(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、コンソールボックスの移動距離が短いため、コンソールボックスが干渉してオペレータが乗降し難い場合がある。
また、オペレータが昇降し易いように、コンソールボックスを後方に大きくスライドして移動させることが考えられるが、キャブの内壁が運転席の後方近傍に形成されている場合には、コンソールボックスを少量しかスライド移動できず、やはりオペレータが乗降し難い。
【0006】
本発明は、従来の作業車両の課題を考慮して、乗降し易い作業車両を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
第1の発明に係る作業車両は、コンソールボックスと、支持部とを備える。コンソールボックスは、運転席の側部に配置され前後方向に回動可能である。支持部は、コンソールボックスの下方に左右方向に沿って配置された回動軸を有し、回動軸を中心にしてコンソールボックスを、水平に配置された操作位置と操作位置から後方に回動された位置であって傾斜して配置された退避位置との間を回動可能に支持する。回動軸は、操作位置に配置されたコンソールボックスの前後方向における中央よりも前方に配置されている。退避位置に配置されたコンソールボックスの前端と後端の水平方向における間隔は、操作位置に配置されたコンソールボックスの前端と後端の水平方向における間隔よりも短い。
【0007】
このようにコンソールボックスの前端と後端の水平方向における間隔が、操作位置よりも退避位置の方が短くなるようにコンソールボックスを後方に回動することにより、コンソールボックスの前端が後方に大きく移動できる。そのため、例え運転席の横に乗降口があってもオペレータは乗降し易い。
第2の発明に係る作業車両は、第1の発明に係る作業車両であって、回動軸は、操作位置に配置されたコンソールボックスの前後方向における中央よりも前方に配置されている。
【0008】
このように、回動軸が、操作位置に配置されたコンソールボックスの前後方向における中央よりも前方に配置されていることにより、コンソールボックスが回動した際に、その前端が少量しか上方に移動しない。そのため、コンソールボックスは、退避位置においてオペレータの乗降の際の妨げになり難く、オペレータの乗降を行い易くできる。また、コンソールボックスが回動した際に、その後端が少量しか後方に移動しない。そのため、キャブの内壁が運転席の後方近傍にあった場合でも、オペレータの乗降を行い易く出来る。
【0009】
第3の発明に係る作業車両は、第1又は第2の発明に係る作業車両であって、操作部材と、伝達部とを更に備える。操作部材は、コンソールボックスの前端近傍の上側に配置されている。伝達部は、コンソールボックスの前端近傍の下側から運転席の床面に向かって配置され操作部材による操作を操作対象に伝達する。伝達部は、コンソールボックスの操作位置から退避位置への回動に伴って伸縮しながら床面側の端部を支点にして回動する。
【0010】
これにより、操作部材からの操作を伝達する伝達部が接続されたコンソールボックスを後方に回動できる。
また、回動軸が、操作位置に配置されたコンソールボックスの前後方向における中央よりも前方に配置されていることにより、伝達部および回動軸の双方がコンソールボックスの前寄りに配置され、コンソールボックスの回動に伴う伝達部の長さの変化を小さくできる。
【0011】
すなわち、側面視において、コンソールボックスの回動軸の位置と、伝達部の回動支点である端部の位置が異なっているため、コンソールボックスの回動に伴って伝達部が回動すると伝達部の長さが変化することになる。しかしながら、伝達部および回動軸の双方がコンソールボックスの前寄りに配置されることにより、コンソールボックスの回動に伴う伝達部の回動量が少なくなるので伝達部の長さの変化も抑えることができる。
【0012】
第4の発明に係る作業車両は、第3の発明に係る作業車両であって、回動軸は、側面視において、伝達部の回動範囲内に配置されている。
また、回動軸を側面視において伝達部の回動範囲内に配置することにより伸縮部の伸縮幅をより小さくできる。
第5の発明に係る作業車両は、第3の発明に係る作業車両であって、コンソールボックスが操作位置に配置されている状態において、伝達部は、回動軸よりも前方に配置されている。
【0013】
このように伝達部および回動軸の双方ともコンソールボックスの前よりに配置されることになり、伸縮部の伸縮幅をより小さくできる。
第6の発明に係る作業車両は、第3の発明に係る作業車両であって、フロントフレームと、リアフレームと、油圧アクチュエータと、制御弁と、を備える。油圧アクチュエータは、フロントフレームとリアフレームに亘って配置され、フロントフレームのリアフレームに対するステアリング角を変更する。制御弁は、油圧アクチュエータに供給する油を制御する。操作部材は、ジョイスティックレバーである。操作対象は、制御弁である。
【0014】
これによって、ステアリング角を操作するジョイスティックレバーが設けられたコンソールボックスを、その前端が大きく後方に移動するように回動できる。
(発明の効果)
本発明によれば、乗降し易い作業車両を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明にかかる実施の形態のホイールローダについて図面を参照しながら以下に説明する。
(実施の形態1)
<1.構成>
(1−1.ホイールローダの構成の概要)
図1は、本実施の形態のホイールローダ1の構成を示す模式図である。本実施の形態のホイールローダ1は、車体フレーム2と、作業機3と、一対のフロントタイヤ4、キャブ5、エンジンルーム6、一対のリアタイヤ7、および一対のステアリングシリンダ8と、を主に備えている。
【0017】
なお、本実施形態において、前後左右の各方向は、キャブ5内の運転席30(後述する)に着座した状態のオペレータから見た前後左右の各方向を意味するものとする
ホイールローダ1は、作業機3を用いて土砂積み込み作業などを行う。
車体フレーム2は、いわゆるアーティキュレート式であり、フロントフレーム11とリアフレーム12と、連結軸部13と、を有している。フロントフレーム11は、リアフレーム12の前方に配置されている。連結軸部13は、車幅方向の中央に設けられており、フロントフレーム11とリアフレーム12を互いに揺動可能に連結する。一対のフロントタイヤ4は、フロントフレーム11の左右に取り付けられている。また、一対のリアタイヤ7は、リアフレーム12の左右に取り付けられている。
【0018】
作業機3は、図示しない作業機ポンプからの作動油によって駆動される。作業機3は、ブーム14と、バケット15と、リフトシリンダ16と、バケットシリンダ17と、を有する。ブーム14は、フロントフレーム11に装着されている。バケット15は、ブーム14の先端に取り付けられている。
リフトシリンダ16およびバケットシリンダ17は、油圧シリンダである。リフトシリンダ16の一端はフロントフレーム11に取り付けられており、リフトシリンダ16の他端はブーム14に取り付けられている。リフトシリンダ16の伸縮により、ブーム14が上下に揺動する。バケットシリンダ17の一端はフロントフレーム11に取り付けられており、バケットシリンダ17の他端はベルクランク18を介してバケット15に取り付けられている。バケットシリンダ17が伸縮することによって、バケット15が上下に揺動する。
【0019】
一対のステアリングシリンダ8は、連結軸部13の車幅方向における左右に配置されており、それぞれフロントフレーム11とリアフレーム12に亘って取り付けられている。一対のステアリングシリンダ8に供給する油の流量を変更することによって、フロントフレーム11のリアフレーム12に対するステアリング角を変更し、ホイールローダ1の進行方向を変更する。
【0020】
キャブ5は、リアフレーム12上に載置されており、内部には、ステアリング操作のためのステアリングホイール37やジョイスティックレバー32(後述する
図2参照)、作業機3を操作するためのレバー、各種の表示装置等が配置されている。エンジンルーム6は、キャブ5の後側であってリアフレーム12上に配置されており、エンジンが収納されている。
【0021】
(1−2.キャブ)
図2は、キャブ5の上面図である。
図3は、キャブ5の部分側面図である。
図2に示すように、キャブ5は、上面視において、略6角形状で、前面21と、右傾斜面22と、右側面23と、左傾斜面24と、左側面25と、背面26と、を有している。前面21および背面26は、互いに平行であり、それぞれ左右方向(
図2の矢印Y参照)に沿うように配置されている。右側面23は、背面26の右端から前方に向かって配置されている。右傾斜面22は、前後方向(
図2の矢印X参照)に対して傾いて配置されており、右側面23の前端と前面21の右端との間に設けられている。左側面25は、背面26の左端から前方に向かって配置されている。左傾斜面24は、前後方向に対して傾いており、左側面25の前端と前面21の左端との間に設けられている。右傾斜面22と左傾斜面24は、前方に向かうに従って間隔が狭くなるように配置されている。右傾斜面22および左傾斜面24は、ステアリングする際、フロントフレームとの干渉を避けるため、前後方向に傾斜して配置されている。
【0022】
左側面25の前よりの位置に乗降口27が形成されており、乗降口27には、
図1に示すドア28が設けられている。
(1−3.キャブの内部構成)
図4(a)は、
図3から左側面25を取り除いた状態を示す図である。
キャブ5の内側には、運転席30、コンソールボックス31、ジョイスティックレバー32、リンク部33、アームレスト34、支持部35、回動レバー36、およびステアリングホイール37(
図2参照)等が設けられている。
【0023】
(a)運転席、ステアリングホイール
運転席30は、
図2に示すように、右側面23と左側面25の略中央に配置されている。運転席30は、概ね乗降口27に対向する位置に配置されている。運転席30は、
図4(a)に示すように、背もたれ部30a、座面部30b、および座面部30bの下側の下部フレーム30c(後述する
図5参照)等を有し、下部フレーム30cの下側にはスプリング(図示せず)が配置されている。
【0024】
ステアリングホイール37は、移動時などに、リアフレーム12に対するフロントフレーム11のステアリング角を変更する際にオペレータによって操作される。ステアリングホイール37は、
図2に示すように、運転席30の前方であって、右傾斜面22および左傾斜面24の間に配置されている。
(b)コンソールボックス
コンソールボックス31は、運転席30の左横側に配置されている。コンソールボックス31は、運転席30と乗降口27の間に配置されているともいえる。
図4(a)に示すように、コンソールボックス31は、前後方向に長く形成されており、略水平に配置されている。コンソールボックス31内には、後述するジョイスティックレバー32とリンク部33を連結する連結部材(図示せず)等が設けられている。なお、
図4(a)のように略水平になるように配置されているコンソールボックス31の位置が操作位置P1である。操作位置P1とは、オペレータが運転席30に着座してジョイスティックレバー32を操作する際のコンソールボックス31の位置である。
【0025】
(c)ジョイスティックレバー
ジョイスティックレバー32は、
図4(a)に示すように、コンソールボックス31の前端31a近傍の上側に、上方に向かって突出するように設けられている。
ジョイスティックレバー32は、土砂の積み込みおよび搬送などの作業時に用いられる。ジョイスティックレバー32を左右方向に回動することによって、フロントフレーム11のリアフレーム12に対するステアリング角が変更される。
【0026】
(d)リンク部
リンク部33は、ユニバーサルジョイントであって、
図4(a)に示すように、第1ジョイント部41と、第2ジョイント部42と、伸縮部43とを有する。第1ジョイント部41と第2ジョイント部42は、伸縮部43の両端に配置されている。伸縮部43は、外筒43aと内筒43bによって構成されており、外筒43aと内筒43bはスプライン結合されている。
【0027】
図4(b)は、
図4(a)のEE´間の矢示断面図である。
図4(b)に示すように、外筒43aの内周には歯状の溝が形成され、内筒43bの外周には、外筒43aの歯状の溝と嵌合する歯状の溝が形成されている。また、各々の溝は長手方向に沿って形成されている。このような構成により外筒43aと内筒43bは、中心軸Fの軸周りには互いに固定されており、ジョイスティックレバー32の操作を伝達できる。また、外筒43aと内筒43bは、中心軸Fの軸に沿った方向には移動でき、伸縮可能となっている。
【0028】
第1ジョイント部41は、コンソールボックス31の下側に取り付けられており、ジョイスティックレバー32と連結部材(図示せず)によって連結されている。第2ジョイント部42は、キャブ5の床面5aに挿入されて取り付けられている。
なお、リンク部33は、カバーC(点線参照)によって覆われている。
また、リンク部33の第2ジョイント部42は、
図3に示すように、パイロット弁19に接続されている。ジョイスティックレバー32の操作がリンク部33を介してパイロット弁19に伝達され、ステアリング弁20に入力されるパイロット圧が調整される。ステアリング弁20は、入力されるパイロット圧に応じてステアリングシリンダ8に供給する油の流量を調整する。このように、ジョイスティックレバー32を操作することによってステアリング操作を行うことができる。
【0029】
(e)アームレスト
アームレスト34は、
図4(a)に示すように、コンソールボックス31の上側にブラケット38を介して配置されている。コンソールボックス31が操作位置P1に配置される状態において、運転席30に着座したオペレータの肘置きとして利用される。
(f)支持部
図5は、運転席30近傍を前側から視た図である。
図5では、リンク部33とカバーCは支持部35の手前に存在するが、説明のために支持部35を実線で示し、リンク部33とカバーCを点線で示す。
【0030】
支持部35は、固定枠50と、第1回動部材51と、第2回動部材52と、第1軸部53と、第2軸部54と、を主に有している。
固定枠50は、
図4(a)に示すように、コンソールボックス31の下方且つリンク部33の後側に配置されている。固定枠50は、
図5に示すように、運転席30の下部フレーム30cから左側面側に突出して設けられている。固定枠50は、第1固定部61と、第2固定部62と、第1軸支持部63と、第2軸支持部64とを有する。
【0031】
第1固定部61は、下部フレーム30cと繋がっており、下部フレーム30cから略水平に左側面側に突出している部分である。第2固定部62は、略U字形状であって、第1固定部61の左側面側の端と接続されている。第1軸支持部63は、第1固定部61の上側に固定されている。第1軸支持部63は、左右方向に所定の間隔を空けて対向するように配置された2つの板状部63aを有している。2つの板状部63aには、それぞれ左右方向に沿って孔が形成されている。それらの孔に後述する第1回動部材51に固定されている第1軸部53が挿入されることによって、第1軸支持部63は、第1回動部材51を回動可能に支持する。第2軸支持部64は、第2固定部62の左側面側の上端部62aに設けられている。第2軸支持部64は、左右方向に所定の間隔を空けて対向するように配置された2つの板状部64aを有している。2つの板状部64aには、それぞれ左右方向に沿って孔が形成されている。それらの孔に後述する第2回動部材52に固定されている第2軸部54が挿入されることによって、第2軸支持部64は、第2回動部材52を回動可能に支持する。
【0032】
第1回動部材51および第2回動部材52は、それぞれ板状の部材が曲げられて形成されており、コンソールボックス31と固定枠50の間に左右方向に並んで対向するように配置されている。また、第1回動部材51および第2回動部材52は、互いの間隔が上端よりも下端の方が広くなるように曲げられて形成されている。
第1回動部材51および第2回動部材52は、上端がコンソールボックス31のフレーム31fに固定されている。第1回動部材51の下端は、第1軸支持部63の2つの板状部63aの間に挿入されている。第2回動部材52の下端は、第2軸支持部64の2つの板状部64aに挿入されている。
【0033】
第1軸部53は、第1回動部材51の下端に固定されている。第1回動部材51は、下方に向けて左右方向に突出している。第1軸部53は、第1軸支持部63の板状部63aの孔に挿入されている。第2軸部54は、第2回動部材52の下端に固定されている。第2回動部材52は、下方に向けて左右方向に突出している。第2軸部54は、第2軸支持部64の板状部64aの孔に挿入されている。第1軸部53と第2軸部54は、左右方向に沿って同軸上に配置されている。
【0034】
第1回動部材51および第2回動部材52は、第1軸部53および第2軸部54を中心にして、固定枠50に対して回転できる。また、第1回動部材51および第2回動部材52は、コンソールボックス31の下部フレーム30cに固定されている。このため、第1回動部材51と第2回動部材52の回動によってコンソールボックス31も回動する。
なお、コンソールボックス31の回動軸Aは、第1軸部53および第2軸部54の中心であり、
図4(a)および
図5に示されている。この回動軸Aは、
図4(a)に示すように、コンソールボックス31の下側であって、コンソールボックス31の前端31aおよび後端31bの間の中央(線M参照)よりも前側に配置されている。
【0035】
(g)回動レバー
回動レバー36は、コンソールボックス31を回動する際に、オペレータによって把持される。
回動レバー36は、コンソールボックス31の下側に接続されている。オペレータが回動レバー36を把持して後方に回動させることによって、コンソールボックス31は、後述する
図6〜
図8に示すように後方に回動した状態となる。
【0036】
<2.回動動作>
次に、本発明にかかる実施の形態のホイールローダ1のコンソールボックス31の回動動作について説明する。
図4(a)および
図5に示すコンソールボックス31は、略水平に配置されており、オペレータがジョイスティックレバー32を操作する操作位置P1に配置されている。この状態からオペレータが回動レバー36を把持して
図4(a)の矢印Bに示すように後方に回動すると、コンソールボックス31は退避位置P2に配置される。なお、操作位置P1および退避位置P2において、コンソールボックス31はロックされていてもよい。
【0037】
図6は、コンソールボックス31が退避位置P2に配置された状態の上面図である。
図7は、
図6の左側面図である。
図8は、
図7からキャブ5の左側面55を取り除いた状態を示す図である。
図6〜
図8に示すように、コンソールボックス31は、操作位置P1から回動軸Aを中心に後方(
図4(a)の矢印B方向)に移動した退避位置P2に配置されている。
【0038】
操作位置P1では、コンソールボックス31は、
図4(a)に示すように、その前端31aと後端31bの高さが略同じであり、略水平に配置されている。一方、退避位置P2では、
図8に示すように、コンソールボックス31は、斜めに配置されている。詳細には、コンソールボックス31は、その後端31bが前端31aよりも下方に位置している。
図9は、操作位置P1と退避位置P2におけるコンソールボックス31を同時に示した図である。
図9では、退避位置P2におけるコンソールボックス31が二点鎖線で示されている。
図9に示すように、退避位置P2におけるコンソールボックス31の前端31aと後端31bの水平方向における距離L2は、操作位置P1におけるコンソールボックス31の前端31aと後端31bの水平方向における距離L1よりも短くなっている。いいかえると、上面視において、退避位置P2におけるコンソールボックス31の前端31aと後端31bの間隔L2は、操作位置P1におけるコンソールボックス31の前端31aと後端31bの間隔L1よりも短くなっているともいえる。
【0039】
また、コンソールボックス31の回動に合わせてリンク部33も第2ジョイント部42を中心に第1ジョイント部41側が回動する。この際、第1ジョイント部41は回動軸Aを中心に回動するため、外筒43aが内筒43bに対して上方に移動して、伸縮部43は伸長する。すなわち、
図9に示すように、コンソールボックス31が操作位置P1に配置されている状態におけるリンク部33の長さK1よりも、コンソールボックス31が退避位置P2に配置されている状態におけるリンク部33の長さK2の方が長くなる。
【0040】
更に、側面視において、
図9に示すように、回動軸Aはリンク部33の回動範囲D内に設けられている。
このようにコンソールボックス31を後方に回動してからオペレータは、乗降口27を介してホイールローダ1から乗降する。
コンソールボックス31が後方に回動することによって、
図6および
図7に示すように、
図2および
図3と比較して、運転席30の座面部30bの前端左側からコンソールボックス31を退避できる。すなわち、運転席30の座面部30bの前端左側にスペースを確保できるため、運転席30の左側方に形成された乗降口27からオペレータは乗降しやすくなる。
【0041】
<3.特徴等>
(3−1)
本実施の形態のホイールローダ1(作業車両の一例)のキャブ5内には、コンソールボックス31と、支持部35とが設けられている。コンソールボックス31は、運転席30の側部に配置され前後方向に回動可能である。支持部35は、コンソールボックス31の下方に左右方向に沿って配置された回動軸Aを有し、回動軸Aを中心にしてコンソールボックス31を水平に配置された操作位置P1と操作位置P1から後方に回動された位置であって傾斜して配置された退避位置P2との間を回動可能に支持する。
図9に示すように、退避位置P2に配置されたコンソールボックス31の前端31aと後端31bの水平方向における間隔L2は、操作位置P1に配置されたコンソールボックス31の前端31aと後端31bの水平方向における間隔L1よりも短い。
【0042】
このように間隔L2が間隔L1よりも短くなるようにコンソールボックス31を後方に回動することにより、コンソールボックス31の前端31aが後方に大きく移動できる。そのため、
図6および
図7に示すように、例え運転席30の横に乗降口27があってもオペレータは乗降し易い。
(3−2)
本実施の形態のホイールローダ1(作業車両の一例)では、回動軸Aは、
図4(a)に示すように、操作位置P1に配置されたコンソールボックス31の前後方向における中央よりも前方に配置されている。
【0043】
このように、回動軸Aが、操作位置P1に配置されたコンソールボックス31の前後方向における中央(
図4(a)に示す線M参照)よりも前方に配置されていることにより、コンソールボックス31が回動した際に、その前端31aが少量しか上方に移動しない。そのため、コンソールボックス31は、退避位置P2においてオペレータの乗降の際の妨げになり難く、オペレータの乗降を行い易くできる。また、コンソールボックス31が回動した際に、その後端31bが少量しか後方に移動しない。そのため、キャブ5の背面26が運転席30の後方近傍にあった場合でも、オペレータの乗降を行い易くできる。
【0044】
(3−3)
本実施の形態のホイールローダ1(作業車両の一例)のキャブ5内には、
図4(a)に示すように、ジョイスティックレバー32(操作部材の一例)と、リンク部33(伝達部の一例)とが更に設けられている。ジョイスティックレバー32は、コンソールボックス31の前端31a近傍の上側に配置されている。リンク部33は、コンソールボックス31の前端31a近傍の下側から運転席30の床面5aに向かって配置されジョイスティックレバー32による操作をパイロット弁19(操作対象の一例)に伝達する。リンク部33は、コンソールボックス31の操作位置P1から退避位置P2への回動に伴って伸縮しながら第2ジョイント部42(床面側の端部の一例)を支点にして回動する。
【0045】
これにより、ジョイスティックレバー32からの操作を伝達するリンク部33が接続されたコンソールボックス31を後方に回動できる。
また、このようにリンク部33および回動軸Aの双方がコンソールボックス31の前寄りに配置されているため、コンソールボックス31の回動に伴うリンク部33の長さの変化を小さくできる。
【0046】
すなわち、側面視において、コンソールボックス31の回動軸Aの位置と、リンク部33の回動支点である第2ジョイント部42の位置が異なるため、コンソールボックス31の回動に伴ってリンク部33が回動するとリンク部33の長さが変化することになる。しかしながら、リンク部33および回動軸Aの双方がコンソールボックス31の前寄りに配置されることにより、コンソールボックス31の回動に伴うリンク部33の回動量が少なくなるので、リンク部33の長さの変化も抑えることができる。
【0047】
(3−4)
本実施の形態のホイールローダ1では、
図9に示すように、回動軸Aは、側面視において、リンク部33(伝達部の一例)の回動範囲D内に配置されている。
また、回動軸Aを側面視においてリンク部33の回動範囲D内に配置することにより伸縮部43の伸縮幅をより小さくできる。
【0048】
(3−5)
本実施の形態のホイールローダ1では、コンソールボックス31が操作位置P1に配置されている状態において、リンク部33(伝達部の一例)は、回動軸Aよりも前方に配置されている。
このようにリンク部33および回動軸Aの双方ともコンソールボックス31の前寄りに配置されることになり、伸縮部43の伸縮幅をより小さくできる。
【0049】
(3−6)
本実施の形態のホイールローダ1では、フロントフレーム11と、リアフレーム12と、ステアリングシリンダ8(油圧アクチュエータの一例)と、パイロット弁19(制御弁の一例)と、を備える。ステアリングシリンダ8は、フロントフレーム11とリアフレーム12に亘って配置され、フロントフレーム11のリアフレーム12に対するステアリング角を変更する。パイロット弁19は、ステアリングシリンダ8に供給する油を制御する。
【0050】
これによって、ステアリング角を操作するジョイスティックレバー32が設けられたコンソールボックス31を、その前端31aが大きく後方に移動するように回動できる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
(A)
上記実施の形態のホイールローダ1では、操作部材の一例として、コンソールボックス31のジョイスティックレバー32が設けられているが、ジョイスティックレバー32に限られるものではない。さらに、操作部材自体が設けられていなくてもよく、運転席30の横にコンソールボックス31が設けられていれば、本実施の形態の構成を適用できる。
【0052】
(B)
上記実施の形態のホイールローダ1では、リンク部33が設けられており、ジョイスティックレバー32の操作をパイロット弁19に機械的に伝達しているが、リンク部33が設けられておらず、電気的に伝達する構成であってもよい。この場合、伝達は、有線および無線のいずれで行われてもよい。
【0053】
(C)
上記実施の形態のホイールローダ1では、操作対象の一例としてパイロット弁19が設けられているが、パイロット弁19に限らなくても良い。例えば、パイロット弁19が設けられておらず、被操作部の一例としてのステアリング弁20にリンク部33が接続されており、ジョイスティックレバー32によってステアリング弁20を直接操作する構成であってもよい。
【0054】
(D)
上記実施の形態では、コンソールボックス31の上側にアームレスト34が設けられているが、アームレスト34が設けられていなくても良い。また、
図8および
図9に示すように、アームレスト34は、その後端がコンソールボックス31の後端31bより後方に突出しているが、突出しないように形成されていても良い。
【0055】
(E)
上記実施の形態では、作業車両の一例としてホイールローダを用いて説明したが、ダンプトラック、油圧ショベルなどであってもよい。
(F)
上記実施の形態では、作業車両の一例としてホイールローダ1を用いて説明しており、キャブ5内にステアリングホイール37が配置されているが、作業車両によっては、ステアリングホイール37が配置されない場合もある。