(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、ゲームシステムの一例としての、複数のクライアント装置と、これらと同時並行して通信可能なサーバ装置とを有するゲームシステムに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、ユーザ情報に基づいて情報の送受信が可能な1以上のクライアント装置(情報処理装置)とサーバ装置とを有する任意のシステムに適用可能である。
【0011】
また、本明細書において、「正式アプリケーション」とは、ゲームシステムにおいてサービス提供するゲーム(提供ゲーム)について定められたゲーム体験を、サービスの提供開始時以降にユーザに可能ならしめるアプリケーションを指すものとして説明する。また「事前アプリケーション」とは、正式アプリケーションに先行して提供され、サービスの提供開始前から提供ゲームに係る一部の機能の利用をユーザに可能ならしめるアプリケーションを指すものとして説明する。また、本実施形態の提供ゲームでは、ゲームプレイの一単位としてユーザに提供されるゲームパートを「クエスト」として言及するものとする。
【0012】
《ゲームシステムの構成》
図1は、本発明の実施形態に係るゲームシステムのシステム構成を示した図である。本実施形態のゲームシステムでは、ユーザは各々が使用するクライアント装置100において事前アプリケーションまたは正式アプリケーションの起動、あるいはアプリケーション上での所定の操作を行うことで、ネットワーク300を介してサーバ装置200と接続し、提供ゲームを種々の態様で利用することができる。本実施形態では簡単のため、事前アプリケーション及び正式アプリケーションの双方において、1つのサーバ装置200に接続するよう処理が行われるものとして説明するが、接続先であるサーバ装置200は共通である必要もなければ、単体である必要もないことは容易に理解されよう。なお、本実施形態ではクライアント装置100とサーバ装置200とで同様の機能構成を有しうるため、サーバ装置200が有する該構成については「サーバ」の接頭文字を付して識別する。
【0013】
〈クライアント装置100の構成〉
まず、本実施形態のクライアント装置100の機能構成について
図2のブロック図を用いて説明する。
【0014】
制御部101は、例えばCPU等であり、クライアント装置100が有する各ブロックの動作を制御する。制御部101は、例えば記録媒体102に記録されている各ブロックの動作プログラムや、事前アプリケーションまたは正式アプリケーションに係るプログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。
【0015】
記録媒体102は、例えば不揮発性メモリやHDD等の恒久的な情報保持及び情報の書き換えが可能な記録装置である。記録媒体102は、クライアント装置100が有する各ブロックの動作プログラム等に限らず、各ブロックの動作において必要となるパラメータ等の情報を格納する。またメモリ103は、例えば揮発性メモリ等の一時的な情報保持に用いられる書き換え可能な記憶装置である。メモリ103は、各ブロックの動作プログラム等の展開領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力された中間データ等を記憶する格納領域としても用いられる。
【0016】
描画部104は、例えばGPU等であり、後述の表示部106に表示する表示画面の生成に係る描画処理等を行う。描画処理にあたり必要となるGUIや各種グラフィカル要素は、記録媒体102から読み出され、メモリ103もしくは描画部104が有する専用メモリ(不図示)に展開されることで、利用可能となる。
【0017】
特典解析部105は、正式アプリケーションに係るサービス提供に際し、ユーザに対して付与された特典の有無及びその内容を示す情報(特典情報)をサーバ装置200に要求して取得し、該特典情報に基づき付与された特典をユーザに通知するための処理を行う。特典は正式アプリケーションに係るサービス提供開始後に付与されるものであり、各ユーザに付与される特典については、後述するようにサーバ装置200においてユーザを識別するユーザIDに関連付けて管理される。
【0018】
表示部106は、例えばLDC等の、クライアント装置100を構成する筐体内に一体となって接続された表示装置、あるいはクライアント装置100とは別体の、クライアント装置100に着脱可能に接続された外部の表示装置である。表示部106の表示領域には、描画部104により生成された表示画面が所定の間隔(リフレッシュレート)で表示される。
【0019】
通信部107は、クライアント装置100が有する通信インタフェースである。本実施形態のゲームシステムでは、クライアント装置100は通信部107を介することで、ネットワーク300を経由してサーバ装置200と接続し、サーバ装置200との間で情報の送受信を行うことが可能となる。
【0020】
操作入力部108は、例えばボタン、マウス、キーボード、各種センサ等、クライアント装置100が有するユーザインタフェースである。操作入力部108は、各ユーザインタフェースに対して操作入力がなされたことを検出すると、なされた操作入力に対応する制御信号を制御部101に出力する。
【0021】
〈サーバ装置200の構成〉
次に、本実施形態のサーバ装置200の機能構成について
図3を用いて説明する。
【0022】
サーバ制御部201は、例えばCPU等であり、サーバ装置200が有する各ブロックの動作を制御する。サーバ制御部201は、例えばサーバ記録媒体202に記録されている各ブロックの動作プログラムや、提供ゲームに係るサーバ用プログラムを読み出し、サーバメモリ203に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。
【0023】
サーバ記録媒体202は、例えば不揮発性メモリやHDD等の恒久的な情報保持及び情報の書き換えが可能な記録装置である。サーバ記録媒体202は、サーバ装置200が有する各ブロックの動作プログラム等に限らず、各ブロックの動作において必要となるパラメータ等の情報を格納する。またサーバメモリ203は、例えば揮発性メモリ等の一時的な情報保持に用いられる書き換え可能な記憶装置である。サーバメモリ203は、各ブロックの動作プログラム等の展開領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力された中間データ等を記憶する格納領域としても用いられる。
【0024】
ユーザDB204は、提供ゲームを利用する各ユーザについて、ゲームの提供に必要な各種の情報(ユーザ情報)を管理するデータベースである。ユーザ情報は、例えば
図9(a)に示されるように、ユーザを識別するユーザIDに関連付けて各種情報を管理するデータ構成であってよい。図示されるように、ユーザ情報では、ユーザID901に関連付けて、該ユーザの所有状態にあるキャラクタ及びアイテムや後述マップチップ等の要素を示す所有要素情報902、該ユーザがクエストのゲームプレイにあたり使用するキャラクタやアイテム等を示すデッキ情報903、該ユーザが行っているゲームプレイの進行状況(実行中クエスト、クエストステータス、ストーリー進行状況等)を示す進行状況情報904、ユーザが作成して登録したクエストを示す作成クエスト情報905、該ユーザについて付与された特典やその内容を示す特典情報906、及び該ユーザの所有するゲーム内通貨やポイント等を示すポイント情報907が管理される。
【0025】
ここで、所有要素情報は1人のユーザの所有する要素を各々管理する情報であり、1つの要素について例えば
図9(b)に示されるような構成のデータが管理される。図示されるように所有要素情報は、キャラクタ、アイテム及びマップチップのいずれであるかを示す要素種別911(列挙型の情報)と該種別に分類される予め定められた要素のうちのいずれであるかを特定する要素ID912とに加え、例えばキャラクタのレベルや装備、アイテムのレベル等、初期値からの変更に係る情報を示す強化情報913を含んで構成されてよい。
【0026】
また特典情報は、1人のユーザについて付与され、提供ゲームの正式なサービス提供開始後に取得することが可能な特典を各々管理する情報であり、1つの特典について例えば
図9(c)に示されるような構成のデータが管理される。図示されるように特典情報は、クエストクリア報酬や所定の実績達成報酬等の特典のカテゴリを示す特典種別921(列挙型の情報)、該特典についてユーザの取得指示がなされたかを示す取得済フラグ922(論理型の情報、True(真)で取得済み)、及びポイントやアイテム等の付与される特典や付与に係る説明を含む付与情報923を含んで構成されてよい。なお、本実施形態の提供ゲームは、事前アプリケーションにおいてクエスト作成を行う機能(クエストエディット機能)が提供される。ユーザは該機能を用いることで提供ゲームに係るクエストを作成し、正式なサービス提供開始に先立って該クエストをサーバ装置200にアップロードして登録させることができる。該機能は正式アプリケーションにおいても提供される機能であり、ユーザは事前アプリケーション及び正式アプリケーションにおいて自作のクエストを作成し、サーバ装置200に登録することができる。登録されたクエストは、サービス提供開始後にはダウンロード可能なように提供され、提供ゲームに係る1つのゲームパートとして正式アプリケーションにおいてプレイすることが可能である。本実施形態のゲームシステムでは、このようにして登録されたクエストの各々について、提供ゲームに係るゲーム体験の拡充に貢献したものとして該クエストの作成者であるユーザに特典が付与されるものとする。従って、特典種別921により示される特典のカテゴリには、クエスト登録に係る特典が含まれる。従来、本実施形態の提供ゲームのような所謂ソーシャルゲームでは、サービスの提供開始時期には運営側やデベロッパ側により準備可能なクエスト数や機能が潤沢ではなく、随時アプリケーションやデータが更新されることでクエスト数の増加や機能解放がなされる提供態様が多い。故に、本実施形態のゲームシステムでは、提供開始時期にプレイアブルであるクエストを、ゲーム体験の拡充への貢献が高いものとして扱うよう、クエストの登録時期に応じて登録に係り付与する特典を異ならせる。即ち、本実施形態のゲームシステムでは、事前アプリケーションにおいてクエストエディット機能を提供することでクエストの作成及びアップロード/登録をユーザに可能にせしめ、クエストを作成したユーザに対しては、その後の正式サービスにおいて提供開始後にクエストの登録を行ったユーザに対する特典よりも、価値の高い特典が付与される。価値の高い特典とは、ゲーム進行を有利にせしめるパラメータの加算、ゲームにおいて定められたランクが高いキャラクタやアイテムの付与、提供されるゲーム内通貨量の増加等を含むものであってよい。
【0027】
要素DB205は、提供ゲームにおいてユーザに使用可能に設けられたキャラクタ、アイテム及びマップチップ等の要素の情報(要素情報)を各々管理するデータベースである。要素情報は、例えば
図9(d)に示されるように、要素の各々について提供ゲームに係る処理の実行に際し参照される基本的な情報を含んで管理されるデータ構成であってよい。図示されるように要素情報は、所有要素情報について上述したように要素種別931(列挙型の情報)と要素ID932に加え、例えばキャラクタやアイテムの初期値、キャラクタの使用に係るコスト、マップチップに配置可能なキャラクタのコスト、あるいは対応して表示されるグラフィックス情報等の予め定められた基本的な情報を示す基本情報933、及び提供ゲームにおけるキャラクタやアイテムのレベルアップ等の成長要素に係り、定められた条件になった際のパラメータ増減量等を示す変更用情報934を含んで構成されてよい。
【0028】
クエストDB206は、サービス提供側が予め用意した、あるいはユーザにより作成されたクエストに係る情報(クエスト情報)を管理するデータベースである。クエスト情報は、例えば
図9(e)に示されるように、クエストを識別するクエストID941に関連付けてクエストの各種情報を管理するデータ構成であってよい。図示されるようにクエスト情報は、クエストID941に関連付けて、該クエストを作成したユーザを識別する作成ユーザID942、該クエストがクエストDB206に登録された日時もしくは登録用に設けられた装置に登録された日時を示す登録日時情報943、該クエストを提供ゲーム中でユーザに体験可能せしめるためのクエスト内容やマップ構成、詳細等を示すクエストデータ944、該クエストのクリア条件の少なくとも1つである制限時間を示す制限時間945、またサービス提供開始後に該クエストがプレイされた回数を示すプレイ数946、及び該クエストがクリアされた数を示すクリア数947を含んで構成されてよい。
【0029】
特典付与部207は、上述したようなユーザ作成クエストの登録を含む、予め定められた条件を満たしたことにより、対応するユーザに特典を付与する(ユーザ情報に特典情報を追加する)。特典付与部207は、基本的にはクライアント装置100からのサービス利用要求がなされた際に満たしている付与条件の判断を行うものであってよく、その付与条件は外部装置から随時更新・追加・変更可能に構成されていてよい。
【0030】
サーバ通信部208は、サーバ装置200が有する通信インタフェースである。本実施形態のゲームシステムでは、サーバ装置200はサーバ通信部208を介することで、ネットワーク300を経由してサーバ装置200と接続し、サーバ装置200との間で情報の送受信を行うことが可能となる。
【0031】
なお、本実施形態では簡単のためサーバ装置200の内部構成として各種データベース(ユーザDB204、要素DB205、クエストDB206)を有するものとして説明するが、これらのデータベースの少なくとも1つがサーバ装置200とは別の装置として構成され、該装置と通信接続後に該装置に対してサーバ装置200が要求を行うことで管理される情報を取得可能なように構成されるものであってよい。また、
図9を用いて説明した各種情報の構成はあくまでも例示であり、本発明の実施がこれに限られるものでないことは容易に理解されよう。
【0032】
《提供ゲーム概要》
以下、本実施形態のゲームシステムにおいてサーバ装置200が提供するゲームの例示として、クエストについて定められたマップ中の所定の拠点を制限時間内に制圧することで該クエストのクリア条件が満たされるゲーム(提供ゲーム)について、その概要を説明する。
【0033】
提供ゲームにおいて、1つのクエストには1つのマップ(ゲームフィールド)が定められる。マップは、
図4(a)に示されるように例えば6角形の領域を示し、該領域が有する辺(境界)を介して他の領域と接続されることでマップ全体の面積を拡張可能な多角形状のマップチップ(以下、HEXとして言及する)が1以上配置された集合体として構成される。HEXは、その1つ1つが拠点であるかの如く取り扱われる。クエストをプレイするユーザ(プレイユーザ)は1つのHEXにつき、該HEXに設定されたキャラクタ(敵キャラクタ)と自身の使用するキャラクタ(プレイキャラクタ)との間で行われる対戦ゲームをプレイする。対戦ゲームの結果、プレイキャラクタが勝利した場合には該HEXはプレイユーザにより制圧されたものとして扱われる。HEXを制圧すると、プレイユーザは制圧済みのHEXと隣接するHEXにプレイキャラクタを移動させることが可能となり、これを繰り返すことにより、プレイユーザはクリア条件として制圧が定められたHEX(ボスHEX:
図4(a)においてハッチングで示されたHEX)へのプレイキャラクタの移動及び該ボスHEXに係る対戦ゲームの実行が可能となる。また提供ゲームの攻略要素として、HEXに係る対戦ゲームの実行時に、該HEXに隣接するHEXの制圧数に応じたプレイキャラクタの対戦ゲームに係るパラメータ調整が行われる。パラメータ調整は、例えば隣接HEX数に応じて対戦ゲームにおいて対戦キャラクタにダメージを与える攻撃量(対戦キャラクタの体力を減算させる量)に係るパラメータの増加、また後述する行動可能時間の延長等、基本的にゲーム進行を有利にするパラメータ調整がなされる。マップにはクエスト開始時にプレイユーザのキャラクタが初期位置として配置可能なHEX(初期HEX)が定められており、プレイユーザは初期HEXからどのような順番でHEXを制圧し、最終的にマップ中の全てのボスHEXを制圧してクリアするかを、制限時間内で考えながらゲームプレイを行う。
【0034】
なお、クエストについて定められる制限時間は、マップの構成に応じて目標クリア時間として定められるが、詳細は後述のクエストエディット処理において説明する。本実施形態の提供ゲームでは、制限時間に係る残り時間は、マップ上のHEX移動等では減少せず、HEXに係る対戦ゲームの実行中に減少する。一方で、残り時間は、HEXに係る対戦ゲームにおけるプレイキャラクタの行動内容によっては増加することもある。
【0035】
〈HEX内対戦ゲーム〉
次に、上述したようにHEXにプレイキャラクタを移動させた際に行われる、該HEXにおける対戦ゲームについて説明する。
【0036】
対戦ゲームは、プレイユーザにより予めデッキとして登録されたプレイキャラクタとHEXについて定められた対戦相手のキャラクタ(以下、敵キャラクタ)の攻守が、交互に切り替えられて進行する、所謂ターン制を採用する。対戦ゲーム中は、クエストに定められた制限時間を上限とする残り時間のタイマ(ソフトウェアタイマ)が、経過時間に応じて随時減少していくよう制御される。
【0037】
また、プレイユーザの攻撃ターンではプレイキャラクタに実行させる行動に係る操作入力をユーザに可能ならしめる行動可能時間が設定されている。行動可能時間は、
図4(b)に示されるようにゲージ401によりゲーム画面中に示され、行動可能終了ポインタ402で示される位置から伸びる有色(図にてハッチング)ゲージ長さにより残り時間が示される。即ち、各攻撃ターン開始時にはゲージは最上部403まで充填され、時間経過に応じて有色ゲージ長さが短くなることで、プレイユーザへの行動可能時間の残り時間(攻守ターン交替までの時間)が示される。
【0038】
本実施形態の提供ゲームでは、プレイユーザは、該行動可能時間内にプレイキャラクタのうちの行動が実行可能な状態となったキャラクタに対して、所定の操作入力を行うことで該プレイキャラクタ固有の行動を実行させることができる。各キャラクタが1度行動を実行してから再度行動が実行可能な状態となるまでには、予め定められた時間(リキャストタイム等)の経過が必要であり、プレイユーザは1度行動を実行させてから同一のキャラクタに再度の行動に係る操作入力が可能となるまで待機する必要がある。プレイキャラクタに実行させる行動は、例えば攻撃や防御、回復等のゲームにおいて定められたものが含まれるものであってよい。本実施形態の攻撃に係る行動には、通常攻撃と特殊攻撃の2種類が設けられており、通常攻撃は上述した行動実行可能状態における操作入力がなされることにより、また特殊攻撃はプレイキャラクタの行動に応じて充填されるSPゲージ411の充填量が所定の長さ以上となっていることを条件に所定の操作入力がなされることにより発動する。また、デッキは複数のプレイキャラクタで構成することが可能であり、プレイユーザは敵キャラクタに対して複数のプレイキャラクタによる通常攻撃を所定の期間内に連続して実行させることで、連撃(所謂コンボ)を実現することができる。連撃中は1体の敵キャラクタの体力量に依らず、連撃に係る複数のプレイキャラクタによる通常攻撃を繋げることが可能であり、連撃により最終的に敵キャラクタの残り体力量を超えてダメージを与えた場合は「オーバーキル」として評価する。また慣習的になされているように、連撃中になされる通常攻撃は、連撃扱いとなった通常攻撃の回数に応じて、単発で通常攻撃を行う際の与ダメージ量よりダメージ量が増加するよう制御されてよい。本実施形態の提供ゲームでは、コンボ数、オーバーキル及びその与ダメージ量に応じて、行動可能時間が増加するよう制御が行われる。即ち、行動可能終了ポインタ402が有色ゲージを長くする位置402’に移動する表示制御が行われる。またSPゲージ411も、コンボ数や与ダメージ量等により充填されるよう制御されてよい。加えて、本実施形態の提供ゲームでは、クエスト制限時間に係る残り時間(クエストプレイ可能時間)も、コンボ数、オーバーキル、与ダメージ量等に応じて増加するよう制御する。
【0039】
なお、本実施形態の提供ゲームでは、増加した行動可能時間は敵キャラクタからの攻撃がなされて被ダメージしない限り、ターン中だけでなく、ターンを跨いで、あるいは異なるHEXへの移動を跨いで保持される。即ち、提供ゲームではターンにおけるプレイキャラクタの攻撃順や攻撃対象の敵キャラクタの切り替えを好適に行えば、プレイユーザは被ダメージなくHEXに係る対戦ゲームを終了することができるため、行動可能時間を増加させ、次のHEXに係る対戦ゲームを有利に進めることができる。また、対戦ゲームにおける行動に応じてクエストプレイ可能時間の減少量も低減することができるため、クエストクリアの可能性を増加させることができる。
【0040】
〈協力プレイ〉
また、本実施形態の提供ゲームでは、少なくとも一部のクエストは複数のプレイユーザによる協力プレイが可能に構成される。協力プレイでは、クエストプレイ可能時間は複数のプレイユーザにつき共有して設けられ、各プレイユーザが行ったHEXに係る対戦ゲームに応じて増減される。また同様に各プレイユーザによるHEXの制圧結果も、協力プレイを行っている他のプレイユーザに共有される。
【0041】
また協力プレイにおいて各プレイユーザのプレイキャラクタはマップの初期位置が異ならせて配置され、基本的に1つのHEXに係る対戦ゲームの実行は同時期に1人のプレイユーザにのみ認められ、他のプレイユーザがHEXを選択中(HEXに係る対戦ゲームを実行中)はプレイユーザに対し該HEXに係る対戦ゲームの実行がなされないよう制御される。一方、ボスHEXについては他のHEXよりも対戦ゲームの難易度が高く設定される(敵キャラクタの体力量や攻撃時の与ダメージ量が通常のキャラクタに比べて大きい等)ため、本実施形態の提供ゲームではボスHEXに係る対戦ゲームについては実行を複数のプレイユーザに認める。しかしながら、複数のプレイユーザが各々のプレイキャラクタを使用し、他のプレイユーザのプレイキャラクタと同時に対戦ゲームを行える態様では容易にコンボ数の大きい連撃を実現できてしまうため、ボスHEXに係る対戦ゲームも、通常のHEX同様、プレイユーザごとに自身のプレイキャラクタと敵キャラクタとの間で実行される。ただし、協力プレイであることが各プレイユーザに認識され興趣性が増すように、ボスHEXに係る敵キャラクタについては、与えられたダメージ量や状態以上等の各種パラメータは各々のプレイユーザのプレイキャラクタによる行動が全プレイユーザに共通して管理される。即ち、1人のプレイユーザがプレイキャラクタを操作することによりボスHEXに係る敵キャラクタに与えたダメージ量は、他のプレイユーザがプレイしている対戦ゲームにおいても反映される。
【0042】
この他、協力プレイに係る興趣性を高めるよう、各プレイユーザの攻略状況を共有する機能や、戦略伝達用のチャット機能等が設けられていてよい。
【0043】
〈対人プレイ〉
この他、本実施形態の提供ゲームでは、上述したように対人プレイ要素として、ユーザが作成したクエストを、他のユーザにプレイさせるモードを有する。後述するように提供ゲームでは、各ユーザは正式アプリケーションにおいて所有している各要素を用いて、あるいは事前アプリケーションにおいて予め定められたレギュレーションの中で用意された要素を用いて、クエスト作成することができる。このようにユーザにより作成されたクエストは、システム側もしくはアプリケーションにより各々制限時間を含むクリア条件が設定されるため、ユーザ間で互いの作成したクエストを挑戦させ合うことが可能である。つまり、本実施形態の提供ゲームの対人プレイ態様によれば、従来のユーザ間のデッキ内のプレイキャラクタの強弱によって対戦結果が決定し得るようなゲームに比べ、制限時間が設けられた環境下で、HEXを制圧していく順序、HEXに係る対戦ゲームにおける行動可能時間の増加等を如何に加味するか等、攻略性の幅をより拡張させることができ、対人対戦の興趣性を増加できる。一方、クエスト作成ユーザに対しては、ボスHEXまでのHEXの配置や、HEXに係る対戦ゲームに登場させるキャラクタの決定等による攻略要素を考慮してクエストデータを作成する興趣性を担保することができる。またさらに、このように作成されたクエストデータに対して構成に応じた制限時間が設定されることによって最終的な難易度が決定されるため、例えば実力の異なるユーザ間であっても好適な対人プレイを実現可能であり、ゲームプレイへのユーザのモチベーションをより持続させることができる。
【0044】
対人プレイにおいては、例えばユーザAが作成したクエストをユーザBにプレイさせた結果、ユーザBが制限時間内に全ボスHEXの制圧(クリア条件)を達成できた場合にはユーザBに特典付与部207により特典が付与され、反対にユーザBがクリア条件を達成できなかった場合にはユーザAに特典が付与されるものであってもよい。
【0045】
《クエストエディットモードに係る処理》
以下、本実施形態のクライアント装置100において、事前アプリケーションまたは正式アプリケーションが実行されることにより提供される、提供ゲームに係るクエストエディットモードを実現する処理について、
図5のフローチャートを用いて説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記録媒体102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本処理は、例えばアプリケーションの起動後、対応するモードの実行開始に係る指示入力が検出された際に開始されるものとして説明する。
【0046】
また、以下の説明では簡単のため、クエストエディットモードにおける1クエストに係るマップの構成は、所有状態にあるものとして管理される1つのマップチップ(1つのHEXを示す)が選択されてマップに配置された後、該配置されたマップチップにおいて実行される対戦ゲームで敵キャラクタとなるキャラクタを設定する処理を繰り返すことにより行われるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、配置されたマップチップへの敵キャラクタの設定は、マップを構成するマップチップが複数配置された後に行われるものであってもよい。また、敵キャラクタの選択に応じて、該キャラクタを対戦ゲーム用に配置可能なマップチップが抽出され、このうち配置するものとして選択されたマップチップが配置された際に、該キャラクタを配置したマップチップに設定する処理を行うものであってもよい。また、一度配置されたマップチップの移動や変更/削除、及びマップチップに設定された敵キャラクタの変更等がマップ構成中に実行可能であってもよいことは言うまでもない。
【0047】
S501で、制御部101は、ユーザが使用可能なマップチップ群を表示部106に表示させ、該マップチップ群のうちから配置するマップチップの選択がなされたか否かを判断する。ユーザが使用可能なマップチップ群の情報は、制御部101がサーバ装置200に対して対応するユーザIDに関連付けられた所有要素情報902の情報の取得要求を通信部107を介して送信することにより取得されるものであってよい。また事前アプリケーションでは、まだプレイヤごとの要素の取得がなされていないため、制御部101は予め記録媒体102にアプリケーションに係り記録されている情報から取得すればよい。制御部101は、配置するマップチップの選択がなされたと判断した場合は処理をS502に移し、なされていないと判断した場合は本ステップの処理を繰り返す。
【0048】
S502で、制御部101は、選択されたマップチップを作成中のクエストに係るマップ上に配置して表示するよう、描画部104の描画処理を制御する。マップ上への配置は、ユーザ入力に従って位置を変更しながら行われるものであってよいが、例えば初期位置として、既に配置されているマップチップに隣接する配置可能エリア中から所定のルールに基づいて決定された位置が選択されることで行われるものであってもよい。
【0049】
S503で、制御部101は、マップチップの位置が確定したか否かを判断する。マップチップの位置は、位置確定に係る操作入力がなされることにより実行されるものであってよい。制御部101は、マップチップの位置が確定したと判断した場合は処理をS504に移し、確定していないと判断した場合は処理をS502に戻す。
【0050】
S504で、制御部101は、位置確定がなされたマップチップについて、該マップチップに係る対戦ゲームに登場させる敵キャラクタを設定する。本実施形態の提供ゲームでは、提供ゲームに登場するものとして定められたキャラクタの各々には、例えばデッキの総コストの演算にも用いられてもよい「コスト」の概念が定められている。コストは通常、クエストに係るゲームをプレイするにあたり、キャラクタの使用に必要となる値を示すものであり、基本的にはゲーム進行を有利にし得るキャラクタほど高い値が設定される。クエストに係るゲームプレイには、該ゲームに使用するデッキの総コストの上限値が例えばクエストの難易度に応じて定められており、プレイユーザはデッキ内に含まれるプレイキャラクタのコストの総和が上限値未満となるデッキを構築することで、該クエストをプレイすることが可能となる。これはゲームを適度な難易度にてプレイするために導入される概念である。同様に、本実施形態の提供ゲームではクエストエディットにおいても、各マップチップに係る対戦ゲームにおいて登場させることが可能な敵キャラクタについてコストの上限値を定める。提供ゲームにおいてクエストは、少なくともいずれかのゲーム進行条件が満たされた場合にクリア可能に構成されることが必須の要件であるため、マップチップに係り実行される対戦ゲームが、クリア不可能なように際限ない量の敵キャラクタが登場するよう設定されていることは好ましくない。従って、マップチップの各々にも該マップチップに係る対戦ゲームに登場させる敵キャラクタの総コストの上限値が設定されている。該上限値は、マップチップの種類に応じて設定されるものであってよく、例えばボスHEXに係るマップチップは攻略難易度が高い敵キャラクタが設定可能なように、他の種類のHEXに係るマップチップよりも高く設定されるものであってよい。なお、敵キャラクタの設定はユーザからの操作入力に基づいてなされるものであってよく、その場合、位置確定がなされたマップチップに設定可能なキャラクタの一覧を表示部106に表示するよう制御部101は表示制御を行ってよい。また設定可能なキャラクタの一覧は、S501でマップチップ群の情報を取得したように所有要素情報等に基づいて行われるものであってよい。またマップチップに設定可能な敵キャラクタに係るコストと、デッキ構築に係るコストとは同一である必要はない。
【0051】
S505で、制御部101は、クエストに係るマップの構成作業が完了したか否かを判断する。マップの構成については、ユーザにより作業完了に係る操作入力がなされたか否かにより完了判断がなされるものであってよいが、この他、例えば1以上のマップチップが配置されている、各マップチップに係る対戦ゲームの敵キャラクタが設定済みである、マップ中のマップチップに設定された敵キャラクタの総コストが所定値以下である等、クエスト成立に係り予め定められた基本的な条件が満たされているか否かの判断を行うものであってよい。なお、予め定められた基本的な条件は、ユーザのゲーム進行状況によって変化するものであってもよい。制御部101は、マップの構成作業が完了したと判断した場合は処理をS506に移し、完了していないと判断した場合は処理をS501に戻す。
【0052】
S506で、制御部101は、構成されたマップについてクエスト開始時にプレイキャラクタを配置可能なマップチップ(初期HEX)の設定を行う。本ステップの設定は、ユーザによりなされるものであってもよいし、制御部101が例えばボスHEXに係るマップチップに至るまで所定数のマップチップの経由を要する位置等、所定のルールに基づき行われるものであってもよい。
【0053】
S507で、制御部101は、設定された初期HEXに係るマップチップの情報に基づき、構成完了したマップに係るクエストがクリア可能であるかの判断を行う。クエストがクリア可能であるか否かの判断は、予め定められた評価値演算等の結果や、AIプレイによるプレイ結果等に基づいて判断されるものであってよい。制御部101は、構成完了したマップに係るクエストがクリア可能であると判断した場合は処理をS508に移し、クリア不可能であると判断した場合はその旨を通知してS501に処理を戻す。
【0054】
S508で、制御部101は、構成完了したマップに係るクエストのクリア条件となる制限時間を決定する。そして制御部101は、該制限時間と構成完了したマップを示すクエストデータとを含めたクエスト登録情報を生成し、通信部107を介してサーバ装置200に該クエスト登録情報の登録要求と共に送信する。制限時間の設定は、クエストのクリア可能の判断と同様に評価値演算やAIプレイ結果を考慮するものであってよく、例えば評価値の範囲について予め定められた制限時間やAIプレイ結果から所定の時間を加減算することにより決定されてよい。また生成するクエスト登録情報は、作成者であるユーザを示す識別情報(事前アプリケーションでは正式サービスにおいて使用されるとユーザIDと同一である必要はなく、例えば正式サービス提供開始後の最初の利用時に作成者と利用ユーザの対応付けがなされればよい)、及び制限時間の情報を含むものであってよい。
【0055】
このように登録要求と共に登録されたクエスト登録情報は、サーバ装置200において受信され、例えばサーバ制御部201が新たなクエストIDを取得し、該クエストID、登録日時情報、プレイ数(0回)、クリア数(0回)の情報を関連付けて、クエスト情報としてクエストDB206に登録されるものとする。
【0056】
なお、本実施形態ではマップの構成作業の完了後にクエストクリア可能の判断及び制限時間の決定の処理(S507、S508)を行うものとして説明したが、これらの処理はマップの構成作業中の追加や変更を受けて行われ、結果がクエストエディット画面上に表示されるものであってもよい。また本実施形態ではこれら処理をクライアント装置100において実行するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えばクエストクリア可能の判断及び制限時間の決定の処理の少なくともいずれかは、サーバ装置200において実行されるものであってもよい。特に、各クエストの難易度の主要素となり得る制限時間の判断基準は正式サービス提供開始時期まで確定されない要素であり得るため、事前アプリケーションにはこれらの処理が実装されていなくともよい。
【0057】
また、本実施形態では作成したクエストについて公平かつ適度な制限時間が設定されるよう、システム(サーバ側)やサービス利用用に提供されるアプリケーションにより制限時間の決定がなされるものとして説明するが、例えば作成ユーザが実際にプレイしてクリアまでに要した時間を基準に制限時間が決定される、あるいはユーザが任意に決定可能であるものとしてもよい。
【0058】
《特典付与処理(クエスト作成)》
次に、クエストの作成に対する特典を付与する特典付与処理について、
図6のシーケンス図を用いてクライアント装置100及びサーバ装置200の処理を説明する。該シーケンス図に対応する処理は、クライアント装置100において制御部101が、例えば記録媒体102に記録されている正式アプリケーションに係るプログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行すること、及びサーバ装置200においてサーバ制御部201が、例えばサーバ記録媒体202に記録されている対応する処理プログラムを読み出し、サーバメモリ203に展開して実行することにより実現することができる。なお、クエスト作成に係る本特典付与処理は、クライアント装置100において正式アプリケーションが起動された際に開始されるものとして説明する。
【0059】
S601で、制御部101は、提供ゲームのサービス利用要求(ログイン要求)を通信部107を介してサーバ装置200に送信する。サービス利用要求には、クライアント装置100の使用ユーザ(対象ユーザ)に係るユーザIDの情報が含まれる。
【0060】
S602で、サーバ制御部201は、サービス利用要求を受けてログイン等のクライアント装置100へのサービス提供に係る種々の処理を実行する。該処理には、対象ユーザのユーザIDに対応付けられたユーザ情報のユーザDB204からの読み出しが含まれる。
【0061】
S603で、特典付与部207は、ログイン時刻よりも前に対象ユーザのユーザIDに関連付けてクエストDB206に登録されたクエスト情報(対象ユーザにより作成されたクエストに係る情報)のうち、まだ対象ユーザに対して特典を付与していないクエスト情報が存在するかの判断を行う。対象ユーザにより作成されたクエストの情報は、S602において読み出された対象ユーザのユーザ情報の作成クエスト情報905を参照することによりクエストIDが特定可能であってよい。また制御部101は、該クエストIDが関連付けられて登録されているクエスト情報に前回のログイン日時から今回のログイン日時までの日時を示す登録日時情報943を有するクエスト情報が存在するか否かにより、まだ特典を付与していないクエスト情報が存在するか否かの判断を行う。本実施形態のゲームシステムでは簡単のため、ログイン時にクエストの作成に対する特典付与を行うものとして説明する。即ち、ログイン後に作成されて登録されたクエストについてはシステム反映までの時間等を考慮して、次回以降のログイン時に特典付与部207が特典付与を行うものとして説明する。しかしながら、特典付与のタイミングはこれに限られるものではなく、クエスト情報の登録時に行われるものであってもよい。また特典付与の有無についてはログイン日時と登録日時との比較に基づいて行われるものに限られるものでなく、例えばクエスト情報が特典付与の有無を示す論理型の情報を有し、該情報により既に付与しているか否かを判断するものとしてもよい。
【0062】
S604で、特典付与部207は、S603における判断結果に応じて対象ユーザに係るユーザ情報の特典情報906を更新する。より詳しくは、特典付与部207は、まだ特典の付与を行っていないクエスト情報が存在すると判断した場合、該クエスト情報についてクエスト作成に係る特典の情報を特典情報906に追加する。このとき特典付与部207は、特典の付与を行っていないクエスト情報の登録日時情報943が正式サービスの提供開始前の日時を示している場合、上述したように正式サービス提供開始後に登録されたクエスト情報とは異なる態様で特典の付与を行う。また特典付与部207は、特典の付与を行っていないクエスト情報が存在しないと判断した場合、新たなクエスト作成に係る特典の情報の特典情報906への追加は行わない。また特典付与部207は、ログインボーナスやイベントに係る他の特典の付与を行う場合も、同様に特典情報906の更新を行う。特典情報906の更新後、サーバ制御部201は対象ユーザに係るユーザ情報をサーバ通信部208を介して該当のクライアント装置100に送信する。なお、特典付与部207により特典情報906の変更が行われた場合、該更新はユーザDB204に管理されている対象ユーザに係るユーザ情報にも反映されるものとする。
【0063】
S605で、制御部101は、サービス利用要求に対応して得られたユーザ情報に係る特典解析部105の解析結果に基づき、正式アプリケーションに係る画面構成要素を変更し、表示部106の表示制御を行う。このとき、新たに付与された特典(取得済フラグがFalse)については例えばメイン画面においてはその件数のみを表示し、特典の詳細表示要求がなされた場合に、クエスト作成等のいずれの事項に対して付された特典であるかが識別可能に表示されるものであってよい。またクエスト作成に係り付与された特典の表示態様は、クエストの登録日時が正式サービスの提供開始日時の前後のいずれであるかに応じて異ならせるよう制御されるものであってもよい。
【0064】
このようにすることで、例えば正式サービスの提供開始後の最初のログイン時に、事前アプリケーションを用いて作成されて登録されたクエストについて、ユーザへのクエスト作成に係る特典付与を実現することができる。また上記説明では、予め正式サービスにおけるユーザIDと事前アプリケーション利用時のクエスト作成者の識別情報との対応付けられているものとしたが、このような対応付けがなされていない場合は最初のログイン時ではなく、対応付けがなされた際に、正式サービスの提供開始前に登録されたクエスト情報について、クエスト作成に係る特典が付与されればよい。
【0065】
また、例えば事前アプリケーションにおいて作成されて登録されたクエストのうち、例えば興趣性が高いものとして評価されたクエストについては、正式サービスにおいて上述の対人プレイ用ではなく、ストーリーに係る公式クエストとして採用される態様であってもよい。このような場合、特典付与部207は該クエストの作成について付与する特典を、正式サービス提供開始前に登録された他のクエストの作成について付与する特典よりも、さらに提供ゲームの進行が有利にさせ得る内容に変更してよい。
【0066】
《特典付与処理(対人プレイ)》
次に、作成したクエストが他のユーザにプレイされる対人プレイ要素に係る特典を付与する特典付与処理について、
図7のシーケンス図を用いてクライアント装置100及びサーバ装置200の処理を説明する。該シーケンス図に対応する処理も同様に、クライアント装置100及びサーバ装置200において各制御部が対応するプログラムを読み出して、展開及び実行することにより実現することができる。なお、対人プレイ要素に係る本特典付与処理は、クライアント装置100において正式アプリケーションが実行され、該アプリケーション中で他のユーザが作成したクエストに対するプレイ要求がなされた際に開始されるものとして説明する。
【0067】
S701で、制御部101は、プレイ要求を行うクエスト(対象クエスト)について、該クエストに係るゲームをプレイするための情報(クエストプレイ用情報)の取得要求を通信部107を介してサーバ装置200に送信する。本実施形態では、クエストプレイ用情報の取得要求には、対象クエストのクエストIDに加え、クライアント装置100の使用ユーザ(対象ユーザ)に係るユーザIDが含まれるものとして説明する。しかしながら、サービス利用にあたり対象ユーザに係るユーザIDは既にサーバ装置200に送信されているため、サーバ装置200において情報送受信に係るクライアント装置100とサーバ装置200との接続の同一性が担保されるのであれば、クエストプレイ用情報に限らず種々の要求にユーザIDの情報は含まれないものとしてもよい。
【0068】
S702で、サーバ制御部201は、クエストプレイ用情報の取得要求を受けて、該要求に含まれるクエストIDに関連付けられたクエスト情報をクエストDB206から読み出す。そしてサーバ制御部201は、読み出したクエスト情報のクエストデータ944及び制限時間945を、クエストプレイ用情報としてサーバ通信部208を介して対象ユーザのクライアント装置100に返送する。
【0069】
S703で、制御部101は、受信したクエストプレイ用情報に基づいて対象クエストに係るゲームの処理を実行する。より詳しくは、制御部101はクエストプレイ用情報に含まれる制限時間をクリア条件に含む対象クエストに係るゲームを、クエストデータを用いて対応処理を実行することで実現する。そして制御部101は、対象クエストに係るゲームが完了すると、ゲームの実行結果の情報を通信部107を介してサーバ装置200に送信する。ゲームの実行結果は、上述したように対象クエストについて設定された制限時間内にボスHEXの制圧が完了したかに基づいてクリア条件の達成有無の判断が行われ、内容確定されるものであってよい。
【0070】
S704で、特典付与部207は、対象クエストに係るゲームの実行結果の情報がクリア条件達成を示すか否かを判断する。特典付与部207は、ゲームの実行結果の情報がクリア条件達成を示すと判断した場合、対象ユーザのユーザIDに関連付けられてユーザDB204に管理されているユーザ情報の特典情報906に、対人プレイ要素に係る特典の情報を追加する。また特典付与部207は、対象クエストのクエストIDに関連付けられてクエストDB206に管理されているクエスト情報のプレイ数946及びクリア数947を1増加させて更新する。一方、ゲームの実行結果の情報がクリア条件未達成を示すと判断した場合、特典付与部207は、対象クエストの作成ユーザに対する特典の付与を行う。即ち、特典付与部207は、対象クエストに係るクエスト情報の作成ユーザID942を参照し、該ユーザIDに関連付けられてユーザDB204に管理されているユーザ情報の特典情報906に、対人プレイ要素に係る特典の情報を追加する。また特典付与部207は、対象クエストのクエストIDに関連付けられてクエストDB206に管理されているクエスト情報のプレイ数946を1増加させて更新する。
【0071】
なお、本実施形態ではゲームの実行結果の情報を受信した場合にユーザ情報を更新し、所定のタイミングでユーザ情報の要求が対象ユーザのクライアント装置100からなされた場合に該更新後のユーザ情報が提供されるものとする。しかしながら、更新が行われた時点で、更新後のユーザ情報が対象ユーザのクライアント装置100に送信され、クライアント装置100における画面表示に反映されるものであってもよい。
【0072】
このようにすることで、ユーザ(作成ユーザ)により作成されたクエストが他のユーザ(プレイユーザ)によりプレイされることで、該クエストのクリア条件達成の有無に応じて作成ユーザまたはプレイユーザのいずれかに特典を付与することができ、提供ゲームに係る対人プレイ要素を提供することができる。また本実施形態の対人プレイ要素に係る特典付与処理では特典の内容について言及しなかったが、付与される特典はクエスト難易度やクエストに係るゲームのプレイ結果(制限時間の残り時間やプレイキャラクタの残り体力等)を考慮して、特典の内容が変化するよう構成されていてもよい。また事前アプリケーションにおけるクエスト作成は、ユーザがまだゲームプレイを行っていない(正式サービスを利用していない)状態であり、かつ作成に用いることが可能な要素が制限されている。故に、正式サービスの提供開始前に登録されたクエストに係るゲームがクリアされなかった場合には作成ユーザに対しては、正式サービスの提供開始後に登録されたクエストに係るゲームがクリアされなかった場合に比べて、ゲーム進行を有利にし得る特典が付与されるよう差別化する構成であってもよい。
【0073】
[変形例1]
上述した実施形態では、HEXに係る対戦ゲームにおいて単にコンボ数やオーバーキルの有無、与ダメージ量に応じて行動可能時間やSPゲージの充填がなされるものとして説明したが、より制限時間を意識させた緊張感のあるゲームプレイをユーザに提供するため、以下のような制御を行うものとしてもよい。
【0074】
図8(a)は、本変形例1に係るHEXに係る対戦ゲームにつき、クライアント装置100の表示部106において表示されるゲーム画面を示している。図示されるように、本変形例のゲーム画面では、上述の実施形態の態様と異なり、行動可能時間を示す時間ゲージ801と特殊技の使用時に消費されるSPゲージ802のゲージ最大長が連動するよう構成される。両ゲージは一体となって1つの円状のゲージを形成し、該円の下端が各ゲージの下端となる。各々のゲージ内に黒塗りまたはハッチングで示された充填量は、それぞれターン経過時間、特殊技に係るチャージ量を示しており、これらは時間経過とともに増加する。なお、充填量の増加スピードは、例えばSPゲージ802の方が速く設定される等、ゲージ間で異なっていてよい。
【0075】
一方、2つのゲージの最大長は、なされた行動に応じて変化するポインタ803により示される。換言すればポインタ803は、図示される円状ゲージを時間ゲージ801とSPゲージ802とに分割する位置804を示している。即ち、ポインタ803により示される円状ゲージの位置804が、時間ゲージ801における行動可能時間の終了、SPゲージにおける特殊技が使用可能な状態になったこと(チャージ完了)を示している。ポインタ803は、初期状態では
図8(b)に示されるように円状ゲージの上端811を指しており、これがターン中に攻撃動作がなされると、例えば連撃に係るコンボ数に応じて
図8(c)に示されるように右側に傾斜し、位置812を示す。即ち、連撃を成功させることでターンに係る行動可能時間は延長され、ユーザは1つのターン中でより長く攻撃動作に係る操作入力を行うことが可能となる。またこのとき同時に特殊技の使用までに必要となるチャージ量が減少されるため、プレイヤは特殊技が使用可能となる条件を容易にすることができる。一方で、特殊技はゲーム進行を有利にし得る動作であるため、ゲームバランスを考慮し、特殊技が使用された場合には
図8(d)に示されるように、ポインタ803はそれまで示していた位置812よりも左側に傾斜し、位置813を示す。即ち、特殊技の使用により行動可能時間は短くなり、次の特殊技使用までに必要となるSPゲージのチャージ量が多くなるよう制御される。
【0076】
このようにHEXに係る対戦ゲームの実行において、制御部101は上述のようなターンに係る行動に応じた時間制御及びゲーム画面の表示制御を行うことで、制限時間が設けられているクエストに係るゲームプレイに際し、行動選択に係る攻略性を担保し、より興趣性の高いゲームを提供することができる。
【0077】
[変形例2]
上述した実施形態及び変形例1では特に言及しなかったが、一般的には事前アプリケーションの配布や実行は正式サービスの提供開始後には行われない。しかしながら、上述のように一部の機能のみを体験可能に構成された事前アプリケーションであれば、サービス利用ユーザを増加させる観点から、正式サービスの提供開始後も配布及び実行を認めるものとしてよい。
【0078】
一方で、正式サービスの提供開始後の事前アプリケーションによるクエスト登録は、必ずしも提供開始時期のゲーム体験の拡充に貢献するものではないため、サービス前に登録されたクエストのような付与特典に係る優遇は認めないものとしてよい。
【0079】
[変形例3]
上述した実施形態、変形例1及び2では提供ゲームの一態様として、上記のような拠点(HEX、マップチップ)を配置することで構成されたマップを有するクエストとしてユーザに提供するゲームを例に説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。本発明の適用対象となるゲームは、少なくともゲームプレイの一単位として設けられたクエスト等のゲームパートのクリア条件として制限時間の要素を含むゲームであればよく、特定の種類のゲームに限定される必要はない。即ち、ゲームパートとしてユーザがプレイ可能に提供されるゲームは、上述した拠点制圧に係る対戦ゲームを行うものに限られず、戦闘相手のキャラクタを討伐することで一部のクリア条件が満たされる種々の対戦ゲーム、または単にパズルやクイズ等の対戦を伴わないゲームであってもよい。このように、少なくともクリア条件に制限時間を設けることで、ユーザがより緊張感をもってゲームプレイすることができ、興趣性を高めることができる。またより好ましくは、ゲームパートをプレイ中のユーザによりなされた操作入力に応じて制限時間の残り時間を変化させることで、戦略・攻略の観点からも興趣性を高めることができる。
【0080】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。また本発明に係るゲームシステムは、1以上のコンピュータを該ゲームシステムとして機能させるプログラムによっても実現可能である。該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。