特許第6702938号(P6702938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6702938アンタゴニストIC CTLA−4アプタマー及びその免疫活性増強への応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702938
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】アンタゴニストIC CTLA−4アプタマー及びその免疫活性増強への応用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/115 20100101AFI20200525BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20200525BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20200525BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200525BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20200525BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C12N15/115 ZZNA
   A61K31/7088
   A61K47/60
   A61K48/00
   A61P35/00
   A61P37/04
   A61P31/18
【請求項の数】16
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-505569(P2017-505569)
(86)(22)【出願日】2015年7月31日
(65)【公表番号】特表2017-523783(P2017-523783A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】US2015043133
(87)【国際公開番号】WO2016019255
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年7月31日
(31)【優先権主張番号】62/031,406
(32)【優先日】2014年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596118493
【氏名又は名称】アカデミア シニカ
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
(73)【特許権者】
【識別番号】503209342
【氏名又は名称】ナショナル タイワン ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】511180112
【氏名又は名称】タイペイ・メディカル・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】TAIPEI MEDICAL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(72)【発明者】
【氏名】ペック コナン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン パン−チィ
(72)【発明者】
【氏名】チャーン イー−チューン
(72)【発明者】
【氏名】ホワーン ボー−ツァーン
(72)【発明者】
【氏名】イエー シャウー−デル
【審査官】 小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−522101(JP,A)
【文献】 特表2007−525177(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/047844(WO,A1)
【文献】 Cancer Res., 2003, Vol.63, p.7483-7489
【文献】 Clin. Cancer Res., 2013, Vol.19, p.1054-1062
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
CAplus/REGISTRY(STN)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTLA−4に結合する核酸アプタマーであって、
(i) GATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGT(配列番号1);
(ii) GATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTA(配列番号6);
(iii) GTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTA(配列番号7);及び
(iv) CGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTA(配列番号8);
からなる群より選択されるモチーフを含む核酸アプタマー。
【請求項2】
前記アプタマーが:
(i) TCCCTACGGCGCTAACGATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGTGCCACCGTGCTACAAC(配列番号2)の核酸配列に対して少なくとも90%同一の核酸配列を含むと共に、GATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGT(配列番号1)のモチーフを含むか、
(ii) TCCCTACGGCGCTAACGATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号3)の核酸配列に対して少なくとも90%同一の核酸配列を含むと共に、GATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTA(配列番号6)のモチーフを含むか、
(iii) TCCCTACGGCGCTAACGTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTAG CCACCGTGCTACAAC(配列番号4)の核酸配列に対して少なくとも90%同一の核酸配列を含むと共に、GTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTA(配列番号7)のモチーフを含むか、又は、
(iv) TCCCTACGGCGCTAACCGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号5)の核酸配列に対して少なくとも90%同一の核酸配列を含むと共に、CGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTA(配列番号8)のモチーフを含む、請求項1に記載の核酸アプタマー。
【請求項3】
前記アプタマーが:
(i) TCCCTACGGCGCTAACGATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGTGCCACCGTGCTACAAC(配列番号2)の核酸配列に対して少なくとも95%同一の核酸配列を含むと共に、GATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGT(配列番号1)のモチーフを含むか、
(ii) TCCCTACGGCGCTAACGATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号3)の核酸配列に対して少なくとも95%同一の核酸配列を含むと共に、GATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTA(配列番号6)のモチーフを含むか、
(iii) TCCCTACGGCGCTAACGTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTAG CCACCGTGCTACAAC(配列番号4)の核酸配列に対して少なくとも95%同一の核酸配列を含むと共に、GTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTA(配列番号7)のモチーフを含むか、又は、
(iv) TCCCTACGGCGCTAACCGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号5)の核酸配列に対して少なくとも95%同一の核酸配列を含むと共に、CGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTA(配列番号8)のモチーフを含む、請求項2に記載の核酸アプタマー。
【請求項4】
前記アプタマーが:
(i) TCCCTACGGCGCTAACGATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGTGCCACCGTGCTACAAC(配列番号2);
(ii) TCCCTACGGCGCTAACGATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号3);
(iii) TCCCTACGGCGCTAACGTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTAG CCACCGTGCTACAAC(配列番号4);及び
(iv) TCCCTACGGCGCTAACCGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号5)
からなる群より選択される核酸配列を含む、請求項3に記載の核酸アプタマー。
【請求項5】
前記アプタマーが:
) TCCCTACGGCGCTAACGATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGTGCCACCGTGCTACAAC(配列番号2);
ii) TCCCTACGGCGCTAACGATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号3);
iii) TCCCTACGGCGCTAACGTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号4);及び
iv) TCCCTACGGCGCTAACCGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号5)
からなる群より選択される核酸配列からなる、請求項4に記載の核酸アプタマー。
【請求項6】
前記アプタマーが、CTLA−4に対して20nM未満の解離定数(Kd)で結合する、請求項1〜5の何れか一項に記載の核酸アプタマー。
【請求項7】
前記核酸アプタマーがポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートされてなる、請求項1〜6の何れか一項に記載の核酸アプタマー。
【請求項8】
前記PEGが前記核酸アプタマーの3’末端にコンジュゲートされてなる、請求項7に記載の核酸アプタマー。
【請求項9】
前記PEGの分子量が30kDa〜50kDaの範囲である、請求項7又は8に記載の核酸アプタマー。
【請求項10】
前記PEGの分子量が40kDaである、請求項9に記載の核酸アプタマー。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の核酸アプタマーと医薬的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項12】
対象の免疫を増強するための医薬組成物であって、請求項1〜10の何れか一項に記載の核酸アプタマーと医薬的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項13】
前記対象が、癌を有する、癌を有すると疑われる、又は癌のリスクがあるヒト患者である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記癌が、肺癌、メラノーマ、大腸癌、又は腎細胞癌である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物が、前記対象に静脈内投与される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記対象が、HIV感染を有する、又はHIV感染を有すると疑われるヒト患者である、請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮特許出願番号第62/031,406号(2014年7月31日出願)に基づき、米国特許法(35 U.S.C.)第119条(e)に規定される優先権を主張する。なお、当該出願の内容は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
癌は、人の死と多額の費用が生じる最も重大な病気である。2004年のWHO報告書によれば、740万人を超える人の生命がこの病気のために失われ、その犠牲は未だに年々増加している(Abou-Alfa, G. K., et al. (2006), J Clin Oncol 24, 4293-4300。癌の主要な治療は、手術、化学療法、及び放射線治療である。しかしながら、これら従来の治療法は、深刻な副作用を引き起こし、正常細胞まで殺してしまう。
【0003】
このため、標的治療が開発され、数種の癌の効果的な治療に有効であることが証明された(Van Cutsem, E., et al. (2009), N Engl J Med 360, 1408-1417, Klein, S. and Levitzki A. (2007), Adv Cancer Res 97, 295-319)。しかしながら、腫瘍に特異的なマーカーがほとんどなく、ほんのわずかの標的治療が臨床応用で成功しただけである(Jain, R. K., et al. (2009), Nat Rev Clin Oncol 6, 327-3384, Gazdar, A. F. (2009), Oncogene 28 Suppl 1, S24-31)。また、多くの研究により、ゲノムの不安定性が標的治療に対する耐性を促進することが示された (Dassie, J. P., et al. (2009), Nat Biotechnol 27, 839-849, Sica, A., Schioppa, T., Mantovani, A., and Allavena, P. (2006), Eur J Cancer 42, 717-727)。また近年の報告では、周辺の腫瘍微小環境が腫瘍の進行、特に免疫回避に積極的に関連していることが示された(Pollard, J. W. (2004), Nat Rev Cancer 4, 71-78, de Visser, K. E., and Coussens, L. M. (2006), Contrib Microbiol 13, 118-137, Stewart, T. J., and Abrams, S. I. (2008), Oncogene 27, 5894-5903, Joyce, J. A., and Pollard, J. W. (2009), Nat Rev Cancer 9, 239-252)。
【0004】
数種の細胞が、腫瘍微小環境で主要な働きをしていることが示唆されており、腫瘍の進行に関与している。これらの細胞は、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、制御性T細胞(Treg)、ナチュラルキラー(NK)細胞、及びCD8T細胞を含む。(Solinas, G., Germano, G., Mantovani, A., and Allavena, P. (2009), J Leukoc Biol 86, 1065-1073, Zou, W. (2006), Nat Rev Immunol 6, 295-307, Whiteside, T. L. (2006), Cancer Treat Res 130, 103-124, Coffelt, S. B., Hughes, R., and Lewis, C. E. (2009), Biochim Biophys Acta 1796, 11-18)。NK細胞及びCD8T細胞は、細胞媒介細胞毒性により異常腫瘍細胞を絶滅させるのに有効な主要な2種の細胞である。Treg細胞は、CD4T細胞全体で小さな割合(5〜6%)を指しており(Wang, R. F., Peng, G., and Wang, H. Y. (2006), Semin Immunol 18, 136-142)、腫瘍微小環境における別の主要な制御性細胞である。正常な環境では、Treg細胞は自己反応性T細胞から宿主を保護しており、したがって、自己免疫病の形成を防止している(Corthay, A. (2009), Scand J Immunol 70, 326-336)。しかしながら、腫瘍微小環境では、TregはIL−10及びTGF−βなどのサイトカインを分泌して、腫瘍標的された生得的免疫応答(NK細胞)及び獲得免疫応答(CD8T細胞)の機能を阻害し(Bingle, L., Brown, N. J., and Lewis, C. E. (2002), J Pathol 196, 254-265)、免疫クリアランスから腫瘍細胞を保護している可能性がある(Andrew, G. et al. (2006), J Immunol 177, 896-904)。
【0005】
腫瘍微小環境で免疫系を下方調節している可能性があるタンパク質受容体の一種が、表面抗原分類152(CD152)としても周知の細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA4)である。CTLA4は、抗原に対する細胞免疫攻撃を導くT細胞の表面で見られる。T細胞の攻撃は、T細胞のCD28受容体を刺激することでスイッチが入るが、CTLA4受容体を刺激することでスイッチがオフになる可能性がある。
【0006】
抗体は一般に病気のタンパク質を標的するのに用いられるが、高い製造コスト、低い安定性などの限界があり、抗体が標的することができるのが抗原決定基に限定される場合が多い。アプタマーは、組織を貫通しやすい低分子量、化学合成での低コスト、確立された修飾方法、及び高い安定性など、治療への応用を好適するような利点がいくつかある。したがって、標的タンパク質に対する高い親和性を有する好適なアプタマーを開発することが大きな関心事である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも部分的には、CTLA−4(CA21)を標的とするヌクレオチドアプタマーが、同種マウスモデルにおいて、肺腫瘍細胞の成長を首尾よく70%超も抑制したという、予想外の知見に基づく。
【0008】
即ち、本発明の一側面は、CTLA−4に結合する核酸アプタマーを特徴とする。当該アプタマーは、(i)GATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGT(配列番号1)、(ii)GATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTA(配列番号6)、(iii)GTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTA(配列番号7)、又は(iv)CGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTA(配列番号8)に対して、少なくとも85%(例えば90%、又は95%)同一の核酸配列を有する。斯かる抗CTLA−4アプタマーは、CTLA−4に対し、20nM未満の解離定数(Kd)で結合してもよい。一例によれば、当該抗CTLA4アプタマーは、GATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGT(配列番号1)、GATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTA(配列番号6)、GTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTA(配列番号7)、又はCGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTA(配列番号8)の核酸配列を含んでいてもよい。斯かる抗CTLA4アプタマーは、TCCCTACGGCGCTAACGATGGTGAAAA TGGGCCTAGGGTGGACGG TGCCACCGTGCTACAAC(配列番号2)、TCCCTACGGCGCTAACGATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号3)、TCCCTACGGCGCTAACGTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号4)、又はTCCCTACGGCGCTAACCGATCGAAAATGTCCAGGGAGTTGTCTGTAGCCACCGTGCTACAAC(配列番号5)の核酸であってもよい。
【0009】
本明細書に記載の任意の抗CTLA−4アプタマーは、ポリエチレングリコール(PEG)とコンジュゲートされていてもよく、斯かるPEGの分子量は、30kDa〜30kDaの範囲、例えば30kDaであってもよい。一例によれば、前記PEGは、前記アプタマーの3’末端にコンジュゲートされてなる。
【0010】
別の側面によれば、本発明は、本明細書に記載の何れかの抗CTLA−4アプタマーと、医薬的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0011】
更に別の側面によれば、本発明は、癌を治療する方法(例えば肺癌、メラノーマ、大腸癌、又は腎細胞癌)であって、本明細書に記載の抗CTLA−4アプタマーを含む、やはり本明細書に記載の何れかの医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対し、(例えば静脈内経路で)投与することを含む方法を提供する。一例によれば、本明細書に記載の方法で治療される対象は、ヒト患者、例えば癌を有する、癌を有すると疑われる、又は癌のリスクがあるヒト患者である。
【0012】
更に、本発明は、対象の免疫活性を増強する方法であって、本明細書に記載の抗CTLA−4アプタマーを含む、やはり本明細書に記載の何れかの医薬組成物の有効量(例えば、T細胞活性化を増加させるのに十分な量)を、それを必要とする対象に対し、(例えば静脈内経路で)投与することを含む方法を提供する。一例によれば、斯かる対象は、癌(例えば肺癌、メラノーマ、大腸癌、又は腎細胞癌)を有する、癌を有すると疑われる、又は癌のリスクがあるヒト患者であってもよい。別の例によれば、前記対象は、HIV感染を有する、又はHIV感染が疑われるヒト患者であってもよい。
【0013】
また、本発明の範囲に含まれる別の主題として、
(a)癌(例えば肺癌、メラノーマ、大腸癌、又は腎細胞癌)又はHIV感染を治療するために使用される医薬組成物であって、本明細書に記載の抗CTLA−4核酸アプタマー、例えば、(i)GATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACG GT(配列番号1)、(ii)GATGACTGGATGCAAAAATGCTGTGGGGTA(配列番号6)、(iii)GTCCACACTCAGAAAACAGAATAGGGGGTA(配列番号7)、又は(iv)CGATCGAA AATGTCCAGGGAGTTGTCTGTA(配列番号8)に対して、少なくとも85%(例えば90%、又は95%)同一の核酸配列を有する核酸;及び、医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物;並びに
(b)癌(例えば肺癌、メラノーマ、大腸癌、又は腎細胞癌)又はHIV感染を治療するための薬剤の製造における、前記CTLA−4アプタマーの使用が挙げられる。
【0014】
本発明の一又は二以上の態様の詳細を以下に記載する。本発明の他の特徴又は利点は、以下の複数の態様の詳細な説明と、添付の図面及び特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1は、SELEX法(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment、試験管内選択法)によって高められた結合親和性を示す図を含む。パネルAは、様々な濃度でのCTLA4に対するアプタマーの結合活性を示すグラフである。CTLA4に対してラウンド4、8、12、16のアプタマーのプールを増幅して、500nMから始めて2倍まで連続希釈した。選択された各プールをCTLA4を形質移入した野生型293T細胞と共にインキュベートし、10個の投与点を分析した。結合したアプタマーをRT−定量PCRにより定量した。結果をパネルAのXYプロットに示す。○(丸)はラウンド4、□(四角)はラウンド8、△(上向きの三角)はラウンド12、▽(下向きの三角)はラウンド16の結果をそれぞれ示す。破線は、各プールの適合曲線を示す。ラウンド4、8、12、16の解離定数は、それぞれ、120.7nM、24nM、8.8nM、及び6.6nMであった。パネルB〜Iは、野生型293T細胞で発現したCTLA4へのアプタマーの結合活性のFACS分析図を示す。PCRにより、SELEXのラウンド4、8、12、及び16由来のアプタマーのプールをAlexaFluor647で標識した。標識されたアプタマーを野生型293T細胞(パネルB、C、D、及びE)又はCTLA4を形質移入した野生型293T細胞(パネルF、G、H、I)と共にインキュベートした。フローサイトメトリーを用いて結合信号を評価した。パネルB、C、D、及びEは、野生型293T細胞の結果を、パネルF、G、H、Iは形質移入した293T細胞の結果を示す。
図1B-E】同上。
図1F-I】同上。
【0016】
図2A図2は、SELEX法によって選択されたアプタマーのCTLA4結合活性を示す図である。パネルA及びBは、野生型293T細胞で発現したCTLA4への選択されたアプタマーの結合活性を示すFACS分析図である。パネルAは、CTLA4発現プラスミドで形質移入した293T細胞を示し、パネルBは、陰性対照として作用する非形質移入293T細胞を示す。図示のように、AlexaFluor647で標識したCA7、CA21、CA32、及びCA82アプタマー10nMと共にパネルA及びパネルBの細胞をインキュベートした。未結合のアプタマーを洗浄した後、蛍光信号をフローサイトメトリーで測定した。野生型293T細胞の結果をパネルAに示す。CTLA4発現野生型293T細胞の結果をパネルBに示す。パネルC、D、E、及びFは、それぞれ、アプタマーCA7、CA21、CA32、及びCA82のCTLA4結合親和性を示す。4種のアプタマーを選択して、CTLA4発現細胞に対する結合親和性を特徴づけた。まず、これらのアプタマーを合成して、250nMから始めて2倍に連続希釈した。CTLA4を安定的に発現した293細胞と共に選択したプールをインキュベートした後、6個の投与点を分析した。CA7、CA21、CA32、及びCA82の解離定数は、それぞれ、51.48nM、11.84nM、61.75nM、及び36.51nMである。
図2B】同上。
図2C-F】同上。
【0017】
図3図3はパネルA、パネルBを含み、パネルAは抗CTLA4アプタマーの配列を示し、パネルBは抗CTLA4アプタマーCA21の予想二次構造を示す。パネルAのCA21のヌクレオチド配列(配列番号2)では、下線部のG残基は、グアニン四重鎖構造を形成することが可能な座位を示す。5’末端及び3’末端の16個の灰色で示したヌクレオチドは、5’プライマー領域及び3’プライマー領域を示す。Mfoldにより決定されたCA21の二次構造をパネルBに示す。この構造のΔGは−10.6である。
【0018】
図4A図4は、抗CTLA4アプタマーCA21の抗癌効果を示す図を含む。パネルAは、CA21オリゴヌクレオチドの1回の注射が、同系マウスモデルにおけるTC−1細胞の肺腫瘍の成長を抑制したことを示す写真である。マウスTC−1肺癌細胞(3×10)をC57BL/6マウスの皮下に移植した。腫瘍の短軸が8mmに達すると、マウスの腹膜腔に0.3nmolのCA21を含むPBS又は対照PBSを注射した。注射日を0日目として記録し、週に2回腫瘍サイズ測定した。アプタマーCA21で治療した群(パネルAの下列の腫瘍を参照のこと)に比べて、対照群ではいくつかの組織反応が顕著に観察された(パネルAの上列の腫瘍を参照のこと)。パネルBは、対照及びCA21で治療したマウスの腫瘍体積積の平均を示すグラフである。パネルCは、CA21で治療したマウス及びPBSで治療したマウスでの腫瘍成長速度を示すグラフである。式(L×D)/2(Lは長径、Dは短径)から腫瘍サイズを算出した。パネルDは、CA21又はPBSで治療したマウスの体重を示すグラフである。パネルEは、TC−1細胞の成長に対するCA21の生体外阻害活性を示すグラフである。
図4B】同上。
図4C】同上。
図4D】同上。
図4E】同上。
【0019】
図5図5は、同系マウスモデルでの抗CTLA4アプタマーCA21のCT26大腸癌細胞に及ぼす抗癌効果を示す図を含む。パネルAは、皮下にCT26大腸癌細胞を注射したBALB/cマウスの腫瘍体積を示す。腫瘍が8mmに達した後、4日目、6日目、8日目、及び10日目に0.3nmolのCA21を含むPBS(□)又は対照PBS(○)をマウスの腹膜腔に注射した。CT26細胞を注射した日を0日目として記録し、週に3回腫瘍サイズを測定した。このグラフは、抗CTLA4アプタマーCA21で治療したマウスでは腫瘍体積が約70%減少したことを示す。パネルBは、対照PBSで治療したC57BL/6マウスに由来する腫瘍(パネルBの上列の腫瘍を参照のこと)、又はCA21アプタマーで治療したC57BL/6マウスに由来する腫瘍(パネルBの下列の腫瘍を参照のこと)を示す。
【0020】
図6図6は、同系マウスモデルでの抗CTLA4アプタマーCA21のルイス肺癌細胞に及ぼす抗癌効果を示す図を含む。パネルAは、皮下にルイス肺癌細胞を注射したC57B/6マウスの腫瘍体積を示す。腫瘍が8mmに達した後、4日目、6日目、8日目、10日目、及び12日目に0.3nmolのCA21を含むPBS(□)又は対照PBS(○)をマウスの腹膜腔に注射した。ルイス肺細胞を注射した日を0日目として記録し、週に3回腫瘍サイズを測定した。このグラフは、抗CTLA4アプタマーCA21で治療したマウスの腫瘍体積が約50%減少したことを示す。パネルBは、対照PBSで治療したC57B/6マウスに由来する腫瘍(パネルBの上列の腫瘍を参照のこと)、又はCA21アプタマーで治療したC57B/6マウスに由来する腫瘍(パネルBの下列の腫瘍を参照のこと)を示す。
【0021】
図7図7は、同系マウスモデルでの静脈内注射によるCA21アプタマーとペグ化CA21アプタマー(CA21−PEG)のルイス肺癌細胞に及ぼす抗癌効果の比較を示すグラフである。このグラフは、皮下にルイス肺癌細胞を注射したC57B/6マウスの腫瘍体積を示す。腫瘍が8mmに達した後、尾静脈注射により0.3nmolのCA21を含むPBS(□)、0.3nmolのCA21−PEGを含むPBS(△、▽)、又は対照PBS(○)をマウスの静脈に注射した。ルイス肺細胞を注射した日を0日目として記録し、週に2回腫瘍サイズを測定した。このグラフは、CA21アプタマーと比べて、ペグ化CA21アプタマー(CA21−PEG)で治療したマウスの腫瘍体積が約50%減少したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、CTLA4に特異的に結合して、阻害する核酸アプタマー(例えば、CA21)の開発、及びそのような核酸アプタマーが同系マウスモデルで癌細胞の成長を70%超抑制することに成功したという予期しない結果に基づくものである。この抗CTLA4アプタマーによる治療は、マウスの体重に影響を及ぼさなかった。これは、上記アプタマーが毒性ではないことを示唆している。したがって、CA21などの抗CTLA4アプタマーは、免疫活性の向上及び/又は癌の成長の低減に有効である場合がある。
【0023】
したがって、本明細書では、抗CTLA4アプタマー(例えば、CA21)、そのようなアプタマーを含む医薬組成物、及び免疫活性を高め、かつ/又は本明細書で開示される抗CTLA4アプタマーで病気(例えば、癌及びHIV感染)を治療する方法が記載される。
【0024】
抗CTLA4核酸アプタマー
本明細書では、CTLA4に結合して、その活性を阻害し、それによって免疫活性(例えば、T細胞活性)を高める核酸アプタマー(抗CTLA4アプタマー)について記載される。したがって、前記抗CTLA4アプタマーを用いて、例えば、T細胞応答などの免疫応答を高め、したがって癌の免疫治療法に役立つことができる。
【0025】
本明細書で用いる「核酸アプタマー」は、特定の標的分子(例えば、CTLA4)に対する結合活性を有し、それによってその活性を阻害する核酸分子(DNA又はRNA)を意味する。本開示の抗CTLA4アプタマーは、線状又は円形であるが、RNA、DNA(例えば、一本鎖DNA)、修飾核酸、又はこれらの混合物であってもよい。前記抗CTLA4アプタマーは、(例えば、天然の遺伝子には存在しないヌクレオチド配列を含む、又は天然には存在しない修飾ヌクレオチドを含む)非天然出現の分子であってもよい。これに代えて、又はこれに加えて、前記抗CTLA4アプタマーは、機能ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいなくてもよい。
【0026】
CTLA4は、細胞毒性Tリンパ球関連タンパク質4(CD152としても周知)を意味する。CTLA4は、T細胞活性を陰性に調節するT細胞で発現する受容体である。一例として、ヒトCTLA4のアミノ酸配列は、GenBank登録番号AAH69566で提供されている。
【0027】
態様によっては、本明細書で開示される抗CTLA4核酸アプタマーは、5'-GATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGT-3'(配列番号1)に対して少なくとも70%(例えば、80%、85%、90%、95%、又は98%)同一のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。実施例によっては、本明細書で開示される抗CTLA4核酸アプタマーは、前記配列番号1の核酸配列に対して少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。実施例によっては、前記抗CTLA4アプタマーは、前記5'-GATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGT-3'(配列番号1)のヌクレオチド配列を含む。特定の例では、前記抗CTLA4アプタマーは、配列番号1又は配列番号2のヌクレオチド配列からなる。
【0028】
態様によっては、本明細書で開示される抗CTLA4核酸アプタマーは、以下の配列の太字で示す領域に対して少なくとも70%(例えば、80%、85%、90%、95%、又は98%)同一のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。
【表1】
【0029】
実施例によっては、本明細書で開示される抗CTLA4核酸アプタマーは、配列番号3、4、又は5の核酸配列に対して少なくとも85%同一のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。実施例によっては、前記抗CTLA4アプタマーは、配列番号3、4、又は5のヌクレオチド配列、又は上記配列の太字で示す領域を含む。特定の例では、前記抗CTLA4アプタマーは、配列番号3、4、又は5のヌクレオチド配列、又は上記配列の太字で示す領域からなる。
【0030】
2つの核酸の「パーセント同一性」は、Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68, 1990(Karlin and Altschul Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77, 1993で修正)のアルゴリズムを用いて決定される。そのようなアルゴリズムは、Altschul, et al. J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。NBLASTプログラム(スコア=100、ワード長−12)を用いてBLASTヌクレオチド検索を行って、本発明の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。2つの配列の間にギャップが存在する場合、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402, 1997に記載されたようにGapped BLASTを用いることができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを用いた場合、各プログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)の規定値パラメーターを用いることができる。
【0031】
他の態様では、本明細書で記載される抗CTLA4アプタマーは、5’-GATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGT-3’(配列番号1)のヌクレオチド配列と比較して、8個以下(例えば、7個、6個、5個、4個、3個、2個、又は1個以下)のヌクレオチド多様性を含んでいてもよい。そのような多様性を導入することができる位置は、例えば、基準ヌクレオチド配列を含むCA21の二次構造(図3Bを参照のこと)に基づいて決定することができる。
【0032】
実施例によっては、前記抗CTLA4アプタマーは、5’末端、3’末端、又はその両方に、プライマー部位を含んでいてもよい。一例では、前記抗CTLA4アプタマーは、TCCCTACGGCGCTAACGATGGTGAAAATGGGCCTAGGGTGGACGGTGCCACCGTGCTACAAC-3’(配列番号2)のヌクレオチド配列を有する。下線で示したフランキング配列が5’プライマー部位及び3’プライマー部位を示す。また、配列番号3、4、又は5の太字ではない領域を参照のこと。
【0033】
本明細書で開示される抗CTLA4アプタマーの何れかは、ヌクレオチドを200個以下、例えば、150個、100個、80個、70個、60個、50個、40個、又は30個含んでいてもよい。実施例によっては、前記抗CTLA4アプタマーは、30〜150個、30〜100個、30〜80個、30〜70個、30〜60個、30〜50個、又は30〜40個の範囲のヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0034】
態様によっては、本明細書で記載される抗CTLA4アプタマーは、20nM未満(例えば、15nM、10nM、5nM、1nM以下)の解離定数(Kd)でCTLA4(例えば、ヒトCTLA4)に結合してもよい。前記抗CTLA4アプタマーは、ヒトCTLA4に特異的に結合してもよい。あるいは、前記アプタマーは、異なる種(例えば、ヒト及びマウス)に由来するCTLA4分子と結合してもよい。T細胞表面に発現したCTLA4分子に結合する場合、そのようなアプタマーは、CTLA4の活性を少なくとも20%(例えば、40%、50%、80%、100%、2倍、5倍、10倍、100倍、又は1,000倍)まで阻害し(よって、T細胞活性を高め)てもよい。CTLA4に対する抗CTLA4アプタマーの阻害活性(よって、T細胞活性を高める活性化)は、例えば以下の実施例に記載するように決定してもよい。
【0035】
態様によっては、本明細書で記載される抗CTLA4アプタマーは、非天然出現の核酸塩基、糖、又はヌクレオシド間共有結合(主鎖)を含んでいてもよい。そのような修飾オリゴヌクレオチドは、細胞の取り込みの向上、標的核酸との親和性の向上、及び生体内での安定性の向上など、望ましい特性を提供する。
【0036】
一例では、本明細書で記載されるアプタマーは、修飾された主鎖を有する。そのような主鎖は、リン原子を保持したもの(例えば、米国特許第3,687,808号、4,469,863号、5,321,131号、5,399,676号、及び5,625,050号を参照のこと)、及びリン原子を有しないもの(例えば、米国特許第5,034,506号、5,166,315号、及び5,792,608号を参照のこと)を含む。リンを含有する修飾主鎖としては、例えば、ホスホロチオアート、対掌性ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキル−ホスホトリエステル、メチル及びその他のアルキルホスホン酸塩(3’−アルキレンホスホン酸塩、5’−アルキレンホスホン酸塩、及び対掌性ホスホン酸塩を含む)、ホスフィナート、ホスホルアミダート(3’−アミノホスホルアミダート及びアミノアルキルホスホルアミダートを含む)、チオノホスホルアミダート、チオノアルキルホスホン酸塩、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノリン酸塩、及び3’−5’結合又は2’−5’結合を有するボラノリン酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。また、そのような主鎖としては、反転極性、すなわち、3’−3’結合、5’−5’、又は2’−2’結合を有するものが挙げられる。リン原子を含まない修飾主鎖は、短鎖アルキル又はシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子とアルキル又はシクロアルキルヌクレオシド間結合、又は1つ以上の短鎖ヘテロ原子又は複素環ヌクレオシド間結合により形成される。そのような主鎖として、モルホリノ結合(一部、ヌクレオシドの糖部分から形成される)を有する主鎖;シロキサン主鎖;スルフィド主鎖、スルホキシド主鎖、及びスルホン主鎖;ホルムアセチル主鎖及びチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチル主鎖及びチオホルムアセチル主鎖;リボアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファマート主鎖;メチレンイミノ主鎖及びメチレンヒドラジノ主鎖;スルホナート主鎖及びスルホンアミド主鎖;アミド主鎖;及びN、O、S、及びCH2成分部分を有するその他の主鎖などが挙げられる。
【0037】
他の例では、本明細書で記載されるアプタマーは、1つ以上の置換された糖部位を含む。そのような置換された糖部位は、OH;F;O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル;O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、及びO−アルキル−O−アルキルの1つを2’位に含んでいてもよい。これらの基では、アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、置換又は無置換のC1〜C10アルキル又はC2〜C10アルケニル及びアルキニルであってもよい。前記置換された糖部位はまた、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA開裂基、レポーター基、干渉物質、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を向上させる基、又はオリゴヌクレオチドの薬力学特性を向上させる基を2’位に含んでいてもよい。好ましい置換された糖部位としては、2’−メトキシエトキシ、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、及び2’−ジメチルアミノエトキシエトキシを有するものが挙げられる。Martin et al., Helv. Chim. Acta, 1995, 78, 486-504を参照のこと。
【0038】
これに代えて、又はこれに加えて、本明細書で記載されるアプタマーは、1種以上の修飾された天然核酸塩基(すなわち、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、及びウラシル)を含んでいてもよい。修飾された核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering(ポリマー科学と工学の小辞典), pp. 858-859, Kroschwitz, J. I., ed. John Wiley & Sons, 1990, Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613, and Sanghvi, Y. S., Chapter 15, Antisense Research and Applications(アンチセンスの研究と応用), pp. 289-302, CRC Press, 1993などが挙げられる。これら核酸塩基の特定のものは、標的部位に対するアプタマー分子の結合親和性を高めるのに特に有用である。これらは、5−置換されたピリミジン、6−アザピリミジン、及びN−2、N−6、及びO−6置換されたプリン(例えば、2−アミノプロピル−アデニン、5−プロピニルウラシル、及び5−プロピニルシトシン)を含む。Sanghvi, et al., eds., Antisense Research and Applications(アンチセンスの研究と応用), CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278を参照のこと。
【0039】
本明細書で記載されるアプタマーの何れかは、従来の方法(例えば、化学合成又は生体外転写)で作製してもよい。本明細書で記載されるアプタマーの意図した生物活性は、例えば以下の実施例で記載する方法で確認することができる。また、前記抗CTLA4アプタマーの何れかを発現させるためのベクターも本開示の範囲内である。
【0040】
本明細書で記載されるアプタマーの何れかは、共有結合、非共有結合、又はその両方で1つ以上のポリエーテル部位(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)部位)にコンジュゲートされていてもよい。したがって、態様によっては、本明細書で記載されるアプタマーはペグ化されている。本開示は、特定の分子量のPEG部位に関して限定されることを意味しない。態様によっては、前記ポリエチレングリコール部位の分子量は5kDa〜100kDa、10kDa〜80kDa、20kDa〜70kDa、20kDa〜60kDa、20kDa〜50kDa、又は30kDa〜50kDaの範囲である。実施例によっては、前記PEG部位の分子量は40kDaである。本明細書で記載される抗CTLA4アプタマーにコンジュゲートされたPEG部位は、線状又は分岐状であってもよい。このPEG部位は、前記核酸アプタマーの5’末端、3’末端、又はその両方にコンジュゲートされてもよい。必要に応じて、前記PEG部位は、核酸アプタマーの3’末端に共有結合でコンジュゲートされてもよい。
【0041】
PEG部位を核酸にコンジュゲートする方法は、当該分野で周知であり、例えば、PCT公開WO2009/073820(その関連する教示を参照により本明細書に組み込む)に詳しく記載されている。自明であるが、核酸アプタマーにコンジュゲートされたPEG、及び本明細書で記載される核酸アプタマーにPEGをコンジュゲートする方法は、例示的であり、限定を意味するものではない。
【0042】
本開示はまた、本明細書で記載される抗CTLA4核酸アプタマーの何れかの2量体を提供する。態様によっては、抗CTLA4アプタマー2量体は、好適な重合体部位によって結合される2個の抗CTLA4アプタマーを含む。好適な重合体部位は、本明細書で記載されるPEG部位であってもよい。2量体中のこれら2個のアプタマーのうち、一方又は両方は、配列番号1〜2のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。あるいは、2量体中のこれら2個のアプタマーのうち、一方又は両方は、配列番号3、4、又は5のヌクレオチド配列、又は前記ヌクレオチド配列の太字で示した領域を含んでいてもよい。2個の抗CTLA4アプタマーは、同じであっても異なっていてもよい。例えば、前記抗CTLA4アプタマーの一方又は両方は、(配列番号1)を含んでいてもよい。他の例では、本明細書で記載される抗CTLA4アプタマー2量体は、(配列番号1)を含む1個のアプタマー、及び(配列番号2)を含む他のアプタマーを有していてもよい。
【0043】
態様によっては、本明細書で提供される抗CTLA4アプタマー2量体の何れかの重合体部位はPEGである。PEGは、本明細書で記載される分子量を有していてもよい。
【0044】
態様によっては、本明細書で提供される抗CTLA4アプタマー2量体は、リンカーを介して前記重合体部位に結合したアプタマーを含む。一例では、第1のアプタマーは、リンカーを介して前記重合体部位に結合される。他の例では、第2のアプタマーは、リンカーを介して前記重合体部位に結合される。他の例では、第1のアプタマー及び第2のアプタマーは、リンカーを介して前記重合体部位に結合される。本明細書で用いられる「リンカー」は、2個の分子又は部位を結合する化学部位を意味する。実施例によっては、前記リンカーは、1個以上のヌクレオチドを含む。これらのヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドであってもよい。実施例によっては、前記核酸リンカーは、長さが1〜50個のヌクレオチドである。このようなリンカーは、長さが、1〜5個、1〜10個、1〜15個、1〜20個、1〜30個、1〜40個、10〜15個、10〜20個、10〜30個、10〜40個、10〜50個、20〜30個、20〜40個、20〜50個、30〜40個、30〜50個、又は40〜50個のヌクレオチドであってもよい。実施例によっては、前記リンカーは、長さが11個のヌクレオチドである。前記リンカーは、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、及び/又はグアニン(G)を含んでいてもよい。実施例によっては、前記リンカーは、ポリT断片を含む。「ポリT断片」は、2個以上の連続したチミン(T)ヌクレオチド残基の伸長部を意味する。例えば、前記ポリTリンカーは、2〜50個のT残基を含んでいてもよい。実施例によっては、前記ポリTリンカーは、長さが、2〜40個、2〜35個、2〜30個、2〜25個、2〜20個、5〜15個、又は10〜15個のヌクレオチドである。態様によっては、前記ポリTリンカーは、11個の連続したチミン(T)ヌクレオチドを含む。
【0045】
医薬組成物
本明細書で記載される抗CTLA4アプタマー又はPEGコンジュゲート(複合体)の何れかを医薬的に許容可能な担体と混合して、例えば、標的の病気の治療に用いられる医薬組成物を形成することができる。「許容可能」とは、前記担体が前記組成物の薬効成分と相溶でなければならず(及び前記薬効成分を安定化させることができることが好ましい)、治療対象に有害ではないことを意味する。医薬的に容認可能な賦形剤(担体)としては、当該分野で周知の緩衝液が挙げられる。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed(レミントン:薬学の科学と実践、第20版). (2000) Lippincott Williams and Wilkins, Ed. K. E. Hooverを参照のこと。
【0046】
本開示の方法で用いられる医薬組成物は、医薬的に許容可能な担体、賦形剤、又は安定化剤を凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で含んでいてもよい。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed(レミントン:薬学の科学と実践、第20版). (2000) Lippincott Williams and Wilkins, Ed. K. E. Hooverを参照のこと。許容可能な担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる投与量及び濃度で投与対象に対して毒性がない。これら許容可能な担体、賦形剤、又は安定化剤は、緩衝液(例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸);酸化防止剤(アスコルビン酸及びメチオニンを含む);保存料(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール、又はベンジルアルコール;アルキルパラベン(例えば、メチル又はプロピルパラベン);カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン);親水性重合体(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミ、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン);単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、又はデキストランを含む);キレート剤(例えば、EDTA);糖類(例えば、ショ糖、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール);塩を形成する対イオン(例えば、ナトリウム);金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又は非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、又はポリエチレングリコール(PEG)を含んでいてもよい。
【0047】
実施例によっては、本明細書で記載される医薬組成物は、前記CTLA4結合アプタマーを含有するリポソーム(又は前記アプタマーのヌクレオチド配列を担持するベクター)を含む。前記リポソーム(又はベクター)は、Epstein, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688 (1985); Hwang, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030 (1980)、米国特許第4,485,045号、及び4,544,545号に記載の方法により作製してもよい。循環時間が向上したリポソームは、米国第5,013,556で開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法により生成することができる。リポソームを所定の孔寸法のフィルタから押し出して、所望の直径のリポソームを得る。
【0048】
また、前記抗CTLA4アプタマーは、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルション(微細乳濁液)、ナノ粒子、及びナノカプセル)又はマクロエマルション中で、例えば、液滴形成(コアセルベーション)技術又は界面重合により作製したマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル、及びポリ(メチルメタクリル酸)マイクロカプセル)に取り込まれていてもよい。このような技術は当該分野で周知であり、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed(レミントン:薬学の科学と実践、第20版). Mack Publishing (2000)を参照のこと。
【0049】
他の実施例では、本明細書で記載される医薬組成物は、徐放性形態で製剤されてもよい。徐放性製剤の好適な例としては、前記抗CTLA4アプタマーを含有する固体疎水性重合体の半透過性母体が挙げられる。これらの母体は、例えば、フィルム又はマイクロカプセルなどの成形品の形態である。徐放性母体の例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸及びL−グルタミン酸7−エチルの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体(例えば、LUPRON DEPOT(登録商標)乳酸−グリコール酸共重合体及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能な微小球体)、酢酸イソブチル酸スクロース、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0050】
生体内投与に用いられる医薬組成物は殺菌されていなければならない。これは、例えば、殺菌濾過膜で濾過することにより容易に達成される。治療用抗CTLA4アプタマー組成物を殺菌された取り出し口を有する容器(例えば、皮下注射針で突き刺すことができる栓を有する静脈内投与液袋又はバイアル)に入れてもよい。
【0051】
本明細書で記載される医薬組成物は、経口投与、非経口投与、直腸投与、あるいは吸入又は送気による投与のための単位投与形態(例えば、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、顆粒、溶液、懸濁液、又は尿道坐薬)であってもよい。
【0052】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要薬効成分を医薬品担体、例えば、従来の錠剤成分(例えば、とうもろこし澱粉、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、又はガム、及びその他の医薬希釈剤(例えば、水))と混合して、本発明の化合物又は非毒性の医薬的に許容可能であるその塩の均質な混合物を含む固体の予備処方組成物を形成してもよい。これらの予備処方組成物を均質という場合、前記組成物を錠剤、丸薬、及びカプセルなどの等しい有効単位投与形態に容易に分割できるように薬効成分が前記組成物全体に均一に分散されていることを意味する。次いで、本発明の薬効成分を0.1〜約500mg含む上述の種類の単位投与形態にこの固体の予備処方組成物を分割する。この新規な組成物の錠剤又は丸薬を被覆、あるいは配合して、持続作用の利点を得られるような投与量を提供することができる。例えば、前記錠剤又は丸薬は、内部投与成分及び外部投与成分(内部投与成分の包装材の形態で)を含んでいてもよい。これら2つの成分を腸溶性層で分離してもよい。この腸溶性層は、胃の中で崩壊に耐える働きをして、前記内部成分を無傷で十二指腸に送る、あるいは放出を遅らせることができる。このような腸溶性層、すなわちコーティングには様々な材料を用いることができる。そのような材料としては、様々な重合体の酸、及び重合体の酸とシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースの混合物が挙げられる。
【0053】
好適な界面活性剤としては、特に非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、Tween(登録商標)20、40、60、80、又は85)、及び他のソルビタン(例えば、Span(登録商標)20、40、60、80、又は85)が挙げられる。界面活性剤を含む組成物は、0.05〜5%の界面活性剤を含むのが好都合で、0.1〜2.5%であってもよい。自明であるが、必要に応じて、他の成分(例えば、マンニトール又は他の医薬的に許容可能な媒体)を添加してもよい。
【0054】
市販の脂質乳液(例えば、Intralipid(登録商標)、Liposyn(登録商標)、Infonutrol(登録商標)、Lipofundin(登録商標)、及びLipiphysan(登録商標))を用いて好適な乳液を調製してもよい。前記薬効成分を、予め混合した乳液組成物に溶解してもよく、あるいは油(例えば、大豆油、紅花油、綿実油、ごま油、とうもろこし油、又はアーモンド油)、及びリン脂質(例えば、卵リン脂質、大豆リン脂質、又は大豆レシチン)と水と混合して形成された乳液に溶解してもよい。自明であるが、例えば、グリセリン又はグルコースなどの他の成分を添加して、前記乳液の張性を調整してもよい。好適な乳液は、典型的には20%以下、例えば、5〜20%の油を含む。脂質乳液は、0.1〜1.0.im、特に0.1〜0.5.imの脂質滴を含んでいてもよく、pHは5.5〜8.0の範囲であってもよい。
【0055】
前記乳液組成物は、抗CTLA4アプタマーをIntralipid(登録商標)又はその成分(大豆油、卵リン脂質、グリセリン、及び水)と混合して調製したものであってもよい。
【0056】
吸入又は送気用の医薬組成物は、医薬的に許容可能な水性溶媒又は有機溶媒の溶液及び懸濁液、又はそれらの混合物、及び粉末を含む。前記液体又は固体組成物は、上述の好適な医薬的に許容可能な賦形剤を含んでいてもよい。態様によっては、前記組成物は、局所性効果又は全身性効果のために経口又は経鼻呼吸経路で投与される。
【0057】
好ましい殺菌された医薬的に許容可能な溶媒中の組成物を、気体を用いて噴霧してもよい。噴霧液を直接噴霧装置から吸い込んでもよく、噴霧装置をマスク、テント、又は間欠式陽圧呼吸器に取り付けてもよい。溶液、懸濁液、又は粉末組成物を、好ましくは適切に製剤を送達する装置から経口投与又は経鼻投与してもよい。
【0058】
治療法
本明細書で記載される抗CTLA4アプタマー(PEGコンジュゲートを含む)の何れかを用いて、免疫活性、特にT細胞活性を高めてもよく、これによって癌又は伝染病(例えば、ウイルス(例えば、HIV)感染又は細菌感染)の治療に有効になる。
【0059】
本明細書で開示される方法を実践するために、治療を必要とする対象(例えば、ヒト)に少なくとも1種の抗CTLA4アプタマーを含む本明細書で記載される医薬組成物の有効量を好適な経路で投与してもよい。好適な経路としては、例えば、静脈内投与(例えば、急速静注、又は所定の期間に渡る持続注入)、筋肉内投与、腹腔内投与、脳脊髄内投与、皮下投与、関節内投与、滑液嚢内投与、髄腔内投与、経口投与、吸入又は局所投与経路が挙げられる。ジェット噴霧器及び超音波噴霧器を含む商業的に入手可能な液体製剤用噴霧器は、投与に有用である。液体製剤を直接噴霧してもよく、凍結乾燥した粉末を再構成後に噴霧してもよい。あるいは、本明細書で記載される抗CTLA4アプタマーを含有する組成物をフルオロ炭素製剤及び定量吸入器を用いて、エアロゾル化してもよく、あるいは凍結乾燥して粉砕した粉末として吸入してもよい。
【0060】
本明細書で用いられる「有効量」は、単独又は2種以上を1種以上の他の活性薬剤と組み合わせで対象に及ぼす治療効果をもたらすのに必要な各活性薬剤の量を意味する。態様によっては、前記治療効果は、腫瘍量の低減、癌細胞の減少、又は免疫活性の向上である。前記CTLA4結合アプタマーの量が前記治療効果を達成したかどうかを決定することは当業者には自明である。当業者には自明であるが、治療される特定の疾患、前記疾患の重症度、個々の患者のパラメーター(年齢、体調、体格、性別、及び体重を含む)、治療期間、(もしあれば)併用療法の性質、特定の投与経路、及び医療関係者の知識及び経験の範囲内の同様の因子により有効量は変動する。これらの因子は、当業者には周知であり、通常の実験で対処することができる。一般に、個々の成分又はそれらの組み合わせの最大投与量、すなわち、妥当な医学的判断により最も安全性が高い投与量を用いることが好ましい。
【0061】
半減期などの実験的考察は、一般に投与量の決定に寄与する。投与の頻度を決定して、治療の過程に渡って調整してもよい。また、一般に、実験的考察は、標的の病気/障害の治療及び/又は抑制及び/又は改善及び/又は遅延に基づくものであるが、必ずしもそうではない。あるいは、CTLA4結合アプタマーの連続徐放性製剤が適切な場合がある。徐放性を達成するための様々な製剤及び装置は当該分野で周知である。
【0062】
一例では、本明細書で記載されるCTLA4結合アプタマーの投与量は、前記CTLA4結合アプタマーを1回以上投与された個体で実験的に決定してもよい。前記拮抗薬の投与量を徐々に増加させて個体に投与する。前記拮抗薬の有効性を評価するため、病気/障害の標識を追跡してもよい。
【0063】
一般に、本明細書で開示される抗CTLA4アプタマーの何れかの投与で、初期の候補投与量は約2mg/kgであってもよい。本開示の目的のために、典型的な1日の投与量は、上記の因子によって0.1μg/kg〜3μg/kg〜30μg/kg〜300μg/kg〜3mg/kg、30mg/kg〜100mg/kg以上の範囲の何れかであってもよい。数日以上繰り返して投与する場合、疾患によって症状の所望の抑制が生じるまで、あるいは十分な治療レベルに達して標的の病気又は障害、あるいはその症状が軽減されるまで治療を持続する。例示的な投与計画は、約2mg/kgの初期投与量を投与し、その後、1週間に維持投与量約1mg/kg、あるいは隔週で維持投与量約1mg/kgでCTLA4結合アプタマーを投与することを含む。しかしながら、医師が達成したいと望む薬物動態的減衰のパターンにより、他の投薬計画が有用である場合がある。例えば、週に1回から4回の投与が想起される。態様によっては、約3μg/mg〜約2mg/kgの範囲(例えば、約3μg/mg、約10μg/mg、約30μg/mg、約100μg/mg、約300μg/mg、約1mg/kg、及び約2mg/kg)の投与を用いてもよい。態様によっては、投与頻度は、週に1回、2週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、又は3ヶ月以上に1回である。この治療の進行は、従来の技術及びアッセイで容易に監視される。投与計画(前記CTLA4結合アプタマーを用いることを含む)は、経時的に変動してもよい。
【0064】
態様によっては、標準重量の成人患者の場合、約0.3〜5.00mg/kgの範囲の投与量で投与してもよい。特定の投薬計画、すなわち、投与量、タイミング、及び反復は、特定の個体、個体の病歴、個々の薬剤の特性(例えば、薬剤の半減期、及び当該分野で周知のその他の検討事項)に依存する。
【0065】
本開示の目的のために、本明細書で記載されるCTLA4結合アプタマーの適切な投与量は、特定のCTLA4結合アプタマー、CTLA4結合アプタマー、病気/障害の種類及び重症度、前記CTLA4結合アプタマーが予防目的又は治療目的で投与されるか否か、それまでの治療、患者の臨床歴及び拮抗薬に対する応答、ならびに主治医の裁量に依存する。臨床医は、所望の結果を達成する投与量に達するまでCTLA4結合アプタマーを投与してもよい。態様によっては、前記所望の結果は、腫瘍量の低減、癌細胞の減少、又は免疫活性の向上である。ある投与量が所望の結果をもたしたかどうかを決定する方法は、当業者には自明である。例えば、投与対象の生理的状態、投与の目的が治療的又は予防的であるか否か、及び高度な技能を持つ医師には周知の他の因子によって、1種以上のCTLA4結合アプタマーの投与は連続的又は断続的であってもよい。CTLA4結合アプタマーの投与は本質的には予め選択した期間の間連続的であってもよく、例えば、標的の病気又は障害の発達の前、途中、又は後など、一連の間隔を空けた投与であってもよい。
【0066】
本明細書で用いられる用語「治療」は、標的の障害、標的の病気の症状、又は標的の病気又は障害に対する素因を治す、癒す、軽減する、緩和する、変化させる、是正する、向上させる、改良する、又は影響を及ぼす目的で前記病気又は障害、前記病気/障害の症状、又は前記病気/障害に対する素因を有する対象への1種以上の活性薬剤を含む組成物の適用すなわち投与を意味する。
【0067】
標的の病気/障害の軽減は、前記病気の発症又は進行を遅らせること、あるいは病気の重症度を低減することを含む。前記病気の軽減は、必ずしも治癒的な結果を必要としない。本明細書で用いられる用語「(標的の病気又は障害の)遅延」は、前記病気の進行を遅らせる、妨げる、減速する、妨害する、安定化させる、かつ/又は先送りすることを意味する。この遅延は、その病気の病歴及び/又は治療されている個体によって時間の長さを変動させることであってもよい。病気の発達を「遅延する」又は軽減する、あるいは病気の発症を遅延する方法は、この方法を用いない場合に比べて、所定の期間内で前記病気の1つ以上の症状が発達する確率を低下させる、かつ/又は所定の期間内で前記症状の程度を低下させる方法である。そのような比較は、典型的には統計的に有意な結果を得るのに十分な数の対象者を用いた臨床研究に基づくものである。
【0068】
病気の「発達」又は「進行」は、前記病気の初期の出現及び/又はそれに続く進行を意味する。前記病気の発達は、標準的な臨床技術及び当該分野で周知の臨床技術を用いて検出可能であり、評価することができる。しかしながら、発達はまた、検出不可能である可能性がある進行を意味する。本開示の目的のために、発達又は進行は、前記症状の生物的過程を意味する。「発達」は、発生、再発、及び発症を含む。本明細書で用いられる標的の病気又は障害の「発症」又は「発生」は、最初の発症及び/又は再発を含む。
【0069】
態様によっては、生体内で少なくとも5%(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上)腫瘍量、癌細胞の成長、又はHIV増殖を低減するのに十分な量で前記治療を必要とする対象に本明細書で記載されるCTLA4結合アプタマーを投与する。他の態様では、少なくとも5%(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上)CTLA4の活性量を低減するのに有効な量で前記CTLA4結合アプタマーを投与する。他の態様では、少なくとも5%(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上)免疫活性を高めるのに有効な量で前記CTLA4結合アプタマーを投与する。
【0070】
医薬品当業者に周知の従来の方法を用いて、治療する病気の種類又はその病気の部位に応じて前記対象に前記医薬組成物を投与してもよい。また、この組成物を従来の他の経路、例えば、経口投与、非経口投与、吸入スプレー、局所投与、直腸投与、経鼻投与、口腔投与、膣投与、又は埋め込み容器から投与してもよい。本明細書で用いられる用語「非経口投与」は、皮下投与、皮膚内投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、動脈内投与、滑液嚢内投与、胸骨内投与、髄腔内投与、病巣内投与、及び頭蓋内注射又は点滴技術を含む。また、例えば、1ヶ月、3ヶ月、又は6ヶ月のデポ注射可能な材料又は生分解性材料及び方法を用いて注射可能なデポ投与経路から前記対象に投与してもよい。実施例によっては、前記医薬組成物を眼球内又は硝子体内に投与する。
【0071】
注射可能な組成物は、様々な担体、例えば、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、カルボン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、及びポリオール(グリセリン、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)を含んでいてもよい。静脈内注射の場合、点滴法で水溶性CTLA4結合アプタマーを投与してもよい。これにより、前記CTLA4結合アプタマー及び生理的に容認可能な賦形剤を含む医薬製剤を注入する。生理的に容認可能な賦形剤は、例えば、5%ブドウ糖、0.9%生理食塩水、リンガー液、又はその他の好適な賦形剤を含んでいてもよい。筋肉内投与用製剤、例えば、前記CTLA4結合アプタマーの好適な可溶塩の形態である殺菌製剤を医薬賦形剤(例えば、注射用水、0.9%生理食塩水、又は5%グルコース溶液)に溶解して、投与してもよい。
【0072】
一態様では、CTLA4結合アプタマーは、部位特異的な送達技術又は標的局所送達技術により投与される。部位特異的な送達技術又は標的局所送達技術としては、例えば、前記CTLA4結合アプタマーの埋め込み可能な各種デポ源、又は局所送達カテーテル(例えば、注入カテーテル、内在型カテーテル、又は針カテーテル)、人工血管、外膜ラップ、シャント及びステント、又は他の埋め込み可能な装置、部位特異的な担体、直接注射、又は直接塗布が挙げられる。例えば、PCT公開WO00/53211及び米国特許第5,981,568号を参照のこと。
【0073】
また、アンチセンスポリヌクレオチド、発現ベクター、又は下位ゲノムポリヌクレオチドを含む治療組成物の標的送達を用いてもよい。受容体媒介のDNA送達技術が、例えば、Findeis et al., Trends Biotechnol. (1993) 11:202; Chiou et al., Gene Therapeutics: Methods And Applications Of Direct Gene Transfer (遺伝子治療:直接遺伝子移入の方法と応用)(J. A. Wolff, ed.) (1994); Wu et al., J. Biol. Chem. (1988) 263:621; Wu et al., J. Biol. Chem. (1994) 269:542; Zenke et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1990) 87:3655; Wu et al., J. Biol. Chem. (1991) 266:338に記載されている。
【0074】
遺伝子治療試験プロトコールの局所投与の場合、ポリヌクレオチド(例えば、本明細書で記載されるCTLA4結合アプタマー又はそのようなアプタマーを産生するためのベクター)を含む治療組成物を、DNAが約100ng〜約200mgの範囲で投与する。態様によっては、遺伝子治療試験プロトコールを通じて用いられるDNA濃度が約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、及び約20μg〜約100μg、又はそれ以上の範囲であってもよい。
【0075】
本明細書で記載される方法で治療される対象は哺乳類、例えば、家畜動物、競技用動物、愛玩動物、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、及びラットであってもよい。一例では、前記対象はヒトである。前記抗CTLA4アプタマーを含有する組成物は、前記治療を必要とする対象の免疫活性(例えば、T細胞活性)を高めるために用いられてもよい。実施例によっては、癌(例えば、肺癌、メラノーマ、結腸直腸癌、又は腎細胞癌)を有する、癌を有すると疑われる、又は癌のリスクがある前記対象はヒト患者であってもよい。他の実施例では、前記対象はHIV感染を有する、又はHIV感染を有すると疑われるヒト患者であってもよい。そのような患者もまた、通常の医療行為によって識別することができる。
【0076】
標的の病気又は障害(例えば、癌、HIV感染などのウイルス感染、又は細菌感染)を有する対象は、通常の医学検査(例えば、ラボ試験、臓器機能試験、CTスキャン、又は超音波)により識別することができる。そのような標的の病気/障害の何れかを有すると疑われる対象は、その病気/障害の1つ以上の症状を示す場合がある。前記病気/障害のリスクがある対象は、その病気/障害に関連づけられた危険因子の1つ以上を有する対象であってもよい。そのような対象もまた、通常の医療行為によって識別することができる。
【0077】
特定の投薬計画、すなわち、本明細書で記載される方法で用いられる投与量、タイミング、及び反復は、特定の対象(例えば、ヒト患者)及びその対象の病歴に依存する。
【0078】
態様によっては、前記抗CTLA4アプタマーを好適な他の治療薬(例えば、抗癌剤又は抗HIV剤)と共に用いてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、前記抗CTLA4アプタマーも、前記薬剤の有効性を向上及び/又は補完する働きをする他の薬剤と共に用いてもよい。
【0079】
標的の病気/障害の治療有効性は、例えば、以下の実施例で記載する方法により評価することができる。
【0080】
標的の病気の軽減に用いるキット
本開示はまた、免疫活性(例えば、T細胞活性)を高め、癌(例えば、肺癌、メラノーマ、結腸直腸癌、又は腎細胞癌)を軽減し、かつ/又はHIV感染のリスクを低減するキットを提供する。そのようなキットは、CTLA4に結合するアプタマー(例えば、本明細書で記載されるアプタマーの何れか)を含む1つ以上の容器を含んでいてもよい。
【0081】
態様によっては、前記キットは、本明細書で記載される方法の何れかに従って使用するための指示を含んでいてもよい。含まれているこれらの指示は、本明細書で記載される、標的の病気を治療する、その発症を遅延する、又は病気を軽減するためのアプタマーの投与についての説明を含んでいてもよい。前記キットはさらに、ある個体が前記標的の病気を有するかどうかの識別に基づいて治療に好適な個体を選択することについての説明を含んでいてもよい。さらに他の態様では、前記指示は、前記標的の病気のリスクがある個体に前記アプタマーを投与することについての説明を含む。
【0082】
CTLA4結合アプタマーの使用に関する指示は、一般に、投与量、投与日程、及び意図された治療のための投与経路に関する情報を含む。前記容器は、単位投与量、バルク包装(例えば、複数回投与量を包装したもの)、又は下位単位投与量であってもよい。本発明のキットと一緒に提供される指示は、典型的にはラベル又は包装袋の挿入物(例えば、キットに含まれる紙シート)に書かれた指示であるが、機械で読み取り可能な指示(例えば、磁性又は光学式記録ディスク)上に担持された指示もまた容認可能である。
【0083】
前記ラベル又は包装袋の挿入物は、本明細書で記載される、癌に関連づけられた病気又は障害の治療、その発症の遅延、及び/又はその病気の軽減に前記組成物が用いられることを示す。指示は、本明細書で記載される方法の何れかを実践するために提供されてもよい。
【0084】
本発明のキットは、好適に包装されている。好適な包装としては、バイアル、瓶、ジャー、柔軟性のある包装(例えば、密封されたマイラー又はプラスチック袋)などが挙げられるが、これらに限定されない。また、特定の装置、例えば、吸入器、経鼻投与装置(例えば、噴霧機)、又は注入装置(例えば、ミニポンプ)と組み合わせて包装を用いることも想定される。キットは、殺菌された取り出し口を有していてもよい(例えば、前記容器は皮下注射針で突き刺すことができる栓を有する静脈内投与液袋又はバイアルであってもよい)。また、前記容器は殺菌された取り出し口を有していてもよい(例えば、前記容器は皮下注射針で突き刺すことができる栓を有する静脈内投与液袋又はバイアルであってもよい)。前記組成物中の少なくとも1種の活性薬剤は、本明細書で記載されるCTLA4結合アプタマーである。
【0085】
必要に応じて、キットは、緩衝液などの追加の成分、及び解釈のための情報を提供してもよい。通常、前記キットは、容器、及び前記容器の上又はそれに関連づけられたラベル又は包装袋の挿入物を含む。態様によっては、本発明は、上記のキットの内容物を含む製造品を提供する。
【0086】
一般技術
本発明を実施するに当たっては、別途記載しない限り、従来の分子生物学(組換技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の技術が含まれる。これらは技術常識の範囲内である。Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition (Sambrook, et al., 1989) Cold Spring Harbor Press; Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, ed., 1984); Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J. E. Cellis, ed., 1998) Academic Press; Animal Cell Culture (R. I. Freshney, ed., 1987); Introduction to Cell and Tissue Culture (J. P. Mather and P. E. Roberts, 1998) Plenum Press; Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J. B. Griffiths, and D. G. Newell, eds., 1993-8) J. Wiley and Sons; Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.); Handbook of Experimental Immunology (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds.); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J. M. Miller and M. P. Calos, eds., 1987); Current Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubel, et al., eds., 1987); PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis, et al., eds., 1994); Current Protocols in Immunology (J. E. Coligan et al., eds., 1991); Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999); Immunobiology (C. A. Janeway and P. Travers, 1997); Antibodies (P. Finch, 1997); Antibodies: a practical approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989); Monoclonal antibodies: a practical approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000); Using antibodies: a laboratory manual (E. Harlow and D. Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999); The Antibodies (M. Zanetti and J. D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995).
【0087】
更なる検討を要することなく、当業者であれば上記の記載に基づいて、本発明を最大限に利用することができる。従って、以下の具体的な態様は、あくまでも単なる例示と解すべきであり、本明細書の他の部分を如何なる意味でも限定することはない。本明細書で引用される公報は、本明細書で参照される目的又は主題に関して、引用により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0088】
実施例1:免疫沈降SELEXによる抗CTLA4アプタマーの選別
本研究は、指数関数的富化によるリガンドの系統的進化のための方法(SELEX)を採用した。この方法では、結合分子は、核酸(DNA又はRNAの何れか)の大型で多様性のあるライブラリーから選別される。例えば、Mol. Cell Biol (Oliphant A.R., et al., 1989); Science (Tuerk C. et al., 1990); Nature (Ellington A.D., et al., 1990)を参照のこと。
【0089】
アプタマー選別の成功率を上げるため、免疫沈降SELEX(IP−SELEX)と細胞に基づくSELEXを組み合わせた選別方法を用いた。IP−SELEXは、主にプールから非特異的アプタマーを低減させることができる。一方、細胞に基づくSELEXは、細胞膜上の標的タンパク質を認識できないアプタマーを低減させることができる。FOLR−2及びCTLA4について、SELEXの手順をそれぞれ16ラウンド行った。ラウンド2、ラウンド3、及びラウンド4でIP−SELEXを用いて、残りのラウンドで細胞に基づくSELEXを用いた。アプタマープールの進化が成功したことを示すために、CTLA4選別のラウンド4、8、12、及び16に由来するアプタマープールを選んで、分析した。総結合アッセイをRT−定量PCR(図1のパネルAに示す)及びフローサイトメトリー(図1のパネルB−Iに示す)と組み合わせて結合親和性及び特異性を測定した。これらのデータは、親和性及び特異性のいずれも、SELEXのラウンドが進むに従って上昇したことを示している。例えば、(図1のパネルAに示すように)親和性は120.7nM(ラウンド4)〜6.6nM(ラウンド16)から上昇した。(図1のパネルB〜Iに示すように)アプタマープールの非特異的結合は、SELEXの後半のラウンドで低減に成功した。これらのデータから、本発明者らのSELEX手順が高い親和性と特異性を有するアプタマーの効率的な選別に功を奏することが示唆された。16ラウンドの選別後にアプタマープールの配列を決定した。
【0090】
実施例2:単離アプタマーは、高い親和性を有するCTLA4発現細胞を特異的に認識した
そのより高い構造的安定性によって、実施例1に記載の方法で単離した4種のアプタマー(CA7、CA21、CA32、及びCA82)を選択した。これら4種のアプタマーの結合特異性をフローサイトメトリーで分析した。野生型293細胞に対するCA7の非特異的結合信号が比較的低いことを除き、これら4種のアプタマーのすべてがCTLA4発現細胞を特異的に認識した(図2のパネルA及びB)。このデータから、CTLA4発現細胞に特異的なアプタマーが同定されたことが示唆された。CTLA4発現細胞の非波形状の蛍光信号(図2のパネルB)は、CTLA4発現量を大きく変動させる一過性形質移入によるものであった。また、図2のパネルC〜Fに示すように、これら4種のアプタマーの結合親和性が同定された。
【0091】
アプタマーCA7、CA32、及びCA82の核酸配列を以下に示す。
【表2】
【0092】
イタリック体で示した領域は、プライマー部位を指し、太字で示した領域は、これら抗CTLA4アプタマーのコア領域を示す。
【0093】
実施例3:CTLA4拮抗性アプタマーは、生体内で腫瘍の成長を阻害した
50種の単離CTLA4アプタマーを分析した後、CTLA4上のB7−1及びB7−2タンパク質の結合部位を認識した5種のアプタマーを同定した。それらアプタマーの1種であるCA21は、マウスCTLA4と交差反応したので、同系マウスモデルでの腫瘍阻害アッセイに選んだ。図3は、CA21アプタマーの配列(図3のパネルA)及び予測される二次構造(図3のパネルB)を示す。
【0094】
マウスTC−1肺癌細胞(3×10)をC57BL/6マウスの皮下に移植した。腫瘍の短軸が8mmに達したら、マウスの腹膜腔に0.3nmolのCA21を含むPBS又は対照PBSを注射した。注射日を0日目として記録し、週に2回、腫瘍サイズを測定した。その結果から、対照PBSで治療した対照に比べてCA21は効率的に腫瘍の成長を阻害することができることが示された(図4のパネルA)。腫瘍体積を24日間監視した。CA21による治療の後、腫瘍の成長は70%超減少した(図4のパネルB及びC)。これに対して、CA21による治療は、マウスの体重又は生体外の腫瘍細胞増殖に影響を及ぼさなかった(図4のパネルD及びE)。これらのデータは、間接的な反応機構によりCA21は腫瘍細胞の成長を阻害することを示唆している。
【0095】
実施例4:CTLA4拮抗性アプタマーは、大腸癌の生体内同系マウスモデルで腫瘍の成長を阻害した
同系マウスモデルを用いて、大腸癌の生体内での成長に関するCTLA4拮抗性アプタマーCA21の阻害活性を実証した。簡単に説明すると、0日目にマウスCT26結腸直腸癌細胞(ATCC CRL-2638、マウス1匹あたり2×10個のCT26細胞)をBALB/cマウスの皮下に移植した。腫瘍の短軸が8mmに達した後、0.3nmolのCA21を含むPBS又は対照PBSをマウスの腹膜腔内に注射した。図5のパネルAに示すように、4日目、6日目、8日目、及び10日目にCA21アプタマーをCT26細胞同系マウスに注射した(図5のパネルA、矢印は注射をした時を示す)。週に3回、腫瘍サイズを測定した。式(L×D)/2(Lは腫瘍の長径、Dは腫瘍の短径)を用いて腫瘍サイズを算出した。腫瘍細胞を注射して16日目に、対照PBSで治療したマウスの腫瘍サイズに比べて、CA21で治療したマウスの腫瘍サイズは約70%小さくなっていた(図5のパネルB)。これらのデータから、CA21アプタマーは大腸癌の治療に用いることができることが示された。
【0096】
実施例5:CTLA4拮抗性アプタマーは、肺癌の生体内同系マウスモデルで腫瘍の成長を阻害した
肺癌の同系マウスモデルを用いて、生体内での肺癌の成長に対するCTLA4拮抗性アプタマーCA21の阻害活性を実証した。簡単に説明すると、0日目にマウスルイス肺癌細胞(ATCC CRL1642、マウス1匹あたり1×10個のルイス肺細胞)をC57BL/6マウスの皮下に移植した。腫瘍の短軸が8mmに達した後、0.3nmolのCA21を含むPBS又は対照PBSをマウスの腹膜腔内に注射した。図6のパネルAに示すように、4日目、6日目、8日目、10日目、及び12日目に、CA21アプタマーをルイス肺細胞同系マウスに注射した(図6のパネルA、矢印は注射をした時を示す)。週に3回、腫瘍サイズを測定した。式(L×D)/2(Lは腫瘍の長径、Dは腫瘍の短径)を用いて腫瘍サイズを算出した。腫瘍細胞を注射して18日目に、対照PBSで治療したマウスの腫瘍サイズに比べて、CA21で治療したマウスの腫瘍サイズは約50%小さくなっていた(図5のパネルB)。これらのデータから、CA21アプタマーは肺癌の治療に用いることができることが示された。
【0097】
実施例6:ペグ化CTLA4拮抗性アプタマーの静脈内投与は腫瘍の成長を阻害する
この研究では、生体内での癌細胞の成長に対するCA21のペグ化形態(CA21−PEG)の阻害活性を評価した。
【0098】
マレイミドを用いてCA21アプタマーをポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートした。CA21−PEGを生成するため、3’−チオールCA21アプタマー(3nmol)の18mMのギ酸アンモニウム(pH:4)溶液20μLを30nmolのPEG(分子量:40kDa)に添加した(還元アプタマーのPEGに対するモル比が1:5)。37℃のチオールとマレイミドの反応でこの混合物を混合した。1時間後、この混合物をポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)にかけて、CA21−PEGを単離した。標準的な技術を用いてこのCA21−PEGをポリアクリルアミドゲルから抽出した。用いたPEGの分子量は40kDaであった。このPEGはCA21アプタマーの3’末端に付着していた。
【0099】
肺癌の同系マウスモデルでの静脈内投与により、CA21−PEGの抗癌活性を決定した。0日目にルイス肺癌細胞(ATCC CRL1642、マウス1匹あたり1×10個のルイス肺細胞)をC57BL/6マウスの皮下に移植した。腫瘍の短軸が8mmに達した後、0.3nmolのCA21を含むPBS、0.3nmolのCA21−PEGを含むPBS、又は対照PBSの何れかの投与量をマウスの尾静脈に注射した。週に2回、腫瘍サイズを測定した。式(L×D)/2(Lは腫瘍の長径、Dは腫瘍の短径)を用いて腫瘍サイズを算出した。腫瘍細胞を注射して16日目に、CA21で治療したマウスの腫瘍サイズに比べて、CA21−PEGで治療したマウスの腫瘍サイズは約50%小さくなっていた(図7)。これらのデータから、ペグ化CA21アプタマーCA21−PEGを用いて静脈内投与により癌を治療することができることが示された。
【0100】
他の態様
本明細書に記載の任意の特徴を、任意の組み合わせで組み合わせてもよい。本明細書に記載の特徴は各々、同一・同等・又は同様の目的を果たす代替的な特徴で置換してもよい。即ち、別途明記しない限り、開示される各特徴は、包括的な同等又は同様の特徴の群の一例に過ぎない。
【0101】
上記の記載から、当業者であれば容易に、本発明の本質的な特徴を特定することが可能であり、且つ、本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない限りにおいて、本発明に種々の改変や修正を加え、種々の用途や条件に適合させることが可能である。即ち、他の態様も特許請求の範囲内に含まれる。
図1A
図1B-E】
図1F-I】
図2A
図2B
図2C-F】
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]