な影響について試験した。
【0256】
簡単に述べると、NK活性化を、フローサイトメトリーによって、NK細胞でのCD69及びCD107の発現を評価することによって試験した。アッセイは、完全RPMI、150μL最終/ウェルで、96Uウェルプレートで行った。エフェクター細胞は、ドナーから精製した新鮮なNK細胞とした。標的細胞は、Daudi(CD19−陽性)、HUT78(CD19−陰性)、又はK562(NK活性化対照細胞株)とした。K562陽性対照に加えて、以下の3つの条件を試験した。
>NK細胞のみ
>NK細胞対Daudi(C19+)
>NK細胞対HUT78(CD19−)
【0257】
エフェクター:標的(E:T)比は、2.5:1(50,000E:20,000T)とし、抗体の希釈範囲は、1/4希釈で10μg/mLから始めた(n=8の濃度)。抗体、標的細胞、及びエフェクター細胞を混合し、300gで1分間回転させ、37℃で4時間インキュベートし、500gで3分間回転させ、染色緩衝液(SB)で2回洗浄し、50μLの染色Abミックスを加え、300gで30分間インキュベートし、CellFixを含むSB再懸濁ペレットで2回洗浄し、4℃で一晩保存し、Canto II(HTS)で蛍光を明らかにした。
【0258】
結果
1.NK細胞のみ
結果は
図8Aに示されている。標的抗原発現細胞の非存在下で、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、及びNKp46−9の可変領域のそれぞれを含む)はいずれも、CD69又はCD107の発現による評価によるとNK細胞を活性化しなかった。完全長抗CD19もNK細胞を活性化しなかった。しかしながら、完全長抗NKp46抗体は、NK細胞の検出可能な活性化を引き起こした。アレムツヅマブも非常に高いレベルでNK細胞の活性化を誘導した。アイソタイプ対照抗体は、活性化を誘導しなかった。
【0259】
2.NK細胞対Daudi(CD19+)
結果は
図8Bに示されている。標的抗原発現細胞の存在下で、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、及びNKp46−9の結合ドメインのそれぞれを含む)は全て、NK細胞を活性化した。完全長抗CD19は、最良でも非常に低いNK細胞の活性化のみを示した。完全長抗NKp46抗体もアレムツヅマブも、NK細胞のみの存在下で観察された活性化を超えた活性化の実質的な増加を示さなかった。
図8Bは、完全長抗NKp46抗体が、NK細胞のみの存在下で観察されたベースライン活性化と同様のレベルを示すことを示す。アレムツヅマブも、NK細胞のみの存在下で観察された活性と同様のレベルのNK細胞の活性化を誘導し、この設定のより高い抗体濃度(ET 2.5:1)では、活性化は、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体を用いたときよりも高かった。アイソタイプ対照抗体は、活性化を誘導しなかった。
【0260】
3.NK細胞対HUT78(CD19−)
結果は
図8Cに示されている。標的抗原陰性HUT78細胞の存在下で、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、及びNKp46−9の可変領域のそれぞれを含む)は全て、NK細胞を活性化した。しかしながら、完全長抗NKp46抗体及びアレムツヅマブは、NK細胞のみの存在下で観察された同様のレベルでNK細胞の検出可能な活性化を引き起こした。アイソタイプ対照抗体は、活性化を誘導しなかった。
【0261】
結論として、二重特異的抗NKp46タンパク質は、完全長単一特異的抗NKp46抗体、及び標的細胞の非存在下で同様にNK細胞を活性化する枯渇IgGアイソタイプの完全長抗体とは異なり、標的細胞特異的にNK細胞を活性化することができる。抗NKp46二重特異的タンパク質で達成されるNK細胞の活性化は、完全長抗CD19 IgG1抗体で観察される活性化よりも高かった。
【0262】
実施例8:
低いET比での枯渇抗腫瘍mAb:NKp46xCD19二重特異的タンパク質の効果の比較
これらの試験は、二重特異的抗体が、低いエフェクター:標的比で、癌標的細胞に対するNKp46媒介NK細胞活性化を媒介できるか否かを調べることを目的とした。この実施例に使用されるET比は、実施例7で使用された2.5:1のET比又は実施例6の10:1のET比よりもin vivoで遭遇するであろう設定に近いと考えられる1:1とした。
【0263】
NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、又はNKp46−9からの抗NKp46可変ドメインを有する実施例3に記載のF2形態に従った配置を有するNKp46xCD19二重特異的タンパク質を、以下と比較した:
(a)完全長単一特異的抗NKp46抗体(ヒトIgG1のようなNKp46−3)、及び
(b)ADCC誘導抗体対照比較としての完全長ヒトIgG1のような抗CD19抗体。
【0264】
実験は、対象として以下をさらに含んでいた:リツキシマブ(高い発現レベルを有する標的抗原の抗CD20 ADCC誘導抗体対照);抗CD52抗体アレムツヅマブ(標的細胞及びNK細胞の両方に存在するCD52標的に結合するヒトIgG1)、並びに陰性対照アイソタイプ対照治療抗体(標的細胞(HUG1−IC)に存在する標的に結合しないヒトIgG1)。様々なタンパク質を、CD19陽性腫瘍標的細胞(Daudi細胞)の存在下、CD19陰性CD16陽性標的細胞(HUT78 Tリンパ腫細胞)の存在下、且つ標的細胞の非存在下でのCD69又はCD107の発現により評価される、NK細胞活性化に対する機能的な影響について試験した。これらの実験は、ET比を1:1としたことを除いて実施例7と同様に行った。
【0265】
結果
結果は
図9に示されている(上のパネル:CD107及び下のパネル:CD69)。標的抗原発現細胞の存在下では、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体(NKp46−1、NKp46−2、NKp46−3、NKp46−4、及びNKp46−9の可変領域のそれぞれを含む)は全て、Daudi細胞の存在下でNK細胞を活性化した。
【0266】
Daudi細胞の存在下で二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体によって誘導される活性化は、この設定で低い活性を有するADCC誘導抗体のような完全長ヒトIgG1抗CD19抗体よりも遥かに強力であった。さらに、この低いE:T比の設定では、二重特異的抗NKp46x抗CD19抗体によって誘導される活性化は、抗CD20抗体リツキシマブと同程度に強力であり、差異は、差異が2.5:1のET比で観察された濃度よりも10倍高い最高濃度でのみ観察された。
【0267】
標的細胞の非存在下又は標的抗原陰性HUT78細胞の存在下では、完全長抗NKp46抗体及びアレムツヅマブは、Daudi細胞の存在下で観察されたベースライン活性化と同様のレベルを示した。抗NKp46x抗CD19抗体は、HUT78細胞の存在下でNK細胞を活性化しなかった。
【0268】
結論として、二重特異的タンパク質は、標的細胞特異的にNK細胞を活性化することができ、より低いエフェクター:標的比は、NK細胞の活性化の媒介において従来のヒトIgG1抗体よりも有効である。
【0269】
実施例9:
動作機序の試験
NKp46−3からの抗NKp46可変ドメインを有する実施例3又は4に記載のF2、F3(一本鎖形態)、F5、又はF6形態に従った配置を有するNKp46x抗CD19二重特異的抗体を、CD16−/NKp46+NK細胞株にCD19陽性腫瘍標的細胞を溶解させる機能的能力について、リツキシマブ(抗CD20 ADCC誘導抗体)、及びヒトIgG1アイソタイプ対照抗体と比較した。
【0270】
簡単に述べると、CD16−/NKp46+ヒトNK細胞株KHYG−1の細胞溶解活性を、U底96ウェルプレートで、典型的な4時間の
51Cr放出アッセイで評価した。Daudi細胞又はB221細胞を
51Cr(50μCi(1.85MBq)/1×10
6細胞)で標識し、次いで、1/5希釈(n=8の濃度)で10
−7mol/mLから始まる希釈範囲の試験抗体の存在下、50:1に等しいエフェクター/標的比でKHYG−1と混合した。
【0271】
短時間の遠心分離及び37℃で4時間のインキュベーション後、50μLの上清を取り出して、LumaPlate(Perkin Elmer Life Sciences,Boston,MA)に移し、
51Crの放出をTopCount NXTベータ検出器(PerkinElmer Life Sciences,Boston,MA)で測定した。全ての実験条件を3連で分析し、特異的溶解のパーセンテージを以下のように決定した:100×(平均cpm実験放出−平均cpm自然放出)/(平均cpm総放出−平均cpm自然放出)。総放出のパーセンテージは、2% Triton X100(Sigma)での標的細胞の溶解によって得られ、自然放出は、培地(エフェクターもAbsも含まない)中の標的細胞に一致する。
【0272】
結果
結果は、
図10A(KHYG−1対Daudi)及び
図10B(KHYG−1対B221)に示されている。KHYG−1 hNKp46 NK実験モデルでは、各NKp46xCD19二重特異的タンパク質(形態F2、F3、F5、及びF6)は、ヒトKHYG−1 hNKp46 NK細胞株によるDaudi細胞又はB221細胞の特異的溶解を誘導したが、リツキシマブ及びヒトIgG1アイソタイプ対照(IC)抗体は誘導しなかった。
【0273】
実施例10:
様々な二重特異的形態のFcRnに対する結合性
様々な抗体形態のヒトFcRNに対する親和性を、実施例2〜5に記載されているように、組換えFcRnタンパク質をSensor Chip CM5上のデキストラン層のカルボキシル基に共有結合により固定化することによって、表面プラズモン共鳴(SPR)によって試験した。
【0274】
ヒトIgG1定常領域を有するキメラ完全長抗CD19抗体、及びNKp46−3(F2ではNKp46−2)からの抗NKp46可変ドメインを有する実施例3又は4に記載のF5、F6、F9、F10、F11、F13、又はF14形態に従った配置を有するNKp46xCD19二重特異的タンパク質をそれぞれの分析物について試験し、全てのセンサーグラムを、定常状態又は1:1のSCK結合モデルを用いてフィッティングした。
【0275】
結果は以下の表に示されている。二量体Fcドメイン(形態F5、F6、F13、F14)を有する二重特異的タンパク質は、完全長IgG1抗体の親和性と同様の親和性でFcRnに結合した。単量体Fcドメイン(F9、F10、F11)を有する二重特異的タンパク質もFcRnに対する結合性を示したが、二量体Fcドメインを有する二重特異的タンパク質よりも低い結合性であった。
【0276】
【表9】
【0277】
実施例11:
抗CD19x抗NKp46のFcγRに対する結合性
ここでは2つのscFvである2つの抗原結合ドメイン間に配置されたそのCH2−CH3ドメインを有する抗CD19−F1−抗NKp46を、このような二重特異的単量体Fcタンパク質が、Fcγ受容体に対する結合性を維持できるか否かを決定するために評価した。
【0278】
ヒトIgG1抗体及びCD19/NKp46−1二重特異的抗体をCM5チップに固定した。組換えFcγR(カニクイザル及びヒトCD64、CD32a、CD32b、及びCD16)をクローニングし、産生し、且つInnate Pharmaで精製した。
図11は、固定化ヒトIgG1対照(灰色)及びCD19/NKp46−1二重特異的抗体(黒色)に対するカニクイザル(Macaca fascicularis)組換えFcgR(上のパネル;CyCD64、CyCD32a、CYCD32b、CyCD16)及びヒト組換えFcgR(下のパネル;HuCD64、HuCD32a、HuCD32b、HuCD16a)の結合性を示す重畳センサーグラムを示す。センサーグラムは、サンプルの注入開始時にy軸及びx軸で0に合わせた。
【0279】
図11は、完全長野生型ヒトIgG1が全てのカニクイザル及びヒトFcγ受容体に結合したが、CD19/NKp46−1二重特異的抗体がいずれの受容体にも結合しなかったことを示す。
【0280】
実施例12:
既存の形態と比較して改善された様々な二重特異的形態の産生プロフィール及び産生収率
ブリナツモマブ、並びにF1〜F7形態及びNKp46−3をベースとするNKp46及びCD19結合領域を有する2つの二重特異的抗体、並びにブリナツモマブをそれぞれ同じプロトコルに従って、同じ発現系を用いて形態6(F6)、DART形態、及びBITE形態の下でクローニングし、産生した。F6、DART、及びBITE二重特異的タンパク質を、F6にはprot−Aビーズを用い、DART及びBITEにはNI−NTAビーズを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製した。精製されたタンパク質をさらに分析し、且つSECによって精製した(
図12A)。BITE及びDARTは、F6と比較して非常に低い産生収率を示し、非常に複雑なSECプロフィールを有していた。
図12B(矢印)に示されているように、DART及びBITEは、予想SEC画分(BITEでは3及び4、DARTでは4及び5)でのクマーシー染色後のSDS−PAGEによってわずかに検出可能であり、F6形態は、単量体二重特異的タンパク質を含む主ピーク(画分3)を有する、明確で単純なSEC及びSDS−PAGEプロフィールを示した。F6形態の主ピークは、全タンパク質の約30%に一致する。これらの観察は、F1〜F17タンパク質にも当てはまり(データは不図示)、これらの形態中に存在するFcドメイン(又はFc由来ドメイン)が産生を促進し、二重特異的タンパク質の質及び溶解性を改善することを示唆している。
【0281】
さらに、タンパク質F1〜F17中に存在するFcドメインは、例えば、プロテインAによって精製することができないBiTe及びDART抗体の場合、治療製品の不所望の部分として後に残存するペプチドタグの組み込みを必要とすることなく、アフィニティークロマトグラフィーに適応しているという利点を有する。F1〜F17抗体は全て、プロテインAに結合される。以下の表は、様々な形態の産生性を示す。
【0282】
【表10】
【0283】
表題及び副題は、本明細書では便宜のためにのみ使用され、本発明を限定すると決して一切解釈するべきではない。上述の要素の全ての可能なバリエーションでのあらゆる組み合わせが、本明細書に特段の記載がない限り、又は文脈から他の旨である場合を除き、本発明に包含される。本明細書で述べられた値の範囲は、本明細書に特段の記載がない限り、範囲内に含まれるそれぞれの別個の値について個々に述べられる省略方法の役割を単に果たすものであり、それぞれの別個の値は、本明細書で個々に述べられたかのように本明細書に包含される。特段の記載がない限り、本明細書に記載される全ての正確な値は、対応するおおよその値を代表する(例えば、特定の因子又は測定値に関して記載される全ての正確な例示的な値は、適切な場合は「約」によって変更される、対応するおおよその測定値を示すものと見なすことができる)。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に特段の記載がない限り、又は文脈から他の旨である場合を除き、任意の適切な順序で行うことができる。
【0284】
本明細書に記載されるあらゆる例又は例示的な語(例えば、「〜など」)の使用は、単に本発明をより明確にするためのものであり、特段の記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明確な記載がない限り、いずれの要素も本発明の実施に不可欠であることを示すと解釈される語は本明細書には存在しない。
【0285】
語、例えば、1つ又は複数の要素を指す語を用いた、本発明の任意の態様又は実施形態の本明細書の説明は、特段の記載がない限り、又は文脈から明確に他の旨である場合を除き、その1つ又は複数の特定の要素「からなる」、「から実質的になる」、又は「を実質的に含む」本発明の同様の態様又は実施形態を支援するためである(例えば、特定の要素を含むとして本明細書に記載される組成物は、特段の記載がない限り、又は文脈から明確に他の旨である場合を除き、その要素からなる組成物の記載でもあることを理解されたい)。
【0286】
本発明は、適用される法律によって許容される最大程度まで、本明細書に記載される態様又は請求項で述べられる主題の全ての変更形態及び均等物を含む。
【0287】
本明細書で述べられる全ての刊行物及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物又は特許出願が、参照により含められると具体的且つ個別に示されたかのように、参照によりそれらの全内容が本明細書に組み入れられる。
【0288】
前述の発明は、理解を明確にするために例示及び例によってある程度詳細に説明されたが、当業者であれば、添付の特許請求の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の変形形態及び変更形態をなし得ることが本発明の教示から明白であろう。