(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
線形イオントラップ(LIT)四重極を使用した破壊的フーリエ変換質量分析法(FTMS)質量解析のために、イオンをコヒーレントに励起し、吐出するためのシステムであって、
イオンを受容するための入口端およびイオンを吐出するための出射端を有する四重極ロッドと、前記四重極ロッドの中心部分を囲繞するカラー電極と、前記カラー電極と前記出射端との間に位置する複数の線形加速器(Linac)電極とを含む四重極と、
前記四重極ロッドの出射端の近傍で前記四重極ロッドと同軸方向に位置する出射レンズと、
前記出射レンズと同軸方向に位置し、前記出射レンズの他側上に位置する破壊的検出器と、
前記四重極、前記出射レンズ、および前記破壊的検出器と通信するプロセッサであって、
前記四重極をイオンで充填し、いったん充填されると、前記イオンを冷却するために、前記四重極のガス入口および出口を制御することによって、圧力およびガス流動を前記四重極内に印加することと、
前記充填および冷却の間、前記イオンを前記四重極内にトラップするために、直流(DC)電圧および無線周波数(RF)電圧を前記四重極ロッドに、DC Linac電圧を前記複数の線形加速器(Linac)電極に、第1の誘引DCカラー電圧を前記カラー電極に、かつ第1の反発DC出射レンズ電圧およびRF電圧を前記出射レンズに印加することと、
前記充填および冷却後、前記イオンをコヒーレントに発振させるために、コヒーレント励起を前記四重極ロッドのうちの少なくとも2つのロッド間に印加することと、
前記コヒーレント励起が印加された後、前記コヒーレントに発振するイオンを前記出射レンズを通して検出のための前記破壊的検出器に軸方向に吐出するために、前記出射レンズの第1の反発DC出射レンズ電圧を第2の誘引DC出射レンズ電圧に変化させ、前記カラー電極の第1の誘引DCカラー電圧を、前記第1の誘引DCカラー電圧よりは前記コヒーレントに発振するイオンに誘引的ではないが前記第2の誘引DC出射レンズ電圧よりは前記コヒーレントに発振するイオンに誘引的である第2の誘引DCカラー電圧に変化させることと
を行う、プロセッサと、
を備える、システム。
前記プロセッサは、前記コヒーレントに発振するイオンが、コヒーレンスの喪失を防止するために十分に高速であるが、高分解能スペクトルを前記コヒーレントに発振するイオンから計算するために十分に長い期間時間にわたって、前記コヒーレントに発振するイオンを前記破壊的検出器に提供するために十分に低速で吐出されるように、前記カラー電極の第1の誘引DCカラー電圧を変化させ、前記出射レンズの第1の反発DC出射レンズ電圧を変化させる、請求項1に記載のシステム。
前記プロセッサは、前記コヒーレントに発振するイオンが、15〜30msの時間期間にわたって、前記出射レンズを通して前記破壊的検出器に吐出されるように、前記カラー電極の第1の誘引DCカラー電圧を変化させ、前記出射レンズの第1の反発DC出射レンズ電圧を変化させる、請求項1に記載のシステム。
前記プロセッサはさらに、ある時間期間にわたって、前記コヒーレントに発振するイオンが前記破壊的検出器に衝打するにつれて、前記破壊的検出器によって生成される強度をメモリ内に記録し、フーリエ変換を使用して、前記時間期間にわたって記録された強度を周波数スペクトルに変換し、前記コヒーレントに発振するイオンの質量スペクトルを前記周波数スペクトルから計算する、請求項1に記載のシステム。
線形イオントラップ(LIT)四重極を使用した破壊的フーリエ変換質量分析法(FTMS)質量解析のために、イオンをコヒーレントに励起し、吐出するための方法であって、
プロセッサを使用して、前記四重極のガス入口および出口を制御することにより、四重極をイオンで充填し、圧力およびガス流動を前記四重極内で印加することによって、前記イオンを冷却することであって、
前記四重極は、イオンを受容するための入口端およびイオンを吐出するための出射端を有する四重極ロッドと、前記四重極ロッドの中心部分を囲繞するカラー電極と、前記カラー電極と前記出射端との間に位置する複数の線形加速器(Linac)電極とを含み、
出射レンズが、前記四重極ロッドの出射端の近傍で前記四重極ロッドと同軸方向に位置し、
破壊的検出器が、前記出射レンズと同軸方向に位置し、前記出射レンズの他側上に位置する、ことと、
前記プロセッサを使用して、直流(DC)電圧および無線周波数(RF)電圧を前記四重極ロッドに、DC Linac電圧を前記複数の線形加速器(Linac)電極に、第1の誘引DCカラー電圧を前記カラー電極に、かつ第1の反発DC出射レンズ電圧およびRF電圧を前記出射レンズに印加することによって、前記充填および冷却の間、前記イオンを前記四重極内にトラップすることと、
前記プロセッサを使用して、コヒーレント励起を前記四重極ロッドのうちの少なくとも2つのロッド間に印加することによって、前記充填および冷却後、前記イオンをコヒーレントに発振させることと、
前記プロセッサを使用して、前記出射レンズの第1の反発DC出射レンズ電圧を第2の誘引DC出射レンズ電圧に変化させ、前記第1の誘引DCカラー電圧を、前記第1の誘引DCカラー電圧よりは前記コヒーレントに発振するイオンに誘引的ではないが前記第2の誘引DC出射レンズ電圧よりは前記コヒーレントに発振するイオンに誘引的である第2の誘引DCカラー電圧に変化させることによって、前記コヒーレント励起が印加された後、前記コヒーレントに発振するイオンを前記出射レンズを通して検出のための前記破壊的検出器に軸方向に吐出することと、
を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本教示の1つまたはそれを上回る実施形態が、詳細に説明される前に、当業者は、本教示が、その用途において、以下の発明を実施するための形態に記載される、または図面に図示される、構造、構成要素の配列、およびステップの配列の詳細に限定されないことを理解されるであろう。また、本明細書で使用される語句および専門用語は、説明の目的のためのものであって、限定と見なされないべきであることも理解されたい。
コンピュータ実装システム
【0022】
図1は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステム100を図示する、ブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を通信するためのバス102または他の通信機構と、情報を処理するためのバス102と結合されるプロセッサ104とを含む。コンピュータシステム100はまた、プロセッサ104によって実行されるべき命令を記憶するためにバス102に結合される、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスであることができる、メモリ106を含む。メモリ106はまた、プロセッサ104によって実行されるべき命令の実行の間、一時的変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。コンピュータシステム100はさらに、プロセッサ104のための静的情報および命令を記憶するためにバス102に結合される、読取専用メモリ(ROM)108または他の静的記憶デバイスを含む。磁気ディスクまたは光ディスク等の記憶デバイス110が、提供され、情報および命令を記憶するためにバス102に結合される。
【0023】
コンピュータシステム100は、情報をコンピュータユーザに表示するために、バス102を介して、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ112に結合されてもよい。英数字および他のキーを含む、入力デバイス114も、情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信するために、バス102に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信するため、かつディスプレイ112上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キー等のカーソル制御116である。本入力デバイスは、典型的には、デバイスが平面内の位置を規定することを可能にする、2つの軸、すなわち、第1の軸(すなわち、x)および第2の軸(すなわち、y)における2自由度を有する。
【0024】
コンピュータシステム100は、本教示を行うことができる。本教示のある実装によると、結果は、プロセッサ104がメモリ106内に含有される1つまたはそれを上回る命令の1つまたはそれを上回るシーケンスを実行することに応答して、コンピュータシステム100によって提供される。そのような命令は、記憶デバイス110等の別のコンピュータ可読媒体からメモリ106の中に読み込まれてもよい。メモリ106内に含有される命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に、本明細書に説明されるプロセスを行わせる。代替として、有線回路が、本教示を実装するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、使用されてもよい。したがって、本教示の実装は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の具体的組み合わせに限定されない。
【0025】
種々の実施形態では、コンピュータシステム100は、ネットワークを横断して、コンピュータシステム100のような1つまたはそれを上回る他のコンピュータシステムに接続され、ネットワーク化されたシステムを形成することができる。ネットワークは、プライベートネットワークまたはインターネット等の公共ネットワークを含むことができる。ネットワーク化されたシステムでは、1つまたはそれを上回るコンピュータシステムは、データを記憶し、他のコンピュータシステムに供与することができる。データを記憶および供与する、1つまたはそれを上回るコンピュータシステムは、クラウドコンピューティングシナリオでは、サーバまたはクラウドと称され得る。1つまたはそれを上回るコンピュータシステムは、例えば、1つまたはそれを上回るウェブサーバを含むことができる。データをサーバまたはクラウドに送信し、そこから受信する、他のコンピュータシステムは、例えば、クライアントまたはクラウドデバイスと称され得る。
【0026】
用語「コンピュータ可読媒体」は、本明細書で使用されるように、実行のための命令をプロセッサ104に提供することに関与する、任意の媒体を指す。そのような媒体は、限定ではないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含む、多くの形態をとってもよい。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス110等の光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体はメモリ106等の動的メモリを含む。伝送媒体は、バス102を備える、ワイヤを含む、同軸ケーブル、銅ワイヤ、および光ファイバを含む。
【0027】
コンピュータ可読媒体またはコンピュータプログラム製品の一般的形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、可撓性ディスク、ハードディスク、磁気テープ、もしくは任意の他の磁気媒体、CD−ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、Blu−ray(登録商標)ディスク、任意の他の光学媒体、サムドライブ、メモリカード、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、またはそこからコンピュータが読み取られることができる、任意の他の有形媒体を含む。
【0028】
種々の形態のコンピュータ可読媒体が、実行のための1つまたはそれを上回る命令の1つまたはそれを上回るシーケンスをプロセッサ104に搬送する際に関わってもよい。例えば、命令は、最初に、遠隔コンピュータの磁気ディスク上で搬送されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリにロードし、モデムを使用した電話回線を経由して、命令を送信することができる。コンピュータシステム100のローカルのモデムは、データを電話回線上で受信し、赤外線送信機を使用して、データを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合される赤外線検出器は、赤外線信号で搬送されるデータを受信し、データをバス102上に置くことができる。バス102は、データをメモリ106に搬送し、そこからプロセッサ104が、命令を読み出し、実行する。メモリ106によって受信された命令は、随意に、プロセッサ104による実行前または後のいずれかにおいて、記憶デバイス110上に記憶されてもよい。
【0029】
種々の実施形態によると、方法を行うようにプロセッサによって実行されるように構成される命令は、コンピュータ可読媒体上に記憶される。コンピュータ可読媒体は、デジタル情報を記憶するデバイスであることができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、ソフトウェアを記憶するために当技術分野において公知のようなコンパクトディスク読取専用メモリ(CD−ROM)を含む。コンピュータ可読媒体は、実行されるように構成される命令を実行するために好適なプロセッサによってアクセスされる。
【0030】
本教示の種々の実装の以下の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。包括的なものではなく、本教示を開示される精密な形態に限定するものでもない。修正および変形例が、前述の教示に照らして可能性として考えられる、または本教示の実践から得られてもよい。加えて、説明される実装は、ソフトウェアを含むが、本教示は、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして、またはハードウェア単独において実装されてもよい。本教示は、オブジェクト指向および非オブジェクト指向プログラミングシステムの両方を用いて実装されてもよい。
【0031】
(LIT FTMS)
前述のように、フーリエ変換質量分析法(FTMS)は、他のタイプの質量分析法より優れた解像力および質量正確度を提供する。しかしながら、FTMSは、概して、複雑なまたは特殊目的の器具類を要求する。FTMSはまた、典型的には、他のタイプの質量分析法より圧力に敏感である。その結果、より優れた解像力および質量正確度の利点を提供しながら、従来の器具類の複雑性および圧力要件を低減させることができる、FTMSのための付加的システムおよび方法が、必要とされる。
【0032】
種々の実施形態では、コヒーレント励起が、線形イオントラップ(LIT)を使用して、高分解能および高質量正確度FTMSを提供するために、軸方向イオン吐出と結合される。本FTMSシステムの複雑性および圧力要件は、従来のLITのイオン経路および真空システムを使用することによって、従来のシステムと比較して低減される。取得時間もまた、従来のFTMSシステムより改良される。
【0033】
LITを使用したFTMSは、以前にも提案されている。例えば、米国特許第4,775,670号、第6,403,955号、および第8,362,418号は全て、LIT内でイオン信号のフーリエ変換を行うステップを説明している。全3つの特許はまた、非破壊的かつ間接的に、近傍電極によって生成されるイメージ電流からイオン発振を測定するステップについても説明している。加えて、米国特許第4,775,670号および第6,403,955号は、パルス状励起を使用して、イオン発振を生成するステップを説明している。
【0034】
しかしながら、いずれも、従来のLITのイオン経路および真空システムを使用して、FTMSを提供することを提案していない。以前は、本業界では、従来のLITのイオン経路および破壊的イオン検出器を使用してイオン発振を検出することは、不可能であると考えられていた。
【0035】
例えば、イオンコヒーレンスが、FTMSのために必要とされる。イオンは、それらが全て同一位相で発振するとき、コヒーレントに発振すると言われる。コヒーレント発振は、コヒーレント励起を使用して生成されることができる。一例示的コヒーレント励起は、短波形励起である。短波形は、短時間期間にわたって存在する、波形である。例示的短波形は、パルスである。短波形励起は、広質量/電荷比(m/z)範囲のイオンをコヒーレントに移動または発振させることができる。しかしながら、短波形励起によって励起されるイオンは、短時間期間にわたってのみ、コヒーレントに発振する。その結果、励起されるイオンは、コヒーレンスが喪失される前に、従来のLITの破壊的イオン検出器によって検出される必要がある。
【0036】
同時に、FTMS分解能は、コヒーレントイオン発振信号が利用可能な時間量に依存する。言い換えると、コヒーレントイオン発振信号が、より長い時間期間にわたって測定される場合、より高い分解能が得られることができる。その結果、コヒーレント励起によって励起されるイオンはまた、典型的FTMS分解能を提供するために十分に長い時間期間にわたって測定される必要がある。本明細書に説明される種々の実施形態の本発明以前は、質量分析法産業は、コヒーレンスの喪失を防止するために十分に高速であるが、FTMSの典型的高分解能を提供するために十分に低速でイオン発振を破壊的に検出することが可能なシステムおよび方法を得ることが不可能であった。
【0037】
図2は、種々の実施形態による、FTMSのために修正される、従来の三連四重極質量分析計の例示的概略
図200である。
図2の三連四重極質量分析計は、例えば、Sciex製4000QTrap(R)である。
図2の三連四重極質量分析計は、従来のイオン経路および真空システムを含む。
【0038】
従来のイオン経路は、イオン化された分子がイオン源(図示せず)によって生成されることから始まる。イオン化された分子は、オリフィス201およびスキマ202を通して通過し、Q0四重極205に到達する。Q0四重極205は、イオン化された分子を集束させるために使用される。Q1四重極210は、イオン(前駆体イオン)のサブセットを選択するために使用される。Q1四重極210は、Q1四重極210がイオンのサブセットを選択することを可能にする、電圧源(図示せず)からの電圧を受電する。電圧源は、順に、プロセッサ(図示せず)によって制御される。Q1四重極210はさらに、イオンのサブセットをQ2四重極220に伝送する。
【0039】
Q2四重極220では、イオンのサブセットは、断片化され、生成イオンを生成する。Q2四重極220は、例えば、衝突セルである。Q2四重極220は、質量解析のために、生成イオンをQ3四重極230に伝送する。Q3四重極230は、LITである。
【0040】
図2の三連四重極質量分析計のイオン経路は、従来通りであるが、器具自体は、いくつかの修正を含む。例えば、Q0四重極205、Q1四重極210、Q2四重極220、およびQ3四重極230のための無線周波数(RF)ならびに直流(DC)電力供給源(図示せず)は、独立して、かつ個々に、プロセッサ(図示せず)によってアドレス指定可能である。Q1四重極210およびQ2四重極220は、例えば、約1.0MHzにおいて動作される。Q3四重極230は、例えば、1.5MHz弱において動作される。
【0041】
Q3四重極230は、FTMSのために、生成イオンおよび任意の残留する選択された前駆体イオンをトラップし、励起するために使用される。Q3四重極230のための背景圧力は、例えば、約0.5×10
−5〜5×10
−5torrの範囲であることができる。従来のFTMS器具は、例えば、高分解能のために、約10
−9および10
−10torrの真空圧力を要求する。
【0042】
コヒーレント励起が、Q3四重極230のイオンを励起させるために使用される。コヒーレント励起は、任意の短波形励起であることができる。種々の実施形態では、短波形励起は、10μs未満以内に上昇する、急峻な立ち上がり縁を伴う短波形を生成する。短波形励起は、例えば、非常に狭い双極励起パルスであることができる。関数発生器235が、双極励起パルスを生成するために使用される。関数発生器235は、例えば、約5Vの振幅および0.5〜5μsの幅を伴う方形パルスを提供する。関数発生器235は、例えば、トロイダル変圧器を使用して、双極方式において、約+/−5〜40Vを5V入力から提供するための増幅器を含む。双極励起パルスは、例えば、Q3四重極230のX個のロッド間に印加される。双極とは、正電圧が、一方のロッドに印加され、同時に、同一電圧が、別のロッドに対して負に印加されることを意味する。
【0043】
前述のように、Q3四重極230内の双極励起パルスは、生成イオンおよび任意の残留する選択された前駆体イオンをコヒーレントに発振させる。コヒーレントに発振するイオンは、Q3四重極230および出射レンズ240によって、Q3四重極230から軸方向に吐出される。軸方向に吐出されるコヒーレントに発振するイオンは、次いで、検出器250に衝打し、破壊的に検出される。検出器250は、例えば、従来の電子乗算器である。電子乗算器は、例えば、変換電極または高エネルギーダイノード(HED)であることができる。
【0044】
検出器250からのイオン分解信号は、プロセッサ(図示せず)によって受信され、メモリ(図示せず)内に記録される。イオン分解信号は、例えば、1μsのデータ取込時間を用いて記録される。これは、例えば、数百kHzまで解析され得る、分解の周波数を限定する。
【0045】
前述のように、種々の実施形態の重要な側面は、コヒーレンスの喪失を防止するために十分に高速であるが、FTMSの典型的高分解能を提供するために十分に低速でイオン発振を破壊的に検出することである。本所望の検出レートは、精密なレートで、コヒーレントに発振するイオンをQ3四重極230から軸方向に吐出することによって遂行される。本精密な軸方向吐出レートは、Q3四重極230および出射レンズ240の具体的電極を制御することによって得られる。
【0046】
図3は、種々の実施形態による、Q3四重極から検出器へのコヒーレントに発振するイオンの精密な軸方向吐出レートを制御するために使用される、Q3四重極の電極および出射レンズの例示的概略
図300である。最初に、イオンは、X個のロッド310間に接続されるトロイダル変圧器(図示せず)を使用して、X個のロッド310間に双極励起を印加することによって、コヒーレントに発振させられる。X個のロッド310はまた、これらが質量選択的軸方向吐出のために従来使用される同一ロッドであるため、A極ロッドとも呼ばれ得る。
【0047】
種々の実施形態では、検出器360に向かう全コヒーレントに発振されるイオンの軸方向吐出は、Q3四重極のカラー電極320および線形加速器(Linac)電極330の電圧と、出射レンズ340の電圧とを適切に調節することによって遂行される。例えば、それぞれ、カラー電極320のDC電圧は、DC電圧源321を制御することによって調節され、Linac電極330のDC電圧は、DC電圧源331を制御することによって調節され、出射レンズ340のDCおよびRF電圧は、DC電圧源341およびRF電圧源342を制御することによって調節される。出射レンズ140のトラップ場は、DCおよびRF電圧からの寄与を含むことに留意されたい。電圧源321、331、341、および342は、例えば、プロセッサ350によって制御される。
【0048】
図4は、種々の実施形態による、Q3四重極のLinac電極410の例示的軸方向
図400である。Linac電極410の垂直部分411は、水平部分412よりQ3四重極の軸に近くなるように、Q3四重極のロッド(図示せず)間に設置される。水平部分412は、したがって、Q3四重極のロッドの円周の外側にある。
【0049】
図5は、種々の実施形態による、Q3四重極のLinac電極510の例示的側面
図500である。
図5は、Linac電極510の垂直部分511の垂直高さが、Q3四重極の軸の方向に沿ってテーパ状であることを示す。Linacの水平部分512は、Q3四重極の軸の方向に沿って高さまたは幅が変動しない。
図3に戻ると、Linac電極330の垂直部分が、示される。
図3では、Linac電極330の垂直部分もまた、Q3四重極の軸に沿ってテーパ状であるように示される。Linac電極330の垂直部分は、それらが出射レンズ340により近くなるにつれて、Q3四重極の軸からより離れるように、テーパ状であることに留意されたい。本テーパ状は、Q3四重極の軸に沿って、コヒーレント発振イオンを軸方向に吐出することに役立つ電場成分を確立する。
【0050】
図6は、種々の実施形態による、LITがFTMSを行うために制御される方法を示す、例示的一連のタイミング
図600である。LITは、プロセッサ(図示せず)を使用して制御される。タイミング
図610は、生成イオンおよび残留する選択された前駆体イオンが、ある時間期間にわたって、LITの中に導入されることを示す。イオン導入のための本時間期間は、約10msである。イオンがLITの中に導入される、またはLITがイオンで充填された後、イオンは、冷却される。タイミング
図620は、イオンを冷却するための時間期間を示す。イオンを冷却するための本時間期間は、約50msである。いったんイオンが冷却されると、それらは励起されることができる。
【0051】
タイミング
図630は、イオンをLIT内で発振させるために使用される、狭い双極DC電圧励起パルスを示す。時間および周波数は、反比例するため、時間ドメイン内の励起パルスが狭いほど、より広い周波数スペクトルを生成する。より広い周波数スペクトルとは、より広いm/z範囲のイオンが同一パルスによって励起されることができることを意味する。前述のように、狭い双極DC電圧励起パルスが、LITのX個のロッド間に印加される。タイミング
図630の双極DC電圧励起パルスは、例えば、±5V〜±40Vの振幅および1〜5μsの幅を有する。
【0052】
LIT内の全イオンが、励起パルスによって励起された後、それらは、軸方向に吐出される。前述のように、単に、全イオンを迅速に吐出し、それらを一度に破壊的に検出することは、十分に高い分解能を提供するために十分な持続時間の信号を提供しないであろう。その結果、LITの電極および出射レンズの電圧は、ある時間期間にわたって、LITのイオンを計測するように制御される。
【0053】
タイミング
図640は、励起パルス直後の出射レンズのDC電圧の変化を示す。DC電圧は、例えば、正イオンに関して、+50Vから−50Vに変化される。本変化は、正イオンを出射レンズにより誘引的にする。しかしながら、本電圧は、依然として、LITのカラー電極の電圧より正にされる。これは、イオンが全てLITから直ちに出射することを防止する。
【0054】
タイミング
図650は、励起パルス直後のLITのカラー電極のDC電圧の変化を示す。DC電圧は、例えば、正イオンに関して、−800Vから−200Vに変化される。負電圧におけるこのより正の変化は、正イオンをLITにあまり誘引的ではないものにし、LITから離れる可能性をより高くする。しかしながら、−200Vは、依然として、出射レンズの−50Vより負であるため、障壁は、正イオンがLITから直ちに離れないように残る。
【0055】
タイミング
図660は、LITのLinac電極の電圧が変化しないことを示す。Linac電極のDC電圧は、励起パルスの前および後は、−50Vである。
図3および5に示されるLinac電極のテーパ状に起因して、Linac電極の一定DC電圧は、LITの軸に沿って電場成分を生成する。本電場成分は、イオンを出射レンズに向かって軸方向に加速させる。Linac電極のDC電圧は、励起パルス後に変化しないため、イオンの加速が、励起パルス前および後に生じる。
【0056】
イオンは、出射レンズの電圧がLinac電極の電圧よりはるかに正であるため、励起パルス前にLITから吐出されない。しかしながら、励起パルス後、出射レンズは、Linac電極と同一電圧が与えられる。これは、Linac電極によって生成される電場成分によって加速されるイオンのための任意の電圧障壁がもはや存在しないため、イオンを吐出させる。
【0057】
要するに、Linac電極に印加されるDC電圧によって生成される軸方向電場成分は、正イオンをLITのカラー電極から出射レンズに軸方向に指向する。殆どの正イオンは、カラー電極がLinac電極よりはるかに負である電圧を有するため、励起パルス前にLinac電極によってカラー電極近傍のLITから加速されない。また、励起パルス前にLinac電極によって加速されるそれらの正イオンさえ、出射レンズがLinac電極よりはるかに正である電圧を有するため、吐出されない。
【0058】
しかしながら、励起パルス後、カラー電極の電圧は、より正にされ、出射レンズの電圧は
、Linac電極
と同一の電圧が与えられる。これらの電圧の変化は、より正のイオンが、励起パルス後、Linac電極によってカラー電極近傍のLITから加速されることを可能にする。それらはまた、励起パルス後にLinac電極によって加速されるそれらの正イオンが、出射レンズを通して吐出されることを可能にする。再び、正イオンは、カラー電極の電圧が、依然として、Linac電極および出射レンズより負であるため、励起パルス後、Linac電極によって生成される軸方向電場成分によって直ちに加速および吐出されない。その結果、正イオンは、経時的に計測される。
【0059】
タイミング
図670は、検出器によって検出されたイオン信号を示す。本略図は、イオンが励起パルス前に検出されないことを示す。しかしながら、励起パルス後、多くの異なるイオン発振が、検出される。加えて、これらの発振は、ある時間期間にわたって検出される。これらの発振は、例えば、15〜30msにわたって検出される。そのような時間期間は、従来のFTMS器具に典型的である高分解能質量スペクトルを提供するために十分な信号を提供する。加えて、タイミング
図610、620、630、および670は、本タイプのLIT FTMSが、従来のFTMS器具と等しい、またはそれより優れた総全体的取得時間を有することを示す。例えば、総取得時間は、イオンを充填および冷却する時間を含め、60〜90msである。イオンを充填および冷却する時間を伴わない場合、取得時間は、15〜30msとなる。
【0060】
図7は、種々の実施形態による、FTMSを行うLITから3msの期間にわたって吐出されるコヒーレントに発振するイオンの検出された強度の例示的プロット700である。コヒーレントに発振するイオンの検出された強度は、イオン分解信号710によって表される。イオン分解信号710の短い3ms時間期間は、フーリエ変換がイオン分解信号710に適用された後、不良周波数分解能を生成する。イオン分解信号710の短時間期間は、例えば、LITのカラー電極および複数のLinac電極ならびに出射レンズのための電圧の不良選択によって生成された。
【0061】
図8は、種々の実施形態による、FTMSを行うLITから30msの期間にわたって吐出されるコヒーレントに発振するイオンの検出された強度の例示的プロット800である。コヒーレントに発振するイオンの検出された強度は、イオン分解信号810によって表される。イオン分解信号810の時間期間は、
図7におけるイオン分解信号710の時間期間より約10倍長い。本より長い時間期間は、フーリエ変換がイオン分解信号810に適用された後、良好な周波数分解能を生成する。イオン分解信号810の長時間期間は、例えば、LITのカラー電極および複数のLinac電極ならびに出射レンズのための電圧の正しい選択によって生成された。
【0062】
図9は、種々の実施形態による、
図8のフーリエ変換をイオン分解信号810に適用することによって得られる周波数スペクトルの一部の例示的プロット900である。
図9に示される周波数スペクトルの一部は、良好な周波数分解能が
図8のイオン分解信号810から得られることを示す。実際、ピーク910等の
図9に示される周波数スペクトルの一部のピークは、80Hzと広い。高分解能質量スペクトルは、高分解能周波数スペクトルから得られることができる。
【0063】
LITが双極DC電圧励起パルスおよび破壊的検出を使用してFTMSを正常に行うことができることを検証するために、609のm/zを伴うレセルピン前駆体イオンが、3amu前駆体イオン質量選択窓を伴う三連四重極のQ1四重極内で選択され、35eV衝突エネルギーを伴う三連四重極のQ2衝突セル内で断片化された。
【0064】
レセルピンの生成イオンおよび残留前駆体イオンは、次いで、LITとして構成される三連四重極のQ3四重極内でトラップおよび冷却された。Q3四重極のチャンバ圧力は、2.3×10
−5torrであった。1.5μsの幅を伴う6V方形波双極DC電圧励起パルスが、レセルピンの生成イオンおよび残留前駆体イオンに印加された。励起パルスは、イオンをQ3四重極内でコヒーレントに発振させた。Q3四重極のカラー電極のDC電圧および出射レンズのDC電圧は、次いで、Q3四重極から15msを上回る期間にわたってコヒーレントに発振するイオンを吐出するように変化された。吐出されたコヒーレントに発振するイオンは、検出器によって破壊的に検出され、記録された。
【0065】
図10は、種々の実施形態による、FTMSを行うLITから30msの期間にわたって吐出されるレセルピンのコヒーレントに発振する生成イオンおよび残留前駆体イオンの検出された強度の例示的プロット1000である。
図10は、レセルピンの生成イオンおよび残留前駆体イオンのイオン分解信号1010が15msを上回ってコヒーレンスを維持することを示す。
【0066】
図11は、種々の実施形態による、フーリエ変換を
図10のイオン分解信号1010に適用することによって得られる周波数スペクトルの例示的プロット1100である。
図11の周波数スペクトルは、レセルピンの生成イオンおよび残留前駆体イオンが得られたことを示す。215.8kHzにおけるピーク1110は、609のm/zに対応し、これは、レセルピン前駆体イオンのm/zである。305.0kHzにおけるピーク1120は、448のm/zに対応し、これは、レセルピンの生成イオンのm/zである。353.0kHzにおけるピーク1130は、397のm/zに対応し、これは、レセルピンの生成イオンのm/zである。393.0kHzにおけるピーク1140は、364のm/zに対応し、これは、レセルピンの生成イオンのm/zである。431.7kHzにおけるピーク1150は、レセルピン前駆体イオンの周波数の2倍に対応する。
【0067】
図12は、種々の実施形態による、349.5kHz〜355.5kHzの
図11の周波数スペクトルの拡大部分の例示的プロット1200である。
図11の周波数スペクトルの本拡大部分は、イオンに対応する周波数ピークの分解能が約70〜80Hz(半値全幅)であることを示す。例えば、353.0kHzにおけるピーク1230は、397のm/zに対応し、これは、レセルピンの生成イオンのm/zである。
【0068】
(破壊的FTMSのためにイオンを励起および吐出するためのシステム)
図3に戻ると、システム300は、種々の実施形態による、破壊的FTMS質量解析のためにイオンをコヒーレントに励起し、吐出するためのシステムである。システム300は、四重極と、出射レンズ340と、破壊的検出器360と、プロセッサ350とを含む。四重極は、四重極ロッド310と、複数の補助電極とを含む。四重極ロッド310は、イオンを受容するための入口端と、イオンを吐出するための出射端とを有する。
【0069】
種々の実施形態では、複数の補助電極は、カラー電極320と、複数のLinac電極330とを含む。カラー電極320は、四重極ロッド310の中心部分を囲繞する。複数のLinac電極330は、四重極ロッド310の出射端の近傍に位置する。種々の代替実施形態では、複数の補助電極は、単一セットの補助電極を含む。例えば、複数の補助電極は、単に、複数のLinac電極330を含むことができる。
【0070】
出射レンズ340は、四重極ロッド310の出射端の近傍の四重極ロッド310と同軸方向に位置する。破壊的検出器360は、出射レンズ340と同軸方向に位置し、出射レンズ340の他側上に位置する。
【0071】
プロセッサ350は、限定ではないが、コンピュータ、マイクロプロセッサ、または制御信号を送信および受信し、データを処理することが可能な任意のデバイスであることができる。プロセッサ350は、例えば、
図1のコンピュータシステム100であることができる。種々の実施形態では、プロセッサ350は、四重極、出射レンズ340、および破壊的検出器360と通信する。
【0072】
四重極をイオンで充填し、いったん充填されると、イオンを冷却するために、プロセッサ350は、四重極のガス入口および出口(図示せず)を制御することによって、圧力およびガス流動を四重極内に印加する。プロセッサ350は、四重極のガス入口および出口を制御し、例えば、0.5×10
−5〜5×10
−5torrの値において、圧力を四重極内に印加する。
【0073】
充填および冷却の間、イオンを四重極内にトラップするために、プロセッサ350は、直流(DC)電圧および無線周波数(RF)電圧を四重極ロッド310に、1つまたはそれを上回るDC電圧を複数の補助電極に、かつDC電圧およびRF電圧を出射レンズ340に印加する。例えば、プロセッサ350は、DC電圧源(図示せず)を制御することによって、DC電圧を四重極ロッド310に印加し、RF電圧源(図示せず)を制御することによって、RF電圧を四重極ロッド310に印加する。プロセッサ350は、DC電圧源341を制御することによって、DC電圧を出射レンズ340に、かつRF電圧源342を制御することによって、RF電圧を出射レンズ340に印加する。
【0074】
種々の実施形態では、充填および冷却の間、イオンを四重極内にトラップするために、プロセッサは、DC電圧をカラー電極320に、かつDC電圧を複数のLinac電極330に印加することによって、1つまたはそれを上回るDC電圧を複数の補助電極に印加する。プロセッサ350は、例えば、DC電圧源321を制御することによって、DC電圧をカラー電極320に印加する。プロセッサ350は、例えば、DC電圧源331を制御することによって、DC電圧を複数のLinac電極330に印加する。
【0075】
充填および冷却後、イオンをコヒーレントに発振させるために、プロセッサ350は、コヒーレント励起を四重極ロッド310のうちの少なくとも2つのロッド間に印加する。種々の実施形態では、四重極ロッド310のうちの少なくとも2つのロッド間に印加されるコヒーレント励起は、双極DC励起パルス電圧である。プロセッサ350は、例えば、少なくとも2つのロッド間に設置される周波数発生器(図示せず)およびトロイダル変圧器(図示せず)を制御することによって、双極DC励起パルス電圧を少なくとも2つのロッドに印加する。プロセッサは、例えば、0.5〜5μsのパルス幅を伴う双極DC励起パルス電圧を印加する。
【0076】
コヒーレント励起が印加された後、コヒーレントに発振するイオンを出射レンズ340を通して検出のための破壊的検出器360に軸方向に吐出するために、プロセッサ350は、複数の補助電極の1つまたはそれを上回るDC電圧のうちの1つまたはそれを上回る電圧を変化させ、出射レンズ340のDC電圧を変化させる。種々の実施形態では、プロセッサは、カラー電極320のDC電圧を変化させることによって、複数の補助電極の1つまたはそれを上回るDC電圧のうちの1つまたはそれを上回る電圧を変化させる。プロセッサ350は、例えば、DC電圧源321を制御することによって、カラー電極320のDC電圧を変化させる。
【0077】
プロセッサ350は、コヒーレントに発振するイオンが、例えば、コヒーレンスの喪失を防止するために十分に高速であるが、高分解能スペクトルをコヒーレントに発振するイオンから計算するために十分に長い期間時間にわたって、コヒーレントに発振するイオンを破壊的検出器360に提供するために十分に低速で吐出されるように、複数の補助電極の1つまたはそれを上回るDC電圧のうちの1つまたはそれを上回る電圧を変化させ、出射レンズ340のDC電圧を変化させる。種々の実施形態では、プロセッサ350は、コヒーレントに発振するイオンが、15〜30msの時間期間にわたって、出射レンズを通して破壊的検出器360に吐出されるように、カラー電極320のDC電圧を変化させ、出射レンズ340のDC電圧を変化させる。
【0078】
種々の実施形態では、充填および冷却の間、正イオンを四重極内にトラップするために、プロセッサ350は、第1のDC Linac電圧を複数のLinac電極330に、第1のDC Linac電圧より負の第1のDCカラー電圧をカラー電極320に、かつ第1のDC Linac電圧より正の第1のDC出射レンズ
電圧を出射レンズ34
0に印加する。コヒーレント励起が印加された後、コヒーレントに発振する正イオンを出射レンズ340を通して検出のための破壊的検出器360に軸方向に吐出するために、プロセッサ350は、カラー電極320のDC電圧を第1のDCカラー電圧から第2のDCカラー電圧に変化させ、出射レンズ340のDC電圧を第1のDC出射レンズ電圧から第2の出射レンズ電圧に変化させる。第2のDCカラー電圧は、第1のDCカラー電圧より負ではないが、依然として、第1のLinac電圧より負である。第2の出射レンズ電圧は、第1のLinac電圧と同一である。
【0079】
充填および冷却の間、負イオンを四重極内にトラップするために、プロセッサ350は、第1のDC Linac電圧を複数のLinac電極330に、第1のDC Linac電圧より正の第1のDCカラー電圧をカラー電極320に、かつ第1のDC Linac電圧より負の第1のDC出射レンズ電圧を出射レンズ340に印加する。コヒーレント励起が印加された後、コヒーレントに発振する負イオンを出射レンズ340を通して検出のための破壊的検出器360に軸方向に吐出するために、プロセッサ350は、カラー電極320のDC電圧を第1のDCカラー電圧から第2のDCカラー電圧に変化させ、出射レンズ340のDC電圧を第1のDC出射レンズ電圧から第2の出射レンズ電圧に変化させる。第2のDCカラー電圧は、第1のDCカラー電圧より正ではないが、依然として、第1のLinac電圧より正である。第2の出射レンズ電圧は、第1のLinac電圧と同一である。
【0080】
種々の実施形態では、複数のLinac電極330の各Linac電極の半径方向寸法は、複数のLinac電極330に印加されるDC電圧によって生成される電場の成分が、コヒーレントに発振するイオンを四重極ロッド310の出射端に向かって軸方向に加速させるように、四重極の軸に沿ってテーパ状である。
【0081】
種々の実施形態では、プロセッサ350はさらに、ある時間期間にわたって、コヒーレントに発振するイオンが破壊的検出器360に衝打するにつれて、破壊的検出器360によって生成される強度をメモリ内に記録する。プロセッサ350は、フーリエ変換を使用して、時間期間にわたって記録された強度を周波数スペクトルに変換する。プロセッサ350は、コヒーレントに発振するイオンの質量スペクトルを周波数スペクトルから計算する。
【0082】
(破壊的FTMSのためにイオンを励起および吐出するための方法)
図13は、種々の実施形態による、LIT四重極を使用した破壊的FTMS質量解析のために、イオンをコヒーレントに励起し、吐出するための方法1300を示す、フロー図である。
【0083】
方法1300のステップ1310では、四重極は、プロセッサを使用して、四重極のガス入口および出口を制御することにより、イオンで充填され、イオンは、圧力およびガス流動を四重極内で印加することによって冷却される。四重極は、イオンを受容するための入口端およびイオンを吐出するための出射端を有する、四重極ロッドを含む。四重極はまた、複数の補助電極を含む。出射レンズが、四重極ロッドの出射端の近傍の四重極ロッドと同軸方向に位置する。破壊的検出器が、出射レンズと同軸方向に位置し、出射レンズの他側上に位置する。
【0084】
ステップ1320では、イオンは、プロセッサを使用して、DC電圧およびRF電圧を四重極ロッドに、1つまたはそれを上回るDC電圧を複数の補助電極に、かつDC電圧およびRF電圧を出射レンズに印加することによって、充填および冷却の間、四重極内にトラップされる。
【0085】
ステップ1330では、イオンは、プロセッサを使用して、コヒーレント励起を四重極ロッドのうちの少なくとも2つのロッド間に印加することによって、充填および冷却後、コヒーレントに発振される。
【0086】
ステップ1340では、コヒーレントに発振するイオンは、プロセッサを使用して、複数の補助電極の1つまたはそれを上回るDC電圧のうちの1つまたはそれを上回る電圧を変化させ、出射レンズのDC電圧を変化させることによって、コヒーレント励起が印加された後、出射レンズを通して検出のための破壊的検出器に軸方向に吐出される。
【0087】
(破壊的FTMSのためにイオンを励起および吐出するためのコンピュータプログラム製品)
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、有形コンピュータ可読記憶媒体を含み、そのコンテンツは、LIT四重極を使用した破壊的FTMS質量解析のために、イオンをコヒーレントに励起し、吐出するための方法を行うように、プロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含む。本方法は、1つまたはそれを上回る固有のソフトウェアモジュールを含む、システムによって行われる。
【0088】
図14は、種々の実施形態による、LIT四重極を使用した破壊的FTMS質量解析のために、イオンをコヒーレントに励起し、吐出するための方法を行う、1つまたはそれを上回る固有のソフトウェアモジュールを含む、システム1400の概略図である。システム1400は、充填および冷却制御モジュール1410と、励起制御モジュール1420と、吐出制御モジュール1430とを含む。
【0089】
充填および冷却制御モジュール1410は、四重極のガス入口および出口を制御することにより、四重極をイオンで充填し、圧力およびガス流動を四重極内で印加することによって、イオンを冷却する。四重極は、イオンを受容するための入口端およびイオンを吐出するための出射端を有する、四重極ロッドを含む。四重極はまた、複数の補助電極を含む。出射レンズが、四重極ロッドの出射端の近傍の四重極ロッドと同軸方向に位置する。破壊的検出器が、出射レンズと同軸方向に位置し、出射レンズの他側上に位置する。
【0090】
充填および冷却制御モジュール1410は、DC電圧および無線周波数RF電圧を四重極ロッドに、1つまたはそれを上回るDC電圧を複数の補助電極に、かつDC電圧およびRF電圧を出射レンズに印加することによって、充填および冷却の間、イオンを四重極内にトラップする。
【0091】
励起制御モジュール1420は、コヒーレント励起を四重極ロッドのうちの少なくとも2つのロッド間に印加することによって、充填および冷却後、イオンをコヒーレントに発振させる。吐出制御モジュール1430は、複数の補助電極の1つまたはそれを上回るDC電圧のうちの1つまたはそれを上回る電圧を変化させ、出射レンズのDC電圧を変化させることによって、コヒーレント励起が印加された後、コヒーレントに発振するイオンを出射レンズを通して検出のための破壊的検出器に軸方向に吐出する。
【0092】
本教示は、種々の実施形態と併せて説明されたが、本教示をそのような実施形態に限定されることを意図しない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。特に、本実施形態は、カラー電極およびLinac電極を組み込むが、補助電極の他の組み合わせも、使用され、コヒーレントに励起されるイオンを線形イオントラップ内で計測することができることに留意されたい。
【0093】
さらに、種々の実施形態を説明する際、本明細書は、方法および/またはプロセスをステップの特定のシーケンスとして提示し得る。しかしながら、方法またはプロセスが本明細書に記載されるステップの特定の順序に依拠しない限り、方法またはプロセスは、説明されるステップの特定のシーケンスに限定されるべきではない。当業者が理解するであろうように、ステップの他のシーケンスも、可能性として考えられ得る。したがって、本明細書に記載されるステップの特定の順序は、請求項に関する限定として解釈されるべきではない。加えて、方法および/またはプロセスを対象とする請求項は、そのステップの実施を書かれた順序に限定されるべきではなく、当業者は、シーケンスが変動されてもよく、依然として、種々の実施形態の精神および範囲内にあることを容易に理解し得る。