特許第6702988号(P6702988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702988
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】自動血液サンプリング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/153 20060101AFI20200525BHJP
   A61B 5/157 20060101ALI20200525BHJP
   A61B 5/151 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   A61B5/153 200
   A61B5/157
   A61B5/151
【請求項の数】13
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-541019(P2017-541019)
(86)(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公表番号】特表2018-510679(P2018-510679A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】US2016016367
(87)【国際公開番号】WO2016140760
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2017年9月6日
(31)【優先権主張番号】14/635,643
(32)【優先日】2015年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516035068
【氏名又は名称】ヴェリリー ライフ サイエンシズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】クラスノー,ベンジャミン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ピーター,ハワード
【審査官】 牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0306696(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0105872(US,A1)
【文献】 米国特許第07001344(US,B2)
【文献】 特開2007−000483(JP,A)
【文献】 米国特許第06045534(US,A)
【文献】 特表2001−511037(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0027328(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/088875(WO,A1)
【文献】 特表2013−509269(JP,A)
【文献】 特開2006−239062(JP,A)
【文献】 特開2009−226042(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/108516(WO,A1)
【文献】 特開2003−210437(JP,A)
【文献】 特開2005−205096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06− 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
肌に侵入するように構成される針と、
前記針が通る針流路を備え、前記針を肌に打ち込んで、肌に穿孔を形成した後に肌から前記針を引き抜くように構成される注射器と、
前記針流路とは異なる吸引流路を通じて吸引を提供するように構成される吸引源と、
前記吸引源によって提供される吸引に応じるように構成される封止材と、
前記針、前記注射器、前記吸引源、及び前記封止材が配置されるハウジングと、
を備え、
前記注射器が前記針を前記封止材に貫通させて前記封止材に少なくとも1つの穴を形成するように構成され、前記吸引源によって提供される前記吸引が、前記封止材に形成された前記少なくとも1つの穴及び前記吸引流路を通じて前記肌に形成された前記穿孔から血液を抜き取るように構成されるシステム。
【請求項2】
前記注射器が、
前記針を少なくとも部分的に配置するチャンバと、
前記チャンバ内に配置され、前記針が連結され、前記チャンバ内を摺動可能に移動するように構成されるピストンと、
前記ピストンを前記チャンバ内で摺動可能に移動させて、前記封止材を貫通して前記針を肌に打ち込むように構成される噴射剤と、
を備える、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記噴射剤がニトロセルロースを含み、前記針を肌に打ち込む前記注射器が前記ニトロセルロースを噴射する前記注射器を備える、請求項2のシステム。
【請求項4】
前記針を肌に打ち込む前記注射器が、抵抗加熱要素を用いて前記噴射剤を噴射する前記注射器である、請求項2のシステム。
【請求項5】
前記注射器が少なくとも1つの口を含み、前記口が、前記噴射剤を前記注射器から逃がすことで、前記針が前記肌に打ち込まれた後に前記ピストンおよび針を前記肌から引き抜くように構成される、請求項2のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの追加の針をさらに備え、前記注射器が、前記少なくとも1つの追加の針を前記肌に打ち込んで、前記肌に少なくとも1つの追加の穿孔を形成した後に前記肌から前記少なくとも1つの追加の針を引き抜くように構成され、前記注射器が、前記少なくとも1つの追加の針を前記封止材に貫通させて前記封止材に少なくとも1つの追加の穴を形成するように構成される、請求項1のシステム。
【請求項7】
前記封止材が凹状窪みを備え、前記注射器が、前記針を駆動して前記封止材の凹状窪みを貫通して前記封止材に少なくとも1つの穴を形成するように構成され、前記吸引源が前記肌を前記凹状窪みに吸引するように構成される、請求項1のシステム。
【請求項8】
前記吸引源が約50キロパスカル未満の圧力を有する排気容積を備える、請求項1のシステム。
【請求項9】
血液保管要素をさらに備え、前記吸引源によって提供される吸引が、前記封止材に形成された前記少なくとも1つの穴及び前記吸引流路を通じて血液を前記血液保管要素まで引き込むように構成され、前記血液保管要素が、前記吸引によって前記血液保管要素まで引き込まれた血液を保管するように構成される、請求項1のシステム。
【請求項10】
センサをさらに備え、前記センサが前記センサにさらされる血液の特性を検出するように構成され、前記吸引源によって提供される前記吸引が、前記封止材に形成される前記少なくとも1つの穴を通じて前記センサまで血液を引き込むように構成される、請求項1のシステム。
【請求項11】
順応層をさらに備え、前記順応層が肌に順応するように構成されて、前記吸引源によって提供される前記吸引が、前記封止材に形成された前記少なくとも1つの穴を通じて、前記封止材の前記少なくとも1つの穴の近傍の肌に印加される、請求項1のシステム。
【請求項12】
身体装着可能装置を備え、前記身体装着可能装置が前記肌の表面に装着されるように構成され、システムが、前記注射器を動作させて前記針を前記肌に打ち込むように構成されるコントローラをさらに備える、請求項1のシステム。
【請求項13】
前記針、注射器、吸引源が前記身体装着可能装置の第1のサンプリングセクションに配置され、前記身体装着可能装置が1以上の追加のサンプリングセクションをさらに備え、各追加のサンプリングセクションが各自の針、注射器、吸引源を含む、請求項12のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動血液サンプリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001] 本明細書に特段明示しない限り、本項に記載される材料は本願の請求項の先行技術ではなく、本項に含めることによって先行技術であると認めるものでもない。
【0003】
[0002] 人体の特定の医学的状態または状況は、身体内の血液の1以上の特性を検出することによって検出可能である。いくつかの実施例では、このような医学的状態は、身体から血液サンプルを抽出し、抽出された血液の1以上の特性を身体外部のセンサまたは他のシステムを用いて検出することによって検出可能である。たとえば、ランセットまたはその他の肌侵入装置は、血液が肌から放出される、および/または血液を肌から放出させることができるように、肌に侵入させることができる。別の例では、針、管、他の機器を使用して身体の動脈または静脈内の血液にアクセスすることができる。身体からアクセスされた血液は、センサにさらすことができる(たとえば、センサが血液と接触するように侵入された肌表面に配置される)。さらにまたはもしくは、アクセスされた血液は以後の分析のために保管することができる。特定の実施例では、ランセットを肌に侵入させ、肌から血液を放出させて、電気化学センサを放出された血液に接して配置することによって血液の血糖値を測定することができる。
【発明の概要】
【0004】
[0003] 本開示のいくつかの実施形態は、(i)肌に侵入するように構成される針と、(ii)針を肌に打ち込んで肌に穿孔を形成した後、肌から針を引き抜くように構成される注射器と、(iii)吸引を提供するように構成される吸引源と、(iv)吸引源によって提供される吸引に応じるように構成される封止材とを含むシステムであって、注射器が針を封止材に貫通させて封止材に少なくとも1つの穴を形成するように構成され、吸引源によって提供される吸引が封止材に形成された少なくとも1つの穴を通じて、肌に形成された穿孔から血液を引き出すように構成されるシステムを提供する。
【0005】
[0004] 本開示のいくつかの実施形態は、(i)肌に侵入するように構成される侵入手段と、(ii)侵入手段を肌に打ち込んで肌に穿孔を形成した後、肌から侵入手段を引き抜くように構成される注射器手段と、(iii)吸引を提供するように構成される吸引手段と、(iv)吸引手段によって提供される吸引に応じるように構成される封止材と、を含むシステムであって、注射器手段が侵入手段を封止材に貫通させて封止材に少なくとも1つの穴を形成するように構成され、吸引源によって提供される吸引が封止材に形成された少なくとも1つの穴を通じて、肌に形成された穿孔から血液を引き出すように構成されるシステムを提供する。
【0006】
[0005] 本開示のいくつかの実施形態は、(i)肌にシステムを装着することであって、システムが(a)肌に侵入するように構成される針と、(b)注射器と、(c)吸引源と、(d)吸引源によって提供される吸引に応じるように構成される吸引封止材とを備える、肌にシステムを装着することと、(ii)針を肌に打ち込んで肌に穿孔を形成した後、肌から針を引き抜くように注射器を動作させることとを含む方法であって、針を肌に打ち込むように注射器を動作させることが針を封止材に貫通させて封止材に少なくとも1つの穴を形成することをさらに備え、吸引源によって提供される吸引が封止材に形成された少なくとも1つの穴を通じて肌に形成された穿孔から血液を引き出すように構成される方法を提供する。
【0007】
[0006] これらのおよびその他の側面、利点、代替は、当業者が添付図面を適宜参照しつつ以下の詳細な説明を読むことで自明になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】[0007]例示の装置の展開図である。
図1B】[0008]図1Aの例示の装置の断面図である。
図2A】[0009]肌表面に装着される例示の装置の断面図である。
図2B】[0010]例示の装置の針が肌に侵入しているときの図2Aの例示の装置の断面図である。
図2C】[0011]例示の装置の針が肌から引き抜かれたときの図2Bの例示の装置の断面図である。
図2D】[0012]血液が肌から例示の装置のセンサに吸引されたときの図2Cの例示の装置の断面図である。
図3】[0013]装置の例示のピストンと針とを示す図である。
図4】[0014]例示の装置の断面図である。
図5A】[0015]例示の身体装着可能装置の上面斜視図である。
図5B】[0016]図5Aに示す例示の身体装着可能装置の底面斜視図である。
図6A】[0017]例示の身体装着可能装置の上面斜視図である。
図6B】[0018]図6Aに示す例示の身体装着可能装置の底面斜視図である。
図7】[0019]サーバと通信する複数の着用式装置を含む例示のシステムのブロック図である。
図8】[0020]例示の装置の機能ブロック図である。
図9】[0021]例示の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0022] 以下の詳細な説明では、本明細書の一部を成す添付図面を参照する。図面中、特に明示しない限り、類似の符号は通常、類似の構成要素を指す。詳細な説明、図面、請求項に記載される例示の実施形態は、限定的であることを意図していない。本明細書で提示する主題の範囲を逸脱せずに、他の実施形態を利用し、他の変更を行うことができる。本明細書に概略的に記載され図面に示される本開示の側面は幅広い様々な構造で構成、置換、結合、分離、および設計することができ、それらすべてが本明細書で明示的に企図されることが容易に理解されるであろう。
【0010】
[0023] さらに、本明細書に開示する実施形態は人の生体での使用または人の生体と関連して言及しているが、環境内の障壁に穿孔および/または要素に侵入することによって当該環境から流体を抽出する装置の動作が所望されるすべての環境において使用することができる。環境は、生物体または非生物体、あるいはその一部、ゲル、エマルジョン、流体導管、流体容器などであってもよいし、あるいはそれらを含んでいてもよい。
I.概要
【0011】
[0024] 身体に装着可能、着用式、携帯型、卓上用、またはその他の構造の装置は、生体内の血液にアクセスする(あるいは、その他の該当環境内のその他の流体にアクセスする)ように構成することができる。上記血液アクセス装置は、血液を肌から放出させる、肌に侵入または穿孔する手段を含むことができる。上記侵入または穿孔手段は、注射器によって肌に打ち込まれる1以上の針を含むことができ、この注射器は、1以上の針を肌に打ち込んだ後に引き抜いて、1以上の針によって肌に形成される1以上の穿孔またはその他の侵入から血液を放出させるように構成され、化学噴射剤、機械的または電気機械的要素、あるいはその他の要素またはコンポーネントを組み込む。上記血液アクセス装置は、封止材に形成される1以上の穴を通じて吸引し、測定、検出、保管、またはそれ以外の何らかの用途で使用されるように血液を装置に引き込む(たとえば、血液を装置の回収チャンバに引き込む)吸引手段をさらに含むことができる。たとえば、血液アクセス装置は、肌から装置が受け取る血液内のグルコースを検出するように構成されるセンサを含むことができる。さらにまたはもしくは、肌に打ち込まれる針は中空針とすることができ、針が肌に侵入しているとき、中空針を通じて吸引し,血液を装置内に引き込むことができる。身体装着可能血液アクセス装置は、複数の針、注射器、封止材、吸引源、センサ、血液保管要素、またはその他のコンポーネントを含み、たとえば、着用者が就寝中である複数の所定の時点で着用者の血液に自動的にアクセスするように動作することができる。
【0012】
[0025] 本明細書に記載される装置およびシステムは、様々な用途で血液にアクセスすることができる。アクセスされた血液の1以上の特性は、(たとえば、血液アクセス装置のセンサ、または上記血液アクセス装置によってアクセスおよび/または保管される血液にさらすことができるその他のシステムを用いて)測定または検出することができる。たとえば、血液の粘度、1以上の血液中の検体の濃度または状態、あるいは血液のその他の特性を検出することができる。たとえば、グルコース、インシュリン、1以上のホルモン、またはその他の物質の濃度を検出することができる。上記検体、および検出された濃度またはその他の特性は人の健康状態に関連させることができ、上記健康状態の判定に使用することができる。さらに、上記の判定された健康状態を使用して、とるべき医療行為またはその他の行為、たとえば、薬剤(たとえば、インシュリン)を投与する、運動を行う、診療を求める、またはその他の行為を実行することを決定および/または示唆することができる。さらにまたはもしくは、複数時点でアクセスされた血液に検出される複数の検体濃度またはその他の特性によって、人の1以上の生理学的基準線またはその他の生理学的特性(たとえば、基準線血液グルコース濃度、基準線日間血液グルコースプロファイル)を判定する、および/または、医学的治療レジメ(たとえば、タイミング、投薬量、または人への薬物投与に関するその他の特性)を判定および/または変更することができる。
【0013】
[0026] 1以上の針または肌に侵入するその他の手段を駆動するように構成される注射器またはその他の手段は、1以上の針を肌に打ち込んだ後に引き抜く力を提供するように様々な様式で構成することができる。たとえば、注射器は、チャンバに配置されて1以上の針に連結されるピストンと、ピストンの後ろに圧力を加えて、駆動し、1以上の針を装着したピストンを、1以上の針が肌に打ち込まれるように前方に駆動する噴射剤とを含むことができる。肌に打ち込まれた後に1以上の針を引き抜く力を印加するバネまたは他の手段も使用することができる。特定の実施例では、噴射剤は、(たとえば、抵抗加熱要素によって噴射温度まで加熱されることで)噴射されることによって、ピストンに圧力を加えて針を肌に打ち込むガスを生成することができる化学物質または他の材料(たとえば、ニトロセルロース)を含むことができる。他の実施例では、噴射剤は、(たとえば、弁を開放する、封止材に穴を開ける、ガスを電気化学的に生成する、ガスを化学的に生成することによって)チャンバに導入される圧縮ガスを含むことができ、圧縮ガスはピストンに圧力をかけて、針を肌に打ち込むことができる。さらにまたはもしくは、注射器は、予荷重バネ、カムに連結される磁気要素、モータ、ソレノイド、超音波振動器、または1以上の針を肌に打ち込むように構成されるその他の要素を含むことができる。
【0014】
[0027] 封止材を吸引し、(たとえば、封止材を貫通して打ち込まれる1以上の針によって)封止材に形成される1以上の穴から血液を引き込む、および/またはその他の手段(たとえば、中空針を通じて)血液を装置に引き込むように構成される吸引源またはその他の吸引手段は、様々な機構によって吸引を提供することができる。いくつかの実施例では、吸引源は、ポンプ、内気圧化学プロセス、バネ荷重容積、または封止材が受ける圧力を低下させる、あるいはその他の方法で封止材を吸引するように動作するその他の始動要素を含むことができる。いくつかの実施例では、吸引源は排気容積、すなわち、装置の周囲の大気圧力よりも低い圧力を有する密封容積を含むことができるため、封止材が破られたとき、血液(あるいはその他の流体または物質)が封止材の1以上の穴を通って/に向かって引き寄せられる。
【0015】
[0028] 封止材に、および/または封止材に形成された1以上の穴を通じて提供される吸引は、肌を封止材の方に引っ張るように動作することができる。いくつかの実施例では、装置は、封止材および/または装置のその他の要素に形成される凹状窪み(たとえば、球状窪み)を含み、吸引源によって提供される吸引が肌の一部を凹状窪み内に引き込むことができる。このような肌の変位は、肌からの血液の放出の速度および/また期間を上昇させる役目を果たすことができる。さらにまたはもしくは、血液アクセス装置は、1以上の針の侵入後の肌からの血液放出の速度および/また期間を上昇させるように他の様式で構成することができる。いくつかの実施例では、ヘパリンあるいはその他の抗凝血または抗凝固物質を、(たとえば、堆積させる、および/または1以上の針を用いて注入することによって)肌上/内に導入することができる。いくつかの実施例では、肌の血液流量は、たとえば、(たとえば、封止材を介して血液を引き込むのに使用される吸引源と同じまたは異なる吸引源を使用して)肌を吸引する、摩擦力を肌に加える(たとえば、肌をこする)、および/または、1以上の針を肌に打ち込む前に肌を加熱することによって増大させることができる。
【0016】
[0029] (たとえば、1以上の針を肌に打ち込んで、肌を吸引して、血液を肌から装置に引き込むことによって)本明細書に記載される装置にアクセスされた血液は、様々な用途で使用することができる。いくつかの実施例では、装置は、血液の1以上の特性を検出する(たとえば、血液中の検体の濃度を検出する)ように構成可能なセンサを含むことができる。上記センサは、血液とセンサの1以上の要素(たとえば、電気化学センサの電極)との間の接触に基づき動作することができる。もしくは、上記センサは非接触センサ(たとえば、比色またはその他の光センサ)とすることができる。センサは、アクセスされた血液内のグルコース、血球数、電解質、ホルモン、コレステロール、またはその他の検体を検出するように構成することができる。
【0017】
[0030] さらにまたはもしくは、本明細書に記載の装置は以後の使用、たとえば、その他の装置またはシステムのセンサまたはその他の要素による疑問に備えて、アクセスされた血液を保管するように構成することができる。たとえば、装置は、肌から血液にアクセスして、アクセスされた血液を保管することができる。その後、保管された血液は、保管された血液を収容し、提供された血液の1以上の特性を検出するように構成される卓上用センサ装置またはその他のシステムに送ることができる。血液の保管は、血液が流体として保管されるように、ヘパリンあるいはその他の安定剤および/または抗凝血剤を供給することを含むことができる。さらにまたはもしくは、アクセスされ保管された血液は乾燥、凝血、凝固、またはその他のプロセスに関与させることができ、乾燥した、あるいはその他の形で変質した保管血液は、保管された血液を受け取るように構成されるセンサ装置に送ることができる。いくつかの実施例では、血液アクセス装置の1以上の血液保管要素は取外し可能であり、装置から取り外して、分析のために他のシステムに送ることができる(たとえば、装置の着脱血液保管部を取り外して、中央研究所に送ることができる)。
【0018】
[0031] いくつかの実施例では、血液アクセス装置は、血液にアクセスする装置の動作、および/または装置のセンサによって感知されるアクセスされた血液に関する情報、装置の機能に関する進捗状況またはその他の情報、あるいはその他の情報に関して、ユーザの認知可能な表示(たとえば、視覚、聴覚、および/または触覚表示)を提供するように構成されるユーザインタフェースを含むことができる。いくつかの実施例では、ユーザインタフェースは、ユーザの好みに応じて定められる装置の1以上の設定(たとえば、肌から血液にアクセスする装置の1以上の今後の起動タイミング、ユーザ情報のプライバシー設定、サービスにアクセスするユーザの資格情報)のための手段をさらに設けることができる。いくつかの実施例では、装置は、たとえば、ブルートゥース(登録商標)、ZigBee、WiFi、および/またはその他の無線通信プロトコルを用いて外部装置との間でデータを送受信することが可能な無線通信インタフェースを含むことができる。無線通信インタフェースによって送信されるデータは、装置によってアクセスされた血液に基づき測定および/または判定される1以上の生理学的パラメータまたは健康状態を示すデータを含むことができる。さらにまたはもしくは、無線通信インタフェースは、外部システムからデータを受信するように構成することができる。
【0019】
[0032] 本明細書に記載される上記実施形態および他の実施形態は説明を目的とし、限定を目的としていないと理解すべきである。さらに、「アクセス」、「アクセスされた」、「アクセスする」などの文言および、肌からの血液の放出を促す装置の動作に関して使用される関連の文言は、(特に明示しない限り)肌またはその他の組織から血液を受け取る装置またはシステム装置の動作または構造を記載するために使用される。これには、切断、穿孔、切開、切削、またはそれ以外の肌への侵入に応答して肌から放出された血液を受け取ることを含むことができる。これには、血液を肌および/または肌表面から装置内および/またはセンサ、記憶要素、または装置のその他の要素に向かって放出させるような能動的な引張り、吸上げ、吸引、またはそれ以外の抽出を含むことができる。さらに、本明細書に記載される実施例および実施形態は肌から血液にアクセスすることに言及するが、本明細書に記載される方法、装置、他の実施形態は、他の興味のある環境から他の流体にアクセスするために採用することもできると理解すべきである。
II.血液にアクセスする装置の動作例
【0020】
[0033] 装置は、肌またはその他の組織から血液にアクセスするために様々な様式で構成することができる。上記装置は、注入手段(たとえば、ピストンおよび化学噴射剤)によって肌に打ち込んだ後、(たとえば、バネによって)肌から引き抜き、結果として生じる肌の傷(たとえば、穿孔)から血液を放出させるように構成される様々な侵入手段(たとえば、1以上の針)を含むことができる。さらに、上記装置は、肌から血液を抜き取り、肌から放出される血液を装置に引き込む、および/またはアクセスされた血液を1以上のセンサ、血液保管要素、または装置のその他の要素に方向付けるように構成される各種手段(たとえば、吸引源、封止材、流路、凹状窪み)を含むことができる。さらに、上記装置は、用途に応じて、追加の要素、センサ、コントローラ、ユーザインタフェース、電源、通信インタフェース、またはその他の要素を含むことができる。
【0021】
[0034] 上記血液アクセス装置は、様々な方法で血液にアクセスする、血液を検出する、血液を保管する、またはその他の形で血液と相互作用するように構成することができる。いくつかの実施例では、上記装置は肌に装着またはその他の様式で着用させて、装置が自動的に血液にアクセスすることができる、たとえば、装置のコントローラまたはその他の要素が、装置の着用者の就寝中に装置の注射器を動作させて肌に穿孔し血液にアクセスすることができるように構成することができる。もしくは、装置は、肌の一部に手動で装着し、肌から血液にアクセスするように構成される携帯装置であってもよい。いくつかの実施例では、装置は壁に取り付ける、卓上に配置する、あるいはその他の様式で配置または搭載することができ、肌への装置の装着は、腕または身体の他の部分を装置の近傍に位置決めすること(たとえば、人の手首の肌を装置の特定の側面の近傍に配置すること)を含むことができる。いくつかの実施例では、1以上の要素(たとえば、注射器、針、封止材、吸引源、センサ、血液保管要素)は装置から取り外し可能とすることができ、たとえば、装置の他の要素(たとえば、コントローラ、ユーザインタフェース、台座)が、装置の使用済みの取外し可能要素を交換することによって再利用可能にできる。
【0022】
[0035] 本明細書にて開示した装置および方法を用いてアクセスされる血液は、様々な用途で使用することができる。上記用途は、人および/または人の血液の1以上の特性を、上記装置を用いてアクセスされる血液の量から検出あるいは判定することができる任意の用途を含むことができる。血液量は装置の構成に関連付けることができ、約1〜約10マイクロリットルとすることができる。たとえば、装置は、約3マイクロリットル超の血液にアクセスして(たとえば、肌に侵入し吸引して抜き取る)、アクセスされた血液中の1以上の検体の濃度(たとえば、グルコース、ホルモン、血球)を検出するように構成することができる。装置は、測定される血液の特性および/または特性の検出に使用されるセンサに応じて所定の最小量の血液を提供するように構成する(たとえば、ストローク長、針の直径または形状、肌を吸引によって引き込む凹状窪みの形状、提供される吸引の量)ことができる。たとえば、装置は、装置に配置される低電力化学センサを用いて血液のグルコースレベルを検出するのに十分量の血液にアクセスするように構成することができる。他の実施例では、装置は、十分な量の血液を保管して、血液アクセス装置から保管された血液を提供されるその他の装置またはシステムが血液の特性を検出できるように構成することができる。
【0023】
[0036] 上記血液アクセス装置の1例を図1Aおよび1Bに示す。装置100は6つのセクションを含み、各セクションはそれぞれ肌に侵入する針、針を肌に打ち込むように構成される注射器、吸引源、センサを含む。図1Aは、装置の第1のセクションのコンポーネントの展開斜視図である(装置100の他のセクションのコンポーネントは説明の明瞭化のために省略する)。図1Bは、装置100の第1のセクション構成要素を詳細に示す装置100の断面図である。装置100は、セクションのいくつかのチャンバ(たとえば、131)と排気容積(たとえば、141)ならびにその他の機能も含むように形成されたハウジング110を含む。血液アクセス装置100は、(たとえば、装置100の底面を肌と接触させて配置することによって)単独で使用する、他の装置の一部を成す(たとえば、手首またはそれ以外の身体の部分に装着可能な装置の一部)、他の装置の取外し可能モジュールである、あるいはその他の形で構成または動作させることができる。
【0024】
[0037] 第1のセクションは、ハウジング110に形成される第1のチャンバ131内に配置される要素を含む。ハウジングに形成されるチャンバは円筒状に示されているが、用途に応じて他の形状をとることもできる。チャンバは、肌に進入するように構成される針120と、針120に連結され、(たとえば、チャンバ131の長軸に沿って)チャンバ131内で摺動可能に移動するように構成されるピストン130と、チャンバ131内で摺動可能にピストン130を移動させて、針120を肌に打ち込み、さらにハウジングの底面に配置される封止材143を貫通させるように構成される噴射剤135とを含む。チャンバは、肌から針120を引き抜くように構成されるバネ137と、針120によって穿孔されるように構成される封止層139と、電流が抵抗要素136を通過するときに噴射剤135を十分に加熱することによって噴射剤135を噴射するように構成される抵抗要素136とをさらに含む。
【0025】
[0038] チャンバ131の上部は、ハウジング110に接合またはそれ以外の方法で接着される回路基板115または他の部材によって閉鎖される。回路基板115に配置される電子機器150(たとえば、1以上のコントローラ、論理ゲート、電流源、電子スイッチ、無線トランシーバ、アナログ−デジタル変換器)は、装置100の動作を実行する、たとえば、抵抗要素136に電流を印加して(または他の抵抗要素に、あるいは装置100の他の注射器の他のコンポーネントを動作させる)特定の時点で噴射剤135を噴射する、センサを動作させて装置100によって肌からアクセスされた血液の特性を検出する、あるいは用途に応じてその他の動作を実行するように構成することができる。
【0026】
[0039] 針流路121はハウジング110を介してチャンバ131の底部に形成されるため、ハウジング110の底部近傍の肌に針120を打ち込むことができる。ピストン口133がピストン130に形成され、チャンバ口132がハウジング110に形成されて、噴射剤135の噴射によって生成されるガスを装置の外に逃がすため、噴射された噴射剤163によりピストン130が封止材143を介して針120を肌に打ち込んだ後、バネ137は針120を引き抜くことができる。口133、132の直径、数、外形、その他の特性は、ピストン130が針120を打ち込む力、バネ137によって引き抜かれるまで針120が肌に侵入している期間、または装置100の動作のその他の特性を制御するように定めることができる。
【0027】
[0040] 封止材143は凹状窪み123を含み、ピストン130によって下方に打ち込まれるとき、針120が封止材143に侵入して封止材143に孔を形成する。流路145は封止材143の後ろの凹状窪み123の上方に形成されて、封止材143の後ろの領域とハウジング110に形成される排気容積141とを接続する。排気容積141の上部は回路基板115によって封止される。大気ガスは、チャンバ131を通って排気容積143に侵入するのを封止層139によって阻まれ、ハウジング110の底部(たとえば、凹状窪み123)を通って排気容積141に侵入するのを封止層143によって阻まれる。センサ140は排気容積141内に含まれる。排気容積141内の圧力は装置100を取り巻く環境の圧力よりも十分に低いため、1以上の穴が針120によって封止材143に形成されると、排気容積141は封止材143の1以上の穴と流路145を通って血液をセンサ140に接触するまで引き込む吸引源としての役割を果たし、センサ140は、血液の1以上の特性(たとえば、血液のグルコース濃度)を検出することができる。上記実施例では、排気容積141は、血液用の回収チャンバとしても機能する。排気容積141は、約50キロパスカル未満の圧力を有することができる。装置100の他の要素、たとえば、流路145、凹状窪み123、針流路121、装置の中空針に形成される中空流路(たとえば、針120が中空である実施例)、または装置100のその他の要素を、吸引源によって肌から引き込む血液用の回収チャンバとして使用することができる。
【0028】
[0041] 装置100は肌に沿うように構成される順応層170をさらに含み、封止材143の1以上の穴を通じて排気容積141(または装置100のその他の吸引源)によって提供される吸引が、封止材143の1以上の穴の近傍の肌に与えられる。これには、ポリウレタン、軟質ゴム、ポリマーゲル、またはその他の適合した材料から成る順応層170を含むことができる。さらにまたはもしくは、順応層170は、糊(たとえば、シアノアクリレート)、テープ、乾燥接着剤、またはその他の接着性物質を含むことができる。
【0029】
[0042] 図2A〜2Dは、肌105から血液にアクセスする装置100の動作を示す。図2Aは、肌105に装着されている装置100を示す。これには、接着剤または台座(たとえば、装置100が手首の肌との接触を維持するように、台座が人の手首を囲むように構成される)を用いて肌105に付着される装置100を含むことができる。もしくは、装置100は、手またはその他の方法で肌105との接触を維持するように設計される携帯装置とすることができる。別の実施例では、装置100は卓上用または他の比較的不動の装置とすることができ、肌105を含む身体の部分は、図示されるように装置100の近傍に配置することができる。
【0030】
[0043] 図2Bは、ピストン130を下方に摺動可能に移動させるように拡散されて、バネ137を圧縮し、針120を封止材143に貫通させ、さらには肌105に打ち込ませる噴射剤135を示す。バネ137の特性(たとえば、バネ定数、最初の荷重の程度)、ピストン130(たとえば、質量、チャンバ131の側面との摩擦係数、ピストン口133の直径と数)、針120(たとえば、直径、先端外形、フルオロポリマー被覆またはその他の摩擦防止被覆の有無)、チャンバ131(たとえば、外形、ピストン上方の領域の体積)、噴射剤135(たとえば、噴射剤の量、噴射剤を含む化学物質の混合物)、または装置100の他の要素は、針120が肌105に打ち込まれる速度を最大限にして、たとえば、装置の肌105への侵入動作によりユーザに生じる不快感を低減するように定めることができる。
【0031】
[0044] 図2Cは、ピストン130と、一部にはピストン口133およびチャンバ口132を通る噴射剤ガスの排出(矢印で示す)と、針120を肌105に打ち込むときにピストン130を下方に移動させることで(図2Bに示す)生じるバネ137の圧迫のためにバネ137から生じる力とによって肌105から引き抜かれる針120とを示す。図2Cは、ピストン130が封止材143を介して針120を肌105に打ち込むことによって、封止材143に形成される穴144と肌105に形成される穿孔107とをさらに示す。封止材143の穴144により、穴144近傍の肌(たとえば、凹状窪み123の下の肌)を排気容積141から吸引することができる。これにより、穴144近傍の肌105を凹状窪み123に引き込むことができる。さらに、肌105は、穿孔107と穴144が一直線に並ぶように凹状窪み123に引き込まれる。このため、肌105から(たとえば、穿孔107から)穴144を介して装置100に簡易に血液を引き込むことができる。肌に形成される穿孔と封止材に形成される1以上の穴とが一直線に並ばないように装置に向けて肌が吸引される実施例では、たとえば、吸上げ、表面張力、肌と装置間の空間への血液充填、またはその他の機構により、血液を装置に引き込むことができる。バネ137、ピストン130、針120、チャンバ131、噴射剤135、または装置100のその他の要素の特性は、針120が肌105から引き抜かれる速度を最大化する、および/または針120が肌105を刺す期間を最小化することによって、たとえば、装置の肌105への侵入動作によって生じるユーザの不快感を低減するように定めることができる。さらに、装置100の要素は、装置100に引き込まれるおよび/または吸引されるのではなく、肌105の表面に堆積される肌105からの血液の放出量を最小化するように構成することができる(たとえば、装置100は、封止材143と接触して肌105を吸引するように構成することができ、封止材143は血液をはじく疎水性またはその他の被覆を含むことができる)。
【0032】
[0045] 図2Dは、肌105から(たとえば、肌105に形成される穿孔107から)放出され、穴144を通って装置100に引き込まれる血液109を示す。さらに、放出された血液109は、流路145を介してセンサ140に方向付けられる。これには、排気容積141から吸引して、流路145を通ってセンサ140に血液109を引き込むことを含むことができる。さらにまたはもしくは、血液109は、封止材143の1以上の表面の疎水性および/または親水性被覆、流路145、または装置100の他の要素によって穴144と流路145まで、および/または穴144と流路145を通ってセンサ140まで方向づけることができる。たとえば、穴144から流路145を介してセンサまでの経路は、親水性物質で被覆することができる。血液109と接触可能な装置100の他の表面は疎水性物質で被覆することができる。さらにまたはもしくは、流路145(または装置100の他の要素)は、毛管現象を用いて血液109を方向づけるようなサイズに設定することができる。流路145または装置100の他の要素はヘパリンまたはその他の薬の被膜を含み、装置内の血液109の凝血および/または凝固を低減する(たとえば、装置100および/またはセンサ140に流れ込む血液109の期間および/または量を増大させる)ことができる。
【0033】
[0046] 凹状窪み123の形状、サイズ、外形、またはその他の特性は、針120による穿孔に応じて肌105から放出される血液の量を最大化するように定めることができる。たとえば、凹状窪み123は円錐状とすることができる。さらにまたはもしくは、装置100は、肌105から放出される血液の量を最大化するように様々な様式で構成することができる。たとえば、装置100は、たとえば、侵入前に肌105を加熱する、侵入前に肌に摩擦力を印加する(たとえば、肌をこする)、侵入前に肌105を吸引する、肌105の侵入前、中、および/または後に血管拡張剤、抗凝血剤、抗凝固剤、またはその他の薬(たとえば、ヘパリン、リドカイン)を投与する、あるいはその他の様式で構成または動作させることによって、装置100および/または凹状窪み123近傍の肌109の血液流を増大させるように構成することができる。薬は針120上の被覆として送達することができる。さらにまたはもしくは、針120は中空であり、上記中空針を介して、薬または他の物質を送達する、および/または血液を装置100内に吸引するために使用することができる。
【0034】
[0047] さらに、針120の特性は、肌105から放出される血液の量を最大化する、肌の穿孔によって生じる不快感を最小化する、あるいは、その他の検討事項に応じて規定することができる。たとえば、針120の先端は、肌105の偏向を最小化する、および/または針120による肌105の穿孔から生じる不快感を最小化する3つの傾斜面を含むことができる。もしくは、針120は、たとえば肌105から放出される血液を最大化するため、チゼル先端(たとえば、単独斜面)を有する、平坦な「カミソリ」刃端を有する、テーパ部を含む(たとえば、端部に向かって次第に薄くする)、円形、平坦、またはその他の形で構成することができる。針120はギザギザにすることができる。針120の直径(またはゲージ)は、肌105から放出される血液の量を最大化する、および/または針120による肌105の穿孔から生じる不快感を最小化するように定めることができる。たとえば、針120は約21〜約36ゲージのゲージを有することができる。
【0035】
[0048] いくつかの実施例では、ピストン130は複数の針を肌に打ち込むことができる。図3は、3つの平行な針320に連結されている例示のピストン330を示す。ピストン330はピストン口333をさらに含む。針320間の間隔、針320の数、針320の長および直径、針320の先端の外形、針320のその他の特性は、針320が侵入する肌から排出される血液量を最大化する、および/または針320による肌の穿孔によって生じる不快感を最小化するように定めることができる。たとえば、針間の間隔は、ピストン330が針320を肌に打ち込むときに、針が肌内の少なくとも1つの血管に侵入する可能性を最大化するように定めることができる。
【0036】
[0049] さらに、針120(または針)が肌105を刺す距離(たとえば、噴射剤135、チャンバ131、ピストン130、バネ137、針120、および/または装置100のその他の要素の特性に関連する)は、肌105から放出される血液の量を最大化する、および/または針120による肌105の穿孔から生じる不快感を最小化するように定めることができる。たとえば、装置100は、針120が約2ミリメートルの深さまで肌105に侵入するように構成することができる。いくつかの実施例では、装置100は、針120が毛細管および/または他の血管を含むが、多くの神経端部は含まない深さ(たとえば、肌105の表皮層と真皮層の間の遷移部近傍の深さ)まで肌105に侵入するように構成することができる。さらにまたはもしくは、装置100は、図示される角度以外の角度(すなわち、約90度以外の角度)で針120を肌105に打ち込むように構成することができる。
【0037】
[0050] 噴射剤135は、様々な化学物質および化学物質の組み合わせを含むことができる。たとえば、噴射剤135は、ニトロセルロース、ブタン、アジ化物、またはその他のエネルギーガス生成物質またはその他の化学物質を含むことができる。いくつかの実施例では、噴射剤は使用前に生成および/または改変することができる。たとえば、噴射剤は、電気分解によって水から生成される酸素と水素を含むことができる。もしくは、噴射剤は、圧縮ガス(たとえば、ポンプまたはその他の手段によって圧縮されるCO2、N2、空気、電気分解あるいはその他の方法または手段を用いて装置100によって生成されるガス)を含み、それにピストン130がさらされて、針120を肌105に打ち込むことができる。さらにまたはもしくは、ピストン130は、ピストン130下方の低圧力(たとえば、真空、吸引源、排気容積)によって駆動することができる。
【0038】
[0051] 噴射剤135を噴射する抵抗要素136は、非限定的な例であることを意図する。化学噴射剤(用途に応じて、またはその他の化学物質、または装置100の要素)を噴射する他の手段も予測され、(たとえば、火花ギャップにわたって、または装置100の電極間に高電圧を印加することによって)電気スパークを生成すること、(たとえば、レーザ、LED、またはその他の発光要素を用いて)噴射剤を照射すること、(たとえば、圧電要素を用いて)力および/または振動を噴射剤に加えること、あるいは、噴射剤に及ぼす圧力を変更することを含むがそれらに限定されない。さらに、ピストン133とチャンバ口132の例示の構造は非限定的な例であり、より多いまたは少ない口を備えることができる、口は異なる位置に配置することができる、あるいは、口はピストンが針を肌に打ち込む、および/またはその後で肌から針を引き抜くのを簡易化するようにその他の様式で構成することができる。1実施例では、1以上の口は通常は閉鎖し、口にかかる圧力が何らかのレベルを超過するとき(たとえば、ピストン130の後ろの圧力が。噴射剤135の噴射により所定圧力を超えて上昇するとき)(永久的または一時的に)開放するように構成することができる。さらにまたはもしくは、1以上の口は、ピストン130が所定距離、チャンバ131において下方に変位するときのみ、ピストン130の後ろのガス(たとえば、噴射剤135の噴射によって生じる高圧ガス)が口を通ってチャンバ131を脱出できるようにチャンバ131内に配置することができる。
【0039】
[0052] 装置100のピストン130、チャンバ131、噴射剤135、バネ137、その他の要素が、針120を肌に打ち込んだ後、化学噴射剤を噴射することによって肌から針を引き抜くように構成される注射器を備える。しかしながら、装置100は、針120を肌に打ち込んだ後に引き抜くように構成される追加または代替注射器を含むことができる。いくつかの実施例では、注射器は、(たとえば、手動ボタン、ソレノイド、または他の電気機械アクチュエータによって)解放されるように構成される1以上の予荷重バネを含むことができる。注射器は、1以上の磁石と装置100の他の要素との間で力を移転し、針120に加えることのできる駆動力および/または引戻し力を生成するように構成される1以上の磁石および/またはカムを含むことができる。いくつかの実施例では、注射器は、(たとえば、ラックアンドピニオン式機構を介して、カムを用いて、ソレノイドを用いて磁力を印加することによって)直接、および/またはバネ(たとえば、回転バネ)を装填することによって、駆動力および/または引戻し力を針に加えるように構成される1以上のモータまたは他の電気機械アクチュエータを含むことができる。いくつかの実施例では、針120は肌に突き刺すのに必要な力よりも小さな一定の力で肌に当てることができ、針120が肌を突き刺すように振動器(たとえば、振動モータ、圧電トランスデューサまたはその他の構成の超音波トランスデューサ)で針120を振動させることができる。針120を肌に打ち込んだ後で引き抜く他の注射器または他の手段および方法も予想される。
【0040】
[0053] 封止材143に印加される吸引は、様々な手段または方法で実行することができる。図1および2A〜2Dに示すように、吸引は、装置100の周囲大気の圧力よりも低い圧力を有する排気容積141によって実行することができる。さらにまたはもしくは、ポンプ、(たとえば、温度を低下させる、密封容積(たとえば、141)から窒素、酸素、またはその他のガスを消費する、および/または上記ガスの相を変更することによって)圧力を低下させる化学プロセス、バネ荷重またはその他の始動、サイズを増加させて(吸引を生成する)始動することができる密封容積、または吸引を生成するその他の手段を用いて吸引を実行することができる。いくつかの実施例では、(たとえば、本明細書に記載される針が肌に侵入することにより)肌から放出される血液は、吸引源を用いることなく、たとえば、疎水性および/または親水性被覆および/または毛細管力を利用して装置100内および/または装置100に対する血液の位置および/または制御する、センサ、血液保管要素、装置100のその他の要素を装置100が針120で肌に侵入する位置の近傍に配置する、あるいはその他の様式で装置100を構成することによって、装置100に引き込む、センサ(たとえば、140)に貼付する、保管する、あるいは用途に応じてその他の様式で操作することができる。いくつかの実施例では、たとえば、針120が静脈またはその他の大きな血管を突き刺すと、肌内または下の血圧または他の力で十分な量の血液を肌から放出させることができる。
【0041】
[0054] 吸引が排気容積(たとえば、141)を備える吸引源によって提供されると、排気容積内の圧力は、十分な吸引を提供するように定めることができる。たとえば、排気容積内の圧力は約50キロパスカル未満とすることができる。さらに、装置100は、排気容積が規定の最小期間、最大値(たとえば、50キロパスカル)未満の圧力を有し、吸引源として使用されて特定の未来の時点で血液を装置100内に引き込むように構成することができる。これには、装置100が、排気容積を備えるおよび/または形成する装置100の要素間に高品質封止材および接着剤を含むことを含むことができる。いくつかの実施例では、結合されて排気容積を形成する装置100の表面要素(たとえば、ハウジング110、封止材143、回路基板115)が非常に滑らかな表面を有することができる。いくつかの実施例では、装置100は、排気容積内の圧力が48時間、1週間、またはその他の特定期間、規定の最大圧力未満を維持して、排気容積が吸引によって特定期間よりも前の特定の未来の時点で血液を装置100に引き込むように構成するおよび/または組み立てることができる。いくつかの実施例では、これには、パッケージの排気容積(たとえば、パッケージ材の排気および密封ブリスター内)に装置100を保管し、装置100を肌に装着する前にパッケージの排気容積から装置100を取り外すことを含むことができる。
【0042】
[0055] 封止材143は、吸引が、実施されて、封止材が針120で穿孔されるまで含まれるような各種材料で作製することができる。さらに、封止材143は、特定の形状(たとえば、ハウジング110に装着することができ、1以上の凹状窪み、たとえば123を含む形状)に真空形成することができる材料で作製することができる。たとえば、封止材143はポリカーボネートで作製することができる。
【0043】
[0056] センサ140は、装置100(たとえば、109)に抜き取られた血液の様々な特性を検出するように構成することができる。たとえば、センサ140は、存在、濃度、または血液内の検体のその他の特性(たとえば、グルコース、小分子、細胞、細胞計数、ホルモン、コレステロール、テストステロン、甲状腺ホルモン、ビタミン、ミネラル、電解質、コルチゾール、クレアチニン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン)を検出するように構成することができる。いくつかの実施例では、センサ140は、血液の凝固速度、粘度、オスモル濃度、またはその他の特性を検出するように構成することができる。センサ140は、血液とセンサ140の1以上の要素との間の直接接触を通じて血液の特性を検出するように構成することができる。たとえば、センサ140は、血液が電気化学センサの1以上の電極に接触するとき(たとえば、血液が血液中の該当検体を選択的に感知するセンサ140の作用電極と接触し、センサ140の基準電極とさらに接触するとき)、血液の1以上の特性を電流測定、電位差測定、またはそれ以外の電気化学的方法で検出するように構成される電気化学センサとすることができる。別の実施例では、センサ140は、血液が検体感知化学物質(たとえば、蛍光物質、発色団)と接触するとき、血液中の検体に関連する1以上の光学特性(たとえば、色、蛍光強度、蛍光寿命)を有する血液の特性を検出するように構成することができ、センサ140は、光学的に調査する(たとえば、検体感知化学物質を照らす、および/または検体感知化学物質から放出される光を受け取る)ことによって血液中の検体を検出することができる。さらにまたはもしくは、センサ140は、血液と直接接触せずに、たとえば、血液の色、血液の運動特性、またはその他の特性を検出することによって血液の1以上の特性を検出するように構成することができる。
【0044】
[0057] さらにまたはもしくは、本明細書に記載される装置は、(たとえば、以後の分析のため)肌から放出された、および/または抜き取られた血液を保管するように構成することができる。図4は、肌に装着され、肌に針420を突き刺し、針を引き抜き、肌から装置400へ血液を引き込み、血液保管要素440に血液を保管するように構成される装置400の断面図である。さらに、針420は封止材443を突き刺すように機能して、装置(たとえば、装置の排気容積441)の吸引によって、封止材443に形成された穴を通じて肌から血液を血液保管要素440に引き込むことができる。図示する実施例では、血液保管要素440は毛細管を含むが、さらにまたはもしくは、アンプル、ボウル、穴、または血液を含有するように構成されるその他の外形を含むことができる。さらに、血液保管要素(たとえば、440)は、保管された血液を保存する、化学的に変質させる、凝固または凝血を防止する、あるいはそれ以外の方法で処理するように構成することができる。たとえば、血液保管要素440は、抜き取られ保管された血液の凝固および/または凝血を防ぐためにヘパリンを含有することができる。もしくは、血液保管要素は、用途に応じて血液を乾燥させるように構成することができる。いくつかの実施例では、血液保管要素は吸収性材料、たとえば、血液または他の流体を吸収するように構成される布片を含むことができる。
【0045】
[0058] 保管された血液は、保管された血液の1以上の特性を検出するように構成される感知装置(たとえば、本明細書に記載される血液アクセス装置100、400とは別の卓上用装置またはその他の装置)のセンサまたはその他の要素に対して送ることができる。たとえば、血液アクセス装置は、上記感知装置に搭載され、保管された血液を感知装置に提供するように構成することができる。これには、血液アクセス装置に保持したままで保管された血液の1以上の特性を検出する(たとえば、血液アクセス装置のウィンドウ、光ファイバ、その他の光透過性要素を介して、保管された血液を照らす、および/または保管された血液からの光を受けることによって、保管血液の特性を光学的に検出する)感知装置を含むことができる。さらにまたはもしくは、保管された血液を感知装置に提供する血液アクセス装置は、保管された血液を血液保管要素または血液アクセス装置の他のコンポーネントから移動させることを含むことができる。
【0046】
[0059] 本明細書に記載される血液アクセス装置またはシステム(たとえば、100、400)は複数のセンサ、血液保管要素、針、注射器、封止材、および/またはその他の要素を含むことができる。図1Aに示すように、装置100は6つのセクションを含み、各セクションはそれぞれ針、注射器、吸引源、その他の要素を含む。各セクションは、それぞれの針を肌に打ち込んだ後、針を肌から引き抜き、針の侵入に応答して肌から放出される血液を受け取るように構成される。各セクションは、肌から受け取った血液を収容し、移送し、測定、またはそれ以外の相互作用を実行するように構成される1以上のセンサ、1以上の血液保管要素、および/または追加のコンポーネントを含むことができる。装置のセクションは、類似の構成をとることができる(たとえば、類似のセンサを含む、類似の方法で肌から類似量の血液を抜き取ることができる)、あるいは異なる構成をとることができる(たとえば、異なるセンサ、異なる構造の注射器、異なる構造の針を有することができる)。装置のセクションは、通信(たとえば、ブルートゥース、ZigBee、WiFi、またはその他の無線通信プロトコルを介した無線通信)中にユーザおよび/または遠隔システムから受信するコマンドに応じて、検出されたコマンド(たとえば、ボタンの押圧)および/または着用者の挙動(たとえば、装置100の加速度計を用いて検出される運動競技中のパフォーマンス)に応じて、着用者の検出された生理学的状態(たとえば、装置100のセンサによって検出される心拍数または血圧)に基づき、あるいはその他のスキームに応じて、異なる時点、たとえば、装置の着用者が就寝中の複数の時点や、1週間のうちの複数の時点で肌から血液にアクセスするように動作することができる。
【0047】
[0060] さらに、装置は、本明細書に記載される実施形態と同様にまたは異なって構成される(たとえば、図示されるように円形ではなく一列に)、より多いまたは少ないセクションを含むことができる。たとえば、血液アクセス装置は単独のセクションを含むことができる。注射器および/または吸引源が使い捨てであり(たとえば、注射器が限られた供給量の噴射剤を噴射する、および/または吸引が単独の排気容積によって実行される)、装置が単独の上記セクションを有する実施例では、血液アクセス装置は使い捨て用に構成することができる。いくつかの実施例では、上記使い捨ておよび/または限定使用(たとえば、図1Aに示すように6回用)の装置は、他の装置の取外し可能および/または交換可能要素として構成することができる。たとえば、血液アクセス装置100は、コントローラ、ユーザインタフェース、バッテリ、通信インタフェース、またはその他の要素を含む身体装着可能装置(たとえば、手首装着可能装置)上または内に脱着可能に搭載されるように構成することができる。上記身体装着可能装置は、(たとえば、それぞれの明示された時点で)限定使用の血液アクセス装置を動作させ、肌から血液のいくつかのサンプルにアクセスするように構成することができる。いったん身体装着可能装置が血液アクセス装置のすべての限定使用セクションを動作させたら、血液アクセス装置は身体装着可能装置から取り外して交換することができる。いくつかの実施例では、取り外された血液アクセス装置は血液を保管するように構成することができ、取り外された血液アクセス装置に保管された血液は分析のために感知装置に送ることができる(たとえば、取り外された血液アクセス装置は、身体装着可能装置のユーザから離れた研究所の感知装置まで郵便を介して送ることができる)。
【0048】
[0061] なお、本明細書に記載される装置の構造および動作は、肌を穿孔し、穿孔に応答して肌から放出される血液を受け取るように構成される装置の動作の非限定例として意図されることに留意すべきである。上記装置は、肌に侵入または穿孔する手段と、肌への侵入手段を駆動する手段と、肌から侵入手段を引き抜く手段と、抜取り、吸上げ、吸引、または肌から放出される血液を受け取るその他の手段と、受け取った血液を保管する手段と、受け取った血液の1以上の特性を感知する手段と、受け取った血液を移動する、方向付ける、保存する、またはそれ以外の形で相互作用する手段と、あるいは用途に応じて機能の追加または代替動作を実行する手段と、を含むことができる。
III.例示の着用式装置
【0049】
[0062] 本文書に記載される着用式血液アクセス装置は、着用者の身体の外表面に装着して、着用者の血液にアクセスすること(たとえば、血液を抜き取る、抽出する、あるいはその他の様式で受け取る)、上記アクセスされた血液を保管すること、上記アクセスされた血液の1以上の特性を検出すること、着用者の身体のその他の特性(たとえば、脈拍数)を検出すること、あるいはその他の機能を実行することなどの様々な用途および機能を可能にするように構成することができる。上記着用式装置は、血液特性または着用者に関するその他の生理学的情報を測定すること、上記測定された情報またはその他の情報を(たとえば、振動器、画面、ビーパーを用いて)着用者に示すこと、上記情報を記録すること、上記情報を遠隔システム(たとえば、医師のオフィス内のサーバ)に示すこと、またはその他の機能などの各種用途を可能にすることができる。
【0050】
[0063] いくつかの実施例では、着用式装置500(図5に示す)は図5Aおよび5Bに示すような手首装着装置として提供される。手首装着装置500は、時計またはブレスレットに類似する手首バンドまたはカフを用いて生体の手首に装着することができる。着用式装置500は、着用者の血液にアクセスし、上記アクセスされた血液を保管し、その特性を検出し、その他の形で相互作用するように構成することができる。本開示で使用されるような「着用式装置」という文言は、手首、足首、腰部、胸部、またはその他の身体部分などの身体表面またはその近傍に着用することができる任意の装置を指す。身体の肌内および/また下から血液にアクセスするため、着用式装置は、皮下血管またはその他の対象または着用者の身体の部分に容易にアクセスできる(たとえば、穿孔することができる)身体の一部に配置することができ、その必要条件は使用されるシステムの種類に依存する。ベルト、手首バンド、足首バンドなどの台座510は、身体表面またはその近傍に装置を装着するために設けることができる。台座510は、装置500(たとえば、打ち込まれた後に引き抜かれる装置の針)によって肌に生成される穿孔から、あるいはその他の用途または考慮事項に応じて血液を抜き取ることができるように、着用式装置が身体に対して移動するのを防止することができる。1実施例では、図5Aおよび5Bに示すように、台座510は、身体の手首(またはその他の部分)の周りに着用可能なストラップまたはバンド520の形状をとることができる。さらに、台座510は、血液アクセス装置500を着用者の身体に付着させる接着性基板であってもよい。
【0051】
[0064] ハウジング530は、身体に置くことができるように台座510に配置される。ハウジング530の接触面540は、身体の外表面に面して搭載されることを意図される。ハウジング530は、着用者の1以上の生理学的特性(たとえば、脈、血中酸素、ガルバニック肌反応)を検出するセンサを含むことができる。接触面540はいくつかの凹状窪み550をさらに含む。各凹状窪み550は、凹状窪み(たとえば、装置の封止材および/または針を通過させるように構成される装置の流路)を通じて針を着用者の肌に打ち込んだ後、肌から針を引き抜くように動作可能な装置500の血液アクセスセクションに対応する。さらに、各セクションは、応答して肌から放出される血液を(たとえば、吸上げ、毛管現象、吸引の印加、またはその他の手段によって)受け取り、保管し、その特性を検出し、受け取った血液とその他の形で相互作用するように構成される。
【0052】
[0065] ハウジング530は耐水性および/または防水性であるように構成することができる。つまり、ハウジング530は、ハウジング530が水にさらされたときに内部容積に入ってくる水に耐性を有するように、密封剤、接着剤、ガスケット、溶着部、透明ウィンドウ、孔、圧入継ぎ目、および/またはその他の接合部を含んで構成することができる。ハウジング530はさらに耐水性にする、すなわち、ハウジング530が水中に没したときに内部容積に入ってくる水に耐性を有することができる。たとえば、ハウジング530は、水深1メートルの耐水性を有する、すなわち、ハウジング530が1メートルの深さまで水中に沈んだときに内部容積に入ってくる水に耐性を有する。
【0053】
[0066] 着用式装置500はユーザインタフェース590もさらに含み、該ユーザインタフェースを介して、装置の着用者は、遠隔サーバまたはその他の遠隔演算装置から、あるいは装置内のプロセッサから生成される1以上の助言または警告を受け取ることができる。警告は、着用式装置500を着用する人が気づくことのできる任意の表示であってもよい。たとえば、警告は、視覚コンポーネント(たとえば、ディスプレイ上のテキストまたはグラフィカル情報)、聴覚コンポーネント(たとえば、警告音)、および/または触覚コンポーネント(たとえば、振動)を含むことができる。さらに、ユーザインタフェース590は、警告または助言の視覚的に表示可能なディスプレイ592を含むことができる。さらに、ディスプレイ592は、装置を用いて着用者の身体からアクセスされた血液の測定血行力学特性を表示する(たとえば、着用者の血液の血糖値を表示する)ように構成することができる。
【0054】
[0067] さらに、ユーザインタフェース590は、着用者からの入力を受け入れる1以上のボタン594を含むことができる。たとえば、ボタン594は、ディスプレイ592上で可視なテキストまたはその他の情報を変更するように構成することができる。ボタン594は、測定期間を開始させる(たとえば、針を肌に打ち込む、あるいはその他の方法によって装置500を着用者の血液にアクセスさせる)などのデータ収集システムの制御側面の入力、着用者の現在の健康状態(すなわち、正常、偏頭痛、息切れ、心臓発作、発熱、「インフルエンザ様」症候群、食中毒など)を示す入力、または着用者の活動(たとえば、食事を取る、服薬する)を示す入力を受け入れるように構成することができる。
【0055】
[0068] なお、本明細書の例示の装置は、着用者の手首に装着するように構成されることに留意されたい。しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、他の身体部分(たとえば、足首、太もも、胸、お腹、額、太もも、指)に適用する、あるいは他の環境下で血液特性またはその他の生理学的特性を検出することができる。たとえば、本明細書に記載される実施形態は、対象環境(たとえば、自然環境、工業、薬学、または水処理工程の環境)下で1以上の特性を検出するように適用することができる。
【0056】
[0069] 装置500の血液アクセスセクションは使い捨てにすることができる。たとえば、1以上のセクションの注射器は限られた供給量の噴射剤を噴射することができ、吸引が単独の排気容積によってセクションに供給される。上記の例では、上記単独使用および/または限定使用血液アクセスセクションは、着用式装置500の取外し可能および/または交換可能要素となるように構成することができる。たとえば、図6Aおよび6Bは、着用式装置500上または内に脱着可能に搭載されるように構成することができる血液アクセス装置600を示す。血液アクセス装置600は、血液アクセス装置600が着用式装置500上または内に搭載され、着用式装置500が身体に装着されるとき、身体の肌に配置することができるハウジング610を含む。ハウジング610の接触面605は、身体の外表面に面して搭載されることが意図される。接触面605はいくつかの凹状窪み620を含む。各凹状窪み620は、(たとえば、着用式装置500上または内に搭載されるとき)、凹状窪み(たとえば、装置の封止材および/または針を通過させるように構成される装置の流路)を通じて着用者の肌に針を打ち込んだ後に肌から針を引き抜くように動作させることができる血液アクセス装置600の血液アクセスセクションに対応する。さらに、各セクションは、(応答して肌から放出される血液をたとえば、吸上げ、毛管現象、吸引、またはその他の手段によって)受け取り保管する、血液の特性を検出する、あるいは受け取った血液とその他の形で相互作用するように構成される。
【0057】
[0070] 着用式装置500は、血液アクセス装置600を動作させて、肌から血液のいくつかのサンプルに(たとえば、それぞれ所定の時点に)アクセスするように構成することができる。いったん身体装着可能装置が血液アクセス装置600の全セクションを動作させたら、血液アクセス装置600は着用式装置500から取り外し交換することができる。いくつかの実施例では、これには、(たとえば、電気コネクタ640、光学受信機/送信機645、および/または電子機器630を介して)血液アクセス装置600の1以上の注射器、吸引源、および/または他のコンポーネントを動作させることを含むことができる。さらにまたはもしくは、着用式装置500は、他の手段によって、たとえば、着用式装置500のレーザを用いて噴射剤を加熱することで血液アクセス装置600の噴射剤を噴射することによって、血液アクセス装置600を動作させることができる。
【0058】
[0071] いくつかの実施例では、取り外された血液アクセス装置600は血液を保管するように構成することができ、取り外された血液アクセス装置600に保管された血液は、分析のために感知装置に送ることができる(たとえば、取り外された血液アクセス装置600は、身体装着可能装置500のユーザから離れた研究所の感知装置まで郵便を介して送ることができる)。たとえば、血液アクセス装置600内に保管される血液サンプルは、血液アクセス装置600のポート650を介してアクセスすることができる。
【0059】
[0072] さらにまたはもしくは、着用式装置500は、血液アクセス装置600を用いてアクセスされる血液の1以上の特性を検出するように構成することができる。いくつかの実施例では、血液アクセス装置600は、血液の1以上の特性を検出するように構成される1以上のセンサを含むことができる。着用式装置500は、(たとえば、電気コネクタ640、光学受信機/送信機645、および/または電子機器630を介して)血液アクセス装置600のセンサを動作させることができる。さらにまたはもしくは、着用式装置500は、血液アクセス装置600を照らして、および/または血液アクセス装置600からの光を受けて(たとえば、血液アクセス装置600のウィンドウ、光ファイバ、その他の光透過性要素を介して、血液中の検体に関連する1以上の光学特性を有する検体感知化学物質を照らす、および/またはそこからの光を受ける)、血液アクセス装置600によって抜き取られる、吸い上げられる、吸引される、あるいはその他の形で受け取られる血液の1以上の特性を検出するように構成することができる。
【0060】
[0073] 本明細書に記載される着用式血液アクセス装置およびその他の実施形態は、様々な様式で構成される各種コンポーネントを含むことができる。本明細書に記載される装置は、着用式装置の用途を可能にするように様々な様式で構成される広範な各種コンポーネントを含む電子機器を含むことができる。電子機器は、コントローラ、増幅器、スイッチ、ディスプレイドライバ、タッチセンサ、無線通信チップセット(たとえば、着用式装置とその他のシステムとの間の無線通信を可能にするブルートゥース無線またはその他の無線トランシーバおよび関連ベースバンド回路)、またはその他のコンポーネントを含むことができる。電子機器は、1以上のセンサ、注射器、吸引源、および/または血液アクセス装置のコンポーネントを動作させて1以上の血液または身体の特性を検出する、および/または身体の肌内および/または下の血液にアクセスし保管する,あるいはその他の形で相互作用するように構成されるコントローラを含むことができる。コントローラは、着用式装置の用途を可能にするコンピュータ可読命令(たとえば、着用式装置のデータ記憶装置に記憶されるプログラム命令)を実行するように構成されるプロセッサを含むことができる。電子機器は、着用式装置の用途に応じて追加または代替コンポーネントを含むことができる。
【0061】
[0074] 本明細書に記載するような着用式またはその他の構造の血液アクセス装置は1以上のユーザインタフェースを含むことができる。ユーザインタフェースは、着用者に画像を提示し、インタフェース上で着用者の指の1回以上の押圧を検出するように構成されるディスプレイを含むことができる。電子機器のコントローラまたはその他のコンポーネントは、ユーザインタフェースを動作させて、着用者または装置の他のユーザに情報を提供し、着用者または他のユーザが着用式装置の動作に影響を及ぼす、着用式装置の特性および/または着用式装置の着用者の特性(たとえば、血液の血液特性および/または着用式装置の着用者の健康状態)を判定する、あるいは着用者および/またはユーザにその他の機能または用途を提供することを可能にする。1例として、着用者はユーザインタフェースの指定領域を押圧して、着用式装置が着用者に関して検出される医療情報のロギングを開始すべきであると示すことができる。他の表示情報、着用式装置の動作の変更、またはユーザインタフェースの他の機能および用途も予測される。
【0062】
[0075] なお、図面に示す実施形態は例示であり、限定することを目的としていないことに留意されたい。別の構造でより多いまたは少ないコンポーネントを含む別の実施形態も予測される。着用式、携帯型、身体に装着可能、デスクトップ、またはその他の構成の装置は、複数のハウジング、またはそれぞれが上記装置の用途を可能にする複数セットのコンポーネントを有するアセンブリを含むことができる。本明細書に記載するような血液アクセス装置は、各種機能を実行し各種用途を可能にするように構成することができる。血液アクセス装置は、他の装置またはシステムと協調して動作するように構成することができる。たとえば、血液アクセス装置は、着用式装置の着用者の血液の1以上の特性を示すデータを送信するように構成される無線通信インタフェースを含むことができる。本明細書に記載される血液アクセス装置の他の実施形態、動作、構造、用途も予測される。
【0063】
[0076] 図7は、1以上の着用式血液アクセス装置700を含むシステムの概略図である。1以上の着用式装置700は、1以上の通信ネットワーク720上で通信インタフェース710を介して遠隔サーバ730にデータを送信するように構成することができる。一実施形態では、通信インタフェース710は、サーバ730との間で送受信通信を行う無線トランシーバを含む。別の実施形態では、通信インタフェース710は、有線通信と無線通信の両方を含むデータ転送用の任意の手段を含むことができる。たとえば、通信インタフェースはユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェースまたはセキュアデジタル(SD)カードインタフェースを含むことができる。通信ネットワーク720は従来の普通の電話サービス(POTS)ネットワーク、セルラーネットワーク、ファイバネットワーク、データネットワークのいずれであってもよい。サーバ730は任意の種類の遠隔演算装置または遠隔クラウドコンピューティングネットワークを含むことができる。さらに、通信ネットワーク720は1以上の仲介手段を含むことができ、たとえば、着用式装置700はデータを携帯電話またはその他のパーソナルコンピューティング装置に送信し、そこからデータがサーバ730に送信される。
【0064】
[0077] いくつかの実施例では、複数の着用式装置700は、単独の着用者から血液にアクセスする、および/または単独の着用者の複数の血液特性または他の特性を検出するように構成することができる。たとえば、1人の着用者は、2以上の着用式装置700を着用またはその他の形で動作させて、着用者の身体の2つ以上の部分(たとえば、着用者のそれぞれの皮下血管の部分)から、および/または複数の時点で、血液特性またはその他の生理学的特性を測定することができる(たとえば、着用者の使用する着用式装置700は、たとえば、それぞれが所定数の使い捨て血液アクセスセクションを含む限定使用装置とすることができる)。
【0065】
[0078] ユーザによる入力として回収される血液特性またはその他の回収される生理学的特性および健康状態に関するデータ、および/または着用式装置700に配置されるセンサを用いて検出される着用者の1以上の特性などの着用式装置700からの通信を受信することに加えて、サーバは、着用式装置700またはその他のソースから、着用者の全般的病歴、環境要因、地理的データに関する情報を収集および/または受信するように構成することもできる。たとえば、ユーザアカウントは、着用者の病歴を含め、すべての着用者に関してサーバ上に設定することができる。さらに、いくつかの実施例では、サーバ730は、疾病管理センター(CDC)から得られるウィルス性疾病または食中毒発生データなどの環境データや、国立気象局から得られる天候、汚染物質、アレルゲンデータなどのソースからの情報を定期的に受信するように構成することができる。さらに、サーバは、病院または医師から着用者の健康状態に関するデータを受信するように構成することができる。上記情報は、相関関係の認識などのサーバの意志決定プロセス、および臨床プロトコルの作成に使用することができる。
【0066】
[0079] また、サーバは、各測定期間中の各装置の着用者の日時と地理的位置を収集および/または受信するように構成することができる。上記情報を使用して、疾病の空間的および場所的伝播を検出および監視することができる。このように、着用式装置は、自身の位置を判定する、および/または表示するように構成することができる。たとえば、着用式装置は、サーバとの通信にGPS位置情報(たとえば、GPS座標)を含むことができるようにGPSシステムを含めてもよい。別の実施例では、着用式装置は、位置を判定するために三角測量(たとえば、セルラーネットワークの基地局間)を含む方法を利用することができる。他の位置判定方法も利用可能である。
【0067】
[0080] サーバは、装置の着用者が受信する薬物またはその他の治療に関する情報と、少なくとも部分的にユーザの血液特性データと健康状態とに基づき、薬物またはその他の治療の有効性について判定するように構成することもできる。この情報に基づき、サーバは薬物または治療の有効性を表示するように構成することができる。たとえば、薬物が着用者の血糖を制御することを目的とし、装置の着用者が薬物治療開始後に吐き気、目眩、またはその他の後遺症を発症していない場合、サーバは薬物が当該着用者にとって有効であると表示するように構成することができる。
【0068】
[0081] さらに、システムのいくつかの実施形態は、装置の着用者によって自動的に実行または制御することができるプライバシー制御を含むことができる。たとえば、着用者の回収された血液特性データおよび健康状態データが臨床医による傾向分析のためにクラウドコンピューティングネットワークにアップロードされる場合、データは保管または使用される前に1以上の方法で処理することができ、個人特定可能情報が排除される。たとえば、ユーザに対する個人特定可能情報が特定されないようにユーザの身元情報を処理することができる、あるいは、(市、郵便番号、または州レベルなどの)位置情報が得られる場合には、ユーザの具体的な位置が特定できないようにユーザの地理的位置を一般化することができる。
【0069】
[0082] さらにまたはもしくは、装置の着用者には、装置が着用者に関する情報(たとえば、ユーザの病歴、社会的行為または活動、職業、ユーザの好み、またはユーザの現在位置に関する情報)を収集するか否か、あるいはどのように収集するか、もしくは上記情報をどのように使用するかを制御する機会を提供することができる。よって、着用者は、自身に関する情報が臨床医、医師、またはその他のユーザによってどのように収集されるかを管理することができる。たとえば、着用者は、自身の装置から収集される健康状態や血液特性などのデータが、自身のデータの収集および比較に応じて個人の基準や助言を生成するためだけに使用され、母集団基準の生成や母集団相関研究には使用されないと選択することができる。
IV.例示の電子機器
【0070】
[0083] 図8は、例示の実施形態に係る装置800のコンポーネントを示す簡略ブロック図である。装置800は、図1、2A〜2D、5Aおよび5B、6Aおよび6Bに示す血液アクセス装置100、400、500、600のうちの1つまたはそれに類似する形状を取ることができる。しかしながら、装置800は、足首、腰部、または胸部装着装置などの他の形状をとることができる。装置800は、身体に装着されるように構成されていない装置の形状をとることもできる。たとえば、装置800は、装置800のユーザまたはオペレータ、あるいはフレームまたは他の支持構造によって肌の近傍に維持されるように構成される携帯装置の形状をとることができる。装置800は他の形状をとることもできる。
【0071】
[0084] 具体的には、図8は、第1の血液アクセスセクション810、第2の血液アクセスセクション820、ユーザインタフェース830、データを遠隔システムに送信する通信インタフェース835、コントローラ840を有する例示の装置800を示す。装置800のコンポーネントは、装置800の1以上の針による肌の侵入に応答して、肌から放出される血液を安定的に回収することができるように装置を装着するための、たとえば、皮下血管の1以上の部分またはその他の解剖学的要素に容易にアクセス可能な身体外面に装着するための台座またはその他の構造に配置することができる。
【0072】
[0085] コントローラ840は、1以上のプロセッサ850を含む演算装置として提供することができる。1以上のプロセッサ850は、コンピュータ可読データ記憶装置860に記憶され、本明細書に記載される装置800の機能を果たすように実行可能なコンピュータ可読プログラム命令870を実行するように構成することができる。
【0073】
[0086] コンピュータ可読媒体860は、少なくとも1つのプロセッサ850によって読み取る、あるいはアクセスすることのできる1以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む、あるいはその形状をとることができる。1以上のコンピュータ可読記憶媒体は、光学、磁気、有機、あるいはその他のメモリまたはディスク記憶装置などの揮発性および/または不揮発性記憶コンポーネントを含むことができ、該コンポーネントは1以上のプロセッサ850のうちの少なくとも1つに完全にまたは部分的に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体860は単独の物理的装置(たとえば、単独の光学、磁気、有機、あるいはその他のメモリまたは記憶部)を用いて実装することができ、他の実施形態では、コンピュータ可読媒体860は2以上の物理的装置を用いて実装することができる。
【0074】
[0087] 第1の血液アクセスセクション810と第2の血液アクセスセクション820は、針を肌に打ち込んだ後に針を肌から引き抜き、(たとえば、肌を吸引することによって)肌に結果として生じる穿孔から血液を受け取り、本明細書に記載される他の機能を実行するように構成される任意のコンポーネントを含むことができる。血液アクセスセクションは、モータ、圧電トランスデューサ、ソレノイド、始動弁、抵抗ヒータ、またはその他の噴射剤噴射コンポーネント、あるいは、針を肌に打ち込む、および/または針を後で引き抜くように構成される注射器のその他のコンポーネントを含むことができる。血液アクセスセクション810、820は、たとえば、以後の分析のために血液を保管する本明細書に記載される血液保管要素を含むことができる。血液アクセスセクション810、820は、血液アクセスセクション810、820によって引き込まれる、吸い上げられる、吸引される、受け取られる、あるいはその他の形でアクセスされる血液の様々な特性を検出するように構成されるセンサを含むことができる。血液アクセスセクション810、820は、吸引を提供する(たとえば、血液アクセスセクション810、820の凹状窪みに向けておよび/または凹状窪み内に肌を引っ張る、肌から血液を装置800に引き込む、装置800内から、たとえば、1以上のセンサ、血液保管要素、または装置800のその他のコンポーネントに血液を方向付ける)ように構成される他の要素(たとえば、排気容積)のポンプを含むことができる。装置800は、追加の(またはより少ない)血液アクセスセクションを含むことができる。血液アクセスセクション810、820は同様にまたは異なって構成することができる。血液アクセスセクション810、820は装置800の取外し可能部分および/または交換可能部分とすることができる。装置800は追加のセンサ(図示せず)、たとえば、心拍センサ、ガルバニック肌反応センサ、パルスオキシメータ、または着用者の身体の1以上の特性および/または装置800の環境を検出するように構成されるその他のセンサを含むことができる。
【0075】
[0088] コンピュータ可読媒体860に記憶されるプログラム命令870は、本明細書に記載する方法のいずれかを実行する命令を含むことができる。たとえば、例示の実施形態では、プログラム命令870はコントローラモジュール872、算出および判定モジュール874、警告モジュール876を含む。
【0076】
[0089] 算出および判定モジュール874は、血液アクセスセクション810、820を動作させ、血液アクセスセクション810、820(たとえば、センサ)によって生成されるデータを分析して、複数の時点での血糖値など、装置800の着用者の身体の血液の1以上の血液特性またはその他の情報(たとえば、健康状態)を判定する命令を含むことができる。算出および判定モジュール874は、医学的症状またはその他の指定される状況が示されているか否かを判定するデータを分析する命令、または(たとえば、装置800の追加センサによって生成される情報に基づく)装置800の近傍の環境に関連するその他の分析プロセスをさらに含むことができる。具体的には、算出および判定モジュール874は、複数の所定の時点(たとえば、着用者が就寝中の時点、1週間のうちの時点)で、第1の血液アクセスセクション810と第2の血液アクセスセクション820を動作させて血液にアクセスする(たとえば、血液アクセスセクション810、820の抵抗加熱要素を動作させて、噴射剤を噴射し、針を肌に打ち込む)命令を含むことができる。
【0077】
[0090] コントローラモジュール872は、ユーザインタフェース830を動作させる命令も含むことができる。たとえば、コントローラモジュール872は、血液アクセスセクション810、820によって回収され、算出および判定モジュール874によって分析されたデータを表示する、あるいは、警告モジュール876によって生成される1以上の警告を表示する命令を含むことができる。コントローラモジュール872は、アクセスされた血液の検出された特性および/または着用者の健康状態に関連するデータを表示する命令を含むことができる。さらに、コントローラモジュール872は、ユーザインタフェースに配置される1以上のボタンによって受信される入力など、ユーザインタフェース830が受信する入力に基づき特定の機能を実行する(たとえば、ユーザからの入力に応答して、血液アクセスセクション810、820の一方または両方を動作させて、着用者の血液にアクセスする、および/またはアクセスされた血液の1以上の特性を検出する)命令を含むことができる。
【0078】
[0091] 通信プラットフォーム835は、無線アンテナを介して情報を送受信する命令など、装置800上または内に配置することのできるコントローラモジュール872からの命令によって動作させることができる。通信インタフェース835は、1以上の発振器、ミキサ、周波数インジェクタなどを任意で含み、アンテナによって送信および/または受信される搬送周波数に関する情報を変調および/または復調することができる。いくつかの実施例では、装置800は、遠隔サーバまたは他の遠隔演算装置が認知可能となるようにアンテナのインピーダンスを変調することによって、プロセッサからの出力を示すように構成される。
【0079】
[0092] 算出および判定モジュール874のプログラム命令は、いくつかの実施例では、コンピュータ可読媒体に記憶させ、装置800の外部に位置するプロセッサによって実行させることができる。たとえば、装置800は、ユーザから血液特性に関する特定のデータを収集し、以後の処理のために携帯装置、パーソナルコンピュータ、クラウド、または任意のその他の遠隔システムを含むことができる遠隔サーバにデータを送信するように構成することができる。
【0080】
[0093] コンピュータ可読媒体860は、医学的症状その他の指定される状況が示されているか否かを判定するのに有益であり得る装置800のユーザの病歴などの他のデータまたは情報も含むことができる。さらに、コンピュータ可読媒体860は、その上または下で医学的症状が示される特定の生理学的パラメータ基準線に相当するデータを含むことができる。基準線はコンピュータ可読媒体860に予め記憶させることができる、遠隔サーバなどの遠隔ソースから送信することができる、あるいは、算出および判定モジュール874自体によって生成することができる。算出および判定モジュール874は、装置800の血液アクセス要素(たとえば、810、820)を用いてアクセスされる特定数の血液サンプルから収集されるデータに基づき、装置800のユーザ個人の基準線を生成する命令を含むことができる。基準線は遠隔サーバによって生成し、通信インタフェース830を介して装置800に送信することもできる。また、算出および判定モジュール874は、医学的症状またはその他の緊急状況が示されていると判定すると、少なくとも部分的に臨床プロトコルの忠告に基づき、装置800のユーザに対して1以上の助言を生成することができる。もしくは、このような助言は、遠隔サーバによって生成し、装置800に送信することができる。
【0081】
[0094] いくつかの実施例では、収集された血液特性データ、基準線プロファイル、装置のユーザによって入力された健康状態情報、生成された助言および臨床プロトコルをクラウドネットワークに入力して、ユーザの医師がダウンロードして入手可能にすることができる。血行力学特性データや健康状態情報などの収集データに関する傾向およびその他の分析をクラウドコンピューティングネットワーク上で実行して、医師または臨床医がダウンロードして入手可能にすることもできる。
【0082】
[0095] さらに、装置の個々のユーザまたは集団からの血液特性および健康状態データは、薬物または他の治療の有効性をモニタリングする際に、医師または臨床医が使用することができる。たとえば、高密度リアルタイムデータを臨床研究に参加する装置ユーザの母集団から回収して、開発薬物または治療の安全性および有効性を評価することができる。上記データは個々のレベルで使用して、薬物または治療に対する特定の着用者の反応を評価することもできる。このデータに基づき、医師または臨床医は、個人のニーズに見合うように薬物治療を特別に調節することができる。
【0083】
[0096] 算出および判定モジュール874が、医学的症状またはその他の特定の状況が示されている(たとえば、着用者の身体からアクセスされる血液中で検出されるグルコースレベルに基づき、着用者が高血糖または低血糖である)と判定すると、警告モジュール876はユーザインタフェース830を介して警告を発することができる。警告は、ディスプレイに表示されるテキストまたはグラフィカル情報などの視覚コンポーネント、聴覚コンポーネント(たとえば、警告音)、および/または触覚コンポーネント(たとえば、振動)を含むことができる。テキスト情報は、装置のユーザが医療専門家とコンタクトを取る、一服の薬(たとえば、インシュリン)を送達する、即時の診療を求める、あるいは服薬するといった1以上の助言を含むことができる。
V.例示の方法
【0084】
[0097] 図9は、血液アクセスシステムを動作させる方法900のフローチャートである。動作されるシステムは、(i)肌に侵入するように構成される針と、(ii)注射器と、(iii)吸引源と、(iv)吸引源によって提供される吸引に応じるように構成される封止材とを含む。方法900は、システムを肌に装着すること(910)を含む。システムは着用式装置とすることができ、システムを肌に装着すること(910)は、ストラップ、接着剤、またはその他の手段を用いて、身体の一部および/またはその周囲にシステムを装着することを含む。システムは携帯装置とすることができ、システムを肌に装着すること(910)は、手またはその他の手段で肌の近傍にシステムを配置することを含むことができる。システムはデスクトップ装置、壁または天井装着装置、またはその他の形状の固定装置とすることができ、システムを肌に装着すること(910)は、肌を有する身体の部分(たとえば、手首、腕)をシステム近傍に配置することを含むことができる。
【0085】
[0098] 方法900は、封止材を通って針を肌に打ち込んだ後、針を引き抜いて封止材に少なくとも1つの穴を形成し、吸引源が穴から血液を抜き取ることができるように注射器を動作させること(920)をさらに含む。これには、特定の時点に、および/またはコマンド(たとえば、システムのユーザインタフェースを介して受信するコマンド、肌がシステムの近傍に存在することの検知に応じてシステムが生成するコマンド、血液アクセスシステムと通信する遠隔システムが生成するコマンド)に応答して注射器を動作させることを含むことができる。注射器を動作させること(920)は、たとえば、抵抗加熱要素を用いて噴射剤を加熱することによって噴射剤を噴射することを含むことができる。さらにまたはもしくは、注射器を動作させること(920)は、モータ、ソレノイド、圧電変換器、またはシステムおよび/または注射器のその他の要素を動作させることを含むことができる。
【0086】
[0099] システムは、システムによってアクセスされる血液の1以上の特性を検出するように構成される1以上のセンサを含むことができる。方法900は、センサを動作させて、血液の1以上の特性を検出する(たとえば、血液内のグルコース濃度を検出する)ことを含むことができる。さらにまたはもしくは、システムは、システムによってアクセスされる血液を収容し保管する1以上の血液保管要素を含むことができる。方法900はアクセスされた血液を保管することを含むことができる。方法900は、血液保管要素に保管される血液を感知装置に提供することと、感知装置を動作させて感知装置に提供された血液の特性を検出することとをさらに含むことができる。いくつかの実施例では、システムの1以上の要素、セクション、または部分(たとえば、針を肌に打ち込んだ後に引き抜き、肌を吸引して血液をセクション内に引き込むように構成されるセクション)は取外し可能とすることができる。方法900は、上記要素、セクション、または部分を動作させて肌から血液にアクセスした後、その要素、セクション、または部分を取り外し、交換することを含むことができる。
【0087】
[0100] 方法900は追加または代替ステップを含むことができる。方法900は、システムの針による侵入に応答して、血液を放出するように肌の一部を加熱する、吸引する、またはその他の方法で処理することを含むことができる。いくつかの実施例では、方法900は、システムによってアクセスされる血液から検出される血液特性を示す情報を送信する(たとえば、ブルートゥース無線リンクを介して無線で送信する、ケーブルを介して送信する、インターネットまたはその他のネットワークを介して送信する)ことを含むことができる。いくつかの実施例では、方法900は、システムによってアクセスされる血液から検出される血液特性に基づき、着用者の健康状態を判定することを含むことができる。いくつかの実施例では、方法900は、システムのユーザインタフェースを介してユーザに検出された血液特性を示すこと、および/または上記情報を遠隔システムに(たとえば、無線またはその他の通信リンクを介して医師のコンピュータに)示すことを含むことができる。
【0088】
[0101] 図9に示す例示の方法900は例示的な非限定例である。方法の追加または代替要素およびシステムの追加または代替コンポーネントは、当業者にとって自明であるように予測される。
VI.結論
【0089】
[0102] 例示の実施形態が人または人の装置に関連する情報を含む場合、実施形態はプライバシー制御を含むと理解すべきである。このプライバシー制御は、装置の識別名の匿名化、透明化、ユーザがユーザの製品使用に関連する情報を変更または削除できる機能を含むユーザ制御を少なくとも含む。
【0090】
[0103] さらに、本願に記載する実施形態がユーザに関する個人情報を収集する、あるいは個人情報を利用できる状況下で、ユーザには、プログラムまたは機能がユーザ情報(たとえば、ユーザの病歴、ソーシャルネットワーク、社会的行為または活動、職業、ユーザの好み、またはユーザの現在位置に関する情報)を収集するか否か、あるいは、ユーザにより関連性が高いコンテンツサーバからのコンテンツを受信するか否か、および/またはどのように受信するかを制御する機会を与えることができる。また、特定のデータは個人特定可能情報を排除するように、保管または使用前に1以上の様式で処理することができる。たとえば、ユーザに対する個人特定可能情報が特定されないようにユーザの身元情報を処理することができる、あるいは、(市、郵便番号、または州レベルなどの)位置情報が得られる場合には、ユーザの具体的な位置が特定できないようにユーザの地理的位置を一般化することができる。よって、ユーザは、ユーザに関する情報をいかにして収集し、コンテンツサーバで使用するかを制御することができる。
【0091】
[0104] 図面に示す具体的な構成は限定であるとみなすべきではない。他の実施形態は所与の図面に示すよりも多いまたは少ない要素を含むことができると理解すべきである。さらに、例示の要素のいくつかは組み合わせる、または省略することができる。さらに、例示の実施形態は、図面に示されない要素を含むことができる。
【0092】
[0105] また、各種側面および実施形態を本明細書で開示したが、当業者にとっては他の側面および実施形態も自明となるであろう。本明細書に開示する各種側面および実施形態は例示のためであり、限定することを目的としておらず、真の精神および範囲は以下の請求項によって示される。本明細書に提示する主題の範囲を逸脱せずに、他の実施形態を使用し、変更を加えることができる。本明細書で概略し、図面に示す本開示の側面は、幅広い様々な構造で構成、置換、結合、分離、設計することができると容易に理解され、それらはすべて本発明において企図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9