(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記方法はさらに、前記複数の繊維のロフト又は、前記第一の生地層と前記第二の生地層から構成される衣服の耐久性のうち、少なくとも1つに基づく所定の距離だけ、前記第一のキルティングステッチ線(102,302)から離隔して設けられる第二のキルティングステッチ線を形成することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記第一の生地層及び前記第二の生地層から構成される衣服は、パーカー(100)、ズボン(110)、又は寝袋(116)のうちの少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記方法はさらに、前記第一の生地層(1040)と前記第二の生地層(1050)の中間の停滞空気の体積を増やすために、前記第一及び前記第二のバンドル構造物(1030)の各々を束ねることを含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の定義を容易にするため、多くの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解されている意味を有する。単数の用語は、単一の物のみを指すことを意図するものではなく、一般的な種類を含み、その一般的種類の具体例が説明に用いられてもよい。本明細書の用語は本発明の具体的態様を記述するために用いられるが、具体的態様の使用方法は、特許請求の範囲で概説される場合を除き、本発明を限定するものではない。
【0020】
図1Aは、本明細書で開示される様々な実施形態と一致する方法で固定された断熱材を有する断熱パーカー100、又は断熱ジャケットを示す。断熱パーカー100等、断熱衣服の様々な実施形態は、少なくとも内生地層と外生地層とを含む。糸等の断熱素材は、内生地層と外生地層の間に配置される。より具体的には、断熱素材は、断熱パーカー100の断熱層を形成してもよい。断熱層は、内層の表面と外層の表面との中間に配置されるのと同様に、内生地層の表面に隣接して配置されてもよく、外生地層の表面に隣接して配置されてもよい。
【0021】
本開示を通して、内生地層及び外生地層(又は、内層及び外層)という用語が用いられるが、内層とは、衣服の最も内側の層のことでなくてもよい。同様に、外層は、衣服の最も外側の層のことでなくてもよい。むしろ、これらの用語は、相対的な意味で適用される。内層は外層に比べて、着用者の側に、より近接している。
【0022】
断熱パーカー100は、キルティングパターンを形成するステッチ線102を含む。様々な実施形態において、キルティングステッチ線102は、内生地層と外生地層をキルティングステッチ線102に沿って結び付け、そうでなければ、内生地層と外生地層をキルティングステッチ線102に沿って貼り付ける。そのような方法で内生地層と外生地層を結びつけることで、2つの生地層の間に、バッフルやチャネルが生成される。
図1Aに示すように、断熱パーカー100は、複数のチャネルを生成する複数のキルティングステッチ線102を含む。
【0023】
キルティングステッチ線102は一般的に、お互いに平行であり(生地層が概して、平面内に平坦に配置される場合)、好ましくは等間隔であり、均一なチャネルを形成する。
図3B乃至7に関する説明で明らかになるように、キルティングステッチ線102は、好ましくは、断熱素材の長手方向軸を概ね横断するように方向付けられている。キルティングステッチ線102の横断向きによって、断熱素材を安定させ、維持し、そうでなければ固定する。また、断熱パーカー100の着用時にキルティングステッチ線102が重力方向に対して横断するように、キルティングステッチ線102は概して水平である。重力に対して横断するようにキルティングステッチ線102を方向付けすることにより、断熱素材の固定性が向上する。
【0024】
いくつかの実施形態では、断熱パーカー100は、ジッパー104又は他のファスナーを含む。他のファスナーは、例えばボタン、スナップ、フックとループの材料、及びパーカー100の前面中央の開口部を固定するための同種類のもの等である。他の実施形態では、ファスナーを含まないが、着用者の頭部と肩部とを引っ張ることで着脱する「プルオーバー」スタイルでもよい。また、他の実施形態では、「フード」スタイルのパーカーでもよい。フードスタイルのパーカーは、着用者の頭部に対する断熱性を向上させることができる。様々な実施形態において、断熱パーカー100は、「ふっくらとした」スタイルのジャケットやパーカーである。
【0025】
断熱パーカー100はポケット106を含む。いくつかの実施形態は、ジッパー又はポケット106をしっかりと閉めるための他のファスナーを含んでよい。断熱パーカー100はさらに、登山やクライミング、又はアセンブリを操縦する操作レバースタイルによる乗り物の運転といった活動中に、快適性を向上させる多関節アーム108を含む。この種の活動に参加する人は、自らの胴体部分の気候を制御するために、断熱パーカー100のような断熱衣服をよく使用する。図示しないが、いくつかの実施形態では、精力的な活動中に通気を行うための、空気穴を含んでよい。任意の適正なファスナーで空気穴の開閉を行ってもよい。
【0026】
図1Bは、本明細書で開示される様々な実施形態と一致する方法で固定された断熱材を含む断熱ズボン110を示す。断熱ズボン110は、複数のキルティングステッチ線112を含む。
図1Aの断熱パーカー100と同様に、キルティングステッチ線112は、断熱ズボン110に含まれている断熱素材を固定するために用いられる。ウエスト引締め手段114は、着用者のウエスト周りで断熱ズボン110を固定しやすくするために、断熱ズボン110に含まれてもよい。
【0027】
図1Cは、本明細書で開示される様々な実施形態と一致する方法で固定された断熱材を含む「ミイラ」スタイルの断熱寝袋116を示す。
図1Aの断熱パーカー100、及び
図1Bの断熱ズボン110と同様に、キルティングステッチ線118は、断熱寝袋116に含まれている断熱素材を固定するために用いられる。
【0028】
図2Aは、
図1A、
図1B、及び
図1Cに示すような衣服の中で、断熱素材として用いられる撚糸220である。撚糸220は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法で固定されてよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、撚糸220は紡績撚糸である。撚糸220は、羊毛、ポリエステル、ナイロン、又はレーヨンに限らず、様々なタイプの天然繊維又は合成繊維から作られてよい。様々な実施形態において、繊維は、抗菌性、疎水性、又は耐燃性等の機能を追加するために用いられる。本開示では限定していないが、撚糸220は、好ましくは合成紡績撚糸である。撚糸220は、核糸222と、多数の巻糸及び/又は渦糸224と、を含む。
【0030】
図2Bは、
図2Aに示す撚糸220のような撚糸を複数含む、撚糸の断熱バンドル230を示す。バンドル230は、
図1A、
図1B、及び
図1Cに示すような衣服の中で断熱材として用いられ、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法で固定される。好ましい実施形態では、バンドル230に含まれる撚糸は、バンドル230のボディを形成するために緩んでいる。
【0031】
図2Bは、紡績撚糸バンドル230の中に、複数の撚糸236をバンドリングすることを示す。いくつかの実施形態において、このバンドリングは、ボディをふわふわした繊維とするとともに、断熱能力を向上させる。その結果として、断熱材は、柔軟で圧縮性があり、ダウンの断熱材のように感じるほどの品質を有する。さらに、圧縮された場合、例えば、この繊維を使用している衣服がスタッフサックの中で圧縮されたような場合には、圧縮力から解放された後、このふわふわした繊維は概して元のサイズ及び密度に戻る。
【0032】
バンドル230に示すように、
図2Aの巻糸及び/又は渦糸224のような巻糸及び/又は渦糸は、拡がって、バンドル230に含まれるそれぞれの核糸の間の隙間を少なくとも部分的に満たしてよい。これらの隙間を少なくとも部分的に満たすことで、巻糸及び/又は渦糸によって、そのようなバンドルから構成された衣服において、そのような衣服の着用者を断熱する能力を向上させると同様に、本体及び/又はロフトを増加させる。
【0033】
図8との関連で詳細に説明するように、所望のレベルの断熱性、圧縮性、寿命、及び「ふわふわ感」を得るために、バンドル密度を変更してもよい。構成される衣服の予想される用途に合わせて、これらの様々な特性を調整してよい。バンドル230は、比較的低い密度を有する、撚糸のバンドルである。衣服における、断熱性、圧縮性、寿命、及び「ふわふわ感」の所望のレベルに依存して、バンドル密度を、バンドル230の密度から増やしてもよく、減らしてもよい。
【0034】
図3Aは、
図1A、
図1B、及び
図1Cに示すような断熱衣服の一部300を示す。この断熱衣服が有する断熱材は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法で固定される。衣服部分300は、複数のキルティングステッチ線302を含む。複数のキルティングステッチ線302は、チャネル326を作るバッフルを形成する。衣服の外生地層が示されている。
【0035】
図3Bは、
図1A、
図1B、及び
図1Cに示すような断熱衣服の一部300を示す。断熱衣服部分300は、複数の断熱バンドルを拡大観察するための透明な切欠き窓328と共に示されている。複数の断熱バンドルは、衣服部分300の内生地層と外生地層との中間に配置されたバンドル330を含む。バンドル330は、2以上の撚糸を有してよく、好ましくは、少なくとも20の撚糸を有してよい。多かれ少なかれ、撚糸は、特定の衣服に所望される断熱特性に依存して、各バンドルに用いられている。断熱バンドル330は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法で固定される。バンドルを固定する一実施形態を、
図3Cに多少概略的に示す。本明細書に開示される実施形態に一致する代替方法を、多少概略的に、
図9A及び
図9Bに示す。
【0036】
衣服部分300は、複数のキルティングステッチ線302を含む。複数のキルティングステッチ線302は、ステッチ線バッフルの間に、チャネル326を形成する。衣服の外生地層が示されている。
図4乃至
図7に示すような、衣服の様々な実施形態は、衣服の内層と外層との中間に断熱層を形成するための複数のバンドルを含む。
【0037】
バンドル330の長手方向軸(バンドル330に含まれる撚糸の長手方向軸と同一)は、キルティングステッチ線302を概ね横断する。
図3Bで示すように、いくつかの実施形態において、バンドル330とキルティングステッチ線302とが相対的に横断する向きは、バンドル330内の撚糸の長手方向軸とキルティングステッチ線302との間で略90度の角度を形成する直交又は垂直の向きである。他の実施形態では、それほどに制限されず、相対的な向きは、撚糸の長手方向軸とキルティングステッチ線302との間の角度を、80°、60°、45°、30°のような鋭角や、他のそのような角度に形成してよい。
【0038】
この横断する向きは、バンドル330に含まれる各撚糸と同様に、(撚糸によって定義されたように)長手方向及び短手方向の両方においてバンドル330を固定する。(1)断熱素材は、衣服部分300の内側表面と外側表面との中間に配置されるため、(2)キルティングステッチ線302が、衣服部分300の内層と外層とを結びつけるため、及び、(3)断熱素材の長手方向軸がキルティングステッチ線302を横断するため、断熱素材の位置が固定される。
【0039】
実施形態が制限される必要はないが、好ましい実施形態では、衣服を着用しているとき、キルティングステッチ線302は水平に配向され、バンドル330は垂直に配向される。水平なステッチ線302は、好ましくは、垂直方向に均等に配置される。実施形態は、連続した複数のキルティングステッチ線302間の任意の特定の離隔距離に制限されない。しかしながら、好ましい実施形態では、連続した複数のキルティングステッチ線の間隔は、概して2〜4インチである。
【0040】
図8との関連で詳細に説明するように、複数のキルティングステッチ線302間の間隔は、隣り合うバンドル330内に含まれる撚糸の密度の関数に応じて変化する。バンドル330に含まれる撚糸の密度は、構成される衣服の所望される特性に基づいて変更してもよい。いくつかの実施形態では、一つのバンドルに含まれる撚糸の数の変更によってバンドル密度を変更したり、共に詰められている個々の撚糸同士の近接性及びバンドル同士の近接性の変更によってバンドル密度を変更したりしてよい。高密度のバンドルを形成するために、個々の撚糸を他の撚糸と組んだり結んだりしてもよい。
図3Cに関して詳細に説明するように、衣服層は、タック360、362、370、及び372のように、タックやステッチを含んでよい。
【0041】
図3Cは、複数の断熱繊維を固定する方法を示す。この方法は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法である。これらの方法や他の方法は、断熱衣服300の一部に含まれて、断熱衣服の構成に用いられてよい。この方法は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法である。
【0042】
図3C内に示されている方法は、(粗い螺旋として概略的に示される)断熱バンドル330のような断熱バンドルの均等な配置を許容する。粗い螺旋として示されているが、バンドル330のようなバンドルそれぞれの中に含まれる少なくとも一部の撚糸は、
図2Aの巻糸224のような繊維状の巻糸を含む。また、この方法は、キルティングステッチ線を縫う前に、バンドルの配置を一時的に固定することを許容する。ここで、
図3Cでは、2本の平行なキルティングステッチ線として点線302を示している。
図3Cに示される図は、キルティングステッチ線を縫う前のものである。点線302は、参照のみのために示されており、バンドルをレイアウトして均等に配置した後に、キルティングステッチ線が縫われる可能性のある位置を示す。
【0043】
断熱衣服の一部300は、内生地層340及び外生地層350を含む。好ましい実施形態において、断熱衣服の一部300は複数のタックを含む。タックはステッチングを含んでよい。例えば、タック360及び362のようなタックは、内生地層340及び外生地層350のうち少なくとも一つの第一の縁部に沿って、概ね一定の間隔で配置されてよい。また、タック370及び372のようなタックは、内生地層340及び外生地層350のうち少なくとも一つの第一の縁部と概ね平行な第二の縁部に沿って、概ね等間隔に配置されてよい。第一の縁部及び第二の縁部に沿ったタックは概ね位置合わせされているため、第一の縁部に沿った第一のタックと、第二の縁部に沿った、対応する第二のタック(例えば、タック360と370それぞれ)との間の軸は、第一の縁部に沿った第三のタックと、第二の縁部に沿った、対応する第四のタック(例えば、タック362と372それぞれ)との間の他の軸と概ね平行である。これらの軸の各々は、対応するタック360/370と362/372との間の点線で示される。ここで、これらの点線は、ステッチ線でなく、むしろ、点線302と同様に、例示のみを目的として示されていることに留意すべきである。
【0044】
好ましい実施形態において、各タックは、内生地層340と外生地層350とを結びつけるステッチを含む。
図3Cに示すように、各タックに含まれるステッチ線は、生地層の第一の縁部及び第二の縁部に概ね直交してよい。タックステッチ線は、最終的に縫われる可能性のあるキルティングステッチ線と概ね直交する。このような2つのキルティングステッチ線の位置は、
図3Cの点線302として示される。各タックステッチ線の長さは、衣服部分300の要求に応じて、0.5mmから20.0mmの間であればよい。一つの好ましい実施形態では、タックステッチ線の長さは、概ね5mmである。しかしながら、他の実施形態ではそれほどに制限しておらず、ステッチ線の任意の長さをタックのために用いてよい。一つの好ましい実施形態では、バンドル330のようなバンドルを、整列させて均一に配置するために、タックがガイドを有する。
【0045】
複数のタックが、生地層の第一の縁部及び第二の縁部のそれぞれにおいて開放されているバンドルチャネルを形成する。例えば、タック360、362、370、及び372は、バンドルチャネル380を形成する。タック360と370との間に示されている点線や、タック362と372との間に示されている点線によって、バンドルチャネル380のおおよその境界線は示される。タックは一定の間隔で配置されて、他方の生地の縁部の対応するタックと位置合わせされるため、バンドルチャネルは概ね均等な幅となる。対応するタックは、ステッチ線の長さに沿って、内生地層340と外生地層350を結びつける。
【0046】
いくつかの実施形態では、ステッチ線又はタックは、バンドルチャネルの側の長さに達しないので、連続するバンドルチャネルは互いに完全に孤立しているわけではない。むしろ、
図3Cに示すように、タックのステッチ線は、バンドルチャネルの側の長さの一部においてのみ、連続するバンドルチャネルを孤立させる。例えば、タック360、362、370、及び372は、タック360、362、370、及び372の長さのみによって、両側に連続するバンドルチャネルからバンドルチャネル380を孤立させる。連続するバンドルチャネルの体積や境界は、お互いに完全に孤立しているわけではないため、バンドルチャネルは仮想バンドルチャネルであってよい。タックの主目的は、キルティングのために、所定の位置にバンドルを保持することである。そのキルティングは、好ましい長期安定をもたらす。
【0047】
バンドルチャネル380のような、これらのバンドルチャネルのそれぞれが、バンドル330のような複数のバンドルを保持してよい。いくつかの実施形態では、バンドル330は、バンドルチャネルの一方の端部の開口部を通して、対応するバンドルチャネル内で保持される。バンドルの均等な配置を確実にするため、概ね等しい数のバンドルが、各バンドルチャネルによって保持されてよい。好ましい実施形態では、一つのバンドルが一つのバンドルチャネルによって保持される。各バンドルチャネルの軸は、各バンドルの軸と概ね平行である。各バンドルチャネルの軸は、キルティングステッチ線302によって形成されるチャネル326と概ね直交してよい。
【0048】
タックと、タックによって形成されたバンドルチャネルは、衣服部分300のあらゆる場所で、断熱バンドルの均等な配置を許容する。いくつかの実施形態では、生地縁部に沿った連続するタック間の距離(つまり、各バンドルチャネルの幅)は、1〜2インチである。少なくとも一つの好ましい実施形態において、各バンドルチャネルの幅は、おおよそ1.5インチである。しかしながら、他の実施形態ではそれほどに制限しておらず、連続するタックの離隔距離は、衣服での要求に応じて変更してよい。好ましい実施形態では、およそ30の撚糸が一つのバンドルを形成する。各バンドルチャネルは、30の撚糸を含む一つのバンドルを保持する。しかしながら、他の実施形態ではそれほどに制限しておらず、バンドル当たりの撚糸の密度は、バンドルチャネル当たりのバンドル密度と同様に、衣服での要求に応じて変更してよい。
【0049】
例示の目的のために、
図3Cでは、タックによって形成されたいくつかのバンドルチャネルによって保持されている単一のバンドルを示すため、内生地層340を透明としている。対応するバンドルチャネル内に半ば挿入されるバンドル330が示されている。矢印は、挿入方向を示す。いくつかの実施形態において、バンドルは、第一の生地縁部に沿うバンドルチャネル開口部に沿って、内生地層340と外生地層350の中間で保持される。バンドルは、第二の生地縁部に沿ったバンドルチャネル開口部を通して、バンドルチャネルからわずかに出てもよい。バンドルの露出端部は、衣服の縁部を仕上げる前に、生地と共に均等に切り取られてよい。
【0050】
バンドルチャネル380を含む各バンドルチャネルが、適切な数の束ねられた撚糸を保持した後、キルティングステッチ線302は、バンドルチャネルを横断して縫われて、チャネル326を形成してよい。タックやステッチによって、少なくとも部分的にバンドルチャネルをとどめて移動させないようにするため、及び、内生地層340と外生地層350を少なくとも部分的に結びつけるため、バンドルの短手方向の配置は、キルティングステッチ線302を縫う前及びキルティングステッチ線302を縫う間に、少なくとも部分的に固定される。タック及びバンドルチャネルによる、このような固定は、キルティングステッチ線を縫う前のバンドルの均一な密度を大幅に乱すことなく、衣服の素材を取り扱うこと及び/又は輸送することを許容する。少なくとも一つの実施形態において、タックは一時的なタックである。このような実施形態において、キルティングステッチ線によりバンドルが固定された後に、タックを取り除いてよい。例えば、キルト層の大きなシートのタックされた縁部を切り取ってよい。
【0051】
ステッチ線は、タック機構の一例に過ぎない。代替の実施形態において、他のタック機構が用いられてよい。例えば、内生地層340と外生地層350との対応する部分を繋ぐために、粘着性のエポキシや樹脂など、“ねばねばした”物質や“べとべとした”物質を、内生地層340又は外生地層350のうちの少なくとも一つが有する領域に塗布してもよい。ステッチ線と似た方法による、少なくとも一時的に内生地層と外生地層とを繋ぐ任意の機構は、タックとして用いられてよい。
【0052】
バンドル内に撚糸が構成される密度は、断熱性、圧縮性、耐久性、及び「ふわふわ感」の所望のレベルのような、構成される衣服の所望の特性に基づいて決定される。バンドルが内生地層340と外生地層350との中間に位置する場合、断熱撚糸の層は、内生地層340の内側表面と外生地層350とに支えられている。そして、撚糸の層の密度は、隣接する撚糸間の平均間隔、及び撚糸バンドル同士の間隔に依存する。
【0053】
バンドルチャネルがすべてのバンドルを保持した後、バンドルが均等に配置されるように、内層と外層とを結びつける第一のキルティングステッチ線が縫われる。様々な実施形態において、第一のキルティングステッチ線は、撚糸及び/又はバンドルの長手方向軸を横断する。好ましい実施形態では、第一のキルティングステッチ線は、
図3B及び
図3Cに示すように、撚糸の長手方向軸に対して直交する。代替の実施形態では、撚糸のバンドルは、バンドルの反対側にある他方の層の少なくとも一部がステッチを有していない状況下で、衣服の領域内の一つの層にのみ、縫われてよい。
【0054】
第二のキルティングステッチ線は、縫われて、第一のキルティングステッチ線と概ね平行に、かつ第一のキルティングステッチ線から所定の距離だけ離隔して配置される。
図8に関して詳細に説明するように、連続してかつ平行なキルティングステッチ線の間の所定の距離は、断熱素材の密度及び衣服の所望の耐久性に依存する。第二のキルティングステッチ線は、撚糸の長手方向軸を概ね横断する。
【0055】
より多くのキルティングステッチ線が縫われ、その各々は、所定の距離だけ離隔しており、他のステッチ線と概ね平行であり、撚糸の長手方向軸を横断する。所望のキルティングステッチ線の数は、外層又は内層の第一の縁部及び第二の縁部の間の距離、及びそれぞれのステッチ線の間の所定の距離に依存する。いくつかの実施形態において、少なくとも一本のキルティングステッチ線は、内側表面又は外側表面の第一の縁部又は第二の縁部によって所定の距離だけ離隔する。
【0056】
上述したいくつかの実施形態において、キルティングステッチ線を縫う前に、
図3B及び
図3Cの撚糸のバンドル330のような撚糸のバンドルを形成するために、撚糸のグループを短手方向に集める。バンドルを横断して縫われた各キルティングステッチ線は、バンドルの長手方向及び短手方向の安定性をもたらす。固定された断熱材から構成される衣服が寿命に至るまで、キルティングステッチ線によって断熱バンドルの均一な配置が維持される。また、
図2A及び
図2Bに示すように、各々の撚糸は、繊維状の巻糸及び/又は渦糸224を含んでよく、巻糸及び/又は渦糸224は、衣服のロフト及び/又はボディを提供するのと同様に、バンドルの短手方向の安定性を向上させるとともに、断熱特性を増加させる。
【0057】
いくつかの実施形態において、各キルティングステッチ線が縫われる前に、バンドル内の撚糸を短手方向に束ねる。このバンドリングは、バンドルチャネルがバンドルを保持する前に行ってよい。少なくとも一つの実施形態において、インターリーブバンドルを形成するために、撚糸のグループを組んだり結んだりしてよい。この場合、より高いレベルでの短手方向の安定性がもたらされる。少なくとも一つの実施形態では、
図3Cに示すバンドルチャネル380のようなバンドルチャネルが保持するバンドルの各々に、おおむね30の撚糸が含まれる。しかしながら、実際の数は、衣服に要求される特性に依存して変更してよい。好ましい実施形態では、10〜25ストランド/インチの断熱密度を有するバンドルが用いられる。少なくとも一つの好ましい実施形態では、断熱密度は20ストランド/インチである。代わりに、断熱密度が、一平方メートル当たりのグラム数(GSM)で表現されてもよい。
【0058】
図4は、二つの断熱バンドルの実施形態を明らかにする、二つの透明な切欠き窓428を含む、断熱衣服400の他の部分を示す。二つの断熱バンドルは、各々バンドルチャネル内に配置されている。バンドルは多少概略的に示されており、各バンドルはおおよそ30の撚糸を含む。
図2Aに示すように、各撚糸は、核や多数の巻糸及び/又は渦糸を含んでよい。バンドル430は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法で固定される。
【0059】
衣服部分400は、複数のキルティングステッチ線402を含み、複数のキルティングステッチ線402は、バッフルによって分割されたチャネル426を形成する。衣服の外層が示されている。460、462、470、及び472のような、タックやステッチは、バンドルの均一な配置を可能にするためのバンドルチャネルを形成するために用いられる。ここで、示されている二つのバンドルは、対応するバンドルチャネルに配置されていることに留意すべきである。バンドルチャネルはさらに、キルティングステッチ線402を縫う前に、バンドルの均一な配置の安定化をもたらす。ここで、チャネル426がバンドルチャネルを概ね横断していることに留意すべきである。
【0060】
連続するバンドル間の短手方向の間隔は、衣服に要求される特性に応じて変更してよい。連続するタックの短手方向の間隔は、連続するバンドルにおける様々な短手方向の間隔に適応するように変更してよい。
図4に示されるバンドル430は、バンドル330のように、
図3Bに示されるバンドルよりも密度が高い。
【0061】
図5は、断熱バンドル530の他の実施形態を明らかにする複数の透明な切欠き窓528を含む、断熱衣服のさらに他の部分500を示す。複数の透明な切欠き窓528の各々は、断熱バンドル530のような断熱バンドルのいくつかを露呈する。断熱バンドル530のような断熱バンドルは、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法で固定される。衣服部分500は複数のキルティングステッチ線502を含み、複数のキルティングステッチ線502は、バッフルによって分割されたチャネル526を形成する。衣服の外層が示されている。
図3B、3C、4、及び5には、様々な実施形態において、繊維密度やロフトを変更する方法が示されている。これらに示されるようなタックは、バンドルチャネルの形成に用いられてよい。
【0062】
図6は、断熱層632のさらに他の実施形態を明らかにする、透明な切欠き窓638を含む、断熱衣服のさらに他の部分600を示す。断熱層632は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法で固定される。
図6において、バンドルは多少概略的に示されているが、各バンドルは複数の撚糸を含む。バンドルチャネルの形成に用いられるタックも、
図6に示されている。
【0063】
タックは
図3B乃至6に示されているが、タックは、一時的なタックであってよいため、本明細書に開示される様々な実施形態から構成される衣服に現存しなくてよい。また、特定の衣服は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法で固定されるバンドルを含む断熱素材の様々な領域によって構成されてよい。衣服のこれらの領域は、バンドルを概ね均一に配置するために用いられるタックを含まなくてよい。したがって、衣服は、
図3B乃至6に示すタックを含まなくてよい。
【0064】
概略的にのみ示されているが、各撚糸は、
図2Aに示す撚糸のように、複数の巻糸及び/又は渦糸と同様にコアを含んでよい。撚糸がバンドル構造物内に配置されている場合、これらの巻糸及び/又は渦糸は、撚糸のコア間の隙間を少なくとも部分的に満たしてよい。
図2Bとの関係で説明したように、この効果は、ボディ、ロフト、又は衣服の断熱能力を向上させる。
【0065】
図7は、
図1Aに示されたパーカー100のようなパーカー700の一部を示す。パーカー700は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法で固定された断熱材を露呈させる切欠き窓728を含む。透明窓728は、パーカー700の内層の内側表面上に配置される。したがって、パーカー700を着用した場合、透明窓728は、着用者の背中に隣接する。
【0066】
パーカー700は、複数のキルティングステッチ線702を含む。キルティングステッチ線702によって、複数の断熱バンドル構造物730の短手方向及び長手方向における安定性がもたらされる。本明細書における様々な図と同様に、
図7において、バンドル730のようなバンドルが、概略的に示されている。バンドルは複数の紡績撚糸を含んでよい。紡績撚糸は、核と、多数の巻糸及び/又は渦糸と、を含んでよい。いくつかの実施形態において、パーカー700は、締め付け手段718を含む。
【0067】
図8は、好ましい断熱密度を、キルティングステッチ線の間隔の関数として示すグラフである。一般的に、キルティングステッチ線の間隔(キルト間隔)が広くなるほど、衣服のロフトが効果的に増大する。しかしながら、衣服の洗濯耐久性は、キルト間隔の増加に伴って減少する。
【0068】
また、断熱素材の密度の増加は、衣服の耐久性を向上させ、密度の低い断熱バンドルに類似した能力を達成するためにキルティングの頻度を低下させる。好ましい実施形態では、
図8のグラフは、衣服のロフトを向上させる、許容可能な洗濯耐久性を保持するための断熱材の異なる密度に対して、推奨するキルト間隔を示す。
【0069】
上述したように、一つの好ましい実施形態において、キルティングステッチ線を縫う前に、バンドルを均一に配置し、少なくとも一時的にバンドルを固定するために、幅約1.5インチのバンドルチャネルが用いられる。バンドルは、約30の撚糸を含んでよい。このような実施形態では、断熱密度は結果として、約20ストランド/インチ(又は〜87GSM)である。したがって、短手方向のキルティングステッチ線間の好ましい間隔は、約3インチである。しかし、
図8に示すグラフは、他の好ましい実施形態において、代替の断熱密度、キルティングステッチ線の間隔、及び/又は様々なバンドルチャネルの幅を用いてよいことを説明している。
【0070】
図9Aは、複数の断熱繊維を固定する代替方法を示す。この方法は、本明細書に開示される様々な実施形態に一致する方法である。この方法を、断熱衣服の構成に用いてよい。
【0071】
図9Aに示す方法では、第一の素材940のビームと第二の素材950のビームが用いられる。第一の素材は、ライニング材のような内生地素材であってよい。第二の素材は、シェル材のような外素材であってよい。この方法ではさらに、紡績撚糸930のビームが用いられる。紡績撚糸930のビームは、バンドル構造物内に配置されてよい。第一の素材と第二の素材との間に挟まれた断熱紡績撚糸の層を作るために、ビームが回転する。
【0072】
紡績撚糸素材のバンドルを固定するために、キルティングステッチ線902のようなキルティングステッチ線を縫ってよい。キルティングステッチ線902は、紡績撚糸のバンドル構造物を概ね横断してよい。自動キルティングヘッド990は、キルティングステッチ線902を縫うために用いられてよい。挟まれた素材が形成されてバンドルが固定された後、素材は切断されて様々な断熱衣服に組み込まれてよい。
【0073】
図9Bは、断熱衣服の一部を含む、断熱衣服の構造における他の代替方法を示す。
図9Bに示す方法において、バンドルチャネルは、第一の素材層940及び第二の素材層950の中に予め播種される。バンドルチャネルは、第一の素材層940及び第二の素材層950の中にキルティングステッチ線902を縫うことで形成される。バンドルはバンドルチャネル内に整列し、キルティングステッチ線はバンドルと概ね平行である。
【0074】
図10Aは、
図3Cのバンドルチャネル380のようなバンドルチャネルが保持するバンドル1030の一つの実施形態1000の半概略側面図を示す。内生地層1040、外生地層1050、及び、
図3Cのタック360、362、370、及び372のような複数のタック(不図示)により、バンドルチャネルは形成される。
【0075】
バンドル1030を通って延びる水平線によって示される、バンドル1030の長手方向軸は、バンドルチャネルの軸と平行である。完成した衣服において、
図3B及び
図3Cのステッチ線302のようなバンドル固定ステッチ線(不図示)は、紙面に対して垂直である。ステッチ線は、バンドル1030の長手方向軸とバンドルチャネルの軸との両方に概ね直交する。実施形態1000において、バンドル1030はバンドルチャネル内に概ね“平坦”に配置されている。バンドルチャネル内のバンドル1030の長手方向の長さの合計は、バンドルチャネルの長手方向の長さと概ね等しい。
【0076】
図10Bは、バンドルチャネルによって保持されたバンドル1070の代替的実施形態1010の半概略側面図を示す。
図10Aの実施形態1000に類似して、実施形態1010のバンドルチャネルは、内生地層1040、外生地層1050、及び複数のタック(不図示)によって、形成される。
【0077】
実施形態1010のバンドル1070は、バンドルチャネル内に“束ね”られており、実施形態1000に示すように平坦には配置されていない。むしろ、束ねた効果を形成するために、
図10Bのバンドル1070をバンドルチャネル内に押し込み、又は供給する。ここで、“束ねられた”場合には、バンドル1070の長手方向軸は、多少蛇行して、バンドルチャネルの軸と平行でないことには留意すべきである。
【0078】
この束は、より長いバンドル1070がバンドルチャネルで保持されることを許容し、このような実施形態から構成された衣服の断熱値を増加させる。いくつかの実施形態において、束ねることは、バンドルチャネル内にバンドル1070を手送りすることで達成される。他の実施形態では、バンドルを、対応するバンドルチャネル内に送ることが自動化されている。束ねることは、固定用のキルティングステッチ線を縫う前、又はその間に、達成され得る。バンドル1070を束ねることによって、各バンドルチャネル内の停滞空気が増加し、したがって、完成した衣服の断熱能力がさらに向上する。バンドルを束ねることで、衣服の“ふわふわ感”も増加する。
【0079】
図10Bに示すように、バンドル1070の長手方向軸が紙面の平面内に残存するよう、バンドル1070の束が、側面によって定義される平面内に概ね存在する。いくつかの実施形態において、バンドル1070の長手方向軸のいくつかの部分が側面によって定義される平面に対して垂直であるように、少なくとも束の一部はこの平面に対して垂直である。
【0080】
本明細書に開示され、請求されるすべての実施形態及び方法は、本開示に照らして、過度な実験なしに作成し実行することが可能である。本発明の衣服及び方法を、好ましい実施形態の観点から説明したが、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示されている、組成物及び/又は方法や、方法のステップ、方法の一連のステップに対して変更してよいことは、当業者にとって明らかである。当業者にとって明らかな、すべてのこのような類似の置換及び変更は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神、範囲、及び概念内であるとみなされる。