特許第6702940号(P6702940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6702940-嫌気性製品用のパック 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702940
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】嫌気性製品用のパック
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/26 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   B65D81/26 B
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-506775(P2017-506775)
(86)(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公表番号】特表2017-529285(P2017-529285A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2014066948
(87)【国際公開番号】WO2016019998
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年8月4日
【審判番号】不服2019-2313(P2019-2313/J1)
【審判請求日】2019年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】オサリバン、 ピーター
【合議体】
【審判長】 石井 孝明
【審判官】 佐々木 正章
【審判官】 久保 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−507955(JP,A)
【文献】 特開平6−340771(JP,A)
【文献】 特表2010−523765(JP,A)
【文献】 特表2010−527393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.酸素が存在しないことにより、その中に保持された嫌気性硬化性組成物が硬化するのを防止するのに十分な酸素透過性を有する容器本体を有する容器、および
b.前記容器内に保持された嫌気性硬化性組成物
を含むパックであって、
前記容器本体は、熱可塑性デンプン成分とポリエチレンとのブレンドから形成されたプラスチック材料から構成され、熱可塑性デンプン成分中のデンプンがブレンドの重量の6%〜33%の量で存在し、熱可塑性デンプン成分がデンプンおよび多官能性アルコールまたは多官能性アルコールの組み合わせである可塑剤を混合することにより得られ
容器本体の酸素透過性を50mlの嫌気性硬化性組成物用容器(ふちまでの容量106ml)で測定した場合、100%Oに対して、1パックあたり24時間で少なくとも2.4cmであることを特徴とするパック。
【請求項2】
前記熱可塑性デンプン成分中の前記デンプンが、再生可能なソースから供給される、請求項1に記載のパック。
【請求項3】
前記熱可塑性デンプン成分中の前記デンプンが、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の13%〜32%の量で存在する、請求項1または2に記載のパック。
【請求項4】
前記熱可塑性デンプン成分中の前記デンプンが、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の20%〜30%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパック。
【請求項5】
前記熱可塑性デンプン成分中の前記デンプンが、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の23%〜30%の量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパック。
【請求項6】
前記熱可塑性デンプン成分中の前記デンプンが、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の26%の量で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパック。
【請求項7】
前記ポリエチレンは、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の66%〜94%の量で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパック。
【請求項8】
前記ポリエチレンは、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の67%〜87%の量で存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパック。
【請求項9】
前記ポリエチレンは、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の70%〜80%の量で存在する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパック。
【請求項10】
前記ポリエチレンは、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の74%の量で存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパック。
【請求項11】
嫌気性硬化性組成物の粘度が、10センチポアズから8000センチポアズである請求項1〜10のいずれか1項に記載のパック。
【請求項12】
前記ポリエチレンがLDPEである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のパック。
【請求項13】
前記嫌気性硬化性組成物を分注するために、前記容器本体が、絞り出し可能であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のパック。
【請求項14】
前記容器本体が、ボトルである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のパック。
【請求項15】
前記容器は、さらに、容器から嫌気性製品を分注するための、前記容器本体のクロージャの一部を構成していてよい分注ノズルを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のパック。
【請求項16】
前記容器は、さらに、容器から嫌気性製品を分注するための分注クロージャを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のパック。
【請求項17】
前記容器本体は、顔料によって着色されている、請求項1〜16のいずれか1項に記載のパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嫌気性シーラント及び接着剤などの嫌気性製品用のパックに関する。特に対象となるものは、液体嫌気性製品である。嫌気性生成物は、酸素(空気)の不在下で硬化、セットアップ、または重合する。
【背景技術】
【0002】
ここで使用される嫌気性という用語は、空気の不在下で硬化、セットアップ、または重合する配合物を指すために使用される。アクリレートおよびメタクリレートをベースとする組成物を含むアクリル系システムが含まれる。これは、構造的嫌気性物質を含む。
【0003】
用途には、引張結合強度を必要とするもの、ねじり結合強度(例えば、ねじ止め配合物)などが含まれる。
【0004】
嫌気性製品用の多くのタイプの容器が製造されている。これらは、ボトル、バッグインボックス容器等を含む。
【0005】
嫌気性接着剤を充填する際の重要な考慮すべき点の一つは、保存安定性である。硬化を防止するためには、組成物の全体に渡って十分な酸素が存在しない場合には、貯蔵安定性が損なわれる。典型的には、これは、全ての材料が、嫌気的に硬化可能な製品を保持するための容器の製造に使用するのに適しているわけではないことを意味する。
【0006】
さらに、適合性の問題も存在し得る。例えば、嫌気性硬化性組成物の成分およびその成分を含む前記容器本体の材料は、互いに非適合性であるかも知れない。例えば、いくつかの材料は、化学的および/または物理的性質に有害な影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
したがって、嫌気性硬化性製品を保持するための容器の製造に使用するための代替材料の需要が常に存在する。
【0008】
特に、容器と、その中に保持された嫌気性硬化性製品とを含み、適切な保存安定性を示す代替パックが要求されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、以下を含むパックを提供する
(i)酸素が存在しないことにより、その中に保持された嫌気性硬化性組成物が硬化するのを防止するのに十分な酸素透過性を有する容器本体を有する容器、および
(ii)前記容器内に保持された嫌気性硬化性組成物
を含むパックであって、
前記容器本体は、熱可塑性澱粉成分とポリエチレンとの混合物から形成されたプラスチック材料から構成されていることを特徴とするパック。
【0010】
これは、容器本体を形成するための代替的な材料として望ましい。これは望ましい特性を有する。さらに、熱可塑性デンプン成分に使用されるデンプンは、再生可能なソースから供給されてもよい。
【0011】
この材料は、嫌気的に硬化可能な材料の広範囲の配合物と適合性があることが判明した。
【0012】
前記材料は、嫌気性硬化性製品を保存するための望ましい特性を示す。特に、容器本体を形成する材料の性能は、より従来の材料の性能に匹敵することが判明した。
【0013】
さらに、材料には汎用性がある。例えば、ボトルの形態で容器を形成するのに十分な剛性を有することができる。絞り出し可能な容器本体を形成することができる。例えば、分注ノズルのような分注装置が任意に取り付けられるような、絞り出し可能な形態の容器本体であることができる。例えば、キャップとノズルとを含む分配組み立て品を提供することができる。
【0014】
本発明のパックは、異なる種類の容器を構築するのに適した良好な保存安定性を示すことが判明した
【0015】
さらに、広範囲の材料のブレンドを利用することができる
【0016】
例えば、熱可塑性デンプン成分中のデンプンは、容器本体を形成するために使用されるブレンドの重量の6%〜33%の量で存在することができる。
【0017】
熱可塑性デンプン成分中のデンプンは、容器本体を形成するために使用されるブレンドの重量の13%〜32%の量で存在することができる。任意選択で、熱可塑性デンプンは、20%〜30%の量で存在する。例えば、熱可塑性デンプン成分中のデンプンは、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の23%〜30%の量で存在してもよい。
【0018】
熱可塑性デンプン成分中のデンプンは、容器本体を形成するために使用されるブレンドの重量の約26%の量で存在してもよい。
【0019】
熱可塑性デンプン成分中のデンプンは、熱可塑性デンプン成分の形態で利用することができる。すなわち、デンプンは、1種以上の他の材料と共に利用され得る。例えば、熱可塑性デンプン成分は、可塑剤とブレンドされたデンプンであってもよい。これは、デンプンをより容易に混合可能にするために望ましいかもしれない。例えば、熱可塑性デンプン成分は、(熱)可塑性材料のような非デンプン物質と混合可能であることが望ましい。望ましくは、デンプンは天然由来のものである。
【0020】
任意の適切な可塑剤を使用することができる。例えば、多官能性アルコールまたは多官能性アルコールの組合せを使用することができる。好適な多官能性アルコールとしては、グリセロールおよびソルビトールおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0021】
熱可塑性デンプン成分中では、配合されるべきポリマーとデンプン成分を相溶化するために、相溶化剤(compatabiliser)を利用することもできる。例えば、相溶化剤は、熱可塑性デンプン成分をポリエチレンと相溶させることができる。例えば、相溶化剤は、デンプンと相溶性のある基およびそれがブレンドされる熱可塑性剤(プラスチック)と相溶性のある基を有するポリマーであってもよい。1種のモノマーが、デンプンが相溶化されるポリマーと性質が類似しており、共重合されるコモノマーが澱粉と相容性である(例えば、デンプンのヒドロキシル基と反応性であるようなデンプンと反応性を有すること)コポリマーが望ましい。この点で、ポリマー主鎖がポリマーと相溶性のモノマーであり、コモノマーがペンダント基として主鎖に結合する、グラフト化またはランダム共重合体を使用することができる。
【0022】
本発明において、任意の相溶化剤は、ポリエチレンと相溶性のある骨格(バックボーン)を有することが望ましい。例えば、骨格は、ポリエチレン骨格であってもよい。任意の適切なペンダントコモノマーを使用することができる。コモノマーとしては、カルボン酸、カルボン酸無水物、アクリル酸のエステルを用いることができる。本発明における好適な相溶化剤は、ポリエチレン−コ−アクリル酸である。
【0023】
混合を容易にするために、デンプンと任意に可塑化剤とを、後に配合されるべきポリマーの一部の量と、予めブレンドしてもよい。例えば、熱可塑性デンプン成分を、ポリエチレンとブレンドすることができる。
【0024】
国際特許公開WO2011/020170に記載され請求されている方法は、本発明の熱可塑性デンプンを調製するのに適している。
【0025】
使用時に、デンプン成分を超える成分を含む熱可塑性デンプン成分を使用する場合において、デンプンの量について本明細書で与えられる値は、デンプンのみを指し、その他の成分を含まない。
【0026】
例えば、ポリエチレンは、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の66%〜94%の量で存在し得る。任意に、ポリエチレンは、前記容器本体を形成するために使用される前記ブレンドの重量の67%〜87%の量で存在する。ポリエチレンは、容器本体を形成するために使用されるブレンドの重量の70%〜80%の量で存在してよい。例えば、ポリエチレンは、容器本体を形成するために使用されるブレンドの重量の約74%の量で存在し得る。
【0027】
ポリエチレンが熱可塑性デンプン成分中で利用される場合、本明細書でポリエチレンの量について与えられる値は、容器内に存在するポリエチレンの全量を指す。(量が、例えば相溶化剤して存在し得るポリエチレンの任意のコポリマーを含まないという疑いを避けるためである。)
【0028】
容器本体の酸素透過性は、(4mm)の肉厚に基づいて24時間で少なくとも2.4cmである
【0029】
本発明のパックは、好適な粘度範囲にわたる材料を収容することができる。例えば、嫌気性硬化性組成物の粘度は、約10センチポアズから約8000センチポアズであってよい。
【0030】
好適には、ポリエチレンはLDPE系材料である。
【0031】
所望であれば、容器本体が形成されるブレンドは、可塑剤を含むことができる。
【0032】
上述したように、いくつかの最終用途では、前記容器本体は、前記嫌気性硬化性組成物を分注するために絞り出し可能であることが望ましい。例えば、絞り出し可能なボトルの形態をとってもよい。
【0033】
容器は、前記容器から嫌気性生成物を分注(ディスペンス)するために、分注(ディスペンス)ノズルをさらに備えることができ、分注ノズルは、容器本体のクロージャ(密閉部)の一部を任意に形成していてよい。
【0034】
容器は、容器から嫌気性製品を分注するための分注クロージャをさらに備えることができる。このようなクロージャには、ノズルが組み込まれていてよい。
【0035】
容器本体は、顔料によって着色されてもよい。例えば、顔料は、容器本体を形成する成分とブレンドされてもよい。これは、その中に含まれる製品の保存安定性を損なうことなく行うことができる。
【0036】
前記嫌気性硬化性材料は、(メタ)アクリレート類、チオーレン(thiolene)類、シロキサン類、ビニル類、およびもちろんこれらの組合せからなる群より選択されるモノマーを含むことができる。
【0037】
前記嫌気性硬化性モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーであってよい。嫌気性硬化性組成物中において、(メタ)アクリレート成分として使用するのに適した(メタ)アクリレートモノマーは、多種多様な材料から選択することができる。例えば、HC=CGCO、ただし式中、Gは水素、ハロゲンまたは1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基であることができ、Rは、1〜約16個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択されることができ、これらの任意のものは任意に、シラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カーボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホンなどにより、それぞれの場合で置換または中断されていてもよい。
【0038】
本発明のパックに使用するのに適した追加の(メタ)アクリレートモノマーは、限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなジ又はトリ官能(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPMA)、ヘキサンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(TRIEGMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジ−(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートモノマー;エトキシル化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート(EBIPMA)のようなビスフェノール−Aモノおよびジ(メタ)アクリレート;およびエトキシル化ビスフェノール−Fなどのビスフェノール−Fモノおよびジ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。
【0039】
本明細書で使用することができるさらに他の(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、米国特許第5,605,999号明細書(Chu)(その開示は、参照により本明細書に明示的に組み入れられる)に教示され特許請求されている、シリコーン(メタ)アクリレート部分(SiMA)を含むものである。
【0040】
もちろん、(メタ)アクリレートモノマーの組合せのようなモノマーの組合せも使用することができる。
【0041】
(メタ)アクリレート成分は、組成物の約10〜約90重量%の量で含むべきであり、例えば、組成物の総重量を基準にして約60〜約90重量%のである。
【0042】
本発明の実施形態を、例としてのみのために、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】下記の実験で作成され、試験された(赤)着色された50mlボトルの画像である。
図2図1に示され、以下に記載されるようなボトルに対して実施された可撓性試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図面の詳細な説明
図1は、下記の実験で作成され、試験された(赤)着色された(50ml)のボトルの画像(写真)を示す。スケールの指標を与えるために、定規が画像に含まれる。(以下のように、250mlの製品を保持するために同様のボトルを作製した。)
【0045】
ポリエチレンと熱可塑性デンプンとのブレンドを利用して、容器本体を形成した。その後、容器本体およびこの容器のためのクロージャを利用してパックを形成した。具体的には、嫌気性硬化性接着剤を容器内に配置した。これらの容器は、PE単独から形成された同等の容器によって実証されたものと同等の貯蔵安定性を示すことが判明した。
【0046】
全てのloctite(登録商標)製品は、ヘンケル アイルランド(Tallaght Business Park, Whitestown, Tallaght, Dublin 24)から入手可能である。
【0047】
以下は、パックの作成、実行された試験、およびそれらの試験の結果を説明するものである。
【実施例】
【0048】
その中に嫌気性硬化性接着剤を有するボトルの形態のパックは、多くの場合、“最小”製品充填体積(容器が上部まで充填されているのではなく、容器内に実質的なヘッドスペースが残されている)と称されるもので販売される。例えば、容器自体がずっと大容量(例えばそれぞれ約106mlおよび445ml)を有していても、嫌気性製品のそれぞれ50mlおよび250mlの充填パックで販売されてきた。酸素へのアクセスを通じて製品を安定に保つために、追加のヘッドスペースが必要である。
【0049】
100%のLDPEから作られた両方のサイズの既存のボトル、および同じLDPE60%と40%のCardia BLF02(Cardia BL−F02 は熱可塑性デンプンとポリエチレンの商業的に入手可能なブレンドであり、Cardia Bioplastics Unit 18/35 Dunlop Road Mulgrave, Victoria 3170, Australiaから入手可能である)から形成された代替品は、その中に配置した50mlまたは250mlの製品を有していた。特定の試験が行われた製品は、以下の表に示すように、Loctite(登録商標)製品270、243、242、278、290、542、549、601、638、648、649、2700、2400、および6300である。
【0050】
Cardia BL−F02は、デンプン、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレン−コ−アクリル酸およびポリエチレンを含む熱可塑性デンプン材料である。Cardia BL−F02は、約(重量)66%のデンプン、30%のポリエチレンであり、および残りの4%がグリセロール、ソルビトールおよびポリエチレン−コ−アクリル酸である。
【0051】
ボトルは、充填後にクロージャーでシールされた。
【0052】
ボトルは、ツインヘッド押出ブロー成形機上で2キャビティ金型によって製造された。40%Cardia BLF02を利用して製造されたボトルは、以下の寸法を有し、内部に配置された50mlの嫌気性生成物を有していた。
【0053】
【表1】
【0054】
40%のCardia BLF02を有するブレンドを利用して製造されたボトルは、以下の寸法を有し、内部に配置された250mlの嫌気性生成物を有していた。
【0055】
【表2】
【0056】
次いで、充填された試料を、以下のように、加速(35℃および45℃/98%相対湿度)および実時間(22℃−一般的には室温、RTと呼ばれることが多い)の両方のエージング試験プログラムにかけた。
【0057】
4週間 45℃/98%RH
8週間 35℃
16週間 35℃
6ヶ月 22℃
12ヶ月 22℃
18ヶ月 22℃
24ヶ月 22℃
【0058】
22℃における実時間エージングの長さは、製品の貯蔵寿命に依存し、大抵の場合、24ヶ月である。
【0059】
以下の表1に、製品およびその特定のテストポイントを示す。(この出願を出願した時点で、18ヶ月および24ヶ月の試験はまだ進行中であったが、現時点までその性能は従来のLDPEボトルと同様である。)製品およびそれらの試験結果を以下の表2に示す。LDPEボトルと同等の性能結果が良好な結果とみなされる。
【0060】
一旦テストポイントが完了すると、両方のボトルセットを検査し、製品のゲル化の証拠および/またはパッケージングの劣化および/または漏れの証拠について視覚的に比較した。
【0061】
次に、必要な性能が満たされていることを確認にするために、サンプルを試験した。このために、標準試験方法STM−754、STM−8、STM−701およびSTM−734を使用した。
【0062】
未充填ボトルは、LDPEおよびHDPEと比較した柔軟性試験および酸素透過速度測定を行った。また、それらについて、各ボトルの表の寸法に示される仕様内にあることを確認するために寸法測定を行った。
【0063】
酸素透過試験(OTR)は、電量センサを備えたMocon Oxtran 2/21装置を使用して、ASTM F1307−02に従って測定した。内側を窒素の流れによって12時間パージし、外側を23℃、50%RHにて空気(20.8%酸素)に暴露した状態で、ボトルを取り付けた。ボトルは、収束モードを用いて試験された。平衡は、電流伝達速度が、現在の伝達速度に先行する5サイクル(30分/サイクル)で得られた伝達速度の間で1%未満の差になったときに確立される。
【0064】
この結果から、100%酸素について見積もる。各ボトルタイプについて4つのサンプルを試験した。取り付けられたボトルの完全性を、Ai漏れ計120電子捕獲ガス検出器(Ai Leakmeter 120 electron−capture gas detector)を使用して、試験の前にチェックした。結果は以下の通りである。
【0065】
【表3】
【0066】
Purellは、米国テキサス州ヒューストンのLyondell Bassellから入手可能な製品のブランド名である。
【0067】
Marlexは、Phillips Chemical International N.V., Overijse,ベルギーから入手可能な製品のブランド名である。
【0068】
ボトルの可撓性を、P/2Nステンレス鋼プローブを用いたTA−XT2i Stable Microsystems Texture Analyserで決定した。試験速度を0.5mm minに設定し、中央位置からの距離を6.5mmにセットした。ボトルを水平位置でプレート上に平坦に載置し、プローブは垂直配向で下向きにした。接続されたプローブを、ボトル壁の面に荷重が加わらない開始位置に設定した。1単位は、試験速度にて、目標距離に達するまで実行され、出力値(Force/Kg)vs距離のグラフを生成し、柔軟性を比較した。各ボトルタイプについて3つのサンプルを測定した。
【0069】
50mlのボトルについてのこの試験の結果を、図2に示す。250mlボトルは、同等の酸素透過性を有すると予想される。
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
結論
前記実験により調製されたボトルは、本発明のパックが既存のパック(LDPEなど)に匹敵する全体的な安定性を提供することを明確に示す。さらに、ボトルは、その内容物と適合性があることが示された。容器内の製品の早期硬化/ゲル化についての問題は生じなかった。さらに、容器は、絞り出しが少し容易であった。これは、異なる組成の広い範囲の製品にわたって示された。
【0073】
全体として、熱可塑性デンプンとLDPEとのブレンドから形成されたボトルは、製品安定性および適合性、性能、酸素透過性の点で、100%LDPEボトルと同等の性能を有し、絞り出しは少し容易である。
【0074】
本発明を参照して使用される場合、“含む/含んでいる”および“有する/含んでいる”という語は、記述された特徴、整数、ステップまたは成分が存在することを特定するために使用されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、成分またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【0075】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において、組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔のために、単一の実施形態の文脈で説明された本発明の様々な特徴は、別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供されることもできる。
図1
図2