【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の幾つかの実施形態に係るアキュムレータ1の構成を示す縦断面図である。同図に示すように、アキュムレータ1は、少なくとも一端が閉塞された略円筒状の圧力容器10と、この圧力容器10の内部空間を液室16(油室)とガス室18(気室)とに仕切る隔壁部と、を備えている。幾つかの実施形態において、アキュムレータ1は、上記隔壁部として、圧力容器10内に収容されたベローズ機構40を備えていてもよい。
このようなアキュムレータ1は、例えば、車両におけるブレーキ用又はクラッチ用の油圧回路等に接続されて用いられ、上記油圧回路との間で作動油(作動流体)の流出入を許容するように構成される。即ち、アキュムレータ1は、上記油圧回路における作動油の圧力変動(例えば、脈動等)を吸収したり蓄圧したりする緩衝装置として機能する。
【0019】
幾つかの実施形態において、アキュムレータ1は、ベローズ機構40(隔壁部)の内部が液室16とされ、同外部がガス室18(即ち、ガス貯留部)とされた、所謂、外ガスタイプのアキュムレータ1として構成され得る(例えば、
図1参照)。
【0020】
幾つかの実施形態において、圧力容器10は、接合部としての溶接線14を介して互いに接合された第1部分20と第2部分30とを含む。
【0021】
第1部分20は、略円筒状の鋼材(鋼管)で形成された外筒部21と、この外筒部21における中心軸A方向の一端を閉塞するようにして略円形の平板状に形成された底板部22と、を含む。底板部22は、外筒部21に対して当該外筒部21において第2部分30とは反対側の端部に接続され、軸(中心軸A)方向に直交する面内に沿って延在する。
【0022】
幾つかの実施形態では、第1部分20は、外筒部21及び底板部22が同一部材により連続した一体物として形成されてもよい。つまり、第1部分20は、例えば、プレスや鍛造等の加工により、外筒部21と底板部22とが継ぎ目なく連続して形成され得る。幾つかの実施形態では、外筒部21と底板部22とが滑らかな曲面で繋がるように形成されてもよい。このようにすれば、圧力容器10を、例えば、応力集中による亀裂や腐食の発生が起き難い形状に構成することができる。
【0023】
図1乃至
図3に示すように、幾つかの実施形態では、外筒部21における他端側(即ち、第2部分30側)の外周面に、上記中心軸A方向を軸方向とするねじ部28が形成される(例えば、
図2参照)。即ち、外筒部21は、ねじ部28の軸方向に沿って延在すようになっている。このように、第1部分20は、アキュムレータ1を支持部材50に締結するためのねじ部28を備えている。このような構成により、第1部分20の外筒部21の外周面にねじ部28が形成されるため、アキュムレータ1を支持部材50に締結するためのねじ付きポートを第2部分30側に形成する必要がなくなり、第2部分30の構造を簡素化することができる。ねじ部28については後述する。
【0024】
幾つかの実施形態において、第1部分20の底板部22には、アキュムレータ1を上記中心軸A周りに回動させるための工具が係合可能な工具係合部23と、アキュムレータ1の外部から同内部のガス室18にガスを封入するための貫通孔24と、ガス室18へのガス封入後に貫通孔24を封止するためのガス封入栓25とが設けられている。
【0025】
幾つかの実施形態において、工具係合部23は、底板部22のうち中心軸Aを中心に該中心軸Aに沿って内側に窪んだ形状(凹形状)に形成されてもよい(例えば、
図1参照)。このような凹形状の工具係合部23は、アキュムレータ1に対して中心軸A周りの回動力を付与するための工具を係合できればよく、例えば、プラス(+)又はマイナス(−)等に窪んだ凹形状の他、三角、四角、五角、六角、八角等の多角形や星形(☆)等、種々の形状に窪んだトルクス(登録商標)等であってもよい。
【0026】
他の実施形態では、工具係合部23は、第1部分20の底板部22のうち、中心軸Aを中心に該中心軸A方向に沿って外側に突出する凸状に形成されてもよい(例えば、
図4及び
図5参照)。このような凸型の工具係合部23は、アキュムレータ1に対して中心軸A周りの回動力を付与するための工具を係合できればよく、例えば、三角、四角、五角、六角、八角等の多角形や星形(☆)等、種々の多角柱の形状に構成し得る。
【0027】
上記の幾つかの実施形態に係るアキュムレータ1によれば、ねじ部28及び工具係合部23の両方が、一体物として構成される第1部分20に形成されるので、ねじ部28及び工具係合部23の同軸精度を容易に向上させることができる。
【0028】
幾つかの実施形態において、貫通孔24及びガス封入栓25は、中心軸A及び工具係合部23から半径方向に変位した位置にオフセットされて配置(例えば、
図1及び
図4参照)されてもよいし、中心軸Aに沿って配置(例えば、
図5参照)されてもよい。
幾つかの実施形態において、ガス封入栓25は、ガス室18へのガス封入後に、例えば、抵抗溶接等により底板部22に溶接されて取り付けられて貫通孔24を封止するようになっている。
【0029】
幾つかの実施形態において、第2部分30は、第1部分20の外筒部21の内側において上記外筒部21と同心に配置された有底筒状の内筒部31と、この内筒部31の一端から外周側(内筒部31の半径方向の外側)に向けて形成されたフランジ部32とを含む。
【0030】
幾つかの実施形態において、内筒部31は、後述するベローズ41の内周側において液室16に向かって突出するように設けられる。内筒部31の底部31Aは、中心軸A方向に直交して延在する略円形の平板部であってもよく、この内筒部31における底部31Aの中央には、油圧回路(液圧回路)と液室16とを連通する少なくとも一つの貫通孔35が設けられる(例えば、
図1参照)。
【0031】
幾つかの実施形態において、フランジ部32は、内筒部31における支持部材50側の端部から該内筒部31における半径方向の外側に向けて延在するようにして内筒部31の端部に接続される。幾つかの実施形態では、内筒部31とフランジ部32とが同一部材により連続した一体物として形成されてもよい。つまり、第2部分30は、例えば、プレスや鍛造等の加工により、内筒部31とフランジ部32とが、例えば、断面形状が凸型又はハット型となるように、継ぎ目なく連続して形成され得る。
このように構成すれば、ベローズ41を含むベローズ機構40(隔壁部)とのセルフシール構造を実現するための内筒部31がフランジ部32と一体で形成されるため、別体として作製された内筒部31とフランジ部32とを溶接等により接合する場合に比べて、部品点数の削減によりコストの低減効果を見込める。また、部品点数が減少することにより、溶接個所が減少、若しくは、内筒部31とフランジ部32との溶接工程が減少又は不要となるため、アキュムレータ1の製造工程が簡素化され、コストを低減できるだけでなく、品質管理を容易に行うことが可能となる。
【0032】
幾つかの実施形態において、フランジ部32は、その最外周側の縁部において外筒部21の他端と接続される。つまり、フランジ部32は、その外径が外筒部21の外径と略同一となるように形成されている。
【0033】
フランジ部32は、圧力容器10の内部側である液室16側に面した内表面32Aと、圧力容器10の外部側となる支持部材50側に面した外表面32Bとを含む。内表面32Aにはベローズ41の一端である固定部41A(例えば、
図2参照)が溶接により固定される。溶接は、例えば、電子ビーム溶接やレーザービーム溶接等を用いてもよい。
【0034】
幾つかの実施形態において、フランジ部32の外表面32Bには支持部材50に当接する当接部33が形成される。つまり、第2部分30は、アキュムレータ1の支持部材50への締結状態において支持部材50と当接するように構成された当接部33を含む。この当接部33は、ねじ部28の軸方向において溶接線14を挟んでねじ部28とは反対側に位置するように設けられる(例えば、
図1及び
図2参照)。
【0035】
幾つかの実施形態において、当接部33は、フランジ部32の外周側の一部が支持部材50側に突出するようにして、所定の厚さを有する円環状の凸部として形成されてもよい。幾つかの実施形態において、当接部33は、支持部材50と面接触するように所定の幅(厚さ)を有して形成される。他の実施形態では、当接部33は、支持部材50と線接触するように比較的薄く形成されてもよい。この当接部33は、ねじ部28によってアキュムレータ1が支持部材50に取り付けられた際に、当該当接部33、ねじ部28及びOリング12等によって油圧回路の作動油を適切に封止し得るように、その厚さや形状、位置を適宜設計し得る。
【0036】
幾つかの実施形態において、ベローズ機構40は、圧力容器10内の液室16とガス室18との容積比が可変となるように、圧力容器10の内部空間を液室16とガス室18とに隔てる隔壁部として機能する。幾つかの実施形態において、ベローズ機構40は、ねじ部28の軸(中心軸A)方向に沿って伸縮するように構成された蛇腹状のベローズ41(金属ベローズ)と、ベローズ41の他端に接続された円板状のベローズキャップ42と、ベローズキャップ42の外周に設けられたベローズガイド43と、ベローズキャップ42の液室16側に設けられたシール44と、を含む。
【0037】
幾つかの実施形態において、ベローズガイド43は、油圧回路と液室16との間で作動油が流出入することに伴い液室16とガス室18との容積比が変更されると、その変動に応じてベローズ41、ベローズキャップ42及びシール44が中心軸A方向に沿って移動されるように案内するようになっている。幾つかの実施形態において、ベローズガイド43は、液室16とガス室18との間で気密性及び液密性が確保されるようにして外筒部21の内周面に当接される。幾つかの実施形態において、ベローズガイド43は、液室16とガス室18との容積比の変化に追従して、外筒部21の内周面に沿って(中心軸A方向に)該内周面上を摺動自在にスライド移動するように構成される。なお、
図1ではベローズ機構40が収縮して液室16の容積比が最小の状態を示している。
シール44(ステーセルフシール)は、ベローズ41が最も収縮した際、即ち、液室16の容積比が最小でガス室18の容積比が最大となった場合(例えば、
図1参照)に液室16を液密に封止する。
【0038】
ここで、本発明のねじ部28について説明する。
幾つかの実施形態において、外筒部21における他端側の外周にねじ部28(雄ねじ)が形成される。このねじ部28が、支持部材50側に形成されたねじ部(雌ねじ)に螺合されることでアキュムレータ1が油圧回路に接続される。
幾つかの実施形態において、ねじ部28は、溶接線14に隣接する位置まで形成されていてもよい。他の実施形態において、ねじ部28は、溶接線14の手前まで形成されていてもよい。換言すれば、他の実施形態では、ねじ部28と溶接線14との間にねじが形成されていない部分があってもよい。
【0039】
幾つかの実施形態では、中心軸A方向からみて、ねじ部28と溶接線14との径方向位置が重なるようになっていてもよい。幾つかの実施形態では、中心軸A方向からみて、当接部33と溶接線14との径方向位置が重なるようになっていてもよい。さらに、幾つかの実施形態では、中心軸A方向からみて、ねじ部28、溶接線14及び当接部33の径方向位置が重なるようになっていてもよい。
【0040】
溶接線14は、その開先の方向がねじ部28の軸方向に直交する方向(即ち、半径方向)に延在していてもよい。即ち、第1部分20の外筒部21の他端部(支持部材50側の端部)と、第2部分30におけるフランジ部32の内周面32Aのうち、最外周側の縁部とが対向するようになっていてもよい。これにより、ねじ部28の軸力による圧縮力が溶接線14に対して直交方向(真正面)から効果的に作用するようになっている。
このように構成すれば、圧力容器10を構成する第1部分20および第2部分30の溶接線14が、第1部分20のねじ部28と第2部分30の当接部33との間に位置することになるため、アキュムレータ1の支持部材50への締結状態において、ねじ部28に発生する軸力に起因した圧縮力を溶接線14に対して効果的に作用させることができる。このため、圧力容器10の内外の圧力差に起因して溶接線14に作用する引張り力を少なくとも部分的に相殺することができ、圧力容器10の溶接線14近傍における損傷リスクを低減できる。
【0041】
幾つかの実施形態では、ねじ部28を挟んで支持部材50と反対側となる外筒部21の外周上に封止用のOリング12が配置される。幾つかの実施形態において、外筒部21は、その外周に沿ってOリング12を配置するための係合溝を含んでもよい。幾つかの実施形態において、係合溝は、ねじ部28を挟んで支持部材50とは反対側においてねじ部28に沿うようにして、ねじ部28に隣接して形成されていてもよい。
【0042】
幾つかの実施形態では、例えば、
図6に示すように、内筒部231の内周側にねじ部228(雌ねじ)が設けられていてもよい。即ち、この雌ねじとして形成されたねじ部228が、支持部材250側に設けられた雄ねじと螺合することで、アキュムレータ201が油圧回路に接続されるように構成されてもよい。この場合は、内筒部231が、アキュムレータ201を支持部材に締結するためのねじ部228を備えた第1部分として機能する。また、内表面232Aにベローズ241の一端が接続されたフランジ部232(内フランジ)の外周面232B側に当接部233を設けることで、このフランジ部232を備えた外側の部材が第2部材として機能する。なお、
図6では、ベローズ241と内筒部231との間が液室216である外ガスタイプを例示している。
このような構成によっても、上記の実施形態と同様に、アキュムレータ201の支持部材50への締結状態において、ねじ部228に発生する軸力に起因した圧縮力を溶接線214に対して効果的に作用させることができる。このため、圧力容器10の内外の圧力差に起因して溶接線214に作用する引張り力を少なくとも部分的に相殺することができ、圧力容器10の溶接線214近傍における損傷リスクを低減できる。
【実施例2】
【0043】
次に、
図7は、本発明の幾つかの実施形態に係るアキュムレータ101の構成を示す縦断面図である。同図に示すように、アキュムレータ101は、少なくとも一端が閉塞された略円筒状の圧力容器110と、この圧力容器110の内部空間を液室116(油室)とガス室118(気室)とに仕切る隔壁部と、を備えている。幾つかの実施形態において、アキュムレータ101は、上記隔壁部として、圧力容器110内に収容されたベローズ機構140を備えていてもよい。このようなアキュムレータ101は、例えば、車両におけるブレーキ用又はクラッチ用の油圧回路等に接続されて用いられ、上記油圧回路との間で作動油(作動流体)の流出入を許容するように構成される。即ち、アキュムレータ101は、上記油圧回路における作動油の圧力変動(例えば、脈動等)を吸収したり蓄圧したりする緩衝装置として機能する。
【0044】
幾つかの実施形態において、アキュムレータ101は、ベローズ機構140(隔壁部)の外部が液室116とされ、同内部がガス室118(ガス貯留部)とされた、所謂、内ガスタイプのアキュムレータ101として構成されてもよい(例えば、
図7参照)。
【0045】
幾つかの実施形態において、圧力容器110は、溶接線114を介して互いに接合された第1部分120と第2部分130とを含む。
【0046】
第1部分120は、略円筒状の鋼材(鋼管)で形成された外筒部121と、この外筒部121における中心軸A方向の一端を閉塞するようにして略円形の平板状に形成された底板部122と、を含む。底板部122は、外筒部121に対して当該外筒部121において第2部分130とは反対側の端部に接続され、軸(中心軸A)方向に直交する面内に沿って延在する。
【0047】
幾つかの実施形態では、外筒部121と底板部122とが溶接によって接続される。具体的には、外筒部121において中心軸Aに沿う一端側の端部が、これに対向する底板部122の外周側の縁部であって圧力容器110の内面側と溶接されて固着される。幾つかの実施形態では、底板部122の内面側にベローズ141の一端である固定部141A(例えば、図
7参照)が溶接により固定される。溶接は、例えば、電子ビーム溶接やレーザービーム溶接等を用いてもよい。
【0048】
図7に示すように、幾つかの実施形態では、外筒部121における他端側(即ち、第2部分130側)の外周面に、上記中心軸A方向を軸方向とするねじ部128が形成される。即ち、外筒部121は、ねじ部128の軸方向に沿って延在すようになっている。このように、第1部分120は、アキュムレータ1を支持部材50に締結するためのねじ部128を備えている。このようにすれば、第1部分120の外筒部121の外周面にねじ部128が形成されるため、アキュムレータ101を支持部材50に締結するためのねじ付きポートを第2部分130側に形成する必要がなくなり、第2部分130の構造を簡素化することができる。
【0049】
幾つかの実施形態において、第1部分120の底板部122には、アキュムレータ101を上記中心軸A周りに回動させるための工具が係合可能な工具係合部123と、アキュムレータ101の外部から同内部のガス室118にガスを封入するための貫通孔124と、ガス室118へのガス封入後に貫通孔124を封止するためのガス封入栓125とが設けられている。
【0050】
幾つかの実施形態において、工具係合部123は、第1部分120の底板部122のうち、中心軸Aを中心に該中心軸A方向に沿って外側に突出する凸状に形成されてもよい(例えば、
図7参照)。このような凸型の工具係合部123は、アキュムレータ101に対して中心軸A周りの回動力を付与するための工具を係合できればよく、例えば、三角、四角、五角、六角、八角等の多角形や星形(☆)等、種々の多角柱の形状に構成し得る。
【0051】
他の実施形態では、工具係合部123は、底板部122のうち中心軸Aを中心に該中心軸Aに沿って内側に窪んだ形状(凹形状)に形成されてもよい(例えば、
図8参照)。このような凹形状の工具係合部123は、アキュムレータ101に対して中心軸A周りの回動力を付与するための工具を係合できればよく、例えば、プラス(+)又はマイナス(−)等に窪んだ凹形状の他、三角、四角、五角、六角、八角等の多角形や星形(☆)等、種々の形状に窪んだトルクス(登録商標)等であってもよい。
【0052】
上記の幾つかの実施形態に係るアキュムレータ101によれば、ねじ部128及び工具係合部123の両方が第1部分120に形成されるので、ねじ部128及び工具係合部123の同軸精度を容易に向上させることができる。
【0053】
幾つかの実施形態において、貫通孔124及びガス封入栓125は、中心軸A及び工具係合部123から半径方向に変位した位置にオフセットされて配置(例えば、
図8参照)されてもよいし、中心軸Aに沿って配置(例えば、
図7参照)されてもよい。
幾つかの実施形態において、ガス封入栓125は、ガス室118へのガス封入後に、例えば、抵抗溶接等により底板部122に溶接されて取り付けられて貫通孔124を封止するようになっている。
【0054】
幾つかの実施形態において、第2部分130は、第1部分120の外筒部21の内側において上記外筒部120と同心に配置された有底筒状の内筒部131と、この内筒部131の一端から外周側(内筒部131の半径方向の外側)に向けて形成されたフランジ部132とを含む。
【0055】
幾つかの実施形態において、内筒部131は、後述するベローズ141の外側において液室116に向かって突出するように設けられる。内筒部131における液室116側の面は、中心軸A方向に直交して延在する略円環状の平面であってもよく、この内筒部131の中央には、油圧回路(液圧回路)と液室116とを連通する少なくとも一つの貫通孔135が設けられる(例えば、
図7参照)。
【0056】
幾つかの実施形態において、フランジ部132は、内筒部131における支持部材50側の端部から該内筒部131における半径方向の外側に向けて延在するようにして内筒部131の端部に接続される。幾つかの実施形態では、内筒部131とフランジ部132とが同一部材により連続した一体物として形成されてもよい。つまり、第2部分130は、例えば、プレスや鍛造等の加工により、内筒部131とフランジ部132とが、例えば、断面形状が凸型又はハット型となるように、継ぎ目なく連続して形成され得る。
このように構成すれば、ベローズ141を含むベローズ機構140(隔壁部)とのセルフシール構造を実現するための内筒部131がフランジ部132と一体で形成されるため、別体として作製された内筒部131とフランジ部132とを溶接等により接合する場合に比べて、部品点数の削減によりコストの低減効果を見込める。また、部品点数が減少することにより、溶接個所が減少、若しくは、内筒部131とフランジ部132との溶接工程が減少又は不要となるため、アキュムレータ101の製造工程が簡素化され、コストを低減できるだけでなく、品質管理を容易に行うことが可能となる。
【0057】
幾つかの実施形態において、フランジ部132は、その最外周側の縁部において外筒部121の他端と接続される。つまり、フランジ部132は、その外径が外筒部121の外径と略同一となるように形成されている。
【0058】
フランジ部132は、圧力容器110の内部側である液室116側に面した内表面132Aと、圧力容器110の外部側となる支持部材50側に面した外表面132Bとを含む。
【0059】
幾つかの実施形態において、フランジ部132の外表面132Bには支持部材50に当接する当接部133が形成される。つまり、第2部分130は、アキュムレータ101の支持部材50への締結状態において支持部材50と当接するように構成された当接部133を含む。この当接部133は、ねじ部128の軸方向において溶接線114を挟んでねじ部128とは反対側に位置するように設けられる(例えば、
図7参照)。
【0060】
幾つかの実施形態において、当接部133は、フランジ部132の外周側の一部が支持部材50側に突出するようにして、所定の厚さを有する円環状の凸部として形成されてもよい。幾つかの実施形態において、当接部133は、支持部材50と面接触するように所定の幅(厚さ)を有して形成される。他の実施形態では、当接部133は、支持部材50と線接触するように比較的薄く形成されてもよい。この当接部133は、ねじ部128によってアキュムレータ101が支持部材50に取り付けられた際に、当該当接部133、ねじ部128及びOリング112等によって油圧回路の作動油を適切に封止し得るように、その厚さや形状、位置を適宜設計し得る。
【0061】
幾つかの実施形態において、ベローズ機構140は、圧力容器110内の液室116とガス室118との容積比が可変となるように、圧力容器110の内部空間を液室116とガス室118とに隔てる隔壁部として機能する。幾つかの実施形態において、ベローズ機構140は、ねじ部128の軸(中心軸A)方向に沿って伸縮するように構成された蛇腹状のベローズ141(金属ベローズ)と、ベローズ141の他端に接続された円板状のベローズキャップ142と、ベローズキャップ142の外周に設けられたベローズガイド143と、ベローズキャップ142の液室116側に設けられたシール144と、を含む。
【0062】
幾つかの実施形態において、ベローズガイド143は、油圧回路と液室116との間で作動油が流出入することに伴い液室116とガス室118との容積比が変更されると、その変動に応じてベローズ141、ベローズキャップ142及びシール144が中心軸A方向に沿って移動されるように案内する。幾つかの実施形態において、ベローズガイド143は、液室116とガス室118との間で気密性及び液密性が確保されるようにして外筒部121の内周面に当接される。幾つかの実施形態において、ベローズガイド143は、液室116とガス室118との容積比の変化に追従して、外筒部121の内周面に沿って(中心軸A方向に)該内周面上を摺動自在にスライド移動するように構成される。なお、
図7ではベローズ機構140が伸長して液室116の容積比が最小の状態を示している。
シール144(ステーセルフシール)は、ベローズ141が最も伸長した際、即ち、液室116の容積比が最小でガス室118の容積比が最大となった場合(例えば、
図7参照)に液室116を液密に封止する。
【0063】
ここで、本発明のねじ部128について詳しく説明する。
幾つかの実施形態において、ねじ部128は、溶接線114に隣接する位置まで形成されていてもよい。他の実施形態において、ねじ部128は、溶接線114の手前まで形成されていてもよい。換言すれば、他の実施形態では、ねじ部128と溶接線114との間にねじが形成されていない部分があってもよい。
【0064】
幾つかの実施形態では、中心軸A方向からみて、ねじ部128と溶接線114との径方向位置が重なるようになっていてもよい。幾つかの実施形態では、中心軸A方向からみて、当接部133と溶接線114との径方向位置が重なるようになっていてもよい。さらに、幾つかの実施形態では、中心軸A方向からみて、ねじ部128、溶接線114及び当接部133の径方向位置が重なるようになっていてもよい。
【0065】
溶接線114は、その開先の方向がねじ部128の軸方向に直交する方向(即ち、半径方向)に延在していてもよい。即ち、第1部分120の外筒部121の他端部(支持部材50側の端部)と、第2部分130におけるフランジ部132の内周面132Aのうち、最外周側の縁部とが対向するようになっていてもよい。これにより、ねじ部128の軸力による圧縮力が溶接線114に対して直交方向(真正面)から効果的に作用するようになっている。
このように構成すれば、圧力容器110を構成する第1部分120および第2部分130の溶接線114が、第1部分120のねじ部128と第2部分130の当接部133との間に位置することになるため、アキュムレータ101の支持部材50への締結状態において、ねじ部128に発生する軸力に起因した圧縮力を溶接線114に対して効果的に作用させることができる。このため、圧力容器120の内外の圧力差に起因して溶接線114に作用する引張り力を少なくとも部分的に相殺することができ、圧力容器110の溶接線114近傍における損傷リスクを低減できる。
【0066】
幾つかの実施形態では、ねじ部128を挟んで支持部材50と反対側となる外筒部121の外周上に封止用のOリング112が配置される。幾つかの実施形態において、外筒部121は、その外周に沿ってOリング112を配置するための係合溝を含んでもよい。幾つかの実施形態において、係合溝は、ねじ部128を挟んで支持部材50とは反対側においてねじ部128に沿うようにして、ねじ部128に隣接して形成されていてもよい。
【0067】
以上説明したように、本発明の幾つかの実施形態に係るアキュムレータ101の構成によれば、圧力容器110を構成する第1部分120および第2部分130の溶接線114は、第1部分120のねじ部128と第2部分130の当接部133との間に位置することになる。これにより、アキュムレータ101の支持部材50への締結状態において、ねじ部128に発生する軸力に起因した圧縮力を溶接線114に対して効果的に作用させることができる。このため、圧力容器120の内外の圧力差に起因して溶接線114に作用する引張り力を少なくとも部分的に相殺することができ、圧力容器110の溶接線114近傍における損傷リスクを低減できる。
【0068】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変更を加えた形態や、これらの形態を組み合わせた形態も含む。