(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のデータ列を取得するために、予め設定されたルールに従い、異なる時点における前記ユーザの過去の取引データに対して第1のデータ処理を実行する前記ステップは:
予め設定されたユーザ割り込み率に応じてデータ分位点を決定するステップ(301)と;
前記第1のデータ列を取得するために、前記データ分位点に応じて異なる時点における前記ユーザの過去の取引データに値を割り当てるステップ(302)と;を備える、
請求項2に記載の支払い閾値取得方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施の形態により解決すべき技術的問題は、支払い閾値を取得する効率を向上させることができる支払い閾値取得方法を提供することである。
それに応じ、本願の実施の形態は、上述の方法の実施及び適用を確実にする支払い閾値取得装置を更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願は、支払い閾値取得方法を開示し、本方法は:
第1の時点におけるユーザの既知の第1の支払い閾値を取得するステップと;
予め取得されている支払い閾値変更ルールに従い、第2の時点と前記第1の時点との間の支払い閾値変動量を決定するステップと;
前記第1の支払い閾値と前記支払い閾値変動量とに応じて、前記第2の時点における前記ユーザの支払い閾値を決定するステップと;を備え、
前記支払い閾値変更ルールは、異なる時点における前記ユーザの過去の取引(トランザクション)データに対してデータ処理が行われた後に取得される。
【0007】
更に、前記支払い閾値変更ルールを取得する前記工程は:
予め設定されたルールに従い、異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに対して第1のデータ処理を行い、第1のデータ列を取得するステップと;
前記第1のデータ列に対して第2のデータ処理を行い、第2のデータ列を取得するステップと;
前記第2のデータ列に対して回帰分析を行い、前記支払い閾値変更ルールを取得するステップと;を備える。
【0008】
更に、予め設定されたルールに従い、異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに対して第1のデータ処理を行い、第1のデータ列を取得する、前記ステップは:
予め設定されたユーザ割り込み率(user interruption rate)に応じてデータ分位点(data quantile)を決定するステップと;
前記データ分位点に応じて異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに値を割り当てて、前記第1のデータ列を取得するステップと;を備える。
【0009】
更に、前記第1のデータ列に対して第2のデータ処理を行い、第2のデータ列を取得する、前記ステップは:
前記第1のデータ列に対して差演算を行い、階差数列を取得するステップと;
前記階差数列に対して対数変換を行い、前記第2のデータ列を取得するステップと;を備える。
【0010】
更に、前記第2のデータ列に対して回帰分析を行い、前記支払い閾値変更ルールを取得する、前記ステップは:
前記第2のデータ列に応じて回帰モデルを確立するステップと;
残差が正規分布に従う場合、前記回帰モデルに応じて前記支払い閾値変更ルールを取得するステップと;を備える。
【0011】
更に、本方法は、予め設定された条件に従って前記支払い閾値変更ルールを修正するステップを更に備える。
【0012】
本願の実施の形態は、支払い閾値取得装置を更に開示し、本装置は:
第1の時点におけるユーザの既知の第1の支払い閾値を取得するように構成された閾値取得ユニットと;
予め取得されている支払い閾値変更ルールに従い、第2の時点と前記第1の時点との間の支払い閾値変動量を決定するように構成された変動量決定ユニットと;
前記第1の支払い閾値と前記支払い閾値変動量とに応じて、前記第2の時点における前記ユーザの支払い閾値を決定するように構成された閾値決定ユニットと;を備え、
前記支払い閾値変更ルールは、異なる時点における前記ユーザの過去の取引データに対してデータ処理が行われた後に取得される。
【0013】
更に、前記装置は、前記支払い閾値変更ルールを取得するように構成されたルール決定ユニットを更に備え、前記ルール決定ユニットは:
予め設定されたルールに従い、異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに対して第1のデータ処理を行い、第1のデータ列を取得するように構成された第1の処理サブユニットと;
前記第1のデータ列に対して第2のデータ処理を行い、第2のデータ列を取得するように構成された第2の処理サブユニットと;
前記第2のデータ列に対して回帰分析を行い、前記支払い閾値変更ルールを取得するように構成されたデータ分析サブユニットと;を備える。
【0014】
更に、前記第1の処理サブユニットは:
予め設定されたユーザ割り込み率に応じてデータ分位点を決定するように構成された決定サブユニットと;
前記データ分位点に応じて異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに値を割り当てて、前記第1のデータ列を取得するように構成された値割り当てサブユニットと;を備える。
【0015】
更に、前記第2の処理サブユニットは:
前記第1のデータ列に対して差演算を行い、階差数列を取得するように構成された演算サブユニットと;
前記階差数列に対して対数変換を行い、前記第2のデータ列を取得するように構成された変換サブユニットと;を備える。
【0016】
更に、前記データ分析サブユニットは:
前記第2のデータ列に応じて回帰モデルを確立するように構成された確立サブユニットと;
残差が正規分布に従う場合、前記回帰モデルに応じて前記支払い閾値変更ルールを取得するように構成された分析サブユニットと;を備える。
【0017】
更に、本装置は:
予め設定された条件に従って前記支払い閾値変更ルールを修正するように構成された修正ユニットを更に備える。
【0018】
従来技術と比較すると、本願の実施の形態は以下の利点を含む。
本願の実施の形態では、ユーザの過去の取引データに応じて支払い閾値変更ルールが予め取得されているために、支払い閾値を取得する際、既知の過去の支払い閾値は自動的に取得することができ、現在の支払い閾値は、支払い閾値変更ルールに従って、計算により取得され、支払い閾値の自動取得が実現される。この工程では、オペレータは、バックエンドへ頻繁にログオンしてバックエンドサーバと頻繁にインタラクションする必要がないために、支払い閾値を取得する工程は単純化され、支払い閾値を取得する効率が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願の上述の目的、特徴、及び利点の理解を容易にするため、添付の図面及び具体的な実施を参照して、本願を更に詳細に以下記載する。
【0021】
図1には、本願による、支払い閾値取得方法の実施の形態のステップのフローチャートが示されており、この方法は具体的に以下のステップを含んでもよい。
【0022】
ステップ101:第1の時点におけるユーザの既知の第1の支払い閾値を取得する。
この実施の形態における支払い閾値取得装置は、バックエンドサーバであってもサーバ内に配置された独立モジュールであってもよい。モジュールは、サーバから必要なデータを取得するために、他のモジュールとインタラクションすることができる。
【0023】
この装置は、手動若しくは別の装置によって発せらせた支払い閾値を取得せよという指令を受信した後に、このステップを実行することができる、又は、予め設定されたルールに従い、このステップの実行を自動的に開始することができる。例えば、支払い閾値の有効期間、又は、支払い閾値を更新する時間間隔、を前もって設定できる。例えば、1日の支払い閾値を毎日決められた時刻に更新してもよく、予め設定されたルールに適合する場合、装置は、このステップ及び後続のステップの実行を自動的に開始して支払い閾値を取得する。装置は取得した支払い閾値に応じ、支払い閾値を更に設定することができる。
【0024】
このステップでは、装置は先ず、第1の支払い閾値として記録されており、実際には既知の過去の支払い閾値である、第1の時点におけるユーザの支払い閾値を読み出す、又は、取得する。具体的には、前回設定された支払い閾値を読み出してもよい。当然ながら、過去の任意の時点に設定された支払い閾値を読み出すこともできる。第1の支払い閾値は、前もって設定してもよく、この実施の形態の方法に従って取得してもよい。ユーザの最初の支払い閾値はユーザによって設定されてもよく、その時点のユーザの過去の取引金額の特定のパーセンテージに応じて取得してもよい。パーセンテージは1−pとしてもよく、pはユーザ割り込み率である。
【0025】
ステップ102:予め取得されている支払い閾値変更ルールに従い、第2の時点と第1の時点との間の支払い閾値変動量を決定する。支払い閾値変更ルールは、異なる時点におけるユーザの過去の取引データに対してデータ処理を実施した後に取得される。
【0026】
この実施の形態では、支払い閾値変更ルールを、異なる時点におけるユーザの過去の取引データに応じ、データ値割り当て、データ処理、モデル分析、及び他の工程を用いて前もって取得できる。支払い閾値変更ルールにおいて、現在の支払い閾値は特定の時点におけるユーザの取引データと、特定時点と現在時点との間の時間間隔とに関係する。
例えば、
であり、式中、x
jは特定時点における支払い閾値であり、iは自然数であり、λは乱数である。この実施の形態では、支払い閾値変更ルールは、異なる時点におけるユーザの過去の取引データに対してデータ処理及び回帰分析が行われた後に取得できる。詳細については、以下の実施の形態の説明を参照されたい。
【0027】
このステップでは、装置が、支払い閾値変更ルール、
例えば、
に従い、第1の時点と第2の時点との間の支払い閾値変動量を決定できる。
【0028】
ステップ103:第1の支払い閾値と支払い閾値変動量とに応じて、第2の時点におけるユーザの支払い閾値を決定する。
上記ステップにおいて第1の支払い閾値と支払い閾値変動量とが取得された後、このステップでは、支払い閾値変更ルールに従い、第2の時点におけるユーザの支払い閾値を得ることができる。
【0029】
本願の実施の形態では、ユーザの過去の取引データに応じて支払い閾値変更ルールが予め取得されており、その結果、支払い閾値を取得する際には、既知の過去の支払い閾値を自動的に取得することができ、現在の支払い閾値は、支払い閾値変更ルールに従い、計算によって取得され、支払い閾値の自動取得が実現される。この工程では、オペレータは、バックエンドへ頻繁にログオンしてバックエンドサーバと頻繁にインタラクションする必要がなく、そのため、支払い閾値を取得する工程が単純化され、支払い閾値を取得する効率が向上する。
【0030】
支払い閾値を取得した後、装置は、支払い閾値に応じて設定を行うことができる。Alipay(商標)を支払いツールとして使う例を用いることによりユーザの取引金額に対する支払い閾値を、Alipay(商標)において設定できる。現在の取引の支払金額が支払い閾値以上である場合、装置は、取引を行うか否かを決定するようにユーザに注意を促して取引リスクをできる限り回避する。
【0031】
加えて、装置は、支払い閾値を定期的に取得する、又は、場合によっては上記ステップに従って支払い閾値を毎日取得するために、支払い閾値更新期間を更に設定し、それに適応させて支払い閾値を動的に調節して、支払い戦略を柔軟に変更するという目的を実現することができる。動的な支払い閾値を用いることによりリスク管理取引に対する閾値限界が設定され、その結果、より正確かつ確実に取引リスクの管理を行うことができ、ユーザ体験は良好なものとなる。
【0032】
本願の実施の形態では、ユーザによって取引データが有意に異なり互いに関連しない場合があるため、支払い閾値変更ルールはユーザによってそれぞれ異なる。全ての取引シナリオ及びサービスシナリオにおいて、取引単価は異なっていてもよい。例えば、電話料金、Qコイン、ゲーム通貨の価格は比較的低く、カードへの振替の場合、振替金額は一般に、10,000元を超える。従って、本願の実施の形態では、ユーザの過去の取引データを、異なるシナリオに基づいて更に処理し、異なるシナリオにおける支払い閾値変更ルールを取得できる。これは、データ戦略を改善する意向をより良好に反映する。
【0033】
図2に示すように、本願の別の実施の形態における支払い閾値変更ルールを取得する工程は以下を含んでもよい。
【0034】
ステップ201:予め設定されたルールに従い、異なる時点におけるユーザの過去の取引データに対して第1のデータ処理を行い、第1のデータ列を取得する。
この実施の形態では、ユーザの過去の取引データに応じて先ず第1のデータ列を取得する必要がある。第1のデータ列は、支払い閾値変更ルールの結果に直接影響を及ぼす可能性がある一方で、ユーザ割り込み(中断)率は、支払い経験を評価するための主要指標の1つである。ユーザは、割り込みがないと不安を感じることがあり、割り込みが多すぎると製品経験(プロダクトエクスペリエンス)は不快なものになることがある。ユーザ割り込み率は、ユーザの総数に対する割り込まれたユーザの数のパーセンテージであると解釈することができる。従って、第1のデータ列は、このステップではユーザ割り込み率を参照して決定できる。
図3aに示すように、具体的な工程は、以下を含んでもよい。
【0035】
ステップ301:予め設定されたユーザ割り込み率に応じてデータ分位点を決定する。
ユーザ割り込み率が予めpに設定されていると仮定すると、1−pをデータ分位点として用いることができる。例えば、ユーザ割り込み率が10%である場合、1−10%をデータ分位点として用いることができる。
【0036】
ステップ302:データ分位点に応じて異なる時点におけるユーザの過去の取引データに値を割り当てて第1のデータ列を取得する。
このステップでは、異なる時点におけるユーザの過去の取引データの1−p分位点を第1のデータ列として用いることができる。過去の取引データが取引金額である例を用い、初日のユーザの取引金額が100元であると仮定すると、100(1−p)が第1のデータ列の第1番目にランク付けされたデータとして用いられる;i日目のユーザの取引金額がaiであると仮定すると、ai*(1−p)が第1のデータ列のi番目にランク付けされたデータとして用いられる。残りについても同様に取得することができ、従って、第1のデータ列を取得することができる。第1のデータ列が{x
i}であると仮定する。ただし、x
iはi日目の取引金額の1−p分位点であり、i=1,…,nである。第1のデータ列に対応して取得される散布図は
図3bに示す通りであり、数列は非線形数列である。
【0037】
他の実施の形態では、取引データは取引金額でなくてもよく、取引数などであってもよい。ユーザは、具体的にはユーザアカウント、ユーザ銀行カード、ユーザ機器などであってもよい。
【0038】
ステップ202:第1のデータ列に対して第2のデータ処理を行い、第2のデータ列を取得する。
第1のデータ列を取得した後、データ列に対してデータ処理を行える。具体的には、処理手順は、
図4aに示すように、以下を含んでもよい。
【0039】
ステップ401:第1のデータ列に対して差演算を行い、階差数列を取得する。
このステップでは、第1のデータ列に対して一次差演算を行い、階差数列を取得できる。
【0040】
変数fが独立変数tに依存すると仮定した場合、tがt+1になると、従属変数fの変動量=f(t)はD
f(t)=f(t+1)−f(t)となる。ただし、D
f(t)は、点tにおける関数f(t)の一次差と呼ばれる。
【0041】
このステップでは、第1のデータ列に対して一次差演算を行い、階差数列{y
j},j=1,…,n−1を取得する。階差数列は、
図4bに示す散布図に対応する。
【0042】
ステップ402:階差数列に対して対数変換を行い、第2のデータ列を取得する。
このステップでは、階差数列に対して対数変換を行い、第2のデータ列{z
j}を取得する。
図4cは、第2のデータ列の散布図を示す。
一次差演算と対数変換は既存の方法と同様であり、詳細についてはここでは改めて説明しない。
【0043】
ステップ203:第2のデータ列に対して回帰分析を行い、支払い閾値変更ルールを取得する。
第2のデータ列に対して回帰分析を行う工程は、
図5に示すように以下を含んでもよい。
【0044】
ステップ501:第2のデータ列に応じて回帰モデルを確立する。
第2のデータ列{z
j}について回帰モデルを確立する方法は、既存の方法と同様である。回帰モデルが確立された後に、
図4cに示すように回帰直線を取得できる。
【0045】
ステップ502:残差が正規分布に従う場合、回帰モデルに応じて支払い閾値変更ルールを取得する。
回帰モデルの結果によれば、Prob値は4.261e−09<0.05になる場合があり、残差は正規分布に従う。最終的に、z
j=7.25905−0.29872jが取得される。残差ε
iは、分布N(−0.02786,0.9486)に従う。支払い閾値変更ルールは、上記工程に従って取得でき、
となる。x
i+1は(i+1)日目の支払い閾値である。x
1は初日の取引金額の1−p分位点であり、この値を最初のユーザの支払い閾値としても用いることができる。
【0046】
支払い閾値を超過することが起こりにくくなるよう、ここでは、元の支払い閾値に基づいて乱数λ
iが加算され、最終的に支払い閾値変更ルール、
が得られる。
残差の分布に応じて回帰モデルから残差を取得してデータ列を取得する工程は、既存の回帰分析工程と同様であり、詳細についてはここで改めて説明しない。
【0047】
具体的な例では、異なる時点におけるユーザの過去の取引金額に応じて取得される第1のデータ列を、以下の通りとする:
{x
1,…,x
15}={3000,5000,6000,6500,6800,7000,7180,7330,7450,7550,7630,7700,7750,7780,7800}。
第1のデータ列の一次差を用いて階差数列が得られる。階差数列は以下の通りである。
{y
1,…,y
14}={2000,1000,500,300,200,180,150,120,100,80,70,50,30,20}。
次いで、階差数列に対して対数処理がなされ、以下の第2のデータ列が得られる:
{z
j}=log(y
j)={7.60,6.91,6.21,5.70,5.30,5.19,5.01,4.79,4.61,4.38,4.25,3.91,3.40,3.00}、j=1,…,14
第2のデータ列について、回帰モデルが確立される。残差が正規分布に従う場合、最終的にz
j=7.25905−0.29872jが得られる。
【0048】
本願の別の実施の形態では、方法は、予め設定された条件に従って支払い閾値変更ルールを修正するステップを更に含んでもよい。
【0049】
具体的には、支払い閾値変更ルールを用いることにより支払い閾値が実施された後に、定期的に(例えば毎週)、又は予め設定した条件が満たされたときに評価を行い、シナリオ評価データを取得することができる。例えば、m人のユーザが評価を受け、M人のユーザが評価条件(条件は必要に応じて設定することができる)を満たすと、割り込みをされないユーザの数はM*(1−p)である。ただし、pはユーザ割り込み率である。この場合、修正量は、
で取得できる。
【0050】
修正量を取得した後、第1のデータ列を修正量に応じて調節できる。
例えば、
と設定される。次いで、調節された第1のデータ列に応じて上述のステップ201乃至203を繰り返し、修正された支払い閾値変更ルールを取得する。
【0051】
なお、説明を簡略化するため、一連の動作の組合せとして方法の実施の形態を記載した。しかし、本願の実施の形態によれば、一部のステップは、別の順序でも同時にでも行うことができるため、当業者であれば、本願の実施の形態は、記載する一連の動作によって限定されないことを理解すべきである。第2に、当業者であれば、本明細書に記載する実施の形態は全て好ましい実施の形態であり、含まれる動作は本願の実施の形態に必須ではないことも理解すべきである。
【0052】
図6には、本願による支払い閾値取得装置の実施の形態の構造ブロック図が示されており、この装置は具体的に以下のユニットを含んでもよい。
第1の時点におけるユーザの既知の第1の支払い閾値を取得するように構成された閾値取得ユニット601;
予め取得されている支払い閾値変更ルールに従い、第2の時点と第1の時点との間の支払い閾値変動量を決定するように構成された変動量決定ユニット602;及び
第1の支払い閾値と支払い閾値変動量とに応じて、第2の時点におけるユーザの支払い閾値を決定するように構成された閾値決定ユニット603。
【0053】
支払い閾値変更ルールは、異なる時点におけるユーザの過去の取引データに対してデータ処理が行われた後に取得される。
【0054】
上記ユニットを用いて、装置は、指令が受信された場合に、又は、設定条件が満たされた場合に、既知の過去の支払い閾値を自動的に取得し、予め取得されている支払い閾値変更ルールに従い、現在の支払い閾値を計算して取得し、支払い閾値の自動取得を実現することができる。オペレータは、バックエンドへ頻繁にログオンしてバックエンドサーバと頻繁にインタラクションする必要がなく、そのため支払い閾値を取得する効率が向上する。
【0055】
加えて、装置は更に、支払い閾値設定期間を設定して支払い閾値を、日毎も含め定期的に取得し、それに適応させて支払い閾値を動的に調節して、支払い戦略を柔軟に変更するという目的を実現できる。動的な支払い閾値を用いることによりリスク管理取引に対する閾値限界が設定され、その結果、より正確かつ確実に取引リスクの管理を行うことができ、ユーザ体験も良好なものにできる。
【0056】
別の実施の形態では、
図7に示すように、装置は、支払い閾値変更ルールを取得するように構成されたルール決定ユニット701を更に含む。
このルール決定ユニット701は:
予め設定されたルールに従い、異なる時点におけるユーザの過去の取引データに対して第1のデータ処理を行い、第1のデータ列を取得するように構成された第1の処理サブユニット7011;
第1のデータ列に対して第2のデータ処理を行い、第2のデータ列を取得するように構成された第2の処理サブユニット7012;及び
第2のデータ列に対して回帰分析を行い、支払い閾値変更ルールを取得するように構成されたデータ分析サブユニット7013;を更に含んでもよい。
【0057】
図8に示すように、第1の処理サブユニット7011は:
予め設定されたユーザ割り込み率に応じてデータ分位点を決定するように構成された決定サブユニット801;及び
データ分位点に応じて異なる時点におけるユーザの過去の取引データに値を割り当てて第1のデータ列を取得するように構成された値割り当てサブユニット802:を含んでもよい。
【0058】
図9に示すように、第2の処理サブユニット7012は:
第1のデータ列に対して差演算を行い、階差数列を取得するように構成された演算サブユニット901;及び
階差数列に対して対数変換を行い、第2のデータ列を取得するように構成された変換サブユニット902;を含んでもよい。
【0059】
図10に示すように、データ分析サブユニット7013は:
第2のデータ列に応じて回帰モデルを確立するように構成された確立サブユニット1001;及び
残差が正規分布に従う場合、回帰モデルに応じて支払い閾値変更ルールを取得するように構成された分析サブユニット1002;を含んでもよい。
【0060】
別の実施の形態では、
図11に示すように、装置は、予め設定された条件に従って支払い閾値変更ルールを修正ように構成された修正ユニット1101を更に含んでもよい。
【0061】
この実施の形態は、メモリとプロセッサとを含むサーバを更に含む。
プロセッサとメモリはバスを介して接続されている。バスは、ISAバス、PCIバス、EISAバスなどであってもよい。バスは、アドレスバス、データバス、制御バスなどに分割されてもよい。
メモリは、プログラムのセグメントを格納するように構成できる。具体的には、プログラムはプログラムコードを含むことができ、プログラムコードは、コンピュータ演算指令を含む。メモリは高速RAMを含むことができ、不揮発性メモリ、例えば、少なくとも1つの磁気ディスクメモリを更に含んでもよい。
【0062】
前記プロセッサは、以下のステップを実行するために、メモリ内のプログラムコードを読み出すように構成される。
第1の時点におけるユーザの既知の第1の支払い閾値を取得するステップ;
予め取得されている支払い閾値変更ルールに従い、第2の時点と前記第1の時点との間の支払い閾値変動量を決定するステップ;及び
前記第1の支払い閾値と前記支払い閾値変動量とに応じて、前記第2の時点における前記ユーザの支払い閾値を決定するステップ。
前記支払い閾値変更ルールは、異なる時点における前記ユーザの過去の取引データに対してデータ処理が行われた後に取得される。
【0063】
装置の実施の形態は、基本的に方法の実施の形態と同様であるため、比較的単純な形で説明する。関連する部分については、方法の実施の形態の部分的な説明を参照することができる。
【0064】
本明細書の実施の形態を順次説明した。各実施の形態は、他の実施の形態とは異なる部分を強調して述べられている。実施の形態の同一又は類似の部分についは、互いを参照することができる。
【0065】
当業者は、本発明の実施の形態が、方法、デバイス、又はコンピュータプログラム製品として提供され得ることを理解すべきである。したがって、本願の実施の形態は、完全なハードウェアの実施の形態、完全なソフトウェアの実施の形態、又はソフトウェアとハードウェアとを組み合わせた実施の形態として実装することができる。更に、本発明は、コンピュータで使用可能なプログラムコードを含む、1つ以上のコンピュータで使用可能な記憶媒体(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むが、これに限定されない)上に実装されたコンピュータプログラム製品であってもよい。
【0066】
典型的な構成において、コンピュータ装置は、1つ以上のプロセッサ(CPU)、入力/出力インターフェース、ネットワークインターフェース、及びメモリを含む。メモリは、コンピュータ読み取り可能媒体、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)又はフラッシュランダムアクセスメモリ内の揮発性メモリ、RAM及び/又は不揮発性メモリなどを含むことができる。メモリは、コンピュータ読み取り可能媒体の一例である。コンピュータ読み取り可能媒体は、不揮発性及び揮発性の媒体、並びに可動及び非可動の媒体を含み、任意の方法又は技術を用いて情報保存を実施することができる。情報は、コンピュータ読み取り可能な指令、データ構造、及びプログラム又は他のデータのモジュールであってもよい。コンピュータの記録媒体としては、例えば、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、他のタイプのRAM、ROM、電気的消去可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光学記憶装置、カセットテープ、磁気テープ/磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は任意の他の非伝送媒体が挙げられるがそれに限定されず、コンピューティング装置にアクセス可能な情報を格納するために用いることができる。本文の定義によれば、コンピュータ読み取り可能媒体は、変調データ信号及びキャリアなどの一時的な媒体を含まない。
【0067】
本願の実施形態は、本願の実施の形態による方法、端末装置(システム)およびコンピュータプログラム製品によるフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。コンピュータプログラム命令は、フローチャート及び/又はブロック図における各プロセス及び/又はブロック、及び、フローチャート及び/又はブロック図におけるプロセス及び/又はブロックの組み合わせを実装するために使用できることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、又は任意の他のプログラム可能な処理装置のプロセッサに提供されて、機械を生成してもよく、その結果、コンピュータ又は任意の他のプログラム可能な処理装置のプロセッサによって実行される命令は、フローチャートの1つ以上のプロセス及び/又はブロック図の1つ以上のブロックにおいて特定の機能を実現するためのデバイスを生成する。
【0068】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読メモリに記憶され、コンピュータ又は任意の他のプログラム可能な処理装置に特定の態様で作動するように指示することができ、その結果、コンピュータ可読メモリに格納された命令が、命令装置を含む製造物を生成する。命令装置は、フローチャートの1つ以上のプロセス及び/又はブロック図の1つ以上のブロックにおける特定の機能を実行する。
【0069】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は別のプログラム可能なデータ処理装置にロードされて、一連の動作及びステップがコンピュータ又は別のプログラム可能な装置上で実行され、それによりコンピュータ実装処理を生成することもできる。したがって、コンピュータ又は別のプログラム可能な装置上で実行される命令は、フローチャート内の1つ以上のプロセス及び/又はブロック図の1つ以上のブロックにおける特定の機能を実行するステップを提供する。
【0070】
本願の実施の形態のうちの好ましい実施の形態を説明したが、基本的な発明概念を理解すれば、当業者はこれらの実施の形態に他の変更及び修正を加えることができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、本願の実施の形態の範囲内に入る好ましい実施の形態及びすべての変更及び修正を含むことが意図されている。
【0071】
最後に、本明細書における「第1」及び「第2」のような関係用語は、1つの実体又は操作(オペレーション)を別の実体又は操作と区別するために用いられているに過ぎず、これらの実体又は操作の間に何らかの実際の関係又は順序が存在することを必ずしも要求又は示差するものではないことに更に注意すべきである。加えて、用語「含む(include)」、「備える(comprise)」、又はその任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、一連の要素を含む工程、方法、物品又は端末装置は、その要素だけでなく、明確に列挙されていない他の要素を含んでもよく、工程、方法、物品又は端末装置の固有の要素を更に含んでもよい。それ以上の制限がない場合、「1つの(a(n))…を含む」によって定義される要素は、その要素を含む工程、方法、物品又は端末装置が同一の他の要素を更に有することを排除するものではない。
【0072】
本願において提供される支払い閾値設定方法及び支払い閾値設定装置を上記に詳細に記載した。本明細書においては、具体例を用いることにより本願の原理及び実施を説明した。上記の実施の形態の記載は、本願の方法及びその核となる概念の理解を助けるために用いられるに過ぎない。一方、当業者は、本願の概念に従い、具体的な実施及び適用範囲に変更を加えることができる。結論として、本明細書の内容は、本願を限定するものとみなすべきではない。
[第1の局面]
支払い閾値取得方法であって:
第1の時点におけるユーザの既知の第1の支払い閾値を取得するステップと;
予め取得されている支払い閾値変更ルールに従い、第2の時点と前記第1の時点との間の支払い閾値変動量を決定するステップと;
前記第1の支払い閾値と前記支払い閾値変動量とに応じて、前記第2の時点における前記ユーザの支払い閾値を決定するステップと;を備え、
前記支払い閾値変更ルールは、異なる時点における前記ユーザの過去の取引データに対してデータ処理が行われた後に取得される、
支払い閾値取得方法。
[第2の局面]
前記支払い閾値変更ルールを取得する前記工程は:
予め設定されたルールに従い、異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに対して第1のデータ処理を行い、第1のデータ列を取得するステップと;
前記第1のデータ列に対して第2のデータ処理を行い、第2のデータ列を取得するステップと;
前記第2のデータ列に対して回帰分析を行い、前記支払い閾値変更ルールを取得するステップと;を備える、
第1の局面に記載の方法。
[第3の局面]
予め設定されたルールに従い、異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに対して第1のデータ処理を行い、第1のデータ列を取得する前記ステップは:
予め設定されたユーザ割り込み率に応じてデータ分位点を決定するステップと;
前記データ分位点に応じて異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに値を割り当てて前記第1のデータ列を取得するステップと;を備える、
第2の局面に記載の方法。
[第4の局面]
前記第1のデータ列に対して第2のデータ処理を行い、第2のデータ列を取得する前記ステップは:
前記第1のデータ列に対して差演算を行い、階差数列を取得するステップと;
前記階差数列に対して対数変換を行い、前記第2のデータ列を取得するステップと;を備える、
第2の局面に記載の方法。
[第5の局面]
前記第2のデータ列に対して回帰分析を行い、前記支払い閾値変更ルールを取得する前記ステップは:
前記第2のデータ列に応じて回帰モデルを確立するステップと;
残差が正規分布に従う場合、前記回帰モデルに応じて前記支払い閾値変更ルールを取得するステップと;を備える、
第2の局面に記載の方法。
[第6の局面]
予め設定された条件に従って前記支払い閾値変更ルールを修正するステップを更に備える、
第1の局面乃至第5の局面のいずれかに記載の方法。
[第7の局面]
支払い閾値取得装置であって:
第1の時点におけるユーザの既知の第1の支払い閾値を取得するように構成された閾値取得ユニットと;
予め取得されている支払い閾値変更ルールに従い、第2の時点と前記第1の時点との間の支払い閾値変動量を決定するように構成された変動量決定ユニットと;
前記第1の支払い閾値と前記支払い閾値変動量とに応じて、前記第2の時点における前記ユーザの支払い閾値を決定するように構成された閾値決定ユニットと;を備え、
前記支払い閾値変更ルールは、異なる時点における前記ユーザの過去の取引データに対してデータ処理が行われた後に取得される、
支払い閾値取得装置。
[第8の局面]
前記支払い閾値変更ルールを取得するように構成されたルール決定ユニットを更に備え;
前記ルール決定ユニットは:
予め設定されたルールに従い、異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに対して第1のデータ処理を行い、第1のデータ列を取得するように構成された第1の処理サブユニットと;
前記第1のデータ列に対して第2のデータ処理を行い、第2のデータ列を取得するように構成された第2の処理サブユニットと;
前記第2のデータ列に対して回帰分析を行い、前記支払い閾値変更ルールを取得するように構成されたデータ分析サブユニットと;を備える、
第7の局面に記載の装置。
[第9の局面]
前記第1の処理サブユニットは:
予め設定されたユーザ割り込み率に応じてデータ分位点を決定するように構成された決定サブユニットと;
前記データ分位点に応じて異なる時点における前記ユーザの前記過去の取引データに値を割り当てて前記第1のデータ列を取得するように構成された値割り当てサブユニットと;を備える、
第8の局面に記載の装置。
[第10の局面]
前記第2の処理サブユニットは:
前記第1のデータ列に対して差演算を行い、階差数列を取得するように構成された演算サブユニットと;
前記階差数列に対して対数変換を行い、前記第2のデータ列を取得するように構成された変換サブユニットと;を備える、
第8の局面に記載の装置。
[第11の局面]
前記データ分析サブユニットは:
前記第2のデータ列に応じて回帰モデルを確立するように構成された確立サブユニットと;
残差が正規分布に従う場合、前記回帰モデルに応じて前記支払い閾値変更ルールを取得するように構成された分析サブユニットと;を備える、
第8の局面に記載の装置。
[第12の局面]
予め設定された条件に従って前記支払い閾値変更ルールを修正するように構成された修正ユニットを更に備える、
第7の局面乃至第11の局面のいずれかに記載の装置。