特許第6702956号(P6702956)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6702956ポリエーテルイミドワニス組成物、その製造方法およびそれから製造される物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702956
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ポリエーテルイミドワニス組成物、その製造方法およびそれから製造される物品
(51)【国際特許分類】
   C09D 179/08 20060101AFI20200525BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20200525BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20200525BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20200525BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20200525BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20200525BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20200525BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20200525BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C09D179/08 Z
   C08J5/24CFG
   C09D201/00
   C09D7/61
   C09D7/20
   C09D163/00
   B32B27/20 Z
   B32B27/34
   H05K1/03 610N
   H05K1/03 610R
   H05K1/03 610T
【請求項の数】20
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-518343(P2017-518343)
(86)(22)【出願日】2015年10月5日
(65)【公表番号】特表2017-538794(P2017-538794A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】IB2015057615
(87)【国際公開番号】WO2016055926
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2018年8月31日
(31)【優先権主張番号】62/062,238
(32)【優先日】2014年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジアン
(72)【発明者】
【氏名】シェン、リアン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、リーピン
(72)【発明者】
【氏名】ナ、イン
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−156545(JP,A)
【文献】 特開2005−325332(JP,A)
【文献】 特開2001−323174(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/100213(WO,A1)
【文献】 特開2013−231098(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/008437(WO,A1)
【文献】 特開2006−169534(JP,A)
【文献】 特開平02−229041(JP,A)
【文献】 特開昭63−099280(JP,A)
【文献】 特開2008−094927(JP,A)
【文献】 特開2007−138142(JP,A)
【文献】 特開平02−124971(JP,A)
【文献】 特開2013−071969(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/037834(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−10/00
C09D 101/00−201/00
B32B 27/00
C08J 5/00
H05K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルイミドと無機微粒子組成物と溶媒との合計量100wt%に対して、
ガラス転移温度が180℃以上である単離した合成直後のポリエーテルイミドを15〜35wt%と;
ポリエーテルイミドが選択した温度で溶液のままであるのに有効な量の溶媒と、
無機微粒子組成物を〜30wt%と、を含み、
前記無機微粒子組成物は、熱伝導度が45W/mK超である高熱伝導性充填剤を含み、前記高熱伝導性充填剤は、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム酸窒化物、窒化ケイ素マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、グラファイト、膨張黒鉛、グラフェン、炭素繊維を含み、
粘度が23℃で100cP超であるか、または90℃で30cP超であることを特徴とするワニス。
【請求項2】
前記溶媒が、任意に、8.5〜13の溶解度パラメータ値、90℃超の沸点またはそれら両方を有する極性の電子供与性溶媒であり、好ましくは、前記溶媒が、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クレゾール、ジメチルアセトアミド、ベラトロール、ピリジン、ニトロベンゼン、安息香酸メチル、ベンゾニトリル、アセトフェノン、n−ブチルアセテート、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、ジメチルスルホキシド、アニソール、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせである請求項1に記載のワニス。
【請求項3】
前記無機微粒子組成物が、
伝導度が10〜45W/mKである熱伝導性充填剤、好ましくは硫化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン;
熱伝導度が10W/mK未満である断熱充填剤、好ましくはタルク、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、酸化バリウム、ベーマイト、ギブサイト、硫酸バリウム、珪灰石、酸化ジルコニウム、シリカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、アルミン酸マグネシウム、ドロマイト、セラミックでコーティングしたグラファイト、クレイ;または
前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせの1つ以上をさらに含む請求項1乃至2のいずれか1項以上に記載のワニス。
【請求項4】
熱硬化性ポリマー組成物、好ましくはエポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシ、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを、ポリエーテルイミドの質量に対して30〜90wt%さらに含み、溶媒を除去し、熱硬化性組成物を硬化した後のワニスを含む試料では、硬化した熱硬化性組成物単独の試料と比較して、難燃性、靱性および銅からの剥離強度の少なくとも1つが向上している請求項1乃至3のいずれか1項以上に記載のワニス。
【請求項5】
前記ワニスが、繊維状プリフォーム、好ましくは、ガラス織布、ガラス不織布または炭素織布上に配置され、前記ワニスでコーティングされるか、含浸される請求項1乃至4のいずれか1項以上に記載のワニス。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項以上に記載のワニスの製造方法であって、
ワニスの成分を混合するステップと;
ポリエーテルイミドを溶媒に溶解させるのに有効な温度および時間で、好ましくは溶媒の沸点より低い温度で、前記成分を加熱するステップと、
を備えるワニスの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項以上に記載のワニスから物品を製造する方法であって、
ワニスから物品を形成するステップと;
形成された物品から溶媒を除去するステップと、
を備える物品の製造方法。
【請求項8】
前記物品が、繊維、層、等角のコーティング、キャスト物品、プリプレグまたは硬化した複合品の形態であり、好ましく前記物品が層であり、
前記ワニスを基材上へ注型して注型層を形成することによって形成し;
前記注型層を加熱することによって、前記注型層を加熱下および圧力下で加熱することによって、または前記注型層を別の基材へラミネートすることによって、前記溶媒を除去する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記物品が繊維状プリフォームをさらに含み、物品を形成するステップが、ワニスでプリフォームをコーティングするステップ、またはワニスをプリフォームに含浸するステップを備える請求項7乃至8のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項10】
銅張積層板の調製方法であって、
加熱、圧力またはそれらの組み合わせの下で、請求項8に記載の方法によって製造したポリエーテルイミド層を導電性金属回路層にラミネートするステップと;
任意に、続いてまたは同時に、前記ポリエーテルイミド層を支持金属マトリックス層にラミネートするステップと、
を備え、前記支持金属マトリックス層が、前記導電性金属回路層と反対側の前記ポリエーテルイミド層上に配置されている調製方法。
【請求項11】
金属コア銅張積層板の調製方法であって、
加熱、圧力またはそれらの組み合わせの下で、請求項8に記載の方法によって製造したポリエーテルイミド層を支持金属マトリックスにラミネートするステップと;
続いてまたは同時に、前記ポリエーテルイミド層を導電性金属回路層にラミネートするステップと、
を備え、前記導電性金属回路層が、前記支持金属マトリックス層と反対側の前記ポリエーテルイミド誘電層上に配置されており;
積層板の熱伝導度が0.3W/m−K超である調製方法。
【請求項12】
前記ポリエーテルイミド層が、ガラス織布またはガラス不織布をさらに含み、前記ポリエーテルイミド層が、
請求項1乃至5のいずれか1つ以上に記載のワニスを前記ガラス織布またはガラス不織布に含浸するステップと;
含浸したガラス織布またはガラス不織布から溶媒を除去するステップと、を備える方法によって調製される請求項10乃至11のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリエーテルイミド層が、熱硬化性ポリマー、好ましくはエポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシ、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせをさらに含み;溶媒を除去し、前記熱硬化性ポリマーを完全に硬化した後、硬化した熱硬化性ポリマー単独と比較して、前記ポリエーテルイミド層の難燃性、靱性および銅からの剥離強度の少なくとも1つが向上している請求項10乃至12のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項14】
前記熱硬化性ポリマーが、ラミネートする前に硬化されていないか、または部分的に硬化され;
溶媒の除去中、溶媒の除去後、またはそれら両方において、前記熱硬化性ポリマーが部分的に硬化され;
前記熱硬化性ポリマーを、ラミネートする間またはラミネートした後またはそれら両方において完全に硬化するステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記熱硬化性ポリマーがラミネートする前に完全に硬化される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記導電性金属回路層にパターン形成してプリント回路板または金属コアプリント回路板を得るステップと;
任意に、前記プリント回路板または前記金属コアプリント回路板を成形して、シート、管、またはロッドの形状を得るステップと、
をさらに備える請求項10乃至15の1項以上に記載の方法。
【請求項17】
前記金属コアプリント回路板が、LED照明用途、太陽エネルギー用途、テレビ、携帯電話、またはラップトップコンピューターに使用され、放熱をもたらす請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1乃至5のいずれか1項以上に記載のワニスを多孔質基材に含浸させるステップと;
含浸した多孔質基材から溶媒を除去するステップと、
を備え;
前記多孔質基材が、セラミック、ポリマー、ガラス、炭素、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを含むことを特徴とする複合材の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載方法によって形成された複合材を含む物品であって、
前記多孔質基材が、ガラス織布、ガラス不織布、繊維ガラス織布、または炭素繊維を含む繊維状プリフォームであり;
前記繊維状プリフォームが、ワニスでコーティングされているか、または含浸されており;
前記物品が、プリプレグ、シート、繊維、ワイヤコーティング、成形物品、または圧縮物品であることを特徴とする物品。
【請求項20】
多層物品の製造方法であって、
請求項1乃至5のいずれか1項以上に記載のワニスを含む層を基材上に形成するステップと;
前記層から溶媒を除去してプライマー層を得るステップと;
セラミック、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを含む第2の層をプライマー層上に形成して多層物品を得るステップと;
任意に、前記多層物品を熱処理して熱硬化性ポリマーを硬化するステップと;
を備え、
前記第2の層が、任意に、請求項1乃至5のいずれか1項以上に記載のワニスをさらに含み、層を形成するステップが、第2の層から溶媒を除去するステップをさらに備え;
セラミックがAl、TiO、ZrO、Cr、SiO、MgO、BeO;Y、Al−SiO、MgO−ZrO、SiC、WC、BC、TiC、Si、TiN、BN、AlN、TiB、ZrB、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせであり;
前記熱可塑性ポリマーが、フッ素ポリマー、より好ましくはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー、ポリビニリデンフッ化物、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせであり;
前記熱硬化性ポリマー組成物が、エポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシ、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせである製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリエーテルイミド(PEI)は、ガラス転移温度(「Tg」)が180℃超の非晶質、透明および高性能なポリマーである。さらに、ポリエーテルイミドは、高強度、高耐熱性、高弾性率および広い耐薬品性を有し、自動車、遠隔通信、航空宇宙、電気/電子、輸送、ヘルスケアなどの多様な用途で広範に使用されている。
【0002】
ポリエーテルイミド、並びにそれらのコポリマーは、様々な製造プロセスで汎用性があり、層、繊維、および複合材料を含めた様々な物品の調製のための射出成形、押出および熱成形を含めた技術に適していることが判明している。
【0003】
ポリエーテルイミドおよびその加工は、集中的な研究および開発の対象であり続けており、例えばラミネート、接着剤、コーティングおよび複合材料を含む用途に関して、新しい製造方法が依然として引き続き求められている。
【発明の概要】
【0004】
ワニスは、ポリエーテルイミドと無機微粒子組成物と溶媒との合計量100wt%に対して、ガラス転移温度が180℃以上である単離した合成直後のポリエーテルイミドを1〜45wt%、好ましくは5〜45wt%、より好ましくは10〜40wt%、さらにより好ましくは15〜35wt%と、ポリエーテルイミドが選択した温度で溶液のままであるのに有効な量の溶媒と、無機微粒子組成物を0〜40wt%、好ましくは1〜40wt%、より好ましくは5〜30wt%と、を含み、粘度が23℃で100cP超であるか、または90℃で30cP超である。
【0005】
ワニスの成分を混合するステップと、ポリエーテルイミドを溶媒に溶解させるのに有効な温度および時間で、好ましくは溶媒の沸点より低い温度で、成分を加熱するステップと、を備えるワニスの製造方法も開示される。
【0006】
ワニスから物品を形成するステップと、形成された物品から溶媒を除去するステップと、を備えるワニスから物品を製造する方法が開示される。
【0007】
銅張積層板の調製方法が記載され、該方法は、加熱下および圧力下で、ポリエーテルイミド層を導電性金属回路層にラミネートするステップと、任意に、続いてまたは同時に、ポリエーテルイミド層を支持金属マトリックス層にラミネートするステップと、を備え、支持金属マトリックス層が、導電性金属回路層と反対側のポリエーテルイミド層上に配置されている。
【0008】
金属コア銅張積層板の調製方法も記載され、該方法は、加熱、圧力またはそれらの組み合わせの下で、ポリエーテルイミド層を支持金属マトリックスにラミネートするステップと;続いてまたは同時に、ポリエーテルイミド層を導電性金属回路層にラミネートするステップと、を備え、導電性金属回路層が、支持金属マトリックス層と反対側のポリエーテルイミド誘電層上に配置されており;積層板の熱伝導度が0.3W/m−K超である。
【0009】
複合材の製造方法が開示され、該方法は、多孔質基材にワニスを含浸させるステップと、含浸した多孔質基材から溶媒を除去するステップと、を備え、多孔質基材が、セラミック、ポリマー、ガラス、炭素、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを含む。該方法によって形成された複合材および該複合材を含む物品は、開示のさらなる態様を表す。
【0010】
多層物品の製造方法も開示され、該方法は、基材上にワニスを含む層を形成するステップと、層から溶媒を除去してプライマー層を得るステップと、セラミック、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを含む第2の層をプライマー層上に形成して多層物品を得るステップと、任意に、多層物品を熱処理して熱硬化性ポリマーを硬化するステップと、を備え、第2の層は、任意に上記ワニスをさらに含み、第2の層を形成するステップは、第2の層から溶媒を除去するステップをさらに備え;セラミックが、Al、TiO、ZrO、Cr、SiO、MgO、BeO;Y、Al−SiO、MgO−ZrO、SiC、WC、BC、TiC、Si、TiN、BN、AlN、TiB、ZrB、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせであり;熱可塑性ポリマーが、フッ素ポリマー、より好ましくはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー、ポリビニリデンフッ化物、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせであり;熱硬化性ポリマー組成物が、エポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシ、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0011】
上記の特徴および他の特徴は、以下の図面および詳細な説明によって例示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の図面は典型的な実施形態である。
図1】フェニレンジアミンおよびBPA−二無水物由来の構造単位を含み、質量平均分子量が23,000g/モルであるポリエーテルイミド(ULTEM1040A)の20質量%(wt%)溶液のN−メチルピロリドン(NMP)(丸)、シクロペンタノン(四角)、およびジメチルアセトアミド(DMAc)(三角形)中約20〜約90℃での粘度(cP)を示す。
図2】フェニレンジアミンおよびBPA−二無水物由来の構造単位を含み、質量平均分子量が32,000g/モルであるポリエーテルイミド(ULTEM1010)の20wt%溶液のNMP(丸)、シクロペンタノン(四角)、およびDMAc(三角形)中約20〜約90℃での粘度(cP)を示す。
図3】m−フェニレンジアミンと、BPA−二無水物と平均で10個のケイ素原子を含有するビス−アミノプロピル官能性メチルシリコーンとのイミド化反応から作製され、シロキサン含量が20wt%であり、Mnが24,000g/モルであるポリエーテルイミド−ジメチルシロキサンコポリマー(SILTEM1700)の20wt%溶液の、NMP(丸)、シクロペンタノン(四角)、およびDMAc(三角形)中約20〜約90℃での粘度(cP)を示す。
図4】ジアミノジフェニルスルホンおよびBPA−二無水物由来の構造単位を含み、質量平均分子量が20,000g/モルであるポリエーテルイミド(VH1003)の20wt%溶液の、NMP(丸)、シクロペンタノン(四角)、およびDMAc(三角形)中約20〜約90℃での粘度(cP)を示す。
図5】発光ダイオード(LED)用途での金属コアプリント回路板(MCPCB)の概略図を示す。
図6】金属層上に配置した絶縁層(例えばポリエーテルイミド層)を有する金属層(例えばアルミニウム)と、金属層と反対側の絶縁層上に配置した銅層とを備える銅張積層板の略図を示す。
図7】厚さ200μmのポリエーテルイミド層を含む金属コア銅張積層板の断面の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。スケールバーは300μmである。
図8】厚さ45μmのポリエーテルイミド層を含む金属コア銅張積層板の断面の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。スケールバーは100μmである。
図9】Al熱伝導性充填剤を含有する厚さ73μmのポリエーテルイミド層を含む金属コア銅張積層板の断面の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。スケールバーは100μmである。
図10】窒化ホウ素熱伝導性充填剤を含有する厚さ78μmのポリエーテルイミド層を含む金属コア銅張積層板の断面の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。スケールバーは100μmである。
図11】窒化ホウ素熱伝導性充填剤を含有する厚さ46μmのポリエーテルイミド層を含む金属コア銅張積層板の断面の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。スケールバーは100μmである。
図12】窒化ホウ素熱伝導性充填剤を含有する厚さ77μmのポリエーテルイミド層を含む金属コア銅張積層板の断面の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。スケールバーは100μmである。
図13】窒化ホウ素熱伝導性充填剤を含有する厚さ52μmのポリエーテルイミド層を含む金属コア銅張積層板の断面の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。スケールバーは100μmである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ガラス転移温度が180℃以上である単離した、合成直後のポリエーテルイミドと、ポリエーテルイミドが選択した温度で溶液のままであるのに有効な量の溶媒と、任意に無機微粒子組成物と、を含むワニスについて説明する。本発明者らは、ポリエーテルイミドワニスを使用すると、ラミネート、接着剤、コーティングおよび複合材料を含めた様々な用途の組成物および物品の容易な製造手段がもたらされることを発見した。
【0014】
ワニスは、ガラス転移温度(Tg)が180℃以上、例えば180〜300℃の単離した合成直後のポリエーテルイミドを含む。本明細書での「単離した、合成直後のポリエーテルイミド」は、それらの製造後に単離されたポリエーテルイミドを指す。すなわち、ワニスは、ポリエーテルイミドを合成するのに使用した反応に由来する反応混合物ではない。さらに、ポリエーテルイミドは、重合後に、可溶性を増加させるように、さらに修飾または官能化されていない。したがって、単離した、合成直後のポリエーテルイミドは、重合後に単離され、好ましくは、さらに精製され(例えば沈殿、結晶化等によって)、ワニス組成物にそれを使用する前に、更なる修飾、官能化または化学反応が行われていない。
【0015】
ポリエーテルイミドは、1個超、例えば10〜1000個、または10〜500個の下式(1)の構造単位を含む:
【化1】
式中、Rはそれぞれ同一であっても、異なっていてもよく、C6−20芳香族炭化水素基もしくはそのハロゲン化誘導体、直鎖もしくは分岐鎖C2−20アルキレン基もしくはそのハロゲン化誘導体、C3−8シクロアルキレン基もしくはそのハロゲン化誘導体、特に、式(2)の二価の基などの二価有機基で置換されているか、または置換されていない:
【化2】
式中、Qは、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−C2y−(yは、1〜5の整数)またはそのハロゲン化誘導体(ペルフルオロアルキレン基を含む)、または−(C10−(zは、1〜4の整数)である。ある実施形態ではRはm−フェニレンまたはp−フェニレンである。
【0016】
さらに、式(1)中、Tは、−O−または式−O−Z−O−の基であり、−O−または−O−Z−O−基の二価の結合は、3,3’、3,4’、4,3’または4,4’位である。また、式(1)の−O−Z−O−のZ基は、非置換または置換二価有機基であり、Zの価数は超えないことを条件として、1〜6個のC1−8アルキル基、1〜8個のハロゲン原子、またはそれらの組み合わせで任意に置換された芳香族C6−24単環式または多環式部分であり得る。典型的なZ基としては、下式(3)のジヒドロキシ化合物から誘導される基が挙げられる:
【化3】
式中、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、ハロゲン原子または一価の例えばC1−6アルキル基であり;pおよびqは、それぞれ独立して0〜4の整数であり;cは0〜4であり;Xは、ヒドロキシ置換芳香族基を結合する架橋基であり、各Cアリーレン基の架橋基とヒドロキシ置換基は、該Cアリーレン基上で互いにオルト、メタ、またはパラ(具体的にはパラ)に配置されている。架橋基Xは、単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−C(O)−またはC1−18有機架橋基であり得る。C1−18有機架橋基は、環式または非環式であり得、芳香族または非芳香族であり得、さらに、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、ケイ素またはリンなどのヘテロ原子を含み得る。該C1−18有機基は、それに結合するCアリーレン基が共通のアルキリデン炭素か、またはC1−18有機架橋基の異なる炭素にそれぞれ結合されるように配置され得る。Z基の具体例は、式(3a)の二価の基である:
【化4】
式中、Qは、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、または−C2y−(yは、1〜5の整数)もしくはそのハロゲン化誘導体(ペルフルオロアルキレン基を含む)。具体的な実施形態では、Zは、式(3a)中のQが2,2−イソプロピリデンであるビスフェノールAから誘導される。
【0017】
該ポリエーテルイミドは、任意に、最大10mol%まで、最大5mol%まで、または最大2mol%までの、Tが下式のリンカーである式(1)の単位を含む:
【化5】
一部の実施形態では、Rがこれらの式のものである単位が存在しない。一部の実施形態では、該ポリエーテルイミドは、スルホン基を含有するR基を有さない。
【0018】
ある実施形態では、式(1)中、Rがm−フェニレンまたはp−フェニレンであり、Tが−O−Z−O−(Zは式(3a)の二価の基)である。代替として、Rがm−フェニレンまたはp−フェニレンであり、Tが−O−Z−O−(Zは式(3a)の二価の基)であり、Qは2,2−イソプロピリデンである。
【0019】
ある実施形態では、該ポリエーテルイミドはポリエーテルイミドスルホンであり得る。例えば、該ポリエーテルイミドは、少なくとも10mol%、例えば10〜90mol%、10〜80mol%、20〜70mol%、または20〜60mol%のR基が、スルホン基を含むエーテルイミド単位を含み得る。例えば、Rは4,4’−ジフェニレンスルホンであり得、Zは、4,4’−ジフェニレンイソプロピリデンであり得、下式の単位をもたらす:
【化6】
【0020】
該ポリエーテルイミドは、当業者に周知のいずれの方法によっても調製でき、該方法は、下式(5):
【化7】
の芳香族ビス(エーテル無水物)と、下式(6):
【化8】
の有機ジアミン(式中、TおよびRは上記で定義した通り)との反応を含む。
【0021】
ビス(無水物)の典型的な例としては、3,3−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;および、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、並びにそれらの様々な組み合わせが挙げられる。
【0022】
有機ジアミンの例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(p−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、ビス(p−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、およびビス(4−アミノフェニル)エーテルが挙げられる。これらの化合物の組み合わせも使用できる。一部の実施形態では、有機ジアミンは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、スルホニルジアニリン、または前述したものの1つ以上の組み合わせである。
【0023】
ポリエーテルイミドのメルトインデックスは、American Society for Testing Materials(ASTM)D1238によって、340〜370°Cで、6.7kg(kg)質量を用いて測定した0.1〜10g/minであり得る。一部の実施形態では、ポリエーテルイミドの質量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって、ポリスチレン標準を用いて測定した1,000〜150,000g/モル(Da)である。一部の実施形態では、ポリエーテルイミドのMwは10,000〜80,000Daである。そのようなポリエーテルイミドは、m−クレゾール中25℃で測定した0.2dl/g超、または、より具体的には、0.35〜0.7dl/gの固有粘度を有する。
【0024】
該ポリエーテルイミドは、式(1)のポリエーテルイミド単位と、式(7)のシロキサンブロックとを含むポリエーテルイミド−シロキサンコポリマーも含み得る:
【化9】
式中、R’は、それぞれ独立してC1−13一価ヒドロカルビル基である。例えば、R’は、それぞれ独立して、C1−13アルキル基、C1−13アルコキシ基、C2−13アルケニル基、C2−13アルケニルオキシ基、C3−6シクロアルキル基、C3−6シクロアルコキシ基、C6−14アリール基、C6−10アリールオキシ基、C7−13アリールアルキル基、C7−13アリールアルコキシ基、C7−13アルキルアリール基、またはC7−13アルキルアリールオキシ基であり得る。前述の基は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせによって完全にまたは部分的にハロゲン化され得る。ある実施形態では、ハロゲンが存在しない。前述のR基の組み合わせは、同じコポリマーで使用できる。ある実施形態では、ポリシロキサンブロックは、炭化水素含量が最小であるR’基を含む。具体的な実施形態では、炭化水素含量が最小であるR’基はメチル基である。
【0025】
ポリエーテルイミド−シロキサンは、ブロックまたはグラフトコポリマーであり得る。ブロックポリエーテルイミド−シロキサンコポリマーは、ポリマー骨格中にエーテルイミド単位とシロキサンブロックを含む。エーテルイミド単位およびシロキサンブロックは、ランダムな順序で、ブロック(すなわち、AABB)、交互(すなわち、ABAB)、またはそれらの組み合わせとして存在できる。グラフトポリエーテルイミド−シロキサンコポリマーは、エーテルイミドブロックを含む直線状または分岐状ポリマー骨格に連結したシロキサンブロックを含む非直線状コポリマーである。
【0026】
ポリエーテルイミド−シロキサンは、芳香族ビス無水物(4)と、上記の有機ジアミン(6)またはジアミンの混合物を含むジアミン成分と、下式(8)のポリシロキサンジアミンとの重合によって形成できる
【化10】
式中、R’およびEは、式(7)で記載した通りであり、Rはそれぞれ独立して、C−C20炭化水素、特に、C−C20アリーレン、アルキレンまたはアリーレンアルキレン基である。ある実施形態では、Rは、C−C20アルキル基、具体的にはプロピレンなどのC−C20アルキル基であり、Eは、5〜100、5〜75、5〜60、5〜15または15〜40の平均値を有する。式(8)のポリシロキサンジアミンの製造手順は当分野にて周知である。
【0027】
一部のポリエーテルイミド−シロキサンでは、ジアミン成分は、10〜90mol%、または20〜50mol%、または25〜40mol%のポリシロキサンジアミン(8)と、10〜90mol%、または50〜80mol%、または60〜75mol%のジアミン(6)を含有することができる。ジアミン成分は、ビス無水物との反応前に物理的に混合して、実質的にランダムなコポリマーを形成できる。代替として、ブロックまたは交互のコポリマーは、(6)および(8)と、芳香族ビス(エーテル無水物)(5)とを選択的に反応させて、後に一緒に反応させるポリイミドブロックを製造することによって形成できる。したがって、ポリエーテルイミド−シロキサンコポリマーは、ブロック、ランダムまたはグラフトコポリマーであり得る。
【0028】
ある実施形態では、ポリエーテルイミド−シロキサンは下式(9)の単位を有する:
【化11】
式中、シロキサンのR’およびEは、式(5)におけるものの通りであり、イミドのRおよびZは、式(1)におけるものの通りであり、Rは、式(8)中のRと同じであり、nは5〜100の整数である。具体的な実施形態では、エーテルイミドのRがフェニレンであり、ZがビスフェノールAの残基であり、Rがn−プロピレンであり、Eが2〜50、5〜30、または10〜40であり、nが5〜100であり、シロキサンのR’がそれぞれメチルである。
【0029】
ポリエーテルイミド−シロキサン中のポリシロキサン単位およびエーテルイミド単位の相対量は、望ましい特性に依存し、本明細書に記載のガイドラインを用いて選択される。特に、上述したように、ブロックまたはグラフトポリエーテルイミド−シロキサンコポリマーは、Eの特定の平均値を有するように選択され、組成物中のポリシロキサン単位の望ましい質量%をもたらすのに有効な量で選択され、使用される。ある実施形態では、ポリエーテルイミド−シロキサンは、ポリエーテルイミド−シロキサンの合計質量に対して、ポリシロキサン単位を10〜50wt%、10〜40wt%、または20〜35wt%含む。
【0030】
ワニス中のポリエーテルイミドの存在量は、1〜50wt%、例えば1〜45wt%、例えば5〜45wt%、例えば10〜40wt%であり得、ここで、ポリエーテルイミドと溶媒と無機微粒子組成物の合計が100wt%である。
【0031】
本開示のワニスは溶媒をさらに含む。溶媒は、ポリエーテルイミドが選択した温度で溶液のままであるのに有効な量で存在でき、例えば、溶媒の存在量は、15〜99wt%であり得、ここで、ポリエーテルイミドと溶媒と無機微粒子組成物の合計が100wt%である。溶媒は、極性の電子供与性溶媒であり得る。一部の実施形態では、溶媒の溶解度パラメータが8.5〜13である。一部の実施形態では、溶媒の沸点は90℃以上である。例えば、溶媒としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クレゾール、ジメチルアセトアミド、ベラトロール、ピリジン、ニトロベンゼン、安息香酸メチル、ベンゾニトリル、アセトフェノン、n−ブチルアセテート、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、ジメチルスルホキシド、アニソール、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを挙げることができる。ある実施形態では、溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMAc)、シクロペンタノン、N−メチルピロリドン(NMP)、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせであり得る。
【0032】
ワニスは、任意に無機微粒子組成物を含む。無機微粒子組成物は、熱伝導度が45W/mK超である高熱伝導性充填剤、好ましくは窒化アルミニウム(AlN)、炭化アルミニウム(AlC)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ホウ素(BN)、アルミニウム酸窒化物(AlON)、窒化ケイ素マグネシウム(MgSiN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)、グラファイト、膨張黒鉛、グラフェン、炭素繊維の1種以上;熱伝導度が10〜45W/mKである熱伝導性充填剤、好ましくは硫化亜鉛(ZnS)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化チタン(TiO);熱伝導度が10W/mK未満の断熱充填剤、好ましくはタルク(HMg(SiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)、マイカ、酸化バリウム(BaO)、ベーマイト(AlO(OH)、ギブサイト(Al(OH))、硫酸バリウム(BaSO)、珪灰石(CaSiO3)、酸化ジルコニウム(ZrO)、シリカ(SiO)、ガラスビーズ、ガラス繊維、アルミン酸マグネシウム(MgO・xAl)、ドロマイト(CaMg(CO)、セラミックでコーティングしたグラファイト、クレイ;および前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを含み得る。窒化ホウ素、酸化アルミニウム、グラファイト、および前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを含む無機微粒子組成物が特に有用である。
【0033】
熱伝導性充填剤は、例えば、50nm〜50μmの平均粒径を有し得、いずれの形状でもあり得る。ポリエーテルイミドを含むワニスと、熱伝導性充填剤成分を含む無機微粒子組成物とを、熱伝導性充填剤粒子の平均粒径が適切に低減し、安定な分散がなされるように、十分に混合することができる。熱伝導性充填剤成分は、ポリマー成分と相溶可能な有機溶媒(またはポリマー成分)中の充填剤の平均粒径が、10、20、30、40または50nm超〜1.0、2.0、3.0、5.0、10または20μm未満であるように、均一に分散できる。一般的に言えば、適切に分散していない充填剤成分(例えば大きな凝集体を含有する充填剤成分)は、多くの場合分解するまたは打ち勝つ材料に求められる機能面を劣化させるか、または無効化する。
【0034】
存在する場合、無機微粒子組成物の存在量は、0.5〜40wt%、例えば1〜40wt%、例えば5〜30wt%であり得、ここで、ポリエーテルイミドと溶媒と無機微粒子組成物の合計が100wt%である。
【0035】
ワニスは、例えば、23℃で100cP以上、例えば100〜6,000cPの粘度を有し得る。ワニスは、例えば、90℃で30cP以上、例えば、30〜250cPの粘度を有し得る。
【0036】
ワニスは、任意に、熱硬化性ポリマー組成物をさらに含む。熱硬化性ポリマー組成物としては、例えば、エポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシ、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせ挙げることができる。存在する場合、熱硬化性ポリマー組成物の存在量は、ポリエーテルイミドの質量に対して30〜90wt%であり得る。ある実施形態では、熱硬化性ポリマー組成物を含むワニスを含む試料が、溶媒を除去し熱硬化性組成物を硬化した後、硬化した熱硬化性組成物単独の試料と比較して、難燃性、靱性、および銅からの剥離強度の少なくとも1つが向上し得る。
【0037】
一部の実施形態では、上記ワニスは、繊維状プリフォーム上に配置し得る。繊維状プリフォームとしては、ガラス織布、ガラス不織布または炭素織布を挙げることができる。例えば、適した織布は、以下のガラスの種類:E、D、S、R、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせのいずれかを含む不織布または織布を含み得る。また、日東紡績社(福島、日本国)から入手可能なNEタイプガラスも適している。適したガラススタイルとしては、106、1080、2112、2113、2116および7628が挙げられるが、これらに限定されず、「ガラススタイル」と言う用語は当業者に既知であり、ガラス繊維のサイズおよび束中の繊維の数を指す。他の実施形態では、織布は、DuPont社から入手可能なKEVLARアラミド等のアラミド、アラミド/ガラスハイブリッド、またはセラミックのような材料を含み得る。さらに、セルロース繊維の織布も使用できる。織布の厚さは、5〜200μm、具体的には10〜50μm、より具体的には10〜40μmであり得る。繊維状プリフォームは、ワニスで被覆され得るか、または繊維状プリフォームにワニスを含浸し得る。
【0038】
上記ワニスは、既知の一般の技術に従い、様々な方法で製造できる。例えば、ワニスの製造方法は、ワニスの成分を混合するステップ、撹拌しながら成分を加熱するステップ、またはポリエーテルイミドを溶媒中に溶解させるのに有効な温度、好ましくは溶媒の沸点より低い温度と時間で撹拌するステップを含み得る。
【0039】
ワニスは、幅広い種類の用途に有用な物品の製造で使用できる。例えば、ワニスから、例えば注型、成型、押出し等によって物品を形成するステップと、形成された物品から溶媒を除去するステップによって、ワニスから物品を製造できる。適した物品は、繊維、層、等角コーティング、注型品、プリプレグ、または硬化した複合材の形状であり得る。一部の実施形態では、物品は層であり得、ワニスを基材上へ注型して注型層を形成することによって形成できる。注型層を加熱することによって、加熱下および圧力下で注型層を加熱することによって、例えば注型層を別の基材にラミネートすることによって等、あらゆる手段で溶媒を除去できる。一部の実施形態では、上記方法で調製される物品としては、接着剤、包装材料、コンデンサフィルム、または回路基板層挙げることができる。一部の実施形態では、ポリエーテルイミドワニスから調製される物品は、ポリエーテルイミド誘電層、または基材上に配置したコーティング、例えばワイヤもしくはケーブルのコーティングであり得る。好ましい実施形態では、物品は、例えば照明用途に使用される回路材料(例えばプリント回路板)におけるポリエーテルイミド誘電層であり得る。
【0040】
一部の実施形態では、物品は、繊維状プリフォーム、例えば、上記織布のいずれか1つ以上を含む繊維状プリフォームをさらに含む。物品が繊維状プリフォームを含む場合、物品の製造方法は、ワニスでプリフォームをコーティングするか、ワニスをプリフォームに含浸することによって、ワニスから物品を形成するステップを含み得る。含浸した繊維状プリフォームは、任意に、溶媒の除去前または除去後に成形し得る。
【0041】
一部の実施形態では、ワニスから調製される物品は、上述した熱硬化性ポリマー組成物を含み得る。ワニスが熱硬化性ポリマー組成物を含む場合、ワニスから物品を製造する方法は、熱硬化性ポリマー組成物を部分的に硬化してプリプレグを形成するステップ、または熱硬化性ポリマー組成物を完全に硬化して複合品を形成するステップをさらに含み得る。硬化は、ワニス組成物から溶媒を除去する前または後であり得る。さらに、物品は、溶媒の除去前または溶媒の除去後、硬化前、部分的な硬化後、または完全な硬化後、例えば熱成形によってさらに成形し得る。ある実施形態では、物品が形成され、溶媒が除去され;物品が部分的に硬化され(B段階の);任意に成形され;その後さらに硬化される。
【0042】
様々な用途の、ポリエーテルイミドワニスから調製される典型的な物品としては、銅張積層板(CCL)、例えば、金属コア銅張積層板(MCCCL)、複合品、および被覆した物品、例えば後述する多層物品を挙げることができる。そのような物品の製造方法は開示の別の態様を表す。
【0043】
典型的な実施形態では、上記ワニスから調製されるポリエーテルイミド誘電層は、回路アセンブリ、例えば銅張積層板に有用であり得る。例えば、ラミネートは、ポリエーテルイミド誘電層と、ポリエーテルイミド誘電層上に配置した導電性金属回路層と、任意に、導電性金属層と反対側の誘電層上に配置した放熱金属マトリックス層とを含み得る。一部の実施形態では、ポリエーテルイミド誘電層は、任意に、繊維状プリフォーム(例えば、織布層)および/または熱硬化性ポリマー組成物を含む。例えば、ポリエーテルイミド誘電層は、ガラス織布層または硬化した熱硬化性ポリマーをさらに含み得る。
【0044】
導電性金属層は、回路の形態であり得、銅、亜鉛、真ちゅう、クロム、ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼、鉄、金、銀、チタン、またはこれらの金属の1つ以上を含有する合金であり得る。他の有用な金属としては、銅モリブデン合金、Carpenter Technology社から入手可能なKOVARなどのニッケル−コバルト鉄合金、National Electronics Alloys社から入手可能なINVARなどのニッケル−鉄合金、バイメタル、トリメタル、2層の銅および1層のINVARから得られるトリメタル、および2層の銅および1層のモリブデンから得られるトリメタルが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、適した金属層は、銅または銅系合金を含む。代替として、展伸用銅箔が使用できる。好ましい実施形態では、導電性金属層は、銅を含み、ラミネートは銅張積層板である。
【0045】
典型的な実施形態での導電性金属層の厚さは、2〜200μm、具体的には5〜50μm、より具体的には5〜40μmであり得る。
【0046】
放熱金属マトリックス層は、アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、銅、鉄、スチールなどの熱伝導性金属であり得る。熱伝導性、導電性金属が、金属が金属回路層から電気的に絶縁されていることを条件として使用できる。好ましい支持金属マトリックス層の厚さは、0.1〜20mm、具体的には0.5〜10mm、より具体的には0.8〜2mmであり得る。好ましい実施形態では、金属マトリックス層はアルミニウムを含む。
【0047】
導電性金属層および支持金属マトリックス層の両方を、誘電層に対する粘着力の増大のために高い表面粗さを有するように前処理することができる。一部の場合では、誘電層は、接着剤を使用することなく、導電性金属層または放熱層に堅く接着できる。他の実施形態では、接着剤を使用して、誘電層の導電性金属層または放熱層への粘着力を向上できる。複合材シートを金属に接着させるのに使用される一般的な接着剤は(接着剤を使用する場合)、ポリイミド系接着剤、アクリル系接着剤、またはエポキシである。
【0048】
銅張積層板は、1つ以上の誘電層と、1つ以上の導電性金属層と、支持金属マトリックス層とを、熱硬化性接着剤を使用することなく、圧力下で熱ラミネートすることによって製造できる。誘電層は、ポリエーテルイミドワニスから調製でき、熱ラミネーションステップの前に溶媒注型処理して層を形成することによって調製できる。一部の実施形態では、ポリエーテルイミド誘電層と、導電性金属層と、放熱層とを、圧力下で接着剤なしの処理によって一緒に熱ラミネートして、ラミネートを形成する。ある実施形態では、ポリエーテルイミド層が導電性金属層と織布の層との間に配置され、単一ステップにて圧力下で熱ラミネートされる。導電性金属層は、任意に、ラミネーション前に回路の形状である。代替として、導電性金属層は、任意に、エッチングして、ラミネーション後に電気回路を形成することができる。ホットプレスまたはロールカレンダー法、すなわちロール・ツー・ロール法によってラミネートすることができる。
【0049】
代替として、回路アセンブリ用ラミネートを、ポリエーテルイミドワニスを導電性金属層上に直接注型し、続いて放熱金属マトリックス層へラミネートする溶液注型方法によって製造できる。逆に、ポリエーテルイミド溶液を代わりに放熱金属マトリックス層上へ直接注型し、続いて導電性金属層へラミネートすることができる。
【0050】
ある実施形態では、銅張積層板は、図6に示すものであり得る。図6は、金属層、例えば、アルミニウム層(3)と、銅層(4)と、金属層と銅層との間に配置した誘電層(5)とを有する銅張積層板を示す。
【0051】
追加の層を含む多層ラミネートも、1つのステップまたは2つ以上の連続ステップで、ホットプレスまたはロールカレンダー法などの方法によって、熱ラミネートすることで製造できる。一部の実施形態では、ラミネート中に7層以下存在することができ、他の実施形態では、16層以下存在することができる。例えば、典型的な実施形態では、ラミネートは、1つのステップまたは2つ以上の連続ステップで、織布−ポリエーテルイミド−金属−ポリエーテルイミド−織布−ポリエーテルイミド−金属箔の一連の層またはより少ない層のそれらのサブコンビネーションで、ラミネートが、金属箔のいずれかの層と織布のいずれかの層との間にポリエーテルイミドフィルムの層を含むように形成できる。別の実施形態では、第1のラミネートを、1つのステップまたは2つ以上の連続ステップで、ポリエーテルイミドの2層の間にガラス織布の層など、ポリエーテルイミドの2層の間に織布の層を有するように形成できる。続いて、第2のラミネートを、第1のラミネートのポリエーテルイミド側に金属箔をラミネートすることによって調製できる。
【0052】
具体的な実施形態では、ラミネートは、ポリエーテルイミド誘電層を導電性金属回路層に、加熱、圧力またはそれらの組み合わせの下でラミネートするステップと、任意に、続いて、または同時にポリエーテルイミド誘電層を放熱支持金属マトリックス層にラミネートするステップとを備える方法によって調製できる。支持金属マトリックス層は、導電性金属層と反対側のポリエーテルイミド層上に配置される。ポリエーテルイミド層は、上記ポリエーテルイミドワニスを基材上へ注型し、注型層から溶媒を除去することによって調製できる。代替として、上記ワニスを導電性金属回路層上へ直接注型することができ、溶媒を除去してポリエーテルイミド誘電層を提供することができる。
【0053】
一部の実施形態では、ポリエーテルイミド層は、ガラス織布またはガラス不織布をさらに含み得る。ポリエーテルイミド層がガラス織布をさらに含む場合、ポリエーテルイミド層は、ガラス織布にポリエーテルイミドワニスを含浸し、含浸したガラス布から溶媒を除去することによって調製できる。
【0054】
一部の実施形態では、ポリエーテルイミド層は、熱硬化性ポリマー、好ましくはエポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシ、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせをさらに含み得る。ポリエーテルイミド誘電層が、熱硬化性ポリマーをさらに含む場合、熱硬化性ポリマーは、ラミネーション前に硬化しないか、または部分的に硬化することができ、ラミネーション中または後に完全に硬化することができる。代替として、熱硬化性ポリマーは、ラミネーション前に完全に硬化することができる。一部の実施形態では、熱硬化性ポリマーは、溶媒の除去中および/または後に部分的に硬化することができ、または熱硬化性ポリマーは、溶媒の除去中または後に完全に硬化することができる。溶媒を除去し、熱硬化性ポリマーを完全に硬化した後、生じたポリエーテルイミド層では、熱硬化性ポリマー単独と比較して、難燃性、靱性、および銅からの剥離強度の少なくとも1つが向上している。
【0055】
上記銅張積層板のいずれかにおける導電性金属層をさらにパターン形成して、プリント回路板を提供することができる。さらに、銅張積層板を成形して、シート、チューブまたはロッドの形状を有する回路基板を提供することができる。上記方法で調製される銅張積層板の熱伝導度は0.3W/m−K以上である。
【0056】
上記方法のいずれかによって調製されるプリント回路板の全厚は0.1〜20mm、具体的には0.5〜10mmであり得、ここで、全厚は、ポリエーテルイミド誘電層、導電性金属層および支持金属マトリックス層の各層を含むアセンブリを指す。一部の特定の実施形態での回路アセンブリの全厚は、0.5〜2mm、具体的には0.5〜1.5mmである。ポリエーテルイミド誘電層の厚さは、ラミネートの望ましい全厚が達成される限り特に限定されない。一部の実施形態では、ポリエーテルイミド誘電層の厚さは5〜1500μm、具体的には5〜750μm、より具体的には10〜150μm、さらにより具体的には10〜100μmである。
【0057】
ある実施形態では、プリント回路板は、図5に示すように、発光ダイオード(LED)用途用の金属コアプリント回路板(MCPCB)であり得、図5は、MCPCB(2)およびLED成部品(1)を図示する。
【0058】
回路アセンブリを含む物品は開示の別の態様である。物品としては、医療または航空宇宙産業で使用されるプリント回路を含むものがある。さらに他の物品としては、アンテナなどの物品がある。他の実施形態では、そのような物品として、例えば、照明、太陽エネルギー、ディスプレイ、カメラ、オーディオおよび映像機器、パーソナルコンピューター、携帯電話、電子手帳、類似の装置、またはOA機器に使用されるプリント回路板を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、電気部品を、ラミネートを含むプリント回路板上に取り付けることができる。
【0059】
一部の実施形態では、複合品の製造方法は、熱硬化性ポリマー組成物を任意に含むポリエーテルイミドワニスを多孔質基材に含浸するステップと、続いて含浸した多孔質基材から溶媒を除去するステップとを含み得る。本明細書での「多孔質基材」は、相互につながっていても、つながっていなくてもよい、いずれのサイズの細孔または穴も有するいずれの基材でもあり得る。したがって、多孔質基材は、上記の繊維状プリフォームもしくは基材、またはセラミック、ポリマー、ガラス、炭素またはそれらの組み合わせを含む他の多孔質材料であってもよい。例えば、多孔質基材は、ガラス織布、ガラス不織布、繊維ガラス織布または炭素繊維であり得る。熱硬化性ポリマー組成物を部分的に硬化して、プリプレグを形成することができるか、または完全に硬化して、強化複合品を形成することができる。含浸した多孔質基材から溶媒を除去するステップは、材料を加熱、圧縮、または加熱および圧縮することによって達成できる。含浸した多孔質基材は、任意に、部分的な硬化ステップの前または後に、溶媒の除去ステップの前または後に成形できる。また、含浸した多孔質基材は、硬化後に、例えば熱成形によって成形できる。
【0060】
上記方法で調製される複合品は、繊維、層、キャスト物品、プリプレグ、ワイヤコーティング、成形物品、圧縮物品または強化複合品の形態であり得る。
【0061】
別の具体的な実施形態では、ワニスは、コーティングとして、例えば多層物品の調製に使用できる。コーティングの製造方法は、ワニスと、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーまたは前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせとを混合するステップと、コーティングを基材上に形成するステップとを備え得る。別の実施形態では、多層物品は、ポリエーテルイミドワニスを含む層を形成するステップと、層から溶媒を除去してプライマー層を得るステップと、セラミック、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを含む第2の層をプライマー層上に形成して多層物品を得るステップと、任意に、多層物品を熱処理して熱硬化性ポリマーを硬化するステップによって製造できる。熱硬化性ポリマー組成物は、エポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシまたは前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせであり得る。プライマー層からの溶媒の除去は、該層を加熱する、該層を圧縮する、または該層を加熱し、圧縮することによって行うことができる。一部の実施形態では、第2の層は、ポリエーテルイミドワニスをさらに含み得る。第2の層がワニスを含む場合、多層物品の製造方法は、プライマー層に関して上述した溶媒の除去方法を用いて、第2の層から溶媒を除去するステップをさらに含み得る。
【0062】
セラミックは、Al、TiO、ZrO、Cr、SiO、MgO、BeO、Y、Al−SiO、MgO−ZrO、SiC、WC、BC、TiC、Si、TiN、BN、AlN、TiB、ZrB、または前記したものの少なくとも 1つの組み合わせを含み得る。
【0063】
熱可塑性ポリマーは、フッ素ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー、ポリビニリデンフッ化物、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせであり得る。
【0064】
熱硬化性ポリマー組成物としては、エポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシまたは前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを挙げることができる。
【0065】
本明細書で提供されるポリエーテルイミドワニスは、回路アセンブリ、ラミネート、コーティングおよび複合品を含めた様々な用途に適した材料および製造方法に適合する。ワニスによって提供されるポリエーテルイミドを含有する層は、例えば照明用途に使用されるプリント回路板の製造に非常に有用であり得る。
【0066】
本開示の組成物、方法および物品を以下の非限定的な実施例によってさらに例証する。
【実施例】
【0067】
ワニスの調製で検討する様々な溶媒の特性を表1に示す。表1中の溶解度パラメータ(“SP)の値は、以下の通りに計算されるハンセン溶解度である。
【数1】
式中、
δdは分子間の分散力からのエネルギーであり,
δpは分子間の双極子分子間力からのエネルギーであり、
δhは分子間の水素結合からのエネルギーである。
Hansen,Charles (2007).Hansen Solubility Parameters:A user’s handbook,Second Edition. Boca Raton,Fla:CRC Press.
【表1】
【0068】
表2に示す材料を実施例で使用した。
【表2】
【0069】
(試料試験)
物理学的測定は、後述するように、下記の試験および試験方法を用いて行った。別段の指示がない限り、試験標準は2014年に施行されたものを指す。
【0070】
粘度は、ブルックフィールド粘度計(DV−I Primo)によって、示した温度で測定した。
【0071】
(ラミネートの調製の一般手順)
PEIを含有するワニスを含むラミネートを、下記の一般手順に従って調製した。ワニスを、厚さ0.8〜1mmのアルミナプレート上に注型して、コーティングを形成した。コーティングしたアルミナプレートを、加熱または真空下で乾燥して、コーティングから溶媒を除去した。乾燥後、銅箔を、乾燥した有機層上に配置した。280℃の温度で2時間(hr)、加熱加圧機械を用いて熱ラミネーションを行った後、金属コア銅張積層板を得た。
【0072】
ラミネートの面間熱伝導率は、ASTM E1461に準拠し、Netzsh Group社のNanoflash LFA447キセノンフラッシュ装置によるレーザーフラッシュ法を用いて求めた。試験試料を、10x10mmの試料にカットした。これらの測定の結果を、k(W/mK)の単位で表す。熱伝導度k(T)は、下記方程式に従い、試料の熱拡散率、比熱、および密度によって求めた:
【数2】
式中、k(T)は、熱伝導度を指し;α(T)は熱拡散率を指し;c(T)は比熱を指し、ρ(T)は試料の密度を指す。熱拡散率(α(T)、cm/s)は、正面での短いエネルギーパルスによって生じた薄肉円板試料の後面での温度上昇を測定することによって求めることができる。
【0073】
比熱(Cp、J/gK)(比熱容量とも呼ばれる)は、特定の試料の1gの純粋な物質を1℃上昇させるのに必要なエネルギーの量を指し、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。また、密度(ρ、g/cm)は、液浸方法(ASTM D792)を用いて求められる。
【0074】
(実施例1)
本実施例では、120gの示した溶媒をフラスコ内で加熱し、80℃の油浴中で維持した。30gの示したポリマーをフラスコに添加し、混合物をポリマーが溶解するまで撹拌した。粉末材料の溶解時間は概して約1hrであり、ペレットでは約8〜約12hrであった。ポリマーが溶解した後、熱源を除去し、温度が23℃に達したら、混合物を1〜3日間静置した。各組成物の粘度を、表3に示した温度で測定した。各ポリマーのデータのプロットを図1〜4に示す。
【表3】
【0075】
図1〜4および表3のデータは、ポリエーテルイミドが、NMP、シクロペンタノンおよびDMAc中で溶液(すなわち、ワニス)を形成することができたことを示す。より高い作業温度によって、より低い粘度のワニスがもたらされた。また、ポリエーテルイミド材料の分子量は、ワニス調製に影響を及ぼすことが見られた。より低い分子量の材料、例えば、フェニレンジアミンおよびビスフェノールA−二無水物から誘導され、質量平均分子量が23,000g/モルであるポリエーテルイミドは、より高い分子量の材料、例えば、フェニレンジアミンおよびビスフェノールA−二無水物から誘導され、質量平均分子量が32,000g/モルであるポリエーテルイミドと比較して、様々な溶媒での溶解度の増加を示した。より低い分子量の材料の溶解度の増大によって、試験した温度でより低い粘度のワニスが得られた。
【0076】
(実施例2〜4)
ポリエーテルイミドとジメチルホルムアミド(DMF)を含むワニスから金属コア銅張積層板を調製した。80gのDMFをフラッシュで加熱し、油浴中で温度を80℃に維持した。20gのPEI−1を添加し、ポリマーが溶解するまで混合物を撹拌した。ポリマーが溶解したら、厚さ25〜250μmのワニス層を、0.8〜1mm厚さのアルミナプレート上に注型することで調製した。送風乾燥オーブンを用いて150℃で4hrワニス層を乾燥した後、真空オーブンを用いて150℃で24hr乾燥することで、ポリエーテルイミド層を得た。銅箔をポリマー層上に配置した後、20〜40barの圧力下280℃で2hrホットプレスすることで、MCCCLを得た。実施例2、3および4のポリマー層の厚さは、それぞれ200、70および45μmであった。実施例2および4のMCCCLの断面を、それぞれ図7および8に示すように、走査電子顕微鏡を用いて画像化した。
【0077】
(実施例5〜6)
ポリエーテルイミドとジメチルホルムアミド(DMF)を含むワニスから金属コア銅張積層板を調製した。80gのDMFをフラスコ内で加熱し、温度を油浴中で80℃に維持した。14gのPEI−1および6gのAlをフラスコに添加し、ポリマーが溶解するまで混合物を撹拌した。ポリマーが溶解したら、厚さ25〜250μmのワニス層を0.8〜1mm厚さのアルミナプレート上にワニスを注型することで得た。ワニス層を150℃で4hr送風乾燥オーブンを用いて乾燥した後、150℃で24hr真空オーブンを用いて乾燥することで、ポリエーテルイミド層を得た。銅箔をポリマー層上に配置した後、20〜40barの圧力下280℃で2hrホットプレスすることで、MCCCLを得た。実施例5および6のポリマー層の厚さは、それぞれ73および50μmであった。実施例5のMCCCLの断面を、図9に示すように、走査電子顕微鏡を用いて画像化した。
【0078】
(実施例7〜8)
金属コア銅張積層板をポリエーテルイミドとジメチルホルムアミド(DMF)を含むワニスから調製した。65gのDMFをフラスコ内で加熱し、温度を油浴中で80℃に維持した。14gのPEI−1および6gのBN−1をフラスコに添加し、混合物をポリマーが溶解するまで撹拌した。ポリマーが溶解したら、厚さ25〜250μmのワニス層を、0.8〜1mm厚さのアルミナプレート上に注型することで得た。ワニス層を150℃で4hr送風乾燥オーブンを用いて乾燥した後、150℃で24hr真空オーブンを用いて乾燥することで、ポリエーテルイミド層を得た。銅箔をポリマー層上に配置した後、20〜40barの圧力下280℃で2hrホットプレスすることで、MCCCLを得た。実施例7および8のポリマー層の厚さは、それぞれ78および46μmであった。実施例7および8のMCCCLの断面を、図10および11に示すように、走査電子顕微鏡を用いて画像化した。
【0079】
(実施例9〜10)
金属コア銅張積層板を、65gのDMFをフラスコ内で加熱し、油浴中で温度を80℃に維持し、14gのPEI−1および6gのBN−2をフラスコに添加することよって調製した。混合物をポリマーが溶解するまで撹拌した。ポリマーが溶解したら、厚さ25〜250μmのワニス層を、0.8〜1mm厚さのアルミナプレート上に注型することによって得た。ワニス層を150℃で4hr送風乾燥オーブンを用いて乾燥した後、150℃で24hr真空オーブンを用いて乾燥することで、ポリエーテルイミド層を得た。銅箔をポリマー層上に配置した後、20〜40barの圧力下280℃で2hrホットプレスすることで、MCCCLを得た。実施例9および10のポリマー層の厚さは、それぞれ75および52μmであった。実施例9および10のMCCCLの断面を、図12および13に示すように、走査電子顕微鏡を用いて画像化した。
【0080】
実施例2〜10のラミネートの特性を表4に要約する。
【表4】
【0081】
実施例2〜4は、ポリマー層がより薄いと熱伝導率(TC)がより大きくなり得ることを例証する。実施例5〜10は、熱伝導性充填剤、例えばAlおよびBNの添加が、熱伝導性充填剤を含有しない実施例(実施例2〜4)に対して、さらに熱伝導度を増大し得ることを実証する。
【0082】
(予言的な実施例1)
FR−4銅張積層板(CCL)を、ポリエーテルイミド(PEI−1)と、窒化ホウ素と、エポキシと、ジメチルホルムアミド(DMF)とを含むワニスから調製できる。50gのDMFをフラスコ内で加熱し、温度を油浴中で80℃に維持する。5gのPEI−1および5gの窒化ホウ素をフラスコに添加し、混合物をポリマーが溶解するまで撹拌する。溶解したら、80℃に予熱した38gのビスフェノールジグリシジルエーテルを混合物に添加する。1gのジシアンジアミドおよび1gの2−エチル−4−メチルイミダゾールを添加し、混合し、ワニスを形成する。E−ガラス布をワニスでぬらした後、溶媒を蒸発させることで、プリプレグを調製する。140℃で1〜5分間加熱することで、プリプレグの硬化を達成する。銅箔をプリプレグの上部および底部に配置し、2〜10MPaの圧力下200℃で2hrホットプレスすることによってラミネートすることで、FR−4CCLを得ることができる。
【0083】
(予言的な実施例2)
炭素織布を含有する複合材料が、ワニスから調製される。120gのDMFをフラスコ内で加熱し、温度を油浴中で80℃に維持する。30gのPEI−1をフラスコに添加し、ポリマーが溶解するまで混合物を撹拌する。ポリマーが溶解したら、炭素織布にワニスを、織布をワニス中に1〜5分間浸すことによって含浸させる。含浸した炭素織布を送風乾燥オーブン内で、120℃で4hr乾燥した後、300〜360℃の加熱下および圧力下で炭素織布をラミネートすることで、炭素織布を含有するプリプレグ複合材を得る。
【0084】
(予言的な実施例3)
ガラス織布を含有する複合材料が、ワニスから調製される。108gのDMFをフラスコ内で加熱し、温度を油浴中で80℃に維持する。30gのPEI−1および12gの窒化ホウ素をフラスコに添加し、ポリマーが溶解するまで混合物を撹拌する。ポリマーが溶解したら、ガラス織布をワニス中に1〜5分間浸す。含浸したガラス布を、送風乾燥オーブン内で、120℃で4hr加熱することで乾燥し、続いて10〜20mmの長さとなるようにカットする。300〜340℃の加熱下および圧力下で射出成形またはラミネートすることで、ガラス織布を含有する複合材を得ることができる。
【0085】
(予言的な実施例4)
本実施例では、コーティング材料の調製を説明する。120gのDMFをフラスコ内で加熱し、温度を油浴中で80℃に維持する。30gのPEI−2をフラスコに添加し、ポリマーが溶解するまで混合物を撹拌した。ポリマーが溶解したら、生じたワニスを、厚さ25〜100μmのコーティング層をもたらすようにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)プレート上へ注型する。送風乾燥オーブン内で、120℃で4hr乾燥することで、PTFE基材上へのコーティングを得る。
【0086】
ポリエーテルイミドワニス、それから調製される物品、および製造方法は、以下の非限定的な実施形態によってさらに例示される。
【0087】
実施形態1:ポリエーテルイミドと無機微粒子組成物と溶媒との合計量100wt%に対して、ガラス転移温度が180℃以上である単離した合成直後のポリエーテルイミドを1〜45wt%と;ポリエーテルイミドが選択した温度で溶液のままであるのに有効な量の溶媒と;無機微粒子組成物を0〜40wt%と、を含むワニス。
【0088】
実施形態2:粘度が23℃で100cP超であるか、または90℃で30cP超である実施形態1のワニス。
【0089】
実施形態3:ポリエーテルイミドが、式(1)の単位(式中、RがC2−20炭化水素基であり、Tが−O−または式−O−Z−O−の基であり、−O−または−O−Z−O−基の二価の結合が3,3’、3,4’、4,3’または4,4’の位置であり、Zが1〜6個のC1−8アルキル基、1〜8個のハロゲン原子、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせで任意に置換された芳香族C6−24単環式または多環式基である)を含む実施形態1〜2のいずれか1つ以上のワニス。
【0090】
実施形態4:Rが式(2)の二価の基であり、式(2)中、Qが−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−C2y−およびそのハロゲン化誘導体(yは、1〜5の整数)、または−(C10−(zは1〜4の整数)であり;Zが式(3)のジヒドロキシ化合物由来の基であり、式(3)中、RおよびRはそれぞれ独立してハロゲン原子または一価のC1−6アルキル基であり;pおよびqはそれぞれ独立して0〜4の整数であり;cは0〜4であり;Xは単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−C(O)−、またはC1−18有機架橋基である実施形態3のワニス。
【0091】
実施形態5:Rがそれぞれ独立してメタ−フェニレン、パラ−フェニレン、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせであり、Zが4,4’−ジフェニレンイソプロピリデンである実施形態4のワニス。
【0092】
実施形態6:ポリエーテルイミドが、式(9)の単位をさらに含むコポリマーであり、式中、R’はそれぞれ独立にC1−13一価ヒドロカルビル基であり、RはそれぞれC−C20ヒドロカルビル基であり、シロキサンのEは2〜50、5〜30、または10〜40であり、イミドのRおよびZは請求項3に記載のものであり、nは、5〜100の整数である実施形態2〜5のいずれか1つ以上のワニス。
【0093】
実施形態7:ポリエーテルイミドが、R基の少なくとも10モル%がスルホン基を含み、好ましくはRが4,4’−ジフェニレンスルホンであり、Zが4,4’−ジフェニレンイソプロピリデンであるエーテルイミド単位を含む実施形態2〜5のいずれか1つ以上のワニス。
【0094】
実施形態8:溶媒が極性の電子供与性溶媒である実施形態1〜7のいずれか1つ以上のワニス。
【0095】
実施形態9:溶媒の溶解度パラメータ値が8.5〜13である実施形態1〜8のいずれか1つ以上のワニス。
【0096】
実施形態10:溶媒の沸点が90℃超である実施形態1〜9のいずれか1つ以上のワニス。
【0097】
実施形態11:溶媒がクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クレゾール、ジメチルアセトアミド、ベラトロール、ピリジン、ニトロベンゼン、安息香酸メチル、ベンゾニトリル、アセトフェノン、n−ブチルアセテート、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、ジメチルスルホキシド、アニソール、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせである実施形態1〜10のいずれか1つ以上のワニス。
【0098】
実施形態12:無機微粒子組成物を0.5〜40wt%含み、無機微粒子組成物が、熱伝導度が45W/mK超である高熱伝導性充填剤、好ましくは窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミニウム酸窒化物、窒化ケイ素マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、グラファイト、膨張黒鉛、グラフェン、炭素繊維;熱伝導度が10〜45W/mKである熱伝導性充填剤、好ましくは硫化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン;熱伝導度が10W/mK未満である断熱充填剤、好ましくはタルク、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、酸化バリウム、ベーマイト、ギブサイト、硫酸バリウム、珪灰石、酸化ジルコニウム、シリカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、アルミン酸マグネシウム、ドロマイト、セラミックでコーティングしたグラファイト、クレイ;または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせの1つ以上を含む実施形態1〜11のいずれか1つ以上のワニス。
【0099】
実施形態13:ポリエーテルイミドを5〜45wt%、好ましくは10〜40wt%、より好ましくは15〜35wt%と;無機粒子状充填剤、好ましくは高熱伝導性充填剤を1〜40wt%、好ましくは5〜30wt%とを含み;溶媒が、溶解度パラメータ値が8.5〜13であり沸点が90℃超である極性の電子供与性溶媒である実施形態1〜12のいずれか1つ以上のワニス。
【0100】
実施形態14:熱硬化性ポリマー、好ましくはエポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシ、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせをさらに含む実施形態1〜13のいずれか1つ以上のワニス。
【0101】
実施形態15:ポリエーテルイミドの質量に対して、熱硬化性ポリマー組成物を30〜90wt%含む実施形態14のワニス。
【0102】
実施形態16:溶媒を除去し、熱硬化性組成物を硬化した後のワニスを含む試料において、硬化した熱硬化性組成物単独の試料と比較して、難燃性、靱性および銅からの剥離強度の少なくとも1つが向上している実施形態14〜15のいずれか1つ以上のワニス。
【0103】
実施形態17:ワニスが繊維状プリフォーム、好ましくはガラス織布、ガラス不織布または炭素織布上に配置され、ワニスでコーティングされているかまたはワニスが含浸されている実施形態1〜16のいずれか1つ以上のワニス。
【0104】
実施形態18:実施形態1〜17のいずれか1つ以上のワニスの製造方法であって、ワニスの成分を混合するステップと;ポリエーテルイミドを溶媒に溶解させるのに有効な温度および時間で、好ましくは溶媒の沸点より低い温度で、成分加熱するステップとを備える製造方法。
【0105】
実施形態19:実施形態1〜17のいずれか1つ以上のワニスから物品を製造する方法であって、ワニスから物品を形成するステップと;形成された物品から溶媒を除去するステップとを備える製造方法。
【0106】
実施形態20:物品が、繊維、層、等角のコーティング、キャスト物品、プリプレグ、または硬化した複合品の形態である実施形態19の方法。
【0107】
実施形態21:物品が層であり、ワニスを基材上へ注型して注型層を形成することによって形成され;注型層を加熱することによって、注型層を加熱下および圧力下で加熱することによって、または注型層を別の基材へラミネートすることによって、溶媒を除去する実施形態20の方法。
【0108】
実施形態22:物品が繊維状プリフォームをさらに含み、物品を形成するステップが、ワニスでプリフォームをコーティングするステップ、またはワニスをプリフォームに含浸するステップを備える実施形態19〜20のいずれか1つ以上の方法。
【0109】
実施形態23:物品が接着剤、包装材料、コンデンサフィルム、回路基板層、または強化複合品である実施形態19〜22のいずれか1つ以上の方法。
【0110】
実施形態24:銅張積層板の調製方法であって、加熱、圧力またはそれらの組み合わせの下で、実施形態20のポリエーテルイミド層を導電性金属回路層にラミネートするステップと;任意に、続いてまたは同時に、ポリエーテルイミド層を支持金属マトリックス層にラミネートするステップとを備え、支持金属マトリックス層が、導電性金属回路層と反対側のポリエーテルイミド層上に配置されている調製方法。
【0111】
実施形態25:金属コア銅張積層板の調製方法であって、加熱、圧力またはそれらの組み合わせの下で、実施形態20のポリエーテルイミド層を支持金属マトリックスにラミネートするステップと;続いてまたは同時に、ポリエーテルイミド層を導電性金属回路層にラミネートするステップとを備え、導電性金属回路層が、支持金属マトリックス層と反対側のポリエーテルイミド誘電層上に配置されている調製方法。
【0112】
実施形態26:ポリエーテルイミド層が、実施形態1〜17のいずれか1つ以上のワニスを基材上へ注型するステップと;注型層から溶媒を除去するステップとを備える方法によって調製される実施形態24〜25の1つ以上の方法。
【0113】
実施形態27:銅張積層板の調製方法であって、実施形態1〜17の1つ以上のワニスを導電性金属回路層上へ注型するステップと;溶媒を除去してポリエーテルイミド誘電層を得るステップと;任意に続いてポリエーテルイミド誘電層を導電性金属回路層にラミネートするステップとを備え、導電性金属回路層が、支持金属マトリックス層と反対側のポリエーテルイミド誘電層上に配置されている調製方法。
【0114】
実施形態28:支持金属マトリックス層がアルミニウム、銅、鉄、またはスチールを含む実施形態24〜27のいずれか1つ以上の方法。
【0115】
実施形態29:ポリエーテルイミド層が、ガラス織布またはガラス不織布をさらに含む実施形態24〜28のいずれか1つ以上の方法。
【0116】
実施形態30:実施形態1〜13のいずれか1つ以上のワニスをガラス織布に含浸するステップと;含浸したガラス織布から溶媒を除去するステップとを備える方法によって、ポリエーテルイミド層が調製される実施形態29の方法。
【0117】
実施形態31:実施形態24〜30のいずれか1つ以上の方法によって調製される銅張積層板。
【0118】
実施形態32:ポリエーテルイミド層が、熱硬化性ポリマー、好ましくはエポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシ、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせをさらに含む実施形態29〜30のいずれか1つ以上の方法。
【0119】
実施形態33:熱硬化性ポリマーが、ラミネートする前に硬化されないか、または部分的に硬化される実施形態29〜30のいずれか1つ以上の方法。
【0120】
実施形態34:熱硬化性ポリマーが、溶媒の除去中、溶媒の除去後、またはそれら両方において部分的に硬化される実施形態33の方法。
【0121】
実施形態35:熱硬化性ポリマーを、ラミネートする間またはラミネートした後またはそれら両方において完全に硬化するステップをさらに備える請求項33の方法。
【0122】
実施形態36:熱硬化性ポリマーがラミネートする前に完全に硬化される実施形態29〜30のいずれか1つ以上の方法。
【0123】
実施形態37:熱硬化性ポリマーが、溶媒の除去中、溶媒の除去後、またはそれら両方において完全に硬化される実施形態36の方法。
【0124】
実施形態38:溶媒を除去し、熱硬化性ポリマーを完全に硬化した後、硬化した熱硬化性ポリマー単独と比較して、ポリエーテルイミド層の難燃性、靱性および銅からの剥離強度の少なくとも1つが向上している実施形態29〜37のいずれか1つ以上の方法。
【0125】
実施形態39:実施形態32〜38のいずれか1つ以上の熱硬化性方法によって調製される銅張積層板。
【0126】
実施形態40:導電性金属回路層にパターン形成してプリント回路板を得るステップをさらに含む実施形態24〜39のいずれか1つ以上の方法。
【0127】
実施形態41:金属コア銅張積層板を成形するステップをさらに含み、プリント回路板が金属コアプリント回路板であり、シート、管、またはロッドの形状である実施形態40の方法。
【0128】
実施形態42:実施形態24〜41のいずれか1つ以上の方法によって調製され、熱伝導度が0.3W/m−K超である金属コア銅張積層板。
【0129】
実施形態43:プリント回路板が、LED照明用途または太陽エネルギー用途に使用される実施形態40〜41の方法。
【0130】
実施形態44:プリント回路板が、テレビ、携帯電話、またはラップトップコンピューターに使用される実施形態40〜41の方法。
【0131】
実施形態45:複合材の製造方法であって、実施形態1〜17のいずれか1つ以上のワニスを多孔質基材に含浸するステップと;含浸した多孔質基材から溶媒を除去するステップとを備える製造方法。
【0132】
実施形態46:加熱することによって、圧縮することによって、または加熱し、圧縮することによって溶媒を除去する実施形態45の方法。
【0133】
実施形態47:多孔質基材が、セラミック、ポリマー、ガラス、炭素、またはそれらの組み合わせを含む実施形態45〜46のいずれか1つ以上の方法。
【0134】
実施形態48:実施形態45〜47のいずれか1つ以上の方法によって形成される複合材であって、多孔質基材が、ガラス織布、ガラス不織布、繊維ガラス織布または炭素繊維を含む繊維状プリフォームであり;繊維状プリフォームが、ワニスでコーティングされているか、または含浸されている複合材。
【0135】
実施形態49:実施形態48の複合材を含む物品であって、プリプレグ、シート、繊維、ワイヤコーティング、成形物品または圧縮物品である物品。
【0136】
実施形態50:多層物品の製造方法であって、実施形態1〜17のいずれか1つ以上のワニスを含む層を基材上に形成するステップと;層から溶媒を除去してプライマー層を得るステップと;セラミック、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーまたは前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせを含む第2の層をプライマー層上に形成して多層物品を得るステップと;任意に、多層物品を熱処理して熱硬化性ポリマーを硬化するステップを備える製造方法。
【0137】
実施形態51:加熱することによって、圧縮することによって、または加熱し、圧縮することによって溶媒を除去する実施形態50の方法。
【0138】
実施形態52:第2の層が実施形態1〜17のいずれか1つ以上のワニスをさらに含み、層を形成するステップが、第2の層から溶媒を除去するステップをさらに備える実施形態50または51の方法。
【0139】
実施形態53:加熱することによって、圧縮することによって、または加熱し、圧縮することによって、第2の層の溶媒を除去する実施形態52の方法。
【0140】
実施形態54:セラミックがAl、TiO、ZrO、Cr、SiO、MgO、BeO;Y、Al−SiO、MgO−ZrO、SiC、WC、BC、TiC、Si、TiN、BN、AlN、TiB、ZrBまたは前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせである実施形態50〜53のいずれか1つ以上の方法。
【0141】
実施形態55:熱可塑性ポリマーが、フッ素ポリマー、より好ましくはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー、ポリビニリデンフッ化物、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせである実施形態50〜53のいずれか1つ以上の方法。
【0142】
実施形態56:熱硬化性ポリマー組成物が、エポキシ、シアン酸エステル、フェノールノボラックエポキシ、または前記したものの少なくとも1つを含む組み合わせである実施形態50〜53のいずれか1つ以上の方法。
【0143】
一般に、組成物、方法、および物品は、選択的に、本明細書に開示されるいずれの適切な成分またはステップを含み得るか、それらの成分またはステップからなり得るか、それらの成分またはステップから本質的になり得る。組成物、方法および物品は、さらに、または選択的に、先行技術の組成物で使用されているか、または本願の特許請求の範囲の機能および/または目的の達成に必要ではない構成要素、材料、成分、補助剤または種のいずれも欠くか、実質的に含まないように処方され得る。
【0144】
本明細書に開示されるすべての範囲は端点を含み、端点は互いに独立して組み合わせ可能である。「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含有する。「第1の」「第2の」などの用語は、順番、量、または重要性を示すものではなく、ある要素を別の要素と区別するために用いられる。用語「a」、「an」および「the」は、本明細書において別段の記載があるか、または、文脈により明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈すべきである。「または」は、別段の記載がない限り、「および/または」を意味する。明細書全体にわたって、「一部の実施形態」、「ある実施形態」などは、該実施形態に関連して記載された特定の要素が、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に含まれており、他の実施形態には含まれていても含まれていなくてもよいことを意味する。さらに、記載された要素(類)は、種々の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせられ得るものと理解されるべきである。
【0145】
「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、n−およびs−ヘキシル、n−ヘプチル、s−ヘプチル、n−オクチルおよびs−オクチルなどの、分岐鎖または直鎖の、不飽和脂肪族C1−30炭化水素基を含む。「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖の一価炭化水素基(例えば、エテニル−(−HC=CH))を意味する。「アルコキシ」は、例えば、メトキシ、エトキシおよびsec−ブチルオキシ基などの、酸素経由で結合したアルキル基(すなわち、アルキル−O−)を意味する。「アルキレン」は、直鎖または分岐鎖の飽和二価脂肪族炭化水素基(例えば、メチレン(−CH−)または、プロピレン(−(CH−))を意味する。「シクロアルキレン」は、二価環式アルキレン基、−C2n−x(式中、xは、環化で置換された水素の数)を意味する。「シクロアルケニル」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する環(環員がすべて炭素である)を1つ以上有する一価の基(例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)を意味する。「アリール」は、フェニル、トロポン、インダニル、またはナフチルなどの、特定の数の炭素原子を含有する芳香族炭化水素基を意味する。接頭辞「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード置換基を1つ以上含む基または化合物を意味する。異なるハロ基の組み合わせ(例えば、ブロモとフルオロ)、またはクロロ基だけが存在できる。接頭辞「ヘテロ」は、化合物または基が、ヘテロ原子(例えば、1、2、または3個のヘテロ原子。ヘテロ原子はそれぞれ独立にN、O、S、またはP)である環員を少なくとも1つ含むことを意味する。「置換」は、置換される原子の正常な原子価を超過しないことを条件に、水素に代わって、C1−9アルコキシ、C1−9ハロアルコキシ、ニトロ(−NO)、シアノ(−CN)、C1−6アルキルスルホニル(−S(=O)−アルキル)、C6−12アリールスルホニル(−S(=O)−アリール)aチオール(−SH)、チオシアノ(−SCN)、トシル(CHSO−)、C3−12シクロアルキル、C2−12アルケニル、C5−12シクロアルケニル、C6−12アリール、C7−13アリールアルキレン、C4−12ヘテロシクロアルキル、およびC3−12ヘテロアリールから独立して選択される少なくとも1個(例えば、1、2、3または4個)の置換基で化合物または基が置換されることを意味する。
【0146】
すべての参考文献が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0147】
特定の実施形態について説明したが、現在予測されないか、予測できない代替手段、改変、バリエーション、改良、および実質的な等価物が出願人らまたは他の当業者であれば思い付く可能性がある。したがって、出願時および補正し得る添付の特許請求の範囲は、そのような代替手段、改変、バリエーション、改良、および実質的な等価物のすべてを包含するものである。
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