(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステップ(i)において、前記リグノセルロース系材料が、(a)酸のみによって、(b)アルカリのみによって、(c)酸、及び次いでアルカリによって連続的に、又は(d)アルカリ、及び次いで酸によって連続的に処理される、請求項1に記載の方法。
前記アルカリが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アルカリ金属塩及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
ステップ(i)が、前記リグノセルロース系材料の中、及び前記リグノセルロース系材料の上のうちの少なくとも一方に、前記酸及びアルカリのうちの少なくとも一方を蒸気含浸するステップを含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
(i)前記リグノセルロース系材料の約0.1重量%〜約5重量%の量の前記酸、及び(ii)前記リグノセルロース系材料の約0.1重量%〜約15重量%の量の前記アルカリのうちの少なくとも一方が存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
ステップ(i)が、前記酸及びアルカリのうちの少なくとも一方による処理の後、ステップ(ii)の開始前に前記酸及びアルカリのうちの少なくとも一方を少なくとも部分的に除去するために、前記リグノセルロース系材料を洗浄するステップをさらに含んでなる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法に従って製造された変性セルロース系材料を処理して、紙ベースの製品を製造するステップを含む、紙ベースの製品を製造する方法。
前記変性セルロース系材料を処理する前記ステップが、その少なくとも一部において、前記変性セルロース系材料を、充てん剤、サイジング剤、漂白剤、漂白添加剤、金属イオン封鎖剤、湿潤強度添加剤、乾燥強度添加剤、光学的増白剤、着色剤、保持剤、コーティングバインダー及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される1種以上の薬剤と接触させることによって実行される、請求項18に記載の方法。
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法に従って製造された変性セルロース系材料を処理して、セルロース誘導体を製造するステップを含む、セルロース誘導体を製造する方法。
前記セルロースエーテルが、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
前記変性セルロース系材料を処理する前記ステップが、前記変性セルロース系材料を、クロロメタン、クロロエタン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、クロロ酢酸及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される1種以上の薬剤と接触させて、それにより前記セルロースエーテルを製造するステップを含む、請求項22に記載の方法。
前記セルロースエステルが、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローススルフェート、セルロースニトレート及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
前記変性セルロース系材料を処理する前記ステップが、前記変性セルロース系材料を、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、酪酸、硝酸、硫酸及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される1種以上の薬剤と接触させて、それにより前記セルロースエステルを製造するステップを含む、請求項24に記載の方法。
前記変性セルロース系材料を処理する前記ステップが、前記変性セルロース系材料を、酸及び/又はアルカリと接触させて、それにより微晶質セルロースを製造するステップを含む、請求項21に記載の方法。
前記変性セルロース系材料を処理する前記ステップが、前記変性セルロース系材料を、水酸化ナトリウム、二硫化炭素及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される1種以上の薬剤と接触させて、それによりビスコースを製造するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高い費用に加えて、市販の亜硫酸パルプの供給が減少している。したがって、これらのパルプは非常に高価であり、かつ例えば、パルプ及び紙用途において適用性が限定されており、そこでは、より高純度又はより高粘度のパルプが必要とされ得る。セルロース誘導体製造業者にとって、これらのパルプは、その全体的な製造費用の大部分を構成する。したがって、製造が比較的高価ではなく、なお非常に多目的に利用でき、紙ベースの製品及び/又はセルロース誘導体の製造などの様々な下流用途においてその使用が可能であるセルロース系材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、部分的に、リグノセルロース系材料を、酸及び/又はアルカリ、かつ次いで
ポリオール、特にグリセロールで連続的に処理することによって、変性セルロース系材料であって、それが紙ベース製品製造用の繊維パルプとして有用となり得る繊維パルプ特性を保持する変性セルロース系材料が得られるという驚くべき発見に基づくものである。さらに又は代わりに、このセルロース系材料は、CMCなどのセルロース誘導体の製造に対して修正可能であり得る。
【0007】
第1の態様において、本発明は、
(i)リグノセルロース系材料を酸及び/又はアルカリで処理するステップと;
(ii)ステップ(i)のリグノセルロース系材料を、ポリオールを含んでなるか、それからなるか、又はそれから本質的になる薬剤で処理するステップと
を含み、それによって、変性セルロース系材料を製造する、変性セルロース系材料を製造する方法を提供する。
【0008】
特定の実施形態において、ステップ(i)において、リグノセルロース系材料は、(a)酸のみによって、(b)アルカリのみによって、(c)酸、及び次いでアルカリによって連続的に、又は(d)アルカリ、及び次いで酸によって連続的に処理される。
【0009】
適切には、酸は、硫酸、塩酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、硝酸、酸金属塩及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。
好適には、酸は硫酸である。
【0010】
適切には、アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アルカリ金属塩及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。
好適には、アルカリは水酸化ナトリウムである。
【0011】
好適な実施形態において、ステップ(i)は、リグノセルロース系材料中に、及び/又はリグノセルロース系材料上に、酸及び/又はアルカリを蒸気含浸するステップを含む。
好適な実施形態において、酸は、リグノセルロース系材料の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0012】
好適な実施形態において、アルカリは、リグノセルロース系材料の約0.1重量%〜約15重量%の量で存在する。
適切には、ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。
【0013】
好適には、ポリオールはグリセロールである。
一実施形態において、グリセロールは、粗製グリセロールであるか、又はそれを含んでなる。
【0014】
適切には、ステップ(i)は、約20℃〜約99℃、又は好適には、約25℃〜約75℃の温度で実行される。
適切には、ステップ(ii)は、約120℃〜約200℃の温度で実行される。
【0015】
好適には、ステップ(ii)は、約160℃の温度で実行される。
適切には、ステップ(i)は、約5分〜約30分の時間で実行される。
適切には、ステップ(ii)は、約15分〜約60分の時間で実行される。
【0016】
好適には、ステップ(ii)は、約30分の時間で実行される。
特定の実施形態において、ステップ(i)は、酸及び/又はアルカリによる処理の後、ステップ(ii)の開始前に酸及び/又はアルカリを少なくとも部分的に除去するために
、リグノセルロース系材料を洗浄するステップをさらに含んでなる。
【0017】
適切には、ポリオールは、リグノセルロース系材料の約10重量%〜約200重量%の量で存在する。
第2の態様において、本発明は、第1の態様の方法によって製造された変性セルロース系材料を提供する。
【0018】
一実施形態において、変性セルロース系材料は、処理から得られる固体材料の乾燥重量で約50%〜約60%のセルロース収率を有する。
一実施形態において、変性セルロース系材料は、約50〜約150のカッパ価を有する。
【0019】
一実施形態において、変性セルロース系材料は、約5〜約35mPaの溶液粘度を有する。
第3の態様において、本発明は、第1の態様の方法に従って製造された変性セルロース系材料を処理して、それにより紙ベースの製品を製造するステップを含む、紙ベースの製品を製造する方法を提供する。
【0020】
特定の実施形態において、変性セルロース系材料を処理するステップは、その少なくとも一部において、変性セルロース系材料を、充てん剤、サイジング剤、漂白剤、漂白添加剤、金属イオン封鎖剤、湿潤強度添加剤、乾燥強度添加剤、光学的増白剤、着色剤、保持剤、コーティングバインダー及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される1種以上の薬剤と接触させることによって実行される。
【0021】
第4の態様において、本発明は、第1の態様の方法に従って製造された変性セルロース系材料を処理して、それによりセルロース誘導体を製造するステップを含む、セルロース誘導体を製造する方法を提供する。
【0022】
特定の実施形態において、セルロース誘導体は、セルロースエーテル、セルロースエステル、ビスコース及び微晶質セルロースからなる群から選択される。
一実施形態において、セルロース誘導体は、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択されるセルロースエーテルであるか、又はそれを含んでなる。
【0023】
セルロース誘導体がセルロースエーテルであるか、又はそれを含んでなる一実施形態において、変性セルロース系材料を処理するステップは、変性セルロース系材料を、クロロメタン、クロロエタン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、クロロ酢酸及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される1種以上の薬剤と接触させて、それによりセルロースエーテルを製造するステップを含む。
【0024】
一実施形態において、セルロース誘導体は、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローススルフェート及びセルロースニトレートからなる群から選択されるセルロースエステルであるか、又はそれを含んでなる。
【0025】
セルロース誘導体がセルロースエステルであるか、又はそれを含んでなる一実施形態において、変性セルロース系材料を処理するステップは、変性セルロース系材料を、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、酪酸、硝酸、硫酸及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される1種以上の薬剤と接触させて、それによりセルロースエステルを製造するス
テップを含む。
【0026】
セルロース誘導体が微晶質セルロースであるか、又はそれを含んでなる一実施形態において、変性セルロース系材料を処理するステップは、変性セルロース系材料を、酸及び/又はアルカリと接触させて、それにより微晶質セルロースを製造するステップを含む。
【0027】
セルロース誘導体がビスコースであるか、又はそれを含んでなる一実施形態において、変性セルロース系材料を処理するステップは、変性セルロース系材料を、水酸化ナトリウム及び二硫化炭素からなる群から選択される1種以上の薬剤と接触させて、それによりビスコースを製造するステップを含む。
【0028】
第5の態様において、本発明は、リグノセルロース系材料を、ポリオールを含んでなるか、それからなるか、又はそれから本質的になる薬剤で処理するための消化チャンバーと連通している、リグノセルロース系材料を酸及び/又はアルカリで処理するための処理チャンバーを含んでなる、変性セルロース系材料を製造する装置を提供する。
【0029】
適切には、処理チャンバーは、リグノセルロース系材料を酸及び/又はアルカリで含浸させることができる。
特定の実施形態において、この装置は、リグノセルロース系材料を浸潤及び/又は予熱するためなど、リグノセルロース系材料を蒸気処理することができる前処理チャンバーをさらに含んでなる。
【0030】
いくつかの実施形態において、この装置は、液体フラクションから変性セルロース系材料をその少なくとも一部において分離するための分離器をさらに含んでなる。
適切には、この装置は、第1の態様の方法における使用に適切である。
【0031】
本明細書を通して、他に明記されない限り、「含んでなる(comprise)」、「含んでなる(comprises)」及び「からなる」は、排他的ではなく包括的に使用され、そのため、明記された整数又は整数の群は、1つ以上の他の明記されていない整数又は整数の群を含む。「から本質的になる」という句は、明記された整数又は整数の群が必要とされるか、又は義務的であるが、明記された整数又は整数の群の活性又は作用を妨害しないか、又はそれに寄与しない他の要素は任意であることを示す。
【0032】
不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、単数不定冠詞として解釈されず、又は2つ以上又は不定冠詞が指す単一の主題より多くを排除するものとして解釈されない。例えば、「1つの」タンパク質は、1種のタンパク質、1種以上のタンパク質又は複数のタンパク質を含む。
【0033】
例としてのみ、添付の図面を参照にして、以下に本発明の実施形態をより詳細に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、部分的に、ボール紙などの紙ベースの製品及び/又はセルロース誘導体を製造するために下流用途において使用され得る変性セルロース系材料を製造する新規方法の特定から生じる。特に、これらの新規方法では、製造が比較的高価ではなく、なお非常に多目的に利用でき、様々な下流用途においてその使用が可能であるセルロースパルプ又は繊維を製造するためのリグノセルロース系材料の改善された処理が提供される。さらに、本明細書に記載の方法は、典型的に、より低いインプット費用を有し、かつ当該技術分野において以前に記載されたものよりも効率的である。
【0036】
したがって、本明細書に開示されるプロセスは、迅速に変性セルロース系材料を製造する方法を提供し、これは、次いで未加工の再生可能バイオベース製品を製造するベースとして使用することができる、有用な下流製品へとバイオマスを変換する経済的側面のために重要である。本明細書に開示されたプロセスは、有意な消化時間を節約することができる。プロセスの重要な特徴としては、単段連続プロセス、短いレゾナンス時間、低い温度及び低い圧力、低費用のリサイクル可能な薬剤、拡大縮小可能であり、かつ有効な処理の実行、ならびに非木質及び木質工業原料の両方に適切であることが含まれる。
【0037】
一態様において、本発明は、
(i)リグノセルロース系材料を酸及び/又はアルカリで処理するステップと;
(ii)ステップ(i)のリグノセルロース系材料を、ポリオールを含んでなるか、それからなるか、又はそれから本質的になる薬剤で処理するステップと
を含み、それによって、変性セルロース系材料を製造する、変性セルロース系材料を製造する方法を提供する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「変性セルロース系材料」は、本開示に従って処理された(例えば、加水分解された、コックされた(cooked)などの)リグノセルロース系材料の処理から得られる材料を意味する。
【0039】
「リグノセルロース系」又は「リグノセルロース」という用語は、本明細書で使用される場合、リグニン及び/又はセルロースを含んでなる材料を意味する。リグノセルロース系材料は、ヘミセルロース、キシラン、タンパク質、脂質、炭水化物、例えば、デンプン及び/もしくは糖、又はそれらのいずれかの組合せなども含んでなることができる。リグノセルロース系材料は、生きている植物又は以前に生きていた植物材料(例えば、リグノセルロース系バイオマス)から誘導することができる。「バイオマス」は、本明細書で使用される場合、いずれのリグノセルロース系材料も意味し、エネルギー源として使用することができる。
【0040】
セルロース系材料の供給源は、セルロース繊維の特徴を規定し得、したがって、特定の最終用途に関する繊維の適用性を規定し得る。この点に関して、リグノセルロース系材料(例えば、リグノセルロース系バイオマス)は、単一材料又は材料の組合せから誘導可能であり、かつ/又は未変性及び/もしくは変性可能である。リグノセルロース系材料は、トランスジェニック(すなわち、遺伝子組換え型)であることができる。リグノセルロースは、一般に、例えば、植物の繊維、パルプ、茎(stems)、葉、外皮(hulls)、茎(canes)、外皮(husks)及び/もしくは穂軸(cobs)、又は木もしくは低木の繊維、葉、枝、樹皮及び/もしくは木質において見出される。リグノセルロース系材料の例としては、限定されないが、農業バイオマス、例えば、農業及び/又は林業材料及び/又は残渣、枝、低木、茎、森林、穀物、草、短期輪作木質作物、草質茎作物及び/又は葉物;エネルギー作物、例えば、トウモロコシ、キビ及び/又は大豆;エネルギー作物残渣;ペーパミル残渣;製材所残渣;地方自治体の紙廃物;果樹園剪定;低木の茂み;木屑;木片、伐採廃棄物;森林間引;短期輪作木質作物;サトウキビバガス及び/
又はモロコシバガスなどのバガス、ウキクサ;小麦わら;オート麦わら;米わら;大麦わら;ライ麦わら;生茎;大豆殻;もみ殻;米わら;タバコ;トウモロコシグルテン供給物;オート麦殻;トウモロコシカーネル;カーネルからの繊維;トウモロコシわら;トウモロコシ茎;トウモロコシ穂軸;トウモロコシ外皮;キャノーラ;ススキ;エネルギー茎;大草原の草;ガマグラス;フォックステール;サトウダイコンパルプ;柑橘系果物のパルプ;種子外皮;芝生刈り込み;綿、海草;木;潅木;小麦;小麦わら;穀物の湿潤又は乾燥ミルからの製品又は副産物;草木ゴミ;植物及び/又は木廃棄物;草質茎材料及び/又は作物;森林;果物;花;針状葉;丸太;根;苗木;潅木;スイッチグラス;野菜;果物皮;つる;小麦ミドリング;オート麦外皮;硬質及び軟質木材;あるいはそれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0041】
本発明に関して、リグノセルロース系材料は、紙パルプ化設備、木伐採事業、サトウキビ工場又はそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される加工業者によって処理されてよい。
【0042】
適切には、本明細書に記載の方法で使用されるリグノセルロース系材料は、軟質木材繊維、硬質木材繊維、芝生繊維及び/又はそれらの混合物から誘導される。
一実施形態において、リグノセルロース系材料は、一年草であるか、又はそれを含んでなる。
【0043】
一実施形態において、リグノセルロース系材料は、ユーカリノキ(Eucalyptus globulus)又はユーカリプタス・ニタンス(Eucalyptus nitans)からの木片、材料及び/又は残渣を含んでなる。
【0044】
当業者は、リグノセルロース系材料の処理は、部分的な加水分離を含む、その加水分離を生じ得ることを認識するであろう。
「加水分解」は、リグノセルロース系材料を一緒に保持する化学結合の分裂又は切断を意味する。例えば、加水分離には、限定されないが、糖類(すなわち、糖)を一緒に連結するグリコシド結合の切断又は分裂が含まれ、これは糖化としても知られている。リグノセルロース系材料は、いくつかの実施形態において、セルロース及び/又はヘミセルロースを含んでなることができる。セルロースは、多糖類のグルカンである。多糖類は、グリコシド結合によって一緒に連結された糖類(例えば、単糖類又は二糖類)の繰り返し単位から構成される重合体化合物である。糖類の繰り返し単位は、同一であり(すなわち均質であり)、ホモ多糖類が得られることが可能であるか、又は異なり(すなわち不均質であり)、ヘテロ多糖類が得られることが可能である。セルロースは加水分解を受けて、セロデキストリン(すなわち、加水分離反応前の多糖体単位と比較して、より短い多糖類単位)及び/又はグルコース(すなわち、単糖類)を形成することができる。ヘミセルロースはヘテロ多糖類であり、限定されないが、キシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、グルコマンナン及びキシログルカンを含む多糖類を含むことができる。ヘミセルロースは加水分解を受けて、より短い多糖類単位及び/又は単糖類を形成することができ、これらとしては、限定されないが、ペントース糖、キシロース、マンノース、グルコース、ガラクトース、ラムノース、アラビノース又はそれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0045】
一実施形態において、本発明の方法は、リグノセルロース系材料を部分的に加水分解する。「部分的な加水分解」又は「部分的加水分解」及びそれらのいずれかの文法的な変形は、本明細書で使用される場合、リグノセルロース系材料を一緒に保持する化学結合の100%未満を分裂又は切断する加水分解反応を意味する。
【0046】
本発明の他の実施形態において、加水分解反応は、リグノセルロース系材料に存在するセルロース及び/又はヘミセルロースのグリコシド結合の100%未満を分裂又は切断す
る。いくつかの実施形態において、部分的な加水分解反応は、セルロースの約20%、15%、10%又は5%をグルコースへと変換することができる。本発明のさらなる実施形態において、部分的な加水分解反応は、ヘミセルロースの約20%、15%、10%又は5%を単糖類へと変換することができる。単糖類の例としては、限定されないが、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、ラムノース及びアラビノースが含まれる。加えて、部分的な加水分解反応は、本明細書に記載の方法で処理される前のリグノセルロース系材料に存在するグルカンの量と比較して、変性セルロース系材料に存在するグルカンの約80%、85%、90%又は95%より多い回収をもたらし得る。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、部分的な加水分解反応は、本明細書に記載の方法で処理される前のリグノセルロース系材料に存在するキシランの量と比較して、変性セルロース系材料に存在するキシランの約40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%又は5%より多い回収をもたらすことができる。
【0048】
当業者によって容易に理解されるであろう通り、本明細書に記載される方法は、リグノセルロース系材料に存在するリグニンを分解及び/又は除去し得る。リグニンは、リグノセルロース系材料を一緒に保持する化学結合の加水分解によって、リグノセルロース系材料から除去され得る。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、この方法によって、本方法で処理される前のリグノセルロース系材料に存在するリグニンの量と比較して、変性セルロース系材料中のリグニンの約80%以下(例えば、約80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%など)又はそのうちのいずれかの範囲の除去がもたらされる。いくつかの実施形態において、この方法によって、本態様の方法で処理される前のリグノセルロース系材料に存在するリグニンの量と比較して、変性セルロース系材料中のリグニンの約20%以上(例えば、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%など)又はそのうちのいずれかの範囲の除去がもたらされる。
【0049】
さらに、本明細書に記載の方法は、リグノセルロース系材料の構造に影響を及ぼし得る。例えば、この方法は、リグノセルロース系材料中の繊維の分離をもたらし得、リグノセルロース系材料の気孔率を増加し得、リグノセルロース系材料の比表面積を増加し得、又はそれらのいずれかの組合せが生じ得る。いくつかの実施形態において、この方法は、例えば、結晶状態から非晶状態へとセルロースの一部を変換することによって、セルロース構造の結晶度を低下させる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「処理する」又は「処理」は、例えば、接触、浸漬、蒸気含浸、噴霧、懸濁、含浸、飽和、ディップ、湿潤、リンス、洗浄、沈没及び/又はそれらのいずれかの変形及び/又は組合せを意味し得る。
【0051】
適切には、ステップ(i)に関して、リグノセルロース系材料は酸で処理される。
当業者は、本明細書で使用される場合、「酸」という用語が、アルカリと反応して塩を形成することができる7未満のpHを有する様々な水溶性化合物を意味することを容易に理解するであろう。酸の例は、一プロトン性又は多プロトン性であることが可能であり、かつ1個、2個、3個又はそれを超える官能基を含んでなることができる。酸の例としては、限定されないが、鉱酸、ルイス酸、酸金属塩、有機酸、固体酸、無機酸又はそれらの組合せが含まれる。特定の酸としては、限定されないが、塩酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート、スカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホネート、チタン(IV)イソプロポキシド、塩化スズ(IV)、臭化亜鉛(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化亜鉛(II)、塩化銅(I)、臭化銅(
I)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、塩化アルミニウム、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、塩化バナジウム(III)、塩化モリブデン(III)、塩化パラジウム(II)、塩化プラチナ(II)、塩化プラチナ(IV)、塩化ルテニウム(III)、塩化ロジウム(III)、ゼオライト、活性化ゼオライト又はそれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0052】
好適には、酸は、硫酸、塩酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、硝酸、酸金属塩及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。
さらにいっそう好適には、酸は硫酸である。
【0053】
適切には、ステップ(i)に関して、リグノセルロース系材料はアルカリ処理される。
当業者によって容易に理解されるであろう通り、本明細書で使用される場合、「アルカリ」は、酸と反応して塩を形成することができる7より高いpHを有する様々な水溶性化合物を意味する。例として、アルカリには、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム及びアルカリ金属塩、例えば、限定されないが、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムが含まれる。
【0054】
好適には、アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アルカリ金属塩及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。
さらにいっそう好適には、アルカリは水酸化ナトリウムである。
【0055】
特定の実施形態において、ステップ(i)において、リグノセルロース系材料は、(a)酸のみによって、(b)アルカリのみによって、(c)酸、及び次いでアルカリによって連続的に、又は(d)アルカリ、及び次いで酸によって連続的に処理される。
【0056】
特に好適な実施形態において、ステップ(i)は、リグノセルロース系材料中に、及び/又はリグノセルロース系材料上に、酸及び/又はアルカリを蒸気含浸するステップを含む。いくつかの実施形態において、リグノセルロース系材料は、最初に、酸及び/又はアルカリを蒸気含浸するステップの前に、それが蒸気によって湿潤及び予熱されるように、事前に蒸気で処理される。この点に関して、事前に蒸気で処理するステップによって、典型的に、木片中の毛管などのリグノセルロース系材料中の空洞を生じ、これには少なくとも部分的に液体が満たされる。蒸気処理は、さらに、リグノセルロース系材料中の空気を膨張させて、かつ少なくとも部分的にそれから排出させ得る。事前に蒸気処理されたリグノセルロース系材料のその後の蒸気含浸によって、次いで、リグノセルロース系材料の空洞内の液体が酸及び/又はアルカリによって置き換えられるという結果がもたらされ得る。あるいは、酸及び/又はアルカリの蒸気含浸は、最初にリグノセルロース系材料を事前に蒸気処理することなく実行されてもよい。
【0057】
他の実施形態において、リグノセルロース系材料は、ステップ(i)で1種以上の酸及び/又はアルカリで処理されてもよい。例えば、リグノセルロース系材料は、1種、2種、3種、4種、5種又はそれを超える酸及び/又はアルカリで処理されてもよい。
【0058】
ステップ(i)に関して、酸は、リグノセルロース系材料の約0.1重量%〜5重量%又はそのうちのいずれかの範囲、例えば、限定されないが、約0.3重量%〜約3重量%、又は約0.5重量%〜約1重量%の量で存在し得る。本発明の特定の実施形態において、酸及び/又はアルカリは、ステップ(i)において、リグノセルロース系材料の約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.25重量%、1.5重量%、1.75重量%、2重量%、2.25重量%、2.5重量%、2.75重量%、3重量%、3.25重量%、3.5重量%、3.75重量%、4重量%、4.25重量%、4.
5重量%、4.75重量%、5重量%又はそのうちのいずれかの範囲の量で存在する。本発明の特定の実施形態において、酸及び/又はアルカリは、ステップ(i)において、リグノセルロース系材料の約0.5重量%〜約2重量%の量で存在する。
【0059】
ステップ(i)に関して、アルカリは、リグノセルロース系材料の約0.1重量%〜15重量%又はそのうちのいずれかの範囲、例えば、限定されないが、約0.3重量%〜約13重量%、又は約1重量%〜約10重量%の量で存在し得る。本発明の特定の実施形態において、酸及び/又はアルカリは、ステップ(i)において、リグノセルロース系材料の約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.25重量%、1.5重量%、1.75重量%、2重量%、2.25重量%、2.5重量%、2.75重量%、3重量%、3.25重量%、3.5重量%、3.75重量%、4重量%、4.25重量%、4.5重量%、4.75重量%、5重量%、5.25重量%、5.5重量%、5.75重量%、6重量%、6.25重量%、6.5重量%、6.75重量%、7重量%、7.25重量%、7.5重量%、7.75重量%、8重量%、8.25重量%、8.5重量%、8.75重量%、9重量%、9.25重量%、9.5重量%、9.75重量%、10重量%、10.25重量%、10.5重量%、10.75重量%、11重量%、11.25重量%、11.5重量%、11.75重量%、12重量%、12.25重量%、12.5重量%、12.75重量%、13重量%、13.25重量%、13.5重量%、13.75重量%、14重量%、14.25重量%、14.5重量%、14.75重量%、15重量%又はそのうちのいずれかの範囲の量で存在する。本発明の特定の実施形態において、アルカリは、ステップ(i)において、リグノセルロース系材料の約5重量%〜約15重量%の量で存在する。
【0060】
特定の実施形態において、ステップ(i)は、酸及び/又はアルカリによる処理の後、ステップ(ii)の開始前に酸及び/又はアルカリを少なくとも部分的に除去するために、リグノセルロース系材料を洗浄するステップをさらに含んでなる。
【0061】
この点に関して、洗浄は、洗浄溶液及び/又は水で実行されてよい。リグノセルロース系材料は、1回以上、例えば、2回、3回、4回又はそれを超える回数にわたって水及び/又は洗浄溶液で洗浄されてよい。好適には、リグノセルロース系材料がステップ(i)において酸で処理された場合、それは次いで、アルカリ性洗浄溶液(すなわち、pHが7より高いもの)及び/又は水でその後洗浄される。好適には、リグノセルロース系材料がステップ(i)においてアルカリで処理された場合、それは次いで、酸性洗浄溶液(すなわち、pHが7より低いもの)及び/又は水でその後洗浄される。加えて、リグノセルロース系材料は、ステップ(i)において酸又はアルカリで処理された後、1回以上にわたって水で洗浄されてもよく、次いで、リグノセルロース系材料は、それぞれ、アルカリ性又は酸性洗浄溶液で1回以上洗浄され、続いて任意選択的に、リグノセルロース系材料を水で1回以上にわたって再度洗浄する。1回以上の水及び/又は洗浄溶液による洗浄の後、本明細書に記載の方法のステップ(ii)において薬剤で処理する前に、限定されないが、真空ろ過、膜ろ過、ふるいろ過、部分的もしくは粗ろ過、又はそれらのいずれかの組合せなどの方法によって、リグノセルロース系材料を水及び/又は洗浄溶液から分離することができる。
【0062】
「ポリオール」という用語は、本明細書で使用される場合、複数のヒドロキシル基を含有するアルコールを意味する。本発明のポリオールの例としては、限定されないが、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセロール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタ
ンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、1,1,1−トリメチルメタン、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,7−ヘプタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,11−ウンデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、オリゴエチレングリコール、2,2’−チオジグリコール、1,2−プロピレンオキシドから調製したジグリコール又はポリグリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ソルビトール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、テトラブチレングリコール、ジヘキシレンエーテルグリコール、トリヘキシレンエーテルグリコール、テトラヘキシレンエーテルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、又はそれらのいずれかの組合せが含まれる。
【0063】
好適には、ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。
さらにいっそう好適には、ポリオールはグリセロールである。
【0064】
ポリオールは、純粋(例えば、精製されたか、又は技術グレード)、又は不純(例えば、粗製又は精製粗製)の形態で存在することができる。本発明の特定の実施形態において、ポリオールは、約70%〜約99.9%又はそのうちのいずれかの範囲、例えば、限定されないが、約80%〜約99.9%又は約80%〜約97%の純度を有する。本発明の特定の実施形態において、ポリオールの純度は、約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%又はそのうちのいずれかの範囲である。ポリオールの純度形態又はグレード(例えば、精製、粗製又は精製粗製)は、限定されないが、バイオディーゼル製造プロセスからの副産物として製造された純度グレードであり得る。本発明の特定の実施形態において、ポリオールは、純粋形態(例えば、99%以上の純度を有する)又は粗製形態(例えば、約70%〜約98%の純度を有する)である。
【0065】
一実施形態において、グリセロールは、粗製グリセロールであるか、又はそれを含んでなる。粗製グリセロールは、典型的に、グリセロール、メタノール、無機塩、水、油又は油脂、石鹸及び他の「汚染物質」を含有する。粗製グリセロールは、様々な天然及び合成プロセスによって製造され得る。例えば、粗製グリセロールは、バイオディーゼル製造のプロセスの間に製造可能である。さらに、粗製グリセロールは、鹸化のプロセス(例えば、油又は油脂からの石鹸製造)の間に製造され得る。バイオディーゼル製造の副産物として製造される粗製グリセロールは、典型的に、約40〜90%のグリセロール含有量を有し、かつメタノール、水、塩及び石鹸などの不純物を取り除くか、又は減少させるために部分的に精製されることができる。部分的精製によって、グリセロール含有量を約90%グリセロールまで、より特に約95%グリセロールまで、及び特定の場合、約97%グリセロールまで増加させることができ、これによって、技術グレードグリセロールに関連する純度まで達する。本発明の特定の実施形態において、粗製グリセロールのグリセロール含有量は、約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%又はそのうちのいずれかの範囲である。
【0066】
さらに、本発明の粗製グリセロールは、それを「純粋」又は技術グレード/精製(例えば、>97%純度)グリセロールに変換することなく、本発明での使用のためにそれをより適切に、かつ/又は有利にするために1つ以上のプロセスを受けてもよい。例えば、本発明の方法での使用のための粗製グリセロールは、固体及び他の大きい物質を取り除くために、ろ過ステップを受けてもよい。
【0067】
当業者は、本発明の方法において使用されるグリセロールが粗製及び精製(例えば、>97%純度)グリセロールの混合物を含んでもよいことを認識するであろう。特定の実施形態によると、粗製グリセロールの量は、粗製及び技術グレードグリセロールの全混合物の重量に基づき、少なくとも5重量%、より特に少なくとも25重量%、なおより特に少なくとも50重量%、さらになおより特に少なくとも75重量%、又はなおさらにより特に少なくとも95重量%であってよい。他の実施形態によると、グリセロールは実質的に100%粗製グリセロールを含んでなる。
【0068】
好適には、1種又は以上のポリオールが、薬剤に存在してもよい。例えば、1種、2種、3種、4種、5種又はそれを超えるポリオールが、薬剤に存在することが可能である。ポリオールは、薬剤の約1重量%〜約99重量%又はそのうちのいずれかの範囲の量で、例えば、限定されないが、薬剤の約1重量%〜約80重量%、約10重量%〜約50重量%、約15重量%〜約35重量%、約20重量%〜約99重量%、約40重量%〜約99重量%又は約80重量%〜約97重量%の量で薬剤に存在することが可能である。本発明の特定の実施形態において、ポリオールは、薬剤の約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、100重量%又はそのうちのいずれかの範囲の量で薬剤に存在する。本発明の特に好適な実施形態において、ポリオールは、薬剤の約80重量%〜約100重量%の量で存在する。
【0069】
ステップ(ii)の薬剤が99.9重量%未満のポリオールを含んでなる実施形態に関して、薬剤は、例えば、水、酸又はアルカリをさらに含んでなり得る。しかしながら、薬剤が酸をさらに含んでなる場合、酸は、薬剤の約0.1重量%以下の量で存在するべきである。当業者によって認識されるであろう通り、薬剤の約0.1重量%以下のこの酸の量は、後にステップ(ii)において薬剤と混合され得る、ステップ(i)における酸による処理に続いてリグノセルロース系材料中及び/又は上に残存するいずれの残留酸も含まないであろう。
【0070】
ステップ(ii)に関して、薬剤は、好適には、リグノセルロース系材料の約10重量%〜約200重量%又はそのうちのいずれかの範囲の量で、例えば、限定されないが、約20重量%〜約150重量%、約30重量%〜約100重量%、又は約50重量%〜約7
0重量%の量で存在する(すなわち、薬剤対リグノセルロース系材料比)。特定の実施形態において、薬剤は、リグノセルロース系材料の約10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、100重量%、101重量%、102重量%、103重量%、104重量%、105重量%、106重量%、107重量%、108重量%、109重量%、110重量%、111重量%、112重量%、113重量%、114重量%、115重量%、116重量%、117重量%、118重量%、119重量%、120重量%、121重量%、122重量%、123重量%、124重量%、125重量%、126重量%、127重量%、128重量%、129重量%、130重量%、131重量%、132重量%、133重量%、134重量%、135重量%、136重量%、137重量%、138重量%、139重量%、140重量%、141重量%、142重量%、143重量%、144重量%、145重量%、146重量%、147重量%、148重量%、149重量%、150重量%、151重量%、152重量%、153重量%、154重量%、155重量%、156重量%、157重量%、158重量%、159重量%、160重量%、161重量%、162重量%、163重量%、164重量%、165重量%、166重量%、167重量%、168重量%、169重量%、170重量%、171重量%、172重量%、173重量%、174重量%、175重量%、176重量%、177重量%、178重量%、179重量%、180重量%、181重量%、182重量%、183重量%、184重量%、185重量%、186重量%、187重量%、188重量%、189重量%、190重量%、191重量%、192重量%、193重量%、194重量%、195重量%、196重量%、197重量%、198重量%、199重量%、200重量%又はそのうちのいずれかの範囲の量で存在する。
【0071】
適切には、ステップ(i)は、約20〜99℃、好適には約25℃〜約75℃又はそのうちのいずれかの範囲、例えば、限定されないが、約20℃〜約90℃又は約25℃〜約80℃の温度で実行される。特定の実施形態において、ステップ(i)は、約21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃及び99℃の温度で実行される。
【0072】
適切には、ステップ(ii)は、約100〜約220℃又はそのうちのいずれかの範囲、例えば、限定されないが、約120℃〜約200℃、約140℃〜約180℃又は約1
50℃〜約170℃の温度で実行される。特定の実施形態において、ステップ(ii)は、約100℃、101℃、102℃、103℃、104℃、105℃、106℃、107℃、108℃、109℃、110℃、111℃、112℃、113℃、114℃、115℃、116℃、117℃、118℃、119℃、120℃、121℃、122℃、123℃、124℃、125℃、126℃、127℃、128℃、129℃、130℃、131℃、132℃、133℃、134℃、135℃、136℃、137℃、138℃、139℃、140℃、141℃、142℃、143℃、144℃、145℃、146℃、147℃、148℃、149℃、150℃、151℃、152℃、153℃、154℃、155℃、156℃、157℃、158℃、159℃、160℃、161℃、162℃、163℃、164℃、165℃、166℃、167℃、168℃、169℃、170℃、171℃、172℃、173℃、174℃、175℃、176℃、177℃、178℃、179℃、180℃、181℃、182℃、183℃、184℃、185℃、186℃、187℃、188℃、189℃、190℃、191℃、192℃、193℃、194℃、195℃、196℃、197℃、198℃、199℃、200℃、201℃、202℃、203℃、204℃、205℃、206℃、207℃、208℃、209℃、210℃、211℃、212℃、213℃、214℃、215℃、216℃、217℃、218℃、219℃、220℃又はそのうちのいずれかの範囲の温度で実行される。特定の好適な実施形態において、ステップ(ii)は、約160℃の温度で実行される。当業者によって十分理解されるであろう通り、ステップ(i)及び(ii)は、異なる温度で実行されてもよい。
【0073】
ステップ(i)は、好適には、約5分〜約30分又はそのうちのいずれかの範囲、例えば、限定されないが、約5分〜約25分又は約10分〜約15分の時間で実行される。特定の実施形態において、ステップ(i)は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30分又はそのうちのいずれかの範囲の時間で実行される。特に好適な実施形態において、ステップ(i)は、約10分の時間で実行される。
【0074】
ステップ(ii)は、好適には、約5〜約120分又はそのうちのいずれかの範囲、例えば、限定されないが、約15分〜約60分又は約20分〜約40分の時間で実行される。特定の実施形態において、ステップ(ii)は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120分又はそのうちのいずれかの範囲の時間で実行される。特に好適な実施形態において、ステップ(ii)は、約30分の時間で実行される。
【0075】
本明細書に記載の方法によるリグノセルロース系材料の処理後、得られた変性セルロース系材料は、当業者に既知のいずれかの手段によって、液体フラクションから分離され得る。液体フラクションから変性セルロース系材料を分離する方法としては、限定されないが、真空ろ過、膜ろ過、ふるいろ過、部分的もしくは粗ろ過、又はそれらのいずれかの組合せが含まれ得る。分離ステップによって、液体フラクション(すなわち、ろ液又は水可溶化液)及び固体残渣フラクション(すなわち、変性セルロース系材料)を生じることが
できる。本発明のいくつかの実施形態において、分離前及び/又は後に、変性セルロース系材料に水が添加される。したがって、変性セルロース系材料は、処理プロセスからの薬剤、残留酸、残留アルカリ及び/又は副産物、例えば、限定されないが、ポリオール、グリセロール残渣、ならびに処理プロセスから製造された生成物を含み得る。
【0076】
任意選択的に、本明細書に記載の方法によるリグノセルロース系材料の処理後、変性セルロース系材料は洗浄溶液で洗浄されてもよい。洗浄溶液は、限定されないが、酸性溶液、アルカリ性溶液及び/又は有機溶媒を含んでなり得る。
【0077】
さらなる態様において、本発明は、上記方法によって製造された変性セルロース系材料を提供する。
当業者によって容易に理解されるであろう通り、本明細書に記載の方法を使用して、リグノセルロース系材料(すなわち、バイオマス)を、次いで多くの有用な有機化学物質及び製品を製造するために使用され得る変性セルロース系材料へと加工することができる。理論に拘束されないが、本明細書に記載の変性セルロース系材料は、有意な黄色化又は変色を与えることなく同時に粘度及び重合度を低下させながら、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの最終製品へのエーテル化又はエステル化のための追加的な活性部位を提供し、したがって、製紙及びセルロース誘導体の両方のために使用することができるセルロース系材料の製造が可能であると考えられる。したがって、一実施形態において、変性セルロース系材料は、紙ベースの製品及び/又はセルロース誘導体の製造における使用に適切である。
【0078】
一実施形態において、変性セルロース系材料は、処理から得られる固体材料の乾燥重量の約50%〜約60%のセルロース収率を有する。
一実施形態において、変性セルロース系材料は、アルファセルロースであるか、又は約70%〜約90%の含有量のアルファセルロースを含んでなる。セルロースの種類のうちで、アルファセルロースは最高重合度を有し、かつ最も安定している。そのようなものとして、アルファセルロースは、木材及び紙パルプの主成分である。これは、変性セルロース系材料を、約5%〜約25%(典型的に、約17%〜約18%)の水酸化ナトリウム(NaOH)溶液中に浸漬することによって、ヘミセルロースなどの他の成分から分離され得る。したがって、一実施形態において、変性セルロース系材料中のヘミセルロースは、約5〜約25%のNaOH、好適には約18%のNaOHに実質的に溶解することができる。残りの純粋な白色のアルファセルロースは不溶性であり、溶液からろ過することができ、かつ紙又はセルロースポリマーの製造での使用前に洗浄することができる。紙中のアルファセルロースのパーセントが高いと、典型的に、安定な永続的な材料がもたらされる。
【0079】
適切には、変性セルロース系材料は、約50〜約150のカッパ価を有する。特定の実施形態において、カッパ価は、約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150又はそのうちのいずれかの範囲である。変性セルロース系材料が、本明細書に記載の方法によってアルカリによって処理されたリグノセルロース系材料から誘導される一実施形態において、カッパ価は約50〜約70である。変性セルロース系材料が
、本明細書に記載の方法によって酸によって処理されたリグノセルロース系材料から誘導される一実施形態において、カッパ価は約90〜約150である。
【0080】
当業者によって認識されるであろう通り、カッパ価は、所定の白色度を有するパルプを得るために木材パルプの漂白の間に必要とされる化学物質の量の推定を提供する。このような目的で、より高いカッパ価のセルロース系材料では、典型的に、目標の最終的輝度レベルに達するために、漂白剤のより高い量が必要とされる。必要とされる漂白剤の量は、パルプのリグニン含有量と関係し、カッパ価は、セルロース系材料の残留リグニン含有量にほぼ比例する。カッパ価の測定は、ヨウ化カリウムによる残留過マンガン酸塩の逆滴定を使用するTAPPI標準法T236によって、実験室分析として従来から実行されてきた。本発明に関して、カッパ価は、当該技術分野で既知のいずれかの方法によって測定されてよい。
【0081】
一実施形態において、変性セルロース系材料は、約5〜約35mPaの溶液粘度を有する。本明細書で使用される場合、「溶液粘度」は、それがセルロース系材料に関する場合、それから製造可能なセルロース溶液の粘度を示し、その場合、その中のセルロースの平均重合度の指標を提供する。従って、そのような試験は、典型的に、処理プロセスに生じる相対的な分解(すなわち、セルロースの分子量の減少)を示す。例として、その中のセルロースの分子量は、変性セルロース系材料の銅アンモニウム(CuAm)溶液の粘度を決定することによって推測され得る。しかしながら、当業者によって理解されるであろう通り、変性セルロース系材料の粘度は、当該技術分野において既知のいずれかの方法によって測定され得る。
【0082】
別の態様において、本発明は、上記方法に従って製造された変性セルロース系材料を処理して、それにより紙ベースの製品を製造するステップを含む、紙ベースの製品を製造する方法を提供する。
【0083】
「紙ベースの製品」という用語は、本明細書で使用される場合、パルプ又は繊維性セルロース系材料から製造されたシート様物質及び成形製品を含む。紙ベースの製品は、本明細書に記載の変性セルロース系材料から少なくとも部分的に誘導される。したがって、紙ベースの製品も、部分的に、天然又は合成セルロース系繊維及び再生セルロースならびに再生紙などのセルロース系材料の別の供給源から製造され得る。
【0084】
特定の実施形態において、変性セルロース系材料は、上記されたものなどの紙ベースの製品における改善された製品特徴を提供する。
特定の実施形態において、本発明の変性セルロース系材料は、さらなる変性の有無にかかわらず、限定されないが、紙、ボール紙、板紙、ティッシュ、タオル及びナプキンを含む紙ベースの製品の製造において使用され得る。1つの特定の実施形態において、本明細書に記載される変性セルロース系材料は、中しん原紙及び/又は段ボールの製造において使用される。
【0085】
製紙は、慣習的に既知である通り、パルプ又は木材セルロース系繊維の水性スラリー(繊維水和のレベルを達成するために細断されるか、又は精製され、それに様々な官能性添加剤が添加可能である)を、スクリーン又は類似のデバイス上に(例えば、フードリニア(Fourdrinier)プロセスにおけるように形成ワイヤメッシュ上又は回転シリンダ上に)導入するプロセスであるが、水が除去され、それによって、固体化繊維のシートが形成し、これはプレス及び乾燥時に乾燥ロール又はシート形に加工されることができるような方法で実施されるプロセスである。典型的に、製紙において、製紙機械への供給物又はインレットは、「ウェットエンド」系と呼ばれるものから提供されるパルプ繊維の水性スラリー又は水性懸濁液である。ウェットエンドにおいて、パルプは他の添加剤とと
もに水性スラリー中で混合され、細断及び精製などの機械的及び他の操作を受ける。紙ベースの製品を製造するための変性セルロース系材料の処理ステップが、当該技術分野において既知のいずれかの製紙技術によって実行され得ることは理解されるであろう。
【0086】
紙ベースの製品において異なる特性を提供するか、又は促進するために、種々の添加剤が添加されてよい。したがって、いくつかの実施形態において、紙ベースの製品を製造するために変性セルロース系材料を処理するステップは、少なくともその一部において、変性セルロース系材料を、充てん剤(例えば、白土、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク)、サイジング剤(例えば、アルキルケテン二量体、無水コハク酸アルケニル、でんぷん、ロジン、ガム)、漂白剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウム、二酸化塩素、過酸化水素、オゾン)、漂白添加剤(例えば、ケイ酸ナトリウム)、金属イオン封鎖剤(例えば、EDTA、DTPA)、湿潤強度添加剤(例えば、エピクロロヒドリン、メラミン、尿素ホルムアルデヒト、ポリイミン)、乾燥強度添加剤(例えば、カチオン性でんぷん及びポリアクリルアミド(PAM)誘導体)、光学的増白剤(例えば、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベン誘導体)、着色剤(例えば、顔料又は染料)、保持剤(例えば、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド)、コーティングバインダー(例えば、スチレンブタジエンラテックス、スチレンアクリル、デキストリン、酸化でんぷん、カルボキシメチルセルロース)及びそれらのいずれかの組合からなる群から選択される1種以上の薬剤と接触させて、それにより紙ベースの製品を製造することによって実行される。
【0087】
さらに別の態様において、本発明は、上記方法に従って製造された変性セルロース系材料を処理して、それによりセルロース誘導体を製造するステップを含む、セルロース誘導体を製造する方法を提供する。
【0088】
セルロース誘導体は、典型的に、アイスクリームを含む種々の製品において、粘度変性剤又は増粘剤として、かつエマルジョンを安定化するため、食品産業における使用を含む様々な使用を有する。さらに、それらは、個人用潤滑剤、歯ミガキ、下剤、ダイエットピル、水性塗料、洗剤、織物サイジング及び種々の紙製品などの多くの食品以外の製品の添加剤であり得る。特に、セルロース誘導体は、例えば、低濃度における高粘度、ならびにそれらの脱泡、界面活性剤及びバルキング特性を含む、それらを有用にする様々な特徴を有する。さらに、セルロース誘導体は典型的に有毒ではなく、ヒトにおけるアレルギー反応を促進しない。
【0089】
特定の実施形態において、セルロース誘導体は、セルロースエーテル、セルロースエステル、ビスコース及び微晶質セルロースからなる群から選択される。
特定の実施形態において、セルロース誘導体は、セルロースエーテルであるか、又はそれを含んでなる。この点に関して、変性セルロース系材料は、それを1種以上のセルロースエーテルの製造に適切にさせる化学的特徴を有し得る。セルロースエーテルの非限定的な例としては、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルメチルセルロースが含まれる。当業者によって認識されるであろう通り、このようなセルロースエーテルは、セルロースエーテルが典型的に使用されるいずれの用途においても使用され得る。例えば、限定されないが、本開示のセルロースエーテルは、コーティング、インク、バインダー、徐放薬錠剤及びフィルムにおいて使用され得る。
【0090】
したがって、この態様の方法は、酸、アルカリ、薬剤及び/又はこの方法からの副産物(例えば、ポリオール、グリセロール残渣及びこの方法から製造された製品)を任意選択的に含む変性セルロース系材料を、限定されないが、クロロメタン、クロロエタン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、クロロ酢酸又はそれらの組合せを含む1種以上の薬剤と接触(例えばエーテル化)させて、それによりセルロースエーテルを製造するステッ
プを含んでなり得る。
【0091】
特定の実施形態において、セルロース誘導体は、セルロースエステルであるか、又はそれを含んでなる。セルロースエステルの非限定的な例としては、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローススルフェート及びセルロースニトレートが含まれる。この点に関して、変性セルロース系材料は、それを1種以上のセルロースエステルの製造に適切にさせる化学的特徴を有し得る。例えば、限定されないが、本開示のセルロースエステルは、家具、フィルター、インク、吸着剤製品、医療機器及びプラスチック、例えば、LCD及びプラズマスクリーン及びフロントガラスにおいて使用され得る。
【0092】
したがって、この態様の方法は、酸、アルカリ、薬剤及び/又はこの方法からの副産物(例えば、ポリオール、グリセロール残渣及びこの方法から製造された製品)を任意選択的に含む変性セルロース系材料を、限定されないが、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、酪酸、硝酸、硫酸又はそれらの組合せを含む1種以上の薬剤と接触(例えばエステル化)させて、それによりセルロースエステルを製造するステップを含んでなる。
【0093】
一実施形態において、セルロース誘導体は、微晶質セルロースであるか、又はそれを含んでなる。微晶質セルロース製造には、比較的クリーンな高度に精製された出発セルロース系材料が必要とされる。そのようなものとして、従来、高価な亜硫酸パルプが主にその製造のために使用された。したがって、変性セルロース系材料は、微晶質セルロース製造のための費用効果が高いセルロース供給源を提供し得る。微晶質セルロースは、医薬品又はニュートラシューティカル用途、食品用途、コスメティック用途、紙用途などの、それが従来から使用されるいずれかの用途において、又は構造用複合材料及び/もしくは強化添加剤として使用され得る。例えば、微晶質セルロースは、バインダー、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、タブレット形成助剤、安定剤、粘着防止剤、脂肪代用品、バルキング剤、反粘結剤、発泡成形剤、乳化剤、増粘剤、分離剤、ゲル化剤、担体材料、不透明剤又は粘度変性剤として使用され得る。
【0094】
したがって、この態様の方法は、酸、アルカリ、薬剤及び/又はこの方法からの副産物(例えば、ポリオール、グリセロール残渣及びこの方法から製造された製品)を任意選択的に含む変性セルロース系材料を、本明細書に記載される酸及び/又はアルカリと接触(例えば、さらなる処理又は加水分解)させて、それにより微晶質セルロースを製造するステップを含んでなり得る。好適には、酸は塩酸である。次いで、変性セルロース系材料は、微晶質セルロースの製造のために加工されてもよい。
【0095】
一実施形態において、セルロース誘導体はビスコースであるか、又はそれを含んでなる。典型的にビスコース繊維は、セルロース系材料を、水酸化ナトリウム及び二硫化炭素などのアルカリによって処理し、ビスコースと呼ばれる溶液を製造することによって製造される。ビスコースは、ビスコースが従来から使用されるいずれの用途においても使用されてよい。例えば、限定されないが、ビスコースは、セロハン、フィラメント、食品ケーシング、タイヤコード及びレーヨンなどの織物で使用され得る。
【0096】
したがって、この態様の方法は、酸、アルカリ、薬剤及び/又はこの方法からの副産物(例えば、ポリオール、グリセロール残渣及びこの方法から製造された製品)を任意選択的に含む変性セルロース系材料を、限定されないが、水酸化ナトリウム、二硫化炭素又はそれらの組合せを含む1種以上の薬剤と接触させて、それによりビスコースを製造するステップを含んでなり得る。
【0097】
当業者によって認識されるであろう通り、本明細書に記載される変性セルロース系材料は、別のセルロース出発材料の部分的な代用として使用されてもよい。例えば、変性セルロース系材料は、別のセルロース出発材料の1%以上、例えば、1%〜99%を置換してもよい。この点に関して、変性セルロース系材料は、別のセルロース出発材料のより安価な選択肢であり得る。したがって、セルロース誘導体又は紙ベースの製品は、本明細書に記載の変性セルロース系材料から全体的に又は部分的に誘導され得る。
【0098】
特定の実施形態において、変性セルロース系材料は、クラフト紙、コットンリンター又は亜硫酸エステルパルプの全体的又は部分的な代用として使用され得る。そのようなものとして、変性セルロース系材料は、クラフト紙、コットンリンター又は亜硫酸エステルパルプの代用として、例えば、セルロースエーテル、アセチルセルロース、ビスコース及び/又は微晶質セルロースの製造において使用され得る。
【0099】
別の態様において、本発明は、リグノセルロース系材料を、ポリオールを含んでなるか、それからなるか、又はそれから本質的になる薬剤で処理するための消化チャンバーと連通している、リグノセルロース系材料を酸及び/又はアルカリで処理するための処理チャンバーを含んでなる、変性セルロース系材料を製造する装置を提供する。
【0100】
適切には、処理チャンバーは、リグノセルロース系材料に酸及び/又はアルカリを含浸させることができる。好適には、処理チャンバーは、リグノセルロース系材料に酸及び/又はアルカリを蒸気含浸することができる。
【0101】
特定の実施形態において、この装置は、リグノセルロース系材料を浸潤及び/又は予熱するためなど、リグノセルロース系材料を蒸気処理することができる前処理チャンバーをさらに含んでなる。
【0102】
いくつかの実施形態において、この装置は、液体フラクションから変性セルロース系材料をその少なくとも一部において分離するための分離器をさらに含んでなる。
適切には、この装置は、上記方法における使用のためのものである。
【0103】
装置の好適な実施形態は
図1に示される。
図1を参照すると、装置10は、処理されるか、又は消化されるリグノセルロース系材料を受け取るためのインレット11を含んでなる。インレット11から、リグノセルロース系材料は、前処理チャンバー12に入る。前処理チャンバーは、それによってリグノセルロース系材料を事前に湿潤させ、かつ予熱するために低圧力蒸気が適用されるように設計されている。事前に湿潤させ、予熱されたリグノセルロース系材料は、次いで、導管17を介して典型的に重力供給方式によって処理チャンバー14に輸送され、その後、そこで高圧蒸気によって酸及び/又はアルカリで含浸させる。代わりに、リグノセルロース系材料は、回転弁13によって装置10に入ってもよく、それによって前処理チャンバー12の前蒸気処理/前湿潤プロセスが回避される。
【0104】
装置10は、ポリオール、特にグリセロールを含んでなる薬剤でリグノセルロース系材料を処理又は消化するための消化チャンバー16を含んでなる。消化チャンバー16は、使用者の規定温度及び/又は圧力下で導管19を介して処理チャンバー14から重力供給された酸及び/又はアルカリ処理されたリグノセルロース系材料を消化又は処理するように設計されている。好適には、消化チャンバー16は、低い液体対固体比においてリグノセルロース系材料を消化又は処理するために改変される。この点に関して、消化チャンバー16は、リグノセルロース系材料にグリセロールなどの液体を噴霧するための複数のノズルを含み得る。別の実施形態において、導管17及び/又は19は、上記のリグノセルロース系材料の移動を容易にするベルトコンベヤなどのコンベヤ又はスクリューオーガを
含んでなるか、又はそれによって置き換えられ得ることも理解されるであろう。
【0105】
図1から分かるように、装置10は、物理的に変性セルロース系材料をプレスすることなどによって、いずれかの残留液体フラクションからの消化リグノセルロース系材料の分離を促進するために配置された分離器18をさらに含む。分離器18を通過した後、消化されたリグノセルロース系材料は、消化チャンバー16でリグノセルロース系材料に添加されるグリセロールなどのいずれかの薬剤、特に液体薬剤から少なくとも部分的に分離され得る。
【0106】
図1に示されないが、コンベヤは、前処理チャンバー12、蒸気処理チャンバー14、消化チャンバー16及び分離器18を含む装置10の上記蒸気チャンバーを通って、及びその間を望ましい速度でリグノセルロース系材料を移動させるために使用される。さらに、コンベヤは、リグノセルロース系材料を次のチャンバー上に移動させる前に、それぞれのチャンバーで必要とされる滞留時間を達成するように、使用者が決定した速度で動作し得る。
【0107】
本発明が容易に理解及び実施され得るように、以下に特定の好適な実施形態が非限定的な例として記載される。
【実施例】
【0108】
実施例1
実施例1の目的は、以前に記載されたグリセロール及び硫酸の組合せでリグノセルロース系材料を前処理する方法(例えば、チャン(Zhang)ら、バイオリソーステクノロジー(Bioresource Technology)、2013年)を評価することであった。
材料及び方法
連続水平消化器(アンドリッツ(Andritz)418気密式水平消化器/コンベヤ)においてサトウキビバガスを前処理した。異なるグリセロール:「そのままのバガス(as is bagasse)」の比率ならびに消化器温度及び圧力を評価した。グリセロール及び硫酸の組合せを含む溶液による消化の後、バガスは、前処理されたバガスの固体及び液体相(加水分解物)の分離のためにスクリュープレス(アンドリッツ(Andritz)モデル560プレサファイナー(Pressafiner))を通して脱水された。
【0109】
簡単には、原料バガスが最初に計量され、次に圧力下で418消化器システムに供給された。システムに入ると、バガス上に斜めにグリセロール及び硫酸を噴霧するために2つの射出ノズルがあった。望ましい製造速度の確立のため、液体の流れは、所望のグリコール対「そのままの」バガス比を達成するために望ましいフロー速度でポンプ供給された。タンクに添加された硫酸の重量は、必要に応じてO.D.バガス上で約1%〜1.1%の適用を得るように調整された。次いで、バガスは、消化器で必要とされる滞留時間を達成するために望ましい速度で消化器を通してコンベヤベルト上で移動された。消化後、前処理されたバガスは、次いで8:1の体積測定圧縮比において560プレサファイナー(Pressafiner)に移動された。プレサファイナー(Pressafiner)は、その全ての含有量が脱水され、全ての加水分解物が回収されるまで操作された。さらなる分析のため、それぞれの試験品からの固体及び液体フラクションを回収した。前処理された固体(洗浄された)は、アルファセルロース、カッパ価、灰分%、炭水化物含有量、酸不溶解性リグニン含有量及び酵素糖化に関して試験された。加水分解物試料は、炭水化物含有量、酸溶解性リグニン含有量、灰分%及び分解生成物に関して試験された。
【0110】
418消化器システムにおける6つの個々の前処理条件をバガス上で試験し、これらを
以下の表1で概説する。特に、表1は、A1〜A6に関するグリセロール:「そのままのバガス」比、硫酸適用、消化器滞留時間及び操作圧力を提供する。消化器スループット及び平均繊維長さも、それぞれ表1及び3に含まれる。
【0111】
【表1】
結果
蒸気試験の実行時、以前に記載された前処理方法における多くの問題が明らかになった。特に、上記チャン(Zhang)らにおいて記載された130℃の消化器温度は、適切な繊維破壊を供給しなかった。160℃のより高い消化器温度は、この点に関して繊維破壊の改善を提供した。さらに、相対的に低い製造速度が、主としてその低い密度に起因するバガスによって達成された。そのようなものとして、バガスの材料取り扱いは、商業的製造の規模まで拡大するために重要な障害を表す。
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
実施例2
この試験の目的は、以前に記載されたリグノセルロース系材料のためのそれらの前処理方法を改善する試みにおいて、3種の異なる基質、バガス、ベイモミ木片及びユーカリノキ(Eucalyptus globulus)木片に適用された異なるグリセロール及び硫酸処理を評価することであった。
材料及び方法
バガスを含む試験品について、バガスは、プラグスクリュー供給機を使用して、直接、418水平気密式消化器に供給され、その中にグリセロール及び硫酸の両方がインレットにおいて消化器に添加された。このプロセスは、実施例1に記載されたものと同様であった。蒸気含浸は、そのかさばった特性及び高い表面積のため、バガス上では実行しなかった。
【0115】
モミ木片及びユーカリ木片を含む試験品について、418水平気密式消化器に供給される前に、木片は初めに圧縮され、脱構造化され、アンドリッツ(Andritz)560GSインプレサファイナー(Impressafiner)において水又は硫酸のいずれかによって含浸された。次いで、グリセロールは、硫酸の有無にかかわらず、それから消化器にインレットにおいて含浸木材チップに添加された。初期チップ脱構造化及び含浸は、前処理プロセスの間により良好にそれらの繊維構造を浸透させる試みにおいて、木材基質上で実行された。
【0116】
表5は、バガス、モミ及びユーカリ材料の前処理試験のそれぞれの反応パラメーターを提供する。全ての試験品に関して418消化器における反応時間は30分であった。
【0117】
【表5】
A6〜A11がその中でさらなる硫酸を受け取らなかったことを除いて、418消化器での消化は、実施例1に記載されたものと同様に実行された。消化後、固体及び液体フラクションがさらなる分析のために回収されることができるように、特定の試験品(A1〜A5、A8〜A11)からの前処理された試料を560プレサファイナー(Pressafiner)に移した。前処理された固体(洗浄された)は、アルファセルロース、カッパ価、灰分%(表8)、炭水化物含有量、酸不溶解性リグニン含有量(表9)及び酵素糖化(表11)に関して試験された。加水分解物試料は、炭水化物含有量及び酸溶解性リグニン含有量に関して試験された(表10)。全てのパルプは、カナダ標準ろ水度、L&W繊維試験、バルク密度及び固体含有量を含む標準Tappi手順によってさらに試験された。
結果
3種のリグノセルロース系基質における上記の試験から、消化又は反応の程度は主として添加された硫酸の割合によって影響を受けた。したがって、リグノセルロース系基質に対するグリセロールの量は、視覚評価に従って、消化された材料におけるいずれの明白な影響もなく有意に減少させることができた。したがって、前処理反応は、消化器内に液体
がわずかにあるか、又は全くないように、極めて低い液体対固体比において問題なく行なわれた。例えば、ユーカリ木片は、木片上酸0.7%及び0.3kg/kgグリセロール/木片において極めて良好に反応し、これは、0.24:1のみの消化のための液体対固体比を表す。
【0118】
バガスに関して、2.4%酸において130℃は、160℃で消化されたバガスと比較して、依然として繊維を完全に反応させず、実施例1で見られたものを強化する。160℃及び2.4%酸におけるバガスの消化は、プレスができない泥状材料をもたらし、基質が完全に反応したことを示す。消化器中の酸を減少させることによって、いくらかの繊維が保持されたが、消化されたバガスはいっそう容易にプレスされた。
【0119】
興味深いことに、木片がインプレサファイナー(Impressafiner)によって硫酸で含浸されたモミ試験品(A6:1.5%酸、0.6グリセロール比)に関して、硫酸が消化器に添加されたモミ試験品(A7:1.5%酸、0.6グリセロール比)に関するより低いろ水度が観察された(表7)。これは、グリセロールによる消化及び処理前に酸で含浸された木片が、酸によって蒸気含浸されていないが、酸及びグリセロールの組み合わせた溶液で消化されたものよりも良好に反応したことを示唆する。そのようなものとして、消化ステップにおけるグリセロールの添加前に硫酸によるリグノセルロース系材料の含浸は、消化器へグリセロールと同時に酸を添加することより優れていた。
【0120】
ユーカリ試験品は、グリセロール適用における有意な減少が、リグノセルロース系基質の消化に影響を及ぼさずに可能であることを示唆する。しかしながら、前処理反応から完全にグリセロールを排除すること(A11:0.5%酸)は、最も高いろ水度を示し、これは、より低い消化反応度を示す。類似の酸濃度で、しかしグリセロールを用いて行なわれたユーカリ試験品(A10:0.5%酸、0.3グリセロール比)は、有意により低いろ水度(159mL対467mL)を有し、これは、より高い反応度を示している。
【0121】
さらに、ユーカリ試験品、特にA8は、紙ベースの製品、例えばボール紙及び強化添加剤、及び/又はセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースの製造において有用であることが分かり得る製品特徴(例えば、比較的低いカッパ価及び高いアルファセルロース含有量)を示す変性セルロース系材料を製造した。
【0122】
【表6】
【0123】
【表7】
【0124】
【表8】
【0125】
【表9】
【0126】
【表10】
実施例3
この試験の目的は、以前に記載されたリグノセルロース系材料のそれらの前処理方法を改善する試みにおいて、4種の異なる基質、バガス、ポプラ、タスマニアブルーゴム(Tasmanian Blue Gum)及びユーカリノキ(Eucalyptus globulus)木片に適用された異なるグリセロール及び硫酸処理を評価することであった。さらに、この試験の目的は、粗製グリセロール及び水酸化ナトリウム処理を評価することであった。粗製グリセロール処理は、3種の異なる基質、ポプラ、タスマニアブルーゴム(Tasmanian Blue Gum)及びユーカリノキ(Eucalyptu
s globulus)木片に適用されたが、水酸化ナトリウム処理はタスマニアブルーゴム(Tasmanian Blue Gum)木片のみに適用された。
材料及び方法
バガス(A3)の一対照試験品は、プラグスクリュー供給機を使用して水平加圧418消化器に直接供給されたバガスを用いて実施された。バガス、ポプラ、ブルーゴム及びユーカリ上での全ての残りの試験品に関して、材料は、418水平気密式消化器に供給する前に、初めに圧縮及び脱構造化され、次いで、560インプレサファイナー(Impressafiner)を使用して硫酸で含浸させた。純粋又は粗製グリセロールは、418消化器へとインレットにおいて、含浸された材料に添加された。
【0127】
ブルーゴム(Blue Gum)木片の3つの試験品(A20、A21、A22)も、硫酸の代わりにインプレサファイナー(Impressafiner)において水酸化ナトリウム(NaOH)含浸によって実行された。その後、消化されたアルカリ前処理パルプは、アトモスフェリック(atmospheric)401ダブルディスクを使用して418消化器処理後に精製された。
【0128】
以下の表11は、4種の構成に関する材料特徴を提供する。以下の表12は、バガス、ポプラ、ブルーゴム及びユーカリ材料の前処理試験のそれぞれに関する反応パラメーターを提供する。
【0129】
【表11】
【0130】
【表12】
それぞれの試験品に関して、基質はドラム中に配置され、空重が記録された。ドラムは、次いで、418消化器システムに入れられた。バガスに関して、プラグスクリュー供給機(PSF:plug screw feeder)は、418消化器中への給送用デバイスとして使用された。木片に関して、回転弁(RV:rotary valve)は、418消化器中への給送用デバイスとして使用された。ホッパーの一番下の供給スクリューは、今度はスクリューの排出端においてティーピース(tee piece)に、圧縮されたバガスを配達するプラグスクリュー供給機(PSF)を提供する。PSFは、消化器システムのインレットにおいて圧力シールの役割を果たすプラグを形成する。材料のプ
ラグは、PSFの放出ブルノース端部に延在し、ティーピースを通して418水平消化器のインレット中に重力によって材料を滴下する。
【0131】
ティーピースの反対の端における2つの射出ノズルは、バイオマスに斜めに液体を噴霧する。水平消化器に入る前に、グリセロールは消化器インレット(ティーピース)において添加された。木材構成に関して、木片は回転弁から直接的に418消化器へティーピースを介して放出された。
【0132】
418消化器における可変速度二重フライトコンベヤスクリューは、消化器における目標滞留時間を達成するために望ましい速度で基質を移動させる。最適化のために利用可能な条件には、グリセロール装填、消化器滞留時間、希釈フロー速度及び消化器圧力が含まれる。消化器の圧力は、全ての試験品に関して一貫して5.2バール(520kPa(75psig))で維持された。消化器スクリューの速度は、水平消化器における滞留時間を調節する。大部分の試験品は30分の滞留時間で実施されたが、いくつかの試験品は比較のために20分の滞留時間で実施された。消化された材料は、次いで、加圧転送スクリューに放出され、これは次いで、トップウィンダー(topwinder)供給機(リボンスクリュー)に放出され、次いで、418加圧ダブルディスクリファイナー(直径0,91メートル(36インチ))に放出された。精製業者は、消化された材料におけるいずれの精製作用も最小化するように、ワイドギャップで操作する。材料は、ブローバルブを介して精製器から放出され、その後、材料はアトモスフェリックサイクロンに送風された。材料は、PSFにおけるプラグから精製器ブローバルブまで圧力下にある。
【0133】
418消化器後に回収された試料に関して、固体は試料の重量に対して1:1で水で希釈され、次に真空テーブル上で乾燥させた。次いで、洗浄した固体を袋に回収し、それに応じてラベルを付けた。洗浄した試料は、その後、アルファセルロース、カッパ価、灰含有量、(単量体及び全体の)炭水化物含有量及び酸不溶解性リグニン含有量に関して試験された。消化された試料(洗浄処理なし)も固体決定に関して試験された。
結果
要約
同等の硫酸適用において比較した場合、視覚的、ろ水度(排液)又はLW平均粒子長さ評価に基づき、純粋又は粗製グリセロール処理のいずれかを使用して、観察可能な相違はなかった(
図2、3及び4)。
【0134】
硫酸適用の増加によって、全4種のバイオマス基質に関して、ろ水度及び平均繊維長さの減少がもたらされた(
図2)。硫酸の所定の適用において、消化された試料は、視覚的、ろ水度(排液)及びLW平均評価に基づいて、グリセロール適用の変更に比較的影響を受けなかった(
図2及び3)。しかしながら、ろ水度及びLW平均の値は、より低い硫酸適用(0.54%)において消化器滞留時間により影響を受け、より高い酸適用において影響が低かった(
図2及び3)。消化されたバガス試料は、消化された硬質木材構成よりも高いLW平均繊維長さを有した(
図3)。
【0135】
アルカリ含浸及び消化は、本研究においてブルーゴム組成上にも行なわれた。アルカリ消化されたブルーゴム試料は、それぞれの酸消化されたゴム試料と比較して、より高いろ水度及びLW平均繊維長さを有した(
図4)。パルプは視覚的に反応が低く、繊維構造はより変化しなかった。次にアルカリ消化された材料を精製することによって、中しん原紙市場の競争的パルプをもたらした。
A.バガス
バガスに関して一定の酸適用(0.7%)において、1.1:1から0.6:1への[グリセロール]:[そのままのバガス]適用の減少は、ろ水度の増加をもたらさず、より低いグリセロール適用においてさえ同様の反応度を示唆した。1.39%まで酸装填を増
加することによって、[グリセロール]:[そのままのバガス]適用の0.2〜0.4:1までの減少にもかかわらず、ろ水度の段階的減少及び低下した418精製器比エネルギー適用がもたらされた。グリセロール比を0.4から0.2まで低下させることによって、ろ水度の増加がもたらされず、反応のレベルが損なわれていなかったことを示唆した。
【0136】
0.70%の酸適用において比較すると、より高いグリセロール装填(1.1:1)による試験品は、0.6:1のグリセロール装填による試験品よりも低いLW平均を有した。この観察は、より高い酸適用1.39%において明らかではなかった。1.39%まで酸装填を増加することによって、[グリセロール]:[そのままのバガス]適用の0.2〜0.4:1までの減少にもかかわらず、LW平均の低下がもたらされた。
【0137】
LWは、含浸酸ポイント(1.39%酸、0.4:1グリセロール)及び消化器適用試験品(1.67%、2.5:1グリセロール)に関して同様であり、このことは、含浸されたバガスによる改善された反応効率を示唆している(すなわち、酸の含浸は、消化の後に所定の粒径減少度を達成するためにより効率的な方法である)。
B.ポプラ
さらに、ポプラ試験品に関して、同様の消化器滞留時間(30分)及び0.8〜0.9の[粗製グリセロール]:[そのままのバガス]適用において比較する場合、硫酸適用の増加によってろ水度の段階的減少がもたらされた。0.62%酸による試験品では、より低い精製器負荷を引き、これは0.46%及び1.15%酸によって実行された試験品よりも疑わしく低いように見える。
【0138】
同様のグリセロール適用において酸装填を増加することによって、平均粒径の減少がもたらされた。1.15%酸による13含浸に関して、純粋グリセロールによる試験品A6は、粗製グリセロールによる試験品A7よりも低いLW平均を有した。しかしながら、試験品A6に適用されたより高い精製エネルギーが、観察されたより低いLW平均粒径を説明する可能性が高い。
C.ブルーゴム
ブルーゴム試験に関して、同様の酸適用(0.54%)及び418精製器エネルギー適用において比較した場合、30分滞留における試験品(A8)は、20分滞留における試験品(A9)よりも低いろ水度を有し、このことは、予想よりも進行した反応を示す。0.54%から0.64%まで硫酸適用を増加することによって、約200mlまでのろ水度の有意な低下がもたらされた。20分滞留において製造された試験品は、30分滞留において製造されたそれぞれの試料と比較して、比較的同様のろ水度(200ml)を有した。しかしながら、20分消化された試料は、30分消化試料と比較した場合、より高い418精製器モータ負荷を引く傾向があったことが指摘される。これは、20分の試料は、30分の試料より粗く、反応が少ないことを示唆する。それにもかかわらず、ろ水度の低閾値上限(200ml)及びLW平均(0.5mm)が、酸消化ブルーゴムから0.64%〜1.01%の硫酸適用で観察された。これは、0.5mmのより低い粒径において改善された酵素応答を仮定して、酸供与量及びその後の酵素性能を最適化することに関して有益な意味を有することができるであろう。硫酸装填が0.64%から1.01%まで増加された場合、ろ水度はさらに減少しなかった。[粗製グリセロール]:[そのままのバガス]適用は、0.7〜0.8:1において同様に維持された。
【0139】
アルカリ前処理によって実施された全3種の試験品は、760〜770mlの範囲のろ水度で、酸消化されたブルーゴムより有意に高いなろ水度を有した。アルカリ消化されたブルーゴムは、外観がパルプ様であり、外観がスラッジ様であった酸消化された試料とは異なった。アルカリ消化された材料は、この消化された材料のより粗い性質のために、より高い418精製器負荷を引いた。8.84%(A20)から13.75%(A21、A22)までNaOH適用を増加することによって、パルプろ水度におけるいずれのさらな
る減少も実証されなかった。
【0140】
消化された8.84%及び13.75%アルカリパルプは、それぞれ、395kwh/ODMT及び373kwh/ODMTの比エネルギー適用で、390ml(A24)及び401ml(A23)のろ水度にアトモスフェリック401精製器においてその後精製されていた。表13を参照すると、アルカリパルプ(A23;13.75%NaOH)は、より高い精製パルプ強度特性を有した。特に比破裂強さ、引裂き指数、引張り指数、伸縮性及びTEAは、より高いアルカリ装填においてより高かった。
【0141】
以下の表13で、典型的に中しん原紙製造のために使用される米国南東部混合硬質木材(オーク材、ゴム)アルカリパルプに対する、本試験品からのアルカリ消化パルプの特性を比較する。以下に示される通り、これらの試験品から製造されたパルプ特性は、中しん原紙製造のための混合南部硬質木材のアルカリ消化を使用して製造されたものに類似の範囲である。
【0142】
【表13】
しかしながら、酸処理されたブルーゴム試験品に関して、酸適用が0.51%から0.64%まで増加した場合にLW平均は減少し、さらに1.01%まで酸適用を増加させることで、平均繊維長さにおけるいずれかさらなる低下も実証されなかった。これは、粒径が、0.6%〜1%酸の間で約0.5mmの418システムからのより低い上限放出を有することを示唆し、これは、次の酵素反応性に対する繊維サイズの影響について貴重な情報を提供する。換言すれば、望ましい糖濃度がその後達成されると仮定して、(粒径に基づいて)酵素性能において0.6%を超えて酸濃度を増加させることに追加的利益がないであろう。ろ水度における観察と同様に、より短い消化器滞留(20分)において製造された試験品は、30分滞留で製造されたそれぞれの試験品よりも、所定のLW平均において、より高い418精製器負荷を引く傾向があり、より低い反応度が確認された。
【0143】
アルカリ前処理が行なわれた全3種の試験品は、0.8mmの範囲で、酸消化されたブルーゴムより有意に高いLW平均を有した。8.84%(A20)から13.75%(A21、A22)までNaOH適用を増加させることは、平均粒径のさらなる減少を実証しなかった。アルカリ消化されたパルプのLW平均は、粗製グリセロール処理を行った(A21)又は行わなかった(A22)消化の30分後、比較的同様であった。
【0144】
さらに、アルカリによって前処理されたブルーゴム木片のアルファセルロース及び粘度の両方の値を決定し、以下の表14に示す通りである。粘度は、特に、酸によって前処理された材料のものよりも、アルカリによって前処理された材料に関して有意により高かった。したがって、この材料は、酸前処理材料よりも良好なセルロース誘導体の候補となり得る。
【0145】
【表14】
D.ユーカリノキ(Eucalyptus globulus)
ユーカリノキにおける最初の試験品は、低硫酸装填(0.20%)で製造され、より粗い外観の高いろ水度がもたらされ、低酸装填におけるより穏やかな反応が示された。0.72%〜0.78%に酸装填を増加させることによって、ろ水度の有意な低下及びさらに進行した反応がもたらされた。[グリセロール]:[そのままのバガス]適用は、全てのユーカリ消化器試験品において、0.7〜0.8:1で同様であった。類似の酸適用(0.72%〜0.78%)及び消化器滞留時間(30分)において製造された2つの試験品は、類似のろ水度、193ml及び198mlを有し、類似の条件における類似の複製を実証した。
【0146】
低硫酸濃度(0.20%)で製造されたユーカリノキ木片における最初の試験品は、最高LW平均繊維長さ、0.67mmを有した。酸濃度を0.72%〜0.78%まで増加させることによって、0.52mmのLW平均までの低下がもたらされた。[グリセロール]:[そのままのバガス]適用は、全てのユーカリ消化器試験品において、0.7〜0.8:1で同様であった。類似の酸適用(0.72%〜0.78%)及び消化器滞留時間(30分)において製造された2つの試験品は、同等のLW平均を有し、再び類似の条件における類似の複製を実証した。