特許第6703076号(P6703076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703076クッションブロック構造体、及びクッションブロック構造体が内部に設けられたマットレス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703076
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】クッションブロック構造体、及びクッションブロック構造体が内部に設けられたマットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   A47C27/15 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-192217(P2018-192217)
(22)【出願日】2018年10月11日
(65)【公開番号】特開2019-181146(P2019-181146A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2018年10月11日
(31)【優先権主張番号】10 2018 108 442.0
(32)【優先日】2018年4月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518360748
【氏名又は名称】エヌエスビーエス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カン、スンヒョン
【審査官】 永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06739008(US,B1)
【文献】 米国特許第05160785(US,A)
【文献】 登録実用新案第3116064(JP,U)
【文献】 実開昭49−003813(JP,U)
【文献】 実開昭54−128710(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0237206(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00 − 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションブロック構造体において、
垂直方向に貫通形成された第1のコア孔(150)が備えられた上部クッション(100)及び
垂直方向に貫通形成された第2のコア孔(250)が備えられ、前記上部クッション(100)の下部に設けられる下部クッション(200)
を含み、
前記第1のコア孔(150)と前記第2のコア孔(250)とは、前記クッションブロック構造体の内部で相互につながって垂直方向で形成される単一のコア孔を形成し、
前記下部クッション(200)の下部には前記第2のコア孔(250)の周りに沿って一定間隔で複数の支持部(210)が形成され、
前記第2のコア孔(250)を通じて移動する空気が前記複数の支持部(210)の間の隔たり空間を通じて水平方向に排出され、
前記複数の支持部(210)は、前記下部クッション(200)の下部面の外郭部位に配置され、前記複数の支持部(210)の側面は前記下部クッション(200)の側面と連続面を形成する
クッションブロック構造体
【請求項2】
前記上部クッション(100)は下部に行くほど断面が増加する角錐の形状を有し、前記第1のコア孔(150)が中央に形成されている請求項1に記載のクッションブロック構造体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記クッションブロック構造体が内部に設けられたマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアクッションブロック構造体、及びエアクッションブロック構造体が内部に設けられたマットレスに関するものであり、より詳細には、エアクッションブロック構造体の上部から加わるユーザの荷重が安定的に下部に伝達されるのみならず、荷重によるねじれ変形の発生を最小化することで、安定的に荷重を支持する構造を実現することができるエアクッションブロック構造体、及びエアクッションブロック構造体が内部に設けられたマットレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車椅子は足腰の悪い老人、病弱者や身体障害者が主に用いるもので、長時間乗る場合には床ずれなどが発生する恐れがある。これを防止するために、車椅子の座席には様々な形態の床ずれ防止用クッションが設けられる。
【0003】
このような床ずれ防止用クッションは複数のエアクッションブロックで構成される。従来技術によるエアクッションブロックは通常、外部荷重により圧縮され、外部荷重が除去されると周辺の空気を吸引して元の形態に復元される正方形ブロックの形態で製造される。
【0004】
一方、このような従来技術によるエアクッションブロックは外部の荷重により圧縮された場合にねじれ変形が容易に発生するのみならず、エアクッションブロックの上面の全面にわたってユーザの荷重を支持する。従って、ユーザの身体部位と比較的広い接触面積を形成する結果を 招き、それにより、床ずれ予防効果が低減する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、エアクッションブロック構造体の上部から加わるユーザの荷重が安定的に下部に伝達されるのみならず、荷重によるねじれ変形の発生を最小化することで、安定的に荷重を支持する構造を実現することができるエアクッションブロック構造体、及びエアクッションブロック構造体が内部に設けられたマットレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するための本発明に係るエアクッションブロック構造体は、垂直方向に貫通形成された第1のコア孔が備えられた上部クッションと、及び垂直方向に貫通形成された第2のコア孔が備えられ、前記上部クッションの下部に設けられる下部クッションを含む。
【0007】
好ましくは、前記上部クッションは下部に行くほど断面が増加する角錐の形状を有し、前記第1のコア孔が中央に形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記上部クッションと前記下部クッションが結合された状態で、前記第1のコア孔と前記第2のコア孔は互いに連結されることを特徴とする。
【0009】
また、前記下部クッションの下部には前記第2のコア孔の周囲に沿って一定の間隔で複数の支持部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、前記第2のコア孔を介して流動する空気が前記複数の支持部の間の離隔空間を介して水平方向に排出されることを特徴とする。
【0011】
また、前記上部クッションの上面には前記複数の支持部と垂直方向に対応する位置に前記上部クッションに加わるユーザの荷重を分散支持する複数の荷重支持点が形成されることを特徴とする。
【0012】
更に、前記上部クッションにユーザの荷重が加わる場合に前記上部クッションと前記下部クッションとの間の隙間を介して空気が排出されることで、前記エアクッションブロック構造体のねじれを防止することを特徴とする。
【0013】
一方、本発明に係るマットレスは前記エアクッションブロック構造体が内部に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、エアクッションブロック構造体の上部から加わるユーザの荷重が安定的に下部に伝達されるのみならず、荷重によるねじれ変形の発生を最小化することで、安定的に荷重を支持する構造を実現することができる。
【0015】
併せて、本発明によれば、エアクッションブロック構造体におけるユーザの荷重を支持する面積が相対的に狭く形成されることで、床ずれ予防効果を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るエアクッションブロック構造体を示す分解斜視図である。
図2図1における下部クッションの下部構造を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るエアクッションブロック構造体の動作原理を説明する概念図である。
図4】本発明の一実施形態に係る複数のエアクッションブロック構造体が内部に独立して設けられるマットレスの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では図面を参照して本発明をより詳細に説明する。図面のうち同じ構成要素は可能な限りどこでも同じ符号で示していることに留意しなければならない。また、本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される公知機能及び構成についての詳細な説明は省略する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係るエアクッションブロック構造体を示す分解斜視図である。図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るエアクッションブロック構造体は上部クッション100、及び下部クッション200を含む。
【0019】
上部クッション100は下部に行くほど断面が増加する角錐の形状を有し、円錐、三角錐、四角錐、五角錐、及び六角錐などの様々な角錐の形状に形成することができる。しかし、隣接して設けられるエアクッションブロック構造体との間の離隔空間を最小化するためには、図1に示すような四角錐の形状や六角錐の形状を有することが好ましい。
【0020】
即ち、上部クッション100は下部に行くほど断面が増加する角錐の形状を有することで、上部クッション100の上面に加わるユーザの荷重が安定的に下部に伝達されるようにすると共に、上方からの荷重により上部クッション100にねじれが発生することを最小化することができる。
【0021】
一方、上部クッション100の中央には垂直方向に貫通形成された第1のコア孔150が備えられており、上部クッション100の中央には第1のコア孔150が形成されている。それにより、上部クッション100の上面に加わる荷重は第1のコア孔150の周囲の周りに沿って均等に分散される。
【0022】
このように、第1のコア孔150の周囲の周りに沿って上部からの荷重が均等に分散されることで、ユーザの荷重により上部クッション100にねじれが発生することを最小化することができる。
【0023】
併せて、上部クッション100の中央部には第1のコア孔150が形成される。その結果、上部クッション100の上面におけるユーザの荷重を支持する面積が相対的に狭く形成されることで、床ずれ予防効果をより増大させることができる。
【0024】
一方、下部クッション200は上部クッション100の下部に連設され、下部クッション200の上面は上部クッション100の下面と同じ形状と大きさを有することが好ましい。
【0025】
本発明を実施するに当たって、下部クッション200が上部クッション100と同じ角錐の形状を備えることで、下部クッション200もやはり下部に行くほど断面が増加するようにすることもできる。
【0026】
しかし、隣接して設けられるエアクッションブロック構造体における上部クッション100との間の離隔距離を最小化することで、より密集した荷重支持構造を実現することができる。そのため、下部クッション200は一定の大きさの水平断面を有する柱体の形状に製作することが好ましい。
【0027】
即ち、上部クッション100が円錐、三角錐、四角錐、五角錐、または六角錐の形状を有する場合に、下部クッション200は上部クッション100の下面に当接される円柱、三角柱、四角柱、五角柱または六角柱の形状にそれぞれ製作することが好ましい。
【0028】
一方、下部クッション200にも垂直方向に貫通形成された第2のコア孔250が備えられる。この時、上部クッション100に形成された第1のコア孔150と下部クッション200に形成された第2のコア孔250は同じ大きさを有し、同じ重心位置を有する。従って、第1のコア孔150と第2のコア孔250はエアクッションブロック構造体の内部で互いに連結される。その結果、垂直方向に連続的に形成される単一のコア孔を形成するようになる。
【0029】
従って、上部クッション100の上面に加わるユーザの荷重により第1のコア孔150の内部で下部に流動する空気は第2のコア孔250を通過して下部クッション200の下部の中央から地面に垂直な方向に排出される。
【0030】
このように、下部クッション200の下部から地面に垂直な方向に排出される空気による地面からの反力が下部クッション200の中央部に加わることで、本発明に係るエアクッションブロック構造体はより安定的に荷重を支持する状態を実現することができる。
【0031】
図2図1における下部クッション200の下部構造を示す斜視図である。図2を参照すると、図1に示した下部クッション200の下部には第2のコア孔250の周囲に沿って一定の間隔を置いて複数の支持部210が突設されている。
【0032】
複数の支持部210は下部クッション200の下面上に円形に配置され、所定の間隔を置いて離間した状態で下部クッション200の下面から突設される。従って、エアクッションブロック構造体の上部から加わる荷重により第1のコア孔150と第2のコア孔250を介して流動する空気は隣接した支持部210との間に形成される離隔空間を介して下部クッション200の下部から水平方向に排出される。
【0033】
一方、本発明を実施するに当たって、複数の支持部210は下部クッション200の下面の外郭部位に配置され、支持部210の側面は下部クッション200の側面と垂直方向に連続した平面を形成する。従って、複数の支持部210との間の離隔空間によって下部クッション200の荷重支持構造の安定性が低減することを最小化することができる。
【0034】
併せて、支持部210は上部クッション100の上面に加わる荷重を地面に直接伝達するので、支持部210には垂直荷重に対する地面からの反力が加わる。それにより、各支持部210にはユーザの荷重を支持する荷重支持点110が形成されている。
【0035】
一方、図3に示すように、上部クッション100の上面にも複数の支持部210と垂直方向に対応する位置に上部クッション100に加わるユーザの荷重を分散支持する複数の荷重支持点110が形成されている。
【0036】
即ち、上部クッション100の中央に形成された第1のコア孔150により上部クッション100の上部に加わる垂直荷重は第1のコア孔150の周囲の周りに沿って均等に分散される。その上、上部クッション100の上面には、図3に示すような複数の荷重支持点110が形成される。従って、上部クッション100はより安定的に荷重を支持する構造を有するようになる。
【0037】
更に、本発明では上部クッション100と下部クッション200を垂直方向に連設するに当たって、上部クッション100の下面と下部クッション200の上面を接着せずに、単純な積層構造を有するように構成する。このような設置構造によって上部クッション100と下部クッション200との当接面を形成する上部クッション100の下面と下部クッション200の上面との間には微細な隙間が存在するようになる。
【0038】
これにより、上部クッション100の上部にユーザの荷重が加わる場合に、第1のコア孔150を経て第2のコア孔250に流動する空気の一部が上部クッション100と下部クッション200との当接部位に形成された隙間を介して水平方向に排出されることができる。従って、ユーザの過度な荷重が加わる場合にエアクッションブロック構造体にねじれ現象が発生することを防止することができる。
【0039】
このように、本発明ではエアクッションブロック構造体の中央を貫通するコア孔150,250の構造を介してコア孔150,250の周囲に荷重が分散される構造を実現することで、ユーザの皮膚が接触する点における最大圧力を下げることができるようになる。
【0040】
更に、本発明では上部クッション100と下部クッション200との当接部分により、上層部の界面圧力と底面の反発力を緩衝する機能、及び空気が水平方向に移動する通路を提供する機能を実現することができる。
【0041】
一方、本発明を実施するに当たって、上述したような本発明に係るエアクッションブロック構造体を平面上に連続して設けることで、クッションやベッド用マットレスの荷重支持構造を実現することができる。
【0042】
図4は本発明の一実施形態に係る複数のエアクッションブロック構造体が内部に独立して設けられるマットレスの構造を示す図である。
【0043】
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るマットレスは上部ハウジング310、及び下部ハウジング320を含む。
【0044】
下部ハウジング320には下部クッション200がそれぞれ挿入されるようにする下部クッション200と同じ形状を有する複数の下部溝が連続的に形成されており、上部ハウジング310には上部クッション100がそれぞれ挿入されるようにする上部クッション100と同じ形状を有する複数の上部溝が連続的に形成されている。
【0045】
以下、図4に示したマットレスを製造する過程を説明する。まず、製造業者は下部ハウジング320に備えられた複数の下部溝に、図2に示した下部クッション200をそれぞれ挿設する。
【0046】
次に、製造業者は上部ハウジング310に備えられた複数の上部溝に上部クッション100をそれぞれ挿設した後、上部ハウジング310を下部ハウジング320の上部に結合することで、それぞれの下部クッション200の上部に上部クッション100が積層して設けられるようにする。
【0047】
そして、製造業者は上部ハウジング310と下部ハウジング320の側面縁を互いに接合することで、図4に示したようなマットレスの製造を完了するようになる。
【0048】
本発明において使用した用語は単に特定の実施形態を説明するために使われたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品又は、それらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又は、それ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又は、それらを組み合わせたものなどの存在又は、付加の可能性を予め排除しないことと理解すべきであろう。
【0049】
以上では本発明の好ましい実施形態及び応用例について図示及び説明したが、本発明は前述した特定の実施形態及び応用例に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であることは勿論であり、このような変形実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明によれば、エアクッションブロック構造体の上部から加わるユーザの荷重が安定的に下部に伝達されるのみならず、荷重によるねじれ変形の発生を最小化する。従って、ユーザの荷重を安定的に支持するエアクッションブロック構造体を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
100 上部クッション
110 荷重支持点
150 第1のコア孔
200 下部クッション
210 支持部
250 第2のコア孔
310 上部ハウジング
320 下部ハウジング
図1
図2
図3
図4